GLP-1受容体作動薬と異なり、筋肉量の減少がない!!インクレチン模倣薬によるダイエットサプリメント|メタボレード旭川皮フ形成外科クリニック

HISAKOの美容通信2027年11月号

GLP-1受容体作動薬と異なり、筋肉量の減少がない!!インクレチン模倣薬によるダイエットサプリメント|メタボレード


インクレチン模倣薬によるダイエットサプリメントであるメタボレードは、①腸内環境の改善による内因性GLP-1の分泌正常化、②AMPK活性による代謝の改善により、脂肪細胞でのβ酸化を向上、筋肉内のミトコンドリア機能を向上させるので、結果として、脂肪を減少させ、筋肉を維持することが可能です。マンジャロやゼップバウンド、リベルサス等のGLP-1受容体作動薬の最大の欠点である、筋肉量の減少(減少体重の約4割を占める!)が起らないのが特徴です。確かに、GLP-1受容体作動薬の様に、大幅な減量は望むべくもありませんが、HISAKOの様な中高年以降世代では、サルコペニア肥満に代表される筋肉量の低下が老化に於ける大きな問題である以上、メタボレードは望ましい減量の為の選択と言えます。

 メタボレードは、スペインのミゲル・エルナンデス大学のジョナサン・ジョーンズ博士とモンテローダ社による共同開発によって誕生した、GLP-1をサポートしてくれる、植物性ダイエットサポートエキスです。ハイビスカスエキスとレモンバーベナエキスとで構成されており、製法は世界各国で特許取得済みです。代謝率の向上(AMPK活性化)、脂肪の蓄積減少及び体脂肪の減少促進、更には、GLP-1の増加による食欲抑制と言った複数のメカニズムを通じて、筋肉量に影響を与えることなく、体重減少をサポートするサプリメントです。

心・腎・代謝(CKM)症候群(cardiovascular-kidney-metabolic synderome)

 米国心臓学会(AHA)は、心血管・腎臓・代謝(Ⅱ型糖尿病・肥満等)は、相互に関連しており、これ等の異常が重なると、罹患率と死亡率に重大な影響が齎される事から、これ等の疾患をまとめて、心・腎・代謝(CKM)症候群(cardiovascular-kidney-metabolic synderome)と呼ぶ事を提唱した勧告を発表しました。CKM症候群は、ステージ0(危険因子が無く、完全に予防が焦点)から、ステージ4(心血管疾患を伴う、腎不全が含まれる場合もある)まで5段階で管理されます。

 Ⅱ型糖尿病・高血圧・高トリグリセリド・腎機能低下等があり、腎臓病や心臓病が悪化するリスクが高い患者さんに対し、SGL2阻害薬やGLP-1受容体作動薬の使用を検討する事を推奨しています。

 

AGE(Advanced Glycation End Products :終末糖化産物)

 糖尿病患者さんは、世界に5億8900万人いると推計され、6秒に1人(年間340万人)が亡くなっており、世界の医療費の15%(約150兆円)を占めるとされています。糖尿病では、健康寿命が15年短く、死亡リスクが1.8倍である事が知られており、老化が急激に進行します。

■高血糖の記憶(Metabolic Memory)

 近年、糖尿病に伴う血管障害メカニズムを解く鍵として、『高血糖の記憶(Metabolic Memory)』(美容通信2019年11月号)に注目が集まっています。Metabolic Memoryとは、“過去にどのくらいの高血糖に、どの程度の期間曝露されたか(diabetic exposure)が、その後の糖尿病血管合併症の進展を左右する”という概念でです。特に最近注目されているのは、お母さんのお腹の中にいた間と、生まれてからの2年間、どれ位お砂糖に塗れた人生を送って来たか(←正確には、送らされて来たかですが!)が、その後の糖尿病人生を大きく左右します。

AGE(終末糖化産物)

 高血糖が持続している状況(糖尿病)下では、生体内の蛋白質が糖化されやすい状態にあります。AGEは、還元糖から形成されますが、シッフ塩基やアマドリ化合物が形成される初期反応は可逆的でです。しかし、更に高血糖状態が持続すると、アマドリ化合物の一部がAGEを形成する経路へと進んでしまいます。この反応は不可逆的で、一旦AGEが形成されてしまうと…もう、後戻りは叶いません。つまり、AGEは高血糖が記憶された結果であり、一旦AGEが形成されてしまうと、AGEを減少させる事は不可能です。

 グルコアルブミンやHbA1は、AGEの前駆物質です。AGEは、高血糖の記憶を最も良く説明出来る経路です。

■RAGE(Receptor for AGE)

 AGEによる血管障害メカニズムも、明らかになりつつあります。血管を構成する細胞膜上には、AGEの受容体RAGE(Receptor for AGEs)が存在し、AGEsと結合する事により情報が伝達され、酸化ストレスの産生を促し、炎症反応を惹起すると考えられています。RAGEという単語をそのまま英和辞典で引くと「激しい怒り」という意味が載っています。確かに、RAGEは様々な病気に於いて、荒々しい症状を引き起こすので、言い得て妙ではありますが、RAGEの名の由来は勿論「怒り」ではありません(笑)。糖尿病等で体の中に増えてくるAGEと結合する受容体として発見された為、AGEの受容体 ”receptor for AGE (RAGE)” と単に名付けられただけです。最近では、AGE-RAGE系とレニン・アンジオテンシン系がクロストークし、血管障害の進展に関わっている可能性も示されています。

 つまり、RAGEが糖尿病を引き起こしている訳ではありません。ただ、他の色々な原因で糖尿病になってしまうと、眼や腎臓の合併症の増悪を早める、尻馬に乗って悪さをする系なんです。高血糖の持続によるAGEの増加に伴い、RAGEに結合するAGEも当然増えますから、細胞の中に強過ぎるRAGEの信号が伝わり、細胞は酸化ストレス・炎症で炎上必須。お祭り状態になります。こうなると、例えば眼では、光を感じている網膜が傷害されます。網膜を走る毛細血管にAGEが沢山流れ付き、その信号を受けて血管内皮細胞は分裂して増え始めます。しかし、毛細血管を外側から支えて破れないように守っている血管周皮細胞は、増殖を止めてしまいます。この様な極めてアンバランスな状態の挙句、血管は破綻し、閉塞し、血流は途絶えます。網膜には十分な血流が確保されなくなるので、失明に至ります。実際、日本では、生まれつき目が見えない人を除くと、糖尿病が失明の一番多い原因です。また、眼以外にも、腎臓の血管も、やはり強過ぎるRAGEの信号の為に、傷害され、腎臓の働きも損なわれてしまいます。

 因みに、現在では、RAGEに結合する物質は、AGE以外にも沢山ある事が分かっています。例えば、癌細胞の転移に関与しているとされるHMGB1や、アルツハイマー病の際に神経細胞を傷害するアミロイドβ蛋白質等も、AGEのようにRAGEに結合しし、酸化ストレス・炎症を惹起し、病状を悪化させます。

■倹約遺伝子としてのRAGE

 貞享時代の怪談本『奇異雑談集』には、京都東山の獅子谷という村で、ある女が異物を3度分娩した末に4度目に鬼子を産んだ話があります。この子供は生誕時にして、既に3歳児程の大きさで、朱のように真っ赤な色で、両目に加えて額に目があり、耳まで裂けた口の上下に歯が2本ずつ生えていたそうです。この鬼子は、父に殺されそうになりながら噛みついて抵抗したものの、ついに殺害されて崖下に埋められてしまいますが、翌日になって生き返り、話を聞いていた周囲の人たちに殴りつけられ、ようやく息絶えたんだとか…。

 RAGEは、飽食の時代では単なる鬼っ子的な扱いしか受けませんが、本来は倹約遺伝子として、脂肪細胞の分解を抑制し、エネルギーを効率的に使用して、厳しい飢餓の時代を生き残る為に発達しました。現代では、これが仇となり、肥満や糖尿病のリスクを高める要因となっています。RAGEには、他にも、外部からの細菌の侵入を防ぐ役割や、愛情を伝えるのに大切な分子である事が分かっています。

■心血管代謝老年病のバイオマーカーとしてのAGE

 

RAGEアプタマー

 体内に蓄積したAGEを減らして老化を遅らせる一つの方法として注目されているのが、医薬品によるAGE制御です。
 DNAは、元来、遺伝情報を担い、生命の設計図、青写真と考えられていました。しかし最近になり、DNAはそれ自身が色々な立体構造をとり、様々な物質にくっつく事も分かって来ました。アプタマーとは、結合を意味するラテン語のアプトゥス(aptus)、つまり英語のフィット(fit)に由来します。ですから、DNAアプタマーとは、あるものにフィットするDNAという事になります。ある種のDNAは、AGEにフィットし、シャボン玉のようにAGEを包み込み、その働きを無毒化します。RAGEアプタマーが、AGEが嵌り込む鍵穴であるRAGEに上手くフィットして、椅子取りゲームではありませんが、AGEの先回りをしてRAGEを占拠してしまう事が出来れば、炎症は起これない。つまり、動脈硬化症、がん、アルツハイマー病、骨粗鬆症、腎臓病、肝臓病、歯周病、不妊等の様々な病気に発展しようがありません。
 左図は、RAGEアプタマーを実験動物に投与した際の腎臓の組織写真ですが、糖尿病性腎症の発症が抑えられるだけでなく(=予防)、腎症の進行も抑えられ(=治療)ているのが分かります(Diabetes 2017; 66: 1683-95)。
 
 上図ですが、RAGEアプタマーにより、モデル動物の癌の増殖や肝臓への転移も抑制される事が明らかになっています(Mol Med 2017; 23: 295-306)。糖尿病性腎症は透析導入に至る第一位の原因疾患ですし、癌は日本人にとってもっとも大きな死亡原因です。

 また、AGEアプタマー、或いはRAGEアプタマーをラットやマウスに投与した動物実験では、脂肪分の多いジャンクフードを食べ続けてもメタボにならず、糖尿病による網膜症や腎症が抑えられ、動脈硬化が抑制されることが確認されています。右図は、山岸教授らの研究チームが糖尿病モデルマウスに8週間RAGEアプタマーを注射した実験ですが、糖尿病性腎症の発症が抑えられ、対照群のようなインスリン抵抗性が起こりませんでした。インスリン抵抗性とは、膵臓から分泌されるインスリンがうまく使えず、血糖値の上昇が抑えられない状態です。

■COVIT-19とAGE-RAGE系

 新型コロナウィルス感染症(COVID-19)は、血糖コントロール不良例で重症化します。発症、重症化には、Natural Killer細胞の活性低下が関与している事が知られていますが、AGEは、この大事なNK細胞の活性化を抑制してしまいます。

 1924年、オットー・ワールブルクは、体細胞が長期間低酸素状態に晒されると呼吸障害を引き起こし、通常酸素濃度環境下に戻しても大半の細胞が変性や壊死を起こしますが、極く一部の細胞が酸素呼吸に代わるエネルギー生成経路を亢進させ、生存した細胞が癌細胞となる、との説を発表しました。酸素呼吸よりも発酵によるエネルギー産生に依存するものは、下等動物や胎生期の未熟な細胞が一般的であり、体細胞が酸素呼吸によらず発酵に依存する事で、細胞が退化し、癌細胞が発生します。 腫瘍学に於けるワールブルク効果とは、悪性腫瘍の腫瘍細胞内で、嫌気環境のみならず、好気環境でも乳酸発酵が亢進する事により、解糖系に偏ったブドウ糖代謝がみられます。新型コロナウィルス感染(COVID-19)下でも、このワールブルク効果を介してAGEの産生が亢進し、これによりRAGEの活性化が生じ、サイトカインストーム、重症化に関与していると考えられています。

■RAGEアプタマーは、動物モデルに於ける敗血症死を阻止

 病原体やウィルスに感染すると、体内で産生されたHMGB1が鍵穴(RAGE)に結合し。敗血症を発症します。RAGEアプタマーは、一昔前の性悪小僧!みたいに、ボンドとかアロンアルファーの様な超強力な接着剤を鍵穴に流し込んで、RAGEに蓋をする事で鍵穴を塞ぎ、モデル動物の敗血症による死亡を防ぎます(Oxidative Medicine Cellular Longevity 2021; 2021: 9932311)。

 

AGE-RAGE系とインクレチンとのクロストーク

■インクレチン

 インクレチンと総称されているホルモンとしては、GLP-1やGIPがあります。

  GLP-1とGIPは、いずれも、血糖値依存的に、膵臓のβ細胞からのインスリン分泌を促進します。しかし、2型糖尿病に於いては、GIPによるインスリン分泌促進作用は障害されているとの報告もあります。また、GLP-1は膵α細胞からのグルカゴン分泌を抑制し、血糖低下に働きますが、本作用がGLP-1によるα細胞への直接的な作用なのかどうかはまだ分かっていません。更に、GLP-1は胃の内容物排出速度を遅らせ、満腹感を助長することで食欲を抑制したり、食後の急峻な血糖上昇を抑制したりする作用があり、これが巷でダイエット薬として大流行している理由であり、副作用と言うか…それこそが作用の本態でもあるのですが、冷や汗がでる、気持ちが悪くなる、手足がふるえる、ふらつく、力が抜けた感じがする…。単剤で投与した場合、低血糖は起こり難いとはされていますが、救急車を夜中に呼んでも、本来の糖尿病に対する保険治療の適応から外れる為、搬送先の病院から受け入れを拒否される騒動が起こり、社会問題となっている理由でもあります。一方、GIPは脂肪細胞にそのGIP受容体が存在し、脂肪細胞への糖の取り込みを促進する事で肥満を助長させます。

 

AGE-RAGE系とADMAの産生、代謝経路

 非対称ジメチルアルギニン(Asymmeteric dimethylarginen:ADMA)は、一酸化窒素合成酵素NOの内因性阻害物質です。血管内皮細胞に蓄積すると、一酸化窒素(美容通信2025年9月号)の合成が阻害され、正常な血管内皮細胞の機能が失われる為、高血圧や動脈硬化、心筋梗塞、脳卒中等の発症や進展に関与することが示唆されています。 その為、ADMAは、心血管疾患の危険因子として注目されており、特に慢性腎臓病(美容通信2026年10月号)患者に於ける心血管イベントの重要な危険因子と考えられています。
 dimethylarginine dimethylaminohydrolase(DDAH)は、ADMAの代謝に関与し、内因性NO合成酵素(NOS)阻害物質であるADMAの生体内蓄積を制御する重要な酵素です。
 

GLP-1受容体作動薬

GLP-1

 インスリンは血糖値を下げるホルモンであり、膵臓から分泌されます。また、体内には食物の摂取後、インスリン分泌を促すインクレチン(GLP-1などの消化管ホルモンの総称)がありますが、GLP-1はインクレチンの一つで、前述の通り、膵臓にはGLP-1が作用するGLP-1受容体があり、この受容体がGLP-1によって活性化し、インスリンを分泌させます。GLP-1は、DPP-4によって分解される為、血中半減期は12分と短いのが特徴です。

 GLP-1の作用としては、以下があります。

  • ブドウ糖濃度依存性インスリン分泌促進
  • ランゲルハンス島β細胞増殖作用
  • グルカゴン分泌抑制
  • 胃排泄能抑制
  • 視床下部神経の食欲抑制作用

 

GLP-1受容体作動薬

 GLP-1受容体作動薬とは、2型糖尿病治療薬で、GLP-1受容体に対してGLP-1と同じ様に働き、GLP-1受容体を活性化させて、血糖に応じて膵臓からインスリン分泌を促して血糖値を下げるお薬です。遺伝子操作により、DPP-4に容易に分解されない工夫が成されており、注射薬(マンジャロやゼップバウンド)や経口薬(リベルサス)の処方箋医薬品があります。副作用としてグルカゴン同様に消化器運動が抑制されるので、嘔気嘔吐があります。稀ですが、低血糖発作を来す事もあります。肥満は世界的な問題のひとつで、2型糖尿病治療薬ビクトーザは、肥満の治療薬として有望視されています。

 見た目が全てではないですが、重要視されるハリウッドではオゼンピックが大流行中です。イーロン・マスク、ウーピー・ゴールドバーグ、オプラ・ウィンフリーら多くのセレブが、も2型糖尿病患者向けに作られたこの薬の誘惑に屈しています。実際に、レベル・ウィルソン、シャロン・オズボーン、ロビー・ウィリアムズは、”奇跡の薬”と称されるオゼンピックまたはその派生薬であるウゴービを使用したことを公に認めています。2022年にイーロン・マスクは、ツイッター(現X)で、減量の秘訣を「断食とウゴービ」と明かして、堂々と肯定派であることを名乗り出ています。

■GLP-1受容体作動薬の保護作用は、薬の直接効果? 体重減少効果のおかげ?

 GLP-1作動薬には様々な効果がありますが、薬の直接効果によるものと、体重が減少した結果に付随して現れるものがあります。

  • 体重減少の寄与度が大きいと考えられる効果:睡眠時無呼吸症候群美容通信2027年10月号)、変形性関節炎、代謝機能障害関連脂肪肝炎、収縮機能が保たれた心不全(HFpEF)、高血圧
  • 体重減少の寄与度=直接的効果:糖尿病、慢性腎臓病
  • 直接効果によるもの:主要血管イベント

■副作用

  • 低血糖(本剤の単独療法に於ける低血糖のリスクは一般に少ないとされますが、他の種類の糖尿病治療薬と併用する際は、血糖降下作用が増強される事が考えられ注意が必要)
    • 冷や汗が出る、気持ちが悪くなる、手足が震える、ふらつく、力が抜けた感じがする等の症状が、急に出現したり、持続したりする。
    • 高所作業、自動車の運転等に従事している場合は、要注意!
  • 消化器症状
    • 便秘や吐き気、嘔吐、下痢等の症状がみられる場合がある。
    • 頻度は稀とされるが、胆石症、胆嚢炎、胆管炎、胆汁うっ滞黄疸等が引き起こされる可能性がある。

 体重減少効果と糖代謝改善効果はピカ一のGLP-1受容体作動薬。症例を選べば非常に有用なお薬ですが、上記以外にも注意しなければいけないのが、百歩譲って減量分全てが脂の塊だったら、まあ、良いんですけど…、体重減少分のその約4割が骨格筋の減少だと言う事。筋肉量が減るんです。サルコペニア肥満(美容通信2027年10月号)は、普通体型や寧ろ肥満に見える場合でも、筋肉量が少なく、脂肪が多い状態で、身体機能の低下が著しく、転倒・骨折のリスクが高いだけでなく、糖尿病や脂質異常症等の代謝性疾患や、心血管リスクも高くなる事が知られています。テストステロンの低下等により、ただでさえ、HISAKOの様な中高年以降世代では筋肉量の低下しますから、がつがつマンジャロで減量するのは、アンチエイジングと言うか…Rejuvenation=若返り的観点からは、オゼンピック・フェイス以上の大問題になってしまいます。

 オゼンピック・フェイスとは、米国の皮膚科医が提唱した俗称で、オゼンピック(GLP-1受容体作動薬)の使用により、急激な体重減少によって、頬のこけや目のくぼみ、皮膚のたるみが現れる現象です。特に、顔の脂肪が失われることで、若々しさが失われ、老けて見える印象を与える事があります。彼は所謂オゼンピック・フェイスではありませんが、片岡鶴太郎。…イケオジとの評価も高いですが、HISAKO的には大昔のぷくぷくした鶴ちゃんの方が、可愛くて好きです(笑)。適切な減量に留め、蛋白質やコラーゲン生成に欠かせないビタミン類(特にA・C・E)や亜鉛・鉄等も意識しながら、バランスのとれた食生活を心掛ける。そして、有酸素運動と筋力トレーニングに、スキンケアと規則正しい生活習慣。それらが予防の基本策ですが…、なってしまったら、米国形成外科学会の医師らが提案する様に、ヒアルロン酸や脂肪注入、フェイスリフト、複合的レーザー治療等の、何らかの美容医療によるサポートが必要になります。ミトコンドリア(美容通信2017年7月号)のATP産生低下を補う為に、NMN(美容通信2027年6月号)の併用も有効とされています。

メタボレードで、GLP-1をサポートすると言う選択

 メタボレードは、体内のエネルギー代謝に関わる「AMPK」という酵素を活性化する事が分かっています。AMPKとは、私達の身体の細胞内に存在する酵素の一種です。運動により細胞内のエネルギーが減少すると、AMPKがエネルギーセンサーの役割をして、糖や脂質が燃焼され、積極的にエネルギーを作り出します。AMPKの活性化は、糖や脂質の分解を促進するだけでなく、糖や脂質を積極的にエネルギーに替え、持久力や筋肉疲労の回復、疲労感を低減します。

 期待される作用としては、①体重減少作用、②体脂肪減少作用、③抗肥満作用、④血糖値低下作用、⑤食欲抑制作用、⑥血圧低下作用がありますが、これらはメーカーの臨床試験によって証明されていますが、医薬品として認可を受けているものではありません。メタボレードは、食品に分類されます。

2018年11月 スペイン特許取得 P201731147
要約:満腹感および食欲に関与する化合物の変調による体重増加抑制作用を生む組成物について、現在、国際特許出願中。

 

メタボレードの2つの機能

  • 腸内環境の改善による内因性GLP-1の分泌正常化(美容通信2026年6月号
  • AMPK活性による代謝の改善

 GLP-1作動薬は急激に食欲を抑制する為に、所謂‘’飢餓モード‘’に入ります。その結果、体はエネルギー不足を補う為に、筋肉(タンパク質)を分解してエネルギー源として使用します。これに対し、メタボレードは、自然由来のポリフェノール類が善玉菌のエサになる事で、腸内環境を改善して、その結果短鎖脂肪酸、特に酪酸が産生されて、腸管の受容体に結合し、内因性のGLP-1が分泌されます。その為、飢餓モードには入らず、肥満により低下していたGLP-1分泌が正常に戻るという仕組みなので、筋肉を分解しません。

 更に、メタボレードは、AMPKも活性化します。この蛋白質は代謝を改善して、脂肪細胞でのβ酸化を向上、筋肉内のミトコンドリア機能を向上させるので、結果として、脂肪を減少させ、筋肉を維持することが可能となります。マンジャロやゼップバウンド、リベルサス等のGLP-1受容体作動薬の最大の欠点である、筋肉量の減少が起らないんです。確かに、GLP-1受容体作動薬の様に、大幅な減量は望むべくもありませんが、HISAKOの様な中高年以降世代では、サルコペニア肥満に代表される筋肉量の低下(美容通信2027年10月号)が老化に於ける大きな問題である以上、メタボレードは望ましい減量の為の選択と言えます。

1.メタボレードのGLP-1分泌は、低下していた分泌を正常に戻すものであり、GLP-1作動薬の様に、無理やり外から入れて急激に食欲を押さえるものではない。

2.メタボレードはAMPKも活性化するので、代謝を向上させ脂肪を燃やし、筋肉は維持する働きがある。

 

メタボレードは、植物由来原料!

 メタボレードは、ジョナサン・ジョーンズ博士(スペイン ミゲル・エルナンデス大学 生物工学博士)と世界トップクラスの技術力を持つ植物エキスメーカー「モンテローダ社」が共同で開発。300種類以上の植物エキスの組み合わせを調べ、ハイビスカスとレモンバーベナの組み合わせが、体内の酵素(AMPK)を活性化させ、抗肥満等に役立つことを発見し、2017年に特許を取得(P201731147)しています。ハイビスカスの萼とレモンバーベナの葉っぱから抽出されたエキスを、最も理想的な配合で組み合わせたのがメタボレードです。天然のGLP促進素材です。

■ハイビスカスエキス

 ハイビスカスと言えば、HISAKO世代には、ギャルファションの全盛期だった1990年代に一世を風靡したブランド「アルバローザ(ALBA ROSA)」のハイビスカス柄で、懐かしさのあまり、頭の中が占拠されてしまうかも知れません。映画で見るような素敵なリゾートファッションを今後日本人女性も着るだろう…。横浜相鉄ジョイナスに初めての直営店がオープンし、HISAKOは必ず寄り道してから帰宅の途に就いてました(笑)。

 ハイビスカスは、全世界の熱帯、温帯に約200種ほど知られ、観賞用、繊維用、食用などの目的で各地に栽培されています。一般的に「ハイビスカス」と呼ばれる植物は、中国南部に原産する「ブッソウゲ(仏桑花)」ですが、日本では、同属の植物であるハマボウ等の数種類が自生し、フヨウ等の外来種が観賞用として栽培されています。因みに、日本でも多く流通しているハイビスカスティーには、「ローゼル(Hibiscus sabdariffa)」と言う、同じフヨウ属に分類される植物が使用されています。

■レモンバーベナエキス

  レモンバーベナは、アルゼンチン、チリ、ペルー原産の植物で、17世紀にスペインによってヨーロッパに伝わりました。高さは1~3mまで成長し、シトラールと言う、レモンと同じ爽やかな香料成分が含まれています。レモンバーベナの葉は、魚や鶏肉料理、野菜のマリネ、ドレッシング、ジャム、プリン、飲料等に、レモン風味を加えるために使われています。また、ハーブティーやシャーベットにも使われています。葉からとれる精油は、香水、石鹸、化粧品の香料に用いられています。

作用機序

AMPK活性化因子

 AMPKは、細胞のエネルギー状態の恒常性に関係する酵素で、動物が全て持っている酵素です。細胞のエネルギーが低下している時に、グルコースと脂肪酸の取り込みと酸化を活性化する「代謝スイッチ」として機能します。活性化により代謝を向上するので、新たな脂肪の蓄積を防ぎます。肥満状態では、このAMPKの活性は低下しているので、脂肪が蓄積します。

 AMPK活性化亢進の効果を下に図示しますね。

 マウスの実験ですが、高脂肪食によりAMPKの活性が減少する事が知られています。右図を見て下さい。左側の標準食を食べているマウス(N)は、ある程度活性があります。左から2番目、高脂肪食を食べているマウス(HFD)では、AMPKの活性が落ちています。一番右側は、高脂肪食+メタノレードを与えられたマウス(HFD+MA)では、AMPKの活性が標準食の時よりも上がっています。メタボレートは脂肪組織中のAMPK活性を促進しますが、これはレモンバーベナ単独(HFD+LV)やハイビスカス単独(HFD+HB)よりも強い効果を示しました。

 

アディポネクチンとレプチン調整作用

 先程のマウスの実験の続きですが、脂肪細胞から出て来るホルモンには、アディポネクチンとレプチンがあります。

 アディポネクチンは脂肪細胞から分泌されて、脂肪の燃焼を活性化したり、糖の取込みを活性化するホルモンです。従って、その分泌低下は、肥満やメタボリックシンドロームに関与します。メタボレードを摂取すると、高脂肪食を与えたマウスでも、アディポネクチンの分泌が上昇します。

レプチンも脂肪細胞から分泌されますが、満腹を感じるホルモンで、食欲抑制や脂肪蓄積の抑制に関与します。しかし、脂肪細胞が増えた肥満状態ではレプチン抵抗性となり、食欲に歯止めが効かなくなり、過食や体重増加のデブ街道を邁進する羽目に陥ってしまいます。マウスの実験では、高脂肪食により、レプチンの血中濃度が増加して、レプチン抵抗性の状態にあっても、メタボレードを投与すると、レプチンの血中濃度が、正常食のマウスと同程度レベルにまで低下しました。

 下図は、in vitroでの人の脂肪細胞です。メタボレードの投与により、AMPKの活性化が認められます。

 

エネルギーギャップの軽減

 エネルギーギャップとは、ダイエット時に起こる現象で、お腹が減れば減る程、代謝率がダダ下がりに下がってしまう現象です。エネルギーギャップが広がれば広がる程、食べ物をちょっとしか食べなくても、代謝がガクンと落ちてるので、リバウンドと言う名の理不尽な量の贅肉として跳ね返って来ます。

 メタボレードは、このエネルギーギャップを軽減させます。GLP-1の上昇により空腹感は減りますが、AMPKの活性により代謝は上昇しますから、「食欲が減少して、代謝が上がっている」=エネルギーギャップが縮小するのです。その結果、マウスの実験ではありますが、オレンジ色の高脂肪食を食べているマウスでは、体重がどんどん増えているのに対し、青色は標準食を食べているマウスですが、この両者の間の灰色の高脂肪食を食べているけれど、メタボレードを摂取しているマウスでは、所謂高脂肪食だけを食べているマウスよりも、可なり体重の増加が抑制出来ました。

臨床試験

ヒト臨床試験①

 過体重又は1型肥満の女性の二重盲検プラセボ対照試験。メタボレード摂取群もプラセボ群も共に、食事と運動の介入あり。

 プラセボ群(青)もメタボレード摂取群(オレンジ)も、食事と運動の介入を行っているので、プラセボ群でも体重の減少が認められますが、そこに更にメタボレードの摂取を加えると、体重、BMI、腹部周囲径、体脂肪量については2倍、収縮期血圧に関しては何倍も、有意に下がっています。

ヒト臨床試験②

 試験①と同様の、過体重又は1型肥満の女性の二重盲検プラセボ対照試験で、メタボレード摂取群もプラセボ群も共に、食事と運動の介入あり。①との相違点は、満腹感に関係する項目を追加した点です。

 主観的満腹感評価(VASスケール)では、満腹感が15~20日目から上昇始めたのと反対に、空腹感は減少。血中のホルモン濃度の分析では、空腹感を誘導するホルモンであるグレリンに関しては、プラセボ群では+10%としっかり増えていますが、メタボレード群では、殆ど変化がありませんでした。満腹感を誘導するGLP-1の分泌量は、メタボレード摂取群では有意にしっかり上昇(+30%)しているのに対し、プラセボ群では逆に減少(-25%)。レプチンは肥満で高値を示しますが、メタボレード摂取群では有意に減少(-56%)しました。

ヒト臨床試験③

 過体重又は1型肥満の成人男女に於ける二重盲検プラセボ対照試験ですが、試験①②と異なり、運動や食事等の介入なし。純粋に、メタボレードで、何処の部位が減量しているのかを、DAXスキャンにより確認をした試験です。

 腹部の脂肪が一番減少しました。その次に減量度が大きかったのは、下半身、太腿とか臀部の脂肪です。つまり筋肉は減らずに、水分も減らずに、骨の重量も減らずに、しっかりと脂肪だけが減ったのが画像上も確認が出来ました。何度も繰り返しになりますが、マンジャロやゼップバウンドと言ったGLP-1アゴニストでは、脂肪も減りますが、それ以上に筋肉量が減る事が大問題です。その解決策として、メタボレードが登場したと言う経緯があります。

 

ヒト臨床試験④

 高血圧予備軍!(降圧剤を飲んでいる人は除外)を対象にした二重盲検プラセボ対照試験で、ホルター法(連続血圧測定)による血圧の評価を行いました。食事や運動の介入はありません。

 14日目で有意にメタボレード摂取群では、血圧が下がっている。時間を追ってみると、摂取から12時間ぐらいで、効果が見え始めているのが分かります。

ヒト臨床試験⑤

 高血圧予備軍と1型高血圧の成人男女を対象にした、二重盲検プラセボ対照試験。ホルター法(連続血圧測定)による血圧の評価を行いました食事や運動の介入はなし。

 ④の試験よりも血圧が元々高い人が多い人が対象の為、血圧の低下が著しい結果になっています。血圧は、様々な因子により変動します。正常人の血圧は、昼間に比べ夜間睡眠中には10~20%低下し、午前3時頃に最低となった後、覚醒に先駆けて、早朝から午前中にかけて上昇します。この夜間の血圧低下をdipping現象と呼びます。この昼間の血圧と夜間の血圧の差があまりない場合は、心臓病のリスクが上がる事が知られていますが、メタボレードの摂取によって、dipper(夜間血圧の自然な低下)型への改善が認められました。昼間の血圧も下がりますが、より夜間の血圧が下がり、dipper率が改善して、心臓病のリスクも下がるのではないかと考えられています。

 この血圧の試験でも、体重減少や体脂肪の減少、特にLDLコレステロールの減少が有意に認められました。 

ヒト臨床試験⑥

 過体重又は1型肥満の成人男女を対象にした、二重盲検プラセボ対照クロスオーバー試験。食事や運動の介入はなし。メタボレードを60日間摂取した後の61日目に、食欲/満腹感の認識評価(VASスケール)、血液検査(消化管ホルモン、脂質/糖質のプロフィール)、身体測定を行いました。

 メタボレード群(オレンジ)では、プラセボ群(青)と比較して、朝食の30分前から、朝食後120分までの食欲スコアが有意に低下を示しました。

 また、満腹度指数(Satiety Quotient)もメタボレード群で有意に高くなりましたし、有意に食べる量自体も減っていました。

 ホルモン分析では、GLP-1の分泌量を測定したところ、朝食から昼食まで、メタボレード摂取群では血中濃度が上昇していました。レプチンの値もメタボレード群では有意に減少し、レプチン感受性の向上も示唆されました。

 また、血液検査では、HbA1cの低下や、LDLコレステロールの低下、HDLコレステロールの上昇が、メタボレード群では確認されました。

ヒト臨床試験⑦

 In vitro大腸消化モデルでの試験。腸内細菌叢(美容通信2024年8月号)を比較した試験で、メタボレードの添加により、糞便中の腸内細菌がどの様に推移したかを調べました。

 メタボレードの添加により、腸内細菌叢の多様性が増加しました。内訳としては、悪玉菌ではなく、有用菌(善玉菌)である、ビフィドバクテリウムBifidobacterium、ブラウティBlautia、酪酸を産生する菌であるファーカリバクテリウムFaecalibacterium、プレボテラPrevotella、アッカーマンシアAkkermansia(美容通信2026年8月号)の増加が認められました。アッカーマンシア  ムシニフィラ菌は、痩せ菌とか若返りの菌(美容通信2024年1月号)として注目を浴びている菌ですで、「肥満をコントロールする食用菌」として欧州食品安全機関(EFSA)に承認されています。欧米人、特にヨーロッパの人達では、生後間もない乳児に検出され、1歳で9割保有(=成人)とされていますが、肥満の人は正常な人に比べ、当該腸内細菌数が少ない事が知られています。しかし、日本人では1%以上持っている人は1割もおらず、そもそも日本人はこの菌を殆ど持っていません。この臨床試験は、スペイン国内に於ける臨床試験なので、このアッカーマンシア  ムシニフィラ菌については、日本人にはそのまま当てはまらないかも。

 

 また、短鎖脂肪酸は、腸内細菌が食物繊維(難消化性糖類)を発酵する際に産生され、健康維持に欠かせない役割を果たしている事が知られています。短鎖脂肪酸の受容体が全身の様々な部位にあり、短鎖脂肪酸はこれらの部位の生体調節機能を果たしています。中には生活習慣病と密接な関係にあるものも多い事から、癌や肥満、糖尿病、免疫疾患を予防・治療する手段として、近年活発に研究されている分野でもあります。メタボレード添加により、短鎖脂肪酸の産生が用量依存的に増加し、酢酸、プロピオン酸、酪酸の3種が代表的な短鎖脂肪酸ですが、特に酪酸Butyric acid(美容通信2012年8月号)の増加が著明になりました。酪酸は大腸上皮細胞のエネルギー源として利用され、この増加は、相乗効果的に、更なる腸内細菌叢の改善に寄与するものと思われます。

 近年、腸内フローラは健康維持に重要な役割を果たし、特にFirmicutes門とBacteroidetes門が全体の約9割を占め、そのバランス(F/B比)は、肥満や代謝疾患、炎症性腸疾患等に関与すると報告されています。Firmicutesは短鎖脂肪酸産生やエネルギー収穫増大を通じて肥満傾向との関連が示唆され、一方でBacteroidetesは食物繊維分解を介して代謝バランス改善や炎症抑制に寄与すると注目されています。メタボレード添加により、F/B比(肥満指数)が低下しました。


*註:HISAKOの美容通信に記載されている料金(消費税率等を含む)・施術内容等は、あくまでも発行日時点のものです。従って、諸事情により、料金(消費税率等を含む)・施術内容等が変更になっている場合があります。予め、御確認下さい。

*治療の内容によっては、国内未承認医薬品または医療機器を用いて施術を行います。治療に用いる医薬品および機器は当院医師の判断の元、個人輸入手続きを行ったものです。

*使用中や使用後、刺激またはアレルギーによる赤み、かゆみ、痛み、腫れ等の異常が現れた場合、使用を中止し、医師に相談してください。

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