HISAKOの美容通信2010年4月号
肥満外来~栄養療法
痩身(肥満外来)は、唯体重が減れば良い訳ではありません。
綺麗で若々しく、健康的な状態が保たれてが最大の前提になります。
その為には、脂肪を燃焼し易い体=代謝の改善が大切です。
クリニックでは、定期的に採血を行い、”分子整合栄養医学”に基づいた栄養療法を行っています。
分子栄養学的アプローチ
HISAKOのクリニックでオススメしている減量プログラムは、- 食事療法(エネルギーの制限)⇒質の変換
- 栄養療法(欠損する栄養素の補給)
- 行動療法(モチベーション・ボディチェック)⇒コーチング(美容通信2010年2月号)
- 運動療法(有酸素運動・ウォーキングetc.)
- 補助療法(脂肪融解注射やダイエット点滴、つぼのプラセンタ注射治療等)の5つを組み合わせた方法です。
先ずは、栄養状態の把握をする為に、次の章ではどの様な検査を行うのか、そしてその意義は何かについてご説明しますね。
糖質の行方
以前美容通信の3大栄養素の号(美容通信2010年1月号)でも触れましたが、糖質は人様が生きて行く上で必要なエネルギー源であり、優先的に利用されます。ですが、過剰に摂り過ぎると、ブタになる。つまり、肥満族の存亡の鍵を握るのが、糖代謝なのです。糖代謝
簡単に言うと、食べ物から摂った糖質の多くは消化吸収された後、最終的にブドウ糖に分解され、血液を通して各細胞に運ばれ取り込まれます。ブドウ糖が細胞の中に取り込まれるのに必要な、謂わば触媒が、糖尿病の時に良く耳にするインスリンってホルモンです。夫々の細胞に取り込まれたブドウ糖は、エネルギー源として利用されます。この代謝に必要な酵素が欠損していれば消化効率が悪くなりますから、当然、使い切れなかったブドウ糖が余っちゃいます。勿体無いので、余剰のブドウ糖は脂肪に合成され、体脂肪として皮下や内臓の他、肝臓にも蓄えられます。これが、肥満の第一段階です。ところが、インスリンに対する感受性が鈍いと、細胞に取り込まれ損なったブドウ糖は血液の中を彷徨い、最後に流れ者が辿り着くのが、肝臓。この掃き溜め肝臓を、人は脂肪肝とかフォアグラと呼びます。挙句、積もり積もった脂肪がぶくぶくと増殖、溢れ出した状態が憎っくき内臓脂肪に。これで、肥満の第二段階に到達。
更に、第三段階があるんです。肥大・増加した脂肪細胞から放出されるメタボ光線(サイトカインTNF-α)を浴びた細胞は、インスリンの要請を受けても、これに従う事を良しとしない反抗的態度を取る様になります。つまり、血液中のブドウ糖は愈々行き場をなくし、第二段階→第三段階→第二段階→第三段階→→→のメタボ悪循環に陥るって寸法です。
HISAKOの糖質代謝はどうなっているんだろう?
昨年は出遅れて入手不可(笑)だったけど、今年こそはとHISAKOが虎視眈々と狙っているのが”夢ピリカ”米。でも、今朝の朝ご飯は、単なる白いお米のご飯に鰹節を降りかけただけのシンプルな猫ご飯。勿論、愛猫と仲良く半分っこして頂きました(笑)。さあ、この白いご飯の行方は如何に? HISAKOの採血のデータを基に、白いお米のご飯の追跡調査を致します。白いお米は、先ず胃にて分解されますが、HISAKOの胃粘膜の状態はGOOD。胃酸の量、胃粘膜の状態(炎症・萎縮)、ピロリ菌の検査項目で問題なし。
小腸の上皮細胞から能動的に取り込まれたブドウ糖は、血液の中に入る=血糖値が上がります。血糖値が上がっただけでは何の実にもなりませんから、折角食べた白いお米を有効利用する為に、脳みそは血糖値が上がったってシグナルを受け取った途端に、膵臓にインスリンの出動命令を出すんです。ブドウ糖はこのインスリンって触媒がないと、細胞に入れないからです。HISAKOのアミラーゼの値は87U/Iですから、インスリンの分泌状態には問題がありません。
細胞に取り込まれたブドウ糖は、下記の様な経過を辿ります。
脂肪燃焼のメカニズムと関連する遺伝子として、先月号でもお目に掛かりましたよね。エネルギーの代謝状態を大まかに示す指標が、乳酸脱水素酵素LDH。ナイアシン(トリプトファンからも生合成される←忘れた人は美容通信2009年11月号を読み直そう!)から生合成されたNADやNADHの助けを得て、解糖系最終段階に於ける乳酸とピリルビン酸の可逆的反応を触媒する酵素で、これが無いと、夢ピリカ米も燃焼されずに、単なる肥満の肥やし。それなのに、HISAKOのLDHは157U/Iと、完全に基礎代謝の低下、ナイアシン不足を示す値。先月号の遺伝子検査で、HISAKOは倹約遺伝子であるβ3AR(Trp64Arg)を隠し持ってる事が判明してますから、TCA回路に到達するのに二重の関門!? 遺伝子は換えようもないものなので、せめて、努力の甲斐はあるトリプトファンやナイアシンをせっせと摂取しつつ、兎に角有酸素運動に励まざる得ない‥。
そして、この段階で注目しなければいけないのが、遊離脂肪酸FFAの値。遊離脂肪酸は、血液中のグルコース量が不足した状況、例えば、飢餓時、絶食時、断食時何かの危機的状況の他にも、長時間の運動を行う等のエネルギーの消費が嵩んだ場合に、グルコースに代わるエネルギー源として利用される謂わば隠し玉。脂肪細胞にある中性脂肪が分解して血中に出された物質で、脂肪がエネルギー源として利用される途中の物質なんです。骨格筋や心臓、腎臓ではエネルギー源として利用されますし、肝臓では糖新生のエネルギー源となります。HISAKOの値は0.50mEq/lと低く、糖尿病でも、飢餓状態でもない以上、やっぱ運動不足を裏付ける所見でしかないかな。だから、こんなHISAKOには、積極的にL-カルニチン(美容通信2010年3月号)やその合成を促進するビタミンCの点滴を加えても、金の無駄とまでは言わないけど、加齢と共に不足する分以上のダイエット効果があるとは思えない。まあ、L-カルニチンもビタミンCも不足している不逞の輩は論外だけどね。
燃焼系に回らず余ってしまった糖は、無駄に捨ててしまっては勿体無いので、脂肪に合成され、体脂肪として皮下や内臓の他、肝臓にも、ど~ん!!!!!!!!!!!!と蓄えられ、肥満になります。
燃焼系であれ、貯蓄系であれ、兎に角、糖の身の振り方が決まると、血糖値は下がります。脳みそは、この情報を受け、膵臓にインスリン分泌停止命令を出し、膵臓からのインスリンの分泌は停止されます。
ところが、幾ら正常人でも、過食に走り、多くの糖を過剰に摂取すると、当然の事ながらインスリンは過剰に分泌されます。このインスリンは性悪な事に、脂肪合成を高め、脂肪分解を抑制する力も持っていますから、組織は過剰に脂肪を蓄積し易い下準備が整うって寸法です。
更に、過食に早食いが加わったり、GIが高い食品だったりすると、急激に血糖値が上昇します。そうなると当然、血液中の糖の処理に多量のインスリンが分泌されたり、分泌が追いつかなくなるなんて事態も発生して来ます。逆にGIが低い食品では、糖が穏やかに取り込まれ、血糖値の上昇も緩やかになる為、インスリンも分泌し過ぎる事がなく、糖は速やかに組織に吸収されるのです。以前も低GI・高GI食品については、 右の図を見て下さい。
一般的に血糖値が上がり易いのは、直ぐエネルギーになるご飯やパン、麺類、果物、砂糖等の炭水化物。次いで、蛋白質の多い肉類や魚介類、卵、乳製品等で、更に油の多い食品と続きます。でもぉ、ダイエットと称して、血糖値に影響の高い炭水化物を断ってしまうと、喰った気が碌にしない癖に、腹だけはすぐ減る。必要最低限の炭水化物に留め、空腹をギムネマで紛らわすのも確かに手ではありますが、実際問題として中々難しい(笑)。なら、せめて、同じ量の炭水化物を含む食品でも、血糖値が急峻に上昇するものより、緩やかに上昇するものを選ぶ方がマシ。高GIのフランスパンやベーグルよりも、低GIの全粒ライ麦パンやピザ生地ですよね、絶対!
この大事な大事なインスリンの分泌が少ないとかぁ、分泌のタイミングが遅い、作用が低下するetc.の理由から、上手く血糖の処理が出来なくなると、血糖値が下がらなくなっちゃいます。食後数時間経っても血糖値が下がらない状態が慢性に続くのが糖尿病です。先月号(美容通信2010年3月号)でも少し触れましたが、糖尿病が発症していなくても、生まれ付き、つまりインスリン抵抗性の糖尿病関連遺伝子を持った人々ってジャンルの人もいます。日本人は欧米人に比べて、インスリンの分泌が傷害され易い体質の人が多いとされ、HISAKOも全ての糖尿病関連遺伝子を保有している訳ではありませんが、PPARγ(Pro12ALa)って遺伝子を持っています。
細胞に取り込まれ損なったブドウ糖は血液の中を彷徨い、最後に流れ者が辿り着くのが、肝臓。この掃き溜め肝臓を、人は脂肪肝とかフォアグラと呼びます。挙句、積もり積もった脂肪がぶくぶくと増殖、溢れ出した状態が、ど~んとビール腹として溜まった憎っくき内臓脂肪です。更に恐ろしい事に、内臓脂肪が増加すると、アディポネクチンと言うインスリンの働きを高める物質の分泌が低下し、逆にインスリンの働きを悪くするTNA-αや遊離脂肪酸が分泌され、血糖の上昇を引き起こすんですよねぇ。下の図を見て下さい。ここでは骨格筋細胞を例にとっていますが、他の細胞でも似た様な反応が起こっています。野良グルコース(血糖)が細胞内に入る事すら出来ず、肝臓って名前の掃き溜めに堕ちて行く、転落人生じゃない肥満人生がありありと想像出来て、ちょっと切なくなっちゃいますね(笑)。
でも、肥満は例え既成事実となっていても、永遠に負の連鎖から抜けられないって訳ではありません。救済方法は運動なんです。下の図を見て下さい。
唯、推奨される運動は、①酸化ストレス、②メタボ・糖尿病、③血栓、④骨粗鬆症の遺伝子測定結果を下に、個人個人で作成するのが望ましいと思います。
詳しくは先月号(美容通信2010年3月号)を参考にして欲しいんですが、例えば、HISAKOは遺伝子的に血が固まり易い体質なので、ストレッチ運動が効果的。又、骨が脆くなり易い体質でもあるので、骨の代謝を活性化させる為に、骨に力が掛かる様に意識して曲げる、捻る、伸ばすetc.と、動作を大きくする工夫も必要みたいです。更に、脂肪が燃え難い肥満関連遺伝子を保有しているので、筋肉トレーニングは積極的に行なう必要があるんですが、同時に、コレステロールの酸化が進み易く、過酸化脂質が増え易い体質。それ故に、CoQ10をガンガン補いつつ、負荷の少ない運動から始めて徐々に運動強度を上げて行くのが原則です。又、免疫力が物凄く弱っちいって程ではないんですが、無酸素運動の様な強度の高い運動や2時間以上の長時間の運動は、免疫力を低下させ、バイ菌に屈する情けない女に成り下げる危険性大。元々、糖尿病体質ではないけれど、血糖値を低下させてくれるホルモンであるインスリンの働きが若干弱いので、有酸素運動(少し早めの歩行や水中ウォーキングetc.)は、是非取り入れたい等々。
そして密かなる第四段階が、脳みそ。そもそも何で腹が減ったなんて感じるのかって申しますと、血糖値が下がっちゃったから。インスリン抵抗性の遺伝子を持つHISAKOは、インスリンの効きが悪いから、ついつい必要以上にインスリンの分泌の量が増えちゃうんですよね。
左の図を見て下さい。これが、正常人の血糖曲線。
そして、右の図は、食べても、直ぐお腹が減っちゃって、お散歩の途中で、何度も何度もカフェに立ち寄って、小腹を満たしてしまうHISAKOの血糖曲線。これじゃあ、直ぐ小腹が減っても当たり前なんですが、欲望のままにお菓子(糖分)を喰うとブタ化に歯止めが掛からないので、本当は小腹が減る30分位前に、蛋白質やファイバーを食べれると良いんだけどねぇ。
参考までに、無反応性低血糖症だと、食べても食べてもお腹が一杯にならない‥。
貴女の飽く事のない激しい食欲の原因の全てが、この様な血糖調節異常から来るものとは限りません。が、サノレックスやメリディアで脳みそを弄る前に、肥満循環の元である血糖調節異常があればそれを正すのが筋ってモンでしょう。唯、この検査は、糖負荷検査を行なう必要があります。
蛋白質の行方
蛋白質は、身体の土台となるのと同時に、血液やホルモン、酵素etc.の材料となる大事な大事な栄養素♪ それなのに、糖質や脂肪と違って、貯蓄には向かない、まあ、”宵越しの金は持たない”江戸っ子気質。日々の生活で消費し切れなかった分は、オシッコとして下水道に流れてさようなら。それ故に、毎日毎日、その日の必要な蛋白質量を補ってあげないと、大事な大事な体を構成している蛋白質を分解してでも、つまり自分の臓器を切り売りしてでも、不足の日銭分を補うんです。鳩山内閣の様に、国債を乱発して不足分を補おうなんて、小賢しい真似出来ないんです、ねぇ。何ていじらしい、愚直な性格! ‥この関係をお洒落な医療用語で表すと、異化>同化と言います。異化とは、エネルギーを産生及び身体の中で消耗する事で、身銭(若しくは臓器!)を切ってでもヤクザさんに支払わなければならないショバ代とかみかじめ料に相当します。同化は、生命維持に必要な組織を作ったり、エネルギーを貯蔵したりする行為で、まあ、所謂、身銭本体ってところかな。ですから、美人な状態を保ちたければ、異化=同化はお約束。異化>同化が続けば、不美人とか、老化とか、病人になる。そりゃあ、誰だって、ヤクザさんの激しい取立てに遭えば、屈して首括る羽目に陥りるわな。まして、これから基礎代謝を上げて、美肌自慢の状況をキープしながら痩せようなどと壮大な野心を抱いている以上、更なる蛋白質の摂取は必要です。脂肪分解酵素(リパーゼ)(←次章の脂質の行方参照!!)の材料としてだけでなく、基礎代謝量の低下を阻止! 更には交感神経の活性化により熱産生を亢進する等々と、イギリス情報部のエース諜報員007が隠し持つ訳の良く分んないけど凄~い!!小道具に匹敵する、肥満脱却の必勝アイテム。厳しい糖質制限の余波で目減りする蛋白質分も、勿論上乗せして考えなくちゃいけません。
HISAKOの蛋白質代謝はどうなっているんだろう?
さあ、下の図を見ながら、一緒にHISAKOの蛋白質代謝状況を評価しましょう。食事からの蛋白質摂取の状況を表すのが、γ-GTP。HISAKOの値は10U/lと、完全に蛋白質の摂取不足!! やっぱにゃんこ飯に振り掛けたおかかレベルじゃ、蛋白質が十分量摂れてなくて当然だよなぁ‥と反省しつつ、更におかかの行方を追跡します。
胃から小腸へ、小腸の上皮細胞から能動的に取り込まれ、血管を通って肝臓に達します。アミノ基転移酵素であるASTが26U/l、ALTが20U/lと、ギリギリ20台はキープしているものの、唯、差が6もあります。AST、ALTには、実は、夫々ビタミンB6が結合したホロ型酵素と、ビタミンB6が結合していないアポ型酵素ってものがあるんです。中でもALTのアポ型酵素は、不安定な上に寿命(半減期)が短いと来るので、血清中では活性がと~っても低くなっちゃうんです。それ故に、ビタミンB6が欠乏した状態では、AST、ALTの濃度が共に下がるモノなんですが、ALTの方が下落し易い。つまり両者の差が拡がれば拡がるほど、例え20台をキープしていても、ビタミンB6不足を十分疑わせる所見となる訳。ビタミンB群はその吸収経路を考える(美容通信2009年11月号)と、B6単独で不足するなんて事は殆どありえないとされていますから、HISAKOは、単に、サプリメントでB群を十分に補充していたつ・も・り!!!!!!!!!!!!!!!!!!でしかなかった事が判明。前章の”糖の代謝”、そして次章の”脂肪燃焼のメカニズムと関与する遺伝子”の図を見て頂くと明らかな様に、ビタミンB群が不足すると、脂肪は燃焼系に入れない=痩せないんです。
肝臓に到達してからのおかか(蛋白質)の出向先は、多岐に渡ります。各種酵素(脂肪分解酵素!・消化酵素・活性酸素除去酵素etc.)、アルブミン(栄養素・酵素・薬剤等の運搬)、各種ホルモン(女性ホルモン・男性ホルモン・成長ホルモン・インスリン・副腎皮質ホルモンetc.)、神経伝達物質(GABB・メラトニン・セロトニン・ノルアドレナリンetc.)の他、身体の構成成分としても使われます。
身体の構成成分は更に、コラーゲン(骨・皮膚・歯・爪髪の毛等)や細胞構造蛋白質(筋肉・皮膚・内臓等)に枝分かれをして行きますが、基礎代謝をUPする切り札である筋肉量がどれ位有るかを判定する指標がクレアチニンです。HISAKOは、この値も0.61mg/dlと低く、完全に日々の運動不足が露見! ミトコンドリア活性を示すとされるCPKは、ナント194U/l!? きっと、3日前から連日で励んでしまったパーフェクトップッシュアップで骨格筋がやられちゃった所為に違いない‥。
さあ、HISAKOの定番朝飯であるにゃんこご飯のメイン・おかかの利用度について、最後に評価をしましょう。HISAKOの尿素窒素(BUN)は12.9mg/dlと、予想通り低い(笑)。食事由来の蛋白質や筋肉を始めとする体蛋白質の分解によって、アミノ酸の脱アミノ反応って奴が起こって、アンモニアが生じます。このアンモニアが肝臓の尿素のサイクルによって尿素に合成されるんです。それ故に、食事からの蛋白質の摂取量や体蛋白質の異化状態を評価する指標として使われるんですが、アミノ酸の脱アミノ反応は、前述の通り、ビタミンB6って補酵素がないと進まない。つまり、蛋白質の摂取不足に加え、ビタミンB6の欠乏があるから、唯でさえ少ない蛋白質をちゃんと使いこなせせず、Wパンチ状態だって事が証明された訳です。
脂質の行方
兎角、ダイエットの敵!とばかりに目の敵にされがちな油。ですが、サーロインステーキの脂身(脂肪)を吸収出来る人は、脂肪を脂肪酸に分解する能力があって初めて吸収出来るものだし、逆に吸収出来る=分解出来る人は、体脂肪だって分解出来るから、基本的には贅肉にはなれないんです。そりゃあ、先月号(美容通信2010年3月号)でお話した、mitochondria遺伝子の有無やそれに付随するCoQ10、又はL-カルニチンやビタミンB1等の摂取状況の兼ね合いや加齢で、分解や燃焼が上手に捗らないと蓄積する一方ですがね。右の写真は、知り合いのコーギー・江口(仮名)。右側の下膨れエリアに1回だけですが、脂肪融解注射とボトックス注射を行ないました。注射後4週間の写真です。通常は半年毎に3回行なって終了なんですが、1回だけでもすっきりした輪郭になったでしょ?
まあ、良く小顔目的で一般的に行なわれる手法なんですが、顔と違って体だと、脂肪融解注射だけだと、結果が出難い人もいます。これは、前述のmitochondria遺伝子の有無やそれに付随するCoQ10、又はL-カルニチンやビタミンB1等の摂取状況の兼ね合いや加齢で、分解や燃焼が上手に捗らないから。折角高いお金を掛けて脂肪融解注射を行なうんなら、単に脂肪を脂肪酸にするだけじゃなく、かっちり燃焼までして貰わなきゃね。代償を払って野良・脂肪酸生活に入っても、行き先がないと、結局元の古巣・体脂肪にスゴスゴ戻らざる得なくなっちゃいます。
食事療法について
カロリー摂取の制限
食事療法に於いて、やっぱりカロリー摂取の制限は必須です。摂取カロリーが消費カロリーを上回り続けていると、痩せるのは無理です。 エネルギー量は、標準体重と生活活動強度から算出します。- 標準体重(kg)=身長(m)×身長(m)×22
- エネルギー量(Kcal)=標準体重(Kg)×生活活動強度
実際問題として、所謂”適正体重”は、スレンダーな体型を目指したい女子にとっては、ちょっと‥。そんな時は、BMI(肥満度)22が標準とされていますが、ちょっと小細工して、計算をしてみましょう。HISAKOの目指す体重が例えば54Kgなら、BMIは20。適正エネルギー量は1350Kcalなので、肥満遺伝子補正を掛けると1200Kcal/日となります。
糖質の制限
そして食事療法のもう一つの柱は、糖質の制限です。前述した3大栄養素の夫々の代謝の章を参照にしていて頂くと、より理解が深まるかとは思いますが、糖質の役割は、ブドウ糖は生体に必要なエネルギー源であり、優先的に利用されます。 左の図を見て下さい。でも、糖質だけじゃなくて、蛋白質や脂肪からも、血糖は得られるでしょう? 脳を始めとする身体全般が機能するのに必要な糖は、所謂炭水化物って名前の糖分を態々取らなくても、別に困らないんです、本当の事言うと。寧ろ、糖質(炭水化物、糖質)は、直ぐ血糖に変わるので、急激な血糖値の上昇を招き、引いては血糖調節を乱してしまう可能性があります。中でも性悪なのが、精製度の高い、つまり白モノって奴らで、血糖への変化が兎に角早いんです。過剰な糖は前述の通り、単なる中性脂肪の蓄積への一本道でしかありません。それ故に、”腹が減って、腹が減って、飢え死寸前!”なんて時は、血糖への変化が緩やかな蛋白質から摂取して、それから徐にご飯やパン等の主食に移るのが、スレンダー・ギャルの正しい作法とされてはおりますが、より上級者を極めたいのなら、当然主食も白モノではなく茶モノ。特に食パンは、GI値が高く、砂糖も含まれている為、大蒜をテーブルに山盛り出されたドラキュラ級に、忌み嫌って下さいませ。
食事の摂り方指南
折角ですから、食事の摂り方指南もついでにしておきましょう。食間を長くしない
四六時中、ネズミみたいに喰っててください。7:00朝飯→10:00オヤツ→12:00昼飯→15:00オヤツ→18:00晩飯→21:00夜食‥。血糖値の急激な上昇を避ける事が出来るし、膵臓への負担も少ない食べ方は、カロリーオーバーさえ気を付けれれば、正に理想的。オヤツには、ナッツ類とか、煎り大豆、ゆで卵、チーズ、無糖ヨーグルト何かがオススメです。しかしながら、実際問題として、ぶっち切りに難易度が高いのが、この食間を長くしないだとは思う。先月号でHISAKOと肥満脱却勝負をしているM社のI君の話をチラッとしましたが、彼もHISAKOと似たり寄ったりの食生活。7:00の朝飯の次は、22:00のオヤツ3回分+昼飯+晩飯の一気喰い‥をどう改めるか‥。単に、毎回歯を磨くのが面倒臭くて、食べる回数が減ってるだけなんだけどねぇ(笑)。
脳みそを使って、食べる順番を考える
簡単に言うと、洋食のコースの順番で食するが、最後のデザートは抜きで終わる。食物繊維(サラダ)→蛋白質(メイン)→炭水化物の順に喰えって事なんです。食物繊維は消化吸収の速度を緩やかにするし、肉だか魚だかのメインを全部平らげてから、さあ、全粒粉のパンを好きなだけ喰えと勧められたって、甘いデザートと違って別腹なんてある訳ない。食べ過ぎを防ぐには、この順番がベストなのです。欲を言えば、本当は、食前酒の代わりにプロテインやファイバーetc.のサプリメントを飲んでおくと、食べる意欲も殺がれるので◎なんだけどなぁ。良く噛む
肥満からの脱却を望むのなら、丸呑みは兎に角厳禁。見回せば、肥満って皆早食いじゃん。アメリカの肥満ってハンバーガーのイメージが強いけど、カロリーもさる事ながら、碌に噛む必要がないじゃない? ハンバーガーって柔らかいから。外食アドバイス
そして、最後にお節介。お家ご飯が適わない時の、外食アドバイスで~す。 基本的に外食向きとされているのは、比較的食事のコントロールがし易い定食の類。反対に向かないのが、糖質中心のものとか、油(脂?)まみれのもの。- 全て完食! ご馳走様!!
- 握り寿司(並) ・わかめうどん・月見そば(汁、飲み干し禁!!) ・ミックスサンドイッチ
- オカズ(若しくは具)だけ食べて、ご飯には手を付けないのがお約束のメニュー
- 生姜焼き定食 ・ハンバーグ定食 ・八宝菜定食 ・唐揚げ定食 ・カツ丼 ・鰻重
- オカズ(若しくは具)は全部OK♪ でも、ご飯は箸休めにちょっとつまむ程度(約1/3)に留めておきたいメニュー
- 焼き魚定食 ・お刺身定食 ・親子丼 ・幕の内弁当
- オカズ(若しくは具)は全部OK♪ でもご飯(若しくは麺)は、例え美味しくとも半分は残すメニュー
- 散らし寿司 ・天ぷら蕎麦(但し、衣は追いはぎした挙句に、半分くらい齧っただけで捨てる‥) ・ラーメン(東京ラーメン醤油味)(スープ、飲み干し禁!!) ・冷やし中華(スープ、飲み干し禁!!) ・五目焼きソバ ・パスタ類(肉料理やサラダと合わせて)
- 種は殆ど喰っても良い(約2/3)が、米の飯は半分は残そう
- 牛丼
- 一皿を2人で仲良く分かち合う、究極の清貧料理
- ポークカレーライス
- 決して食べてはいけない、禁断のメニュー
- お握りのみ ・チャーハン ・ピラフ
オーソダイエット・プログラム
クリニックには、オードダイエット・プログラムって、必要な栄養素を一つのパッケージに詰めた込んだ製品があります。まあ、製品の中には、ダイエット日記とか、その他諸々の付属品も入っていますが、アメリカでは肥満治療の一環として行なわれる超低カロリー食療法の日本版と考えて下さい。
内容は1日当りの摂取カロリーを1200Kcalに抑えるもので、その内訳は、食事1000Kcal+サプリメント約200Kcalです。
- 食事:7品目(1000Kcalの目安)
- 牛乳(150cc) 2杯
- 肉 半人前(50g程度)
- 魚 1人前(150g程度)
- 卵 1個
- 豆腐 半丁(135g)
- (糖度の低い)果物(例・グレープフルーツ。ブドウやパイナップルは凍らせて少しづつ) 150~200g
- 野菜・海藻 好きなだけどうぞ♪
- 避ける食べ物
- 炭水化物(ご飯、パン、麺類)
- 揚げ物
- アルコール
- お菓子
HISAKOが、体重54Kgへの体重の減量とその維持を目標とするのなら、上記の食事を生真面目に守り、不足が予想される栄養素をセットのサプリメントを黙々と飲む事で補うって寸法です。‥徹底的な糖分制限を課してはいますが、それ以外の蛋白質や脂質は、寧ろ普通または多目に摂取なので、まあ、内容的には許容範囲かな。唯、個人的にはちょっと腹持ちが悪そ気で、診療中に腹の虫がぐうぐう鳴りそうなので、カロリー過多にならない様に注意しながら、小腹が減る度に、ナッツや煎り大豆、ゆで卵やチーズ、ヨーグルトetc.をつまむかぁ、プリメントのお世話にならないと駄目かなって印象ですがぁ‥(笑)。
しかしながら、HISAKOが、もし、体重46Kgへの体重の減量とその維持を目標とするのなら、食事を単純に800Kclに押さえるべきと計算上はなりますが、クリニックで行なうのは、あくまでも健康的に美しく痩せる事をサポートするで、病人を仕立て上げる事ではありません。それ故に、1200Kcalを最低限の摂取量と考えています。悪しからず! じゃあ、どうするかと言うと、蛋白質の摂取量を上げながら運動療法を強化し、且つ、ダイエット点滴、つぼのプラセンタ注射治療等の援護射撃を加えながら、進軍し続けるしかありません。
オーソダイエット・プログラムもどき
上記の食事療法を守りながら、採血した結果(遺伝子&栄養状態)を元に必要なサプリメントを個別にチョイスするんでも◎。HISAKOは、プロテイン、ビタミンB群と鉄を基本に、遺伝子的に消耗が激しいCoQ10と、肥満遺伝子β3-AR保有者に効果が有るツムラのNo.62を日々補充しながら、食事を少し緩めに組み立てる事にしました。性格的に、あんまり厳格だと続けられなそうなので(笑)。
参考までに、先日の日経新聞の記事を抜粋して載せておきます。馬鹿みたいな脂身マニアでもない限り、ゼネカルなんて飲む必要はないし、基本的には脂質の制限は必要ないんです。寧ろ、摂らなさ過ぎの弊害が、最近の油抜きの風潮と共に問題視されるようになって来ています。
(略)‥ウエストだけを短い期間で、といっても6~8週間くらいで細くする方法は実はけっこうある。中でも即効性が高いのは炭水化物(糖質)を最低必要な量だけにし、たんぱく質や脂質は、毎日普通または多めに摂取していくという方法だ。考え方としては、脳に必要なエネルギーの糖質を必要最低限確保できる食事を3食しっかりとりながら、ウォーキングなど持久力を必要とする運動をこなすものだ。この方法なら、外食や市販の弁当だけで暮らす人にも取り組みやすく、ウエストが十数センチマイナスになったとの成果も出ている。一時期は、映画の役作りのために体を調整する必要がある俳優の間でもはやったものだ。
糖質はとにかく、たんぱく質や脂質を増やすことに抵抗を感じる人にとっては、なかなか実践への決心がつかないかもしれない。それは脂肪を含む食品や肉類の過剰摂取=悪という固定的イメージや、ファストフードや外食の度重なる利用をよしとしない考え方など、各人の食生活への姿勢が表れるからだ。‥(略)‥糖質を減らし、脂質などを増やす方法が、一見逆方向に見えても、一度試す価値はあるだろう。
*註:HISAKOの美容通信に記載されている料金(消費税率等を含む)・施術内容等は、あくまでも発行日時点のものです。従って、諸事情により、料金(消費税率等を含む)・施術内容等が変更になっている場合があります。予め、御確認下さい。
※治療の内容によっては、国内未承認医薬品または医療機器を用いて施術を行います。治療に用いる医薬品および機器は当院医師の判断の元、個人輸入手続きを行ったものです。
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