HISAKOの美容通信2016年6月号
皮膚科の治療に必要なサプリメントの選び方
体内で合成が出来ないビタミンやホルモン、酵素等は、食べ物やサプリメント、場合によっては点滴等で補給すべきです。
そうでなければ、脳みそや内臓、骨や筋肉等と比較して、断然重要度が低い皮膚やその付属器である髪の毛や爪まで、大事な栄養素が届かないから。
勿論、大量なサプリメントを摂取せずとも、それらを合成してくれる腸内細菌がお腹の中にうじゃうじゃいてくれると、そんな苦労もせずに済みますが(笑)。
今月のお題目<皮膚科の治療に必要なサプリメントの選び方>は、そんな虐げられた存在の皮膚を、時には抗ヒスタミン剤だとかステロイドの外用薬といった従来の対症療法でしのぎつつ、その場しのぎ体質から徐々に、且つ確実に脱却するノウハウを伝授♪です。
外部からの、そして内部からの様々に襲い来る逆境にも負けず、皮膚が健やかな状態を保つ為には、栄養対策は非常に重要です。
…そんな事言われなくても、何となくは分るけどさぁ。具体的に、どうしろって言うの? サプリメント、何を飲んだら良いの? そんな疑問にお答えする<皮膚科の治療に必要なサプリメントの選び方>です。
今月号のキーとなる栄養素達
人は、自分で合成が出来ないビタミンやホルモン、酵素等を、食べ物やサプリメント、場合によっては点滴等で、頑張って補給すべきです。そうでなければ、脳みそや内臓、骨や筋肉等と比較して、断然重要度が低い皮膚やその付属器である髪の毛や爪まで、大事な栄養素が届かないからです。今月のお題目<皮膚科の治療に必要なサプリメント>は、そんな虐げられた存在の皮膚を、時には抗ヒスタミン剤だとかステロイドの外用薬といった従来のその場しのぎの対症療法でしのぎつつ、その場しのぎ体質から徐々に、且つ確実に脱却するノウハウを伝授しちゃいましょ♪です。
唯、本音を言えば、大量なサプリメントを摂取せずとも、それらを合成してくれる腸内細菌を頑張らせる事で、多少頑張りを手抜き出来るのも事実なんですけどね。腸内細菌によるビタミンB群の合成は、腸内細菌が活性化されると、大幅に増強されます。腸内細菌は、葉酸・ナイアシン・ビタミンB6、B12、C等を合成してくれます(美容通信2016年2月号)。更に、脳内の幸せ物質と呼ばれるセロトニンやドーパミンは、蛋白質の分解産物であるトリプトファンとフェニルアラニンによって腸内で合成されています。その合成には、これ又、腸内細菌が合成するビタミンが必要不可欠なんです(美容通信2015年11月号)。でも、言うは易く行うは難し(笑)? 否、上杉鷹山先生のように、為せば成る、為さねば成らぬ何事も、成らぬは人の為さぬなりけり。
蛋白質
蛋白質(美容通信2010年1月号)は、体重1Kgあたり約1~1.5gが必要量とされていますが、これを食べるのは意外に!以上に大変な作業。何だかんだで、半分から3割程度に目減りをしちゃうので、牛肉100gを焼いて喰っても、身になるのは精々8gですからね。つまり、以下のような計算式。
へ? 蛋白質30gって…、後述するプロテインを山盛り大匙4杯、生卵(調理したら熱損傷分があるので、更に多くの量を食べる必要があります!)3個、牛肉のステーキ400g、豆腐(冷奴で!)900gなんです。わ~お❤
取扱商品:プロテイン
HISAKOが専ら愛飲しているのが、プロテイン。後述のアミノ酸よりも腹持ちが良いので、診察の合間にちびちび飲んでいるのですが、これは言葉を変えると、タンパク質不足が酷いと、腹が張って張って、飲めた代物じゃないって事です。
食物から摂った蛋白質は、胃の中で胃酸や消化酵素によってアミノ酸に分解されて、小腸から吸収されます。胃で十分に分解されない場合、小腸に送り込まれずに胃に留まります。これがお腹が張る理由です。消化酵素もアミノ酸から作られる為、蛋白質やアミノ酸が不足している人であればある程、消化酵素が不足し、それが蛋白質の消化・吸収を妨げ…と、悪循環になっちゃうんです。まあ、最近は肉食女子が増えたとはいえ、筋金入りの肉食獣の欧米人と比べて、日本人は元々蛋白質の消化能力は劣っていますからね、スタートからして不利って人種的背景もあるにはありますが。
しかし、嘆いていても仕方がないので、レモン果汁や酢を、ホント、気持ち程度で良いんですが、プロテインをお水に溶かして飲む時に加えてみて下さい。蛋白質が分解され易くなるので、意外にイケるかも。他には、消化酵素を併用するのもありです。悪足掻きと自嘲しながらでも構いません。続けていると、何時か報われる日は来ます。あれ? そう言えば、近頃、プロテイン飲んでもお腹が張らないじゃ~ん?的な。…唯、そんな日は永遠に来ないと、投げでしたくなる自分を持て余してしまうなら、素直にアミノ9の軍門に下るのが得策かも知れません。
クリニックで取り扱っているプロテインは、10gあたり8.8gの蛋白質が摂取出来ます(添付のスプーンは、すり切り1杯で5gです)。低分子加工(1万以下)なので、吸収がし易く、お砂糖を使っていない(無糖)なので、血糖値を乱しません。原材料は大豆ですが、大蛋白質豆の最大の欠点であるメチオニンの不足を、しっかり添加する事により補っている(アミノ酸スコア100)のが大いなる製品特徴でしょうか。メチオニンは、御存じの通り、体内の蛋白質合成に欠かせない”開始アミノ酸”です。
敢えて風味付けをしない製品が故に、この大豆臭さが許せないって御仁には、下記の様な一工夫は如何でしょうか? 意外にイケます。因みにHISAKOは、旭川のクリニックの待合室にサービスで置いてある、冷た~い水素水で溶かしちゃってます。唯、アスクル!で買った専用の特大のシェイカーを、バーメイド気取りで振り回さないと、ちょっと溶解に難が残ってしまうのですが(笑)。
- シェイカーを使って、牛乳や豆乳とシェイク♪ 顆粒状で大豆レシチン
- 無糖のココアパウダーを少し混ぜて、これ又シェイク♪♪
- コーヒーや、紅茶、緑茶に。ホットでも、アイスでもお好みで、ど~ぞ。品川時代はクリニックの下がエクセだったので、Lサイズのカップに温度高めのMサイズ豆乳ラテを無理買いして、これ又お隣のセブンで貰った割り箸で掻き混ぜる日々でした。
- お味噌汁やスープに入れる。
- 無糖ヨーグルトに混ぜて、きな粉風味?
取扱商品:アミノ9
人体に必要なアミノ酸には、必須アミノ酸と非必須アミノ酸合せて20種類あります。必須アミノ酸とは、体内では合成出来ないので、食べるしか補給の手だてがない代物で、イソロイシン、ロイシン、バリン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、スレオニン、トリプトファン、ヒスチジンです。非必須アミノ酸とは、体内で合成は出来るんですが、なにせ使い道がと~っても多いので、不足するとロクな事がないアミノ酸です。
アミノ9は、この9種類の必須アミノ酸をバランス良く配合した製品です。アミノ酸の摂取には、このバランス感覚が非常に重要です。つまり、一種類のアミノ酸だけを鬼の様に摂取したところで、他の必須アミノ酸が、例えば必要量の60%しか満たしていなければ、60%に下揃え(アミノ酸スコア60)。足並み揃ってナンボの世界なんです。右は、有名な”アミノ酸の桶”の図です。桶の上部に凸凹がなく、平らな程、栄養価が高い蛋白質と評価されます。
食事だけから、アミノ酸スコアの高い蛋白質を摂取するのはなかなか根性?根気?のいる労働(笑)な上に、タンパク質やアミノ酸は、食品を煮るだの焼くだの、ハンペンにしたりソーセージにしたり、つまり加工・調理を加える事でアミノ酸の損壊!が起こり、酵素による消化がスムーズに行われなくなり、栄養価が低下します。更に、ここにストレスや何らかの疾患が加わると、必然的に蛋白質の必要量は増加しますから、どう効率良く蛋白質やアミノ酸を摂取するかが重要な問題となって来る訳です。
前述の様に、「タンパク質が不足している人程、プロテインを摂ると腹が張って、とても飲めた代物じゃない」。この悩ましい問題の解決策が、アミノ9です。結局、吸収されてナンボの世界ですから。
繰り返しますが、食物から摂った蛋白質は、消化酵素によってペプタイド、アミノ酸に分解され、小腸上皮から吸収されます。つまり、蛋白質は、消化酵素がそもそも十分に存在しないと話にもならず、挙句、胃腸の働きや様々な要因により消化吸収が損なわれます。がぁ、アミノ酸は、例え消化酵素が無くても!、小腸でほぼ100%吸収されちゃうんです。
更に、アミノ酸は、蛋白質よりも吸収スピードが早く、吸収率も高い事が明らかにされています。
アミノ9の原料は、発酵法による最高グレードの結晶アミノ酸で、吸収に優れています。実は、うちのクリニックで取り扱っているサプリメントはMSS社の物が多いんですが、MSSの製品の中で、抜群のコスパが高いのが、このアミノ9です。まあ、下世話な話にはなりますが、サプリメント屋さんも商売ですから、当然商品には利益分が加算されて、価格が決まります。唯、このアミノ9は原材料が非常に高いので、製造元の味の素が流石に商品としては成り立たない金額になるからと、自社では販売を見送ったって曰く付きのハイグレード過ぎるアミノ酸。通常の利益率を乗っけると、誰も流石に買えんだろうと、総合的な判断から、利益を殆ど乗せずに販売に踏み切ったんだそうです。それを聞くと、お買い得感が神々しく感じられてしまうサプリメントです。
内容を詳しくアピール致しますと、酸味と共にアミノ酸の吸収・利用・代謝に有用なクエン酸とリンゴ酸を配合しています。これ等の有機酸は、アミノ酸の酸化防止剤としても、水溶性のルチン配糖体と共に配合されています。ウーロン茶エキスは、食事無機鉄成分と結合し、アミノ酸の鉄分による酸化分解を抑制し、効率良く摂取出来ます。殆どのアミノ酸が強い苦みを有し、高含量の顆粒品では摂取が難しくなりますが、無理なく摂れるよう処方されています。個別包装で、外出先でも手軽にお飲みいただけます。
ビタミンA
自然界には、50~60種類のカルチノイドが存在していて、私達の血中には14種類のカルチノイドが認められています。
ビタミンA(美容通信2011年4月号)(美容通信2009年12月号)と聞いただけで、警告音が頭の中に鳴り響く人が多いのではないか知らん。脂溶性であるビタミンAは、大量に摂取すると、肝臓に蓄積し過剰症を起こすと言われています。しかしながら、医薬品に於いて報告されている副作用は、全て合成の!ビタミンAの大量投与によるもので、天然のビタミンAによるものではないのです。クリニックで販売しているビタミンAもそうですが、天然のビタミンAを摂取している限りは、極端な大量摂取は別としても、所謂クリニックで行う栄養療法レベルであれば、何ら問題は起こり得ません。ウナギやレバー、ニンジンetc.には多くのビタミンAが含まれていますが、それらによって過剰症になったなんて話、聞いた事ないでしょう?
ビタミンAは、肝臓を中心に、肺、消化管、リンパ節、膵臓、子宮等に分布する”ビタミンA貯蔵細胞”に蓄えられていて、必要に応じて諸器官に供給されます。余ったビタミンAは、エステル型と言う活性のない形状(体内のビタミンAの80%が相当)に変えられて、イザって時まで、ビタミンA貯蔵細胞の中で待機させられています。
つまり、私達の体は、ビタミンAが必要量だけ活用されるようにコントロールする調節機構を備えているんです。だから、心配すべき事は、寧ろ、不足。日本人の食事摂取基準は、夜盲症を予防する必要最低量レベルでしかなくて、肌荒れや、イボ・魚の目、ニキビ・ニキビ跡、フケ等の皮膚科疾患は勿論、鼻や喉の乾燥、しょっちゅう風邪をひくとか、精巣や胎盤の機能低下、ドライアイ、婦人科系のトラブル、易発癌性等々に対する、何ら効果を期待出来るレベルではないのです。
因みに、1日に摂りたい目安量とされるビタミンA 20000IUとは、ウナギの蒲焼だと400g(4串)、牛レバー550g(焼肉レバーだと10人前)、ニンジン790g(5本)。まあ、VitARなら、たったの2カプセルですけどね(笑)。
取扱商品:VitAR
ビタミンAには、動物性食品に含まれるレチニルエステル、植物性食品には主にβカロチン、魚油中にはレチノールの形で含まれています。VitARは、合成のビタミンAではなく、最も優れた天然成分の魚油、中でも最高の材料であるタラ肝油を、原材料として使用しています。更に、嬉しい事に、他のカロチノイド類も配合されているので、ビタミンAtoの相乗効果が期待出来ちゃうって代物です。勿論、お魚さん由来なので、漏れなく、EPA、DHAが付いて来ます。
ビタミンB
ビタミンB群(美容通信2009年11月号)はあらゆる種類の酵素の補酵素として作用しており、生命活動に欠かす事の出来ない栄養素です。しかし、単独では効果を発揮し難く、相互に作用する為、単独でなく複合(complex)で摂取するのがポイントです。
因みに、1日に摂りたい目安量とされるB1・B6 100mgとは、ビタミンB1だと、豚ヒレ肉10Kg(ヒレカツ100皿)、ウナギ蒲焼13Kg(80串)、たらこ(焼き)13Kg(たらこおにぎり1280個)。ビタミンB6だと、牛レバー11Kg(レバニラ炒め148皿)、マグロ(赤身)12Kg(刺身128人前)、かつお13Kg(刺身139人前)。まあ、NBcompAなら、たったの4カプセルですけどね(笑)。
取扱商品:NBcompA
NBcompAは、B1、B2等の単独のサプリメントよりも、自然の食品に近い複合体です。ビタミンB1、B2、B6、B12、ビオチン、ナイアシン、パントテン酸、葉酸の8種類のビタミンB群が配合されており、相乗効果が期待出来ます。
又、3種類のビタミンB様栄養素(イノシトール、べタイン、L-カルニチン)を強化した製品です。
ビタミンB群は、核酸と結びついて初めて補酵素として機能出来るんです。それ故に、核酸の存在が不可欠なんですが、NBcompAの様に、核酸原料として、高価な最高ランクのサケの白子なんて使っている、ビタミンB製剤やサプリメントにはお目に掛かった事がありません。…高いのには、高いだけの理由があるんです。
ビタミンC
ビタミンCは、強力な抗酸化作用と共に、他の抗酸化物質をリサイクルする(美容通信2009年10月号)働きがあります。特に、ビタミンEに対するリサイクルは有名で、両者の見事な連携プレーで、身体の錆(酸化)を取り除き、様々な疾患の予防、改善へと繋がります。
勿論、ビタミンEの他にも、グルタチオンやβ-カロテンのリサイクルにも関与しています。
こんな人助け精神が旺盛な抗酸化ビタミンのCですが、悲しい事に、現代人は体内で合成が出来ません(美容通信2008年11月号)。2500万年前の人類の祖先は、ビタミンCの合成能力があり、ナント、その量は1日に2~6gにも及んでいたと考えられています。進化と引き換えに、悪魔に魂を売ったとまでは申しませんが、多くの動物は、毎日体が必要とするビタミンCを、せっせと自らの体内で合成しております。体重60Kg換算でですが、ウサギさんは0.~13.5g、マウス君は0.8~16.5g、ワン太郎は0.1~4.9g、にゃんこは0.1~2.4g、産生しております。
因みに、1日に摂りたい目安量とされるビタミンC2000mgとは、赤ピーマン(生食)20個、レモン24個、ニガウリ2.6Kg(ゴーヤチャンプル52人前)。まあ、C1000なら、たったの2本ですけどね(笑)。
取扱商品:C1000
C1000は、ビタミンCの生体内利用効率を高める為、天然ではビタミンCと共に存在するビタミンPの他、6種類のビタミンB群、アミノ酸・微量ミネラルを含む乳酵母を加えた、高容量の複合ビタミンC製剤です。ついでに宣伝文句を加えときますと、各栄養素の経時的酸化防止の為、ローズマリー抽出物、フマール酸が配合されています。セルロースは、造粒後の乾燥スピードアップと吸湿防止に役立ちます。食事ショ糖の血糖上昇を抑える為、プルラン(多糖類食物繊維)が配合されています。
ビタミンD
ビタミンD(美容通信2013年3月号)は、日本人には不足しているビタミンの一つとされています。欧米に比して、ビタミンD強化食品が少ない、紫外線暴露時間が短い等の理由が考えられています。血中25-(OH)D3濃度を測定している多くのクリニックでは、初診時の95%以上が低値(<30ng/ml)だったと言う、非公式の報告すらあります。
因みに、1日に摂りたい目安量とされるビタミンD 4800IU(120μg)とは、干し椎茸(天日干し)700g(大140個)、焼き鮭300g(3人前)、鰻蒲焼630g(4串)。まあ、ビタミンD3+5000なら、1カプセルですけどね。
取扱商品:D3+5000
ビタミンD3(動物由来)は、肝臓で代謝される事により、半減期が15日間と長い25-(OH)VDとなります。処方薬で用いられている1,25-(OH)2VDの前駆体です。本製品のビタミンD3は、羊毛抽出とタラ肝油からの精製魚油を基に配合しています。又、成分を酸化から保護するビタミンE、βカロテン、αカロテンと共にEPA、DHAを配合しています。
一粒で5000IUのビタミンD3が摂取出来る高容量商品で、短期間で血中濃度を上げる必要がある時には、従来のD3+(1200IU)よりも便利ですし、何と言ってもカプセルのサイズが同じで、D3+を4粒/日飲んでた時代を思うと…、あにはからんや。
ビタミンE
細胞膜の主成分である不飽和脂肪酸は、過酸化脂質になり易い欠点があります。天然のビタミンEは脂溶性の為、細胞膜内に入り込み、酸化を防ぎながら、膜の流動性を維持します。この作用は天然ビタミンEだけの特権!で、”所謂、お薬で使われる合成ビタミンEに、抗酸化作用を求める事自体が、NG”と、断言してもし過ぎじゃないのが恐ろしい(笑)。
え? 細胞膜の流動性って何だぁ? 細胞膜は、主にリン脂質(親水性と疎水性両方の特性を持つ複合脂質)と蛋白質で構成されています。細胞膜の流動性とは、蛋白質が膜間を動き回る事。因みに、細胞膜の役割とは、①物質の移動や情報の伝達を仲介、②選択的透過性を持ち、代謝や生合成に関与、③異物の排除です。
E100
自然界に存在するビタミンEは、4種類のトコフェロールと4種類のトコトリエノールの複合体で、夫々α・β・γ・σの同族体が含まれています。強い抗酸化作用が期待出来るのは、これら全ての種類を含んだ天然ビタミンEです。ビタミンEのサプリメントには、当然ですが、天然由来と合成物があります。天然由来のものはd-α-トコフェノール、合成のものはdl-α-トコフェノールと表記され、必ず区別されます。
ミネラル類
鉄
鉄(美容通信2009年12月号)(美容通信2013年11月号)には、ヘム鉄と非ヘム鉄があります。
ヘム鉄は、蛋白質と結合した鉄。つまり、有機鉄で、動物性食品に含まれる鉄です。吸収が良く(10~30%)、副作用が無いのが特徴です。
これに対し、非ヘム鉄は、蛋白質と結合しない鉄。つまり、無機鉄で、植物性食品に含まれる鉄です。吸収が5%以下と悪いんです。だから、病院から非ヘム鉄を処方されている時は、鉄の吸収を阻害しちゃうので、食後のコーヒーやお茶なんてもっての外です。少なくても、2時間は開けてもらわないと、ね。胃の不快感や吐き気…嬉しくない副作用が、必発とまでは言わないけど…出る。
因みに、1日に摂りたい目安量とされる鉄24mgとは、鶏レバー300g(1本100g×3本)、かつお(春獲り)1300g(一皿100g×13皿)、ほうれん草(無機鉄)1200g(一皿100g×12皿)。まあ、ヘム鉄6+なら、4カプセルですけどね。
ヘム鉄6+
ヘム鉄6+は、酵母由来のミネラルを含まず、吸収効率の良いヘム鉄を6mgも!配合した、ヘム鉄サプリメントです。プロトポルフィリン合成(ヘム合成)に必須のグリシンと亜鉛、更には、鉄の吸収に不可欠な銅が配合されています。つまり、最高のコスパと有益な体内代謝を考え尽くした決定版!と、サプリメント屋さんが自画自賛状態(笑)のヘム鉄サプリメントです。
左図は、小腸上皮絨毛細胞に於ける鉄吸収を表わした図です。銅は、ヘファスチン、セルロプラスミンの構成に関与します。小腸上皮絨毛細胞に於いて吸収された鉄が、トランスフェリンと結合する際に働きます。
ヘムは、8つの段階の反応を経て生合成されます。その反応のスタートである第一段階の反応が、右図になります。ポルフィリンとヘムの生合成の律速酵素は、アミノレブリン酸シンターゼで、基質はグリシンとスクシニルCoAです。この段階の反応で、アミノレブリン酸を生成し、次の段階に進みます。第一段階のこの反応には、亜鉛も必要です。
亜鉛
亜鉛(美容通信2011年4月号)は、あらゆるクラスの酵素の反応に関与しています。70種類以上の酵素の活性中心であり、亜鉛と何らかの関係を持つ酵素は200以上に及びます。遺伝子の転写、ホルモンの安定化と分泌、酵素蛋白質の高次構造の安定化、プロしたグランディンの代謝と反応性、細胞膜の安定性、免疫ネットワーク等に関与しています。
因みに、1日に摂りたい目安量とされる亜鉛60mgとは、牡蠣28個、和牛肩赤身1Kg(ステーキ6人前)、食べる煮干し900匹。まあ、亜鉛のサプリなら、4粒ですけどね。唯、インスタントやファーストフード、レトルト食品や清涼飲料水等が多いと、中々摂取出来ませんけどね。
- 亜鉛
亜鉛をベースに、酵素ラジカル消去酵素群の補酵素として、必須の微量ミネラルを組み合わせた製品です。亜鉛塩、銅塩、マンガン塩、セレン塩を、各々タンク富化培養して得られたビール酵母を原料としています。ミネラル・アミノ酸残基キレート結合の為、無機微量ミネラル塩に比べ、胃腸に優しく、吸収性に優れ、食事性吸収妨害因子の影響を受けません。又、クエン酸により食事ミネラルの吸収アップを図っています。
機能性食品
コンドロイチン硫酸
結合組織の主要構成成分であり、蛋白質と結合したコンドロムコ蛋白質として、軟骨、皮膚、血管、靭帯、粘膜等に広く分布する成分です。
- コンドロイチンG
鮫軟骨抽出物とグルコサミンを配合。副原料を一切使用せずにカプセルに充填し、安定化をしています。
CoQ10
CoQ10(美容通信2010年10月号)は生体内で作られ、ミトコンドリアや細胞膜等に広く存在する補酵素です。エネルギー産生と抗酸化作用が主な働きで、ミトコンドリアが多くある組織(心臓、肝臓、骨格筋等)での需要が高い事が知られています。それ故に、ダイエットの友(美容通信2010年3月号)と広く認識されていますが、爺婆化に伴って減少する為、酸化ストレスが激しい現代人にとって、どうしても不足しがちな栄養素です。
特に、血中コレステロールの値を下げる!と称して、日本では極々当たり前に処方されてしまうスタチン系薬剤、例えば、プラバスタチン(商品名メバロチン他)、シンバスタチン(商品名リポバス他)、フルバスタチン(商品名ローコール他)、アトルバスタチン(商品名リピトール、カデュエット)、ピタバスタチン(商品名リバロ)、ロスバスタチン(商品名クレストール)を服用している方は、要注意! これらのお薬は、CoQ10の生合成を阻害してしまうからです。
CoQ10は、アセチルCoAを出発点とするコレステロール合成系にある中間代謝産物であるメバロン酸を基質として生合成されています。スタチン系薬剤は、HMG-CoA還元酵素を阻害する為、コレステロールだけじゃなくて、とばっちり的にCoQ10の合成も阻害しちゃうんです。メバロン酸は、ターゲットであるコレステロール以外にも、CoQ10だけでなく、Ras蛋白質、Rho蛋白質の基質でもあり、細胞骨格の維持やアポトーシスに関係する事から、スタチン系の薬剤はねぇ、ちょっとと言うより、可なり野蛮。力任せ感が、超お下品なんて、陰口を叩かれるんです。生体のホメオスタシスに大きな支障を及ぼしかねません。
- CoQ10
サプリメント「CoQ10]は、世界最大のシェアを持つトップメーカー、(株)カネカのCoQ10!を使用しています。発酵により抽出された酵母抽出物で、自然に存在する成分と同じトランス体です。更に、ミセル化により、体内への吸収効率を高めました。ですから、消化吸収力が低下していても、大丈夫♪
オマケに、α-リノレン酸が豊富なシソ油を組み合わせてます。
うなはだけ
うなはだけ? 聞いた事ないキノコの名前だが、そ奴は喰えるのか?と、早合点する人がいるかも知れませんが、これはちゃんと皮膚科の教科書にも記載されている、健康な皮膚の条件。
う⇒潤いがある肌
な⇒滑らかな肌
は⇒ハリのある肌
だ⇒弾力のある肌
け⇒血色が良い肌
これらを全て兼ね備えた皮膚が、健康な皮膚の称号を得る事が出来るんですが、これは中々至難の業です。赤ちゃんの、あの独特のプルツル肌がうなはだけの条件を満たした肌の見本だよ~んと、昔はこの一言で患者さんもバッチリ理解してもらえたんですが…、最近は、生まれながらにお肌ボロボロの悪見本みたいな赤ちゃんが急増中。体内環境の悪いお母さんのお腹でも、生を受けた以上、嫌でもその環境下で育たざる得なかった…。赤ちゃんはお母さんの栄養状態を選べませんからね。可哀想と言えば可哀相ですが、せめて後追いでも、バランスの取れた母乳で、起死回生を図って欲しいと願うばかりです。
話は脱線しちゃいましたが、私達、現代人のお肌は受難時代。環境破壊、食物の栄養価の低下、食物添加物、ストレス社会、生活習慣の乱れ等、人間の健康を損なう要素が加速度的に増大し、引き摺られる様に皮膚の状態も悪化します。つまり、肌質に合わせて洗顔料をセレクトするのは当たり前っちゃあ、当たり前ですが、でも人の在り方って観点から考えると、今時の草食系男子って、石を投げれば脂ギッシュでギトついてた童貞に当たると揶揄された一昔前を思うと、明らかに皮脂分泌は低下しています。皮脂も、外界から身を守る為の立派なバリアですからね。砂糖菓子の様な脆い皮膚をそのままに肯定して、洗顔料を選ぶのも大切な作業です。ですがぁ、そもそもの肌質の劣化の根本的な原因を正す事を、今一度考え直すべきなんじゃないでしょうかねぇ、にゃんにゃん。
皮膚の構造と機能
皮膚の細胞は、約28日間で生まれ変わります。爺婆化すれば、ターンオーバー期間はどんどん遅くなってしまいますし、反対に、乾燥や紫外線等、ロクでもない刺激を受けると、巻きが入っちゃいます。つまり、ダメージからいち早く脱却しようと、産めよ増やせよではありませんが、表皮細胞の分裂がモ~レツに盛んになり、未熟な出来損ないの細胞ばっかりが溢れてしまう状況に陥いります。正常な角化サイクルへと箍を嵌める存在が、ビタミンA(美容通信2011年4月号)であり、ビタミンD(美容通信2013年3月号)です。
ビタミンDによる分化誘導作用
角質細胞には、ビタミンD受容体が存在します。
右図を見て下さい。1α,24水酸化酵素は、チトクロームP450酵素なので、鉄が欠乏していると、幾らビタミンDだけをせっせと補充しても、活性は低いまんまなんですよ~ん。つまり、値は上がらないって事! だから、採血の際には、併せてフェリチンの値も調べないと、片手落ちになっちゃうってお話です。
皮膚の異常角化は、ニキビ(美容通信2003年11月号)やアトピー性皮膚炎(美容通信2007年4月号)、乾癬(美容通信2008年4月号)、掌蹠膿疱症(美容通信2006年5月号)の原因?と言うか…症状増悪を招きます。粘膜の異常角化は、分泌腺の委縮、延いてはバイ菌に対する防御力の低下から、易感染性にも繋がります。
ビタミンAと何とか
ニキビには、毛穴が角栓で塞がれてしまった挙句の惨事で、端的に言えば、角化異常による病気です。ビタミンDだけでなく、角化異常に大きく作用するのが、ビタミンAです。
- ビタミンAと蛋白質
ビタミンAは、前述の通り、血液中では、RBP(レチノール結合蛋白)と1:1で結合して運ばれます。ですから、ビタミンAだけをサプリメントで大量に摂取したところで、蛋白質の欠乏状態が改善されていなければ、猫に小判。豚に真珠。
因みに、RBPは、半減期が0.4~0.7日と非常に短いので、肝機能、栄養状態の良い指標になります。
- ビタミンAと亜鉛
肝臓、正しくは肝臓以外の粘膜なんかの臓器もそうなんですが、ビタミンAの血中への動員には亜鉛が必要なんです。そもそもの前提を司るものが、亜鉛の存在なんです。
胎児期に於ける亜鉛の貯蔵は、鉄や銅の様に十分ではないので、出生後の成長発育に必要な亜鉛は、母乳から如何にちゃんと摂取出来たかによって左右されます。亜鉛の急性欠乏状態の際には、皮膚症状が主体となって出現し、ジクジクする様な乳児湿疹を呈します。反対に、慢性欠乏だと、皮膚は乾燥したガザガザとなり、成長にも何らかの障害を招く恐れがあります。
まあ、これに附随する話ですが、上記の様な湿疹・皮膚炎の類いの時に、病院で当たり前のように処方されるのが、皆さんご存知のステロイドです。ところが、ステロイドホルモンは、亜鉛の排出を促進します。つまり。亜鉛の不足が湿疹・皮膚炎を惹起し、それに対しステロイドホルモン治療を行う事を余儀なくされ、それが又、亜鉛不足に拍車を掛ける。まあ、悪循環の典型みたいな話ですが、現実です。しかしながら、ステロイドを使わず、痩せ我慢をする事も、ストレスが一層の亜鉛の排出を高める事実を鑑みると…、決して望ましい選択とは言えませんよね? 上手く亜鉛を補給しながら、薬漬け生活からの離脱を計りましょう。
皮膚は免疫の最前線
昔、美容通信(美容通信2014年12月号)で、「老人性色素斑だとか脂漏性角化症の類(SK)は、やっぱ色白のドライスキンタイプに多いんですが、どうも髪の毛も乏しいタイプが犠牲になり易いと、昔から形成外科医の間では根拠がないけど、実は皆が思っている事として有名です。」なんて書きましたが、実は良く考えれば根拠がない話でも何でもなくて、乾燥肌の人がシミ、シワになり易いのは、単に皮膚のバリア機能が脆弱だから。当然ちゃあ当然の話だし、髪の毛だって、構成する蛋白質や亜鉛、ビタミンAや鉄等の、栄養素が不足していれば、髪は皮膚の付属器ですからね。皮膚よりも重要性が低い格付けである以上、当然乏しくだってなります。
上図の如く、角質層・表皮を、外部からの刺激(アレルゲン、微生物、紫外線)から保護する為に、超然とバリア機能としての任務を果たしているにも拘らず、心無い脂取り紙愛好者から忌み嫌われるのが、皮脂膜です。
- 外界からの侵入を防ぐバリア
- 体内から水分・電解質の喪失を防ぐバリア
- 殺菌力(弱酸性)
- 油中水型(W/O型)⇔水中油型(O/W型)
- 水分量を一定に保っている
NMFと細胞間脂質のバランスが保たれていると、潤いのある肌を維持出来ますが、NMFが不足していると、角質細が乱れ、肌は乾いててかっさかさになっちゃいます。まあ、尤も、しっかり保湿が外側からなされていれば、皮脂をフル回転で分泌してカバーしようと自助努力で足掻きまくりますが、それにも限界がありまして、酷くなると…燃え尽き症候群ではありませんが、脂すら出なくなってしまいます(泪)。
スタチン系薬剤の功罪? 否、単なる作用機序なんだが…。
細胞間脂質の組成は、以下の通り。
- セラミド 50%
- コレステロールエステル 10%
- 遊離脂肪酸 20%
- 糖脂質 5%
- コレステロール 15%
バリア機能として、水分保持と外来異物の侵入を防ぐのが、この細胞間脂質のお仕事なんですが、大事なのはその原材料。コレステロールなんです。人間、どうしても爺婆化するにつれ、コレステロールの値が上がるのが、まあ、宿命みたいなもの。内科の町医者も、そうじゃない町医者も、”爺婆を見たら、「ルーチンでコレステロールを下げる薬(スタチン系)を処方せよ!」って、厚生労働省から指導されてるんじゃね~か?”って思わず疑ちゃう位に処方されちゃってるのが、昨今の日本の医療の現実。こうなると、ますます爺婆の、乾燥肌に拍車が掛かっちゃうんだけど…ねぇ。
CoQ10のサプリメントの解説の所でも述べましたが、スタチン系の薬剤の作用機序上、避けて通る事は出来ないんですが、コレステロールと同時に、CoQ10の合成にも影響を及ぼします。CoQ10は、御存じの様に、単に爺婆化するだけで、50歳を過ぎたらメキメキ減るものですから、これにスタチン系薬剤を重ねられちゃうと、どんだけ~下がっちまうのかと、激しい不安に駆られます。
復習にもなっちゃうけど、CoQ10の2大作用は、①エネルギーの産生と、②抗酸化作用。前者は、蛋白質、脂質、糖質の代謝に関与し、身体の活動に必要なエネルギーを産生したり、体の細胞の機能をヨイショしたり、基礎代謝低下、つまりは小っちゃく消費型(エコモード!)してデブってしまった見苦しい体を改善したり、免疫力のUPに繋がります。皮膚的には、新陳代謝が活発になり、ハリ、ツヤが出て来ます。後者は、活性酸素による酸化を防ぎ、爺婆化を阻止。お肌のシワやたるみ、くすみ、乾燥肌etc.の残念な見掛け(笑)の改善だけでなく、心臓や脳みそ等の臓器を若々しく保ってくれる働きがあります。
アトピー性皮膚炎は、バリア機能異常
皮膚のバリア機能の維持には、細胞間脂質は必要不可欠っですが、アトピーっ子には、元々セラミド量の異常があります。そうなると、その欠点を補うべく、何を為すべきか?って、命題が浮かび上がって来ます。
異常細菌叢を正常化させ、皮膚の炎症を鎮静化させる為の新しい治療戦略、つまり、バリア機能の強化と、腸内細菌叢の改善がこれに当たりますが、これらは、殆ど神頼みならぬステロイド剤頼みで炎症抑制を図っている、昨今のアトピー性皮膚炎の治療方法を、大きく変わる可能性を秘めています。
T細胞の分化・成熟を、つまりTh0からTh1(細胞性免疫[NK細胞]⇒自己免疫疾患)、若しくはTh2(液性免疫[抗体産生]⇒アレルギー性疾患)への分化誘導を司っているのが、実は、ビタミンAとビタミンDと、そして腸内細菌叢(美容通信2014年1月号)なのです。
そもそも、皮膚の材料が枯渇してはいないのか?
蛋白質は、1.2~1.5/g/日・体重Kgが必要(前述の通り!)で、且つその2/3は動物性の蛋白質である事が重要です。大豆じゃ駄目かって? 駄目です。何故ならば、耳の穴を良~く掻っ穿って聞いて欲しいんですが、皮膚を初め、皮膚の付属器たる毛や爪の主成分はケラチンであり、ケラチンは硫黄を含む蛋白質です。硫黄は、動物性蛋白質にしか含まれてないんです。巻き爪(美容通信2008年12月号)(美容通信2014年6月号)やペランぺランの爪の持ち主は、先ず、ここから正さないと、何時まで経っても終わりは来ません。
だから、食物アレルギーのある患者さんにとって、巨大な分子量を有する蛋白質の消化吸収は物凄く苦手。刻み食じゃないけれど、予め細かく砕かれた状態のペプタイドやアミノ酸(特にグルタミン)の方がお勧めです。場合によっては、消化酵素を追加するなんて裏技も必要かな。これだけでも、意外に、腸の下痢・便秘に効果的なんですよ、ホント♪
皮膚の主要成分のひとつであるコラーゲン
プロリン、リジン水酸化酵素は、補因子としてビタミンCが必要ですし、水酸化酵素の中心には鉄がいなければなりません。更には、生理的な架橋産生には、左図の如く、ビタミンB6と銅が必要で、これにより、しなやかな弾性を有したコラーゲン組織になれるのです。
つまり、世の中にはサプリメントがゴロゴロと玉石混淆しております。所謂、明らかな銅の欠乏レベルは非常に少ないんですが、凄く少ない程度は、まあそこそこいるんです。銅も、曲りなりには2価のミネラルのお仲間なので、他の鉄や亜鉛と同じトラックに乗って運搬されるんですが、トラックの荷台のサイズは決まっていますから、サプリメントを単独で、「やれ、鉄だ!」「亜鉛だ!」ってガバガバ飲んでいると、銅は荷台に乗り損ねて運ばれないなんて笑えない悲劇も。色んなミネラルが含有した鉄剤の方が、望ましいサプリと言われる所以です。
唯、鉄と皮膚は非常に密接な関係にあります。以下の様な症状を見掛けたら、すぐ鉄欠乏を思い出して欲しいかな。
- 皮膚や粘膜の萎縮と機能低下
- コラーゲン形成不全によるシワ、乾燥しやすい。
- ハリ、弾力性、透明感が失われる。
- 細胞性免疫や殺菌能が低下する事で、皮膚や粘膜が感染を受けやすい。
- ビタミンD活性化の低下による分化異常。
ビタミンB群
ビタミンB6は、皮膚科のビタミンとして大昔から有名ですよね。ビタミンB群の欠乏で、皮膚や粘膜は影響を受けます。例えば、
- B2、B6欠乏⇒脂漏性湿疹(美容通信2004年9月号)
- パントテン酸欠乏⇒乾性皮膚(美容通信2003年12月号)
- ナイアシン欠乏⇒ペラグラ
- ビタミンB12、葉酸欠乏⇒色素沈着
- ビオチン⇒脂漏性皮膚炎、アトピー性皮膚炎(美容通信2007年3月号)(美容通信2007年4月号)
動物性食品に多く含まれ、吸収率も良いのですが、本格派から、近頃何故かメキメキ台頭している謎のエセ・ヴェジタリアン族(←殺生界を犯すな!って、骨太の主張でもないらしい…。単に、身体に良さそげなクリーンなイメージ?)まで、ビタミンB群の欠乏が懸念されています。俺様のビタミンB群は?と不安を覚えたら、血を摂って調べれば、一発で分ります。GOT>GPTは、ビタミンB6欠乏!と断定しても、全く問題はありませんからね。
皮膚の保湿
コンドロイチン硫酸(結合組織)が水分を取り込む事によって、真皮の保湿が保たれます。
食べた栄養素は結合組織に貯蔵され、需要に応じて、結合水の中にぷかぷか浮いている細胞に、取り込まれ、利用されます。従って、結合組織が減少すると、トータルな栄養欠損を招き、延いては皮膚の老化と繋がって…萎みます。
紫外線は、お肌の大敵
ウンザリする程に、毎度毎度のお話ですが、紫外線はお肌の大敵です(美容通信2003年7月号)(美容通信2003年8月号)。特に、春から増加する紫外線は、肌を乾燥させ、シミ・シワやソバカス、肌荒れ等の原因となります。
光老化しちまった皮膚の特徴を列挙します。皮膚の老化原因の8割を占めるのが、この紫外線による光老化って事は…、年相応で仕方ないよねの部分は、2割しかないって意味でもあるんです。
- 表皮は肥厚して、メラノサイトの数が増え、ランゲルハンス細胞って名の地球防衛軍の数が減ります。
- 真皮のコラーゲン線維は減少、エラスチン線維は変性して増加します(美容通信2004年4月号)。毛細血管の数は減り、リンパ管は殆ど消失しちゃいます。
紫外線のうち、光老化の大いなる原因とされるのが、UVAとUVBです。
UVAは、太陽紫外線の9割を占め、エネルギーは小さいが、深達度が深いのが特徴です。シワタルミの原因になります。日焼け止めの防御力はPAで表示され、レベルにより+~+++があります。
UVBは、エネルギーが強く、皮膚に与えるダメージが大きいのが特徴です。シミや皮膚癌の大きな原因になります。日焼け止めの防御力はSPFで表示され、レベルにより1~50+があります。
唯、日焼け止めだけで、完全な遮光が可能かと問われると‥、実際問題として、不可能です。規定量である2mg/cm2を塗った日には、殆ど塗り壁状態です。恥ずかしくて、外を歩けたものじゃありません。それに、汗を掻けば崩れるし、ハンカチで汗を拭えば剥げ落ちる(笑)。塗って防御プラス中からの抗酸化アプローチが重要になって来ます。この代表格が、飲む日焼け止め”ヘリオケア”(美容通信2012年10月号)です。
抗酸化アプローチ
ビタミンAとビタミンD
ビタミンAとビタミンDは、光老化の修復促進に必須であり、コラーゲン合成と貯留を促進します。平たく言えば、分化正常化は、皮膚の水分力を高め、皮膚の肥厚やシワの改善が期待出来るって事です。
植物由来のカロチノイド(天然の色鮮やかな色素成分)の一種であるβ-カロチンは、ビタミンA活性を持ち、レチノールの前駆体なので、プロビタミンAとも呼ばれています。ビタミンAとカロチノイドを複合体として摂取すると、ビタミンAの作用が相乗的にUPします。UVBは、私達の体の中で消去する手段がないとされている一重項酸素を発生し易いのですが、カロチノイドは、この一重項酸素を消去します。それ故に、光過敏症の治療効果が認められてるんです。
ビタミンCは、美容の味方
列挙すると、こんな所でしょうか。
- チロシンからメラニンが産生されるのを、力づくで阻止してくれます。
- 濃色メラニンを淡色メラニンに還元→シミ、そばかす、日焼けの予防・改善
- コラーゲンの合成を助け、分解を抑制→シワの予防・改善、肌のハリを保つ
ビタミンE欠乏
ビタミンEは、皮膚の小動脈を広げて、血液循環を改善する事で、老化に歯止めを掛けてくれるんです。だから、尋常性乾癬や、アトピー性皮膚炎、肝斑の治療にも使われるんですね。
皮膚は内蔵の鏡
消化管は、内なる外なんて有名な言葉があります。消化管は、口からおケツの穴まで繋がる竹輪みたいな中腔臓器で、体表の皮膚が折り畳まれながら体内を貫通しています。発生学的にも、構造的にも、消化管の粘膜は皮膚の延長線上にあり、そして、皮膚も粘膜も、外来異物の侵入・攻撃から生体を守る免疫の最前線と言えます。
口腔と皮膚疾患
お口の中の環境と、掌蹠膿疱症(美容通信2006年5月号)や蕁麻疹(美容通信2006年4月号)、アトピー性皮膚炎(美容通信2007年4月号)等の皮膚の病気との関係は昔から知られています。そのメカニズムについては不明の点もありますが、大まかには右図の様な関係が考えられています。
口腔内細菌
口腔内には600~700種類の細菌が棲息しています。最近の遺伝子に基づく分子系統の情報によれば、約19000種類以上もの近縁菌種が口腔内より検出されています。それらの殆どは人畜無害君に分類されますが、極まれに、と言っても6~8種類ですが、不良(病原性)が混じっているとされています。健康な口腔状態では、ストレプトコッカス属が多く分布しています。
口腔粘膜の改善の為には、唾液の分泌も必要です。良く噛んで食べで、早食いを諌めるのは正しい対処法の第一歩ですが、唾液腺をマッサージしてでもって力ずく派も、意外に良い結果を齎してくれます。唯、爺婆になると、唾液に含まれるムチンの主成分であるコンドロイチン硫酸の生合成がそもそも減っている!ので、ここからアプローチせんとあかんなんて話も多々あります。年金の受給を待つ前に、下記の補給を考えましょう。
- 唾液の成分として、コンドロイチン硫酸、グルコサミン
- 唾液腺の石灰化対策として、カルシウム、マグネシウム、ビタミンD、ビタミンK
- 唾液腺の分化正常化として、ビタミンA
- 唾液の分泌促進として、CoQ10
胃腸と皮膚疾患
胃が悪いとロクな事が無い
胃壁から分泌されるペプシン(塩酸+ペプシノーゲン)は、蛋白質を分解します。塩酸は、殺菌作用だけでなく、鉄やカルシウムを吸収し易い状態に加工してくれるなんて働きもあるんです。だから、萎縮胃や、制酸剤服用時、ストレス時には、胃での初期消化が抑制されます。蛋白質の初期消化が遅れれば、腹が張る(腹部膨満)し、胃酸を出せ出せの合図たるカルシウムの他、鉄や、ミネラルの消化不良が、更に悪循環に拍車を掛ける事となります。まあ、アレルギー患者の大多数は、胃の消化機能が低下してるなんて報告もありますし、せっせと消化酵素を併用し、いきなりプロテインなんて消化に労力を有する塊ではなくて、アミノ酸(グルタミン含)やペプタイドから補給をスタートするのがお約束。勿論、ビタミンCの補給も忘れてはいけません。
小腸
小腸は、小学校の理科の時間に習ったように、糖・蛋白質・脂質の消化の場です。食物アレルギー(美容通信2012年9月号)は、そもそも、消化吸収機能の低下により、異種蛋白質が体内に入ってしまった事から始まるので、消化力をUPするだけでも、食物アレルギーは軽減する(美容通信2016年3月号)んですよ。だから、グルタミンやビタミンAや、B群を摂るって事は、アレルギー治療の結果を大きく左右する大事なお話にもなるのです。
ところが、ペプタイドの最終消化は上皮細胞膜上の酵素に依存しているんですが、腸管は皮膚と同じで外界に接しており、常に外来異物による攻撃?侵襲?に晒されているので、フリーラジカルによって、いとも簡単に膜障害を起こしてしまいます。酵素の立体構造も、嬉しくないオマケとして、当然引き摺られて変化してしまいますから、消化吸収も損なわれちゃうんですよね。因みに、近年、胆汁酸が膜酵素活性に関与している事が知られるようになりました。胆汁酸の正常分泌は、脂肪の消化吸収のみならず、蛋白質の最終消化に必須なんだって事なんです、はい。
大腸
大腸内には、約1000兆個もの腸内細菌が存在(美容通信2002年8月号)。病原菌の増殖を抑え、免疫細胞の活動を活性化し、有害物質を排泄する事で、食物アレルギーやアトピー性皮膚炎症状の改善に関与(美容通信2014年1月号)しています。それ故に、プロ及びプレバイオティクス(美容通信2013年8月号)(美容通信2016年2月号)の補給は重要なんです。
肝臓と皮膚疾患
内科さんで慢性肝機能障害と判断されて、肝臓の注射(商品名・ラエンネック。まあ、プラセンタ(美容通信2009年2月号)って奴ですわな、所謂)を注射されていた患者さんが、期待もしていなかったシミが薄くなったり、肌にハリが出たりとかで、あらまあ♪なんて話を良く耳にしますが、肝臓が悪いと、皮膚も当然とばっちりを喰います。
肝臓機能が低下すると、核酸合成も低下します。皮膚の基底細胞の分化や分裂には、核酸が必須ですから、忌々しき事態を招きます。肝機能が改善するその日まで、核酸塩基補給で凌ぐしかないか…。
更には、胆汁合成及び分泌の低下が起こると、脂溶性ビタミンA、D、E,、K等の消化吸収が低下します。そうなると、肝機能が改善するその日まで、ミセル化したサプリメントで凌ぐかって話になっちまいます。
*註:HISAKOの美容通信に記載されている料金(消費税率等を含む)・施術内容等は、あくまでも発行日時点のものです。従って、諸事情により、料金(消費税率等を含む)・施術内容等が変更になっている場合があります。予め、御確認下さい。
※治療の内容によっては、国内未承認医薬品または医療機器を用いて施術を行います。治療に用いる医薬品および機器は当院医師の判断の元、個人輸入手続きを行ったものです。
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来月号の予告
アトピー性皮膚炎等のアレルギー性疾患は勿論、癌や心筋梗塞などの心血管疾患、リウマチ、多発性硬化症、神経性疾患、胃腸性疾患も、慢性の炎症性疾患です。 広く言えば、老化や肝斑なども、慢性の炎症のたまもの! 炎症を科学しましょう。 <ホスホリパーゼA2(PLA2)尿検査とCDPコリン>です。