HISAKOの美容通信2017年9月号
アンチエイジングのための栄養アプローチ
老化は、栄養のバランスが取れていない事に起因する細胞数の減少です。私達は、年を取るにつれて、代謝活動や消化機能の衰えを補ったり、薬の服用で栄養素が激減してしまった状態から回復する為に、若者以上に多くの栄養素を必要とします。アンチエイジングの為の(老化防止の為!の)栄養療法は、全ての老化と慢性疾患に対する、サプリメントを含む、食べ物の摂り方と食べ方(食事)について解説しています。食材を変えると、食べ方を変えると、どれくらいで健康になるのか、そのスピードには個人差があります。しかし、それを抜きにして、アンチエイジングのいかなる治療も成り立ちません。
世界に類をみない高齢化社会へと一気に突き進む日本。私達の医療サービスの需要の大半は、高齢者医療と殆ど同義語。実際、2016年6月17日、自民党支部大会の講演中、麻生太郎財務大臣の失言は、まだ記憶に新しいのではないのでしょうか。「90歳にもなって『老後が心配』と言っている人がテレビに出ていた。『いつまで生きているつもりだ』と思いながら見ていた」と言うものでしたね。この発言は、「高齢者への配慮に欠ける発言だ」だとして「麻生氏、失言」と言う見出しをもって、各種メディアから散々叩かれました。しかしながら講演の内容自体は、高齢者に対して経済を回す事を訴えた上で、麻生財務大臣自身も「後期高齢者だ」と語る、まあ麻生流ブラックジョークでしかなく、単に何時ものマスコミの印象操作(笑)だったようですが…。しかし、臓器の加齢変化と生活習慣病の合併症(癌を含む)が、高齢期に集中して起こるのも事実。高齢者としては、転ばぬ先の杖として、更なる老後の(経済的)備えを考えたい気持ちも分かりますが、本当に必要なのは「アンチエイジング医学としての備え」と、麻生さんには是非言って欲しかったなと言うのが、多くのアンチエイジングに携わる医師の本音でしょう。
今月号は、<老化防止のための栄養アプローチ(食べ物/食事方法)>です。つまり、加齢(老化)によって何が起こり、それを改善する為に、どんな栄養アプローチをしたら良いか。まあ、平たく言えば、何をどう食べるか(サプリメントも含む)についての特集です。
老化と加齢について
加齢と老化
ここで、先ずは前提からのお話。身体を構成する組織、器官、臓器は、決して一様に?均一に?足並み揃えて?老化するものではありません。タイミングはバラバラです。更には、老化を促進する危険因子、例えば、煙草や感染症等がこれに当たりますが、これ等の危険因子も結構個人差なるものが存在します。ところが、長寿を讃えられる爺婆は、勿論、老化危険因子が少ないのも事実ですが、注目すべき点は、押し並べて、全身が均等にバランス良く!老化しているんですね。って事は、早い段階から、老化に陥りがちな弱点を把握して調和を図り、老化危険因子を如何に是正するかが、アンチエイジング医学の王道とも言えます。
■老化の分類
老化(senescence)と加齢(aging)は、≒として語られることが殆どですが、厳密に言えば、老化は「発育が完成した成熟期以降に起こる機能の衰退」であるのに対し、加齢は「暦上での時間の経過」に過ぎません。つまり老化とは、加齢に伴う機能の低下による、個体の内在する死への一過程を意味します。
加齢(aging=エイジング)や老化現象は、誰しもが経験する事ではありますが、これ等の自然現象と上手に付き合い and 克服(anti-aging=アンチエイジング)する事が、重要なんです。老化は、栄養のバランスが取れていない事に起因する細胞数の減少であり、それにより生体の様々な機能が低下します。そして、様々な活性酸素除去能の低下や免疫能の低下により、様々な疾患を発症します(美容通信2017年4月号)(美容通信2016年11月号)。
■老化のメカニズム
私達の老化速度は、物理的老化と生物学的老化によって規定されます。
- 免疫機能低下~PD-1T細胞の増加
PD-1T細胞は、記憶T細胞からユニークな遺伝子プログラミングによって派生し、加齢によって蓄積されます。重要なポイントは、加齢しても、これ以外のT細胞の機能は損なわれていない!って事なんです。
免疫老化は、従来考えられてきたT細胞集団の全体的機能の劣化によるものではなく、PD-1T細胞の割合の増加によってもたらされるって事なんです。実際、PD-1T細胞を取り除くと、T細胞の機能は全く衰えておらず、PD-1T細胞がT細胞を抑制してただけなんだぁ!って事が判明。って事は、PD-1T細胞再抑制出来れば、少なくても免疫老化は回避出来る!?
- 加齢に伴う生理機能の変化
①臓器の機能低下
臓器重量、神経伝導速度、肺活量、腎糸球体濾過率等。下図を見て戴ければ明らかな様に、先ず腎機能の低下から老化が始まります。つまり、機能の低下を補う為には、「腎臓の血流を確保しなければいけない!」→「そうだ、血圧を上げよう!」と体が考えるのは至極尤もなお話で、勝手に年を取ったから血圧が上がっちまったんではなくて、態々、血圧を上げてるんです。年を取って血圧が上がんない方が、そもそも問題なんですよ、はい。
②細胞の機能低下
細胞数、基礎代謝率、細胞含水量、蛋白質合成能等。恐ろしい事に、80歳の爺婆の細胞の数は、20~30歳の若者達に比べて、2/3に減少してしまってるんです。
③ホルモン分泌の低下
成長ホルモン、テストステロン、エストロゲン、デヒドロエピアンドステロン等。
④免疫機能の異常
胸腺重量低下、キラーT細胞、ヘルパーT細胞活性の低下、自己抗体の増加等。特に、注目すべきは、胸腺や脾臓等の免疫系の臓器の重量がメキメキと減少! こりゃあ、免疫力が落ちて当たり前だわさ。
■老化とその原因説
多細胞生物は、体細胞と生殖細胞からなりますが、組織や臓器を構成しておる体細胞には、夫々固有の寿命があり、年と共に、組織の退行変化、臓器の機能低下が起こります。これを老化現象と言います。
何故この様な老化が起こるのかについては、色んな説が提唱されている事でも明らかな様に、未だ分かっていません。しかし、大きく分けると、プログラム説とエラーカタストロフ説に大別出来ます。前者は、老化のプロセスが老化遺伝子群の発現によって制御され、その結果として寿命が決定されると言う考え方です。後者は、加齢に伴いDNAの転写・翻訳のエラー、生体構成成分の架橋による機能変化、免疫機能の変化、酸化ストレス等が徐々に蓄積し、やがて破綻に至るとする説です。
アンチエイジングと栄養~一般論
繰り返しになりますが、「老化は、栄養のバランスが取れていない事に起因する細胞数の減少」です。私達は、年を取るにつれて、代謝活動や消化機能の衰えを補ったり、薬の服用で栄養素が激減してしまった状態から回復する為に、若者以上に多くの栄養素を必要とします。老人扱いされるとムカつくけど、年を言い訳にしたがるお年頃になったら、そろそろ真剣に栄養を考える時なのかも知れません。これは、爺婆だけでなく、激しく体を動かす人、病人、妊婦、授乳中の母親達についても同様ですが。
食べ物を変えるとどれくらいで健康になるのか、そのスピードには個人差があります。例えば、どれくらいその症状に悩まされてきたかとか、どれくらい食事に気を付けたか、どんな種類や質のサプリメント(美容通信2016年6月号)を飲んだか、食事以外のライフスタイルの改善はどうだったか等々によって、大きく左右されます。しかしどんなに頑張っても、当たり前ですが、効果は直ぐには実感出ません。2~4週間、場合によっては、もっと掛かります。消化機能(腸内環境が改善(美容通信2012年8月号))が修復され、きちんと解毒(デトックス)する(美容通信2017年8月号)には、時間が必要になります。因みに、クリニックでの採血等による栄養状態の評価は、3ヶ月毎です。1ヶ月では、血液データの変動は殆ど認められず、却ってモチベーションが下がると言うか…心が折れちゃう人が多いから(笑)。
アンチエイジングの為の栄養アプローチの5原則を挙げておきましょう。
- 適切な食品を組み合わせて消化器系の不調を整え、(遅延性)食物アレルギーをなくす(美容通信2014年1月号)。
- 栄養価の高い有機食品をなるべく選び、脂っこくて添加物のメガ盛り!な食べ物は避け、解毒のシステムを助けてあげる。
貧弱な土壌で育ったお野菜や果物には、特定の栄養素が不足していたり、殺虫剤や化学肥料で汚染されている可能性があります。食料の生産技術のや保存技術の進歩の代償として、お野菜や果物達が栄養素を失ったとも言えるかも知れません。栄養素の含有量を分析した調査によれば、過去50年間で、平均22%の減少が認められ、スーパーで売られているオレンジの中には、全くビタミンCが含まれていない物もあったんだとか! イギリスで数万人を対象にした調査によれば、7割以上の人が、ビタミンB群の摂取量が基準以下、若しくは著しい不足状態だったそうです。1992年と、大昔に施行された調査でさえ、典型的なアメリカ式の食事では十分なビタミン摂取不可!ってデータでしたから、2017年の今現在は推して知るべし。ちょっと以上に、知るのが怖いですが(笑)。
お肉や乳製品等は、汚染された餌を食べていたり、抗生物質や成長促進剤の様な薬漬けの畜生だったかも知れません。海のお魚と言えど、大型になればなるほど、食物連鎖の上位に位置するものは、濃縮汚染(美容通信2006年11月号)されています。由緒正しいものだけを、それが出来なければ、お野菜や果物についてはせめて良く洗うとかで、化学物質の負荷を減らすしかありません。
食品の大量加工、例えば、小麦粉を精製するだけで、その食物としての栄養素の質はぐ~んと下がります。食物繊維やミネラルが精製と言う名の下で取り除かれてしまいます。これ等の栄養素がないと、デンプン質の多い食べ物をエネルギーへと変換が難しくなってしまいます。
- 自国の文化に根付いた伝統的な食品をバランス良く食べる。
比較的新しい蛋白質に対しては、きちんとアミノ酸まで代謝する能力(消化酵素)が欠けている事が多く、十分にアミノ酸まで分解出来ない事が、そもそもの遅延性フードアレルギーの切っ掛け(美容通信2016年9月号)ですから、リスク回避って意味では重要。ジョコビッチ選手を見れば、つくづく理解出来ちゃいます。唯、その食品が基本栄養素をバランス良く含み、化学物質に汚染されていなければの話ですけど、ね。
因みに、平安時代の食べ物事情は、主食はお米。勿論貴族は白米ですが、一般庶民だと、麦類やアワ・キビ等の雑穀が基本で、腹持ちを良くするためにお粥にしてかさ増ししていたんだとか。麺類も平安時代に遣唐使によって伝来しました。唐食と呼ばれるものの中には、麦を使った麺料理もあったようです。主菜としては、イワシやアユ等の魚介類ですが、時々、ヤマドリやハトといった鳥類から、クマやアザラシ(!)、イノシシといった獣類も食卓に上がっていたんだとか。
- 腸内細菌のバランスを整え(美容通信2013年8月号)て、体に欠かせないミネラルやビタミン、アミノ酸、必須脂肪酸等の吸収力をUPさせる。
例えば、胃の酸性度が下がると、食物、特に蛋白質の分解が十分行われず、消化酵素が小腸で適切に作用しなくなります。そうなると、デカい塊のまま腸管を刺激したり、消化物の吸収を妨げたり、腸内の”悪玉菌”の活動を活発化させたりと、ロクでもない負の連鎖が立て続けに起こり、結果的には、体全体の活力が低下して代謝も下がり、様々な機能不全へと発展します。、
- サプリメントを上手に使って、弱ったり負担が掛かり過ぎている臓器をサポート。
バランスのとれた食事とは?
体のアシドーシス(酸化状態)やそれに伴う不調を改善する為には、私達は毎日、炭水化物と蛋白質と必須脂肪酸をバランス良く摂り、アルカリ性食品と中性食品を合わせて8割程度とし、酸性食品を残りの2割に抑えるのが望ましいとされています。
アルカリ性食品 | 果物全般(但し、クランベリー、プラム、プルーンを除く)、木の実(アーモンドとブラジルナッツ)、野菜全般(ジャガイモを含む)、海藻、キノコ類、もやし、豆類(大豆、小豆、インゲン豆)、豆腐、アワとキビ、牛乳、卵白、糖蜜、たまり醤油、味噌、塩、コーヒー |
中性食品 | ヨーグルト、バター、マーガリン、種子類(ゴマ、カボチャ、亜麻仁、ヒマワリ)、チーズの一部、紅茶 |
酸性食品 | 穀類全般(小麦粉、ライ麦、大麦、オート麦、米、トウモロコシ)、ソバ、オリーブ、ピーナッツ、そら豆、ヒラ豆、ヒヨコ豆、クランベリー、プラム、プルーン、アルコール、肉類全般(牛、豚、鶏、羊、ベーコン、レバー)、魚介類、卵(全卵又は卵黄)、砂糖(精製糖)と蜂蜜、くるみ |
■食品ピラミッド プログラム
右下図が、食事をバランス良く摂る為の、大まかなガイドラインを表した図になります。
- 炭水化物
ピラミッドの底辺を構成する基礎食品群で、お野菜や果物、全粒穀物(精製されていない!穀物)等で、一番大きなウェイトを占めています。カロリー摂取量の4割程度が理想です。注意して欲しい事は、この中には決して、精製された炭水化物(白いパンや精製された糖、砂糖を多く使用したケーキやクッキー、菓子パン等)は含まれていないと言う事です。これ等は、血中の蛋白質等と反応し、最終糖化産物(AGEs)(美容通信2015年10月号)となり、内分泌系や免疫系、神経系の機能を損なう有害物質で、代謝活動を阻害します。
更には、急激な血糖値の上昇を避ける為に、穀類(全粒小麦、ライ麦、オート麦、大麦、米、ヒエ、アワ、トウモロコシ)やデンプン質の多いお野菜(ジャガイモ、サトウニンジン、トウモロコシ、ソラマメ)は控えめに食べて下さい(美容通信2011年4月号)(美容通信2014年3月号)。ジョコビッチ選手みたいにグルテンアレルギーの人は、お米やトウモロコシ、ヒエ、アワ、タピオカ、ソバ等のグルテンの含まれていない物を選んで下さいね。
- 蛋白質
ピラミッドの中間層を占める食品群。3割程度が理想です。重要度中に記載すると、脂の乗ったお魚や赤身のお肉、豆腐、ヒラ豆、インゲン豆、種子、木の実、牛乳、チーズ、卵ですが、偏らずに幅広くがお約束です。HISAKOの様な肉食獣なら、動物性と植物性が同等位になる様に気を付けて下さい。勿論、酸性食品だけでなく、豆腐やアーモンド、ブラジルナッツ、種子、豆類等のアルカリ性や中性食品のバランスも大事です。
因みに、Wikipediaから、ブラジルナッツについて抜粋。ブラジルナッツの種子は、マカダミアナッツと同じくバターの様に濃厚な味で、先住民により古くから食用にされてきました。成熟した実の長さは、2.5cmに及び、ナッツ類の中では特に大きく、アーモンドの2倍の重さ。カロリーも豊富で、大きめのブラジルナッツの実は卵1個分のカロリーに匹敵するそうです。殻の重さは約5Kg!もあり、落下した殻が頭に直撃すると致命傷を負う危険があり、収穫作業中は保護用の盾を使用し身を守るんだそうです。
- 脂肪と油
ピラミッドの頂点を占めるのが、脂肪と油です。カロリー摂取の約3割を占めます。種子にはω6脂肪酸が、カボチャの種と亜麻仁油にはω3脂肪酸(美容通信2010年6月号)が含まれます。
①あらゆる砂糖(砂糖代替品、精製糖等)や加工食品、食品添加物は摂らないで下さい。 自然食品の味と加工食品の味は、当たり前ですが異なります。加工食品には、ありとあらゆる調味料や風味を増す為の化学物質が使われています。最初は味気なく思うと思いますが、1,2週間も経てば、未来が正常に機能するようになり、自然の食品の美味しさを楽しめるようになります♪ ②アルコールやコーヒー、紅茶は、取り敢えず、禁止。代わりに、ハーブティーやフルーツティー、ルイボスティー、乳糖を含まないタンポポコーヒー等の穀物コーヒーで我慢して下さい。 ③揚げ物や炒め物(コールドプレスのバージンオリーブオイルを使った炒め物は除く!)、焼き物、”キツネ色にコンガリ香ばしく、食欲をそそる”食べ物(美容通信2015年10月号)、マーガリン等の硬化油脂は×。動物性脂肪は禁じゃないけど、少なめに。 ④脂肪や油、また木の実や種子等の油脂を含む食品は、フレッシュな物を!食べましょう。 ⑤ なるべく有機食品を選んで、環境中の毒素や汚染物質を体内に取り込まないようにするのも大事です。 ⑥乳製品は、なるべく食べない! 牛乳の代わりに、豆乳や山羊のおっぱいを使いましょう。 ⑦1日1~1.5lの水や薄めたジュース(ジュース:水=1:1)を飲みます。消化酵素が薄まんないように、食間に飲むのがポイントです。 ⑧マルチビタミンやマルチミネラル、ビタミンC等のサプリメントの援軍を仰ごう❤ |
知ってるのと知らないのでは大きく差が出る!~サプリメントを効果的に摂取する裏技
サプリメントは、ピンキリです。唯、一般的には価格的に可成りこなれてきていますから、バカみたいな暴利って商品は淘汰されていて、品質と値段は純粋に比例すると考えても良いと思います。
■栄養素を吸収しやすくする為に
- サプリメントとアルコールは一緒に摂らない! アルコールは、サプリメントを直ぐに溶出させてしまいます。唯一の例外は、ビタミンCです。ビタミンCは、アルコールの作用を相殺するのを助けてくれます。
- サプリメントを摂る前後1時間や食事中は、コーヒーや紅茶は禁。コーヒーや紅茶には、栄養素を溶出させてしまう作用があります。
- 食事をしたり、サプリメントを服用する前後30分間は、煙草を吸わない! 煙草の煙の中に含まれている化学物質は、栄養素を溶出させ、抗酸化物質を枯渇させます。
- ゆっくりと食べましょう。負担の掛かる食べ方(早食い等)は、消化機能を低下させ、栄養素の吸収を妨げます。
- 脂溶性ビタミンは、脂肪を含む食品と一緒に摂るのが理想的です。脂肪が、ビタミンを体の中までエスコートしてくれます。
- ビタミンB群を多く含む食べ物(シリアル等)やビタミンB群のサプリメントは、一日の始まりに摂るのがオススメです。体の代謝活動に弾みが付きます。
- マグネシウムやカルシウム、亜鉛等の鎮静作用のあるサプリメントは、就寝30分前に摂るのが理想的です。
- マルチタイプのサプリメントは、朝摂りましょう。但し、朝食用のシリアルを食べた1時間後です。
- 空腹時には、絶対サプリメント(特に、ミネラルを含むもの)を摂らない事。吐き気がします。例外は、アミノ酸とプロバイオティクスのサプリメントです。
- 医師や看護婦、栄養療法士等の指導がない限り、勝手に、単一のサプリメントを購入して飲むのはご法度。どうしても飲みたいのなら、マルチタイプのサプリメントを購入しましょう。
- サプリメントを始める時も、止める時も、少しずつ増量、少しずつ漸減。そうじゃないと、体がビックリします。
- 様々な種類の食物繊維や、プロバイオティクスをたっぷり摂って、腸内細菌叢の育成に励みましょう。栄養の吸収率を上げるだけでなく、ビタミンB群等を、貴方が食べる代わりに産生してくれます(美容通信2016年2月号)。
■サプリメントの効果的な飲み方
サプリメントを効果的に摂取する為には、タイミングってものもありますし、相性の良し悪しなんてものもあります。代表的なものについて、載せときますね。
サプリメント | 摂取するタイミング | 吸収を助ける栄養素 | 吸収を妨げるもの |
ビタミンA | 脂肪分の多い食事と共に | 亜鉛、ビタミンC、E | 胆汁の不足 |
ビタミンD | 脂肪分の多い食事と共に | カルシウム、リン、ビタミンC、E、日光 | 胆汁の不足 |
ビタミンE | 脂肪分の多い食事と共に | セレン、ビタミンC | 第二鉄、揚げ物 |
ビタミンB1 | 早朝 | ビタミンB群、マンガン | アルコール、ストレス、抗生物質、加熱 |
ビタミンB2 | 早朝 | ビタミンB群 | アルコール、ストレス、抗生物質、煙草、加熱 |
ビタミンB3 | 早朝 | ビタミンB群 | アルコール、ストレス、抗生物質、加熱 |
ビタミンB5 | 早朝 | ビタミンB群、ビオチン、葉酸 | ストレス、抗生物質、加熱 |
ビタミンB6 | 早朝 | マグネシウム、亜鉛、ビタミンB群 | アルコール、ストレス、抗生物質、加熱 |
ビタミンB12 | 早朝 | カルシウム、ビタミンB群、葉酸 | アルコール、ストレス、抗生物質、加熱、寄生虫 |
葉酸 | 早朝 | ビタミンC、ビタミンB群 | アルコール、ストレス、抗生物質 |
ビオチン | 早朝 | ビタミンB群 | ストレス、抗生物質、生の卵白に含まれるアビジン |
コリン | 早朝 | ビタミンB5 | アルコール、ストレス、抗生物質 |
ビタミンC | 食間 | 塩酸 | 重金属、加熱 |
カルシウム | 蛋白質の多い食品と共に、若しくは就寝前 | マグネシウム、ビタミンD、塩酸 | コーヒー、紅茶、煙草、フィチン酸 |
マグネシウム | 蛋白質の多い食品と共に、若しくは就寝前 | カルシウム、ビタミンB6、ビタミンD、塩酸 | コーヒー、紅茶、煙草、アルコール、鉄の摂り過ぎ |
鉄 | 食事中 | ビタミンC、塩酸 | コーヒー、紅茶、煙草、シュウ酸、フィチン酸 |
亜鉛 | 食事中、又は就寝前 | ビタミンB6、C、塩酸 | フィチン酸、鉛、銅、コーヒー、アルコール、鉄の摂り過ぎ |
セレン | 食事中 | ビタミンE、塩酸 | 水銀、コーヒー、紅茶、煙草、ビタミンCの摂り過ぎ、鉄の摂り過ぎ |
腸内細菌から見たアンチエイジング
■加齢と免疫機能
年を取ると、免疫細胞の免疫能力は、坂を転げ落ちるかの如く下がります。年齢を取ると、須らく臓器は萎縮するものですが、胸腺(T細胞の生産の担当!)と脾臓(リンパ球)については、この萎縮の速度が他の臓器に比べて半端ないんです。T細胞の補充が殆ど新生児期に限られますから、年と共にメキメキと免疫応答全体が減退して当たり前といえば当たり前なのですが…。
更には、後述の様に、加齢による胃腸の衰えからくる腸内の細菌バランスの崩壊も、免疫低下に拍車をかける原因となっています。
癌細胞を単独で直接攻撃するNK細胞の活性化も、15歳前後をピークに、加齢と共に減少します。
■消化器系の老化が起こると、腸内細菌も破綻する。
誰でも年を取るにつれて、胃酸の分泌をする効率が悪くなり、消化酵素で食べ物(特に、蛋白質)を消化する機能が低下します。そうなると、食べ物が胃の中に留まる時間が長くなり、胃の中で発酵してガス(げっぷ)や胃もたれを引き起こします。また、膵臓や腸壁の機能が低下し、膵臓や腸壁で生成される消化酵素やホルモンの量が低下するようになると、更に深刻な事態が引き起こされます。消化が不十分なままの食べ物が腸管を通過すると、本来ならこれはあってはいけない≒想定外!の物体の通過に腸管がびっくりし、挙句には、腸管の表面に傷が付き、きちんと栄養素を吸収するのではなく、綻んだ穴から、不完全消化の食物が腸壁を容易に通過し、血液の中に流入してしまいます。これが、遅延性の食物アレルギー(美容通信2014年1月号)(美容通信2012年9月号)の、そもそもの始まりです。
腸内細菌叢も変化します。高齢者では、宿主の腸内環境の恒常性を保つのに有用であったBacteroidisやBifidobacteria等の菌が減少し、通性嫌気性菌、fusobacteria、clostridia、eubacteria等がメキメキと存在感をUPして来ます(美容通信2012年8月号)(美容通信2013年8月号)。
腸内環境が悪化すると、腸管内でアンモニアや硫化水素などの腐敗物質が多く作られます。これらは血液中に取り込まれた後、全身をかけ巡り(美容通信2017年8月号)ながら老化を促進する働きがあります。つまり、「老化→腸内環境の悪化→更なる老化」という老化の悪循環が起こってしまうのです。
更には、生粋の日本人が、昔ながらの食習慣と異なる典型的な欧米型!の食事を何年間も続けてたりすると、大腸内で悪玉菌が増殖し、この未消化物等を腐敗させます。単なる老化の悪循環プラス、身の丈に合わない欧米型の食生活の悪影響って、ダブルパンチに見舞われる事になります。
①精製食品、特に精製した炭水化物(白砂糖、白い小麦子粉、白いパスタ、白い米等)を一切食べてはいけません。 ②刺激物(コーヒー、紅茶、コーラ、チョコレート等)を一切食べてはいけません。 ③甘い物(ハチミツ、メープルシロップ、キャンディ)の摂取量を極力減らす。 ④アルコールの摂取量を極力減らす。出来れば、飲まないに越した事はないにゃん。 ⑤所謂お惣菜コーナーにありがちな油物!の類は勿論、後述の悪い油は食べない。代わりに、種子やコールドプレス(低温圧搾法)のオリーブオイル、脂の乗ったお魚を積極的に食べましょう。 ⑥塩の摂取を極力減らし、必要なら普通のお塩から”減塩”タイプに切り替えたり、出汁!を上手に利用しましょう。 ⑦毎日、質の良いプレバイオティクス、プレバイオティクスの他、アルベックスの様な乳酸菌生成エキス(美容通信2016年2月号)を食べましょう。 ⑧1口30噛み。食事に時間を掛け、良く噛んで食べましょう。一口づつ、味わって食べる! ⑨動揺している時やストレスを感じている時は、食事はちょっとストップ。気分が落ち着いてから、食べましょう。 ⑩食事中や食事の前後30分間は、水等の液体を飲まない(消化液を薄めてしまうから!)。でも、だからと言って、毎日水分はたっぷりと補給しないと駄目ですよ! |
■高齢者疾患と常在菌
高齢者では、唾液分泌量が減少し、口腔内常在菌やcandida等の真菌が増加(美容通信2016年9月号)します。高齢者では、夜間の口腔内常在菌の気道内落下により嚥下性肺炎が起こったり、感染抵抗力が物凄く落ちちゃってるヘロヘロな高齢者に至っては、カンジダ肺炎等の日和見感染にも繋がります。食道カンジダ症も、高齢者ならではとまでは言いませんが、高齢者に多い疾患ではあります。
■加齢による免疫寛容の破綻
高齢者になると、恐ろしい事に、パイエル板(美容通信2014年1月号)も菲薄化して来ちゃいます。パイエル板とは、ご存知の通り、全身の免疫の60~70%と、その大半を賄う腸管免疫系の要的な存在です。
GALTとNALTの加齢による免疫応答の変化をマウスで調べた報告があります。因みに、GALTとは、腸管関連リンパ組織( gut-associated lymphoid tissue)の略で、侵入者から身体を保護する消化管の免疫系組織です。NALTとは、鼻咽頭関連リンパ細網組織(nasopharynx-associated lymphoid tissue)の略です。腸管に於けるパイエル板と同様の粘膜関連リンパ組織の一つで、鼻腔内および全身の免疫応答に関与します。論文によれば、パイエル版に代表されれるGALTでは、加齢による抗原特異的免疫応答の低下が12か月齢から認められ、24か月齢で顕著な低応答が観察されたそうです。一方、腸管免疫の老化が起きている12か月齢のNALTに於ける免疫応答は、6~8週齢のそれと比して遜色がなかったそうです。つまり、全身の免疫低下に先立って、腸管のリンパ系の応答が先ず低下するって事なんです。だから、アンチエイジングの為には、腸管免疫を如何に保つかが最優先で、その為には、プロバイオティクスやプレバイオティクスが重要だ!って話になります。
因みに、こんな事も知られてます。東京大學名誉教授 光岡知足先生の「健康長寿の鍵 ~乳酸菌発酵液:バイオジェニックス健康法」からそのまま抜粋しちゃいます。生きて腸まで届かなくったって、つまり生菌じゃなくて良いんだ(美容通信2016年2月号)!
わたくしは、発酵乳に含まれる生きた乳酸菌の作用を除くため、マウスに乳酸菌と酵母でつくった殺菌酸乳(発酵乳を加熱殺菌したもの)を終生与え、寿命を調べたるため、1群90匹のマウスを、普通飼料投与群、牛乳14%添加飼料投与群、殺菌酸乳14%添加飼料投与群の3群に分け、離乳期から一生にわたって試験飼料を与えて寿命を調べたところ、普通飼料群、牛乳投与群がそれぞれ平均寿命84.9週と84.4週で変わらなかったのに対し、殺菌酸乳投与群では平均寿命は約7週間(8%)伸び、91.8週という結果が得られました。
なお、この実験に使用した殺菌酸乳は乳酸菌と酵母で長時間発酵・熟成したカルピス殺菌酸乳です。この成績から、殺菌酸乳の中に含まれる生菌そのものではなく、乳酸菌の発酵生成物か、あるいは乳酸菌の菌体成分が、延命に何らか有効に働いているものと推測されました。
■長寿と腸内細菌の関係
腸内に全く細菌を持たない無菌動物は、一般環境下の同種動物と比較して、ナント、1.5倍も寿命が長いんだそうです。まあ、どんな炎症であれ、炎症なんてもんは、細胞寿命を縮めて老化を促すものでしかないのは明白な事実で、宇宙人同様に、細菌と共存するって事自体が寿命を縮めています。しかしながら、共存共栄の道を選んでしまった以上、私達に少しでも有利な状況にすべく、有害な菌を排除してくれる良い奴(菌)を味方に付けるしかありません。長寿の人々は、良いプロバイオティクス(美容通信2013年8月号)を、自ずと日々の食生活の中で味方にしているものです。因みに、プロバイオティクスとは、抗生物質の反対の言葉で、人の体に良い影響を与える微生物(生菌)の事です。乳酸菌、ビフィズス菌、納豆菌、酪酸菌等の生菌剤や、広くは発酵乳酸菌飲料、ヨーグルト等の発酵乳etc.が含まれます。
■プロバイオティクス、プレバイオティクス
最初に、言葉の定義から。プレバイオティクスとは、お腹に住み着く善玉菌(プロバイオ)を養う為の、食物繊維・オリゴ糖類・乳酸菌産生物質等の事です。
これらのプレ・プロバイオティクスの有用性について書かれた論文は、多数あります。つまり、上手に食事に取り入る事で、高齢者の免疫機能は底上げされます。ひいては、年を取ると罹患しやすいとされる様々な疾患、例えば、中枢神経系(脳血管障害、認知症、Parkinson病)、呼吸器系(肺炎、慢性閉塞性肺疾患、肺癌、肺結核)、循環器系(虚血性心疾患、高血圧症、うっ血性心不全、不整脈)、消化器系(消化性潰瘍、胃食道逆流症、消化機能異常症、薬剤起因性消化器障害、悪性腫瘍)、腎・泌尿器系(慢性腎不全、前立腺癌、尿路感染症)、内分泌・代謝系(糖尿病、脂質異常症、甲状腺疾患)、骨・運動系(骨粗鬆症、変形性関節症、関節リウマチ、廃用性筋萎縮)、血液・免疫系(多発性骨髄腫、悪性リンパ腫、骨髄異形成症候群)が挙げられますが、これ等からの回避が望めるかも知れません。
又、爺婆に多い便秘(美容通信2007年10月号)ですが、プロバイオティクスには、便通改善作用があります。下剤として良く利用されるラクツロースは、大腸内でビフィズス菌により分解され、小さな分子として腸管内に留まる事により、浸透圧性の下剤として作用します。食物繊維を加え、ラクチトールで味付けをしたヨーグルトを入院高齢者に投与して二重盲検を行い、慢性便秘症に有効であったとの報告があります。又、ガラクトースやラクトースでも、高齢者の便秘改善に有効だったとの報告も。
プロバイオティクスは、便秘症状だけでなく、抗菌薬服用で起こる下痢の予防にも使われます。
- オリゴ糖
オリゴ糖の作用は、単独ではなく、あくまでも乳酸菌や線維成分があってのお話なんですよ~ん。
【高齢者とオリゴ糖】
施設入所虚弱高齢者に投与した研究によると、服用者は非服用者に比較して、血中のCD4、CD8陽性細胞の増加と好中球、単級の貪食活性の低下、IL-6の低下が認められました。ワクチンに対するアジュバント活性は認められませんでした。
血管へのアンチエイジング
血管のアンチエイジングこそが、健康への鍵
老化→血圧・血糖・コレステロールの上昇→→→→→血管を健康な状態に保つ事が、健康維持の秘訣!
高齢者と血圧
80歳以上で、血圧を下げる治療をしない方が、結局は長生きする。寧ろ、動脈硬化の治療を優先させるべきとの考え方が、最近のトレンドです。まあ、年を取ると、腎臓や脳みそ、心臓といった生命維持に関わる臓器の血流量が低下してしまうので、血圧を上げて対抗するのは理に叶っている訳で、それをむやみやたらに降圧剤で下げてしまうと、人間としてのクオリティが下がっちゃいますものね。高齢者(70歳以上)は、サプリメントの併用で、血圧のコントロールの一助にするという考え方に、HISAKOも一票!
右図を見て下さい。脳の代謝は基礎代謝の約1/4を占めています。加齢に伴う循環血液量の低下と並行するかのように、脳の酸素供給量も減少します。つまり、過度の降圧・血糖降下の危険性があるんです。イワシやゴマのぺプタイド(アミノ酸が複数結合した物質)補給や、ビタミンB群、イチョウ葉エキス補給が奨められるのは、こんな理由からなんですね。
- イワシとゴマのぺプタイド
イワシとゴマのぺプタイドには、ACE活性を阻害する事により、アンジオテンシンⅠがアンジオテンシンⅡに変換されるのを阻害する効果があります。又、ブラジキニンの分解も抑制してくれるんです。所謂、合成の降圧剤であるACG阻害薬にありがちな副作用、例えば、空咳、胃腸症状、発疹等ですが、これ等を心配する事なく、安心して服用出来ます。
- イチョウ葉エキス
イチョウ葉エキスの薬理効果作用としては、以下のものが挙げられます。
①脳血管の拡張、脳代謝・機能の改善作用→脳血流増加。因みに、ドイツでは、アルツハイマーのお薬として認可されています。
②全身血管、循環系の改善作用:間欠性跛行、虚血性心筋障害、虚血性網膜障害等に効果。
高齢者と血糖上昇
■血糖値のバランス
血液中の糖(ブドウ糖)の量は、膵臓から分泌される、インスリンとグルカゴンと言う2種類のホルモンで調節されています。つまり、炭水化物を多く含む食事を摂ると、インスリンと言うホルモンが、膵臓から血液中に分泌されます。インスリンが肝臓や筋肉まで運ばれると、そこで過剰なブドウ糖を取り込んで、グリコーゲンや脂肪として貯蔵する様に命令を下します。インスリンの分泌に伴って血糖値が下がるのは、こんな理由からです。しかし血糖値は高いのも困りますが、低いのも困ります、血糖値が下がってくると、今度は、膵臓からグルカゴンが分泌され、肝臓に貯蓄していたグリコーゲンの分解を促し、ブドウ糖を血液中に補給してバランスを取っています。
ところが、甘い物やGI(グリセミック・インデックス)値の高い炭水化物を食べると、血糖値が急激に上昇します(美容通信2014年3月号)(美容通信2011年4月号)。この様な緊急事態に対し、膵臓からインスリンが一気に大量出撃し、血糖値を一気に下げてくれるのですが…、こうなると、私達は卑しいので、再び空腹に憑りつかれ、甘い物のバカスカ一気喰いに走り…血糖値の乱高下を繰り返す悪循環に陥ります。
■高齢者の血糖上昇
高齢者の血糖の上昇は、脳循環血流量の減少に対する代償機能と考えられています。尿中微量ALB値の評価で細小血管障害(ミクロアンギオパシー)が軽度な症例では、特にその可能性が高いとされています。
フリーラジカルの消去によって、グリケーションは緩徐になります。まあ、これが、オゾン療法(美容通信2017年4月号)(美容通信2011年8月号)が糖尿病に効果がある所以でもあります。血糖に一喜一憂せずに、QOLの確保を第一に考え、ビタミンEやC(美容通信2016年11月号)等の抗酸化アプローチを進めるのが一番かな。
【抗酸化物質とフリーラジカルについての復習】
- 抗酸化物質について
抗酸化物質とは、酸化(≒錆びる)による組織の劣化や損傷、破壊を遅らせたり防いだりする物質です。私達の体には、抗酸化物質が豊富に存在しています。組織の中には抗酸化酵素があります。鉄を含むトランスフェリン等の血液成分も、酸化分子の生成を予防しています。代表的な抗酸化酵素は下記の通りです。
酵素 | 酵素が作用するフリーラジカル | 過剰なフリーラジカルが引き起こす病気や不調 |
スーパーオキシドジスムターゼ(SOD) | 超酸化物 | 関節炎、滑液嚢円、痛風等 |
カタラーゼ | 過酸化水素水 | 関節炎、滑液嚢円、痛風等 |
グルタチオンペルオキシダーゼ | 過酸化脂質、過酸化水素 | 心臓病、肝臓病、早期老化、皮膚癌、湿疹、シワ、シミ、皮膚炎、乾癬 |
メチオニンレダクターゼ | 水酸基 | 激しい運動の疲れがなかなか抜けない、放射線損傷 |
こうした体の物質だけではなく、毎日の食材、特に野菜や果物、種子、木の実、全粒穀物には、抗酸化作用のある栄養素がたっぷりと含まれています。ビタミンA(βカロテンの形で、緑黄色野菜等に含まれている)(美容通信2009年12月号)、ビタミンC(野菜や果物)(美容通信2009年11月号)、ビタミンE(穀物や種子)、セレンや亜鉛(種子や木の実、魚介類)は、どれも優れた抗酸化物質です。私達には、更にはサプリメントで、これ等の抗酸化ビタミンやグルタチオン等を服用したり、点滴として、高濃度ビタミンC点滴(美容通信2008年11月号)やオゾン療法(美容通信2011年8月号)等を行う事も出来ます。各自の遺伝的な酸化傾向に合わせ(美容通信2010年10月号)て、サプリメントや点滴で良く点を強化するのも可能です。
正常な状態では、細胞が酸素と栄養素からATP(基本的なエネルギー分子)(美容通信2017年7月号)を取り出す時に発生するフルーラジカルは、必須栄養素や高エネルギー分子、水、抗酸化酵素等がふんだんにあればですが、これ等によって安全に処分(美容通信2017年4月号)され、細胞がダメージを受ける事はありません。
- 加齢とストレス
フリーラジカル(活性酸素もその一つ!)は、物が燃えれば、必ず発生します。息をしても、ご飯を食べても、つまり生きていく=生命活動には須らく付帯するものです。しかし、煙草の煙や排気ガス、放射線、揚げ物やグリルした食品、紫外線に当たる、環境汚染、感染症、運動のし過ぎ、感情的なストレス、怪我や事故、手術等々により、私達の体の処理能力を遥かに超える大量のフリーラジカルに見舞われると、老化や慢性疾患に繋がり(美容通信2017年7月号)(美容通信2017年8月号)ます。しかしながら、この大事な抗酸化酵素の生成量は、年と共に激減してしまいます。
- ファイトケミカル(フィトケミカル)
日本ではフィトケミカルと表示される場合がありますが、これは完全に誤りであり、phy·to·chem·i·cal~「ファイトケミカル」が正しい発音なんだそうです。
一般的に、「通常の身体機能維持には必要とされないが、健康によい影響を与えるかも知れない植物由来の化合物」を意味する用語として使用されています。つまり、人間の体には、蛋白質や炭水化物、脂質、ビタミン、ミネラルが必要不可欠ですが、ファイトケミカルは、まあ、無きゃ無いでもいい。欠乏症が起こるなんて事態には発展しませんが、質の良い人生を送りたいのなら、是非とも摂るべきって立ち位置です。抗酸化物質と密接な関係があり、時には抗酸化物質と結合している物もあります。野菜や果物、穀類に一部等、毎日の食材に幅広く含まれ、今までに200種類を超えるファイトケミカルが特定されています。その多くはホルモン(内分泌系)や免疫系を調節する上で重要な作用を及ぼし、病気の予防に役立っています。
分類 | 名称 | 含まれる植物 | 機能・効果 | |
ポリフェノール | フラボノイド(色素) | アントシアニン | 葡萄・黒米・ブルーベリー | 抗酸化作用 |
イソフラボン | 大豆etc. | 更年期障害改善・骨粗鬆症予防 | ||
フェニルプロバノイド | セサミノール | ゴマetc. | 抗酸化作用・動脈硬化予防 | |
シゲトン類 | クルクミン | ウコンetc. | 抗酸化作用・抗炎症作用・肝機能改善 | |
有機硫黄化合物 | イソチオシアネート類 | スルフォラファン | ブロッコリースプラウトetc. | 抗酸化作用・解毒作用・癌予防 |
システインスルホキシド類 | メチルシステインスルホキシド | ニンニクetc. | 解毒作用・免疫力向上 | |
スルフィン類 | アリシン | ニンニクetc. | 抗酸化作用・動脈硬化予防 | |
テルペノイド | 非栄養系カロテノイド類(色素) | ルテイン | ほうれん草etc. | 抗酸化作用 |
リコペン | トマト・スイカetc. | 抗酸化作用 | ||
モノテルペン(香気成分) | リモネン | 柑橘類 | 抗酸化作用・抗アレルギー作用 | |
ステロイド | フィトステロール | 植物油 | コレステロール減少 | |
糖関連化合物 | 多糖 | β-グルカン | キノコ類 | 免疫力向上 |
配糖体 | サポニン | 豆類・穀物・ハーブ | ||
長鎖アルキルフェノール誘導体(辛味成分) | カプサイシン | 唐辛子類 | 体熱生産作用 | |
ギンゲロール | ショウガ | 体熱生産作用 |
唯、多くのフィトケミカルは、近代的な加工法・調理法を用いた場合には、分解されるか失われてしまうと考えられており、工業的に加工された食物は、生の物に比べて健康への恩恵(フィトケミカルの含有量)が乏しいと信じられています。しかしながら、トマトに含まれるリコペンについては、スパゲッティソースやケチャップの様な加工食品中では濃縮され、生のトマトよりも多く含まれるんだそうです、はい。
最近は、嬉しい事に、フィトケミカルを豊富に含む野菜が開発・販売されています。代表的な物として、スルフォラファンを成熟ブロッコリーの7~20倍含む「ブロッコリースプラウト」(村上農園)、一般トマトの2~3倍のリコペンを含む「こくみトマト」(カゴメ)、2倍のカロテンを含むニンジン「ベータリッチ」(サカタのたね)等があるそうです。上手く利用していきたいですね。
加齢と血栓
私達の体内では、常に血栓が形成され、分解されています。通常は止血の為に形成され、役目を終えると、とっととプラスミンによって溶かされるものですが、ストレスや加齢で、この分解の働きが弱くなっちゃうんです。つまり、血栓が出来やすくなっちゃうんですね。だから、「年取ったら、血栓は出来て当たり前!」とは言うけれど…高齢社会の最大の問題とされる認知症。この認知症の60%は、血管性という現実を鑑みれば、やはりその予防策としての線溶系の活性化は重要ですね。脳の細い血管に、小さな血栓が形成され、徐々に血管が詰まる…ラクナ梗塞や無症候性脳虚血がそもそもの認知症の始まり!って症例が多いんです。
それでは、皆さんも、血栓になりやすい度チェックしてみましょう。チェック項目が多い程、血栓に要注意です。
□中高年。□ディスクワークが多い。□頭脳労働。□ストレスが多い。□飲酒、喫煙が多い。□食生活が不規則。□メタボリックシンドローム。□運動不足。□睡眠不足。□あまり水分を摂らない。□責任感が強い。□負けず嫌い。
FDPとは、フィブリンがプラスミンという酵素で分解された産物(フィブリン分解産物)です。Dダイマーは、FDPがさらにプラスミンに分解されて出来る最終の分解産物です。どちらも、血液の線溶現象を調べる検査で、高値の時は、体内の何処かに血栓がある事を意味します。超分かりやすい図だったので、日経Goodayから拝借しちゃいました。
- ナットウキナーゼ
ナットウキナーゼは、血小板凝集を抑制するだけでなく、既に結成されちゃった血栓の溶解にも効く、つまり線溶系にもOKって稀有な分子です。1980年に、シカゴのロビンス研究所(血栓症研究の世界的権威!)で研究していた須見博士が発見した酵素で、通常の大豆には含まれず、納豆を作る過程で、発酵中の納豆菌から作られます。ナットウキナーゼは持続時間が長いのが特徴で、短い人で4時間、長い人では8~12時間作用します。ウロキナーゼ等の血栓溶解剤(注射液)が、半減期が4~20分と、と~っても短い≒点滴している間だけ作用しているのと比べると、その優秀さは歴然ですね。
コレステロールを理解する。
「血液中のコレステロールの値が高いと、心臓病になる危険が高くなる。その危険を減らす為には、コレステロールを含む食品を摂らないようにするしかない!」と、昔は良く言われたもんです。「今ではこうした説を覆す証拠が見つかっており、嘘なんだよ~ん」と幾ら否定しても、うちの親なんか、脳みそにしっかり刷り込まれてしまって、聞き耳持たず…トホホです。
コレステロールは、体にとってとても大事な物質です。細胞を作る材料であり、ステロイドホルモン(エストロゲンやテストステロン、アドレナリン等)を分泌する為の前駆物質でもあります。ですから、低コレステロールの食べ物しか食べていないと、肝臓が必死にコレステロールを生成して、不足の穴を埋めるだけの話です。実際、体内のコレステロールの8割以上を産生しているのは肝臓ですし、高コレステロールの食品(卵や脂身の多い肉)を食べたからと言って、血中のコレステロール値が必ずしも上がる訳でもありません。そもそも、血液中のコレステロール値の高さと、(家族的な高脂血症!の家系でも何でもない一般人の、って意味ですが)高齢者の心臓病による死亡率には、あまり因果関係は認められませんし…。
しかし、困った事に、低コレステロールの食品には、体内のコレステロール値を調節するレシチンを合成するのに必須な栄養素達が、十分含まれていません。つまり、必須脂肪酸やコリン、イノシトール、マグネシウムが非常に乏しいんです。レシチンには、脂肪を乳化し、脂肪分子を小さくする作用があり、効率良く細胞に脂肪を運ぶ=血液中の脂肪を取り除いてくれます。実際、アテローム性動脈硬化症の患者さん達は、健康な人達と比較して、レシチンの合成量が少ないそうです。
心臓病の危険性を考える上で重要なのは、通称悪玉コレステロールのLDL(低密度リポタンパク質)と、善玉コレステロールのHDL(高密度リポタンパク質)の割合です。一価不飽和脂肪酸(オリーブオイルやピーナッツ、アボカドに含まれる)は、善玉のHDLを増やし、悪玉LDLを減らしてくれます。多価不飽和脂肪酸は、善玉も悪玉も共に減らしますが、それでも必須脂肪酸を含んでいるので、体には必要です。心臓病を患い、医者からコレステロールや飽和脂肪酸の摂取を控えるように食事指導を受けている患者さんにとって、寧ろ害となるのは、その代償的に食べてしまっている大量の精製された炭水化物です。心臓の健康を維持するのに必要なマンガンや亜鉛、マグネシウム、カリウム、クロムが、どうしても不足しがちになります。
■良い脂肪と悪い脂肪
脂質については、今までに何度か特集(美容通信2010年6月号)(美容通信2010年1月号)はしているので、ここではさらっと復習です。
- 悪い脂肪
お魚の油を除いた動物性の脂肪、特に乳製品は、飽和脂肪酸を大量に含んでいます。飽和脂肪酸は、化学的な構造上、動脈に沈着しやすく、代謝活動を妨げるので、心臓病や脳卒中、肥満、多発性硬化症、癌等の様々な慢性疾患と深く関わりがあるとされています。更には、インスリン抵抗性を惹起するとの報告もあります。
マーガリンや低脂肪のスプレッドは、本来は常温では液体であるはずの多価不飽和油ですが、水素添加により、強制的に固体や半固体の形状にしたものです。食品としては加工され過ぎているだけでなく、熱や日光、酸素、金属類で容易に劣化し、トランス脂肪酸に変化します。トランス脂肪酸は、心筋梗塞や狭心症のリスクを増加させ、肥満を発症させやすく、アレルギー疾患を増加させ、胎児の体重減少、流産、死産を生じさせる可能性があること、母乳を通じた乳児へのトランス脂肪酸の移行が研究等で確認されています。最近では、子宮内膜症や不妊症等の婦人科系のトラブルの原因としても、注目されていますね。米食品医薬品局(FAD)は、この「食べるプラスチック」と揶揄されるトランス脂肪酸について、2018年6月までに食品添加物から全廃すると発表しています(2015年9月発表)。因みに、トランス脂肪酸は、パンの材料でもあるショートニングやファットスプレッドにも入っているので、パン類やクッキー類などの〝粉もの〟にも多く含まれているので、要注意です。
アラキドン酸(美容通信2007年3月号)は、過剰に摂取すると問題を起こす脂肪酸で、アトピー性皮膚炎の様なアレルギー性疾患を増悪させる(美容通信2007年4月号)だけでなく、ホルモンの調節や免疫機能を妨げ、血管を閉塞させます。モツ肉や、卵黄、脂身の多い赤肉に含まれています。
- 良い脂肪
不飽和脂肪酸には、オリーブオイル等の一価と、お魚の油や木の実、種子等に含まれる多価の二つに大別出来ます。一価は、オリーブオイルを良く使う地中海沿岸の人々が健康な事からも分かるように、心臓病を予防する働きがあるようです。多価の一部は必須脂肪酸で、体内では合成不可の為、尺品から若しくはサプリメントからの摂取する必要があります。
二大必須脂肪酸と称されるリノール酸(ω6脂肪酸)とリノレン酸(ω3脂肪酸)ですが、脳みそや神経系、免疫系、ホルモン、心血管、皮膚の生成や働きには欠かせないもので、この2つの脂肪酸が不足すると、皮膚の乾燥やドライアイ、喉の渇き等の症状が最初に出現します。リノール酸は種子、特にゴマやヒマワリの種に多く含まれ、リノレン酸はカボチャの種や亜麻仁に豊富に含まれています。
リノレン酸は、上図の如く、体内でエイコサペンタエン酸(EPA)(美容通信2010年6月号)やドコサヘキサエン酸(DHA)に変わります。EPAやDHAは、脂の乗ったお魚(サバ、ニシン、イワシ、サケ等)にも含まれています。
*註:HISAKOの美容通信に記載されている料金(消費税率等を含む)・施術内容等は、あくまでも発行日時点のものです。従って、諸事情により、料金(消費税率等を含む)・施術内容等が変更になっている場合があります。予め、御確認下さい。
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