HISAKOの美容通信2009年12月号
美女ごはん~脂溶性ビタミンとミネラル編
サプリメント外来は、採血や採尿等の検査に基づいて、不足している栄養素を同定し、処方するものです。
でも、サプリメントだけをのんでりゃそれだけで十分かと申しますと、そんな訳もなく、食事があってこそのサプリメント。栄養補助に過ぎません。
食事が根幹をなす基軸なのです。
寒くなりましたねぇ。自称・ハラマキ女のHISAKOは、自分へのご褒美である今年のクリスマスプレゼントは、勿論、ハラマキ。あんまり女々しいと言うかぁ乙女ちっくなのとか、実用至上主義的な巣鴨路線の腹巻きはちょっとパス。本当は、元祖ハラマキ仕掛け人・糸井重里さんのほぼ日ハラマキで正統派に今季は過ごそうかなとも思ったのですが、何せ出遅れ。販売終了。仕方なしにではありませんが、ユナイテッドアローズでブラックとパープルの2色のレオパード柄を大人買い。実は、下図のハラマキ、メンズ用なんです、ははは。紐を縛れば、ネックウォーマー♪にもなるし、彼氏と共有して一石三鳥!?
‥子宮癌術後のリンパ浮腫って、足だけとかって思われるかもしれませんが、実は腹にも水が溜まる。冬場はずし~んと腸管まで冷え切って、腹痛や下痢に悩むリンパ浮腫の患者さんて、意外に多いんです。一生付き合わなくちゃいけない病気、辛いだけじゃ詰まんない。続かない。少しでも楽しく共存したいものです。HISAKOは、昼下がりのひと時を、お気に入りのマグカップに溶かしたツムラの漢方薬(No.100)で、お腹の中からポカポカ過ごす。お出掛けは、見せハラマキとコーディネートした、カラフルなカラーにスワロフスキーのラインストーンが可愛いリンパ浮腫治療用のメディの弾性ストッキング♪ 徹底的に楽しむ路線で、リンパ浮腫を考えています。
お肌のお悩みも一緒。楽しく美女ごはんで、底力をUPしましょ。今月は先月に引き続き中編、<美女ごはん~脂溶性ビタミンとミネラル編>です。
脂溶性ビタミン
水に溶け難く、アルコールや油脂に溶ける性質を持つビタミン。ビタミンA・D・E・Kの4兄弟。脂溶性ビタミンは肝臓に蓄積される為、摂り過ぎると、頭痛や吐き気を催すものも。
ビタミンA
ビタミンAと一括りに言っていますが、大きく分けると、動物性食品に含まれるレチノールと、緑黄色野菜に含まれるビタミンAの前駆物質・カロテンに分けられます。ビタミンAは、脂溶性ビタミンなので、主に肝臓に蓄えられる為、過剰摂取に注意する必要がありますが、前駆物質であるβ-カロテンは、生体内で必要な量だけがビタミンAに変換されるので、過剰症を心配する必要がありません。
因みに、ビタミンAは、WHO(世界保健機構)によって制定された生理的効力を示す国際単位 IU(International Unit)で示されています。
- レチノール当量(μgRE)
=レチノール(μg)+1/12βカロテン当量[β-カロテン(μg)+1/2α-カロテン(μg)+1/2クリプトキサンチン(μg)](μg)
ビタミンA 1 IU=0.3μgRE
だから、1万IUって聞くと、超が付くほど膨大な量な気がするけど、実は3mgなのですね。又、経口から、つまり注射とか点滴とかではなく口から喰ってる分には、1日最大300mgまでの摂取なら安全って報告も出ていますし、過剰症になるのは意外に大変なお仕事(笑)になる寸法。
β-カロテン
自然界に数100種類あるカロテノイドの一つ。カロテノイドの中でカロテン類に属するものには、α-カロテン、β-カロテン、クリプトキサンチンetc.がある。このうち約50種類は、体内でビタミンA(レチノール)に変換し、ビタミンA活性を示す為、プロビタミンA(ビタミンA前駆物質)と呼ばれる。食事から摂取しているカロテノイドの殆どはβ-カロテンであり、最もビタミンA活性が強い。因みに、α-カロテン、クリプトキサンチンetc.のビタミンA活性は、β-カロテンの約50%。
生理作用(美容通信2005年2月号)
ビタミンAは、皮膚のみならず、目や鼻、喉、肺、消化管etc.の粘膜を正常に保つ働きがあるので、感染症を予防し、免疫力を高める事にも一役買っています。
ビタミンAによる発癌抑制作用も、多くの動物実験により認められています。癌細胞は、無制限に細胞分裂を繰り返し、増殖を続けるゾンビみたいなもの。ビタミンAは、このゾンビの異常な細胞分裂や増殖を諭し、是正する、正に道徳者としての側面をも有しているのです。
その他にも、ビタミンAは、目が光を感じるのに必要な網膜の色素、ロドプシンの主成分。ロドプシンは、薄暗がりの中でも、ほんの僅かな光にも反応し、壊れます。この刺激が脳みそに伝わって、初めて、光としての認識が出来るんです。暗い映画館の中でも、空いてる席を見付けて座って映画鑑賞出来るのは、ビタミンA様があってこそなんですね。補足までですが、壊れたロドプシンは、直ぐ元の形に再生されるのでご安心を!
加えて、β-カロテンは、ビタミンAの前駆物質して働くだけではなく、それ自体に免疫賦活作用や強い抗酸化作用(美容通信2004年11月号)があり、癌や心臓病の予防、LDLコレステロール(悪玉!)の酸化を防ぐ作用もあると言われていま~す。
過剰・不足
ビタミンAは脂溶性の為、摂り過ぎると体内に蓄積し、吐き気や頭痛等の過剰症を起こします。しかし、肝臓にはステレイトセルって名前のビタミンA貯蔵細胞が存在し、しっかり金庫番を勤めているので、経口から、つまり注射とか点滴とかではなく口から喰ってる分には、意外に過剰症になるのは難しい(笑)。
又、妊娠初期に摂り過ぎると、胎児の奇形が増えるとされています。
β-カロテンは、腸管壁(粘膜)内で、必要に応じてビタミンAに変換されるので、そもそも過剰症を心配する必要すらありません。まあ、強いて言うなら、蜜柑を食べ過ぎて黄色くなる”柑皮症”くらいですかねぇ。
肌のカサカサや目の乾燥は、空気の乾燥やパソコンだけが原因ではなく、ビタミンAの不足で意外な症状に悩まされるなんて事も。
例えば、
- 肌がカサカサ、乾燥肌。
- 肌がガビガビ、ひび割れ肌。
- イボや魚の目が出来易い。
- 皺が気になる。
- ニキビや吹き出物が出来易い。
- アトピー性皮膚炎が気になる。
- 鼻の中が乾燥する。
- 目が乾燥する(ドライアイ)。
- ピロリ菌に感染している。
- 風邪を引き易い。
- 夜盲症が気になる。
- 癌家系である。
- 婦人科のトラブルがある(子宮内膜症・子宮筋腫)。
ビタミンAを多く含む食品(1食当りの目安量)(μgRE・レチノール当量)
卵や牛乳、チーズにも多く含まれます。β-カロテンは緑黄色野菜に多く含まれています。
●肉⇒豚レバー(50g) 6500μgRE
鶏レバー1個(40g) 5600μgRE
●魚⇒アンコウ肝1切れ(50g) 4150μgRE
銀ムツ1切れ(100g) 1800μgRE
鰻の蒲焼1串(100g) 1500μgRE
銀ダラ1切れ(80g) 880μgRE
●野菜⇒モロヘイヤ1/2袋(50g) 850μgRE
西洋かぼちゃ(120g) 792μgRE
人参1/4本(50g) 728μgRE
あしたば葉10枚(80g) 704μgRE
吸収率をUPさせる達人の技
動物性食品に多く含まれるビタミンAは、どんな食べ方をしたって、吸収率が70~90%と結構良いので、手間要らずの優等生。
これに対し、緑黄色野菜に多いβ-カロテンは、腸管からの吸収率がビタミンAの約1/3。更に、脂肪含有量や調理法によって、吸収率が10~60%と、大きく異なります。脂溶性なので、お野菜ならば、生よりも油脂と一緒に調理して食べる方が、吸収率がUPするんです。
ビタミンE
ビタミンEは脂溶性のビタミンで、4種類のトコフェロールと4種類のトコトリエノールがあり、夫々にメチル基の数と位置によってα、β、γ、σに区別されています。トコフェロールは、コーン油や綿花油等の植物油の他、緑葉植物、海藻類、甲殻類、魚類etc.に幅広く存在しています。これに対し、トコトリエノールは、米や大麦、小麦等の穀類、特にパーム油に良く含まれているんですが、通常の食事では摂取し難いのが難点とされています。
両者は、共に、強い抗酸化力を有していますが、トコトリエノールはターゲットとする細胞内に素早く取り込まれ、即効性が売り。トコフェロールは、持続性が特徴。つまり、早足のトコトリと、粘りのトコフェロ。つまり、両者を同時に摂取する事が、体内のビタミンE濃度を高く維持するコツなんです。
因みに、トコフェロールの中で最も生体内での生理活性が強いとされるのがα型ですが、トコトリエノールはこの40~60倍の桁違いの抗酸化力を有し、スーパービタミンって異名もあるほど。更に、トコトリエノールは、血液中のコレステロールを低下させ、抗動脈硬化作用、抗癌作用etc.の、トコフェロールが持ち得ない数々の特性も持ち合わせると言う、正にビタミンE族の中でも百馬身抜きん出た存在なのであります、はい。
生理作用
ビタミンEは、強い抗酸化力を持つビタミンで、細胞膜や脂質に豊富に存在しています。手が兎に角早いのが特徴で、脂肪酸を出し抜いて、活性酸素と出会い頭事故級の即行・カップル成立の運びに。これにより、細胞膜上の不飽和脂肪酸は、相手がいないのでサビる(酸化する)事すら出来ず、グレられない。つまり、過酸化脂質になれませんから、細胞は傷付く事はおろか、老化すら出来ないのです。
血液中のLDL-コレステロールの酸化を防ぐ働きもあるので、動脈硬化の予防にもなるんです。
又、ビタミンEは、脳下垂体や副腎etc.のホルモン分泌を調節する臓器に多く分布しているので、受容体のある細胞膜を安定させる事で、ホルモンバランスを維持する機能だってあるのです。つまり。生理不順や不妊症、更年期障害等々と、女の子の強い味方!
そして、全国にび慢性に繁殖する冷え性・女子や、最近メキメキ増殖中の草食系冷え性・男子に朗報です。ビタミンEは、末梢血管を広げ、血行を良くする働きがあり、血行不良による肩凝りや頭痛、冷え性にも良いんです。まあ、頑固な冷え性なら、漢方薬(美容通信2005年6月号)やツボ治療(美容通信2009年4月号)の併用がオススメです。
過剰・不足
過剰による問題は、殆ど聞いた事がない。まあ、胃の不快感とか‥消化器系の症状が現れる事もあるらしいが‥。寧ろ、問題となるのが不足時。さあ、恒例の不足度チェックしましょう。多いほど、×です。
- 気づいてみれば、シミ。それも増えてる。
- 最近、年だな~っと、つくづく思う。
- 荒れているとまでは言わないけれど、不規則な生活‥。
- 自慢じゃないけど、食生活は乱れてます。
- 翌朝になっても疲れが取れない。溜まってるな~って思う。
- オフィスと外の気温差には、体がもう付いて行けません。
- 微熱っぽい。
- 冷え性。
- 生理不順。
- 生理痛。ホントは会社サボって、蹲って寝ていたい。
- 子宝に恵まれない。私は不妊症!?
- とうとう、来たか、更年期。認めたくないけど、きっと、これって、更年期。
- だるい。
- 肩が凝る。頭も痛い。
- 胃腸の具合が悪い。
- 不整脈。
貴女は、何個、該当しましたか?
ビタミンEを多く含む食品(1食当りの目安量)
種実類、植物油、魚介類、かぼちゃ等に多く含まれます。
●油脂⇒ひまわり油大さじ1(13g) 5.1mg
綿実油大さじ1(13g) 4.0mg
サフラワー油大さじ1(13g) 3.6mg
●魚⇒キングサーモン1切れ(150g) 5.0mg
鰻の蒲焼1串(100g) 4.9mg
マグロ油漬け缶詰小1/2缶(50g) 4.6mg
子持ちガレイ1切れ(130g) 3.8mg
●その他⇒かぼちゃ(120g) 6.1mg
アーモンド10粒(14g) 4.4mg
小麦胚芽(10g) 3.3mg
吸収率をUPさせる達人の技
先月号(美容通信2009年11月号)でも触れましたが、ビタミンCは、活性酸素と戦って力尽きたビタミンEに生命の息吹を吹き込み、もう一度戦場に赴かせるという、他人に対してエコと言うか、厳しい性格の持ち主なので、一緒に食べると抗酸化力がUP。勿論、ビタミンAやβ-カロテン、ビタミンB2、セレン等の、同じ抗酸化部隊のメンバーと併せて摂ると、もっと働くのが健気で可愛いビタミンEです。
ビタミンEは、植物油に豊富に含まれていますが、古くなったり、加熱すると、酸化が進むので×。それ故に、油は、料理屋じゃないんだから一斗缶買いは止めて、小瓶で買う。天ぷらを揚げたら、油を漉してもう一度使うなんて貧乏ったらしい事は止めて、捨てちまう。これは常識かな。
因みに、同じお野菜を選ぶんでも、温室育ちのボンボンは選んじゃいけない。これ、大事なポイント。下の表を見て下さい。
「ホウレン草の栄養成分(生100g当り)」
資料・東北農業試験場 ”野菜のビタミンとミネラル”(女子栄養大学出版部)
栄養成分 | 寒じめ栽培 | 市販品(関東産) |
糖分 | 4.63mg | 2.26mg |
ビタミンE | 3.4mg | 2.5mg |
β-カロテン | 7.2mg | 6.2mg |
総ビタミンC | 120mg | 65mg |
温室で大事に大事に育てた箱入り息子ならぬ箱入り・ホウレン草を、収穫前に外気にちょっと晒すだけで、ビタミンE等の含有量がUPしているでしょ? 土の中で越冬させた人参や、寒中野ざらしで育てても平気な品種のお野菜は、概して、ビタミンEの含有量が高いんだそうです。植物だって、紫外線や寒さと言った過酷な環境を課されると、それがストレスになるんです。つまり、酸化現象が起きる。これを”なに糞~っ!”と、自身の力でビタミンEやC、カロテン(A)を増やし、抗酸化パワーでストレスを跳ね飛ばした子だけが、立派なお野菜として生き残れるんです。苦労は、抗酸化ビタミンの肥やし。お婿選びも、お野菜選びも、同じって事ですかね。
ビタミンK
生理作用
ビタミンKが不足すると、怪我や内出血を起こしても、血を止める手立てがない。つまり、延々と、体中の血液が全て路上に流れ出てしまうまで、止まらない(笑)。それ故に、止血のビタミンって異名があります。
作用はそれだけではなく、後述のビタミンDと共に、丈夫な骨作りには欠かせません。
過剰・不足
過剰症って言葉は、ビタミンKの辞書にはない。しかし、抗凝固剤を服用している人や血栓症の人には、摂り過ぎは問題となるので、要注意。
不足すると、高が鼻血だって、ダラダラと何時までも止まらない。腸内細菌によって、体の中でも合成出来るので、あんま不自由を感じる事はないんですけどね。唯、肝臓を患って胆汁の分泌が乏しいとか、長い事抗生物質を飲み続けて、バイ菌のみならず、腸内細菌まで殺しちゃった人は、欠乏し易いかな。
ビタミンKを多く含む食品(1食当りの目安量)
納豆、緑黄色野菜、海藻etc.に多く含まれています。
●豆製品⇒納豆1/2パック(50g) 435μg
●野菜⇒あしたば(50g) 250μg
つるむらさき(50g) 175μg
カブの葉(50g) 170μg
豆苗(50g) 160μg
おかひじき(50g) 155μg
春菊2株(60g) 150μg
ホウレン草小1/2束(50g) 135μg
大根の葉(50g) 135μg
吸収率をUPさせる達人の技
微生物によって合成されるので、発酵食品の納豆に特に多く含まれていますし、植物の葉緑素でも合成されるので、緑黄色野菜や海藻もビタミンKが豊富な食べ物です。つまり、これらを十分に摂っていれば、不足なんて事には通常なりえない。それ故、技らしきものは大してないんですが、強いて言えば、脂溶性ビタミンなので、油と一緒に摂ると吸収率が上がる位かな。熱にも強いし、主婦のお手抜き料理の代表格である”野菜炒め”で、達人認定!
ビタミンD
生理作用
カルシウムやリンの吸収を促進して、骨を健康に保つのに大事なビタミン。
ステロイドホルモンの一種であり、細胞分化や免疫機能への関わりも最近報告されています。
過剰・不足
- 過剰
サプリメントとかでアホみたいな量を摂取しない限り、過剰症にはなれない。血液中のカルシウム濃度が上昇して高カルシウム血症を招いたり、血管壁や心筋、肺etc.にカルシウムが沈着し、腎機能障害や軟組織の石灰化障害を起こすかも。
- 不足
私達人間様の皮膚には、ビタミンD前駆体のプロビタミンD3が存在し、お日様に当るとビタミンDに進化します。それ故、太陽大好きな太陽族!?は、ビタミンD不足を心配する必要なんてないんですが、夜行動物系とか、HISAKOの様な紫外線恐怖症と言うかぁ、日焼け止め依存症系のご婦人方、皮膚自体のビタミンD産生能力が衰えてしまった爺婆は、要注意。特に、最近のオバ様&婆ちゃん連中は、人生に未だ色気がありますから、日焼け止めバッチリ。でも、よる年波には逆らえず、女性ホルモンは枯渇する一方(笑)。どうしたって、骨粗鬆症の危険度がUPしちゃいます。エストロゲン補充療法()は、出来れば骨の為にもプラスして頂きたい治療法ではありますが、躊躇してしまう小心者も多いのが事実。それなら、せめてビタミンD。でも、D単独で摂るより、一緒にKを摂取した方が、明らかに骨密度は上がります。
ガキんちょと象の花子さんの場合は、クル病になります。‥花子さんと言うと、上野動物園のかわいそうなぞう・花子さんが反戦運動の象徴として有名ですが、旭川市民にとっては、花子さんと言えば、クル病の花子さん。1964年タイで生まれ、京都市動物園、円山動物園を経て、1967年開園に伴って旭山動物園にやって来た象さんです。1968年、クル病を患い、立つ事が出来なくなった為に、処分が決定。薬殺され、標本として北海道大学に納められるはずだったんですが、仕事を請け負った剥製屋・信田氏、面倒を見ているうちに、花子に情が移ってしまったんです。多少以上(笑)の紆余曲折もありましたが、花子は二股ラジウム温泉(長万部)等で湯治をし、見事病気を克服。日本の首領(ドン)・笹川良一氏に見初められ、一躍、”時の象”になりました。恩人の信田氏と二人三脚、全国行脚の見世物の旅で大金を稼ぎ、二人(正確には1人と1匹)はパラグアイに移住して一生を終えたとさ。ちゃんちゃん。
ビタミンDを多く含む食品(1食当りの目安量)
お魚(特に青背魚)、卵黄、乳製品、きのこ類等に多く含まれます。
●魚⇒アンコウ肝1切れ(50g) 55μg
紅ザケ1切れ(100g) 33μg
塩ザケ1切れ(100g) 23μg
カラフトマス1切れ(100g) 22μg
サンマ1尾(150g) 20μg
イサキ1尾(180g) 15μg
シマアジ(80g) 14μg
イワシ丸干し1尾(30g) 13μg
●きのこ⇒白きくらげ5個(5g) 49μg
黒きくらげ10個(3g) 13μg
吸収率をUPさせる達人の技
ビタミンDは脂溶性なので、動物性食品、例えばお魚を喰う方が効率良く吸収が可能です。
でも、きのこだって、炒めたり揚げ物にすれば吸収率はUPします。更に、普通のきのこを優れモノに格上げする方法が、お日様。元々きのこには、エルゴステロールってビタミンD前駆体が含まれているんですが、Dに進化させるのには紫外線が必要。それ故、天日干しを謳っていない、機械乾燥の安物の干ししいたけは、傘の裏を日光に当てるだけで、ぐ~んとビタミンDの含有量を上げる事が出来るんです。‥何か、花まる的ですが‥。
ミネラル
自然界には100以上の元素が存在していますが、私達人間様の体は、その95%が4元素(酸素・炭素・水素・窒素)で、残りの5%がミネラル(無機質)で構成されています。栄養素として不可欠なものは、必須ミネラルと呼ばれて16種類、”日本人の食事摂取基準”では13種類が示されています。
多量元素と微量元素に大きく分けられます。
ミネラル~多量元素
カルシウム、マグネシウム、カリウム、リン、イオウ、ナトリウム、塩素の7人兄弟。
カルシウム
生理作用
カルシウムは、体内に最も多く存在するミネラルで、体重の1~2%をも占める大派閥集団。
その内訳の9割9分は、リン酸塩・炭酸塩として、骨や歯の構成要素として、硬派な人生を貫いております。 が、残りは、少数派と言えども、決して侮ってはいけません。血液凝固や心臓、神経系が正常に機能する為の、重大な役割を担っているからです。
過剰・不足
過剰(1日3g以上!)に摂取し過ぎると、泌尿器系結石の原因になる他、鉄や亜鉛、マグネシウムetc.のミネラルの吸収を阻害する事も。まあ、過ぎたるは猶及ばざるが如しって奴ですかね。
カルシウムはと~っても大事なミネラルなので、血中濃度は厳格な管理下で調整されていて、10mg/dl前後に保たれています。つまり、ちょっとでも血中濃度が下がると、副甲状腺ホルモンが大騒ぎで出動し、骨からカルシウムを奪い取る(骨吸収)は、腎臓では今まで無駄に垂れ流していたカルシウムを漏らすまいと、厳戒体制さながらの再吸収に走ります。それ故に、カルシウムの慢性的な不足が続くと、骨からドンドン溶け出してスッカスカになっちゃいます。特に、閉経後のおばちゃんやばあちゃん連中は、女性ホルモンが枯渇して来るにつれ、この傾向に拍車が掛かる訳ですから、ちょっとコケただけでも骨が折れ、寝たきり、ボケ老人路線を驀進する羽目に。‥婆になって、家族から邪魔者扱いされるより、東山紀之に傅かれたい♪ そんな全ての女子に必須のミネラルなのでございます。
その他、肩凝りや腰痛、イライラ・トゲトゲ‥心のささくれ症候群も、慢性的なカルシウム不足で起こる事もあるんだとか。
カルシウムを多く含む食品(1食当りの目安量)
牛乳・乳製品、小魚、野菜、大豆製品等に多く含まれます。
●魚介⇒干しエビ大さじ1(8g) 568mg
ワカサギ中2尾(50g) 225mg
煮干5尾(10g) 220mg
●野菜⇒水菜(150g) 315mg
菜の花1/2束(100g) 160mg
モロヘイヤ1/2袋(50g) 130mg
●その他⇒生揚げ1/2枚(100g) 240mg
ひじき煮物1食分(8g) 112mg
●牛乳・乳製品⇒牛乳1カップ(210g) 231g
プロセスチーズ1cm厚さ(20g) 126mg
ヨーグルト1/2カップ(105g) 126mg
吸収率をUPさせる達人の技
カルシウムの吸収率は、食べ物によって大きく差があるんです。つまり、上記で断トツの含有量を誇った干しエビの様な小魚の類は、吸収率が約30%。吸収率が約50%と高い牛乳・乳製品からの摂取を、辛うじて上回る程度に。‥そうなると、やっぱ、カゼインホスホペプチドって、カルシウムの吸収を促進してくれる蛋白質が含まれている牛乳を飲むのが、一番効率が良いって結論になるのかなぁ。あ、因みに、青菜の吸収率は約18%です。
更に、カルシウムは、何でだけじゃなくて、何と一緒に取るかによっても吸収率が変わります。例えば、リンや食物繊維、シュウ酸、フィチン酸は、吸収率を低下させちゃうんです。所謂、妨害要員がいます。
- 過剰のリン
品種改良剤などの添加物にも多いので、スィーツ・マニアは危険度多し。
- 過剰の食物繊維
サプリメントで手軽に入手が可能となった為か、極端に走る人が偶にいるんだよねぇ‥。
- シュウ酸
ホウレン草に多いが、茹でて喰えば減る。
- フィチン酸
豆、穀類に多いんだそうな。
- 喫煙
逆に、吸収促進要員となるのが、先ほども触れた牛乳にたっぷり含まれているカゼインホスホペプチドって名前の蛋白質や、活性型ビタミンD、乳酸(ラクトース)、難消化性オリゴ糖etc.です。
そして、あたかもインテリを自認する小市民階級と言うか、無党派層と言うか、浮動票? そんな微妙なスタンスを取ってるのが、蛋白質(笑)。適度に摂れば、吸収に加勢しますが、過剰と思うと掌を返した様に、阻害要因として働きます。
マグネシウム
生理作用
成人の場合、体内には20~25g含まれ、その60~65%は骨に存在しています。前述のカルシウム、そして後述のリンと共に骨を構成する重要な成分です。
しかしながら、マグネシウムはカルシウム程には骨を偏愛している訳ではないので、残りは肝臓や筋肉、血液とかに、蛋白質と繋がった状態で存在しています。マグネシウムは、そこで、300種類もの酵素反応に触媒として関与し、蛋白質の合成や糖代謝、筋肉の収縮、神経の調節、体温や血圧の調節等々、体内で行なわれる様々な代謝をスムーズに行なう事を使命として、日々働いているのです。
又、マグネシウムは、カルシウムとお互いに協力し合ったり、逆に拮抗して働く事で、身体機能の維持や調節を行なっているんです。例えば、脳動脈や心臓冠状動脈の血管細胞内へ過剰なカルシウムの流入が起こると、血管が収縮し、脳梗塞や心筋梗塞が発生します。細胞膜や小胞体膜上に存在するマグネシウムは、カルシウムの細胞内への過剰流入を抑制して、細胞内のカルシウム濃度を適正に調整を図ってくれる、謂わば天然のカルシウム拮抗剤なんです。それ故に、最近は虚血性心疾患等の係りで、何かと注目を浴びているマグネシウムなのであります。特に、火山列島である日本の土壌は、元々火山灰土。ミネラル成分に乏しく、且つ、ストレスやアルコール、加工食品の過剰摂取etc.で、日本人は一般的にマグネシウム不足が囁かれるだけに、これは是非注意したいミネラルかな。
吸収
小腸で吸収され、全身的に分配されるものとは考えられておりますが、まだまだ、謎の多いマグネシウム。唯、碌にマグネシウムを食ってない状況下だと、腸管でのマグネシウムの吸収量は上がるし、逆もまたあり。カルシウム同様、大事なミネラルなので、人間、血中濃度を2mg/dlで維持したいのが、本音。それ故、骨を溶かしてでも、マグネシウム濃度を上げる様に足掻きはしますが、限界はある。不足が続けば、何れ、心筋梗塞!?
過剰・不足
マグネシウムは、元々、ド・便秘人に良く処方するお薬。それ故に、お薬やサプリメントで大量に飲めば、下痢って当たり前。薬の場合は、寧ろ、下痢ってくれないと困るって代物。それ以外には摂り過ぎたところで、うんこやおしっこに混じって出て行っちゃいますから、腎臓が悪い人でもない限り、問題はないかな。
マグネシウムが不足すると、腎臓が頑張って、垂れ流しによる浪費生活に終止符を打ってくれるので、あんま、不足するって事はないとはされて来たものの‥、最近の報告では、結構マグネシウムの摂取不足が顕著なんだとか。心疾患、骨粗鬆症、神経や精神疾患、筋収縮異常etc.の他、生理前の辛い症状(月経前症候群PMS)や注意欠陥多動性障害(ADHD)にも、マグネシウムの不足が関与しているらしい。
マグネシウムを多く含む食品(1食当りの目安量)
大豆、未精製の種実や穀物、海産物等に多く含まれます。
●種実⇒アーモンド(30g) 93mg
カシューナッツ(30g) 72mg
煎り落花生(30g) 60mg
●海藻⇒干しひじき(10g) 62mg
乾燥わかめ(5g) 55mg
●豆・豆製品⇒大豆(30g) 66mg
油揚げ大1枚(40g) 52mg
納豆1/2パック(50g) 50mg
●その他⇒玄米ごはん1杯(120g) 59mg
干しエビ(10g) 52mg
吸収率をUPさせる達人の技
マグネシウムは、精製など、手間隙掛ければ掛けただけ、失われる野生児。それ故に、加工していない食品を選ぶのが達人の技。
効率重視派にオススメなのが、豆腐。凝固剤としてにがり(塩化マグネシウム)が使われており、同時にカルシウムを含むので、マグネシウムの吸収率がUPします。でも、カルシウムを喰えば喰っただけ、マグネシウムが便器の中に流れ落ちて行くんじゃなかったけ? そうです。だからこそ、ゴールデン摂取バランスを守らねばならないんです。マグネシウム:カルシウム=1:2が望ましいんだとか。
リン
生理作用
カルシウムと共に骨や歯を形成したり、エネルギーの貯蔵等、細胞の生命活動に欠かせない栄養素。
過剰・不足
リンは広く食品に含まれていて、普通に食事をしている分には、不足なんてありえません。ですが、加工食品に必須の添加物、この中にはリンがバカバカ使われているので、ファストフード愛好家にとっては、寧ろ、摂り過ぎが大問題になります。つまり、リンと前述のカルシウムは血液中で絶妙なバランスを保って存在していますから、リンが増えれば、当然その分のカルシウムの吸収が減り、ひいては骨からカルシウムが溶け出し、ひ弱な骨になる。
‥昔、小学校の頃、家庭科の授業の時、某先生が、”皆が大好きなカ○ピスも飲み過ぎると、アンパン遊び(註・アンパン:1970年代中頃~。俗にシンナーを詰めた袋の事。また、シンナーを吸引する事。この行為は、毒物取締法で禁止されている。このような隠語が生まれたのは、シンナーの入った袋を口にあてて吸い込むさまが、あんパンを食べる様子(大手メーカー製品などの個包装されたものを袋に入ったまま手に持ち、パンを少しずつ押し出しながら齧りつく様)に似ていたからとされる)している不良みたいに、歯が溶けるんだぞ! 試しにカ○ピスの原液の中に、抜けた歯を漬けておくと、ホントに溶けるんだ”と衝撃の発言(脅し!?)をし、いたいけな児童全員凍りついたのを覚えております。ご多分に漏れず、HISAKOも家に帰ったその足で冷蔵庫に走り、お中元で親が貰ったカ○ピス数本のうち、新品のノーマル味のみ1本残し、あまり好きではなかったオレンジとかグレープ味を、全て台所の排水管に流してしまいました。‥当時は大らかな時代でしたら、発言が社会問題にまで発展する事もなく、忘却の彼方(笑)。40年近く経って、漸く、先生の意図を正確に理解出来るようになったって事ですかねぇ‥。因みに清涼飲料水100gに対し、リンの含有量は約15mgで、たまに1本飲む日もある位では心配なんてありません。
リンを多く含む食品(1食当りの目安量)
牛乳・乳製品、一尾魚、大豆、肉等に多く含まれています。
●魚⇒ワカサギ3尾(80g) 280mg
ドジョウ5尾(40g) 276mg
シシャモ3尾(60g) 258mg
イワシ丸干し(40g) 228mg
●牛乳・乳製品⇒プロセスチーズ(30g) 219mg
ヨーグルト1カップ(210g) 210mg
牛乳1カップ’210g) 195mg
●その他⇒高野豆腐(20g) 176mg
大豆(30g) 174mg
ソラマメ・生10粒(40g) 88mg
吸収率をUPじゃなくてDOWNさせる達人の技
寧ろ、心配すべきは、不足よりも摂り過ぎで、カルシウムの足を引っ張らないかって事。せめて、スローフード・スローライフの実践が覚束ない前時代的な輩は、積極的にカルシウムを食べましょう。理想は、リン:カルシウム=1:1です。
カリウム
生理作用
あらゆる細胞の正常な活動をバックアップ。ナトリウムと作用しあって高血圧を防ぐ働きが注目されています。
過剰・不足
仮に摂り過ぎたところで、おしっこになって下水道に流れるだけの話。腎臓が悪くない限り、特に問題とはならない。
お野菜やおイモなど、植物性食品を初めとして様々な食品に豊富に含まれているので、普通に食べている分には、脱力感とか食欲不振等の欠乏症状が現れるなんて事はありませんでした。が、ストレスやジャンクフード・マニアの出現で、意外に不足に陥っている現代人が増えてるんだとか。‥欠乏してるかどうか、試しにテストしてみる? 多いほど、ヤバイ。
[生活パターン]
- 新鮮な野菜や果物だからと言って、毎日は食べれないよ。
- やっぱ、関東の田舎もんだから、しっかりとした濃い目の味じゃないと、物足りね~ぇ。新宿のアカシアのロールキャベツ、最高!!
- 酒はオンナの甲斐性だ!?
- アキバ系では決してないんですが、汗っかきなんです、はい。
- 正統派・育ち盛り。
[症状や生活パターン]
- 下痢ピーだし、良くゲロする。
- 寝ている時に、足が攣る。こむら返り。こぶら返り。
*註:現在は「こむら返り(腓返り)」が正式な名称とされているが、ふくらはぎのことを「こぶら」と呼んでいた地方もあり、「こぶら返り」も誤用ではない。しかし「こぶら」を毒蛇の「コブラ」のことであると誤解されている例が若年層を中心に少なからずある。当然「こぶら」とは前述の通りふくらはぎの別名である。誤解を招かないためにも「コブラ返り」とカタカナで記述することは誤用とは言えないものの避けたい。なお「こむら・こぶら(腓)」とはふくらはぎの古名であるが江戸中期以降にはふくらはぎと呼ぶことが主流になり、現代語では「こむらがえり」の中のみに生き残っている。(提供: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』)
- 利尿剤・下剤・ステロイド剤を飲んでます。
- 血圧は高めです。
- 糖尿病の家系です。
- ストレス、ストレス、ストレス。明けても暮れても、ストレス一色の毎日なんです、ハイ。
カリウムを多く含む食品(1食当りの目安量)
果物や野菜にも多く含まれています。
●海藻⇒刻み昆布(10g) 820mg
おぼろ昆布(10g) 480mg
干しひじき(10g) 440mg
●豆⇒大豆(30g) 570mg
インゲン豆(30g) 450mg
●いも⇒里芋(80g) 512mg
大和芋(80g) 472mg
サツマイモ小1本(100g) 470mg
●その他⇒アボカド小1/2個(70g) 504mg
カツオ1切れ(100g) 430mg
吸収率をUPさせる達人の技
カリウムは、植物性食品から動物性食品まで、凡そありとあらゆる食べ物に含まれていますが、ご多分に漏れず、やっぱ新鮮な方が含有量は多いのは事実。週末の大量買いを改め、日々の必要買いにライフスタイルを変えるだけでも、達人の域に。
もう一つ、カリウムの特徴は、煮ると30%は失われる事。サラダで食べる方が良いとは言われますが、流石にイモは煮て喰いたい(笑)。ならば、妥協案として、煮汁ごと食べるって結論に達する訳です。これは、血圧高めのお父さんにも応用が効く方法で、塩辛い味噌汁を好んで食べたがるような場合、せめて、たっぷりお野菜とイモがゴロゴロの具沢山にする。カリウムを充分に摂れれば、ナトリウムの排泄だって進みますからね。まあ、欲を言えば、高血圧の予防の為のゴールデンバランスは、カリウム:ナトリウム=1:~2(以下)。これを遵守して頂きたいですね。
ナトリウム
生理作用
細胞内のミネラルバランスを保つ為に不可欠で、血圧と関係が深い事からも注目を浴びるミネラル分です。
過剰・不足
生命維持には必須のミネラルでありながら、お漬物に味噌汁を偏愛する日本人には、過剰って文字はあっても、不足は無い。それ故に、欧米の様な1日6g以下の推奨量すら、日本では非現実的とされ、過剰は高血圧や胃癌を招くと分っちゃいるけど、精々目標値を8~10gに設定するので精一杯の有様‥。
ナトリウムを多く含む食品(1食当りの目安量)
調味料を始めとする加工食品に多く含まれています。
即席中華麺(100g) 6.9g
カップ麺(75g) 5.2g
イワシ丸干し(80g) 4.6g
梅干し1個(20g) 4.4g
さきイカ(50g) 3.5g
辛子明太子1/2腹(40g) 2.2g
淡色辛みそ大匙1(18g) 2.2g
イカ塩辛(30g) 2.1g
カレールー(20g) 2.1g
塩昆布(10g) 1.8g
吸収率をUPじゃなくてDOWNさせる達人の技
リン同様、吸収率を如何に上げるかではなくて、如何に減量出来るかが課題となるミネラルの代表格。塩抜き生活の第一歩は、加工食品依存症からの脱却です。加工食品には、保存性を高める目的で、食塩が多く含まれているんですよ。ですから、加工食品の比率を下げるだけでも、塩分は減るって寸法。弟二歩目は、献立の立て方。塩分ゼロのご飯に、薄味のおかずを組み合わせましょう。酢やしょうが、ニンニク、カレー粉etc.で風味を付けると、塩や醤油を控えても、意外に許容範囲どころか美味しく頂けたりします。醤油だって、出汁割り醤油とか酢醤油を多用すれば、よりベターですよね。
因みに、”食塩”と”ナトリウム”は、確かに、厳密に言うと違います。食塩は、ナトリウムイオンと塩素イオンが結合した塩化ナトリウム(NaCl)の事。大昔、小学校の理科で習いましたよね? ナトリウムは、食塩の形で体内に摂取されるのが殆ど。それ故に、”食物栄養成分表”では、ナトリウムを食塩相当量に換算して表示しています。食塩相当量(g)=ナトリウム(g)×2.54って数式が、もうちゃんと出来てるんです。このおにぎりの食塩相当量は、o,56×2.54=1.4gとかね。
ミネラル~微量元素
鉄、亜鉛、銅、ヨウ素、セレン、マンガン、モリブデン、クロム、コバルトの子沢山・9人兄弟です。
鉄
生理作用
鉄は体内には3~4g存在しています。この内約70%は、赤血球のヘモグロビンや筋肉中のミオグロビンの構成成分で、別名・機能鉄。肺から取り込んだ酸素を、全身の組織に運搬する重要な役目を担っています。残りの約30%は、貯蔵鉄。肝臓や骨髄、脾臓、筋肉etc.にストックされていて、機能鉄が不足した時に使う‥まあ、ヘソクリみたいなもんです。
体内に存在する鉄の内、約0.3%は酵素の構成成分となっていて、特にエネルギー代謝に於いて重要な役割を果たしているのです、はい。
吸収
鉄は主に小腸で吸収されますが、吸収率は極めて冴えないの一言に尽きます。精々1.0~1.5mgが関の山で、食物中の鉄の体部分(10~20mg/日)はうんこに混じってバイバイ。選ばれしモノである吸収された鉄は、アポフェリチンと合体してフェリチンに進化。貯蔵鉄となり、銃後の備えとなります。トランスフェリンと合体して骨髄に運ばれ、ヘモグロビンの合成に使われます。こいつらは、謂わば、実弾部隊である機能鉄。肺から取り込んだ酸素を、全身の組織に運搬します。
下図の体の中の鉄の移動と分布図を見て下さい。
過剰・不足
経口で、つまり口から喰ってる分には、過剰は心配はしなくて大丈夫。鉄は、元々体内に吸収され難く、又腸の粘膜等に存在するフェリチンって貯蔵鉄が、吸収の促進と抑制を制御していて、必要以上に体内に吸収しないシステムが確立しているから。これを逸脱するような行為、例えば、輸血とか、鉄剤の注射で強制的に血中の鉄の濃度を上げるなんて事をしない限り、中毒は起こせないんです。まあ、それを起こさせないように、医師の管理下で行なうが、強制執行の際のお約束なんですが、ね。
寧ろ問題となるのは、過剰ではなくて欠乏の方。鉄欠乏性貧血になります。症状を列挙してみましょう。疲れ易い。イライラし易い。うつっぽい。注意力の低下。寝起きが悪い。頭痛。耳鳴り。動悸。息切れ。めまい。立ちくらみ。食欲不振。手足が冷える。爪が薄くて、割れ易い。薄毛・抜け毛。アザが出来易い。浮腫みっぽい。色素沈着がず~っと残る。くすんで、皺っぽい、弾力のない肌。直ぐ風邪を引いちゃう。‥兎に角、不美人の展示会場(笑)。
美人でいたければ、先ず、鉄を制覇すべきなんですが、貯蓄が趣味の男の子と違って、女の子はお買い物大好きの浪費家タイプ。まあ、婆になれば物欲も枯れてて、少しはヘソクリを貯める様にはなりますが、若いうちは無理。先ずは、月に一回は、生理がある。大和撫子の平均月経血量は、約60mlとされていて、この量に含まれる鉄の量は約30mgに相当します。つまり、生理的排泄と併せると、所謂”有経マダム”が1日に必要な鉄の量は、日本男児の2倍である2mg/日になるのでございます([鉄喪失量(1mg)+月経血(1mg)]÷吸収率=1日の鉄必要量)。それに、妊娠・出産って一大イベントも忘れてはなりません。この時期には、1日3mgの鉄が必要です。妊娠~出産後の多くの不定愁訴や精神症状の多くに、鉄の不足が関与している事も実際多いんです。
ここで、補足をしておきましょう。クリニックでも繰り返し繰り返し言ってますが、鉄にはヘム鉄と非ヘム鉄があります。ヘム鉄は、蛋白質と結合した鉄、つまり有機鉄で、お肉やお魚等の動物性食品に多く含まれており、吸収率が10~30%と、冴えないながらも、非ヘム鉄よりはまし。非ヘム鉄は、笑っちゃいけないが、吸収率は2~5%。蛋白質と結合しない無機鉄で、お野菜や穀物と言った植物性食品に多く含まれています。因みに、HISAKOが”保険で出せるのはこれしかないのよねぇ”と処方しているのが、この非ヘム鉄の方です。
具体的に食べ物で、前述の計算式を使って、20~30代の、謂わば”乙女”盛りの鉄の必要量を示してみましょう。
- ヘム鉄(吸収率:10~30%)の場合
厳しい現実を見据えていただく為に、ここでは敢えて最低の吸収率である10%で計算をしてみます。2mg÷0.1=20mgですから、
イワシ(1尾60g)なら、25尾!
レバニラ炒めなら、10人前!! ‥と、結構ヘビーな量。
- 非ヘム鉄(吸収率:2~5%)の場合
これまた、非常に厳しい現実を見据えていただく為に、敢えて最低の吸収率である2%で計算をしてみます。2mg÷0.02=100mgですから、
納豆(小1パック)なら、約59パック!
ホウレン草(150g)なら、約33束!! ‥と、超重量級の極めてヘビーな量(笑)。
「でも~ぉ、検診で”貧血”なんていわれたことないし~ぃ」と、思うかもしれませんが、実は”隠れ肥満”ならぬ”隠れ貧血(鉄不足)”が、可なり横行しているのも事実。この隠れ貧血(潜在性鉄欠乏症)を簡便に評価する方法のひとつが、血清フェリチンの値の測定。これで貯蔵鉄がどれ位有るのかが分ります。フェリチン1ng/mlが貯蔵鉄8mgを反映し、成人では1000mgの貯蔵鉄が必要である事がコンセンサスを得ています。つまり、1000/8=125が、理論的正常値なのであります。但し、フェリチンが上昇する病態、例えば、炎症・肝機能障害・悪性腫瘍etc.を伴っている場合は、その分差し引いて考えないとね。‥さあ、貴女のフェリチン値は、幾ら?
前述の”体の中の鉄の移動と分布図”を参考にしてね。
1)正常
- 検診での貧血診断⇒貧血なし! [Hb>14]
- 栄養学的な意味での貧血 (フェリチンを中心とした分類)⇒正常 [フェリチン>100]
- 不定愁訴⇒なし
2)貯蔵鉄の減少
- 検診での貧血診断⇒貧血なし! [Hb>13]
- 栄養学的な意味での貧血 (フェリチンを中心とした分類)⇒潜在性鉄欠乏症(軽度) [80>フェリチン]
- 不定愁訴⇒軽度有
3)貯蔵鉄の減少・血清鉄の減少
- 検診での貧血診断⇒貧血なし! [Hb>13]
- 栄養学的な意味での貧血 (フェリチンを中心とした分類)⇒潜在性鉄欠乏症(重度) [30>フェリチン]
- 不定愁訴⇒同程度の不定愁訴
4)貯蔵鉄の減少・血清鉄の減少・赤血球の遊離
- 検診での貧血診断⇒軽度貧血 [13>Hb>10]
- 栄養学的な意味での貧血 (フェリチンを中心とした分類)⇒鉄欠乏症 [20>フェリチン]
- 不定愁訴⇒同程度の不定愁訴
5)貯蔵鉄の減少・血清鉄の減少・赤血球の遊離・組織鉄減少
- 検診での貧血診断⇒貧血 [10>Hb]
- 栄養学的な意味での貧血 (フェリチンを中心とした分類)⇒鉄欠乏症 [20>フェリチン]
- 不定愁訴⇒同程度の不定愁訴
鉄を多く含む食品(1食当りの目安量)
レバー、肉、魚、卵、大豆、緑黄色野菜、海藻等に多く含まれます。
●肉⇒豚レバー(50g) 6.5mg
鶏レバー1個(40g) 3.6mg
●海藻⇒ひじき 煮物1食分(8g) 4.4mg
●豆・豆製品⇒がんもどき中1個(80b) 2.9mg
納豆小1パック(50g) 1.7mg
●野菜⇒菜の花 小1/2束(100g) 2.9mg
小松菜1/4束(80g) 1.9mg
ホウレン草 小1/2束(100g) 1.8mg
●魚介⇒アサリむき身(50g) 1.9mg
カツオ(80g) 1.5mg
吸収率をUPさせる達人の技
鉄を多く含む食物は意外と少なく、しかも体内では吸収率があまりにも良くない‥と言うか、寧ろ悪い。そんな情けない環境にありながらも、お肉やお魚等の動物性蛋白質には、システインetc.の還元作用のあるアミノ酸が含まれているので、Fe3+をFe2+に変えて吸収を促してくれる効果があります。ビタミンCにも、同様の還元作用があるので、是非にでも一緒に食べてもらいたい成分の一つかな。
後、欧米では鉄の不足は万病の元って認識から、主食となる小麦粉に鉄が含有されている製品が一般的なんだとか。だから、フェリチンの値が、若い女の子でも、80とか100とかが当たり前。HISAKOのクリニックを訪れる女の子の多くが、下手をすりゃあ、4.5以下の測定不能判定が散見される現実を思うと、パンは欧米から輸入して喰え!?となる(笑)。
反対にオススメ出来ないものは、緑茶やコーヒー、紅茶等に含まれるタンニン。鉄と結びついて吸収率を下げる可能性があります。更に、敵はリン酸塩、食物繊維、穀類や豆類に含まれるフィチン酸、お茶に含まれるポリフェノール類は、鉄イオンを難溶性の鉄塩に変える為、腸に於ける鉄の吸収率を低下させる可能が!
亜鉛
生理作用
成人の場合、2~4g程度存在し、多くの酵素の構成要因として大活躍。蛋白質や遺伝子情報物質DNAの合成、糖質の代謝、インスリンの合成、免疫反応等に関わる酵素の成分として、七面八臀の大活躍!
酵素だけではなく、酵素の補因子しての働きも忘れてはいけません。GLAの代謝の際、σ6デサチュラーゼの補酵素として機能し、アトピー性皮膚炎等の炎症性疾患を抑える働きだってしているんです(美容通信2007年4月号)。
更に、味を感じる味蕾って代物が舌には存在しているんですが、この味蕾は極めて新陳代謝が活発で、10~12日の超短いサイクルで入れ替わり立ち代りしております。このスパンの短い、果てし無い味蕾の生産ラインには、亜鉛が不可欠。
そして、肉食系男子の必須アイテムでもあります。精子尾部の形成には、亜鉛がなくてはならない存在で、不足すると、生殖機能の低下さえも引き起こしてしまうのです、はい。
過剰・不足
亜鉛は毒性が低いとは言われておりますが、流石にアホみたいに大量摂取すれば、そりゃあ、急性中毒だって起こしますし、それが長期に続けば、銅の吸収阻害が起こって、貧血だのSOD活性の低下等々碌でもない事態に陥ります。まあ、普通に生きていれば、そんな過剰症を心配する必要はありえませんが、ね。
寧ろ、問題となるのは、不足の方。偏食したり、加工食品ばっか喰ってると、慢性的な亜鉛不足に陥っちゃう。特に加工食品は、亜鉛の吸収を阻害するポリリン酸等の食品添加物を多用しなければ成り立たないって星の下に生まれついています(笑)から、コンビニやファストフードの常連さんは要注意。貧血や、味覚異常(←最近、味の分らない若者が急上昇中なんだとか!!)、皮膚炎、欝状態に。傷の治りも悪くなる。男子に至っては、性機能が衰えて草食化する。さらに、亜鉛は免疫反応にも関与するので、不足すると、感染症、例えば風邪なんかにも罹り易くなっちゃうかな。ガキだと、成長障害も起こしてくるしね。
浴びる様に酒を飲めば、小腸からの吸収は悪い上に、オシッコに混じって便器に流れてさようなら。後、何でか分んないけど、リウマチを患っている人は、吸収が悪いんだそうな。
吸収
亜鉛は、小腸(主に十二指腸や空腸)で吸収されますが、摂れば摂っただけ吸収されるかと言うと、他のミネラル同様、そこまで素直じゃないんです。論文によると、亜鉛摂取量を30mg/日から7mg/日に減らすと、吸収は21%から47%へとUPしたんだそうな。
因みに、亜鉛の排泄は、主に膵臓で行なわれ、膵液と共に腸管内に分泌され、うんこの中に排泄されます。オシッコ内の排出は、うんこ内排泄の1/10以下だそうな。
亜鉛を多く含む食品(1食当りの目安量)
魚介類、肉類、玄米、豆類、野菜、海藻、種実に多く含まれます。特に、牡蠣は良い供給源♪
●魚介⇒牡蠣(剥き身)(50g) 6.6mg
(ゆで)タラバガニ足1本(廃棄量込重量)(180g) 2.9mg
鰻の蒲焼1串(100g) 2.7mg
ズワイガニ缶詰小1/2缶(45g) 2.1mg
●肉⇒牛肉(80g) 1.8~5.1mg
豚レバー(50g) 3.5mg
鶏もも肉(皮なし)(80g) 1.6mg
●その他⇒小麦胚芽(10g) 1.6mg
ゆで竹の子1食分(120g) 1.4mg
納豆小1パック(50g) 1.0mg
吸収率をUPさせる達人の技
繰り返しますが、加工食品に頼らず、自分で調理しろ!の一言に尽きますかねぇ。
その他の微量元素達‥
銅
ヘモグロビンの合成を助けたり、鉄の吸収を良くしたりと、貧血予防に欠かせないミネラル。レバー、牡蠣を始めとする魚介類、豆類、ナッツ類等に多く含まれます。
ヨウ素
成長や代謝を促す甲状腺ホルモンの成分として欠かせないミネラル。牡蠣を始めとする魚介類、海藻類に多く含まれます。
マンガン
骨の発育に重要なミネラル。同時に、エネルギー代謝にも欠かせないミネラルです。茶葉、種実、穀類、豆類に多く含まれます。
セレン
過酸化物質を分解する酵素の成分である事から、細胞の錆を防ぐミネラルとして注目。カツオやイワシ等の魚介類に多い。
クロム
糖質や脂質の代謝のお助けマン。インスリンを活性化し、不足すると血糖調整能力(耐糖能)が低下します。イワシの様な魚介類、肉類、海藻等に多く含まれます。
モリブデン
腎臓や肝臓にある補酵素を助け、有害物質を分解してくれる‥活性炭みたいなミネラル。レバー、豆類、種実等に多く含まれます。
コバルト
貧血の予防や神経の働きの正常化に必須です。レバーや魚介類、乳製品、モヤシ、納豆等々。
*註:HISAKOの美容通信に記載されている料金(消費税率等を含む)・施術内容等は、あくまでも発行日時点のものです。従って、諸事情により、料金(消費税率等を含む)・施術内容等が変更になっている場合があります。予め、御確認下さい。
※治療の内容によっては、国内未承認医薬品または医療機器を用いて施術を行います。治療に用いる医薬品および機器は当院医師の判断の元、個人輸入手続きを行ったものです。
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来月号の予告
サプリメントで栄養補助も大事ですが、ベースの食事があってこそ。
次回は、いよいよ最終章。
<美女ごはん~三大栄養素>です。