HISAKOの美容通信2013年11月号
女の一生と鉄欠乏性貧血
様々な不定愁訴、例えば微熱だとか、しょっちゅう風邪を引くとか、リンパ節が腫れるとか、イライラするとか、疲れ易い、冷え症、デブ、鬱っぽい、婆になって背骨が亀みたいに曲がって来た、不妊、ドライアイ、眠気・不眠、肩こり、腰痛、内出血し易い食欲不振、、ボケ、注意力散漫、耳鳴り、浮腫みっぽい…、皮膚科・形成外科的には傷が治り難いとか、シミや、ニキビ跡や傷跡、虫刺されの跡等の色素沈着が何時までも消えないとか、乾燥・肌荒れとか、薄毛とか等々。
これ、全て鉄欠乏性貧血のなせる業。
ところが、女の子の一生は、鉄欠乏性貧血との厳しいせめぎ合いなんです。
生理に加えて、小中学生の頃は急激な発育や体重増加による鉄需要の増加に始まり、中高生時代は部活で過激な運動や、無理なダイエットで鉄の需要は下がらず、大人になったらなったで、妊娠、分娩って一大イベントが控えています。
妊娠~出産後の多くの不定愁訴や精神症状の多くは、鉄の不足が関与していると言われています。
更に、一息付いたら、筋腫や悪性腫瘍が待っている(笑)。
貯蔵鉄であるフェリチンを増やす暇がない、目まぐるしい人生!
根性入れて貯蓄に励まないと、鉄の欠乏は進むばかりになっちゃいます。
ヴィクトル・スタルヒン(須田博)は、HISAKOの高校(旭川東高校)の大先輩で、実家のある旭川にはその名を冠したスタルヒン球場なるものがある位の、加藤隼特攻隊長・加藤建夫と並ぶ旭川の2大ヒーローです。北海道には、スタルヒン同様に、ロシア革命の際に亡命してきた白系ロシア人が数多くいました。白は、道産子のHISAKOにとって、昔から王党派の白。赤は、社会主義や共産主義、特に急進派が好んで使う色です。
私達の血の色が赤いのは、赤血球に含まれるヘモグロビンが鉄の錯体を含んでおり、これが酸素と結合すると赤くなる為で(酸化前の赤血球固有色は黄である)、国家・政治に関する赤とは、まったく無関係です。ですが、血のイメージから転じて、旧帝国陸軍歩兵科の兵科色として緋色が制定されていたのは紛れもない事実で、その系譜として陸上自衛隊に於いても、普通科の旗やパレード時に着用するスカーフ等は赤色が用いられています。…たかが赤、されど赤。
以前”美女ごはん”で特集したミネラル編(美容通信2009年12月号)でも取り上げたましたが、今月号ではもっと掘り下げて”貧血”の特集です。
貧血って病名はない。
小学校の頃、朝礼の最中に、くだらない校長先生の説教だか談話だかに対する一種の(心理的?)サボタージュとして、”貧血”起こしてぶっ倒れるガキが2、3人はいましたよね。HISAKOは何時も「先手打たれた!」と羨ましく思っていましたが、この貧血、貧血って世の中で称されている「めまい」や「立ちくらみ」は、実は、貧血ではありません。様々な不定愁訴、例えば微熱だとか、しょっちゅう風邪を引くとか、リンパ節が腫れるとか、イライラするとか、疲れ易い、冷え症、デブ、鬱っぽい、婆になって背骨が亀みたいに曲がって来た、不妊、ドライアイ、眠気・不眠、肩こり、腰痛、内出血し易い食欲不振、、ボケ、注意力散漫、耳鳴り、浮腫みっぽい…、皮膚科・形成外科的には傷が治り難いとか、シミや、ニキビ跡や傷跡、虫刺されの跡等の色素沈着が何時までも消えないとか、乾燥・肌荒れとか、薄毛とか等々が、貧血が原因で起こる症状です。つまり、経過が慢性であればあるほど、貧血の自覚症状は意外と少ないものなんです。
貧血とは、”個体の全血球量、ヘモグロビン量の減少”によって引き起こされる様々な症状(不定愁訴)であり、病名ではないんですよね。だから、何でそもそも貧血が起こったのかって、原因を探す事から始めなきゃいけないんです。
一括りに貧血と言っても、実は色々な貧血がある。
貧血が何で起こったのか、謂わば発生機序から貧血を分類すると、①赤血球の産生数自体が減ったか、②沢山失われてしまったかの、2種類に大きく分けられます。
先ずは、赤血球の一生を見てみましょう。
上記の何処かの段階で問題が発生すると、貧血になるんです。
1.赤血球産生数の減少
- 幹細胞レベルでの異常
ⅰ)多能性幹細胞の異常⇒再生不良性貧血
Vit.A欠乏が原因。Vit.Aって凄く大事なんですが、国が定めている摂取量は、目が見えなく(夜盲症)ならない最低レベルの量でしかなくて、粘膜や血球の減少なんて全く考慮しておりません。結構、薄情なんですよ。
ⅱ)赤血球系単能性幹細胞の異常⇒赤芽球症
ⅲ)幹細胞分化の異常⇒腎性貧血
エリスロポイエチン欠乏が原因。唯、腎臓ってところは司令塔って自意識が高いのか、よっぽど悪くなんないと、検査データ上にも自覚症状としても現れないので、意外に始末が悪いんだよなぁ。
- 赤芽球レベルの異常
ⅰ)赤芽球の増殖障害⇒巨赤芽球性貧血
DNA合成障害、つまり、ビタミンB12&葉酸の欠乏が原因です。
ⅱ)赤芽球の成熟障害(ヘモグロビン合成障害)
・貯蔵鉄の欠乏。
・栄養欠損(蛋白質・ビタミンB群・ビタミンA等)
・赤芽球への鉄の受け渡しが上手く行かない⇒慢性炎症性疾患による貧血
リウマチとか膠原病とか、所謂自己免疫疾患なんかが相当します。
2.赤血球の消失数が嵩んでしまった…
- 赤血球の崩壊量過剰!
ⅰ)赤血球自身の欠陥
出来損ないの赤血球と言うか…まあ、赤血球自体の欠陥って奴ですわなぁ。ビタミンEやグルタチオンが欠乏していると、砂糖菓子みたいに脆く壊れ易くなっちゃうんです。
ⅱ)赤血球の置かれている環境に問題がある(フリーラジカル)
スポーツや酒は、赤血球に対し、実は過酷な環境を強いているのですよ。
- 赤血球の血管外への喪失
出血です。胃潰瘍でも、子宮筋腫でも、鼻血でも、兎に角血が出れば、その分減ります。
貧血を貴女が改善してくれないから、体は涙ぐましい対処をしている
貧血で組織への酸素の配給が減ると…、戦時中の庶民の苦労を垣間見る(笑)って感じかな。唯、限られた配給の中で遣り繰りをするので、どうしたって生命維持に必要な大事な脳や心臓、筋肉への血流を増大して、少しでも運ばれる酸素の合計量を増やそうと涙ぐましい努力を続ける反面、贅沢品である皮膚や腎臓への血流はぐ~っと下がる。せめて、筋肉や脳みその需要が減る夜中は寝ておかないと、皮膚にお零れが回って来ない(笑)。「肌荒れが」とか言いながら夜更かししている貧血女子は、自分で自分の首絞めてんのと同じだよね、全く!
- 脳神経系
赤血球は、アベノミックス下の黒田日銀顔負けに、ヘモグロビンの組織への酸素放出を増やし、血管も重要臓器への血流増大と、最大限の優遇措置を脳神経系には行いますが、それでも、全身倦怠感や頭痛、めまい、耳鳴り、湿疹、眠気、うつ、集中力の低下、食欲不振等の症状に見舞われる事もあります。
- 心臓
心拍量増加(心拍数↑・1回拍出量↑)で頑張りますが、その頑張りも虚しくと言うか、その頑張りがそのままと言うか…、動悸や狭心症発作を来す事も。
- 骨格筋
筋肉痛、こむら返り、肩こりと、ロクでもない事のオンパレード。貧血が原因でも起こるんだぞぉ! 手もみん前に、焼き鳥屋でレバー頼んだ方が良いんじゃないかい(笑)。
- 肺
そりゃあ、肺だって、呼吸機能を亢進させて、貧血による損害の穴埋めに必死になります。呼吸数や肺活量を増加させますが、息切れや頻呼吸になる。…でも、ホント、自覚がないから、貧血が改善して来て初めて、「今までこんなものかと思って階段を上り下りしていたけど、実はもっと楽なものだったんだぁ!」って気付く患者さんが多いのも事実。恐るべし、貧血。
- 皮膚
貧血で組織への酸素の配給が減ると…、戦時中の庶民の苦労を垣間見る(笑)って感じかな。唯、限られた配給の中で遣り繰りをするので、どうしたって生命維持に必要な大事な脳や心臓、筋肉への血流を増大して、少しでも運ばれる酸素の合計量を増やそうと涙ぐましい努力を続ける反面、贅沢品である皮膚や腎臓への血流はぐ~っと下がる。せめて、筋肉や脳みその需要が減る夜中は寝ておかないと、皮膚にお零れが回って来ない(笑)。「肌荒れが」とか言いながら夜更かししている貧血女子は、自分で自分の首絞めてんのと同じだよね、全く!
脳神経系
赤血球は、アベノミックス下の黒田日銀顔負けに、ヘモグロビンの組織への酸素放出を増やし、血管も重要臓器への血流増大と、最大限の優遇措置を脳神経系には行いますが、それでも、全身倦怠感や頭痛、めまい、耳鳴り、湿疹、眠気、うつ、集中力の低下、食欲不振等の症状に見舞われる事もあります。
心臓
心拍量増加(心拍数↑・1回拍出量↑)で頑張りますが、その頑張りも虚しくと言うか、その頑張りがそのままと言うか…、動悸や狭心症発作を来す事も。
骨格筋
筋肉痛、こむら返り、肩こりと、ロクでもない事のオンパレード。貧血が原因でも起こるんだぞぉ! 手もみん前に、焼き鳥屋でレバー頼んだ方が良いんじゃないかい(笑)。
肺
そりゃあ、肺だって、呼吸機能を亢進させて、貧血による損害の穴埋めに必死になります。呼吸数や肺活量を増加させますが、息切れや頻呼吸になる。…でも、ホント、自覚がないから、貧血が改善して来て初めて、「今までこんなものかと思って階段を上り下りしていたけど、実はもっと楽なものだったんだぁ!」って気付く患者さんが多いのも事実。恐るべし、貧血。
皮膚
前述の通り、贅沢品の皮膚には血流を減らしてでもって自己防衛に体が走るので、今時の女子中高生みたいな、カラコンしてなくてもブルーな瞳に、白人も真っ青な色白と言うよりは顔面蒼白って表現が似合う肌色。ガキの癖に爺婆みたいに乾燥した皮膚。粘膜も弱いから、花粉症の挙句のドライアイ…。
前述の通り、贅沢品の皮膚には血流を減らしてでもって自己防衛に体が走るので、今時の女子中高生みたいな、カラコンしてなくてもブルーな瞳に、白人も真っ青な色白と言うよりは顔面蒼白って表現が似合う肌色。ガキの癖に爺婆みたいに乾燥した皮膚。粘膜も弱いから、花粉症の挙句のドライアイ…。
主な貧血について
鉄欠乏性貧血
鉄欠乏症には、①鉄欠乏(iron deficiency)、②潜在性鉄欠乏性貧血(latent iron deficiency anemia)、③鉄欠乏性貧血(iron deficiency anemia)の3つがあります。
鉄の存在様式
鉄は体内には3~4g存在しています。しかし鉄一括りに言っても、体内では鉄は色んな形で存在しています。
- 機能鉄
ヘム鉄と非ヘム鉄の2種類があり、前者のヘム鉄とは、蛋白質と結合した鉄、つまり有機鉄で、ヘモグロビン、ミオグロビン、チトクローム、カタラーゼ等がこれに相当します。
赤血球のヘモグロビンや筋肉中のミオグロビンの構成成分で、体内の鉄の約70%を占めるのが機能鉄です。酸素分子と結合する性質があるので、赤血球の中に存在するヘモグロビンは、肺から取り込んだ酸素を、全身の組織に運搬する事を生業としております。ミオグロビンは心筋や骨格筋等の筋細胞に存在し、ヘモグロビンによって運ばれて来た酸素を受け取り、芹組織に運搬・貯蔵して、筋肉でのエネルギー産生を手助けします。
チトクロームは、細胞内(ミトコンドリアの内膜や細胞質内膜系etc.の膜)に存在するヘム鉄蛋白の一群(a、b、c、d、P450)で、生体内の電子の移動(酸化還元反応)に重要な役割を果たし、エネルギーの産生に関与しています。中でも、P450は肝臓に多く、解毒酵素として有名です。又、カタラーゼは、HIAKOのクリニックにシミや色素沈着で受診している患者さん達にとってはもう常識! シミの分解にはこやつがいないと話にならず、美白の化粧品を塗ろうと、飲み薬飲もうと、も~何やっても白くなりませんから! 体内の鉄の約0.3%は、この様な酵素の構成成分です。
非ヘム鉄は、蛋白質と結合していない無機鉄です。
- 貯蔵鉄
残りの約30%が、貯蔵鉄。肝臓や骨髄、脾臓、筋肉etc.にストックされていて、機能鉄が不足した時に使う‥まあ、ヘソクリみたいなもんです。フェリチンとへモシデリンの2種類があります。
運搬鉄
言葉通り、トランスフェリンは血中での鉄の運び屋さん。ヘモペキシンは、血中のfreeのヘムに憑りついて、肝臓に運ぶのがお仕事。ハプトグロビンは主に肝臓で産生されるヘモグロビン結合蛋白で、血中の遊離型ヘモグロビンと結合する事によって、尿中への遊離ヘモグロビンの喪失を防ぎます。
鉄の収支決算書
繰り返しますが、鉄にはヘム鉄と非ヘム鉄の2種類があります。前者のヘム鉄とは、蛋白質と結合した有機鉄で、お肉やお魚等の動物性食品に多く含まれており、吸収率が10~30%。それに対し、非ヘム鉄は、吸収率がナント、2~5%しかありません。非ヘム鉄は蛋白質と結合しない無機鉄で、お野菜や穀物と言った植物性食品に多く含まれています。これらを一日に10~15mgを食事でちゃんと摂っていればの話ですが、腸管から吸収される鉄は、約1mgになります。
おしっこや、うんこ、汗、皮膚や粘膜の細胞剥離等々で毎日1mgが排泄されますから、この均衡が保たれていれば収支決算ゼロ。生理が上がっちゃったおばちゃんと、元々生理なんてない男子は、痔とか、癌とか、通り魔に出刃包丁で刺されて出血したとか…何か特別な原因(事件?)が無ければ、世界は平和。
ところが、生理がある世代、まあバリバリ現役女子世代とでも言いますかね、月々の生理があります。平均月経血量は、日本人の成人女子の場合、約60mlなんだそうです。この量に含まれる鉄の量は約30mgに相当しますから、生理的排泄と併せると、生理がある現役女子が1日に必要とする鉄の量は日本男児の2倍である2mg/日([鉄喪失量(1mg)+月経血(1mg)]÷吸収率=1日の鉄必要量)になります。
生理に加えて、乙女の頃は急激な発育や体重増加による鉄需要の増加、色気が出て来る頃は部活で過激な運動に励んだり、無理なダイエットに走ったりと、やらんでもいいじゃ~んで鉄の需要は下がらず、大人になったらなったで、妊娠、分娩って一大イベントが控えています。この時期には、ナント、さらに需要は増大し、1日3mgの鉄が必要です。妊娠~出産後の多くの不定愁訴や精神症状の多くは、鉄の不足が関与していとも言われています。更に、一息付いたら、筋腫や悪性腫瘍が待っている(笑)。貯蔵鉄であるフェリチンを増やす暇がない、目まぐるしい人生! 根性入れて貯蓄に励まないと、鉄の欠乏は進むばかりになっちゃいます。
因みに、根性の入れ方を指南致しましょう。20~30代の、バリバリ現役女子の鉄の必要量を計算してみます。
- ヘム鉄(吸収率:10~30%)の場合
最低の吸収率である10%で計算すると、2mg÷0.1=20mg。これは、
イワシ(1尾60g)なら、25尾に相当します。
レバニラ炒め<なら、10人前ですかね。
- 非ヘム鉄(吸収率:2~5%)の場合
最低の吸収率である2%で計算をしてみると、2mg÷0.02=100mgなので、
納豆(小1パック)なら、約59パック。
ホウレン草(150g)なら、約33束になります。
根性も中々大変なものです…。
鉄欠乏性貧血の症状
列挙しましょう。
- 粘膜や皮膚の委縮と機能低下。
具体的には、花粉症の時のドライアイだとか、くしゃみ、皮膚の乾燥なんかは、鉄欠乏が改善するだけで、症状がかなり緩和されるって事です。
- 神経症状
眠気と不眠って、相反する事のように思うかも知れないけど、実はこの両者のバランスを取ってるのが鉄なんです。鉄が減ると、やる気もなくなるぞ~っ!
- 運動機能の障害
平たく言うと、肩こりとか、腰痛とかですねぇ。
- 心負荷増大による心肥大、ST-Tの異常
- 月経異常、妊娠の維持や分娩に支障を来す…。
- ガキんちょでは、知能の発達低下、身体発育の低下、情緒不安定、注意力散漫…。
それって、学級崩壊、そのまんまやん。
- 易感染性(細胞免疫能の低下)
リンパ球や好中球の働きが落ちて、風邪やインフルエンザ、カンジダ、食中毒、イボ、子宮頸癌…。
- 寒がり
後述の通り、甲状腺機能低下と関係があります。T4→T3の変換には、プロゲステロン(美容通信2011年10月号)(美容通信2010年9月号)(美容通信2010年12月号)も大事だが、鉄や亜鉛も実は関与しているのだぁ!
- フリーラジカル障害、過酸化脂質の増加
- 溶血傾向
- コラーゲン形成不全
ちょっとぶつけたんだかぶつけてないんだか知らないけど、しょっちゅう内出血。胃下垂もそうだけど、内臓がだら~んと下がる。
- 認知力の低下
貧血検査の一番の注目株はフェリチン
「でも~ぉ、会社の検診や人間ドックで”貧血”なんていわれたことないし~ぃ」と、思うかもしれませんが、実は”隠れ肥満”ならぬ”隠れ貧血(鉄不足)”が、世の中に可なり横行しているのも事実です。この隠れ貧血(潜在性鉄欠乏症)の存在を確認する為には、血清フェリチンの値の測定が必須で、貯蔵鉄を推定するのに非常に有用な検査項目です。HISAKOのクリニックでは月に100人以上採血を行っていますが、初診時の採血で百点満点だった女子を未だ見た事がありません。
鉄欠乏性貧血の鉄補給は、実際的にはこの値を参考にしながら治療を行います。つまり、フェリチン1ng/mlが貯蔵鉄8mgに相当するので、成人では1000mgの貯蔵鉄が必要である事がコンセンサスを得ています。つまり、1000/8=125が理論上の正常値になり、これを目指して鉄を処方して行きます。
しかしながら、感染症の様な炎症、肝機能障害etc.を伴っている場合は、GOT、GPT、乳酸脱水素酵素(LDH)等と一緒に値が上昇して本来の姿をマスクしちゃうから、額面通りに評価すると痛い目に合うので要注意! 悪性腫瘍、特に白血病や膵癌、肺癌、胃癌、大腸癌の肝転移で陽性率が高く、腫瘍マーカーとしても用いられている位。糠喜びしてはいけないのがフェリチンなんです。まあ、HISAKOのクリニックの患者さんは、殆ど耳タコ状態なので、額面上の値で喚起する人は皆無ですが…。
大球性貧血
”赤血球の生成と消失”の図を見て下さい。巨赤芽球性貧血とも言います。ビタミンB12 and/or 葉酸の欠乏が原因で起こる貧血です。以前、美女ごはん(美容通信2009年11月号)でも特集しましたが、B12はレバー、魚介類、チーズ、肉、卵etc.に、葉酸はその名の通り、緑黄色野菜に多く含まれていますがが、他にもレバー、肉、果物、豆類等にも含まれてます。
- ビタミンB12欠乏症の原因としては、
①ビタミンB12摂取不足
ビタミンB12は微生物で合成されるので、植物性食品には殆ど含まれおらず、葉っぱばっかり食べてる敬虔なベジタリアンは摂取不足になり易いんです。慢性アルコール依存症の患者も、同様、摂取不足の憂き目にあっちゃうかも。
②ビタミンB12吸収障害
ビタミンB12の小腸からの吸収には、胃壁から分泌される内因子が必須です。ところが、胃の全的手術を受けた人や胃粘膜に問題ありって人は、内因子の不足故の吸収障害に。
③ビタミンB12利用障害或いは需要増大
利用障害の最たる人は、肝臓が悪い人。需要増大の最たる人は、ママたま(妊婦)さん。
- 葉酸欠乏症
①葉酸摂取不足
アルコール依存症、偏食、ヤギのお乳で育った…。後、不適切な調理方法かな。葉酸は、光に弱く、新鮮なお野菜を日の当たる場所に3日間放置しておくと、70%の葉酸が分解されていなくなってしまいます。それ故にお野菜は、買ったらすぐ冷蔵庫に仕舞い込み、そしてとっとと食べるのがお約束。調理方法って意味では、葉酸は水溶性なので、調理中に95%が水に溶出しちゃうので、汁やスープごと食べちゃう調理法をセレクトしてね。
②葉酸吸収障害
HISAKOの様な性悪な腸管(美容通信2013年8月号)の持ち主やピル常用者、抗癌剤飲んでても吸収は阻害されるよ~ん。
③葉酸利用障害或いは需要増大
需要増大の最たる人は、ママたま(妊婦)さん。
大球性貧血の症状
列挙しましょう。
- 貧血に基づく症状
全身倦怠感、動悸、頭重感、耳鳴り、めまい
- ハンター舌炎(イチゴ舌)
舌は赤色調を帯日、舌乳頭の委縮、舌痛を伴い、味覚障害を訴えるでやんす。
下痢又は便秘
骨髄と腸管って、弱っちいので、最初に損なわれるんですよねぇ。無酸又は低酸に伴う食欲不振、腹部膨満感etc.と、消化器症状を訴えるケースが多いかな。
- 黄疸
無効造血に起因。
- 年齢不相応の白髪
- 神経症状
末梢神経障害ないしは脊髄後索症状、一般に下肢から上方に進展する(ギランバレー症候群)。
振動覚の低下→運動失調症→歩行障害、ロンベルグ徴候陽性
葉酸欠乏では、神経症状を欠くんだそうな。その他、不眠症、記憶力低下、過敏症の原因にもなるんだよ~ん。
大球性貧血の人に処方するサプリメントはこんな感じ。
- ビタミンB12 1200μg~;多量頻回がお約束♪
- 葉酸 10μg~;多量頻回がお約束♪
- ビタミンA(マルチカロチノイドを含む) 60000IU~
- ビタミンE 400~800IU
- トコトリエノール 160mg~
- ビタミンB群 B1レベルで150mg~
- 蛋白質(アミノ酸) 30g(5g)~
- ビタミンC 5000mg~
- ヘム鉄 24mg~
- DNA 90mg
- カルシウム 1000mg~;B12-葉酸の吸収に必要
- マグネシウム 1000mg~
- EPA 1000mg~
- ダイエタリーファイバー/プロバイオティクス 6~9g
- ラクトフェリン 600~1200mg
赤血球寿命短縮
所謂、溶血性貧血としての診断基準には至らないレベルなのでついつい見逃しがちだけど、軽度の赤血球の寿命短縮も忘れてはいけない存在です。
検査データ的には、
- 間接ビリルビン↑
- LDH↑
- 血清鉄↑
- 網状赤血球↑
赤血球自体であれ、血漿成分であれ、何か問題(ストレス)が起これば、そりゃあ、赤血球は天寿を全うする事が出来ず、早く死んでしまいます。この様な活性酸素による膜障害を少しでも歯止めを掛けたいと願うのなら、やっぱビタミンCとEは外せませんよね。
女子のライフサイクルと鉄欠乏性貧血
前述の”鉄の収支決算書”でも触れましたが、鉄の欠乏は、女子の波乱万丈な一生涯の証明書みたいなものです。
鉄の需要が増える要因としては、以下の事象が挙げられます。上の女の一生の図を見ながら読んで下さいませ。
- お母さんのお腹の中にいる間に、奪える鉄はお母さんから全て奪って蓄財に励んだ赤ちゃんですが、生後5ヶ月にもなると貯金(貯蔵鉄)を使い果たし、殆ど所持金ゼロになってしまいます。
尤も、これはまともに生まれた赤ちゃんのお話で、3000g以下のプチサイズで生まれて来た赤ちゃんは、それよりも2ヶ月ほど早く底値に達してしまうんだとか…。
- 6ヶ月~3歳位までは、めきめきガタイがデカくなり、当然ながらそれに伴い、鉄の需要も増大します。
- 12~20歳位までの、所謂成長期は、縦にも横にも大きく育ち、血液量も増加します。
生理で失われる量も更に加えて稼がないと駄目なので、同級生の男の子の倍の2mg/日は摂らなきゃあかんのですよ、はい。因みに、乳児期、小児期、思春期を通じ、体重1Kg増加に付き30mgの鉄が必要です。
- アスリートと名乗るのはおこがましい部活レベルだって、筋肉を動かす以上、筋肉に酸素を運ぶミオグロビンは大量に必要なんです。
- 妊娠すれば、お腹の中の赤ちゃんの成長に伴い、赤ちゃん自身の赤血球の合成だけでなく、それを維持する為のお母さんの子宮形成・維持に、大量のヘモグロビンが必要になります。
- 子宮筋腫や悪性腫瘍等、若い頃は考えもしなかった病気が、女子会で当たり前の会話になる世代…。
これらの腫瘍等からの出血量の増大に伴って、当然需要量も増加するんだよ~ん。
出来ちゃった。堕す気がないので、ママたまになった…。
出来ちゃった。堕す気がないので、ママたまになった…。こ、これは良くない。「妊娠中の不適切な栄養は、胎児の発育に影響する」のは事実だが、出来ちゃってからの話じゃなくて、妊娠する前からの下拵え(栄養)が最も大切なんです。デブやガリガリ、貧血等を改善しないまま妊娠すると、お腹の中の赤ちゃんの発育のみならず、妊娠・出産・産褥期のトラブル、生まれてからの赤ちゃんの発育、貴女(母親)自身の健康に暗い影を落とします。
ママたまの栄養と食生活
妊娠中の不適切な栄養は、胎児の発育に影響すると言われても…、「ん?」と首を捻ってしまわない様に、幾つか代表的な症状について解説しますね。
つわり
妊娠4~8週位からみられ、吐き気、嘔吐、食欲不振、嗜好の変化等を主な症状とするもので、早朝空腹時に多いとされています。このつわりの程度には個人差があり、ストレスや不安で増悪する事も多く、精神的な要因も大きいとされています。この時期の胎児は超ミニミニで、約20~100g。それ故に、母親の栄養状態には殆ど影響を受けないと世間的には考えられていて、「つわりで食べれれなきゃ無理せんくてえ~じゃ~ん」って嘆かわしい風潮が蔓延しています。
ところが、この時期は、以前”ママたまと薬”(美容通信2009年9月号)でも特集しましたが、細胞の分化・分裂が盛んに行われている時期でもあります。つまり、この大事な時期に十分な栄養素がお腹の中の赤ちゃんに行き渡らないとなると…、虐待とまでは言わないにしろ、これはもう人的被害って奴ですかね。
そんな訳で、この時期の栄養学的アプローチとしては、
- ビタミンA、亜鉛、ビタミンB12+葉酸による、細胞分化に対するアプローチ。
- ビタミンB6によるつわり軽減の為のアプローチ。
- ダイエタリーサプリメントによる栄養補給の重要性。
以下、ビタミンAと葉酸について、補足を加えておきます。
ビタミンA(美容通信2009年12月号)(美容通信2007年3月号)と聞くと、クラシックな概念をお持ちのママたまは、「とんでもない!」と頭から拒絶反応を示す人もいるけど、ビタミンAは細胞の分化・分裂には必須のアイテム。それなのに何でそんな流言が飛び交っているのかと申しますと、1995年、ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディスンに、「ビタミンA大量投与による催奇形性」について書かれた論文が掲載されたんです。ところが、これ、生体のホメオスターシス機構を乱す恐れのある合成レチノイド誘導体(レチノイン酸誘導体等)を使っているetc.と、ちょっとどころか結構問題アリのプロトコールだったんですよ。翌年には、米国立小児健康ヒト発育研究所小児免疫部のJ.Lミルズ博士によって全く正反対の公式見解が出されています。か、マスコミ的に面白いと言うか、センセーショナルな”ビタミンA=催奇形性”ばかりが独り歩きして、世間の常識にすり替わっちゃったんですよ、ねぇ。
ビタミンAについて以前もお話しましたが、脂溶性ビタミンの1つで、レバーだとかウナギの蒲焼、銀ムツ等の主に動物性食品に含まれていて、体内ではレチノール、レチナール、レチノイン酸の3種類の活性型としてお仕事してます。が、体はお利口なので、自浄作用と言うか、生体のホメオスターシス機構は、体内でレチノイン酸が過剰にならない様に厳密にコントロールを行っています。つまり、私達は小難しい事を態々考える必要なんてなくて、唯、クルードなビタミンA前駆体(β-カロチン等)と組み合わせて至適量のレチノールを摂っていさえすれば、後は、おまかせ。勝手に体が調整を図ってくれるんです。
実際、副作用については、1994年及び19995年の日本ビタミン学会に於いて、”経口摂取のビタミンAは、かなり大量に摂っても、十分に蛋白質を摂取していれば、副作用は現れない”との報告がなされています。因みに、ビタミンAの単位としてIUって単位を良く耳にすると思いますが、1万IUって、実は3mg。口から食べたり飲んだりしている(経口摂取)分には、1日最大300mgまでは、つまり300万IUって事になりますが、安全なんだそうです。
葉酸は、ママたまの必須アイテム。葉酸の摂取量が十分でないと、新生児に二分脊椎等の神経管異常が発生します。左図を見て下さい。二分脊椎の発生率は、2003年には新生児1万人につき5.6人と、5年連続で増加の一途を辿っているます。
この病気、神様の悪戯なんかじゃなくて、単に摂取不足が原因。ママたまへの葉酸補給で100%予防が出来るとされています。がぁ、妊娠10週までの補充が大事なので、妊娠に気付いてからじゃ当たり前だけど遅くって、Hする前から摂ってないと駄目。
更に付け加えとくと、この大事なB12-葉酸の吸収を阻むのが、実はピル。”結婚前はピルで避妊。籍を入れたら、さあ子供♪”って、能率至上女子を自認していると、「親の因果が子に報い」って羽目になりかねません。くわばらくわばら。
妊娠中毒症
妊娠後半期に出現し易い、一種の妊娠不適応症。高血圧や浮腫、蛋白尿が主な症状とされています。胎盤の機能を損なうので、赤ちゃんが栄養不足に陥って、挙句に子宮内胎児発育不全とか胎児死亡と、話が、ホント、大事になってしまいます。デブの妊婦に起こり易く、馬鹿食いが高じる等のエネルギー過多で症状が増悪します。
そんな訳で、この時期の栄養学的アプローチとしては、
- EPA(美容通信2010年6月号)は、尿細管の血流を改善してくれるので、蛋白尿にも○。
- デブは諸悪の根源とまでは言わないにしろ、肥満改善の為に、蛋白質を中心とする栄養補給(美容通信2010年4月号)と、特に糖分を始めとするエネルギー制限(美容通信2011年4月号)の意義。
- カルシウム、マグネシウムの摂取の重要性。
以下、妊娠・授乳期のカルシウムについて、補足を加えておきます。
カルシウム | 妊娠前 | 妊娠期 | 授乳期 | |
5~6ヶ月 | 9~10ヶ月 | |||
摂取量(mg日) | 750 | 660 | 890 | 922 |
吸収量(mg日) | 165 | 332 | 366 | 335 |
吸収率(%) | 27 | 54 | 42 | 36 |
バランス(mg日) | -87 | +39 | +134 | +54 |
妊娠末期は、副甲状腺ホルモンPTH分泌が増加し、お母さんの体を構成している骨からカルシウムを搾り取り、胎盤を通してお腹の中の赤ちゃんに貢ぎまくると言う、まるで、ホスト狂いの風俗嬢的な一方通行の構図になります。それ故に、この時期にカルシウムを十分摂取しておかないと、お母さんの骨は老婆の様なスカスカ状態になり、同時にカルシウムが血管平滑筋細胞に侵入するので、血管が収縮し易くなっちゃいます。
貧血
妊娠すると、赤ちゃんへの造血や貯蔵鉄の減少等で、鉄の必要量が高まります。又、出産時の出血での鉄の喪失等を考慮すると、妊娠、出産、授乳期を通してヘム鉄の補給が重要になります。貧血があると、胎児の発育を損なう(子宮内胎児発育遅延、胎児仮死、未熟児等)だけでなく、出産が長引いたり、産後の体力回復にも悪影響を及ぼすので、妊娠する前からの下準備(ヘム鉄の補給)は必須です。兎に角、ママたまってもんは、燃費の悪いアメ車みたいな存在なんです。
左図の様に、お腹の中の赤ちゃんは、全てに最優先される絶対王。無い袖は振れませ~んと領民が幾ら泣き言を言おうとも、無慈悲にも、ペンペン草も生えないまで徹底的に搾取を行います。まるで国税局って陰口を叩かれようと、への河童なのが胎児。しかし、これも搾取出来る相手があってのお話で、お母さんが極端な鉄欠乏性貧血の場合、お腹の赤ちゃんは鉄が不足します。その結果、心臓に穴が開く心臓中隔欠損症や、アトピー性皮膚炎、喘息等々と、親の因果が子に報いの典型的なパターンになってしまいます。アメリカとかカナダでは、この様な不幸な逸話を少しでも減らすべく、尤も赤ちゃん自身もそんな不運な星の下に生まれない様に自衛策を講じる、これを別名不妊とも言いますが、フェリチンの値が40ng/mlを切るようだと、妊娠する事自体勧めないって指導をするみたい。
この時期の鉄の必要量は3.5mg/日で、喪失量は2.5mg/日。但し、妊娠後半6ヶ月では更に必要量はUPするので、もっともっと鉄を喰え、鉄を喰えとお尻を叩き続けられる羽目になります。
う、生まれる。
早産の原因の一つに、歯周病があるのを御存知ですか? 歯周病とは、口腔内の慢性感染症であり、歯周病に罹患している部位の歯肉溝浸出液中の炎症物質の濃度や総量が、有意に高い事が報告されています。
この歯周病で見られる炎症性物質は、出産時に大きく関わるものが多く、子宮収縮を誘発し、切迫流産、出産までの期間の短縮に繋がるんだそうな。…歯科の受診も大事だが、丈夫な歯肉は、ビタミンCや鉄欠乏だと叶わないですよね。
う、生まれた。さあ、おっぱいをあげよう。
赤ん坊の主食は、おっぱいです。ところが、おっぱいは枯れるまでず~っと同じ成分かと言うと…違うんです。
生まれて3~5日の、ちょっと黄色っぽくてねばっこいおっぱいを初乳と言います。蛋白質やミネラルが多く含まれ、各種の免疫成分、特に感染抑制作用のある分泌型免疫グロブリンが蛋白質の大部分を占めています。この他、ラクトフェリン、リゾチーム等抗菌物質も多量に含まれていて、感染予防の旗手として八面六臂の大活躍!
他にも、大量のビタミンA(>3.5μmol/l)が初乳には含まれていて、赤ちゃんの発育に伴って需要がバカバカ増大するのに対応しています。ビタミンAが不足すると、成長障害が起こったり、見た目的には皮膚が恐ろしくカサカサ乾燥してしまいます。
ビタミンBについては、多くのお母さんが妊娠中に貯金を使い果たしてしまっている事が殆どで、授乳初期に於いては、おっぱいの中のビタミンB6レベルが低くなっています。ビタミンB6が欠乏したおっぱいしか飲んでない赤ちゃんは、痙攣を起こしたり、不眠、無感動、落ち着きがない等々の困ったチャンになり易いんですって!
泌乳期 | 全固形分 (g) |
エネ ルギ ー (k cal) |
蛋白質 (g) |
脂質 (g) |
乳糖 (g) |
灰分 (g) |
Ca (mg) |
P (mg) |
Fe (μg) |
Na (mg) |
K (mg) |
Zn (μg) |
初乳 (3~5日) |
12.7 | 65.7 | 2.1 | 3.2 | 5.2 | 0.31 | 29.4 | 16.8 | 45.1 | 33.7 | 73.8 | 1039 |
移行期 (6~10日) |
12.7 | 66.6 | 1.9 | 3.4 | 5.4 | 0.32 | 30.1 | 18.6 | 42.0 | 27.5 | 73.3 | 456 |
成熟期 (121日~240日) |
12.1 | 65.7 | 1.1 | 3.6 | 6.2 | 0.22 | 26.0 | 13.6 | 25.3 | 12.6 | 48.7 | 266 |
牛乳 | 12.6 | 67 | 3.3 | 3.8 | 3.8 | 0.7 | 110 | 93 | 20 | 41 | 150 | 400 |
おっぱいを飲むのは赤ちゃんだが、出すのはお母ちゃん。お母ちゃんの栄養状態が悪いと、当然出るおっぱいの質も下がり、このおっぱいを唯一のご飯として生きている赤ちゃんにも被害が及びます。今時よく見掛ける食生活の変化やダイエット志向、とばっちりを受けた赤ちゃんは、しゃべれないので、せめてボディランゲージとばかりに、盛んにアピールします。しょっちゅうおっぱいを欲しがったり、一度咥えたら絶対離すまいと長期戦に持ち込みたがったり、不機嫌、泣く、糞詰り、小っちゃいまんまで体重も増えない…。
就学前の、可愛い盛りの子供達
就学前の可愛い盛りは、知能、情緒の面等の精神活動が目覚ましく発達する時期に一致し、日に日に人間らしく、会話も成り立つようになり、どんな不細工なガキであろうとも、皆等しく可愛いく見えてしまいます(笑)。脳みその発達はお母さんのお腹の中にいた胎児期の3ヶ月頃より急速に早まり、生後6か月で著しく成長。その後は1~2歳までは緩やかに成長を続け、4~6歳頃にはほぼ大人の脳みその9割方にまで育ちます。
ところが、低体重児で生まれて来ると、スタートから不利な状況。特に鉄に関しては、全く致命的と言っても良い位なんです。そもそも、体重が少ないって時点で、血液量も少ない=早期貧血。生まれた時から鉄の総保有量が少ないので、赤血球造血が再開されると、加速度を付けて、一気に貯蔵鉄は奈落の底に落ちて行きます。
就学前の可愛い盛りの子供達と鉄の関係について触れた論文が、多くあります。
生後1年までの鉄欠乏症は、回復不能な発達障害を起こす。…まあ、ショッキングな物言いではありますが、第95回ドイツ小児治療学会では、「生後1年間、ミルクや野菜偏重の食事しか与えていないと、発育期の鉄の需要が賄えない羽目に陥っちゃうぞ~ぉ」って警告が発動されました。授乳期間が長くなればなる程、又モルモン教徒ばりにお母ちゃんがしょっちゅう孕んで、出産の回数が増えれば増える程、鉄欠乏はどんどん深刻になるんだそうな。
ジョンズ・ホプキンス大小児科のAnn B. Burner先生は、鉄欠乏の状態のガキんちょに鉄を与えただけなのに、めきめきっとジャックの豆の木ばりに言語学習能力及び記憶力が改善されたので、わ~お!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!と叫んだかどうかは知らないけど、鉄の重要性を力説しています。
早期の脳の発育時期に、ミエリンを形成するグリア細胞に対して十分量の鉄の貢物をしておかないと、ガキんちょの運動機能の成熟遅延に繋がるんだそうですよ、はい。
最後にまとめ的に、Beard IL.先生のお言葉を。「どの時期に於いても、鉄の欠乏症は、行動及び認知に影響を及ぼす。中でも12~24ヶ月の乳児は最も悪影響を受けやすい」(Ann Rev Nutr 2003)
部活は楽しい♪ しかし、実業団は厳しい。
スポーツは、貧血の大いなる原因になり得るのは、周知の事実。
- 減量食による貧血の増悪。
- 発汗による鉄の喪失。
- トレーニングによる筋肥大の為、ミオグロビン合成が亢進し、鉄需要が高まる。
- 出血性胃炎、大腸炎による出血。 等々
-
- 重いとパフォーマンスが落ちる陸上長距離、フィギアスケート、体操選手なんかは、特に貧血の傾向が強く、短期的には成績は上がっても、選手生命って長い目で見ると、故障を起こし易く、結局は貧乏くじを引く羽目になるんですが…。
更年期は、中年おばさんの最後の足掻き
婦人科の病気他
人生黄昏めいてくると、ガキの頃には思いもしなかった病気が、次々と降り掛かって来るものです。小中学生のガキなら、自分だけが可哀相な悲劇のヒロイン♪と自己陶酔も可能ですが、大人女子ともなると、誰もが何やかやの婦人科系の病気を患っていて、やれ子宮筋腫だ、内膜症だなんて話が、亭主の悪口と子供の受験を押しのけて、女子会の中心的話題に大躍進を果たします。子宮筋腫や内膜症があると、経血は多くなり、80ml以上の出血大放出状態も稀じゃない!
他にも、慢性関節リウマチ、慢性感染症等の慢性的な炎症でも、貧血は進みます。
更年期障害に惑わされるな!
更年期を境に、女性ホルモンは下がる。甲状腺のホルモン自体の分泌も、加齢と共にジリ貧になる(美容通信2011年10月号)(美容通信2010年9月号)(美容通信2010年12月号)。つまり、ここで問題となるのは、更年期障害の症状と甲状腺機能低下症の症状が極めて酷似しているので、同時進行の甲状腺ホルモンの低下を見逃し、更年期障害の治療と称して、単にエストロゲンの補充しかされていない人が結構多いんです。左図の様にジリ貧の甲状腺ホルモンを奈落の底から引き上げるのに、プロゲステロンの補充は必須です。
これに話を複雑にするのが、貧血の存在です。甲状腺の機能低下は、貧血の原因となります。
更に更に、更年期の症状に非常に酷似しているのが、潜在性鉄欠乏症です。つまり、更年期障害-甲状腺機能低下症-潜在性鉄欠乏症と、三つ巴状態が病態を複雑にしてるんです。
*註:HISAKOの美容通信に記載されている料金(消費税率等を含む)・施術内容等は、あくまでも発行日時点のものです。従って、諸事情により、料金(消費税率等を含む)・施術内容等が変更になっている場合があります。予め、御確認下さい。
※治療の内容によっては、国内未承認医薬品または医療機器を用いて施術を行います。治療に用いる医薬品および機器は当院医師の判断の元、個人輸入手続きを行ったものです。
関連ページ
関連するHISAKOの美容通信をピックアップしました。
来月号の予告
温故知新の<Qスイッチルビーレーザー>です。