オゾン療法は、何故、癌などの慢性疾患に効果的なのか? | 旭川皮フ形成外科クリニック

HISAKOの美容通信2017年4月号

オゾン療法は、何故、癌などの慢性疾患に効果的なのか?

image1175オゾン療法(血液クレンジング療法)は、アンチエイジングのみならず、慢性疾患、例えば、冠動脈疾患及び心血管疾患、壊疽、黄斑変性症、慢性疲労、癌、急性及び慢性感染症、皮膚真菌症、間質性膀胱炎、歯髄炎、副鼻腔感染症、アレルギー/皮膚炎、肥満(メタボリック症候群)、糖尿病、自己免疫疾患、潰瘍性大腸炎、様々な前処置 等々に効果があります。
これ等の疾患の根本的な原因は、酸素利用率の低下ですが、オゾン療法は、酸素利用率を改善させるので、これらの根本的なアプローチとなります。
オゾン療法単独でも効果がありますが、従来の治療に加え、高濃度ビタミンC点滴療法、栄養療法、ホルモン補充療法(特に、甲状腺ホルモンT3)等を併用すると、より相乗効果が認められます。
クリニックでは、①大量自家血オゾン療法、②少量自家血オゾン療法と、③オゾン化オイル(化粧品)のオゾンメニューのご用意があります。

   米国オゾン療法学会 会長 フランク・シャレンバーガー先生に聞く、最新オゾン療法(血液クレンジング療法)です。

諸悪の根源、酸素利用率の低下について

   オゾン療法の基礎的なお話は、以前特集した美容通信(美容通信2011年8月号)(美容通信2016年11月号)を参照にしていただく事にして、今回は省略❤

  • 冠動脈疾患及び心血管疾患
  • 壊疽
  • 黄斑変性症
  • 老化
  • 慢性疲労
  • 急性感染症
  • 慢性感染症
  • 皮膚真菌症
  • 間質性膀胱炎
  • 歯髄炎
  • 副鼻腔感染症
  • アレルギー/皮膚炎
  • 肥満(メタボリック症候群)
  • 糖尿病
  • 自己免疫疾患
  • 潰瘍性大腸炎
  • 前処置  等々

200507image409   オゾン療法は、上記の様な様々な疾患に、全く安全で、毒性がなく、簡便で、且つ安価(日本では健康保険の適応ではないので、そんなに安価かと問われると…にゃ~んと猫鳴きで誤魔化さざる得ない(笑)ですが、まあ病気になってからの治療を思えば、全然安いでしょう)で、他にも様々な美味しいオマケがついて来る治療方法とされています。

   しかし、縦割り診療科が主流の日本では、まあ、節操がないと鼻っ先で笑われそうです。しかし、慢性疾患若しくは加齢の根幹にある原因、つまり端的に言ってしまえば「酸素利用率の低下」です。酸素について一番大事なことは、単に取り込みゃいいってもんじゃなくて、利用出来るかどうかなのです。20歳の若者と70歳の爺婆の違いは、単に酸素をどれ位利用出来るか、つまり酸素利用の効率の違いなんです。そして、留意しておかなければいけないのは、この利用率の低下は、全身的にも局所的にも起こり得ると言う事です。

   その改善をオゾン療法が行っていると思えば、その詳細について知らずとも、誰もがしっくりと肌感覚で分かる‼のではないのでしょうか?

 

鍵を握るのが、ミトコンドリア(復習編)

■ミトコンドリアに関する事実

201611image1126   元気一杯の細胞には、数1000個ものミトコンドリアが存在していて、ナント、細胞質の約40%を占めるとされています。成人の体内には、1京(!)個のミトコンドリアが存在するそうで、体重の約10%にも上るんだとか。

   ミトコンドリアは決して静的な存在ではあり得なく、様々な生理学的刺激や分化状態によって、臨機応変以上に変動し、そのサイズや数、質量は刻々と変化しています。例えば、ミトコンドリアは筋肉形成中のみならず、運動後にも増えます。ミトコンドリアの数は、ミトコンドリアの分裂の司令塔である甲状腺ホルモンのT3によってコントロールされています(美容通信2016年11月号)(美容通信2016年5月号)(美容通信2015年11月号)(美容通信2015年3月号)。

   実際、全ての慢性疾患がミトコンドリア機能の障害によって起こっています。この事は同時に、後述する様に、ミトコンドリアの機能を改善する事で、糖尿病や、一部の病型ではありますが、肥満の治癒に繋がる事が複数の研究からも明らかにされています。

 

慢性疾患や加齢の主な理由は、酸素利用率の低下だ!

■酸素利用(有酸素能力)

image1144   酸素利用とは、「酸素が脂肪とグルコースの何れかを代謝して、水、熱、NDA(ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド)、フリーラジカル、二酸化炭素及びATPを生成するプロセス」の事を言います。つまり、”生きる”って事、そのものなのです。

   そして、酸素は、NAD及びATPを介して作用します。勿論、程度は少ないですが、NADPやFADを介した作用もあります。これらの「酸素の中間体」は、あらゆる細胞機能にとってなくてはならないものです。

   下の図を見て下さい。酸素利用に関与するプロセスをまとめました。因みに点線で囲ったエリアは、ミトコンドリアを意味します。

image1145


   ①食事から、脂肪と炭水化物は摂取されます。これ等は肝臓で処理されて、グルコースと脂肪酸になります。これらのエネルギー基質は、貯蔵されます。

   ②貯蔵された脂肪酸とグルコースは、必要に応じて分解されて、細胞に輸送されます。

   ③細胞内でこれらの分子はA-CoA(アセチルコエンザイム)に変換されます。

   ④A-CoAは、クエン酸回路で処理される過程で、脂肪酸とグルコース中の水素原子をNADに供与します。

   ⑤次に、NADは、ミトコンドリア内に水素原子を放出し、電子伝達系を通して、これらの原子は酸素と結合して水になります。

   ⑥極めて大きなエネルギーを持った分子である酸素が、エネルギーが殆ど皆無と言っても過言でない小さな水分子に変換される時、(その差額である)多大なエネルギーが放出されます。


   この様に、酸素利用と言う用語は、以上のプロセス全体を意味します。酸素利用が効率的に行われれば、身体は全ての機能を果たすのに必要なエネルギーを余裕でGET出来ます。しかし、この過程が上手く進まなければ、身体はエネルギー不足に陥り、必然的にあらゆる機能が損傷される事になります。結局のところ、酸素利用率の低下は、変性疾患の始まりの原因であり、更に加齢のプロセスそのものだとも言えるのです。

■健康とは何か?

  • 症状のない事ではない。
  • 疾患がない事ではない。
  • 検査値の異常がない事ではない、
  • 何かがない事ではない。

   →健康とは、何かが存在すること、即ち、「最適な酸素利用」が存在する事!である。

 

明らかな因果関係を示唆する研究をpickup!

image1147■加齢と酸素利用(Dehn and Bruce)

   酸素利用率の段階的かつ線形の低下は、左図の如く、かなり若い世代から認められます

■男性の加齢に伴う最大有酸素能力の低下に関するメタアナリシス:トレーニング状態との関連(Wilson & Tanaka,Am. J. Physiol. Heart Circ. Physiol.Vol.278:829-834,2000)

   最大有酸素能力は、酸素利用の指標の一つです。十分なトレーニングを積んだマラソンランナーであっても、酸素利用率は年齢と共に低下します。残念ながら、他の加齢に関する指標と異なり、それを訓練で克服する事は不可能です。ですから、最大有酸素能力は、心血管疾患、認知機能障害及び全死因死亡の独立した危険因子と言えます。

■脱共役と生存:代謝が活発なマウスは、ミトコンドリアに存在する脱共役蛋白質が多く、寿命が長い。(Speakman JR,Talbot DA,et al. Aging Cell.2004 Jun;3(3):87-95.)

   マウスコホートに於いて、NMR技術を用いて安静時の酸素利用率を測定し、マウスを生涯に亘って追跡調査しました。安静時の酸素利用率と寿命の間には、極めて有意な明らかな関連を認めました。安静時の酸素利用率が上位25%のマウスでは、下位の25%のマウスよりも、寿命が36%長くなりました。

■欠陥を持つミトコンドリアDNAポリメラーゼを発現するマウスで見られた早期老化(Trifunovic A, Wredenberg A, et al. Nature.2004 May 27;429(6990):417-23.)

   ミトコンドリアDNAの変異率が、対照マウスの4倍となる様に遺伝子操作したマウスを作成。この操作で、生涯に亘って、酸素利用率の低下が大きく加速してしまったんだそうです。遺伝子操作マウスの寿命は、対照群に比べて寿命が有意に短縮しました。更には、遺伝子操作マウスでは、除脂肪体重減少や脱毛、円背、貧血、骨粗鬆症、妊孕能の低下、心肥大等の加齢に関連した表現型の出現が早くなったそうです。つまり、酸素利用率の低下と加齢の間には明らかな因果関係が示されました。

酸素利用率の分析

酸素利用率の測定

   繰り返しますが、酸素利用は、健康、加齢及び変性疾患に関する、唯一且つ最も重要な決定因子です。

   しかしながら注意しなくてはいけないのは、酸素利用率の低下は、加齢や病気の挙句の出来事(結論)ではなく、寧ろそれらの発動因子だという点です。シャレンバーガーらは、Bio-Energy Testing®を用いて、酸素利用率の低下がミトコンドリア崩壊や疾患、加齢に先立つ事を証明しました。以前も美容通信(美容通信2016年11月号)で触れましたが、オゾン親派が信奉する、ミトコンドリア機能障害の早期発現(Early Onest Mitochondrial Dysfunction:EOMD)と言う概念です。

■Bio-Energy Testing®(生体エネルギー検査)

201611image1145   Bio-Energy Testing®を利用すると、素晴らしい事に、最大酸素利用率(エネルギー商)のみならず、脂肪代謝効率の判定も出来ます(←詳細は省略しますが)。

   米国市内の3都市とシンガポールにあるBio-Energy Testingセンターの来所者から50人の被験者を無作為に選択して、以下の測定を行いました。つまり、20~40歳の健康で、特に症状もなく、酸素利用率の評価を受けたいと考えるくらいの健康意識の高い人達って意味です。

   用語の解説をしておきますが、エネルギー商が100%の場合、被験者の酸素利用は平均的であることを意味します。エネルギー商が130%である場合、被験者の酸素利用率は平均値よりも30%高く、反対にエネルギー商が80%しかない人は、酸素利用率が予測値よりも20%少ない事を示しています。C因子は、安静状態に於いて、脂肪の燃焼に利用される酸素量を表します。脂肪燃焼因子とは、運動中の脂肪燃焼に利用出来る酸素の最大量です。

   [結果]

  •  最大酸素利用率(エネルギー商)

    エネルギー商>100%:54%(27人)

    エネルギー商<100%:46%(23人)⇒<90%:36%(18人)、<80%:26%(13人)、<60%(6人)

  • 脂肪のみによる安静時酸素利用率(C因子)

    エネルギー商>100%の被験者の44%(12人)がC因子<100%

    エネルギー商<100%の被験者の100%(23人)がC因子<100%

  • 脂肪のみによる最大酸素利用率(脂肪燃焼因子)

    エネルギー商>100%の被験者の7.4%(2人)が脂肪燃焼因子<100%

    エネルギー商<100%の被験者の100%(23人)が脂肪燃焼因子<100%

200703image604   この結果を解説いたしますと、健康で無症状の健康意識の高い被験者のほぼ半数(46%)がエネルギー商低値で、酸素利用が低下していました。特に、12%の被験者については酸素利用率が予測値の60%未満と、極めて酸素利用率が低下している状態でした。しかしながら、彼らはミトコンドリアの崩壊やその他の加齢プロセスの影響をが起こるには若過ぎ、そして、この様な状況を引き起こす可能性がある心血管疾患や肺疾患に至るには健康過ぎました。つまり、この様な重度の酸素利用率の低下を示しながらも、全くの無症状の状態の人々がいるって事実です。この様な状態を「ミトコンドリア機能障害の早期発現(EOMD)」と言います。

 

脂肪代謝の低下とミトコンドリア機能障害の早期発現(EOMD)

image1151   前述の研究の続きですが、ミトコンドリア機能障害の早期発現(EOMD)と判定された被験者の100%に、C因子と脂肪燃焼因子の両方が低下しており、脂肪代謝の低下が認められました。これは、EOMDではない27人とは明らかに異なります。反対に、酸素利用率が最高レベルであった被験者群では、通常、安静時エネルギーの75%以上を脂肪から産生しており、そのうちの93%は、運動時にも効率的に脂肪からエネルギーを産生していました。つまり、最適な酸素利用は、脂肪代謝に100%依存しています。

    参考までに、老化プロセスの段階を図示しておきますね。

 

加齢と変性疾患に関するエネルギー欠乏理論

  • 201611image11450変性疾患と加齢の前に、ミトコンドリア機能障害の早期発現(EOMD)が起こります。このEOMDは、実際のミトコンドリア崩壊よりもずっと前に起こり、若年で無症状の時に起こる事が多いとされています。EOMDの存在と程度は、肺内ガスデータを用いた酸素利用率の分析(Bio-Energy Testing®)によって判定が出来ます。
  • EOMDは、2つの良くある状況から生じます。
    • 脂肪代謝の低下が、総酸素利用率の低下を引き起こします。
    • それを、ストレス、虚血、中毒、感染症、睡眠不足、メチル化障害、栄養欠乏、ホルモン欠乏、炎症が悪化させます。
  • EOMDは、機能性低酸素状態を作り出し、これにフリーラジカルの生成増加や抗酸化能の低下が複合的に作用し、ミトコンドリア崩壊や加齢、変性疾患を引き起こします
  • EOMDを引き起こすプロセスと、それに続く加齢や変性疾患のプロセスは、これらの2つの状態を変え、酸素利用を改善する抗酸化戦略、まあ、平たく言えば、オゾン療法を行うって意味ですが、これにより減速が可能となるばかりか、逆行させる事すら全然OKって事です。

 

分析結果と所見

   ミトコンドリア機能障害の早期発現(EOMD)を呈する被験者の100%が、例えTSHやT3、T4の血清中濃度が基準範囲内であっても、安静時の酸素利用率の低下だけでなく、最大酸素利用利用率の低下を示しています。安静時の酸素利用率低下の最も多い原因は、甲状腺機能低下症です。後述しますが、以前美容通信(美容通信2016年11月号)でも触れましたが、脱共役蛋白質3(UPC3)は、T3に依存しています。

   更に、甲状腺機能低下症は、最大酸素利用量の低下原因の一つでもあります。これらの所見は、甲状腺機能低下症が非常に頻度としては高く美容通信2015年3月号)、EOMDの特に厄介な構成要素の一つである可能性があります。

酸素利用率の低下が、どの様に変性疾患を引き起こすのか?

   酸素利用の低下は、フリーラジカルの増加と抗酸化能の低下を通して、変性疾患を引き起こし、最終的にはミトコンドリアの崩壊へと進みます。このプロセスは、「ミトコンドリアの崩壊」と呼ばれています。酸素利用率の低下は、Levine とKiddが「機能性酸素状態(functional hypoxia)」と呼んだメカニズムを通して、ミトコンドリア崩壊を引き起こします。

   つまりは、質の高い人生の期間を増やしたければ、このミトコンドリア崩壊の速度を遅くする必要がある!って事なんです。

酸素利用率を低下させる要因

   酸素利用率を下げる要因としては、前ミトコンドリア因子とミトコンドリア因子の2つがあります。これ等の要因が、酸素利用率の低下を引き起こすと、悪循環が起こり、その挙句には、ミトコンドリアの崩壊や変性疾患、そしてその延長線上の死へと至ります。

  • 前ミトコンドリア因子

   脂肪分解の低下(DHEAや甲状腺ホルモンの他、カルニチン(美容通信2010年3月号)等も関与!)、低血糖、虚血、低酸素症、炎症美容通信2016年7月号

  • ミトコンドリア因子

   毒性(重金属、工場、塗料等々)美容通信2006年11月号)(美容通信2016年4月号、感染症、ストレス美容通信2015年4月号、栄養欠乏(特に、ビタミンB群!)美容通信2007年3月号、ホルモン欠乏(甲状腺ホルモン等)美容通信2016年11月号)(美容通信2015年3月号、メチル化障害美容通信2015年9月号、健康状態の悪化、薬物療法

   因みに、ミトコンドリア障害、つまりは老化と同義語ですが、これと干渉する薬剤については、論文も多数出ていますし、ネットで検索すれば一発です。以下は、論文(Finsterer J, Segall L. Drug Chem Toxicol.2010 Apr;33(2):138-51)からの引用抜粋です。

   ①ミトコンドリア障害の治療は、5つの柱からなり、その中の一つがミトコンドリア機能に有害であると知られる薬剤を避ける事です。

image1176   ②ミトコンドリア機能にとって有害な薬剤は、副腎皮質ステロイド、バルプロ酸、フェニトイン、バルビツレート、プロポフォール、揮発性麻薬、非脱分極性筋弛緩薬、一部の局所麻酔薬、スタチン系薬、フィブラート系薬、ビグアナイド系薬、グリタゾン系薬、β遮断薬、アミオダロン、一部の神経遮断薬、一部の抗菌薬、一部の化学療法、ヌクレオシド系逆転酵素阻害剤の他、様々な薬があります。

   ③MID患者に対して、ミトコンドリアに有害な薬剤の投与を回避又は中止する事で、これ等の患者の経過や転帰に有益な影響を及ぼす事が可能です。

   繰り返しになりますが、多くの人々にとって30代と言う早い段階から、「ミトコンドリア機能障害の早期発現(EOMD)」が始まりますミトコンドリアに対する薬剤の影響は、決して見過ごす事の出来ない大きな要因なのです。

 

酸化的障害とミトコンドリア崩壊の悪循環

image1161   ①前述の酸素利用率を低下させる要因は、単独だけではなく、濃淡取り混ぜた組み合わせで起こります。右の図を見て下さい。呼吸機能のこの様な緩やかな障害(酸素利用率の低下)は、機能性低酸素状態を作り出し、抗酸化能を使い果たす一方で、フリーラジカルの形成を加速させます。

   詳しくその経過を記載しますと、先ずは②抗酸化酵素の生成が減少します。これらの酵素の合成は全てATPに依存します。

   ③①による機能性低酸素状態の結果として、フリーラジカルの生成が増加します。②と相乗効果的に、④へと、事態は悪化の方向に進みます。

   ④ミトコンドリアDNAの変異が集積します。

   ⑤これにより、酸素利用率が更に低下し、DNAや蛋白質、脂質、特に電子伝達系を内包しているミトコンドリア内膜への酸化的障害が更に増えます。

   ⑥酸化的損傷を受けた蛋白質やその他の重要な高分子の能力低下は、酸素利用率を更に低下させます。

   ⑦抗酸化酵素の合成が減少する中で、フリーラジカルの合成が増加する結果として、抗酸化酵素の回転数が増加します。

   ⑧この一連の事象の結果として、フリーラジカルの生成が増加すると同時に、抗フリーラジカル能が低下すると言う悪循環が起こるのです。

 

フリーラジカルは、本当に悪者なのだろうか?

   ROSとフリーラジカルは、電子伝達系の機能の一部として、ミトコンドリア膜を介して形成されるプロトン濃度勾配に正比例して生成されます。

■ミトコンドリアの呼吸鎖とATP合成

201611image11261   先ずは、復習から。ミトコンドリア呼吸鎖の最初の4つの複合体の働きは、酸素を利用して、プロトンを、ミトコンドリア内→ミトコンドリアの外膜と内膜の間の空間へと押し出す事です。これによって、ますます多くのプロトンが、この内膜と外膜の間にどんどん溜まるので、当然ながら、内膜の内と外でプロトン勾配が生じます。

   自然界では、この様な勾配は望ましくない。つまり、聖徳太子の和をもって尊しとなすではありませんが、平衡が取れた状態こそ好しとする風潮があります。この不均衡の打開策が3つあります。

  • 打開策1.[健全]

ミトコンドリア呼吸鎖の複合体Ⅴを介して、プロトンをミトコンドリア内に戻す経路。

image234
   複合体Ⅴは、ADPをATPに変換するプロセスに於いて、プロトンを再流入させます。つまりこの経路は、十分量のADPが確保可能であればですが、ミトコンドリアが酸素を利用してATPを産生する為の由緒正しい本道と言えます。

   ところが、酸素利用率の低下、メチル化障害、栄養欠損、ホルモン欠乏、低酸素症、虚血等が起こると、当然ながら、利用可能なADP量は減少してしまうので、複合体Ⅴはきちんと作動しなくなり、プロトン勾配の改善が出来なくなります。

  • 打開策2.[健全]

   蛋白質の脱共役による経路。

   脱共役蛋白質は、ミトコンドリア内膜に存在する蛋白質複合体で、上図の如くに、ADPがなくても、プロトンをミトコンドリア内に再流入出来ます。中でも断トツに活性が高いとされるのがUPC3ですが、甲状腺トリヨードサイロニン(T3)によって活性化されます。繰り返しになりますが、このミトコンドリア膜のプロトン勾配軽減方法を介して、甲状腺ホルモンは酸素利用率を高める働きをしているんですね。年を取るにつれ痩せにくくなる一方の我が身には、結構以上に深刻な問題と再認識(笑)。

  • 打開策3.[不健全!]

   勾配が100:1を超えると、それはもう非常事態。つまり、ミトコンドリアに電子伝達系全体をシャットダウンさせる事で、プロトンのポンピングをストップさせると言う、非常に荒っぽい対処を実行せざる得ません。強制終了です。これにより、酸素利用率は直ちに急降下し、過剰なフリーラジカルとROSを産生する機能性低酸素症って名の悪循環も、直ちに軽減します。

■フリーラジカルは、本当に悪者なだろうか?

問)フリーラジカルは、悪いものなのか?

答)コントロールされていない場合に於いてのみ、悪影響がある。

問)何がフリーラジカルをコントロールしているのか?

答)抗酸化酵素である。

問)何がこれ等の酵素を刺激しているのか?

答)オゾン療法

   Linnane AW, Kios M, Vitetta L.(Mitochondrion,2007,Vol.7,Nos.1-2)の論文によると、スーパーオキシドアニオンと過酸化水素の形成は、細胞機能と健康な老化にとって極めて有害とされていますが、実は、神様はそんな有害なものを態々作り出すはずもなく、正常な細胞機能にとって不可欠なものなんです。つまり、スーパーオキシドアニオンと一酸化窒素は、蛋白質の損傷や不活性化をランダムに起こす凶悪な乱入者などではなく、蛋白質の調節された規則正しいターンオーバーに於いて、なくてはならない役目を担っています。絶対的な有害物質ではないのです。

   つまり、平たく言っちゃえば、酸素利用率の低下に続発して起こったフリーラジカルの過剰な活性が原因で、加齢や変性疾患になるんであって、フリーラジカル自体に罪はないって事ですかね。罪を憎んで人を憎まず。

酸素利用率の低下=NAD/NADH比の低下

NADの重要性

201001image537   ここで、酸素利用ほど人間の生理機能にとって重要なモノはないと言う事を実感する、簡単な実験をしてみましょう。

   息を止めて下さい。ほんの数分のうちに、息苦しくなり、身体は酸素利用率の低下の影響を実感し始めるでしょう。今度は、10分間、息を止めるのではなく、水を飲むのを止めてみましょう。特に、困らないと思います。10分間、絶食はどうでしょう?10分間、ビタミンを摂らない、眠らない…等々をしたところで、何も起こりません。酸素利用ほど、健康とwell-beingにとって不可欠なものはないのです。 

    酸化利用率の低下は、NAD濃度の低下を介して引き起こされます。NADとは、nicotinamide adenine dinucleotide(ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド)の略で、体内では、トリプトファンとナイアシンの何れかから誘導される分子です。NADは酸素利用の主要なメカニズムです。

 

   酸素利用と言っても、細胞に於ける殆ど全てのエネルギー反応は、直接的に酸素を使うのではなく、脱水素酵素と呼ばれる酵素を利用します。これ等の脱水素酵素は、主にNADを介して働きます。

   NADは、電子伝達系に於いて、ミトコンドリアで産生されます。上図の如く、その反応は、

酸素+NADH→NAD+水+エネルギー(熱とATP)

   NADはニコチンアミドアデニンジヌクレオチドの酸化型で、NADHは還元型です。酸素利用の最終代謝反応は、NADHをNADにする事であり、NADは酸素利用効率を反映するものです。NADが多ければ酸素利用効率は高くなり、NADが少なければ酸素利用効率は低くなります。

   もう一度、酸素利用に関与するプロセス図を見てみましょう。

image1145

    細胞に於いて、酸素が最適に利用される為には、4つのプロセスが起こる必要があります。①グルコースが処理されてピルビン酸になり、②ピルビン酸はクエン酸回路に於ける利用の為に、アセチルCoAに変換されます。③脂肪酸も分解されて、アセチルCoAに変換されます。最後に、④アセチルCoAは、電子伝達系にエネルギー産生の為の水素原子を供給する為に、クエン酸回路に入ります。ここで重要な事は、4つの反応の何れも、利用可能なNAD量に100%依存していると言う事です。

■酸化に於けるNADの重要な役割

img_l030NDAは、転写、長寿及び疾患に関する代謝調節因子である(Lin SJ, Guarente L. Currrent Opinion in Cell Biologt 2003,15:241-246)

  • NADは、転写、長寿並びに糖尿病、癌及び神経変性疾患等の、幾つかの加齢関連疾患に関する推定代謝調節因子として注目されている。
  • カロリー制限が、これ等の疾患の幾つかの発症率を低下させたり、発症を遅らせたりする事が証明されている。
  • 酵母菌(美容通信2016年9月号)を対象とした研究では、NAD濃度上昇とNAD/NADH比の上昇の、両方又はいずれかによって、カロリー制限が機能する事を示唆している。

img_l030NDAと細胞のシグナル伝達

   NADは、細胞のシグナル伝達、及び①DNA修復、②アポトーシス、③テロメアの維持を始めとする、多くの細胞内プロセスのコントロールに対し、律速的に働いている。

img_l030NDAとサーシュイン

  • Sir2とは、Silent mating type Information Regulatior-2の略。サーシュインは、Sir2相同体である。
  • サーチュインが、(熱や飢餓等の)ストレスに対する生物の反応に於いて重要な役割を果たし、カロリー制限による寿命延長効果に関与しているとの仮説が立てられている。
  • サーチュインは核転写を調節し、加齢の調節に複雑に関与している。
  • サーチュインは、NADの存在下で、蛋白質からアセチル基を除去する事によって作用し、それによりNAD依存性脱アセチル化酵素に分類されています。NAD/NADH比が低下すると、サーチュイン類の活性が抑制される。

img_l030201208image19NDA(+)が減少すると、加齢に於ける核-ミトコンドリアのコミュニケーションを阻害する偽低酸素状態が誘発される(Gomes AP, Price NL, Ling AJ, et al. Cell. 2013 Dec. 19;155(7):1624-38)

  • 細胞の核とミトコンドリアは、細胞の活動を密に調整しなければならない。我々は、加齢にはミトコンドリアの活性に特異的な低下がある事を証明する。
  • 我々はその原因を、Warburgリプログラミングと並行して、正常酸素状態下に於ける核DNAの低下及びHiF-1αの蓄積によって誘導される、核-ミトコンドリア間のコミュニケーションに関する、ある別のPGC-1α/β非依存性経路にまで遡る。
  • サーチュインの欠失は、このプロセスを加速させる。
  • 高齢マウスのNAD濃度を上昇させると、ミトコンドリア機能が若齢マウスレベルにまで回復する。
  • この様に、PGC-1α/β非依存性の核-ミトコンドリア間コミュニケーションに混乱を生じさせる偽低酸素状態[酸素利用率の低下]は、加齢に伴うミトコンドリア機能の低下をもたらすが、これは明らかに可逆的なプロセスである。 

NAD/NADH比の低下は、あらゆるエネルギー産生を低下させる

   しかし、NADが効率的に酸化反応を行えるかどうかを決定する因子は、細胞内のNAD量だけではありません。これを決定付けるのは、NAD/NADH比です。最適な健康状態にある人の細胞内の細胞中NAD/NADH比は、700です。

   詳しく説明しましょう。

201404image9   NADは、酸化を促進します。この反応は、NADが十分に利用可能な範囲でのみ起きます。しかしここで注目すべきは、NADがこの反応で利用される時に、還元されてNADHになるという点です。つまり、NADHは酸化と反対の働きをしますから、NADHがNADに比して増え過ぎると、前述の4段階を含む細胞全ての酸化は抑制され、反対に遅くなってしまいます。細胞の酸化を恙なく進める為には、NADとNADHの比率は700と、極めて酸性に傾いている必要があるのです。

   この為、NAD分子が酸化反応でNADHに還元されたら、即行、ミトコンドリアは直ちに別のNAD分子の産生をしなければなりません。それが出来なければ、あっという間にNAD/NADH比は激減し、細胞の酸化反応が遅くなる→酸素利用量の低下へと直結します。前述の様々な要因、例えば、脂肪分解能の低下、脂肪酸代謝の低下、栄養欠乏、睡眠不足、ホルモン欠乏、中毒、感染症、低酸素症、メチル化障害、虚血、ストレス、炎症、低血糖等により引き起こされた、ミトコンドリア機能障害の早期発現(EOMD)の結果として、電子伝達系がもはや最適なNADを効率良く産生出来ない事態に陥っていれば、NAD/NADH比の低下は、そのまま連続的に続いて悪循環となり、私達が所謂「老化」と称するプロセスを辿る事になります。

   身体には、このNAD/NADH比を維持する為の奥の手があります。酸素と電子伝達系が関与しない反応に於いて、NADHをNADに変換するゴリ押し的な方法です。この方法には多大な代償が伴いますが、年を取って、色んな病魔に侵され始めると、誰もがこの経路でNAD/NADH比の維持を図ろうとします。つまり、次の章で述べる事は、全ての人に起こり得る事であり、これがあらゆる慢性疾患の始まりです。

 

NADHからNADに変換する2つの反応に対する、夫々の代償

   細胞が、酸素を利用する事なく、NADHをNADに変換する方法には、以下の2つがあります。

■ピルビン酸から乳酸への変換に伴う代償

   ピルビン酸から乳酸への変換の比は1です。副腎の疲労や筋肉の消耗、衰弱、間葉系のアシドーシスを引き起こす程度の代償を支払わねばなりません。が、後述する細胞膜酸化還元酵素系(PMOR)システムと比べれば、屁のカッパ程度の可愛らしい被害しか及ぼさないとも言えます。しかし、あらゆる慢性疾患の始まりである事実には変わりません。


[代償1]

image1170   右図を見て下さい。この反応では、ピルビン酸が乳酸に変換される時に、NADHはNADに戻ります。十分な濃度のNADを産生する為には、前提としてのピルビン酸の安定供給が必須です。しかしながら、NADによってグルコースを酸化する経路は、NADが不足している事から端を発して、どうNADを増やそうかって話をしている訳ですから、この経路はナンセンス以上のものではありません(笑)。ですから、アミノ基転移のプロセスしかありえません。

   アミノ基転移では、アミノ酸であるアラニン、グリシン、システイン、スレオニン、ヒドロキシルプロリン及びセリンを、ピリビン酸に直接変換します。このプロセスは、NADを必要とせず、NAD/NADH比が低下した状態で、安定したピルビン酸を供給出来る唯一有効なプロセスとも言えます。

   アミノ酸の出所は、異化ホルモンであるコルチゾールの作用(美容通信2015年7月号)(美容通信2015年11月号)による骨格筋組織の分解に由来します。その為、原料の調達の為には、十分なアミノ基転移に必要なアミノ酸の確保としての、骨格筋の減少と衰弱は必須です。同時に、ピルビン酸への変換には大量のコルチゾールが必要ですから、これは副腎疲労(美容通信2015年4月号)の多いなる切っ掛けとなります。

 

[代償2]

   もう一つの非常に破壊的な代償は、乳酸濃度上昇による、pH値上昇です。時間の経過と共に、過剰な乳酸は、身体の酸に対する緩衝能力を超え、間葉系のアシドーシスが進行します。

   間葉系アシドーシスは、全ての変性疾患や加齢プロセスの特徴の一つです。繰り返しますが、そもそもの発端は、酸素利用率の低下です。ピルビン酸から乳酸に変換する事で、低下しつつあるNAD/NADH比を少しでも補おうという、涙ぐましい行為なのです。

■細胞膜酸化還元酵素系(PMOR)システムに伴う代償

201502image33   このPMORシステムは、上記のピルビン酸交換システムよりも遥かに能動的なシステムで、NADHからの電子の受入が可能で、その電子を細胞から細胞外腔に運搬して細胞外分子に吸収させます。このプロセスを介して、NADHは変換されてNADに戻ります。

   吸収する係を担っている分子達は、遷移金属の鉄や銅、酸素です。これらは全て細胞外マトリックスの中に豊富に存在し、強固な電子受容体です。遷移金属が電子を受入により還元されると、脂質を酸化して脂質アルコキシフルフリーラジカルとなり、これらは酸化ストレスを連鎖反応的に強力に促進する、一種の起爆剤と化します。例えば、心血管疾患に於いては、アテローム硬化疾患の元凶≒悪玉コレステロール!と俗称されるLDL(低比重リポ蛋白)の、過酸化が有名です。更には、フェントン反応を通して、鉄は還元型第一鉄として、より邪悪で破壊的なヒドロキシラジカルを形成し、フリーラジカルストレスを発生させます。つまり、PMORシステムの活動によって生じたフリーラジカル酸化システムが、まるで暴風を伴った爆弾低気圧の如くに、細胞外腔の元素のみならず、酸化されたLDLやその他の脂質まで巻き込んで、周辺の細胞達まで破壊してしまいます。つまり、あらゆる慢性疾患の序章となるのです。

オゾン療法は、どの様に酸素利用率の低下状態を改善するの?

   オゾンが脂質やアミノ酸と接触して形成されるオゾン化物は、直ぐに消えてしまうオゾンとは異なり、数日から数週間は安定しています。容易に細胞膜を貫通し、細胞内でNADHを酸化させて、NADに戻しますこれにより、NAD/NADH比が上昇し、酸素利用の刺激が始まります。つまり、「酸素利用率の低下を引き起こしたプロセスを、逆転させる!」の一言に尽きます。

201611image11443

   オゾン化物+NADH=H2O+NAD+O2↑↑↑…これがミソ!

   オゾン療法のこの作用は、ナイアシン、リボフラビン、メチルB12、B6、葉酸(MTHF?)、経口NADHの添加により強化されます。

img_l030ミトコンドリアを助けるモノ(≒メチル化を促進❤)

  • L-カルニチン:1~3000mg
  • チアミン:1~200mg
  • CoQ10:1~200mg
  • リポ酸:400mg
  • ナイアシンアミド:500~1000mg
  • ナイアシン:100~500mg
  • リポフラビン:1~200mg
  • マグネシウム:4~800mg
  • TMG:500~1500mg
  • メチルB12:1~2mg
  • MTHF:1~10mg
  • D-リボース:2~4g
  • オキサロ酢酸:2~3/日

■解糖系(グルコースの代謝)への影響

201511image76   繰り返しになりますが、NAD/NADH比が低下すると、ピルビン酸はアセチルCoAへの代謝へ進めず、乳酸に還元されます。このピルビン酸交換システムでは、細胞の酸を乳酸で大量に溢れさせる一方で、細胞のエネルギーを1/18に減らしてしまいます。

   オゾン療法で形成されるオゾン化物は、NADHを直接的に酸化しNADに変換するので、この様な好気性から嫌気性へと不健康な代謝と知りつつも、シフトを余儀なくされる状況を回避してくれます。

■クエン酸回路と酸化的リン酸化への影響

   上の酸素利用に関与するプロセス図をガン見して下さいね。

   酸素利用率の低下プロセスにより、高齢の患者さんや慢性疾患の患者さんの細胞では、NAD/NADH比の低下が特徴的です。これにより、グルコースからのアセチルCoA産生量が激減します。同時に、脂肪酸代謝(β酸化)も前述の如くに最適なNAD/NADH比に依存していますから、この比の低下は脂肪酸からのアセチルCoA産生量の減少も引き起こします。

   オゾン療法は、次の方法によって、エネルギー産生のメカニズムの3段階全てを活性化させます。①脂肪酸からのアセチルCoAの産生を増やす、②グルコースからのアセチルCoAの産生を増やす、③クエン酸回路の機能を高めるです。その結果、電子伝達系が利用する事が可能なNADHの量が増える→酸素利用率の増加やエネルギー産生量の増加、NAD/NADH比の上昇を刺激します。複数の研究から、細胞がオゾン化物に暴露されると、ATPの総産生量が40%も増加する事が証明されています。他の研究でも、オゾン療法が、病気の人や高齢者に認められるNAD/NADH比の低下を、改善させる事が検証されています。

img_l030

NADHの酸化による薬理的刺激はマウスの肥満と関連表現型を改善する(Hwang JH, Kim DK, et al. Diabetes Apr; 58(4):965-74. Epub 2009 Jan 9)

201612image1146   「NADとNADHが、細胞のエネルギー代謝に於いて、極めて重要な役割を果たしており、メタボリックシンドロームではNAD/NADH比の調節異常の関与が示唆」されています。論文によれば、オゾンでNADHを酸化させる代わりに、βラコパンと言う化学物質を使用しました。NAD/NADH比が低下する様に遺伝子操作を行った結果、メタボリックシンドロームと肥満になりやすい傾向となってしまったマウスに、このβラコパンを投与しました。

   この結果、NADHの酸化は、in vitro及びin vivoに於いて、ミトコンドリアの脂肪酸の酸化を強力に誘発し、体脂肪蓄積の増加や耐糖能障害、脂質異常症、脂肪肝等の主要症状が劇的に改善されたそうです。ラコパンを投与されたマウスは、ミトコンドリアによるエネルギー代謝に関与する遺伝子(PGF-1α、NRF-1)と、カロリー制限に関与する遺伝子(Sirt1)の発現亢進も示し、これはミトコンドリアに於ける生合成とエネルギー消費の増加と合致していました。

   [結論] NADHの酸化の薬理的活性化によって、マウスの肥満と関連する表現型を解消しました。これにより、メタボリックシンドロームに対する新たな治療法の基礎となる可能性が開かれました。

 

■組織酸素化に対する影響

   酸素-ヘモグロビン乖離の程度により、ミトコンドリア内に流入する酸素量が決められます。高齢者や慢性疾患患者では、この乖離が不良(≒酸素利用率の著しい減少)ですが、 この直接的な原因は2,3DPG(ジホスホグリセレート) 量の不足と考えられています。

   赤血球内で産生される2,3DPGは、ヘモグロビンから酸素を置換する事で、酸素‐ヘモグロビン乖離を増加(改善)させます。

Hgb-O2+2,3DPG=Hgb-2,3-DPG+O2

image1168   オゾン療法によって産生されるオゾン化物は、還元型グルタチオンを酸化させる事で、NADPHを酸化させて、NADRとします。これが、ペントース経路を2,3DPGの産生を増加させる方向に仕向けます。

   因みに、保存血に於いては、オゾン暴露後にDPGを産生します。

   糖尿病は、特に、2,3DPG産生減少の影響を受けやすい疾患です。糖尿病の多くの合併症は、十分な量の2,3DPGがない事に起因しますし、これは又、同時に、糖尿病患者さんがオゾン療法に非常に良く反応する理由の一つにもなります。

■サイトカイン産生に対する影響

   免疫調節細胞である単核球は、オゾン化物に暴露されると、俄然、サイトカイン(IL-1、IL-2、IL-6、TNF-a、IFN-b、IFN-g、GM-CSF、TGF-b1)の産生を増産し始めます。しかし、血漿濃度の上昇は全く検知されなかった、つまり、オゾン療法による毒性や急性期蛋白質はない事が分かっています。(Studies on the Biological Effects of Ozone:5 Bocci V, Luzzi E, et al.Biotherapu.7;83-90,1994)

   オゾン療法が慢性ウィルス感染症やその他の免疫関連疾患に有効である理由は、ひとえに、このサイトカイン効果のお陰ではなかろうかと推測されています。

   つまり、急性感染症は、微生物が原因で起こり、微生物を殺せば感染症は治せます。が、慢性感染症は、微生物が原因で起こる訳ではないので、微生物を殺しても治らないんです。TH1/TH2の不均衡が原因で起こるんです。ところが、健康と思われている多くの人に、既にTH1/TH2の不均衡の兆候(kornfeild,Vande Stouwe RA,Lange M,et al. New England Journal of Medicine 1982;307:729-731)はあります。急性感染症の時点で、TH1/TH2の不均衡は認められ、これが慢性化の理由でもあります。オゾン療法は、この不均衡をサイトカイン類の操作によって是正し、それによって慢性感性症の治療が可能となります。

■抗酸化能に対する影響

   繰り返しになりますが、NAD/NADH比の低下により、好気的経路による代謝が恙なく行えない事態に陥ると、細胞は、NADに依存しない、フリーラジカル(スーパーオキシドアニオンや一酸化窒素、ヒドロキシラジカルetc.)を産生する代謝経路にシフトします。しかしながら、最適な生理機能の維持には、過剰なフリーラジカルの存在は好ましいものではないので、抗酸化酵素系による(フリーラジカルの濃度)是正は必須です。

   抗酸化酵素には以下のものがあり、どれも、ビタミンC、E、βカロテン、リポ酸、CoQ10と言った、万人向きの助っ人の存在が欠かせません。しかし、夫々に好みと言っちゃ変ですが、相性の良いパートナーはいます。スーパーオキシドジスムターゼ(SOD)には、Mn、Cu、Zn。カタラーゼには、Fe。グルタチオンペルオキシダーゼには、Se、グルタチオン、NAC、乳清蛋白です。

201611image11451   細胞内に於ける抗酸化システムの中核を担うのが、上記の中でもグルタチオンペルオキシダーゼです。その酸化過程で、フリーラジカルを失活させます。ビタミンCやEの抗酸化ビタミンは、直接的にフリーラジカル活性をコントロールする事は出来ませんが、役立たずの還元型と堕してしまったグルタチオンを不死鳥の如くに再生し、間接的にフリーラジカルを(半永久的にとは決して申しませんが(笑))抑制し続けます。これが、高濃度ビタミンC点滴療法推進派が信奉する、水車ぐるぐるリサイクル理論(←HISAKOが勝手に名付けた!)です。

   しかしながら、如何に大量の抗酸化ビタミンを投与したところで、肝心のグルタチオンペルオキシダーゼと言う大前提がなければ、結局は”絵に描いた餅”と、減らず口の小学生の様な異を唱えるのが、オゾン療法信奉派の主張です。確かに、大量のビタミンCやEは、様々な酸化ストレス全体を低減しはしますが、グルタチオンペルオキシダーゼの活性を高めるだけの能力はなく、単に補完するだけですから、病気や加齢を根本から是正する事は出来ません。しかしながら、オゾン療法は、グルタチオンペルオキシダーゼやスーパーオキシドジスムターゼ、カタラーゼ等の、全ての抗酸化系緩衝系の活性と産生を刺激するので、根源的な治療です。「(どう考えたって)俺っちの方が、偉いに決まってるべや。」…まあ、確かに、ご尤も。

   因みに、抗酸化緩衝活性の有意な増大には、通常で7~10回の施術は必要です。

オゾン化物の効果のまとめ❤

オゾン化物の効果

 論文発表されているものとしては、以下のものが挙げられます。

  • 酸素利用率を高める。アセチルCoAやATPの産生を40%も増加させる。
  • PaO2-PvO2(肺胞内酸素分圧と動脈血酸素分圧)の差を増加させる。
  • 赤血球の膜進展性を強化する。
  • サイトカインの産生を増加させる。
  • 抗酸化能を高める。
  • 酸素-ヘモグロビン乖離度を高める。
  • 抗菌作用~嫌気性菌選択的
  • 抗真菌作用
  • 抗ウィルス作用
  • 耐性を生じない。
  • 化学療法や放射線療法を強化する。
  • Nrf2を活性化させる。

■Nuclear Factor Like2(Nrf2)

201702image11453   Nrf2は転写因子のひとつで、活性化されると、抗酸化酵素系の発現を増やしてくれる作用があります。このNrf2の抗酸化反応経路は、「酸化ストレスの細胞毒性効果に対する、主たる細胞防御機構」とも言えます。フマル酸ジメチルは、Nrf2を活性化させるお薬の一つですが、多発性硬化症の進行を明らかに軽減する効果があります。

   Nrf2は、「細胞保護作用の主な調節因子」です。論文(Lewie et al(2010)Integr Comp Biol(May 6,2010))によると、以下の効果が挙げられます。

  • 解毒を亢進させる。
  • 第二相酵素群の産生を調節する。
  • 蛋白質の安定性と、代謝回転を強化する。
  • 炎症を軽減する。
  • 神経変性から守る。
  • 抗腫瘍形成作用。
  • アポトーシスの促進。
  • 長寿を促進する。

■ヘムオキシゲナーゼ(HO)-1

   論文(Idriss NK, et al J AM Coll Card. Volume 52,Issue 12,9/2008,971-978)によると、HO-1は、ヘムを分解して、鉄や一酸化炭素、ピルビンに変換する酵素をコードする遺伝子です。一酸化炭素やピルビンは、抗炎症、抗アポトーシス、血管新生及び細胞保護機能を発揮します。ですから、HO-1の生理的誘導は、ヘムの様な有害となる可能性がある幾つかの刺激に対して、臨機応変に適応した挙句の真っ当な反応と考えるべきなのかも知れません。急性冠症候群や脳卒中等の色々な病態生理学的状態に於いて、自己防御的且つ自己防衛的役割を果たしているのではないかと思われます。

   オゾン療法は、前述のNrf2のみならず、このHO-1も増加させます。論文(Pecorelli A, Bocci V, et al. NRF2 activation is involved in ozonated human serum upregulation of HO-1 in endothelial cells. Toxicol Appl Pharmacol. 2013 Feb 15;267(1):30-40.)によると、オゾン化血清で、内皮細胞を用量漸増的(20,40,80ガンマ)に処理したところ、HO-1とNrf2のいずれも用量依存的に活性化されたそうです。

オゾン療法の友

その他のNADを増加させる方法

image1169   AMP活性化プロテインキナーゼ(AMPK)は、人から酵母まで真核細胞に高度に保存されているセリン/スレオニンキナーゼ(セリン/スレオニンリン酸化酵素)の一種で、細胞内のエネルギーのセンサーとして重要な役割を担っています。つまり、細胞内エネルギー(ATP)減少を感知して活性化し、異化の亢進(ATP産生の促進)と同化の抑制(ATP消費の抑制)を誘導し、ATPのレベルを回復させる効果があります。AMPKが活性化すると、糖や脂肪や蛋白質の合成は抑制される一方で、糖や脂肪や蛋白質の分解(異化)が亢進してATPが産生されます。  

   このAMPKの活性を促すものとしては、以下が挙げられます。

   オゾン療法の効果を最大にする方法は、酸素利用率の低下の原因の排除を目的とした、他の療法との併用です!

 

5つの介入領域

   オゾンは、薬物として作用するのではありません。intactな生体系の刺激によって作用します。

image1172■メチル化とメチオニン回路

   基質にメチル基を与えることをメチル化(メチレーション/Methylation)と言います。メチレーションサイクルの過程で、メチル基が他の物質に結合したり離脱する事で、様々な分子を合成したり、正常な化学反応を推し進める役割を果たしています。

   メチル化は、メチレーション回路で行われています。勿論、ミトコンドリアの中でも行われています。

   オゾン療法の抗酸化能に対する影響の章でも登場した”グルタチオン”。実際問題として、健康だ!と思っている人々ですら、正常な値の人は殆どいないのが…現状。菜食主義者はメチオニンがめちゃくちゃ不足してるし、アデノシンは、蛋白質の脱共役に必須ですしね。

オゾン療法には、実は色々な方法があります。

 

オゾン化療法の種類

   HISAKOのクリニックでは、①大量自家血オゾン療法、②少量自家血オゾン療法と、③オゾン化オイル(化粧品)のオゾンメニューがあります。オゾン療法と言えば、一般的には①~③です。

   しかし、診療科によっては、対象となる疾患(部位)に合わせて、使い勝手の良いオゾン・アプローチを選択します。例えば、キレーションと一緒に行うCheZone療法、直腸注入、肢に対するバッグ療法、痛い所にブッシュと直接注射すると効果的なProlozone療法、耳穴注入、膀胱注入、飲んでも❤なオゾン水、オゾン化生理食塩水のIV投与、アイソード注射、吸入療法、膣内注入等々です。

■オゾン化オイル

image1173   オゾン化オリーブオイル(Ozolife® Cosmetics)は、一般的な皮膚病変だけでなく、美白やシワ等の美容系も効果があります。はっきりとした作用機序は分かってはいないんですが、代謝を改善し、血流をUPさせる事がその理由と考えられています。勿論、感染症にも効果がありますから、ニキビ肌の日々のケアにも最適です。

   お肌に何らかのトラブルがある時は、身体の中からは勿論ですが、局所的にも酸素利用率を上げる必要があるので、毎日1~2回の連続使用が望ましいです。特にトラブルがなければ、週一回のスペシャルケア用としてご使用いただいても構いません。唯、より美肌姫を追求するなら、連日のご使用がオススメです。だって、特にトラブルがないと言っても、くすみや乾燥肌、老化した皮膚等々は、それだけで慢性の炎症の証なのですから!

   歯肉炎等のトラブルがある時には、歯肉にも塗ったりするんですよって、歯科の先生がおっしゃってました。

オゾン療法の適応

   適応疾患としては、冠動脈疾患及び心血管疾患、壊疽、黄斑変性症、老化、慢性疲労、癌、急性感染症、慢性感染症、皮膚真菌症、間質性膀胱炎、歯髄炎、副鼻腔感染症、肥満(メタボリック症候群)、糖尿病、アレルギー/皮膚炎、自己免疫疾患、潰瘍性大腸炎、前処置 等があります。

■冠動脈疾患及び心血管疾患

   従来の内科的な治療と併用しながら治療を行います。最初は、週1~2回のペースで、1回50㏄位からと極く少量から開始し、抗酸化酵素が出来て来たら、少しづつUPしながら、200ccまで増量。一般的には、14回の治療で効果が認められ、安定したら、その後月1回ペースで、死ぬまで維持療法をし続ける…。

■壊疽

   1日に2回。毎回、施術後にバック療法→オゾン化オイルの塗布をします。

■黄斑変性症

   滲出型と萎縮型の両方に効果があります。100%の患者さんで進行が止まり、60~70%の患者さんで視力の改善が認められたそうです。但し、早期であればあるほど、当たり前ですが、改善度は高いとされています。1回50ccで、週1~2回の治療から開始します。徐々に増量して、200ccまで増量します。14~20回の治療で効果があるとされています。

   Riva Sanseverinoの研究([加齢性網膜黄斑変性症に対する酸素-オゾン療法の効果] Riva Sanseverino E,et al, Panminerva Med.1990 Apr-Jun;32(2):77-84)によると、加齢性網膜黄斑変性症患者20人に対する酸素-オゾン療法の効果を検討したそうです。治療効果を評価する為に、視力及び蛍光眼底造影をパラメーターとして用いました。医療用のオゾンをozonized major autohemoinfusion(オゾン化大量自家血液注入法)と呼ばれる手法に従って、静脈内に投与しました。4ヶ月間の治療に於いて、1回の治療で用いたオゾンの総量は1500~2000マイクログラムであった。結果は、大部分の患者が眼症状に改善を示し、大規模集団を対象にしたこの種の研究の継続の必要性が示唆されました。

   ・週1回のオゾン化大量自家血液注入法を14週間実施。

   ・1ヶ月後に視力測定:

     萎縮型)44%改善、5.5%悪化、50%無変化  滲出型)100%無変化

   ・4ヶ月後に視力測定:

     萎縮型)38%改善、5.5%悪化、55%無変化  滲出型)13%改善、18%悪化、68%無変化

   ・蛍光眼底造影による数値も同様であった。

■老化及び慢性疲労状態

2012032image1   週1~2回のペースで実施し、14回の治療で効果が認められます。安定したら、月1回の維持療法を継続します。ホルモンや栄養、毒性等の、他のバランスの乱れを如何に併せて是正するかが、極めて重要なポイント。

■癌(がん)

   健康な細胞の抗酸化酵素の活性を選択的に高めてくれます。なので、オゾン療法は、化学療法や放射線療法の、あの辛い辛い化学療法や放射線療法の副作用を、全くとは言いませんが、軽くしてくれるので、ホント、助かります。それどころか、化学療法や放射線療法、高濃度ビタミンC点滴療法の効果を高めたり、化学療法にありがちな耐性を弱める(効きが悪くなるのを妨げる)作用もあります。更には、抗癌サイトカイン(TNF、IFN、IL2)を誘導したり、直接的な接触により癌細胞を殺します。ピルビン酸からアセチルCoAへの変換刺激によって、”マージナルな”癌細胞が正常化する場合があります。アポトーシスを刺激する事もあります。つまり、従来の癌の治療に伴う副作用を軽減しながら、それらを強力にバックアップしてくれる。かなり以上に癌の補完療法としては有用って事です。唯、単体で勝負を挑むには役不足の感は否めないので、他の治療法との併用療法があくまでも基本です。

   オゾン療法は、従来療法の実施前、実施中、実施後に行います。1回50ccとして週1~2回の治療から開始し、200ccまで増量します。オゾン療法の後で、25~100gの高濃度ビタミンC点滴を週1回以上実施が、一般的なプロトコール。

■急性感染症

   勿論、必要があれば従来療法との併用が必須です。週1~2回のペースで、1回50㏄位からと極く少量から開始し、200ccまで増量。感染が消失するまで、1日1~2回の治療を行います。オゾン療法の後で、25gの高濃度ビタミンC点滴をするのが望ましい。

■慢性感染症

   肝炎ウィルス、エプスタイン・バーウィルス等のウィルス感染症が適応。必要があれば、従来の内科的療法と併用します。週1~2回のペースで、1回50㏄位から開始し、200ccまで増量。安定すれば、週に1~2回に減らして、感染が完全に消失するまで治療を続けます。オゾン療法の後で、高濃度ビタミンC点滴の併用もあり。

  • 骨髄炎や褥瘡、感染創:肢に対するバック療法、オゾンオイルの局所塗布の併用。
  • 1型及び2型ヘルペス感染:

  200ccを、1日1回を毎月2日連続で行うと、治療を続けるうちに再発が減る。

■皮膚真菌症

   従来の方法との併用は必須です。週1~2回のペースで、1回50㏄位から開始し、200ccまで増量します。大体、14回の治療で効果が認められます。オゾンオイルの毎日の併用は、お約束❤

■アレルギー及びアトピー性皮膚炎

   免疫調節脱感作療法の一つ。週に1回行います。

image1174
 

 

*註:HISAKOの美容通信に記載されている料金(消費税率等を含む)・施術内容等は、あくまでも発行日時点のものです。従って、諸事情により、料金(消費税率等を含む)・施術内容等が変更になっている場合があります。予め、御確認下さい。

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来月号の予告

栄養療法からアプローチする<副腎疲労とデトックス>です。