HISAKOの美容通信2014年1月号
腸内細菌と腸管免疫 (付録・遅延性フード(食物)アレルギー)
腸管免疫を整える事が、アトピー性皮膚炎や蕁麻疹、花粉症、ニキビ、脂漏性湿疹等の慢性疾患の、対症療法じゃなくて、根治的な治療につながるだろうってお話です。
腸内環境(腸内バランス)と、遅延性フード(食物)アレルギーについても補足しています。
腸内細菌とは
腸内細菌については、美容通信2012年8月号と美容通信2013年8月号で既に特集しているので、軽く復習から。腸内には、大きく分けると善玉菌、日和見菌、悪玉菌の3大勢力が棲息しており、20%、70%、10%がその望ましいバランスとされています。しかしながら、悪玉、悪玉と蔑まれてはおりますが、本当に悪者なのか?と問われると、実は腸全体として考えると、腸は決して悪玉だ!と思っていないからこそ、悪玉も排除されずに生き残っている訳で、それ故、悪玉を殲滅させる事を考えるより、全体のバランスを整えてあげる方が、由緒正しい腸内細菌叢に対する戦略となります。悪玉菌は、セルロースの分解やVit. B群合成、他からの闖入者である大腸菌の排除etc.と、意外に良い奴だったりと、一概に悪者扱いが難しい菌だったりするんです。
ところが、右上図の様に、年と共に善玉菌が減少します。何故減るのかは分ってはいませんが、腸管粘膜の萎縮の他、唾液分泌の低下も腸の動きを損なうので、これも原因の一つと考えられています。
腸内細菌は、その棲息場所である腸管と、持ちつ持たれつの共存関係にあります。その働きとしては、 以下のものが挙げられます。
腸管免疫系の発達と活性化
腸内細菌が免疫力の、実に70%を司ってます!もう少し補足すると、例えば、上図のTh1とTh2。ご存知の通り、Th1は細胞性免疫に、Th2は液性免疫に関与しますが、免疫は、この”細胞性”と”液性”でバランスが取られています。腸内細菌は、このバランス作りを仕切っているんです。
更に、小腸に棲息している腸内細菌(セグメント細胞¥)は、Th17細胞の誘導に働いています。セグメント細胞と言ってもピンと来ない人々が大多数だと思うので、ちょっとばかり補足をします。写真の通り、分節した形態を有する繊維状の腸内細菌です。哺乳類、鳥類、爬虫類、魚類、昆虫等の多くの生物の腸に存在する、非病原性の常在性細菌で、悪玉菌の代表格とされるクロストリジウム属の配列に比較的近いが、独立したグループと考えたほうが適当とされています。SFBの生活環、存在形態はかなり特殊で、哺乳類のSFBでは芽胞から放出された付着根が腸上皮細胞に接着し、上皮細胞を足場にして分節を形成しながら伸長し、成熟体になると考えられています。右図の如く、特に回腸終末部の絨毛やパイエル板等の免疫組織に多く接着しており、小腸上皮細胞間リンパ球(IEL)の増加・活性化、IgA産生細胞数の増加に関与しています。その他、小腸上皮細胞の分裂速度の促進や、消化管の運動機能の発達にも必要であることが示唆されおり、SFBは、宿主の腸管免疫系をはじめとする消化管粘膜、特に小腸での機能の発達に重要な細菌と考えられています。
腸内細菌、特に悪玉菌の代表格と言われるクロストリジウム属の菌が、免疫抑制する制御性T細胞(Treg細胞)の産生を強力に誘導する事が分っています。Treg細胞は、炎症性腸疾患や関節リウマチ等の、免疫システムの行き過ぎた応答を抑制する為に、極めて重要な役割を果たすT細胞の一種です。このTreg細胞の数を人為的に増加させる事が出来れば、異常な免疫応答を抑制し、自己免疫疾患の症状の軽減やアレルギー疾患の治癒に役立つと考えられ、現在、盛んに研究されている分野でもあります。
病原菌の増殖抑制
外から侵入?闖入?して来た病原菌が、勝手気儘に蔓延らない様に、ブロック!腸管上皮細胞の活性化
後述するけど、腸内細菌が作るポリアミンは、腸管上皮細胞のケツを叩いて、馬車馬とまでは言わなくても、働かせてしまうのだぁ。腸管神経系、内分泌系の活性化
実はぁ、人様の神経伝達物質、例えば、ドーパミンとか、セロトニンとか、カテコールアミン、ヒスタミン等々は、腸内細菌が作るものと全く同じなんだよ~ん。因みに、人の愛情は2年で冷め、3年目に離婚に至る…。英国の科学者の論文に、離婚と腸内細菌の関係について言及したものがあります。それによると、不味いものばかり喰わされていると、腸管自体も舌に負けず劣らず以上に味を感じる臓器なので、腸内細菌が”幸福感”や”リラックス感”、”満足感”、”やる気”、”幸せを記憶する物質”である、セロトニンやドーパミン、GABAと言った神経伝達物質の前駆体を作らなくなり、その結果、これ等の神経伝達物質が不足し、夫婦生活を維持する意味が失われ、離婚に至るんだとか。怖い! 平たく言うと、腸内細菌との共生の破綻は、アレルギーや感染症、癌、肥満、動脈硬化、自閉症、便通不全等の病気を招くって事です、はい。
例えば、アレルギーでぐちゃぐちゃのガキんちょは、乳酸菌やビフィズス菌と言った善玉菌が少なく、クロストリジウムやスタヒロコッカス等の悪玉菌が多い(Bjorksten et al.、Kalliomaki et al.)んだそうです。 他にも、
- 正常児の腸内ビフィズス菌は、肥満児のその2倍。
- 痩せたマウスには腸内にバクテロイデスが多く、ファーミキューテスが少ない。
- TLR5ノックアウトマウスでは、食べる量が10%、体重が20%増加した。(Science、米国 エモリ―大学)
- バクテロイデスの特定のモノが、大腸癌の原因。(Nature medine、ジョンズポプキンス大学)
- 自閉症患者には、ビフィズス菌が少なく、クロストリジウムが多い。
腸管免疫
左図は、腸内細菌のお話の際に必ずと言って良い位に登場する”腸管免疫系の働き”の図ですが、食べ物と一緒にと言うか…ドサクサに紛れて闖入してくる病原菌は速やかに排除しますが、善玉菌とは共生します。更に、生体に必要な栄養素を選択的に吸収します。その腸管免疫系の要的な存在が、パイエル板です。ところが、このパイエル板、回腸に20個しかないんですよ。それで全身の免疫の60~70%と、大半を賄う訳ですから、余程の機能的で強固なシステムが確立していないと、破綻してしまいます。
パイエル板の上に鎮座する斥候的な存在であるM細胞は、抗原を食べる事は食べるんですが、食細胞と違い、リゾチームの様な消化酵素を持っておらず、食べて殺すんじゃなくて、そのまま吐き出す=トランスサイト―シスをします。ほら、左図の様にM細胞って、すっぽり中にリンパ球や樹状細胞、マクロファージが入り込みやすい形状になってますよね? これは入ってきた物の抗原提示をすぐ出来る様にって、考えに考え抜いて作られた究極の形状なんですよ、はい。凄いですねぇ。
パイエル板では、待ち構えていたリンパ球が抗原提示を受け、活性化し、 一部はパイエル板を離れて、旅に出ます。前述の通り、パイエル板は小腸下部の回腸に、それも20個しかない訳ですから、リンパ球がここだけに留まっていると、回腸のパイエル板辺りのご近所エリアしか守れないなんて、世界の平和を守るウルトラマン一族として恥!って事態に陥ってしまいます。そこで、苦肉の策でもないでしょうが、”ホーミング”って裏技を使います。つまり、パイエル板で教育を受けたリンパ球は、一旦、血液の中に入り、全身をまわり回って、もう一度腸管に戻って来ます。これにより、7~8mもある腸管全体を警備する体制が整うって訳です。
免疫系には他の生体系にはない特徴があって、免疫細胞があたかも自分の行き先を知っている渡り鳥の様に、特定の場所から特定の場所へと移動するんです。この様な細胞の行動?言動?は、しばしば渡り鳥の行動になぞらえられて、”ホーミング”と呼ばれています。
…何か、HISAKO的には、急がば回れ的な発想に思えてしまうんですが…。まあ、それから、目や口や、おっぱいやらの、腸と御親戚筋(肺・泌尿生殖器・哺乳期乳腺・唾液腺・涙腺・小腸粘膜固有層)に当たる細胞の所にまで遠征し、御親戚筋達にも自らIgA抗体を産生させ、彼らも自分自身を守るようになります。
この”ホーミング”のスイッチを入れるのが、ビタミンAです。抗原提示の際にホーミング受容体がないとそもそも話が始まんないんですが、このCCR9ってホーミング受容体の発現の引き金はレチノイン酸です。ビタミンAを、このレチノイン酸に変える酵素は、腸管の樹状細胞にしかないんです。
年寄りになって、肉を喰わなくなって、ビタミンAが不足すると、ホーミングが出来なくなっちゃうんです。だから、御親戚筋の肺でもIgAが作れなくなり、感染が増えたりなんて羽目に陥るんですよ、ね。
IgAのクラススイッチを入れるのは、腸の共生菌なんです。つまり、共生菌がいないと、IgAを作る細胞も、IgA自体も、作れないって事なんですよ、はい。まあ、腸内細菌だけじゃなくて、免疫が落ちる原因は、蛋白質不足でも起こるし、ビタミンAとかCとかEなんかが少なくなっても起こるし、それ以外に、亜鉛とかセレンとかのミネラルが少なくたって起こりますがぁ。
粘膜免疫と臨床との接点
腸内細菌の関与は分っているけど、実際どうしたら?って具体的な所までは、未だ分ってないのが現状。腸内細菌を整える等の対応しか、未だなされてません。- 皮膚科
代表的疾患)接触性皮膚炎・アトピー性皮膚炎・尋常性乾癬
- 眼科
代表的疾患)アレルギー性結膜炎・Stevens-Johnson症候群・眼類天疱瘡
- 耳鼻咽喉科
代表的疾患)急性中耳炎
- 歯科・口腔科
代表的疾患)齲蝕・歯周病
- 呼吸器科
代表的疾患)肺炎・アレルギー・急性呼吸促迫症候群
- 消化器内科
代表的疾患)潰瘍性大腸炎・Crohn病
- 泌尿器科
代表的疾患)尿路感染症
- 産婦人科
代表的疾患)性行為感染症・妊娠異常
- 小児科
代表的疾患)消化管アレルギー・Ⅰ型糖尿病
腸内細菌の腸管免疫への作用
小腸の免疫系、大腸の免疫系を考えた時、やっぱり大腸には菌が一杯います。いや、殆どが大腸にいる!と言っても過言じゃないです。嫌気性で、菌の数としては100兆個いて、重さとしては1.5Kg位、種類としては1000種類位います。これらの腸内の共生菌は色んなものに影響を与えていて、腸管免疫細胞の活性化、マスト細胞の遊走と分化を助ける、腸管上皮細胞の活性化だけでなく、そのDNAメチル化で炎症を抑制する等々が挙げられます。更に、乳酸菌やビフィズス菌は共生関係を腸管と結んでいて、腸管免疫を活性化させて、IgA産生や経口免疫寛容誘導等の免疫系を成熟させるだけでなく、過敏反応を抑制する働きもあります。つまり、無菌だとこんな反応は起こり得ない。人間、ちょっとババっちい方が自然の理に叶っていて、寧ろ、潔癖症級に綺麗になり過ぎちゃダメって事なんです。だから、親やご主人から家が汚い!!!!!!!!!!!!!!!!!って注意されたら、腸内細菌をちゃんと活性化させる為の苦渋の選択なんだ!って胸を張って反論しましょう(笑)。例えばですが、花粉症の時、部屋を掃除機で掃除してもしなくても、花粉の量は変わらないって報告があるんですよ。そしたら、しなくていいじゃ~ん、なんてね。免疫細胞の成熟は、生まれるまでは、私達、当然ですが無菌です。生まれ落ちた時に、初めてパイエル板が成熟をしてくるんですが、ここに腸内の共生菌が大きな役割を果たしていて、共生菌がいないと成熟だって出来ないって事にもなってしまいます。それは即ち、IgA産生や経口免疫寛容誘導が出来ないだけでなく、過敏反応を抑制出来ないって事なんです。
遅延型フード(食物)アレルギー
栄養療法(美容通信2007年3月号)をやっていて、どうしても良くならない、一握りの不幸な人々がいるのは事実です。道義上、一握りなので見殺しにするなんて事は出来ません(笑)から、栄養療法の栄養!をちゃんと吸収してくれる腸管腔内の環境(粘膜含)を先ず、改善しましょうって話になります。唯、前述の通り、腸管は食品成分の消化だけではなく、炎症を抑制する免疫制御の場でもありますから、腸内細菌のバランスを整える事は、アトピー性皮膚炎(美容通信2007年4.月号)やニキビ(美容通信2003年11.月号)、脂漏性皮膚炎(美容通信2004年9月号)、花粉症(美容通信2005年3月号)、蕁麻疹(美容通信2006年4月号)等の慢性疾患の治療に対し、一石二鳥以上の効果が期待が出来るんです。農耕を始めたから集団生活を送る様になったのか、その逆なのかは、歴史に疎いHISAKOには良く分りませんが、兎に角、食事の大転換が起こったのが、この新石器時代です。私達はそれまで狩猟生活では、肉を喰ったり魚を喰ったりしていたので、全く必須アミノ酸が不足するなんて事は考える必要すらありませんでした。ところが、農耕を始めて、穀物が私達の食事の大部分を占めるようになると、可也の大量な量の穀物を摂取でもしない限り、必須アミノ酸を賄う事が出来なくなるって不測の事態?弊害?が起こって来たんです。
栄養素 | 単位 | 新石器時代 | 現代アメリカ | 現代日本 |
蛋白質 | % | 30 | 12↓ | 16↓ |
糖質 | % | 40~50 | 46 | 57↑ |
脂肪 | % | 20~25 | 42↑ | 27 |
食物線維 | g/day | 86 | 10~20↓↓ | 10~20↓↓ |
食塩 | g/day | 1.5 | 8.6 | 13 |
カリウム | g/day | 7 | 2.4 | 2.5 |
カルシウム | g/day | 1.5 | 0.7 | 0.6 |
蛋白質は、新石器時代の30%から、現代日本・アメリカは約半分に激減。その減少分を補っているのが、現代日本では糖質だし、現代アメリカは脂肪です。更に大きく変わっているのが、食物線維です。1960年代からは精製の技術が進歩し、これを切っ掛けに更に食物線維が激減しました。これが、アレルギーが増えている原因のひとつだとされています。
ホント、下図の如くに、日本人の食事内容は大きく変わりました。前述の様に、食物線維の摂取量が著しく減少した他に、特徴的な事としては、給食を始めとして、乳製品を摂るって食習慣が当たり前に普及した事もあって、牛乳を筆頭とする乳製品の摂取量の激増が挙げられます。
IgG型のアレルギーは、どうも毎日摂取するものに対して起こるアレルギーと考えられています。それ故、遅延性のフード(食物)アレルギー(美容通信2012年9月号)を調べると、殆どの人に乳製品と卵のアレルギーが出て来ます。
大概のお家の冷蔵庫には、卵と牛乳はお約束みたいなもので、まあ、週のうち可也な日数を摂取する蛋白質って事になります。その季節に採れた動物や魚や木の実等を食べるのが、本来の私達の生活だとすると、昔は年中摂れる蛋白質ってなかった訳です。それが、現代の私達の生活を振り返ってみると、乳製品と卵に代表される蛋白質は、季節に関わりなく、非常に高頻度に摂取しています。だから、乳製品と卵に対して、IgG抗体が非常に高頻度に認められるんです。必然って奴なんです。
遅延型アレルギーの特徴としては、以下が挙げられます。
①原因物質の摂取と反応に、時間的な関係がない。
②特異的な症状がない。⇒臨床現場で、アレルギーが疑われない理由
遅延性フード(食物)アレルギー検査でIgG抗体を調べると、振り切れるくらいの高値を示しながら、症状の自覚が全くないなんて事もあるんです。
非常に多くの食品項目でIgG抗体が高値に出ている患者さんは、もうお腹の粘膜のバリア機能が破綻しているって事を意味しているので、引っ掛かった食材を全部控えるなんて事は、どぉ~考えたって無理!無理! じゃあ、何から除去を開始していくかって治療の実際的な進め方の話になるんですが、臨床現場では、乳製品と小麦でIgGが高値で出ている場合、この2項目に対し、先ずは、3~4ヶ月間(推奨は6か月間)は、最低でも厳密な食事制限を課す事が一般的です。もう一品目って時には、更に卵に制限を加えます。
最初に制限を解除するのが、卵です。この場合は、どんなに多くても週に4回まで、通常は週に3回までの摂取として、新たなIgG抗体を作らないように注意をします。
中でも、小麦グルテンが高い場合は、制限はパンだけではありません。例えば、加工されたお肉では、その嵩増しに使われていたり、フィルムで包まれたチーズ
ってあるんですが、このフィルムがくるっと剥ける様にする為に使われてたり、間食の定番とされるナッツ類も、周りにお塩が付いてたりするものがありますが、このお塩をくっ付けるのに使われたりと、加工品ってものは、ホント、油断も隙もあったもんじゃありません(笑)。それ故に、素材をシンプルに自分で調理して食べるのが一番安全って事になります。
しかしながら、何でこんな事が起こったのかと言いますと、原因の1つには腸内細菌のアンバランスが挙げられます。腸内細菌のアンバランスは、腸管粘膜の持続的な炎症を引き起こし、IgG抗体を作らせ、それが下図の様な様々な症状を引き起こすと考えられています。
腸肝循環
毒素に関しては、肝臓で主に解毒抱合され、胆汁と共に腸管の管腔内に出て来ます。その中の代表が、お薬であったり、脂溶性のモノ、例えばビタミンDやエストロゲンの様なホルモンです。本来は、これ等の無毒化されたものは、お腹の状態が良いと、変に加水分解なんか受けずに、そのままうんこと一緒に排泄されて行ってしまうもんなんです。ところが、腸管内の環境が不良だと、折角無毒化されているのに、お節介にも、腸管の細胞の酵素によって更に加水分解されてしまって、毒性が復活してしまいます。そうなると、腸管から再吸収され、それが回り回って肝臓に戻り、肝臓の負担が増すなんて、笑うに笑えない状況になってしまいます。つまり、一般的に脂肪肝の原因とされている、糖質の代謝の障害とか、インスリンの過剰分泌によって起こった、単なる脂肪肝ではなくて、腸内環境のトラブルによる腸肝循環の挙句に、肝臓の酸化ストレスの増加し、脂肪肝になっちまった!なんて可能性も考える必要があるって事なんです。糖質制限をしても、中々血糖のコントロールが付かない人とか、或いはダイエットが上手く行かないとか、脂肪肝が通常の治療を行っても改善しないとか…、そんな患者さんの中には、腸肝循環の破綻による肝臓の酸化ストレスが治療の妨げになっている症例もあり、腸内の環境を整えるって事は、全身の栄養代謝の要である肝臓を如何に良くするかって事に繋がるんです、はい。
腸肝循環に於ける小腸上皮細胞の重要性
腸管腔内に毒素が上から運ばれて来ると、一度小腸粘膜上皮に吸収されます。小腸粘膜上皮細胞の中では、CYP3A4って酵素が毒素を解毒し、無毒化してから、門脈に放出します。如何に小腸の粘膜の状態を整えることが大事かって話にも繋がるんですが、これにより、肝臓が保護されます。更に、Anti-Porterって近頃発見された輸送体があるんですが、エネルギー依存性に、小腸粘膜上皮から消化管の管腔内に毒素を再分泌する、まあ、熨斗を付けて付き返すなんて露骨な働きをしています。
肝臓の代謝
毒素が肝臓の細胞内で無毒化されて行くんですが、その過程のフェーズ1では、チトクロームP450が主役を演じています。この酵素の活性の鍵を握るのが、ヘム鉄(美容通信2009年12月号)(美容通信2013年11月号)です。そしてこの経路を進める為には非常に多くの栄養素、特にビタミンB12、B3、B6、葉酸、B12等々が必要です。腸内細菌はビタミンを産生しているんですが、ビタミンKの他、結構な量のビタミンBも産生していて、これが門脈経由で吸収され、代謝で使われています。それ故に、お腹の状態がしっかりしていないと、気が狂った様に幾らビタミンBをサプリメントで摂ったとしても、意外に焼け石に水だったなんて事にもなりかねないんです。*註:HISAKOの美容通信に記載されている料金(消費税率等を含む)・施術内容等は、あくまでも発行日時点のものです。従って、諸事情により、料金(消費税率等を含む)・施術内容等が変更になっている場合があります。予め、御確認下さい。
※治療の内容によっては、国内未承認医薬品または医療機器を用いて施術を行います。治療に用いる医薬品および機器は当院医師の判断の元、個人輸入手続きを行ったものです。
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