HISAKOの美容通信美容通信2016年11月号
がん治療と高濃度ビタミンC点滴
がんを始めとする慢性疾患(脳梗塞、糖尿病や骨粗鬆症、筋委縮症、歯周病、アルツハイマー病、肥満、不妊、アトピー性皮膚炎や花粉症、蕁麻疹、薄毛・抜け毛、シミ、たるみ、乾燥肌、ドライアイ等々)の治療は、その根本的な原因を改善する事が、大事な第一歩となります。甲状腺機能低下(FT3/rT3比)を是正する事は、癌の発症の根本原因であるミトコンドリアの機能障害の改善に繋がります。また、高濃度ビタミンC点滴やオゾン療法は、細胞内酸化的ストレスとミトコンドリアの遊離基損傷の主な原因である「酸素利用の低下(低酸素)」状態の改善に有効な治療法です。
高濃度ビタミンC点滴療法の聖地!”とも称される、アメリカのリオルダンクリニック”で使用している、患者の病態を理解するための『ピラミッド・パネル』(6個の根本原因と10のバランスをとる鍵)と、癌における酸化ストレスとエネルギー代謝を解説します。
<代謝から考える癌のルーツと高濃度ビタミンC点滴療法>です。
唯、これは癌だけのお話ではなくて、癌も含めた全ての慢性疾患、例えば、脳梗塞、糖尿病や骨粗鬆症、筋委縮症、歯周病、アルツハイマー病等から、肥満、不妊までと須らく言える事なんですけどね。皮膚科的には、アトピー性皮膚炎も花粉症も蕁麻疹等のアレルギー性疾患は勿論、薄毛・抜け毛やシミ、たるみ、乾燥肌、ドライアイ等々に関係します。
ミトコンドリア機能障害
きちんと酸素を利用出来てますか?
癌を始めとする様々な慢性疾患に於いて言える事は、酸素利用が悪い→ミトコンドリア機能障害です。
ちょっと補足をしておきますと、ミトコンドリアとは、殆ど全ての生き物の細胞内に存在する細胞内構造物の一つです。一つの細胞の中には、ミトコンドリアは1個だけではなく、ごまんとうにゃんと(数10~数万匹!)生息しております。
これらのミトコンドリアは、細胞の中で呼吸をして、エネルギーを生産するのがお仕事です。肺から吸い込んだ酸素は、血液によって体内の細胞に運ばれ取り込まれ、ミトコンドリアによって糖や脂肪を燃やす燃料として使われます。つまり、生化学的に糖などを分解していく過程でエネルギーが発生し、私たち生き物は、動植物も菌etc.もって意味ですが、そのエネルギーを利用して、体温を保ち運動をして生命維持をしています。
代謝を司るのは、甲状腺(美容通信2015年3月号)(美容通信2015年11月号)って臓器です。右の図を見て下さい。癌を始めとする様々な慢性疾患のそもそもの発端であるミトコンドリアの機能障害に対し、FT3/rT3比(美容通信2016年5月号)を厳格に制御→ミトコンドリアの再調節を図るって作戦は、意外に以上に有効な戦略!って事が理解出来ます。
戦略を詳しく列挙すると、こんな感じかな。題して、「鍵となる5つの概念」。
- コア・ライフ・プロセス:エネルギー代謝
- エネルギー代謝は、酸素利用に直接基づいている。
- 酸素利用は、正常なミトコンドリア活性に依存している。
- ミトコンドリア活性は、バランスの取れた甲状腺機能で調節される。
- バランスの取れた甲状腺機能は至適FT3/rT3比で制御される。
バイオエネルギー試験®
上図は、バイオエネルギー試験分析装置(Frank Shallenberger MD)で、消費された酸素と生成した二酸化炭素が測定出来ます。酸素消費量はミトコンドリアの効率を、二酸化炭素生成量は脂肪代謝を決定するもので、細胞内レベルでのエネルギー生成の動力学を計算するのに有用です。
酸素利用が減少=ミトコンドリアの機能障害があると、フリーラジカルが徒に発生するだけになってしまいます。
甲状腺ホルモンT3のミトコンドリアに対する効果
甲状腺機能の低下は、慢性疾患や癌の根本原因の多くとリンクしている。
ドイツのBroda Barenes博士は、実にショッキングな発言をしています。「甲状腺機能低下症の人は、結核等の感染症が原因で若年で早死にする。例え早死にを免れたとしても、近いうちに、癌や心臓病が原因で死ぬだけだ」と。
甲状腺の機能が低下すると、様々な症状が起こります。
疲労・頭痛・偏頭痛・月経前症候群・癇症・浮腫み・不安・パニック発作・脱毛・うつ病・記憶力低下・集中力低下・性欲低下・不健康な爪・緩慢な動き・便秘・過敏性腸症候群・不適切な減量・乾燥肌・毛髪の乾燥・不眠・日中の眠気・関節炎及び関節痛・アレルギー・喘息・筋肉痛・痒み・コレステロール値上昇・潰瘍・ニコチンやカフェイン使用の増加・喉の違和感・発汗異常・高温and/or寒冷への不耐性・低い自尊心・生理不順・重度生理痛・低血圧・頻繁な感冒&喉荒れ・頻繁尿路感染症・ふらつき・耳鳴り・創傷治癒の遷延・打ち身をしやすい・酸の摂取・のぼせ・頻繁な酵母感染(美容通信2016年9月号)・手足の冷え・不良な強調運動・小児発達遅延・不妊症・低血糖・皮膚感染の増加・ニキビ・嚥下の異常・シミの変化・若年での白髪・食後の過剰な疲労・手根管症候群・ドライアイ・かすみ目・蕁麻疹・口臭
…これらの症状って、慢性疾患の症状と酷似していませんか? 甲状腺機能の低下は、慢性疾患と癌の根本的な原因の多くとリンクしているものと推測されます。
T3のミトコンドリアに対する効果
ATP合成酵素は、呼吸鎖複合体によって形成されたプロトン濃度勾配と膜電位からなるプロトン駆動力を用いて、ADPとリン酸からアデノシン三リン酸 (ATP) の合成を行う酵素です。
まあ、平たく言いますと、ミトコンドリアはエネルギーを産生する工場で、その生体膜は二重構造になっています。殆ど何でも通しちゃううさビッチ!な性格(笑)の外膜と、選択的に決められた物しか通さない石頭系の内膜から成り立っています。内膜の内側がマトリックス、外膜と内膜の間が膜間腔です。この内膜には、ATPを産生する酵素(ATP合成酵素:別名・ATPシンターゼ、ATPシンテターゼ、呼吸鎖複合体V、複合体V etc.)や、電子伝達を行う酵素が存在しています。因みに、「共役」とは、この電子伝達を行う呼吸鎖(酸化)とATP産生(リン酸化)は、互いに強く関連し合っているいるんだよ~んって意味です。
「共役」の詳しい内容についてですが、先ずは上の図を見て下さい。どの生化学の教科書もそうですが、頭が完全にウニになりそうな文言が羅列してあります。抜粋しますと…呼吸鎖は、解糖系やクエン酸回路などで得られたNADHやFADH2のプロトンを、CoQ、シトクロムCを通じて最終的には酸素に渡すまでの過程で、各々の段階でマトリックスから膜間腔へプロトンを汲み上げています。NADHはミトコンドリア内膜の複合体IでCoQにプロトンを渡し、その際マトリックスにあるプロトンを4つ膜間腔に汲み上げます。CoQのプロトンは複合体IIIでシトクロムCに渡り、その際にも4つのプロトンが膜間腔に入ります。シトクロムCのプロトンは、今度は複合体IVのなかで酸素に渡り、酸素は水になり膜間腔には2つのプロトンが放出されます…と、この様に呼吸鎖とは、プロトンを渡していく過程で、マトリックスから膜間腔にプロトンを汲み上げるものです。
繰り返しますが、ミトコンドリアの内膜は選択的にしか物質を通しませんから、プロトンは膜間腔にどんどんと溜まり、結果的にマトリックスとの間に濃度勾配が出現します。上図の様に、ミトコンドリアの内膜にはATP合成酵素がありますから、そこだけはプロトンが通過出来るようになっています。ATP合成酵素を介して、マトリックスの内側にプロトンが移動すると、プロトンの濃度勾配が軽減される≒ATPが合成されます。この様に、呼吸鎖(酸化)とATP合成(リン酸化)は、一連の「共役」関係にあります。
ところが、癌や慢性疾患のそもそもの原因が改善されていないと、細胞内酸化的ストレスにより、細胞の代謝は好気性から嫌気性に移行し、ADPが枯渇します。そうなるとATP合成(リン酸化)が進みませんから呼吸鎖の過程で膜間腔に貯まりに貯まったプロトンを、共役ではなく脱共役蛋白質により、ADP非存在下でマトリックス側に移動して勾配を解消するしかありません。
脱共役蛋白質には、UCP1、UCP2、UCP3、SLC25A27(UCP4)、SLC25A14(UCP5)の5タイプがありますが、 中でも最も活動性の強いものは、骨格筋に存在するUCP3です。トリヨードチロニン(T3)は、USP3(代謝性熱発生)を強く、UPC1(ミトコンドリアの生物発生の誘発)をそこそこ(笑)に増加させ、結果的に、酸素利用を増加させます。
隠れ甲状腺機能低下に陥っている人々
甲状腺調節系の復習
甲状腺刺激ホルモン(TSH)の作用は、甲状腺ホルモン産生を刺激して、甲状腺からのホルモンの放出を促す事にあります。
FT3/rT3比は、酸素利用を調節
甲状腺ホルモンの一日の生産量は、サイロキシン(T4)が100mcg、トリヨードサイロニン(T3)=30mcgです。T3の内訳ですが、20%は、甲状腺から直接産生されます。残りの80%は、T4からの脱ヨード反応で産生されます。
代謝活性物質とも称される、いけいけどんどん!アクセル全開!のT3の活性のレベルは、T4の4~5倍です。ところが、飢餓や様々な精神的肉体的ストレス(環境的要因)を受けると、ストレスから身を守る為に、末梢組織や循環血液中のT3は、急ブレーキ。自らの鏡像型であるリバースT3(rT3)と言う、究極のエコの化身でもある不活性型へとっとと変換され、結果、有効な活性のあるT3の量が減ってしまいます。rT3は代謝遅延物質であり、活性は0です。FT3/rT3比の低下は、代謝が抑制された状況を表しています。
FT3/rT3調節不全の要因
代謝を遅らせるエピジェネティックな要因を、表にまとめてみました。
慢性疾患の治療は、将来的に黄緑エリアの改善に移行せざる得ないでしょう。
コルチゾル高値 | 低栄養 | NF Kappa-Bの炎症 | 重病 | 毒素/金属 |
感染 | ビタミンD・ヨウ素 | hsCRP高値 | 凍傷・咬傷・出血 | ビスフェノールA |
インスリン抵抗性 | B12・B6 | フリーラジカル | 慢性肝炎 | PbやHg等・肥満 |
糖尿病/Hba1c高値 | 亜鉛・クロム | 慢性疼痛 | アルコール依存・薬物依存 | レプチン抵抗性 |
加齢/手術 | 鉄・セレン | ICU症候群 | ホルモン障害 | 飢餓 |
■FT3/rT3異常調節因子=癌と慢性疾患の根本原因
癌を含め、慢性疾患の根本的な原因は己にあるって事なんですかね。だからそこを治さないと救われないと(笑)。
代謝ホメオスタシス(バランス)の修復
治療の目標~代謝ホメオスタシスの修復
rT3(代謝遅延物質)は、細胞性の甲状腺機能低下(TSHやFT4が正常値!)のマーカーです。慢性疾患や癌の患者さんの約70%で、FT3/rT3比の低下(<18/1)が認められると推測されています。
つまり、治療の目標は、代謝ホメオスタシス(バランス)を修復する事にあります。その際のコントロールの指標となるのが、FT3/rT3です。18~21/1が目標値です。
T3+サプリメントの使用で、根本的な調節不全の要因を治療
- FT3/rT3比を改善する事で、代謝機能が改善し、甲状腺調節不全の症状が改善します。
- 甲状腺の調節不全要因に対処し、矯正すると、FT3/rT3比が改善すると言う代謝面の改善が安定化します。
- T3サプリメントを代謝改善に使用しますが、
- 根本原因を直して、T3サプリメントを使わなくて良くなるように、頑張るにゃん(美容通信2015年11月号)!
EPIGENETIC CHALLENGES!!~癌の根本原因を直す為に
甲状腺-代謝系は、「三本脚の椅子の一本の脚を引くと、椅子全体が一斉に動く」と例えられるように、左図の如くに複雑な迷路の様に入り組んだ、巨大なフィードバックグループを構成しています。この系全体を健全な状態に正す為には、個々の系の調節不全の部分を、ひとつづつ直す事から始めなければなりません。当然、これには時間も掛かります。知識も必要です。そしてセルフケアをしっかり行うぞ!って患者さん自身の強い決意も大切です。勿論、HISAKOを始め、スタッフ全員で患者さんのお尻は叩きますけれどね❤
FT3/rT3比を改善する為に、少量のT3甲状腺を加える
甲状腺機能の低下が認められば、ホルモン製剤の処方はお約束です。保険で処方されるチラージンの様なT4単独製剤よりも、T4+T3併用製剤である豚の甲状腺の粉末であるアーマーサイロイドの方が望ましい(美容通信2016年5月号)とされています。T3単独製剤は、T4しか血液脳関門(BBB)を通過出来ませんから、両者がバランス良い比率で配合された製剤が推奨されます。…と言うのが基本のお話し。
唯、FT3/rT3比に著明な低下(<18/1)が認められれば、ずるっこと言うか…力任せと言うか…荒業的に少量の純粋T3(リオチロニン(チトメル)(2.5~5.0mcg))を追加する事はあります(美容通信2015年3月号)。前述のアーマーサイロイドには、1グレイン(60mg)に、38mcgのT4と9mcgのT3が含有されていますが、チトメル5mcgの錠剤はT3オンリーで、T4は含まれていません。
勿論、ホルモン剤の投与だけに頼るのではなく、援軍の存在も必要です。コルチゾール分泌低下(美容通信2015年4月号)があると、甲状腺での産生・転換、受容体での取り込みに悪影響が出てしまいます。糖質制限(美容通信2014年3月号)と併せて、検査データによる必要な栄養素の補充(美容通信2007年3月号)と後述する高濃度ビタミンC点滴(美容通信2008年11月号)です。
私達はここで癌を治療しません。癌患者を治療します。
高濃度ビタミンC点滴の聖地・リオルダンクリニック
「私達はここで癌を治療しません。癌患者を治療します。」(Dr. Hugh Riordan)
高濃度ビタミンC点滴(美容通信2008年11月号)の聖地・リオルダンクリニックのクリニックの指針です。個人的には、補完療法のみで、癌の治療は勿論、全ての慢性疾患の治療をカバー出来るとは思いません。しかし、「その根本的な原因は、何なんだ?」と言う基本に立ち戻って、癌を含む慢性疾患(湿疹・皮膚炎や花粉症に蕁麻疹、肌荒れや、フケ、ニキビ、シミ、たるみ等々のお肌のトラブル、肥満や不妊も、全部含む!)を考える事は、非常に重要だと思います。
従来のケア | リオルダンクリニックによるケア |
病気を治療 | 患者をケア |
腫瘍の悪性度と病期を判定 | 癌の根本原因を探して矯正 |
癌細胞を死滅させる | 健康な細胞を強くする |
酸化ストレスが多い | 酸化ストレスを少なくする |
生存の質 | 生活の質 |
癌の補助療法としての高濃度ビタミンC点滴の、リオルダン・プロトコル
化学療法及び生物学的応答修飾剤として、ビタミンC点滴…。あまりにも、抽象的で”?”と思っちゃいますよね、これじゃあ(笑)。
- 癌患者の規定食を修正(疲労を低下)
- 体内の解毒系を支持
まあ、平たく言えば、毒物まみれの酷い環境にありながらも、汚濁を汚濁ともせずに浄化(解毒)出来る、あたかも新興宗教の教祖様を髣髴とさせる存在でありながら、胡散臭さがないどころか、真っ当に解毒経路をサポートしてるのがビタミンCです。
- 疼痛を軽減し、快適さを促進
従来は、麻薬に頼ってしまうのが常だったんですけど、ね。
- 細胞性免疫を押し上げる(二次感染を予防する為の)
- コラーゲン形成を刺激(壁を作って腫瘍を遮る)
- ヒアルロニダーゼを阻害(転移を遅らせる)
- 細胞の低酸素を軽減/好気性の代謝を修復
- →ミトコンドリアの働きを修復し、アポトーシスを改善
- 血栓形成を阻害し、腫瘍への栄養素補給を抑制
- 化学療法と放射線の効力を強化
- 従来の療法の副作用と毒性を軽減
- 癌患者ケアに於いて、もっともらしく思われる腫瘍学的補助手段
細胞外酸化ストレス
酸化因子は、癌患者の臨床転帰に影響する。
程度の差はあれど、細胞外での酸化ストレス(細胞外酸化的ストレッサ―)により、患者さんの癌運命が左右されてしまいます。まあ、繰り返すけど、これは癌だけじゃなくて、全ての慢性疾患の!って意味だけどね。
じゃあ、どんなものがあるかと申しますと、下記の通り。
- 患者の年齢
- 家族歴
- 栄養状態
- 喫煙歴
- 発癌物質への暴露
- 運動と健康増進
- 睡眠の質
- 放射線
- 依存症
- 金銭的ストレス
- 信仰
- 家庭崩壊
- 不安と抑うつ
- 診断時の癌の病期
- 受診時の癌の病期
- 腫瘍の大きさ(組織量)
- 疼痛の程度
- 化学療法
つまり、リオルダンクリニックの教えをいただくまでもなく、慢性疾患の隠れた根本原因を見つけて、それを正す事によって、真の健康が長く持続する状態を作る! それしかないんです。そして殆どの患者さんは、原因が分からないと嘯きながら、実は自分が一番原因を分かってるんですけどね。
抗酸化物質の効果
多くの臨床試験やレビュー論文で、癌患者に対する高濃度での抗酸化物質療法は、プラスの効果が実証されています。抗酸化物質の効果としては、以下が挙げられます。
- 栄養障害(癌患者に多い…いや、HISAKOも外来で吸血鬼級に採血するけど、アトピー性皮膚炎や肌荒れやシミ等々で来院する患者さん達、結構、皆、酷い栄養状態で、さもありなん状態なんだけどなぁ)を矯正
- 癌細胞のライフサイクルを遮断
- アポトーシスを引き起こし、化学療法による副作用を減少
- 炎症を抑制
- フリーラジカルの産生阻害
- 疼痛緩和
- 食欲の改善と全体的に生活の質を改善
- しばしば平均余命を延長
ホルミシスって概念
ホルミシスって、一体何者やん?
ホルミシスとは、高用量で毒性若しくは致死作用のある化学物質の暴露を、低用量に抑制する事で、有益な効果(健康増進、ストレスの耐性、発育、長寿)をもたらす生物学的現象の事です。癌の補完療法の代表者である高濃度ビタミンC(美容通信2008年11月号)もオゾン療法(美容通信2011年8月号)も、原理を辿ればホルミシスなんです。低用量のビタミンCは抗酸化作用ですが、高濃度のビタミンC点滴は、後述の如くに、酸化を促進に働いているのです。
高濃度ビタミンC点滴は、ホルミシスによって作用する
「薬理学的濃度のアスコルビン酸は、in vivoの細胞外用液中に、アスコルビン酸ラジカルと過酸化水素を生じる」(アメリカ国立衛生研究所)
少し詳しく説明いたしますと、ビタミンCはがん組織に過酸化水素を提供することによって癌を殺します。ここで疑問に思うと思いますが、何故、抗酸化物質であるVCが、酸化物質である過酸化水素を発生させるのでしょうか。左の図を見て下さい。
アスコルビン酸は、2つの電子を持っています。この電子を受け取った側は、還元されます。遊離基は還元され、ビタミンCはDHA(酸化型ビタミンC)へ酸化されて、腎臓から排泄されます。
Fe3+ → Fe2+
ビタミンC → DHA(酸化型ビタミンC)
この反応では、第3鉄を第2鉄にビタミンCが還元しています。
ところが、鉄と酸素が存在する状況下では、ビタミンCの酸化促進効果が発揮されます。右図を見て下さい。還元された鉄イオンが、酸素と反応して酸化してますよね。この酸化プロセスに於いて、酸化水素が発生します。
NIHのLevineらはこれを科学的に裏付けました。ラットに大量のビタミンCを投与したのです。細胞外液の透析法を用いて、細胞外に発生した過酸化水素の量を測りました。2007年にはlevineらは、生体内において細胞外に過酸化水素とビタミンCが薬理学的に投与した場合のみに発生する事を示しました。
細胞外に過酸化水素が産生され、そこに遷移金属(電子の受け渡しをしやすい金属)が存在すると、過酸化水素はヒドロキシル基へ変換されます。これがフェントン反応あり、高濃度ビタミンC点滴による酸化機構の核心でもあります。
ビタミンCを注射すると、浸透圧に従って、血管内と細胞外液の夫々に分布します。細胞外液では、ビタミンCはラジカルを作り、金属を還元して過酸化水素を生成します。これに対して、血液内には還元物質が大量にありますから、ラジカルが形成され難いという特徴があります。また、例え、H2o2が作られたとしても、カタラーゼと赤血球GSHペルオキシダーゼによって、直ちに破壊されてしまいます。ビタミンCは、細胞外液内限定でラジカルを作っているだけです。
因みに、元のままの形では薬としての作用を示さず、生体内で代謝されて、初めて薬理活性を示すように強く躾けられた!(化学修飾を施した)薬を、プロドラッグと言います。NIHのDr.マークレバインは、大量静注したビタミンCが血管内では働かず、目標の癌細胞でのみ働くのを目の当たりにして、「ビタミンCは、プロドラックとして働く抗癌剤やねん!」と叫んだとか(←真偽のほどは不明ですが(笑))。
癌細胞は嫌気性である
機能性低酸素症(Levine & Kidd)
- 酸化的ストレスは、抗酸化性栄養素の欠乏だけが原因で起きる訳ではありません!
- 細胞内酸化的ストレスとミトコンドリアの遊離基損傷の主な原因は、やっぱり、酸素利用の低下!の一言に尽きます。
*細胞内の酸化的ストレスについての補足:
- 損傷を与える遊離基が、電子鎖移動システムを持つミトコンドリア膜内で、絶えず生成され続けています。
- 細胞内抗酸化酵素(例:SOD、カタラーゼ、グルタチオン・ペルオキシダーゼ)は、ミトコンドリアの酸化に対抗する、細胞の重要な防衛隊の役割を果たしています。
[補足]グルタチオン・ペルオキシダーゼの役割
①グルタチオン・ペルオキシターゼの細胞内酵素としての活性は、DHA(酸化型ビタミンC)からアスコルビン酸が再生されるのに必要です。
②抗酸化ビタミンだけでは、細胞が最適な量のグルタチオン・ペルオキシダーゼを有していない限り、フリーラジカル過多の問題を解決出来ない!(←オゾン療法の原理と応用:Shallenberger, p68)
■理科の復習「解糖系について」
解糖は、殆ど全ての生物に共通に存在する糖の代謝経路です。解糖系を簡単に説明致しますと、「細胞質で、グルコースをピルビン酸または乳酸に変換する経路」です。
下図の様に、グルコースが解糖系を進行して行くと、ピルビン酸まで辿り着きます。
好気的条件下(酸素がある状態)では、ピルビン酸がアセチルCoAと変換され、ミトコンドリアに入りクエン酸回路へと進んでいきます。嫌気的条件下と異なり、ピルビン酸→ 乳酸の経路から、ピルビン酸 → アセチル-CoA → TCA回路 → 呼吸鎖の経路に切り替わる為、ATP合成速度は著しく低下します。しかし、得れるパワーは半端なく、グルコース 1分子から最大38分子ものATPが得られます。
嫌気的条件下(酸素がない状態)であれば、ピルビン酸は乳酸脱水素酵素(LDH)によって乳酸になります。グルコース 1分子から2分子のATPが合成されます。なので、嫌気的な状況下にある細胞は、エネルギー不足に陥りやすい傾向にあります。空腹を抱えたストリートチルドレンよろしく、そんな状態では真っ当な大人(細胞)に育てる訳がありません。彼らに、統制のとれた精巧な制御機構を期待する事自体が大間違い(笑)。闇雲に、凶暴な破滅的人生(癌)を突っ走るしか道はないのです。解糖系は最も原始的な代謝系ですが、ATP合成は好気的な条件下であるクエン酸回路によるATP 合成の約100倍の速度を持っています。この為、癌以外にも、激しい無酸素運動などでは、解糖系によるATP合成が活発になります。
■細胞内外の酸化ストレス→低酸素状態→いつまでも治らない傷→嫌気性の細胞退化へ
- 健康:低酸素による創傷
- 損傷:持続性のDNAの損傷
- 兆候:容赦ない酸化
- 修復:炎症の調節不全
- 治癒:嫌気性の細胞退化
癌細胞は嫌気性
癌研究者のOtto Warburgは、1920年代に、癌細胞の代謝は嫌気性である事を発見し、この代謝研究でノーベル賞を受賞しました。彼曰く、”全ての癌細胞は、絶対嫌気性を持つ”と。
細胞内外の酸化ストレスによって、低酸素状態になり、いつまでも傷が治らないと、嫌気性の細胞の退化に繋がります。実際、面白い実験をWarburgが行っていて、癌でない人様!の細胞をシャーレに摂って、酸素を与えなかったんだそうです。細胞は死にませんでしたが、癌になったんだそうです。
ミトコンドリア機能障害の早期発現(Early Onset Mitochondrial Dysfunction:E.O.M.D)の立場から
酸素利用を減少される要因は、そのまま加齢と変性疾患の発症に繋がる根本的な原因となります。
唯、癌の治療としては、オゾン療法(血液クレンジング)(美容通信2011年8月号)派と、高濃度ビタミンC点滴(美容通信2008年11月号)派が、「おらっちが先だべ!」と主張を繰り返しておりますが、いいとどりだけを人生の行動指針に据えているHISAKOと致しましては、「どっちでもいいやん」なんですが(笑)。典型的無信仰の日本人であるHISAKOにすれば、オゾンデルタもリオルダンクリニックのピラミッド・パネルも、イスラム教とキリスト教以上の差異は感じないんですけどねぇ…。
そうやって考えると、前述の加齢と変性疾患のエネルギー欠乏説は、左図の如くに、高濃度ビタミンC点滴派の立場から、コインの裏面を描く事も出来ます。これが、細胞内抗酸化緩衝システムの酸化促進誘発です。
*註:HISAKOの美容通信に記載されている料金(消費税率等を含む)・施術内容等は、あくまでも発行日時点のものです。従って、諸事情により、料金(消費税率等を含む)・施術内容等が変更になっている場合があります。予め、御確認下さい。
※治療の内容によっては、国内未承認医薬品または医療機器を用いて施術を行います。治療に用いる医薬品および機器は当院医師の判断の元、個人輸入手続きを行ったものです。
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USAからやって来た<Luscious Lips(ラシャス リップ)>です。