HISAKOの美容通信2008年11月号
点滴療法(高濃度ビタミンC/プラセンタ他)
疲れた(慢性疲労)り、眠れなかった(不眠)り、凄く紫外線を浴びちゃったり、喘息や風邪、蕁麻疹やアトピー性皮膚炎、美肌(美白)、デトックス、癌の予防やガンの補完療法、パーキンソン病、更年期障害、肥満(代謝改善)等々と、点滴療法の適応は人夫々。
でも、流れを変えるには強力なアイテムです。
クリニックでは、あなたの症状とご予算に合わせて点滴内容をご提案します。
HISAKOのクリニックでは、代表的な4種類ベースカクテル(マイヤーズ、グルタチオン、プラセンタ、高濃度ビタミンC)を基に、現在、32種類の点滴カクテル・メニューを提案しています。今月号では、人気の高濃度ビタミンC点滴療法を中心に、4種類のベースカクテルについて解説します。題して、”点滴療法”です。
高濃度ビタミンC点滴療法とは
ビタミンCの美容的作用としては、エンビロンの化粧品の説明(美容通信2004年11月号)でも触れましたが、先ず頭に浮かぶものとしては、メラニン色素の生成抑制による美白効果。それだけじゃなくて、コラーゲンの生成には、ビタミンCが必須(美容通信2004年5月号)。お肌のハリ、シワやタルミの予防の定番とも言われる所以です。この様な美容効果のみならず、免疫力を上げる事で風邪、疲労時の体調改善にも効果的です。
更に、最近、米国では、高濃度ビタミンC点滴療法が、副作用の無い癌の代替治療として非常に注目を浴びています。
例えば、美容効果や、抗ヒスタミン作用、抗ウィルス作用、癌予防を期待して行なわれる場合、一般的に1回25g程度のビタミンCを点滴します。癌の併用療法として行う場合は、1回75gです。しかしながら、実際問題として、これだけの量(血中濃度)を、通常のサプリメントや飲み薬で摂取する事は、殆ど不可能です。血管に直接入れる=高濃度ビタミンC点滴療法を行って、初めて、飛躍的に血中濃度を上げる事が可能になるのです。
‥何となく、興味が出て来たでしょ? それじゃあ、詳しくお話をして行きましょう。
猫や犬じゃないんだから、もっとビタミンCを取ろうよ!
所謂世間で言われているビタミンの所要量は、良い健康状態を保つ為の最適摂取量とは異なります。詳細については、”検査の裏読み”(美容通信2007年3月号)を読み返して下さいね。中でもビタミンCは、通常の食事から得られる量以上に摂取量を増やした時の効果が、他のビタミンの場合に比べて著しいのが特徴です。これは何故でしょう? この謎を解く鍵は、人間が食物連鎖の頂点に立つまで要した長い進化の過程にあります。
左の図は、アカパンカビ(Neurospora crassa)です。アフロヘアの黒人の女の子みたいな可愛いルックスにも関わらず、自立心は可なり旺盛。全てのアミノ酸と、ビオチン以外の全てのビタミンを、自分の体の中で合成出来る。つまり、自給自足が当たり前なので、苛酷な環境下でも生き抜ける。だから数億年以上に亘って、種の絶滅を逃れる事が出来たんです。
ですが、否、それ故に、アンパンカビは、食物連鎖の頂点ではなく、明らかに底辺で生きる事に甘んじなければならなかったとも言えます。想像してみて下さい。いつも防災グッズ(因みに右図は、総務省消防庁の推奨する非常持ち出し袋の中身です)の詰まったリュックサックを背負った状態で、会社に行って仕事をしたり、ご飯を食べたり、デートしたり、風呂に入ったり、ベッドで寝なければならないとしたら‥、貴女の社会生活に於けるハンディは並大抵のものではないでしょう。災害に巻き込まれない限り、どう考えたって、身軽に動ける方が楽しい人生を送れます。
人類の祖先は、生存に必要な様々な栄養成分を、1つづつ、身近な環境から得られると言う地位を固めては、その度に不要となった体内の合成機構を、1つづつ、捨て去って、進化という名のより身軽でより楽しい人生を得ました。最後の最後に、人間とサル(他の霊長類)が手放したのは、ビタミンCの合成能です。これにより、霊長類は飛躍的に進化を遂げました。しかしながら、犬も猫もブタも牛も山羊も‥他の哺乳類達は、この最後の一線を越える事はしませんでした。なぜなら、コラーゲン合成に必須のビタミンCを適正量得るには、普通の食事だけではとても賄い切れないからです。食物連鎖の頂点に立てる、つまり非常に大量なビタミンCが摂取出来る環境下にあって、初めて、この重要な栄養成分の合成能力を放棄出来ます。
しかしながら、所謂動物と違って、現代人にとっては、その気になれば摂取出来る環境で暮らしている事と、実際に摂取しているって事は違います。貴女は、自分の食生活を省みて、十分なビタミンCを取っていると思いますか? 皮肉な話ですが、一度放棄した能力を、再度必要が生じたからもう一度復活出来るかと言うと‥、それは殆ど不可能です。経口摂取出来なければ、体内合成が出来ない以上、ビタミンCは不足のままです。下の表を見て下さい。ビタミンCの体内合成と経口摂取量(*体内合成不可)です。
mg/Kg/day | 成人(60Kg)に換算した場合の1日量(mg) |
|
人間* | 1 | 60 |
犬 | 3 | 200 |
豚 | 8 | 500 |
おサル* (自然環境に於けるクモザル) |
100 | 7000 |
ヤギ | 190 | 14000 |
病気のヤギ | ~1300 | 100000 |
表にある犬や豚、ヤギは、ビタミンCを合成しています。厚生労働省が推奨する成人のビタミンCの摂取量の、ナント、数倍~200倍です。人様と異なる動物だから、無益に大量のビタミンCを合成するのだとは極めて考え難く、だからと言って、人間が遥かに進化して省エネ体質になったとも考えられませんよね。今度は、同じビタミンCを合成出来ないおサルに比べてみましょう。おサルは、100倍のビタミンCを経口摂取しています。‥現代人は、寧ろ、適切な量を摂取していないと考える方が妥当です。少なくとも、後石器時代と現在の一般的なアメリカの食事を比べると、ビタミンCの摂取量は1/5程度に激減しています。
最近では、所謂世間で言われているビタミンCの所要量(厚生労働省が推奨する摂取量)は、壊血病を防ぐのに十分な量であって、良い健康状態を保つ為の最適摂取量とは異ると考えられています。ビタミンCのみならず、他の栄養素も総合的に整えて良い健康状態を保つ、それが、分子整合栄養医学に基づく栄養療法(美容通信2007年3月号)です。実際的には、3ヶ月毎に血液やオシッコから不足している栄養素を調べ、最適な量の栄養素(サプリメント)をオーダーメードで提供します。基本的には、普通の状態ならこれで十分だと思います。
ですが、体調が悪かったり、怪我をしたりetc.の何らかのストレスが過分に掛かる状況下では、常識的に考えても、いつも以上に消費が嵩む訳ですから、いつも通りのビタミンCの摂取量だけでは不足が生じるであろう事は想像が付きます。もう一度、前の表を眺めて、健康なヤギさんと病気のヤギさんを比べてみましょう。病気と言うストレスが加わると、ビタミンCの合成量は6倍以上にもなっています。ヤギさんにすれば、ビタミンCを合成するのだって過大なエネルギーが必要です。病を押して、余計なエネルギーを消費してまでも、治療効果を高めてくれる働きがあるからこそ、ビタミンCの合成を増やさざる得ないんです。‥高濃度ビタミンC点滴療法は、まあ、薬の代わりと言うよりは、困った時に自然治癒能力を高めてくれる治療ですかね。
高濃度ビタミンC点滴療法による癌治療及び癌予防
今、一番HOTな癌の治療法(予防を含む)と注目を浴びているのが、この高濃度ビタミンC療法です。
ビタミンCで、癌を治す!? 大昔流行った紅茶キノコか、豊田商事かと、極めていかがわしいイメージを抱くかもしれません。が、あくまでも高濃度ビタミンCは、これまでに有効とされている化学療法や放射線療法のお手伝い。決して、取って代わる治療ではありません。今までの治療と併用する事で、治療をより確実にしたり、副作用を少なくしたり、良好な体調を維持しながら寛解期を延長する事を目的に行なう治療法です。具体的には、ビタミンCを60~100g点滴投与する事で過酸化水素水を発生させ、正常細胞に影響を与えずに、癌細胞の核濃縮・細胞死を誘導すると言うものです。
ビタミンCは元々癌に良いとされていましたが、これはきっとビタミンCが免疫力をUPしてくれるからだ!と考えられていました。左の写真は、”検査の裏読み”()でも登場したライナス・ポーリング博士(1901~1994)。ノーベル賞を2回も受賞した偉大なる化学者なんですが、実は30年前に、ビタミンCが癌患者の予後を改善すると言う論文を発表したのですが、メイヨークリニックの研究者によって否定され、この治療は表舞台から完全に姿を消してしまいました。
再び表舞台に躍り出たのは、2005年。アメリカの国立衛生研究所(NIH)、国立癌センター(NCI)、食品薬品局(FDA)の研究者が共同で、高濃度ビタミンC点滴療法が癌の化学療法剤として有用である可能性があると言う論文を、アメリカ科学アカデミー紀要(PNAS)で発表したんです。続いて2006年3月に、アメリカの国立衛生研究所(NIH)、国立癌センター(NCI)や大学の研究者らが、過去に高濃度ビタミンC療法が明らかに有効であったと言う症例を、NIHの基準で見直して、カナダ医師会雑誌で発表しました。これを口火に、高濃度ビタミンC点滴療法が副作用の無い癌治療として注目を浴び、現在では、アメリカでは1万人以上の医師が癌治療に採用しています。
日本でも、点滴療法研究会マスターズクラブ(会長:国際統合医療教育センター所長・元杏林大学教授 柳澤厚生。最新のエビデンスに基づいた点滴療法を提供する医師・歯科医師を会員とするグループ。詳細はクリックしてね)を中心に高濃度ビタミンC点滴療法が行なわれておりますが、HISAKOもこの会員。28歳の時に子宮癌になったHISAKOにとっては、再発防止兼美容目的で、絶対に外せない治療の1つかな。
必殺仕事人ならぬビタミンCの癌細胞の殺し方
殺し屋・ビタミンCの武器は、鉄砲でも、刀でも、紐でもなく、過酸化水素水です。ビタミンCを大量に投与すると、癌細胞の周囲で過酸化水素が大量に発生します。正常細胞には過酸化水素を酸素と水に変えるカタラーゼが沢山存在しているので、過酸化水素水なんて屁の河童。痛くも痒くもありません。ところが、癌細胞はカタラーゼの活性が低下しているので、過酸化水素にボコボコにされて、遭えなく昇天。細胞死してしまいます。
右上図を見て下さい。ビタミンCは、グルコースと二卵性双生児級に、構造がそっくりさん。これも見逃せないポイントの一つ。癌細胞はメキメキと増殖する悪性新生物です。都会のカラスと同じで、餌(グルコース)が十分に供給されて、初めて、癌細胞人口が爆発的に増えるって事。ナント、癌細胞は効率良くグルコースを私達の体から奪う為に、専用の窓口(glucose transporter)を細胞膜にバンバン増設してるんですよ。唯、急激な事業拡大にスタッフ教育が着いて行かず、グルコースそっくりさんのビタミンCを、トロイの木馬とも気付かずに、大量に受け入れちゃうんです。論文によると、それも5倍! それ故に、癌細胞は選択的にビタミンCの作用を受け易いのだとも考えられています。これも一種のスプーナリズム? ‥な訳ないか、ははは。
それだけじゃありません。鉄は細胞が分裂するために必要なミネラルです。癌細胞は、小賢しくも鉄の取り込み専用の窓口も増設している様なんですが、ビタミンCは人海戦術で片っ端から窓口を閉鎖して歩くみたい。供給がストップされては、癌細胞だってひとたまりもありません。敢え無く、昇天!と考えられています。他にも、ビタミンCは結合組織のコラーゲンやカルニチンの産生を高めるので、癌細胞を結合組織の中に閉じ込めるという説もありますし、免疫力や抵抗力を高めることが延命に寄与しているという意見もあります。
未だ、ビタミンCが癌細胞をどうやって殺すのか、その手口については完全に解明はされていません。唯、使用する武器は一種類ではなく、複数の凶器を組み合わせて、癌細胞の息の根を止めている様です。
必殺仕事人は庶民の味方でもある。
必殺仕事人(ビタミンC)は、一般の庶民には何ら害を与える事がないどころか、庶民の目の上のたんこぶを成敗してくれる、謂わばヒーロー&ヒロイン集団です。
教科書には、”ビタミンCは、ミトコンドリアの機能を正常化して、免疫システムを刺激(インターフェロンの産生、マクロファージの亢進、NK細胞数の増加と遊走能の亢進)、P53遺伝子を安定化、P53遺伝子の障害を抑制し、化学療法或いは高濃度ビタミンCの点滴療法による酸化促進効果(pro-oxidant効果)によって引き起こされる突然変異を予防する”と書いてあります。が、如何せん、と~っても分り難い。これをHISAKO語に勝手に翻訳すると、”抗癌剤は癌を殺す位強力だから、正常な細胞も一緒にイジメちゃうんだ。だから、多少のイジメにあっても、笑って聞き流せる位の強い子にビタミンCで鍛えようね。同時に、癌に取り付かれていなくても、付け入る隙がない様にビタミンCで武装しておこう!”になります。
更に、ビタミンCには、抗癌剤や手術や放射線etc.で満身創痍となった正常組織を治してくれる、戦国武将の隠し湯的働きも。創傷治癒(美容通信2004年5月号)の促進効果も見逃せません。
確かに、未だに、ビタミンC等の抗酸化サプリメントを毛嫌いする癌専門医はいます。それは、放射線や一部の抗癌剤が活性酸素やフリーラジカルによる細胞障害作用を利用しているので、相反する作用を有するビタミンC等を併用すると、治療効果を却って減弱させてしまうのではないかと懸念を抱いているからです。
最近の研究では、ビタミンCを含む抗酸化物質は、フリーラジカルから癌細胞を守る程寛容な性格の持ち主ではない事が分って来ました。寧ろ、これらの抗酸化物質は、従来の治療と併用する事で、癌細胞の成長抑制効果を高め、且つ、正常の細胞を守ってくれるので、従来の治療では避けて通れなかった副作用を軽くしてくれます。ですから、時間の都合さえつけば、抗癌剤の投与の後より前日に高濃度ビタミンCの点滴を受けてと、点滴療法研究会では指導をしています。
まとめ:高濃度ビタミンC点滴療法は、①副作用を軽減 ②免疫力をup! ③良好な体調を維持しながら、寛解期を延長してくれる化学療法剤って事ですかね。
どうして、点滴なの?
大量にビタミンCを食べたり飲んだり(経口摂取)しても、ある一定ラインを超えるともう頭打ち血中濃度は上がりません。詳しく説明致しますと、150mg以下の所謂微量だと、上部小腸の粘膜を通してお砂場の犬のオシッコ級にと~っても良く血液に吸収されて、摂取したら摂取しただけ血中濃度が上がります。1日50mgなら0.5mg/dl、100mgなら1mg/dl、150mgなら1.5mg/dlって具合です。ところが150mgを超えると、殆ど頭打ち。ビタミンCを1g食べても、血中濃度は3mg/dlにしか達しません。
でも、癌の治療を考えるのなら、ビタミンCの血中濃度が350~400mg/dlまで上がる事が必要ですし、後でも触れますが、抗アレルギー作用を期待するなら80mg/dl、抗ウィルス作用を期待するなら50mg/dlは必要です。血管に直接入れる=高濃度ビタミンC点滴療法を選択せざる得ないのです。
しかしながら、幾ら大量のビタミンCを点滴投与しても、点滴終了直後には350~400mg/dlの理想の濃度に達していても、実にもったいない話ではありますが、時間と共にメキメキ濃度は下がります。オシッコに大量のビタミンCが流れ出すからです。確かに、オシッコ(原尿)に流れ出したビタミンCは、腎臓の尿細管壁に特別なポンプがあるので、そこでもう一度再吸収されます。ですから、1~2時間で全部便器から下水道に流れて終わりなんて事にはなりません。でも、急速に血中濃度は落ちて行くのです。唯、小細工を弄すれば、多少のブレーキにはなります。上手に点滴の速度を調節してあげるだけでも、高濃度の持続時間は延長するんです。例えば、癌の進行が早い患者さんに、最初の50gを60分掛けて滴下し、残りの50gを120分描けて落とすとか。最初にあんまり早く滴下し過ぎると、気分が悪くなったり震えが出ますから、あくまでもケースバイケースですがね。
癌治療として行なう基本的なプログラムは、15g→25g→50g→75gと毎回ビタミンC濃度を上げ、75gで維持をします。最初の6ヶ月間は週2回、その後の6ヶ月間は週に1回のペースで行ないます。その後の1年間は月2回、その後は月1回で続けます。 癌予防としては、25gで十分です。月に2回がベストです。
物凄く、大事なお話
糖尿病を患っている人達へ
もう一度、ビタミンCとグルコースの構造式を見てみましょう。本当に、笑っちゃう位、そっくりさん。おバカな電極型簡易自己血糖測定器で血糖を測ると、ビタミンCをグルコースと間違えて、偽高値(500mg/dl)を表示しちゃうんです。簡易法じゃなくて、一般のヘキソナーゼ法を用いれば、そんなアホっぽい間違いを犯す事はあり得ませんが‥。
ですから、簡易型をご愛用の糖尿病の持病持ちの皆さん、ココ大事なので、耳の穴、良~くカッ穿って聞いて下さいね。簡易血糖測定は、高濃度ビタミンC点滴後12時間以上経過してから行なって下さい。
インシュリンの自己注射をしている患者さんが、あまりの偽高血糖に驚いて、”あ~、大事件!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!”って言ったかどうかは不明ですが、慌てふためいてインシュリン自己注射を行ない、その挙句インシュリン・ショックを起こしたって報告があります。ご用心下さい。
日本男児なら、G6PD欠損症を疑ってかかれ!
聞きなれない病気だけに、自分が罹っている事すら知らないオジさんも多い。普段の生活で、何ら支障が生じる事も無いんですが、高濃度ビタミンCの点滴を知らずに受けると、溶血して、運が悪いと死んでしまう遺伝病。男性専科(伴性劣性遺伝)なので、オバさんは心配する必要はなし。
従って、男が来たら、うちのクリニックでは有無を言わせず、検査を受けて頂きます。拒否る様なら、どんなに泣いて哀願されようと、高濃度ビタミンCは15gまでしか受け付けません。基本的には50gが溶血の境界線と言われていますが、お熱があると25gでも危険領域に突入!
東南アジア(1~3%)、アフリカ(1~8%)に多い。日本では、山口県出身者(0.5%)に多いとされる。伴性劣性遺伝で、女性がキャリアとなって、男性に発症。
<h3″>高濃度ビタミンC点滴療法による癌の治療をお断りする人々
- 透析中!
何せ、データが無いもんで、お断りしています。
- 心不全や腹水持ちの方
高濃度ビタミンC溶液には、pHの調節の為にNaOHが含有されています。その為、ナトリウム負荷により、心不全や腹水が悪化する場合があります。
2008年10月2日、”Vitamin C Antagonizes the Cytotoxic Effects of Antineoplastic Drugs.(ビタミンCは化学療法薬の持つ細胞障害作用に拮抗する)”って論文が、アメリカのスタローン・ケタリング記念癌センターのヒーニー博士から発表されました。これを受けて、高濃度ビタミンCによる癌治療先進国の患者さんも医者を含む医療関係者も大混乱! 日本にも飛火して、大騒ぎ。‥この号が本当は11月1日発行なのに、大幅に遅れてしまったのも、この件について少し調べてからと思ったから。
まあ、このヒーニー博士の論文読んでいない方の為に、要約をしておきましょう。
①培養癌細胞にビタミンC(デヒドロアスコルビン酸)18mMで一時間前処理をすると、doxorubicin、cisplatin、vincrtistine、methotorexate、imatinibの抗腫瘍細胞作用が減弱する。
②癌細胞を移植したマウスにビタミンC(デヒドロアスコルビン酸)250mg/Kgを28日間に8回静注すると、doxorubicinの効果が減弱するばかりか、腫瘍がより増殖する。
③ビタミンCをサプリメントで摂取すると、化学療法の効果に不利益を齎すと言う仮説が成り立つ。
この論文やコメントを読んだり聞いたりして、極々一般の、医学を少しでも齧った事がある人間なら素朴にこんな感想を抱くと思います。”これは、飛躍し過ぎだろ!”とか、”これ、変!”。
①に対しては、デヒドロアスコルビン酸は、ビタミンC(アスコルビン酸)が酸化されて生成される毒性の強いオキシダント(酸化物質)。確かに、ビタミンCの1つと言えば1つだけど、一般的にビタミンCと呼ばれてサプリメントや癌治療に使っているのは、還元物質のアスコルビン酸の方。デヒドロアスコルビン酸ではありません。これじゃあ、頭、混乱しちゃいますよね。
②③に対しては、マウスは人間の体重に換算して1日10gのビタミンCを体内合成するので、実験モデルとしては不適切。せめて、人間同様にビタミンCを合成出来ないモルモットを実験に使用する方が、妥当じゃない? それに癌細胞を埋め込まれた、謂わば病気のマウスは、通常のマウスよりも体内合成が可なり亢進しているはず。そうなると、人間体重換算で、体内で自生出来る10g(或いはそれ以上の量)のビタミンCは化学療法を阻害せず、補充した2g或いは100mgを問題視するのもねぇ‥。
ヒーニー博士の論文は、最近急激にアメリカ全土に拡がった高濃度ビタミンC療法を標的にしたもの、と考えられています。①の実験系は、高濃度ビタミンC点滴療法の血中濃度に相当します。②の実験系は、週2回15gのビタミンC点滴療法に相当します。
高濃度ビタミンC点滴療法は、癌以外にも、こんな症状に効果的!
癌治療・癌予防の章でも触れましたが、癌の治療を考えるのなら、ビタミンCの血中濃度が350~400mg/dlまで上がる事が必要ですし、抗アレルギー作用を期待するなら80mg/dl、抗ウィルス作用を期待するなら50mg/dlは必要です。
ココに面白い数式があります。名付けて、血中ビタミンC濃度推定式。
推定ビタミンC濃度(mg/dl)=ビタミンC投与量(g)×375÷体重(Kg)
って事は、体重60Kgの成人と仮定し、数式に当て嵌めて考えてみましょう。風邪やインフルエンザの罹り始めならビタミンCは10gは欲しいですし、花粉症対策とかアトピー性皮膚炎の痒みに対してなら15gは欲しい。
育毛効果や、疲労回復、肌荒れ、シミ・シワの改善や、やる気UP、アンチエイジング等を期待するなら、25gのビタミンCは欲しいかな。
唯、煙草吸いながらだと、ビタミンCの血中濃度は上がり難いので、禁煙(美容通信2006年10月号・美容通信2008年7月号)しましょうね。計算式は、あくまでも煙草を吸わない人を前提としております。
マイヤーズカクテルは、銃後の守り
どちらかと言うと、戦う戦士が高濃度ビタミンCのイメージなら、マイヤーズカクテルは兵站部隊。(後で述べるプラセンタ療法は、攻めと守りがバランス良く‥まあ、良妻賢母の代表格。グルタチオン療法は、水洗トイレ型と言うか‥兎に角、水に流してしまいましょう系。デトックス(解毒)!ですかね‥。)
精神科医に扮した阿部ちゃんがドラマで行なっていたのは、マイヤーズ・カクテル?
マイヤーズ・カクテルは、アメリカの家庭医ジョン・マイヤーズ医師が考案した、まあ、アメリカの内科系の町医者の定番中の定番点滴メニュー。インフルエンザでも、風邪でも、疲れが取れなくても、頭が痛かろうと、喘息だろうと、うつ病であろうと、はたまたアスリートの運動能力向上にもetc.と何でもあり系の、適応が極めて広い点滴です。
お弟子さんのアラン・ギャビー先生の論文によると、下記の疾患に効果があるそうです。
- 気管支喘息、アレルギー性鼻炎、慢性蕁麻疹
- 上気道炎、慢性副鼻腔炎、インフルエンザ
- 片頭痛発作、線維筋痛症、こむら返り
- 全身倦怠・疲労、慢性疲労症候群
- 生理不順、耳鳴り、自律神経障害、不定愁訴症候群
- 甲状腺機能亢進症
- うつ病
- 心不全、狭心症
- 麻薬の禁断症状 etc.
マイヤーズ・カクテルは、マグネシウム、カルシウム、ビタミンB群、ビタミンCと言った人間の体の中に存在している栄養素だけを配合した点滴です。取り立てて凄い内容ではないのですが、急速にビタミンやミネラルの血中濃度を上昇させる事で、薬理学的効果を期待するのが真髄。故に、ある意味、オールマイティな守備の神様なんです。
HISAKOのクリニックでは、マイヤーズ・カクテルをベースに、患者さんの状況に合わせて成分を微調整を加えています。例えば、喘息だとか、うつ、片頭痛、慢性疲労症候群、心血管疾患と言ったマグネシウムの必要性が高そうな病気では、マグネシウムをちょっと多目に入れます。口内炎が良く出来るならビタミンB2を追加しますし、アルコールを良く飲んだり疲れ易くて元気がない様ならB1を加えます。下痢っぴにゃんにゃんならB5を引いたり、末梢神経症状がある人にはB12を追加。風邪や肌の調子が良くない様なら、ビタミンCを多目に入れる等々。‥この微妙な匙加減こそが、マイヤーズ・カクテルの醍醐味なんです、はい。
デトックスは、グルタチオン療法にお任せ!
グルタチオンは、組織に広く分布するSH基を持った化合物で、解毒を促進する作用や抗アレルギー作用があります。しかしながら、お薬として飲んでも、腸で吸収されるまでに多くが壊れちゃうので、やっぱ効果を実感したいのなら点滴!って選択にならざる得ないんです。
グルタチオン慮法で効果が期待出来る疾患には、次のものがあります。
パーキンソン病 今一番、ホットな注目を浴びているのが、これ。日本では殆ど知られていませんが、アメリカでは、パーキンソン病の機能改善と病状進行の遅延を目的に、多くの病院で行なわれている治療方法なんです。Perlmutter Health Centerがアメリカ全土にこの療法を普及させた先駆者とされていますが、そこによると、パーキンソン病に対する効果は、何と、80~90%なんだとか! グルタチオンがフリーラジカル・スカベンジャーとして働き、ドーパミン受容体の感受性を高めるからなんだそうです。同時に、セロトニン受容体の感受性を高める事で、パーキンソンの欝症状も改善するんだとか。
症状によっては、グルタチオンの量を増減させるだけでなく、ビタミンB12やB5等を加えたりします。ビタミンB群とは言え、 パーキンソン治療薬であるレボドパの作用を減弱させるB6は含まれていませんから、ご安心を!
週2~3回からスタート。症状が安定したら、週に1~2回。
抗癌剤に対する神経障害
癌の治療に高濃度ビタミンC点滴療法を併用している場合は、折角ビタミンCによって生成された過酸化水素がグルタチオンで中和されちゃうので、同じ日のグルタチオン療法は×。日を改めて!
週3回が基本。
その他にも、こんなに沢山の適応が!
- 慢性肝疾患に於ける肝機能の改善
- デトックス(体内解毒)、アンチエイジング
- 慢性疲労症候群
- 薬物中毒、自家中毒、周期性嘔吐症
- 急性湿疹、慢性湿疹、皮膚炎、蕁麻疹、リール黒皮症、肝斑、炎症後の色素沈着
- 妊娠悪阻、晩期妊娠中毒
- 過敏性腸炎
- 線維筋痛症
- 各種神経系疾患
- 角膜損傷の治癒促進
- 放射線療法による白血球減少症、放射線宿酔、放射線による口腔粘膜の炎症
- 閉塞性動脈硬化症
プラセンタ療法
プラセンタ療法については、非常に内容が盛り沢山になる予感必須なので、改めて特集を組む事にしました。悪しからず!
*註:HISAKOの美容通信に記載されている料金(消費税率等を含む)・施術内容等は、あくまでも発行日時点のものです。従って、諸事情により、料金(消費税率等を含む)・施術内容等が変更になっている場合があります。予め、御確認下さい。※治療の内容によっては、国内未承認医薬品または医療機器を用いて施術を行います。治療に用いる医薬品および機器は当院医師の判断の元、個人輸入手続きを行ったものです。
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曲がった根性を叩き直せ!?
”巻き爪&陥入爪に対する爪矯正治療(超弾性ワイヤー式爪矯正)”です。