HISAKOの美容通信2007年7月号
スポーツと皮膚のトラブル
スポーツに付きものの皮膚関係のトラブルを纏めてみました。
魚の目やタコ、トビヒ、水虫、皮膚炎等々。
快適なスポーツライフを楽しむ為にも、余計な付録はとっとと治しましょう。
近頃、ツボに見事に嵌ってしまったモノが、3つあります。
一つ目。先日来日しましたが、ビリーズブートキャンプ。出入りの業者の蓬田君が、ある日ふらっと朝やって来て、ものの2,3分で、何も知らない私と、真夜中に延々と流れる”飛行機ぶんぶん”のCMだけは見た事があった看護婦の末ちゃんを、ビリー仲間に引きずり込みました。気を良くした蓬田君は、そのままクリニック内で新たな獲物を物色し続け、偶々訪問していた全く関係のない複数の業者に対しても、お前はショップジャパンの営業かと疑われる程、熱心に勧誘しまくっておりました。‥HISAKOの入隊の切欠はほんの出来心でしたが、サボろうとすると目ざとく怒るビリー・ブランクスに尻を叩かれ、未だに除隊を果たせず、(偶にサボりはしますが)基本的には毎朝6時起きで<飛行機ぶんぶん>生活送ってます。近頃は、月960円払って、ビリーの親衛隊に入ろうかどうしようか悩む有様です。
二つ目。日経新聞で、”新宿の伊勢丹で、月200足も売れてるマサイ族のウォーキング・シューズ!”って記事が目に飛び込んで来たんです。好奇心に駆られ、早速ネットで検索。MBTは、「自然の大地を裸足で歩くことが最も健康的」という理念のもとマサイ族の素足歩行を科学したトレーニングシューズなんだとか。これはもう買うしかありませんよね。早速、近くの靴屋さんで1時間半のトレーニングを受けて1足目をGET。半月後には2足目を購入しておりました。MBTは世界最小のフィットネス・スタジオってキャッチコピーで売り出していますが、HISAKO的にはマイ・ベストの楽ちん靴。あんな歩き易い靴は知らないです、はい。唯、足の裏に汗を掻き易くなるのが欠点ですがねぇ。
三つ目。栄養療法の実践。栄養療法の詳しい話は、美容通信2007年3月号美容通信2007年4月号とを読んでね。毎日プロテインを飲んで筋肉を付けるぞ~!
まあ、ちょっと三つ目は趣旨が違うといえば違うんですが、全てスポーツ繋がり。って事は、HISAKO的には正にインな話題な訳で、今月号は、”スポーツと皮膚・上”です。今月号ではスポーツ愛好者にありがちな病気を個別に、来月号では競技毎に起こり易いトラブルと対策、そしてより美しいスポーツ愛好家になる為の裏技について特集予定です。
角質のトラブル
スポーツ愛好者の間で断トツ人気を誇る水虫ですが、角層が外部からの刺激で部分的に厚くなる胼胝・鶏眼も意外に侮れません。詳しくは美容通信2004年6月号を読んで頂くとして、ハイヒール命のお洒落系OLの足の裏に胼胝や鶏眼が出来る様に、スポーツ愛好家だって刺激を受ける場所に出来ます。つまり、競技によって、出来る場所が違うんです。テニス、ボート、射撃、野球、体操、ウエイトリフティングetc.‥。一説には、胼胝って第三の手ならぬ引っ掛かりが出来て却って成績が上がる(=進化!!)とは言いますが、職業でスポーツやってるならいざ知らず、趣味の延長線上だと‥、単に硬くなって痛いだけ。
治療は‥、難渋します。削れば良いじゃんと思うかも知れませんが、元々皮膚が防衛反応として、つまり必要があって厚くなっている訳ですから、原因を取り除かずして結果である角質を削ってみた所で、直ぐに元に戻ります。例えば、ハイヒール。裸足の足の形と全然違いますよね? つまり、ハイヒールを履く=歪に捻じ曲げられ、裸足の状態では出っ張ってもいない骨が突出してしまいます。ここに全体重どころか、ヒールの高さによっては体重の2割増し、ジャンプなんてすれば体重の5倍増しの重みが掛かってくれば、柔肌突き破って、骨が露出してしまって当然。こんな事になったら生命体としては一大事な訳で、角質増産体制に入って、骨の防御に努めます。これが、胼胝・鶏眼の正体。だから、単にその結果としての角質を削ったって、ハイヒールを脱がない限り、死に物狂いの角質増産体制で体は応じるだけなんです。でもこれは言い換えると、如何にManolo Blahnikの靴 が可愛くても、履くのを止めさえすれば再発はない(←尤も、これは骨の変形まで来たしていない事が条件ですが‥)。ですが、スポーツを生業としている人々に、胼胝・鶏眼の原因だからスポーツを止めろとまでは言い難く‥、しかしながら原因を残して結果だけを取り除いて完治する訳もなく、取り敢えずの暫定処置なんですよねぇ‥。
あ、危険なのは、勝手に胼胝・鶏眼と患者さんが信じ込んで、イボ(尋常性疣贅美容通信2007年6月号)に市販のイボコロリを貼り続けている例。結構多いんですよ、これが。素人でも分かる簡単な識別方法は、左の図を見てね。削った時に点状の出血斑があれば、イボ。周囲が指紋みたいになっていたら、胼胝・鶏眼で~す。
怪我した!
スポーツに怪我は付き物。綺麗に早く治したいのなら、傷口を水道水でしっかり洗って、清潔なガーゼだけを貼って病院に走って来てね。変な薬を塗ったり、カットバンで蒸れ蒸れ状態で来なきゃ良いです。後は、プロが責任を持って綺麗にしますから、余計な事だけはしないで直ぐ来てね。これが、形成外科医の本音です。
感染っちゃったんです~感染症
スポーツはチームプレーだ。例え、ジムでマシン相手に独りで黙々とトレーニングに励もうと、スポーツ精神とバイ菌やカビ、ウィルスは、皆で共有するもんだ。‥スポーツ精神はいざ知らず、病気まで共有するのは嫌だ!と思ったら、読んで下さい。治せば、きっと、多分、成績もアップするはずです。
バイ・菌・マン♪
私達の皮膚は、バイ菌でコーティングされてるのが当たり前。深窓の令嬢の様に無菌状態で生きていたいと望む事自体、庶民の私達には途方もない野望でしかありません。特に、スポーツをこよなく愛好する選手及び一般人にとっては、ちっちゃな怪我は日常茶飯事。怪我=皮膚のバリア機能の破綻ですから、招かれざる客が施錠をしていない家に押し込んで悪さを働く事に。不可抗力とは言え、犯罪を自ら招く自業自得型感染の成立です。
特に、高温多湿の日本では、汗で皮膚がふやけて剥けたり、灼熱の太陽で日焼けして皮がベロベロ剥けたりと、唯でさえ犯罪者(細菌)が増える季節なのに、取り巻く環境は最悪になります。せめて、睡眠と栄養はたっぷり取りましょうね。免疫力が十分保たれていれば、多少のバイ菌なんかには負けませんから。勿論、スキンケアも大事。運動後の適切な洗顔やシャワー浴は必須ですが、洗う時は石鹸を泡立てネットで少し固めに泡立てて、泡を転がす様にして洗いましょう。タオルもゴシゴシ拭かずに、水気を優しく吸わせる位の感覚で使って下さい。
そうそう、大事な事、忘れてました。健康な皮膚でも、一晩絆創膏で密封しておくと、バイ菌の数は1000~10000倍に増えるんだよ~ん。まして、バイ菌が既に増えている感染部位だと‥、恐ろしくて考えたくもありません。
トビヒ(膿痂疹)
ガキんちょの病気と思われがちですが、意外や意外、スポーツ愛好家に多いバイ菌感染の王様。ちっちゃな傷から、黄色ブドウ球菌若しくは連鎖球菌が侵入して水泡が出来るんですが、とっとと潰れちゃうので、糜爛や瘡蓋が混在し、見苦しいお肌になってしまいます。あんなありがちなバイ菌連中に負けちゃうなんて、仕事にスポーツにとポジティブ二重生活でお疲れなんですかねぇ‥。
毛嚢炎
トビヒがバイ菌感染の王様なら、毛嚢炎は女王様。人は皆、自覚はなくても、外犬・外猫同様、黄色ブドウ球菌を皮膚の上で飼っているボランティア精神旺盛な生き物。ですが、ちょっとした傷心から家の敷居を跨がせちゃうと、毛嚢炎にまで発展してしまいす。特に、皮膚の乾いた所に疎らに生息する欲のないバイ菌より、頭や顔、脇の下、陰部と言った熱帯雨林地方出身者の方が、曲者。バイタリティにも優れ、何と言ってもその数も圧倒的に多いんです。この東南アジア人みたいなバイ菌が、毛穴の内側の角化が不十分な部分から入り込み、せっせと子作りに励んじゃうと、即毛嚢炎の成立です。
鼻の穴出身が多い為顔が好発部位ですが、毛深い熊五郎みたいな男子は下半身にも結構出来ます。特にレスリング、相撲、柔道、ラグビーと言った、下半身勝負(!)で擦る機会の多いスポーツ愛好者に良く見られます。酷くなると、周囲の結合組織まで広がって、赤く硬く腫れ上がって、スポーツどころか歩行も困難状態にまで進化。体力的にも可也ヨレてしまってる時が危険なのですが、最悪高熱出して入院を余儀なくされる事も‥。脅しても仕方ないですが、繰り返す常習犯は、健康時に脱毛(美容通信2006年2月号)しちゃうのも手です。少なくとも抑止力となります。(あ、因みに、熊出没注意は北海道でしか買えない、超人気ブランド。HISAKOもパジャマ兼近所のコンビニ用として愛用中!)
カビが生えちゃいました♪真菌症です。
断トツ人気の水虫
スポーツで飯喰ってるアスリートのみならず、ちょこっと健康の為にスポーツ齧ってるだけの普通のオジさん&オバさんにも、他人事で済まされないのが、この水虫ちゃんです。水虫の基本的な事は以前美容通信2004年7月号で特集しましたので、ここでは補足的な内容について載せときますね。併せてお読み下さいませ。
水虫を何処から拾って来てしまったか。統計学的には、半数以上が自分のお家。つまり家族の誰かに感染されちゃった訳です。次いで、病院のスリッパ、寮、旧・軍隊(!? )、職場(当直室又は浴室の設備あり)、他人の靴(消防団、キャディー、長靴etc.の貸し借り)、共同浴場(先頭、ゴルフ場の浴室)、スイミングプール(水泳部を含む)、クラブ活動(柔道、野球等:但し水泳部を除く)、養護施設、他人の家(麻雀、宿泊)、その他(旅館、学校のスリッパ、エアロビクス場)の順ですかね。‥まあ、どちらにしろ、素足で接触する環境は危険って事です。何と言っても、水虫野郎が裸足で10分も歩き回れば、そこら中水虫菌だらけ。更に怖い事に、水虫菌は、綿埃に塗れたって、数日どころか平気で数ヶ月も、現役のまま(=感染力を保持したまま)生き長らえちゃう強靭な生命力の持ち主。油断も隙もありません。
此処で、全くの余談になりますが、面白い事実を一つ。水虫を拾ってしまったの呪わしい場所って、先程列挙しましたが、大きく分けると、住居環境と非住居環境に分けられます。前者とは、自宅、寮、合宿所、施設、旧・軍隊等で、一緒に生活する環境を意味し、1人の水虫野郎がばら撒いた水虫菌に皆やられる。だから、お袋の味が夫々の家庭で異なる様に、色んな菌種がそこそこ出揃うんです。が、非住居環境、つまり病院やプール、共同浴場と言った不特定多数の集う場所でお持ち帰りしたと思われる人々は、何故か揃いも揃って、菌種は殆どがT.mentagrophytes。ばら撒かれる菌種は様々なのに、です。人見知りしない性格だからんでしょうか‥。でも、まあ、このT.mentagrophytesは、他の菌種に比べて、爪にまで侵入するなんてド根性に欠けているので、完治し易い菌種とも言われております。
でも、あんま脅しちゃって、折角高い入会金を払ってジム通いを始めたのに、水虫が嫌で足が遠のいてしまっては元も子もありません。ご安心下さい。たかがカビ如きが足の裏にくっ付いただけじゃあ、水虫にはなれません。先ずは白癬菌殿に2,3日逗留していただき、「ああ好い所だな。此処を永住の地としよう」と心底思ってもらって、初めて感染が成立するんです。まあ、水虫にとっては、リゾートマンションを購入する様な感覚と思って下さい(笑)。購入を迷っている間に、しっかり洗い流してしまえば、感染はしないんです。尤も、蒸れ蒸れ高湿度条件下では、決断までの時間が1日しかありませんから、24時間毎に石鹸で洗い流す習慣は大事です。より安心を極めたい方は、処方された抗真菌薬を一滴、お手持ちの石鹸と一緒に泡立てネットで泡立てて、自家製の抗菌石鹸で洗うのも◎。早速、ジムのシャワー室で実践して下さい。
さあ、シャワーで不幸にも踏んでしまった水虫は洗い流した。が、シャワー室から外に出てからも、危険は一杯。水虫菌がばら撒かれている可能性は、高いんです。じゃあ、どうやって更衣室のロッカーまで辿り着くか? 持参したマイ・バスマット以外は、水虫の温床ですから、これは出先ではパス。体を拭いて湿ったバスタオルを、バスマット代わりに使います。更に裏技は、スリッパ代わりに足に巻きつけて、拭き掃除をしながらロッカーに辿り着く。端から見ると異様に滑稽ですが、水虫に感染したら減給とも噂される抗真菌薬の製薬会社の営業マンにとっては、当たり前の自衛策。勿論、自分の為のみならず、床等の環境の除菌にも貢献します。タオルでさっと一拭きしただけで、床に落ちてる水虫ちゃんの数は18.2%に下がるんですから。ボランテア精神にも溢れた方は、是非実践して下さい。
しかしながら、ノー・バスマットでは、床がべちゃべちゃ浸水状態の挙句、腐って穴が開いてしまうかも知れません。そんな事になったら、一大事。お家では、水虫のお父ちゃん用とその他の家族にバスマットを2枚用意するって方法もありですが、中々公共の施設では、タオル等の無料レンタルを実施しつつ、マイ・バスマットだけは持参を義務付ける訳にも行きません。せめて、バスマットは何時も乾いた物に換えて、シャワールーム周辺は特に念入りに掃除機を掛けましょう。
換えたバスマットはどう処理したら良いの? 極々普通に洗濯すれば良いんです。水虫野郎に踏まれただけで、放置プレー状態のバスマットの大半(65.7%)には水虫ちゃんがお引越ししていますが、洗濯すれば0%になります。アイロンを掛けただけでも3.7%です。そんなに難しい問題ではありません。水虫ちゃんの死滅温度は、菌種、条件にも因りますが、まあ大体50~80℃。洗った後に、乾燥機処理で死滅温度に近い環境を作り出せば、もうパーフェクトです。でも、毎日バスマットの洗濯は勘弁して!って超不精な集団の合宿所生活なら、仕方がありません。奥の手は日干し。15.3%位には激減します。
バスマット同様、水虫菌に汚染された靴下も、しっかり石鹸で洗えば完全除菌となりますが、スリッパや便所サンダルは、まさか洗濯機に放り込む訳には行かないし、どうしましょうか? 水洗いしたり、雑巾で拭くだけでも違いますが、熱湯をかけちゃえば、ばっちり除菌が出来ます。でも、皮製品にはこの荒療治は無理。靴乾燥機を買ってもらいましょう。そんな金は、ない? ‥じゃあ、窓を閉め切った車の中、もしくは黒いゴミ袋に靴を入れてしっかり密封した上で、30分間炎天下に放置プレーしましょう。
最後になりましたが、ゴルフのスコアを伸ばしたいなら、絶対爪水虫は治す! これは鉄則です。
格闘技の裏・勝負の決定版!?~ハゲ対決(ケルズス禿瘡)
中高生の、レスリングや柔道の格闘技系選手達の間では、密かに強者の証とみなされている(?)ハゲ。これは、実は、カビに頭の皮が汚染されちゃった挙句のハゲで、別に所謂ところの多くの成人男性諸君を悩ませる若ハゲとは違います。
犯人は、南米生まれのカビであるTrichophyton tonsurans君。北米&欧州に移民してからの彼の功績は実に目を見張るもので、症状は軽くても、そのフットワーク(感染力)には定評があり、”超強豪”と呼ばれています。通常ならば菌が入り込まない様な産毛の毛穴も、旺盛な繁殖力で素早く占拠してしまうとか。凄いですねぇ‥。怖いですねぇ‥。
こんな北米&欧州の超強豪が、日本の片田舎の中坊にまで敬意を持って語られるようになったのは、つい6年前、2001年頃からです。国内でも有数の強豪校の生徒達が、ヨーロッパ遠征の際のお土産として持ち帰っちゃったんです。何せ格闘技系は、相手の選手がカビに汚染されていようとも、濃厚に接触してしまう競技ですから、ちっちゃな傷を介して簡単にカビが感染っちゃうんですね。例え、それが1回戦ボーイだったとしてもです。その競技をやってる生徒なら誰でも知ってる級の有名校の選手から、大して強くもない普通の学校の正選手達に感染して、更に補欠選手、そして町の道場にと徐々に末端にまで広がっている模様です、はい。
基本的には、これは、レスリングや柔道の話。格闘技系には、やっぱ国技としての相撲も含まれるとは思うんですが、日本人の間では如何せん競技人口が少ないので拡がり様もない? いえいえ、競技人口が余りにも少ない(笑)ので、柔道部員が試合の時だけ助っ人に借り出されてたりするんですよ。だから、相撲取りにもじわじわ増えてるんだそうです。何か切ない話ですが‥。
超強豪の外来種の星・Trichophyton tonsuransとは言え、カビはカビ。従来種(固有種?)の白癬菌同様の、体部白癬と頭部白癬としての症状が出現するだけです。それもどちらかと言うと、軽症系。普通なら、”あ、タムシやねん”と後ろ指差される珊瑚礁みたいな冠状の紅斑まで進化せず、頭だって、フケとかちょい瘡蓋で終わり。近くの内科兼皮膚科の病院で、単なる湿疹と間違われて、取り敢えずのお約束処方であるステロイドの塗り薬を処方されちゃうなんて悲劇も多々あるとか。ステロイドは免疫力を抑制しますからねぇ‥、折角カビと必死に戦ってくれる善玉細胞さんをねじ伏せて、結果カビにエールを贈ってたって事態にもなりかねない。取り敢えずは、カビの薬を塗りつつ、お手製の抗菌剤入りのシャンプーや石鹸を併用して予防兼治療がお約束。でも、本気でTrichophyton tonsuransをやつけるには、毛穴に直ぐ潜り込む性格上、飲み薬じゃなきゃ無理。6週間~8週間の短期集中で服用下さい。
大事なのは、外来にふら~っとやって来た選手だけを治療したって、無駄。集団感染しますからね、所属団体の全員の治療を同時に行なわない限り終息はありえません。
ウィルス感染症の代表:水イボ
人気度では、単純ヘルペス(美容通信2005年7月号)、帯状疱疹(美容通信2006年8月号)、尋常性疣贅(美容通信2007年6月号)が、群を抜いていますが、ガキんちょ的には、一番の死活問題は、何と言っても水イボ(伝染性軟属腫)でしょう。
胴体や脇の下、肘の裏側と言った擦れ易い場所や、お尻の穴やおちんちんに、粟粒位の大きさのちょっと赤みを帯びた光沢のあるブツブツが出来るんです。良く見ると、真ん中にちょっと白玉みたいに窪みがあるのが特徴です。ポックスウィルス科に属する伝染性軟属腫ウィルスmolluscum contagiosum virusが、表皮角化細胞に感染したのが原因です。
痛くも痒くもないんですが、恐ろしい事に、これがあると、他の子供に感染るからプールには来るなと追い返されます。水の中では、水イボは水を得た魚の如くめきめき増殖しますし、裸でガキんちょ同士はじゃれ合ったりするので、どんどん感染が拡がります。タオルを介しての間接接触感染も否定出来ません。
水イボ自体は放っておいたって、そのうち勝手に治ります。が、それまで大好きなプールを休まざる得ないとしたら‥、とっとと治してしまうのが利口だって事は、幾らガキんちょだって分かります。それを躊躇するのは、水イボ取りが死ぬ程痛いからです。1個だけならまだしも、知らない消毒液臭い白衣の婆どもに簀巻きにされ、馬乗りになって押さえつけられた挙句、何個も、時には何百個も、偉そうな顔した医者に引き毟られるかと思うと、大人だってめげちゃいます。軟属腫小体molluscum bodyと呼ばれる好酸性細胞質封入体を出すだけの行為、イボ取り。されどイボ取りなんです。治療の1時間前に麻酔のテープを貼ったて無痛処置に徹しても、一度脳裏に刻み込まれた恐怖感は決して拭い去れない‥。初回から、無理に子供に言い聞かさせて無麻酔で治療をさせようなんて野望を抱かず、麻酔のテープを購入して、予めお家でぺたぺたして御来院下さい。お願いします。
予防法として胸が張れる様な代物ではございませんが、せめてタオルの貸し借りは止めて、十分シャワーで洗い流しましょう。
アレルギーの病気
スポーツ愛好家だって、極々一般の紳士淑女同様、蕁麻疹や接触性皮膚炎、アトピー性皮膚炎に悩みます。一般的な病気の概略については、蕁麻疹については美容通信2006年4月号を、アトピー性皮膚炎については美容通信2007年4月号を読んでもらうとして、特に運動時に起き易い現象についてお話しますね。
蕁麻疹
皮膚に於いて、一過性で痒みを伴う限局性の浮腫と紅斑が出没する状態。15~25%の人が一生に一度は経験すると言う超ポピュラーな病気の代表格ですが、急性の蕁麻疹はいざ知らず、慢性になると中々原因が特定出来ず、ストレスや睡眠不足と、安易な、でも何となく患者も医者も納得で来ちゃう理由に逃避し勝ち。意外に根っこは深いのです。
スポーツ愛好家に人気の蕁麻疹に、コリン性蕁麻疹があります。運動した時のあの迸る美しい汗が原因で、待ち針の頭みたいなちっちゃな赤ブツがわ~っと一杯出て、痒いと言うよりチカチカってした感じがします。急激な温度差によって生じる寒冷蕁麻疹、入浴やプールに入って生じる水性蕁麻疹、器械やベルトが圧迫する部位や常に擦過する部位に生じる線状の蚯蚓腫れも機械性蕁麻疹で、お仲間です。
その他、サラリーマンや学生に多いのが、特定の食べ物(海老、蟹が有名!)を食べたり、ロキソニン等の消炎鎮痛剤を飲んだ直後に運動して出ちゃう蕁麻疹も要注意! 海鮮スパゲティーをお昼に食べて、食後にバスケットして、バ~ッと出るなんて言うのが典型例です。そして侮れないのが、日光アレルギーによる蕁麻疹。
疲れている時とかストレスバリバリの時は、要注意。でも、一段落してほっと一息付いた時も、危ないんだな、これが。
接触性皮膚炎
近頃メキメキ増えてるのが、薬剤による日光過敏症。薬剤と言っても特殊なお薬なんかではなくて、湿布。ジムで頑張り過ぎて、週末はルックス度外視してオバさんみたいに脹脛に湿布ベタベタ♪ 月曜日になったら、やっぱ張りっぱなしでオフィスに行く訳にも行かないから、剥がしてぇ、スカートにストッキング穿いてぇ、エビちゃん風OL姿で通勤。これでなっちゃうOL嬢が多いんですよ。湿布を貼っていた脹脛を、幾ら水洗いしたり、濡れタオルで拭いたってNG。皮膚に蓄積された薬剤は、残ったまんまなんです。ここに紫外線が当たれば、一コロです。
一度なってしまったら、同じ湿布薬は禁忌。整形外科の先生にゴロにゃんして、光アレルギーを起こす可能性の少ない薬に変えてもらいましょう。
特殊な接触性皮膚炎の利用法(笑)としては、プールで茶髪にカラーリング。塩素の影響で黒い髪は茶髪に色褪せちゃうなんてザラ。タイムが上がると、水の機械的な刺激でキューティクルが破壊され、遂には金髪になってしまうんです。美容院不要のブリーチ方法と、手放しで喜んで良いのかはHISAKOには分かりません‥。更に、元々白髪のシニア海外遠征組には、外国のプールで使用される銅イオンで緑色に変色しちゃう人もいるとか。定年退職後ならいざ知らず、これじゃ会社で浮き捲くるだろうなぁ。
最後に一言‥。
スポーツを職業にしている人達の話ではないです。曲がりなりにもそれで飯喰ってる人間は、栄養管理が凄く大事だって事を良く知っています。でも、俄かスポーツ愛好家、それも痩せたい一心でビリーズブートキャンプに入隊しちゃったなんて人は、兎に角栄養が悪いんです。採血すると、ひえぇ~!!状態。<これじゃあ、アトピーだって治る訳ないよ。皮膚に回すだけの蛋白質の余裕なんてないもん>と、思わず唸ってしまう事、非常に多し。
運動量が増えて消費が嵩んだら、その分を補って上げましょう。貴女が入隊したのは、干乾びた木乃伊婆になる為なんかじゃなくて、ドノヴァン様の様な美しくしなやかで強靭な肢体をGETする為だったんですよね?
*註:HISAKOの美容通信に記載されている料金(消費税率等を含む)・施術内容等は、あくまでも発行日時点のものです。従って、諸事情により、料金(消費税率等を含む)・施術内容等が変更になっている場合があります。予め、御確認下さい。
※治療の内容によっては、国内未承認医薬品または医療機器を用いて施術を行います。治療に用いる医薬品および機器は当院医師の判断の元、個人輸入手続きを行ったものです。
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来月号の予告
競技毎に起こり易いトラブルと対策、そしてより美しいスポーツ愛好家になる為の裏技について特集です。”スポーツと皮膚・下”です。