HISAKOの美容通信2025年7月号
高濃度トラネキサム酸とナイアシンアミドによる色素沈着治療DERM EDEN PRO(TXA NIA 5.10)|ダーマペン・メソガン・エレクトロポレーション
おフランスから、色素沈着治療の新しい一手として、先日来日を果たしたDERM EDEN PRO(TXA NIA 5.10)。高濃度トラネキサム酸とナイアシンアミドを、メソガン/ダーマペンで、炎症後の色素沈着部位や肝斑、お顔全体のくすみ等に集中的に投与します。レーザー治療や光治療(IPL)、ハイドラフェイシャル、ケミカルピールング、超音波イオン導入等々、様々な治療と併用して、勿論、ASVCやトラネキサム酸の美容液やクリーム等のホームケアと共に、炎症後の色素沈着(PIH)のリスクを抑え、シミ全般の治療効率を高めてくれます。
世界中の製薬会社や化粧品会社が、問題児のハイドロキノンを使用しない美白化粧品や治療法で鎬を削っており、その注目株の筆頭がトラネキサム酸です。コロナ禍以降、供給がと~っとも不安定になってしまった内服の代替ではありませんが、悪くない選択ではあります。
DERM EDEN PRO(TXA NIA 5.10)
成分
トラネキサム酸が5%、ナイアシンアミドが10%含有しているから、DERM EDEN PRO(TXA NIA 5.10)と、実にベタな!名称です。主な有効成分としては、下記が挙げられます。
- ナイアシンアミド10%(高純度・高品質)
- トラネキサム酸5%(高純度・高品質)
- トコフェロール(VE)0.1%
その他の成分としては、水、プロパンジオール、キサンタンガム、エチルヘキシルグリセリン、クロルフェネシン、クエン酸
【禁忌】
- 本剤成分に過敏症の既往がある患者さん
- 止血剤トロンビン製剤を使用中の患者さん。血栓形成傾向が増大します。
作用メカニズム
ざっくり言うと、「メラニン生成に関与する炎症プロセスを抑制し、メラニン合成を阻害する」。それ故に、炎症後色素沈着(PIH)のリスクが抑えられ、シミ治療の効率が高くなります。
- トラネキサム酸
色素沈着抑制作用。チロシナーゼ発現抑制→メラニン色素の生成抑制。
- ナイアシンアミド
メラノソーム輸送阻害による美白作用。メラノソーム輸送抑制→ケラチノサイト上でのメラニン出現を抑制。
■トラネキサム酸
トラネキサム酸は、人工合成されたアミノ酸で、止血剤・抗炎症剤として、重度外傷、分娩後出血、外科手術、抜歯、鼻出血、重度月経等の際に使用されます。1962年に岡本彰祐と岡本歌子により開発さ(←ですから、今回、おフランスから、DERM EDEN PRO(TXA NIA 5.10)が、正に逆輸入状態で販売されるに至った事は、日本人としてはちょっと複雑な思いもしますが…)れ、現在WHO必須医薬品モデル・リストにも収録されています。日本国内では止血剤としてトランサミン等の商品名で販売されていましたが、コロナ禍以来、供給がと~っとも不安定になってしまったお薬の一つでもあります。
肝斑の適応では、第一類医薬品のトランシーノ内服薬が販売されています。トラネキサム酸は、日本国外で色素沈着の緩和に用いられた事はありませんでしたが、日本では肝斑が薄くなったということから適用外処方されるようになり、『今日の治療指針2007年版』にも内服薬が処方例として掲載されるようになり、臨床試験が行われ、2007年に一般用医薬品として発売されたと言う経緯があります。内服以外にも、美白有効成分として、美容液やクリーム等の化粧品(美容通信2024年11月号)にも含有されています。肝斑や、老人性の色素斑(美容通信2014年12月号)や黒子(美容通信2014年9月号)等に対するレーザー照射(美容通信2013年12月号)後、ケガや火傷等の後の炎症性の色素沈着には、ハイドロキノン等のメラニン合成を抑制する美白剤を用いる事が一般的です。しかしながら、ハイドロキノンは副作用も多く、以前も美容通信でお話しした様に、世界中の製薬会社や化粧品会社が、ハイドロキノンを使用しない美白化粧品や治療法で鎬を削っているのが現状です。
トラネキサム酸は、炎症後の色素沈着に効果があるとされています。その理由は、トラネキサム酸がメラニン色素の生成を抑制する作用と炎症を抑える作用を持っているから。
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プラスミンの発生を抑制: トラネキサム酸はプラスミンの生成を阻害します。プラスミンは炎症を引き起こす要因の一つであり、その生成を抑えることで、炎症による色素沈着のリスクを減らす事が出来ます。
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メラニン生成の抑制: メラニンは肌の色を決定する色素で、炎症が起きると、メラノサイトが過剰にメラニンを生成する事があります。トラネキサム酸は、このメラニンの生成に関与する酵素の活性を抑制する事で、シミや色素沈着の形成を抑えます。
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炎症の抑制: トラネキサム酸には、炎症を抑える効果もあります。これにより、炎症後に生じる色素沈着の予防や改善に寄与します。
■ナイアシンアミド
HISAKOのクリニックでは、光治療(IPL)の施術の際に、ナイアシンアミドにゴールドナノ粒子を付着させた製品RF:4#(美容通信2023年4月号)を併用するのが人気のメニューですが、ナイアシン(美容通信2021年12月号)は、ニコチン酸とニコチン酸アミドの総称。水溶性ビタミンのビタミンB複合体の1つで、別名・ビタミンB3で、細胞内の糖代謝にとって非常に重要な働きをしています。私達の体の中では、トリプトファンからナイアシンは生合成されますが、腸内細菌もトリプトファンからナイアシン合成を行っています。
NMNやNAD+点滴(美容通信2022年6月号)やサプリメント(美容通信2022年7月号)でも触れましたが、細胞のATP生成を助け、細胞固有の働きを活発にします。細胞核の損傷を修復し、ミトコンドリアの活性を上げる。つまり、お肌に対しては、局所的にって意味ですが、真皮にあるコラーゲンの産生を促進し、皺を予防、若しくは改善します。メラノソーム移送阻害による美白作用も期待出来ます。
施術方法1.MPガン
ダーマペンモード(マイクロニ―ドリング)とガンモード(メソセラピーモード)の両方の選択が出来る最新メソガン「MPガン」(美容通信2022年12月号)で、気になる部位(フェイス、首・デコルテ、目の周り、手の甲等)に直接マイクロインジェクションを行います。前者は、沢山の針刺しによる、創傷治癒効果と薬剤を浸透させる治療方法で、昔っぽい言い方をすれば、ナパージュ。後者は、使用薬剤をきっちりターゲット層に注入と浸透させる方法です。単にメソセラピー(美容通信2006年6月号)と言う手技の中での、深さの違いなんですけど…。強いて言うなら、小皺や毛穴の改善やニキビ跡には、ダーマペンモード。適応としては、傷を敢えて付けて創傷治癒を図る≒フラクセル(美容通信2007年2月号)の考え方に近いと思って下さい。美白や肌質の改善、育毛・発毛治療には、ガンモードです。
3~4週ごとに3~5回の施術が推奨されています。
施術方法2.エレクトロポレーション
右図は、以前紹介もしましたが、クリニックで稼働率No.1との呼び声も高い、①クレンジング、②エレクトロポレーション、③イオン導入(-/+)、④リフティング機能の4拍子揃った、CLEAN & BLOOM PRO-S(美容通信2023年1月号)です。
当然ですが、クレンジングでお肌を綺麗にしてから導入した方が良く、更には、エレクトロポレーションとイオン導入(美容通信2006年1月号)は導入するものが異なるので、プラスαが欲しければ、ビタミンCを始めとするビタミンAやE、B2、B5、ビタミンK、βカロチン、トラネキサム酸、グリシルグリシン(美容通信2010年11月号)等の導入も可能です。仕上げに、ちょっとだけですが、リフティングってオマケも付いて来ます。まあ、臨床現場では、DERM EDEN PRO(TXA NIA 5.10)を単独でエレクトロポレーションする事は殆ど皆無です。
エレクトロポレーションとは、イオン導入(美容通信2006年1月号)では難しい高分子成分を、電気穿孔により導入を行うものです。コラーゲンやプラセンタ、ヒアルロン酸等の導入が一般的に行われていますが、DERM EDEN PRO(TXA NIA 5.10)は、正に、エレクトロポレーションで真価を発揮する化粧品です。
皮膚に穿孔可能な電圧、電流を照射し、一時的に表皮(細胞膜の顆粒層)に微細な穴を開け、有効成分を表皮内側に導入します。穿孔に必要な電圧は。60V程度とされていますが、CLEAN & BLOOM PRO-Sでは、電圧を瞬時に与えては、それが減衰するのを待ち、又それを繰り返す設計になっています。通常の波形で必要以上の電圧を掛け続けると、刺激が強過ぎて、逆に効果が落ちてしまいます。下図の様な指数関数減衰波形を用いて、高い電圧でも刺激が少ない様にしているんだそうです。
このCLEAN & BLOOM PRO-Sでは、双極型を採用しています。
*註:HISAKOの美容通信に記載されている料金(消費税率等を含む)・施術内容等は、あくまでも発行日時点のものです。従って、諸事情により、料金(消費税率等を含む)・施術内容等が変更になっている場合があります。予め、御確認下さい。
*治療の内容によっては、国内未承認医薬品または医療機器を用いて施術を行います。治療に用いる医薬品および機器は当院医師の判断の元、個人輸入手続きを行ったものです。
*使用中や使用後、刺激またはアレルギーによる赤み、かゆみ、痛み、腫れ等の異常が現れた場合、使用を中止し、医師に相談してください。
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