HISAKOの美容通信2028年2月号
細胞リプログラミング技術を利用した化粧品「LIVIUS EPIシリーズ」と「ATOPINA」
細胞リプログラミング技術を利用した化粧品のご紹介です。一つは、特定のmiRNAを細胞内で高める事により、細胞そのものの若返りを図るLIVIUS EPIシリーズ。効果はゆっくりですが、流行りの幹細胞系の化粧品で危惧される、継続使用による急激な老化を回避する事が可能とされ、安全性が高い化粧品です。もう一つが、突然変異した遺伝子を修復し、健康な状態へとアトピー性皮膚炎のトラブル肌を導く事に特化した化粧品ATOPINAです。
細胞リプログラミングとは、これは、DNAメチル化などのエピジェネティックな修飾を消去する事によって、分化した細胞を初期化し、多能性を持つ幹細胞を作り出す現象です。リプログラミングの概念は、1962年にジョン・ガードンによって初めて実証され、分化した体細胞を胚性の状態にリプログラムする事が出来る事を示しました。この業績により、2012年にノーベル賞を受賞しました。
リプログラミングは、自然界の発生や生殖に於いて重要な役割を果たすだけでなく、人工的な手法によっても実施されます。特に、iPS細胞(誘導多能性幹細胞)の技術は、再生医療や創薬に於いて大きな可能性を秘めています。
細胞リプログラミングで、突然変異した遺伝子を修復する
miRNA
ヴィクター・アンブロス、R. C. Lee、R. Feinbaumらにより、1993年、C.elegans (Caenorhabditis elegans, 線虫) で最初のmiRNA (lin-4) が発見されました。2001年以降、miRNA研究は急速に進展し、年々新たな種類のmiRNAが発見され、miRNAは種別を問わず、様々な種類の生物に存在していることが明らかになり、2014年時点で、223種類の生物に於いて35,828種類のmiRNAが発見されています。
miRNAは、ゲノム上にコードされ、多段階的な生成過程を経て最終的に20から25塩基長の微小RNAとなる機能性核酸です。この鎖長の短いmiRNAは、機能性のncRNAに分類されています。miRNAは単一で機能している訳でではなく、他の種類のmiRNAと協力する事で、複数のmRNAの遺伝子発現を抑制し、細胞の発生、分化、増殖及び細胞死等の基本的な生命現象の調節に関わっています。特に哺乳類の場合、2500種類以上のmiRNAが、遺伝子発現の30-90%を制御している事が知られています。
miRNAは、癌、心血管疾患、神経変性疾患、精神疾患、慢性炎症性疾患等の発症と進行に関わっている事が知られていますが、特に、細胞の癌化に深く関与している事が多くの研究者らによって指摘されており、正の制御をする (癌化を促進する) onco miRNAと、負の制御をする (癌化を抑制する) Tumor Suppressor miRNA の2種類のタイプが存在する事が分かっています。つまり、miRNAの発現量異常は生物の恒常性の破綻に直結します。その為、癌を中心とした様々な疾患に対する核酸医薬品の開発が盛んに行われています。癌治療だけでなく、突然変異した遺伝子を修復し健康な状態へ戻す=細胞が若返る現象を応用し、育毛やアトピー性皮膚炎の治療、お肌の若返り等のリバースエイジングにも利用されつつあります。
細胞を直接若返らせる「細胞リプログラミング技術」
世界で初めて人工的なリプログラミングに成功したのは、ジョン・ガードンです。彼は、1962年に分化した体細胞は胚性の状態にリプログラムする事が出来る事を、オタマジャクシの腸上皮細胞を除核したカエルの卵に移植する事で実証しました。この業績により、2012年にノーベル賞を受賞しました。共同受賞者の山中伸弥は、ガードンが発見した体細胞の核移植または卵母細胞に基づいたリプログラミングが起こる要因となる明確な遺伝子を特定し、iPS細胞を作成する事に成功しました。
2006年に高橋和利と山中伸弥は、マウス線維芽細胞に複数の遺伝子を導入する事でリプログラミング(初期化)させ、人工多能性幹細胞(iPS細胞)を作成したことを報告しました。この研究成果「成熟細胞が初期化(リプログラミング)され多能性を持つことの発見」により、山中が2012年のノーベル生理学・医学賞を受賞しました。
LIVIUS社の製品は、遺伝子の発現を調整する役割があるヒトmiRNAを体内で高めてくれる因子(低分子化合物)を「若返り因子(Rejuvenation
Factor)」、その因子を安定化させた溶液を「Rejuveセラム」、そしてこれらを用いた製品開発技術を「細胞リプログラミング技術」と銘打っています。この遺伝子研究から発見された、細胞そのものが若返るという画期的な技術により、これまでの表面的、あるいは細胞分裂を促して生物化学的にアプローチする「アンチエイジング」と異なり、「細胞の遺伝子を直接リプログラミングさせ、若い細胞に昔戻りさせる」と言う、「細胞の若返り=リバースエイジング」が可能になりました。
2014年4月号の科学雑誌Newtonにも、「がん細胞を殺さずに、正常細胞に戻す~一つの”小さなRNA”によって、悪性度の高い細胞が正常化した」と特集された技術です。
■ヒト線維芽細胞を用いた実験結果
■コラーゲン産生能も回復し、細胞そのものが若返った!
更に、コラーゲンの産生能についても分析しました。その結果、細胞はコラーゲン産生能が回復しながら、通常細胞の4倍長生きして、自然死しました。
そして、特筆すべき事は、癌抑制遺伝子が機能していて、癌化してない!事です。前述の通り、miRNAは癌と深い関りがある事が知られています。miRNAには、癌化を促進するonco miRNAと、癌化を抑制するTumor Suppressor miRNA の2種類のタイプが存在します。ですから、人工的に作られたiPS細胞や幹細胞に於いて、癌化(美容通信2026年2月号)の問題は非常に重要で、この点がクリアされている事は人体に対する安全性が十分担保されている事を示しています。
■角質層等の表皮でも、再生・癌抑制マーカーの向上を確認
表皮細胞での実験の結果です。通常、8日程で細胞死(②)しますが、間葉系幹細胞のマーカーが増え、12週目でも尚活発に細胞増殖を行い、寿命が延びる事が確認されました。
■UV損傷を受けた細胞でも機能を回復
LIVIUS EPI
LIVIUS EPI
miRNAは壊れやすい為、miRNA自体を化粧品化してしまうよりも、体内でmiRNAを高めてくれる物質を配合した方が確実!って訳で、この若返り因子を配合しちゃたのが、LIVIUS EPI。
他の細胞系化粧品とLIVIUS EPIは、何が違うの?
■LIVIUS EPI
細胞リプログラミング技術を応用した化粧品で、特定のmiRNAを細胞内で高める事により、細胞そのものの若返りを図るものです。細胞の一部は若返るだけでなく、幹細胞化し、更に若い細胞の産生を行います。線維芽細胞を始めとする皮膚組織が、老化により損なわれてしまった本来の機能を回復する(=若返る)メカニズムなので、健康的で、安全性が高いのが特徴です。理論上、BMS(美容通信2027年8月号)の様な幹細胞培養液の化粧品と比べると、今一つ効果の実感に時間が掛かる…。
■幹細胞培養系
BMS(美容通信2027年8月号)の様な幹細胞培養液の化粧品には、成長因子やサイトカイン、インターロイキン、SOD等の酵素を含有し、線維芽細胞に作用して、皮膚の再生を強力にサポートします。細胞に働きかける力は立証済みで、即効性が自慢ですが、幹細胞は大人になると数が増えないので、皮膚内の幹細胞自体の数はじりじりと消費され、目減りして行きます。つまり、老後の資金を急激に取り崩して浪費するイメージで、継続使用により、その後の急激な老化が危惧されています。植物由来とヒト由来の物がありますが、後者の場合は、未知のウィルス等の危険性を排除出来ません…。
■テロメア系
テロメア理論(美容通信2022年7月号)(美容通信2024年9月号)に基づく、新進気鋭の化粧品。染色体の末端部分にあるテロメアは、細胞分裂を繰り返す事で短小化し、限界を超えると細胞分裂を行わなくなってしまいますが、テロメア系化粧品はこの短小化を防ぐand/or遅らせる成分を含有。化学的に合成されたテロメアーゼを用いて、細胞分裂を維持し、老化を防ぎます。癌化のリスク等の、安全性についてはまだ未知数。
LIVIUS EPIシリーズ

■洗顔フォーム(リビウスEP洗顔フォーム)
コーラルアパタイトのイオンの力で汚れを引き剥がし、化粧水や美容液が浸透しやすい状態に整えます。80g。2026年1月現在の販売価格:4500円(本体価格)。
■ブースターエッセンス(リビウスEPブースター化粧水)
洗顔後、化粧水前に使う事で浸透をサポートします。細胞リプログラミング美容液配合。50ml。2026年1月現在の販売価格:5800円(本体価格)。
■スキンローション(リビウスEP化粧水)
乳酸桿菌/加水分解発酵コラーゲンエキス配合。コラーゲンはそもそも褐色で、臭いも強烈ですが、乳酸桿菌発酵により、只でさえ分子の小さい加水分解コラーゲンを、更に小さいペプチドやアミノ酸に分解するので、無色透明の見た目だけでなく、他の成分と共に浸透性がUPします。
細胞リプログラミング美容液配合。150ml。2026年1月現在の販売価格:6200円(本体価格)。
■集中美容液(リビウスEPセラム)
肌の深部にまで浸透し、ヒアルロン酸やコラーゲン、エラスチン等の有効成分を産生する線維芽細胞のDNAの修復に主眼を置いて開発された美容液で、バリア機能の再生を強力にサポートします。細胞リプログラミング美容液配合。30ml。2026年1月現在の販売価格:8800円(本体価格)。
■乳液(リビウスEPミルク)

角層にアプローチして、メイク崩れを防ぐ最後の仕上げとして使います。肌の炎症をマイルドに鎮静化する効果があるとされる天然由来成分を多数配合しています。
細胞リプログラミング美容液配合。80ml。2026年1月現在の販売価格:7200円(本体価格)。
アトピー性皮膚炎の原因と従来の治療方法
アトピー性皮膚炎モデルの原因遺伝子を解明
アトピー性皮膚炎では、様々な細胞の増殖や分化に重要なサイトカインのシグナル伝達因子である「JAK1」分子の遺伝子配列に突然変異が生じ、JAK1のリン酸化酵素であるキナーゼ活性が増加しています。これにより、発症前から表皮細胞の古い角質が剥がれる時に発現するプロテアーゼ(ペプチドの加水分解酵素)群の遺伝子発現が上昇し、角質による皮膚バリアに機能障害が起こります。
従来の治療方法
現在の治療法としては、皮内注射若しくは内服薬でインターロイキン・JAK1/2を阻害する方法が主流です。又は、ステロイド外用薬で皮膚の炎症を沈静化させる方法が良く選択されますが、副作用もあります。しかしながら、当たり前ではありますが、これ等は根本治療にはならず、単なる対処療法に過ぎません。止めれば、元の木阿弥。再発するだけです。
ATOPINA
ATOPINAは、突然変異した遺伝子を修復し健康な状態へ戻す、今までに無いアプローチです。ATOPINAは、化粧品原料だけで構成される為、特に副作用らしい副作用がありません。誰でも気軽に使えるのに、痒みの原因遺伝子も修復し、痒みから解放される。次いでに(笑)、 肌細胞のリバースエイジングも同時に促してくれるので、お肌も綺麗になっちゃいます。
JAK-STAT経路
JAK-STAT経路は、細胞外からのシグナルを細胞内に伝達し、遺伝子の発現を調節する重要なシグナル伝達経路です。この経路は、細胞外の化学シグナル(主にサイトカイン)を受け取る細胞表面受容体、ヤヌスキナーゼ(JAK)、及びシグナルトランスデューサーと転写活性化因子(STAT)から構成されています。この経路は、細胞の成長、分化、免疫応答等に関与しています。
アトピー性皮膚炎では、様々な細胞の増殖や分化に重要なサイトカインのシグナル伝達因子である「JAK1」分子の遺伝子配列に突然変異が生じ、JAK1のリン酸化酵素であるキナーゼ活性が増加しています。これにより、発症前から表皮細胞の古い角質が剥がれる時に発現するプロテアーゼ(ペプチドの加水分解酵素)群の遺伝子発現が上昇し、角質による皮膚バリアに機能障害が起こります。
下の図を見て下さい。
炎症がJAK-STAT pathwayで引き起こされる為、その中心的に働く分子(タンパク質:JAK1)が約80%以上の正常化を期待出来ると考えれらています。黄印が示す様に、マイクロRNAにより、80以上の突然変異の正常塩基への変換を期待出来るので、JAK、IL-7、IL-9、IFN-γの機能正常
化により、アトピー性皮膚炎の炎症を沈静化する可能性があります。また、JAK-STAT pathwayに関与する4種の膜タンパク(JAK1/2/3, TYK2)の70%以上の変異が野生型に戻っており、520dによって5種のpathwayの全てが改善する可能性が高いと考えられています。
長引くかゆみの原因のひとつは、かゆい皮膚を何回も繰り返して引っ掻く事で、皮膚の炎症が悪化し、更に痒みが増すという、所謂「痒みと掻破の悪循環」が起こっているからです。
左図を見て下さい。2022年5月2日の九州大学(九州大学大学院薬学研究院/高等研究院の津田誠主幹教授、薬学府の兼久賢章大学院生(当時)、岡山大学、ジョンズ・ホプキンス大学(米国)の研究グループ)の発表(国際科学誌「Nature Communications」のオンラインサイトに掲載)によれば、何回も繰り返し皮膚を引っ掻く、アトピー性皮膚炎や接触皮膚炎モデルマウスで研究を行い、皮膚からの痒み信号を脳へ送る脊髄神経(痒み伝達神経)の活動が高まっている事、また、皮膚への引っ掻き刺激を抑えると、それが起こらない事を見い出しました。更に、皮膚を繰り返し引っ掻く事で、皮膚と脊髄を繋ぐ感覚神経でNPTX2(neuronal pentraxin 2)という蛋白質が増え、これが脊髄の痒み伝達神経に作用すると、その神経の活動が高まってしまうことを発見しました。実際に、NPTX2を無くしたマウスでは、脊髄のかゆみ信号伝達神経の活動が低下し、痒みも軽減したそうです。この研究成果から、皮膚炎モデルマウスで見られる長引くかゆみには、かゆい皮膚を何回も引っ掻くことで作られる神経の蛋白質NPTX2と、それによる痒み信号伝達神経の活動の高まりが原因である事が明らかになり、慢性的な痒みのメカニズムの解明と、痒みを鎮める治療薬の開発に向けた大きな一歩となると期待されています。
註*NPTX2は、神経細胞の活動が高まると作られる蛋白質。神経から放出された後、次の神経の細胞膜にあるグルタミン酸受容体をクラスター化し、その神経活動を高める働きがあるとされています。
このNPTX2の過剰発現は転写因子の影響と予想されており、NPTX2の主たる8種の転写因子の解析により、NPTX2も転写因子も520dによりほぼ(80%以上)正常化する事から、ATPOINAが奏効する可能性が示唆されています。
チャンピオン症例達を供覧!
以下の症例写真は、化粧品屋さんが提供している、チャンピオン症例です。ですから、全員がこの様な素晴らしい結果を得られる訳ではなく、最高でもこんなもん!って感覚で見て下さいませ(笑)。症例1,2共に、1ヶ月使用の前後です。
■症例1
■症例2
★LIVIUS EPIシリーズの金額については、本文を参照下さい。
*註:HISAKOの美容通信に記載されている料金(消費税率等を含む)・施術内容等は、あくまでも発行日時点のものです。従って、諸事情により、料金(消費税率等を含む)・施術内容等が変更になっている場合があります。予め、御確認下さい。
*治療の内容によっては、国内未承認医薬品または医療機器を用いて施術を行います。治療に用いる医薬品および機器は当院医師の判断の元、個人輸入手続きを行ったものです。
*使用中や使用後、刺激またはアレルギーによる赤み、かゆみ、痛み、腫れ等の異常が現れた場合、使用を中止し、医師に相談してください。
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