HISAKOの美容通信2023年5月号
ミラノ・リピール
ミラノ・リピールは、結果オーライ。その為には、途中、因幡の白兎とまでは言いませんが、「そこそこ、がっつり皮むけ可」と思える人限定のケミカルピーリングです。個人差がありますが、施術2~5日後くらいから皮がボロボロ剥け始めます。ファンデーションが全然乗らないどころか、刺激系のスキンケアだと染みて痛い。まあ、尤も、幾ら皮が剝けたところで、この苦痛がエンドレスに続くなんて事はなく、7~10日ほどで治まりますが。しかし、一難去ってまた一難。これで因幡の白兎が終わりかというと…、元々が屈強な白人の肌向けの商品ですから、1~3週間に1回、4~6回ほど繰り返す事が推奨されているんです。過酷さで言うと、嘗てのオバジ・ニューダームシステム(ゼオスキンヘルス)を彷彿とさせる製品です(笑)。肉食人種の白人の様に、十分な亜鉛を摂取していない日本人には、只管、剥いて剥いて漂白剤(ハイドロキノン)を入れ込むオバジ・ニューダームシステムよりは、ピーリング効果+Ⅲ型コラーゲン増殖作用を謳うミラノ・リピールの方が適しているとは思います。が、繰り返しますが、覚悟の上での施術です。ミラノ・リピールには、顔・首・デコルテ用(TCA35%)と、ボディ用(TCA50%)の2種類がありますが、HISAKOの推しは、何と言っても、ボディ。通常のケミカルピーリングでは歯が立たない、ガチガチの分厚い角質踵や、肘・膝、手や足の甲の黒ずみ、毛孔性苔癬(サメ肌)には、抜群の効果が期待出来ます。
今月号は、アグレッシブなケミカルピーリングの紹介です。「虎穴に入らずんば 虎子を得ず」を地で行くような施術です。ミラノ・マダムの美への執念を感じますな(笑)。
二相テクノロジー
二相の効果
ミラノ・リピールは、親油相(ブルー相)と親水性(イエロー相)の、二相に分かれた製剤です。主成分であるTCAピーリング剤は、ケミカルピーリング剤としては非常に優等生ではありますが、反面、材質が不安定で、変色しやすく、酸化/変性しやすいと、三拍子揃ったと~っても気難しい性質の持ち主。そこで、製品を二相性にする事で、このじゃじゃ馬娘であるTCAピーリング剤に、陽の目を当てたんです。言われてみれば、実に単純な発想ですが、物質の性質を良く理解して応用出来ましたで賞なんですね(笑)。斜めであろうと、逆様であろうと、親油相は親水相の上にぽっかり浮きますから、どんな体位で輸送、保管されていようと、ボトルの内部の酸素との接触を遮断してくれます。めちゃんこ振り回して混和したって、数分で二相に戻るんです。TCAや他の後述する活性成分が含有される、親水相の劣化を防ぎます。勿論、親油相も、単なる蓋としての役割に留まらず、フィルミング効果や皮脂膜の再生、保湿作用もあります。一粒じゃなくて、一瓶で二度美味しい系なんです。
■親油相(ブルー相)
親油相は、製剤の有効成分を酸化から守る正義の騎士です。騎士道といえば、レオン・ゴーティエの『十戒』が有名ですが、実際は、騎士道の教えの多くは通常の騎士であれば遵守する事が難しく、故に騎士道に従って行動する騎士は周囲から賞賛され、騎士自身もそれを栄誉と考えていたようです。まあ、元々は半グレ(笑)にたいな立ち位置ですから、騎士道の存在意義は、まあ、一種の抑止力と言うか…、仁義?修身の教科書?みたいな存在なんでしょう。でも、ミラノ・リピールの親油相は、正真正銘の理想の騎士像を地で行く存在です。更には、皮膚の保湿に加え、フィルミング活性効果によって皮脂膜をがっつりサポートしてくれます。
- 製剤の保護と安定化
トリクロロ酢酸等の活性成分の酸化を防ぎ、性能と製品の安全性を向上させます。
- フィルミング効果
肌の水分蒸発を抑え、有効成分の浸透を助けます。理科実験室の友・ぴったり密着パラフィルム効果です。
- 再生作用
皮膚の皮脂膜を回復させ、維持する作用があります。
- 保湿作用
直接的及び間接的作用に、肌の水和性を増加させます。
■親水相(イエロー相)
親水相には、TCA、AHA、BHA、PHA、アミノ酸、ビタミンが含有されています。ピーリングの剥離効果は勿論、皮膚に浸透して、肌を容赦なく!鞭打って活性化作用を促します。
- バイオ刺激作用
線維芽細胞活性を刺激し、皮膚の増殖及び再生プロセスを活性化します。
- 活性化作用
細胞の代謝を助け、コラーゲン、エラスチン、及びヒアルロン酸の産生を促します。
- 角質溶解、及び剥離作用
角質成分を溶解、剥離させる事で、有効成分の浸透を促進させ、新しい肌に生まれ変わらせます。
- アンチエイジングと抗酸化作用
フリーラジカルを中和する事によって、細かい皺を軽減させます。
- 抗アクネ作用と拡大した毛穴の引き締め
ニキビの発生を抑え、開いた毛穴を引き締めます。
ミラノ・リピールの4つの機能成分
以下の4つの機能成分、つまり①コラーゲンブースター、②皮膚再生、③剥離と活性、④保湿と浸透性が含まれています。
コラーゲンブースター作用
■グリシンGLYCINE
グリシンは、地球生物のDNAに規定されている20種類のアミノ酸の中の1つ。多くの種類の蛋白質には僅かしか含まれていませんが、ゼラチンやエラスチン等の動物性蛋白質のコラーゲンには、約35%程度と非常に豊富に含有されています。保湿や抗酸化、皮膚の再生特性があります。
グリシンは、コラーゲンだけでなく、ポルフィリン、グルタチオン、プリン体の原料、ヘム鉄等の様々な生体物質の原料として利用されています。
■プロリン
プロリンは、コラーゲンの合成を促進・活性化させ、損なわれてしまったコラーゲンさえも修復する力を持った塩基性アミノ酸です。表皮細胞増殖促進活性、角質層保湿作用等の生理活性をも有し、コラーゲン中にヒドロキシプロリンとして豊富に含まれています。滑らかで弾力のあるお肌には必須の成分で、特に張りのない…薄茶紙を丸めて伸ばした様な、所謂シワくちゃのおばあちゃん肌には特効薬とされています。
■ヒドロキシプロリン
ヒドロキシプロリンは、コラーゲンの主要な成分であり、前述のプロリンと共にコラーゲンの安定性を担っています。コラーゲンの螺旋を緩まないようにしっかりときつく巻く為には、これらの存在が必須ですし、また水素結合により、コラーゲンの三本鎖螺旋の安定化に寄与しています。哺乳類の蛋白質で、コラーゲン以外でヒドロキシプロリンが認められるのは、エラスチンだけなんです。
因みに、プロリンのヒドロキシル化にはアスコルビン酸(ビタミンC)が必須。その為、ビタミンCが不足すると、コラーゲン中のヒドロキシプロリンの割合が少なくなって安定性が低下します(美容通信2004年5月号)。
ヒドロキシプロリンは、セラミド合成を活発にして、ケラチノサイトの増殖、線維芽細胞のコラーゲン産生を促します。
■ビタミンC
ビタミンC(美容通信2009年10月号)は、水溶性ビタミンの1種で、コラーゲンの合成に深く関与(美容通信2004年5月号)しているだけでなく、ビタミンEの再利用には必須(美容通信2023年3月号)な成分です。また、鉄分やカルシウム等のミネラルの吸収を高める効果もあります。ROS(美容通信2017年10月号)から細胞を保護し、更に抗酸化分子を再生します。
皮膚再生
■ガンマ-アミノ酪酸(GABA)
GABAは、非必須アミノ酸のひとつで、主に抑制性の神経伝達物質として機能しています。左図(Effects of GABA on the expression of collagen gene in normal human dermal fibroblasts, Uehara E)を見て下さい。GABAは、シナプス前膜から放出され、シナプス後膜のGABA 受容体と結合して、Cl– チャネルを開きます。これにより、細胞外からCl- が流入し、細胞内の電位が更に低下(過分極)する為、興奮が伝わりに難くなります。その結果、皺の原因となる筋肉がだら~んと緩んだままになるので、皺を作れない≒有効な皺防止作用が得られます。
また、皮膚メタロプロテアーゼ(MMPS)、皮膚蛋白質分解酵素の阻害により、コラーゲン合成を促進します。
■アルギニン
皮膚に潤いと栄養を与えてくれる塩基性アミノ酸で、血流改善に関与しています。血流が良くなる事で、コラーゲン、エラスチン、ケラチン等の蛋白質及び高分子合成が促進され、肌に張りや艶、潤いがもたらされます。アルギニン成分により、一酸化窒素(NO)が生成され、血管新生、皮膚上皮化、組織成長因子産生が促されます。外傷・褥瘡・感染等の侵襲下に於いては、充分な補給が推奨される、形成外科の陰の立役者みたいな存在です。
■リボフラビン
別名・ビタミンB2(美容通信2021年4月号)。水溶性ビタミンに分類される生理活性物質で、嘗ては成長因子としての知名度が高く、ビタミンGと呼ばれていた時代も。生体内に於いては、脂肪、炭水化物及び蛋白質の代謝や呼吸、赤血球の形成、抗体の生産、正常な発育に必要な栄養素で、甲状腺の正常な活性の維持や、皮膚、爪、頭髪を始めとする体全体の正常な健康状態の維持に不可欠です。不足すると、細かな、所謂縮緬皺や肌荒れの原因になります。
左図はWikipediaから拝借してきました。リボフラビンは、酸化還元反応を抑えるチミジル酸シンターゼ(FMN)とフラビンモノヌクレオチド(FMN)の前駆体で、他のビタミンの活性物質として、ホント、関与しない代謝反応なんて生体内にないんじゃないか知らん(笑)。因みに、FMNはリボフラビンにリン酸基の付属したもの。FADはFMNにアデノシン一リン酸(AMP、赤色部)の付属した物質です。酸化還元に関わるフラビンは緑色で図示しています。主に、皮膚の酸化ストレスに起因するROSの除去を助け、細胞増殖と再生を促します。
剥離と活性
■トリクロロ酢酸
トリクロロ酢酸は、剥離作用及び間接的な活性化作用を有するカルボン酸です。皮膚に塗ると、表皮の蛋白質が沈殿し、変性します。浸透レベルにもよりますが、皮膚の特定の内分泌系を活性化させるので、再生誘導(美容通信2023年3月号)の典型的手法として有名です。
【生化学的トリクロロ酢酸誘導】
①化学的ストレスによる前炎症性の活性化
②皮膚ストレス応答システムPOMCの活性化
POMC(proopiomelanocortin:プロオピオメラノコルチン)の、プロ(P)は前駆体を、オピオ(O)はオピオイドとしてのエンドルフィンを、メラノ(M)はMSHを、コルチン(C)はACTHを意味します。メラニン合成を刺激するホルモンには幾つかありますが、中でも重要視されているのが、POMCから合成されるα–メラニン細胞刺激ホルモン(α-MSH)と副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)です。これらのホルモンがメラノコルチン受容体(MC1R)に結合すると、メラニン合成酵素(チロシナーゼ、TYRP1、TYRP2)の発現が促進され、メラニンの合成を引き起こします。
③化学物質に対する増殖因子産生
- PDGF(血小板由来成長因子:Platelet-derived growth factor):線維芽細胞等の間葉系細胞の、遊走や増殖等の調節に関与する増殖因子で、傷の再上皮化を助けてくれます。
- TGFαとTGFβ1(トランスフォーミング増殖因子α & β1:Transforming growth factor α & β1):TGFαは、線維芽細胞やケラチノサイトから分泌され、細胞達の増殖と分化を促進する成長因子です。TGFβ1は、組織再生と細胞分化に関与するペプチドです。
- VEGF(血管内皮細胞増殖因子:vascular endothelial growth factor ):脈管形成(胚形成期に、血管がないところに、新たに血管がつくられる事)及び血管新生(既存の血管から分枝伸長して血管を形成する事)に関与する一群の糖タンパクです。主に血管内皮細胞表面にある血管内皮細胞増殖因子受容体 (VEGFR) に結合し、細胞分裂や遊走、分化を刺激したり、微小血管の血管透過性を亢進させたりする働きがありますが、その他単球やマクロファージの活性化にも関与します。
■ラクトビオン酸
炭水化物、ガラクトースに結合したグルコン酸、ポリヒドロキシ酸の分子で出来ています。ラクトビオン酸は、と~っても優秀な表皮抗酸化分子で、真皮マトリックスの合成と皮膚の合成を強力に後押ししてくれます。更には、性悪娘のマトリックスメタロプロテアーゼ(Matrix metalloproteinase : MMP)の産生を減少させ、皮膚を経年劣化や光老化から守ります。
マトリックスメタロプロテアーゼについての補足ですが、メタロプロテアーゼ(活性中心に金属イオンが配座している蛋白質分解酵素の総称)の一群。その作用は、単に細胞外マトリックスを分解するにとどまらず、サイトカイン等の生理活性ペプチドの活性化等の、様々な生理現象に関与しています。MMPの基質には様々なものがあり、MMPは骨リモデリングや創傷治癒等の生理現象のみならず、炎症や癌の進行等々の病的過程にも関与しています。
ガラクトースは、グリコサミノグリカン及びコラーゲンを合成する為に、線維芽細胞によって使用される内因性の炭水化物です。
■サリチル酸
消炎鎮痛作用、皮膚の角質軟化作用があり、イボコロリやウオノメコロリの名前で広く知られており、日本人なら知らない人はいないと言っても過言でない位の、超メジャー級のお薬の一つです。角質細胞のケラチンアミノ酸鎖を選択的に切断するβ‐ヒドロキシ酸、及び強力な角質溶解剤です。他の真皮蛋白質に影響を与えない(=角質のみ!に作用する)ので、2008年の日本皮膚科学会のケミカルピーリングのガイドラインでは、痤瘡の皮疹、小斑の日光黒子、小皺に対して、サリチル酸マクロゴールの使用は、良質な証拠はなない(笑)ですが、選択肢の1つとされています。
静菌作用と鎮痛作用があり、皮脂によって拡大した毛穴を開放し、細菌の子孫繁栄にとってあまりにも適さない環境を作り出すので、ニキビになりたくてもなれないんです。
■タルトロン酸(酒石酸)
ワインの樽にたまる沈殿(酒石、tartar)から、カリウム塩(酒石酸水素カリウム)として発見されたため酒石酸とも呼ばれ、酸味のある果実、特に葡萄、ワインに多く含まれる有機化合物です。ジカルボン酸と強力な抗酸化分子で、剥離特性に優れる為、へばり付いたカ角質の溶解剤として使用されます。乾燥して弾力性のない肌、ニキビ肌、黒ずみ等のトラブル肌に適します。
因みに、相撲部屋では、ちゃんこに使うポン酢は市販のものを買うのではなく、酒石酸に醤油を混ぜたものを使い、香りづけに柑橘類を絞ったものを入れるんだそうな。全ての部屋でではないようですが。
■クエン酸
枸櫞(くえん)とは漢名でマルブシュカン(シトロン)を指し、名前の如くに、柑橘類等に含まれる有機化合物で、Ca2+の様な2価イオンのキレート特性を有するトリカルボン酸です。抗酸化作用に優れています。カドヘリンは、細胞表面に存在する糖タンパク質の一群で、細胞接着をつかさどる分子で、Ca2+により、細胞接着が左図の様に、緩んで、開きます。
カルボキシル基のα位ヒドロキシル基の、角質剥離特性及び角質溶解特性により、開き切った毛穴も縮小する方向に働きます。
因みに、他のクエン酸の使い道としてまず挙げられるのは、炭酸カルシウムを容易に溶かしてしまうので、便器の尿石・浴室・電気ポット・加湿器内部に溜まった水垢の洗浄です。運動成績向上機能や運動後の疲労軽減効果作用があるのでは?と、嘗ては「レモンの輪切りを野球部のマネージャーが差し入れる」シーンが青春漫画の定番でしたが、今は…条件にもよりますが、疲労軽減に若干は効果が認められる程度に過ぎない。決して無駄とは言い難い、って事が判明。でも、レモンケーキは、無条件に昭和っぽくて好きです。子供の頃は、おもたせでいただいても、またかぁ…と全然喜びを感じなかったものですが(笑)。今は古びた商店街のお菓子屋さんを見掛けると、つい、レモンケーキを求めて店に入ってしまう。でも、未だに、あの時の味には巡り合えない…。
保湿と浸透性
■スクワラン
スクワラン は、“黒子鮫”の肝油から発見されたスクアレンに、水素添加を施した硬化油。スクアレンは、肝臓にて生合成され、私達人間様では掌と足の裏を除く毛穴から皮脂として皮脂腺から分泌されてます。皮脂の13%を占める主な構成成分です。その分泌量は食事の影響や個人差があり、1日に125-475mgとされていますが、一般に30歳をピークに年齢と共に分泌量が低下してしまいます。皮膚を柔軟にし、肌に水分を保ち、潤い不足によるキメの乱れや目穴の目立ちを改善する効果があります。また基礎研究からは、抗酸化作用を持ち、フリーラジカルによる損傷を減らすと考えられています。
■ミリスチン酸イソプロピル
皮膚への浸透性に優れ、溶媒として用いられる他、製剤の安定化に役立ちます。
ミラノ・リピールは、顔/首/デコルテ用と体用の2種類
顔/首/デコルテ用FND(TCA35%)
■成分
主成分 | TCA35%(トリクロロ酢酸) |
補助成分 | ラクトビオン酸、サリチル酸、タルトロン酸(酒石酸)、クエン酸 |
アミノ酸 | グリシン、プロリン、ヒドロキシプロリン、アルギニン |
ビタミン | ビタミンC、ビタミンB2 |
リフティング効果 | ガンマーアミノ酪酸 |
親油相 | スクワラン、ミリスチン酸イソプロピル |
■プロトコール
1~3週間に1回、4~6回ほど繰り返す事が推奨されています。3~5分間塗布してから、水を含んだスポンジで拭き取ります。顔、首、デコルテの夫々の使用量の目安が2mlになります。
■症例
4回施行した経過写真です(35歳女性)。ニキビ跡が随分と目立たたなくなっていますが、断っておきますが、これは、ミラノ・リピールを製造しているイタリアの会社さんから提供された、謂わばチャンピオン症例です。それも、黄色人種と違って、タフな白人の症例写真です。が、それを差し引いて考えても、因幡の白兎顔負けに皮剥けしてでもする価値はありかも。しかし、過激さのあまりに心が折れてしまうかも…と心配な向きには、もっとマイルドなピーリング、例えば、ハイドラフェイシャル(美容通信2012年11月号)や乳酸ピーリング(美容通信2005年4月号)、ディープクレンジング(エレクトロクレンジング)(美容通信2023年1月号)をお勧めします。
右図は、施術前と3回施術した時点での、同じ患者さんの皮膚の高解像度超音波画像です(緑色:collagen、黄色:細胞増殖)。一目瞭然ですね。ごわついた分厚い皮膚が、柔らかく弾力のある皮膚に再生しています。
PARAMETERS | 施術前 | 3回施術後 |
penetration | 1053um | 1001um |
skin thickness | 1712um | 1224um |
elasticity | 40.9 | 50.3 |
体用BODY(TCA50%)
ガチガチの分厚い角質踵や、肘・膝、手や足の甲の黒ずみ、毛孔性苔癬(サメ肌)、ストレッチマーク等用です。HISAKO的には、ミラノ・リピールは、体に於いて本領発揮の感があるんですけどね。
■成分
主成分 | TCA50%(トリクロロ酢酸) |
補助成分 | ラクトビオン酸、サリチル酸、タルトロン酸(酒石酸)、クエン酸 |
アミノ酸 | グリシン、プロリン、ヒドロキシプロリン、アルギニン |
ビタミン | ビタミンC、ビタミンB2 |
リフティング効果 | ガンマーアミノ酪酸 |
親油相 | スクワラン、ミリスチン酸イソプロピル |
■プロトコール
10日~3週間に1回、4~6回ほど繰り返す事が推奨されています。3~10分間塗布してから、水を含んだスポンジで拭き取ります。使用量の目安は、両掌で2ml。両手の甲と指の面積で、4ml。
■症例1
37歳女性です。施術前と3回施術した時点での皮膚の高解像度超音波画像です(緑色:collagen、黄色:細胞増殖)。一目瞭然ですね。皺っぽい手が、ふっくら若々しくなっています。これの症例のみならず、後述のその他の症例達も、全てイタリアの会社さんから提供された、謂わばチャンピオン症例ですが、それを差し引いて考えても、良いと思います。
PARAMETERS | 施術前 | 3回施術後 |
penetration | 1053um | 1032um |
skin thickness | 1172um | 1014um |
elasticity | 27.1 | 43.4 |
■その他の症例達
実際の使い方
- アンプルを数秒間振り、二相に分離しているピーリング剤を混和させます。
- 製剤が緑に変わります。
- 注射器で薬剤を適量吸引します。
- マッサージをする様に、製剤が完全に吸収されるまで、製品を塗ります。
- 皮膚の状態を見ながら、顔/首/デコルテ用は3~5分間、体用は3~10分放置プレイ!
- 施術後は、水に浸したスポンジで製剤を拭き取ります。中和する必要はありません。
顔/首/デコルテ用は、1~3週間に1回の施術を、4~6回ほど行います。体用は、10日~3週間に1回、4~6回ほど施術します。ミラノ・リピールは、比較的素直な治療なので、他の施術との相性も抜群。RF:4#を併用した光治療(美容通信2023年4月号)やフラクセル(美容通信2007年2月号)、レーザートーニング(美容通信2013年9月号)等のレーザー治療、ダーマペン(美容通信2022年12月号)の様な物理的な再生医療系の他、ジャルプロスーパーハイドロ(美容通信2022年9月号)やメソガンを使用したヒト幹細胞(美容通信2022年12月号)やサーモン注射(リジュラン)(美容通信2021年10月号)等の注入系、グリシルグリシン(美容通信2010年11月号)等のイオン導入やボルカプラスの(美容通信2023年1月号)エレクトロポレーション等、NGが殆どなく、相乗効果を期待出来ます。
*註:HISAKOの美容通信に記載されている料金(消費税率等を含む)・施術内容等は、あくまでも発行日時点のものです。従って、諸事情により、料金(消費税率等を含む)・施術内容等が変更になっている場合があります。予め、御確認下さい。
*治療の内容によっては、国内未承認医薬品または医療機器を用いて施術を行います。治療に用いる医薬品および機器は当院医師の判断の元、個人輸入手続きを行ったものです。
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日本眼科学会戦略企画会議が中心となり、フレイルならぬ「アイフレイル」対策プロジェクトが開始されました。
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