HISAKOの美容通信2021年10月号
高濃度サーモン注射|リジュラン
新しい細胞活性フィラーとして注目の、あのリジュラン(高濃度サーモン注射)に、目の周りのハリとシワ改善に特化したリジュランアイiと、瘢痕の改善に特化したリジュランエスsの兄弟?姉妹?が新発売になりました! リジュランアイiは、ボトックス注射では満足出来ない、またヒアルロン酸注射ではボコボコになり易い目の下の皺に威力を発揮します。リジュランエスsは、特に治療に難渋するニキビ跡の悩ましい凸凹に、フラクセル等の従来の治療と併用する事で更なる効果が見込まれます。
リジュランの有効成分は、皮膚の創傷治癒(美容通信2004年5月号)を活性化するポリヌクレオチド(DNA断片)です。ですから、単独は勿論、他の施術との複合治療で、補完と言うか…弱点を補ってくれるのが嬉しいですね。
今月号は、更に目の周りと瘢痕に夫々特化した新製品、<リジュランアイiとリジュランエスs>です。
改めて、リジュラン(通り名・高濃度サーモン注射)解説
リジュランは、BENEV(美容通信2012年6月号)やAAPE(美容通信2009年3月号)の様な成長因子系や、”自己多血小板血漿注入療法(PRP/ACR)(美容通信2006年12月号)、はたまた線維芽細胞注入(美容通信2007年9月号)の様な再生医療系等の様に、鞭で引っ叩いて馬車馬の如く働かせるのとは、ちょっと毛色が異なる治療法です。端的に言うと、過労気味のお肌をいい子いい子してあげる、癒し系ヒーリングフィラーと言う新しう概念に基づいて開発された自己細胞活性フィラーです。
老化、紫外線、活性酸素、化粧品、再生力低下等々と、様々なダメージで疲れ切ってしまった皮膚は、コラーゲン線維とエラスチン線維が減少し、真皮層が菲薄化し、ハリが失われています。この様な可哀そうな皮膚内部の生理的状態を、燃え尽きる前に改善してあげる♪≒リフレッシュ休暇を取る事で、お肌を本来の健康で美しい状態に戻してあげるって考え方です。リジュランの有効成分は、組織再生物質であるポリヌクレオチド。サケのDNAから抽出された分子で、皮膚に高い適合性を持つよう処理されているので、世の中では高濃度サーモン注射って通称名の方が有名かも。表皮、真皮、細胞外基質の再生し、ハリ、ボリューム、弾力を取り戻すお手伝いをしてくれます。
ポリヌクレオチド
リジュランの主成分、天然由来の長連鎖ポリヌクレオチドを20mg/mlの高濃度で配合しています。リジュランの特性は、左図の通り。とっても優秀です。褒めてあげたい点を下記に列記します。
- 優れた回復効果:皮膚の再生力が増加。
- 弾力性の改善:老化によって失われた弾性繊維を補完。
- バランスの回復:皮脂の分泌を減少させて、皮膚の油分と水分のバランスを回復させる事で、肌のきめを改善。
- 安全性実証済:高い生体適合性を有する物質を使用しており、副作用を起こさない。
- 即効性:投与後すぐに皮膚が安定し、皮膚深部から即効性が感じられる施術。
■ポリヌクレオチドの作用機序と利点
有効成分であるポリヌクレオチドはDNAポリマー「皮膚の治癒活性剤」です。バイオマテリアル補完剤(真皮の補完・保湿効果)と再生(表皮/真皮の再生・コラーゲン/日コラーゲン蛋白質の分泌・細胞外マトリックスの修復)の二つの側面を有しています。
高濃度の『ポリヌクレオチド』
⇒皮膚細胞の成長にとってより好ましい生理的状態を作り出します。
⇒無定形の細胞外基質物質と線維状物質の生成増加を助けます。
⇒皮膚のボリューム、ハリ、弾力を改善します。
■組織再生機序
リジュランの有効性
■線維芽細胞活性化による皮膚再生
リジュランは、線維芽細胞を活性化させる事によって、細胞の成長を促し、皮膚を再生させます。線維芽細胞は、コラーゲンやその他の細胞外基質等、様々な真皮構成成分の分泌を促します。リジュラン使用群では、線維芽細胞がより多く増殖し、コラーゲン線維が密度が上がっていました。
■皮膚の正常化
リジュランは、皮膚の構成要素を正常化させてくてるので、その効果は真皮だけに留まらず、表皮にも現れます。表皮が正常な厚みを取り戻す事は、即ち皮膚のバリア機能の強化に繋がります。
下図は、リジュランによる施術4週間後の、表皮と真皮の厚さを測定したものです。対照群(生理食塩水とヒアルロン酸)と比較して、明らかな皮膚細胞の増殖促進により、真皮、表皮共に厚みが増しています。
■皮膚のハリ回復
リジュランは、老化や皮膚刺激によって弾力線維が減少し、弛んで皮膚のハリが失われてしまいます。リジュランは皮膚内部を再生するので、ハリが再び蘇ります。
■臨床試験
デジタル皮膚測定システム(Callegari Soft 5.5)を使用した患者さんの評価です。評価は治療前(試験前)と治療終了から1ヶ月後(試験後)に評価(研究機関:P&R skin research center, R medical instition)。(出典:長鎖ポリヌクレオチドゲル及び皮膚の生物学的活性化、Jounal of Plastic Dermatology 2007)
患者数(性別) 14(F)
試験前/試験後 62.06/74.00
差/差分% 11.94/14.69
[皮膚のハリ試験]
患者数(性別) 14(F)
試験前/試験後 17.69/14.81
差/差分% 2.88/21.78
■リジュランの美容評価
リジュランのリフトアップ、メラニン指数、皮膚層の密度、皮膚層の厚さ、弾力性について、リジュラン2ml/回
2週間ごとに4回を行い、10週間(施術:6週間、フォローアップ:4週間)の観察を行い、評価しました。
①皮膚のリフトアップについては、モアレ写真撮影と角度解析から行いました。結果は右図の通り。
②明るさの改善については、VISIA-CRを用いた写真撮影/解析から行いました。結果は左図の通り。
③皮膚の厚さの測定は、皮膚スキャナーによる写真撮影および解析で行いました。結果は、右図の通り。
リジュランの投与方法
繰り返しになりますが、リジュランは、皮膚の治癒過程を活性化するポリヌクレオチド(DNA断片)を真皮内に直接注入し、コラーゲン及び弾性線維の生合成を促進してくれます。
■リジュランのプロトコール
2~3週間おきに計4回の施術を行う事で、リジュランがダメージを受けた皮膚内部の生理的状態を改善し、皮膚構造を自然に回復させる為、最善の効果が期待出来ます。
メンテナンス治療としては、年齢と肌の状態に応じて、6ヶ月に1回低緯度の施術をオススメしています。これがお肌の状態を最善に保つ為に推奨されています。
投与方法は、①マイクロドロップ法若しくはメソガンか、②エレクトロポレーションです。
- 注入量
1回の施術に使用する推奨量は1シリンジ(2ml)。
注射1回の推奨注入量は、マイクロドロップ注入法と言う、医者が膨疹を作る様な打ち方をした場合、0.05~0.1mlです。メソガンの場合は、0.01ml/ショットとされています。メソガンによる注入方法は、液漏れはマイクロドロップ法と比べると多少は仕方がない面がありますが、腫れもなく、痛みやダウンタイムを気にする場合には適した方法です。しかし皮膚が薄いとそれでも、若干の痛みはあります。それも耐えられないのなら…ちょっと効果は落ちますが、エレクトロポレーションって選択かな。まあ、マイクロドロップ法の場合は塗る麻酔は必須です。
注入の深さとしては、真皮浅層です。0.8~1mm(全体的には1mmで、皮膚の薄い所は0.8mm)ですが、元々皮膚が薄い場合は0.8mmぐらいが適切とされています。マイクロドロップ法の場合、注入感覚は0.5~2cmの間隔で注入します。
内因性の老化又は光老化(美容通信2003年7月号)(美容通信2003年8月号)によるハリの低下、シミ、小皺が対象です。化粧品や汚染物質からの化学的な刺激によりダメージを受けた皮膚にも効果があります。
リジュランの新しい仲間~iとs
リジュランシリーズの比較
■新しい仲間:リジュランアイiとリジュランエスs
- リジュランアイi
目の周りは、年齢が非常に出やすい部位の一つではありますが、治療には結構、難渋します。ボトックスは使える領域は限られるし、BENEV(美容通信2012年6月号)やAAPE(美容通信2009年3月号)の様な成長因子系や、”自己多血小板血漿注入療法(PRP/ACR)(美容通信2006年12月号)、はたまた線維芽細胞注入(美容通信2007年9月号)の様な再生医療系等々は、はっきり言って、帯に短し襷に長し(笑)。
リジュランアイiの組織再生作用、抗炎症作用及びボリュームアップ効果により、目元の若返りに効果的です。にも拘らず、粘度がリジュラン3兄弟の中で最も低く、展延性が高い為、ダウンタイムが短く、より早い段階での普通の生活!に戻れちゃうんですね。更には、後述のウサギもお耳での注入実験でも明らかな様に、多くの血管が存在する目元に対し、安全に使用が出来る製剤でもあるんです。つまり、目じりの皺、及び目の周りの小皺を目立たなくし、目の周り部分(薄くなった皮膚)の張りを改善する事に特化した製品! それ故に、Eye Healer(アイヒーラー)との別名にも、納得です!
クリニックでは、直接真皮内に極細の針で注射(マイクロドロップ法)の他、メソガンでの注入(メソセラピー)若しくは、エレクトロポレーションでの注入を行っています。
投与方法は、リジュランアイiもリジュランsも、リジュランと一緒ですが、ダウンタイムは短くて24時間以内。より早く普段の生活に戻れるのが、リジュランiの特徴です。
- リジュランエスs
リジュランエスsは、例えば、ニキビ跡の他、火傷や怪我の後、植皮後等の瘢痕(陥凹性及び窪んでしまった瘢痕)を改善し、陥凹部のボリュームアップ効果に特化した製品です。
粘度が高いので、瘢痕部に長く留まり、頬や額等の陥凹部に自然なボリュームアップ効果を齎してくれます。フラクショナルレーザー(美容通信2007年2月号)との併用で、更に相乗効果が見込めます。クリニックでは、直接真皮内に極細の針で注射(マイクロドロップ法)の他、メソガンでの注入(メソセラピー)若しくは、エレクトロポレーションでの注入を行っています。
下の表を見て下さい。
リジュラン | リジュランアイi | リジュランエスs | |
化合物 |
DNAポリメラーゼ (長鎖状合成高分子) |
DNAポリメラーゼ (長鎖状合成高分子) |
DNAポリメラーゼ (長鎖状合成高分子) |
分子量 |
PNの分子量は、最大でポリデオキシヌクレオチド(PDRN)の分子量(550~1500kDa)の7倍大きい。 超音波測定による展延性:リジュランi<リジュラン<リジュランs |
||
粘度 | ●●○ | ●○○ | ●●● |
粘弾性 |
①分子量の制御により、弾性より粘度が高い。 ②足場形成により、効果が長時間持続し、小皺や皮膚全体の状態が改善する。 |
①弾性も粘性も両方低い。 ②展延性が良い。 ③皮膚内での吸収率が高く、皮膚状態が改善する。 |
①分子量の制御により、弾性より粘度が物凄く高く、リジュランは比じゃない(笑)。 ②ボリュームアップ効果を齎し、効果が長時間持続する。 |
使用目的 | 皮膚の修復(=アンチエイジング←一時的だけど) | ||
適応部位 | 顔、首、デコルテ、手の甲等の張りや弾力の回復 |
目じりの皺、目の周りの小皺の改善 目の周りの張りの回復 |
陥凹性瘢痕の改善、陥凹部のボリュームアップ |
■リジュラン/リジュランアイi/リジュランエスsの臨床試験(注入後の展延性/吸収及び分解)
3種類のリジュラン製剤(リジュラン ヒーラー、リジュランアイi、リジュランエスs)を、右図の如く、升目ごとに0.05mlづつ上腕内側に注入します。展延性、吸収パターン、分解パターンの比較観察を行いました。超音波検査により、注入前、注入直後、注入1日後、注入3日後に結果の観察を行いました。
結果は下記の通りです。
注入直後から、他の2製剤に比べ、リジェランアイiの展延性が顕著でした。つまり、リジェランiを注入しても、粘度が低いので、直後からあんまボコボコ感じないんですね。
注入24時間後です。リジュランアイiは観察されませんでしたが、リジュランとリジュランエスsは、真皮で観察されました。
注入7日後です。3つの製剤全てが完全に吸収され、見えなくなってしまいました。
粘度の違いから、注入後のダウンタイムは、リジュランアイi<リジュラン<リジュランエスsでした。
薬物が真皮まで浸透するのにかかる時間及び注入後のダウンタイムは、各製剤の粘度に比例します。超音波検査により、注入7日後には全ての製剤が、完全に吸収される事が示されています。つまり、一番粘度が高いリジュランsでさえ、精々ダウンタイムは1週間って事です。
■リジュランとリジュランアイiの安全性評価
ウサギさんの耳を養っている後耳介動脈のうち、後頭脂枝については予め電気焼却器で凝固させて不通状態にしておきます。そうなると、前頭枝だけが唯一の栄養血管になります。この唯一の命綱を、ヒアルロン酸(レスチレン)、リジュランi、リジュランの3製剤で閉塞させ、どう耳が腐るかを調べました。つまり、万が一、注入剤が血管に入ってしまっても、塞栓を起こしてトラブルを来たす心配があるかどうかを調べる実験です。
実験当日は、ウサギさんの耳は全て見た目的には健在でした。
実験開始3日後の結果です。
実験2週間後の結果です。
実験3週間後の結果です。
結果をグラフにしてみました。リジュランアイiもリジュランも、万が一、薬液が血管に入ってしまっても、一般的なヒアルロン酸注入時の様な血管の閉塞による皮膚壊死等の可能性を考慮する必要がないんです。ですから、目元に対し自然、且つ安全な治療法により、張りが向上して、若々しい見た目がGET出来るんですね。だから、リジュランアイiが、Eye Healer(アイヒーラー)と称される所以です。
*註:HISAKOの美容通信に記載されている料金(消費税率等を含む)・施術内容等は、あくまでも発行日時点のものです。従って、諸事情により、料金(消費税率等を含む)・施術内容等が変更になっている場合があります。予め、御確認下さい。
※治療の内容によっては、国内未承認医薬品または医療機器を用いて施術を行います。治療に用いる医薬品および機器は当院医師の判断の元、個人輸入手続きを行ったものです。
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