HISAKOの美容通信2012年5月号
ファインリフト
切ったり、貼ったりと言う、所謂手術系ではないんですが、サーマクルールやウルセラ等の一般的なリフトアップのレーザー系よりも断然痛みが少ないにも拘らず、同等若しくはそれ以上の効果が期待出来きちゃいます。
細胞生命の源を再生する、革新的アプローチ…。
確かに、業者がそう謳うだけの事はある。唯、凄い事を期待しないのであればの話ではあるが(笑)。…まあ、手軽にリフトアップと、肌の質感の改善を期待するなら、コストパフォーマンス的に優良な選択肢であり、類似する金の糸と違い、他のレーザー系の施術等も恐れずに併用する事が可能(=安全)って意味では、結構良いんじゃ~んって感じかな。
今月の特集は、<ファインリフト>です。
ファインリフトの原理
主な原理となるものが、2つあります。
率直に、単純に吊り上げる。
イメージとしては、皮下の筋膜及び筋組織を、吊り上げたい方向若しくは盛り上げたい方向に、何十本もの待ち針で固定するって感じですかね。超極細の糸ですから、流石に、1本や2本の少数では、重い組織、つまり顔面の皮膚や四肢の筋膜、筋肉を引き挙げ、支え、強化し、筋肉のボリュームアップを図るなんて、とても無理。どうしても、大量に待ち針を使用する必要に迫られます。
が、太い一本の柱で支えるより、細くても沢山の柱がある家の方が、微妙な形状を表現し易いんですよねぇ。確かに、沢山の針を刺し込むって作業だけで、痛いし、腫れも強く出るんじゃないかって懸念を抱く人もいるかも知れませんが、ファインリフトで使用する針は、従来の針と違って特殊肉薄針を使用しているので、1ランク細い針で、同一の太さのPOD糸*(後述参照)を刺入しているから、その点も楽勝でク・リ・ア♪ そして、極細糸は、人畜無害の草食系。且つ、皮下で吸収され、跡形もなく溶けてしまう、つまり、次に述べるプリプリのお肌獲得作戦の中核を担う事にもなるのです。
お肌プリプリ作戦。
待ち針で留めるって行為は、昔家庭科でお裁縫の時間に実感した通り、留めれば即、顔だって吊り上った状態で固定出来ます。が、「お肌プリプリは一夜にして成らず」が、強いて言えば欠点。何故って、お顔や筋膜に、異物である糸を長期間埋没させる事で、血管や真皮層を刺激し続ける、つまり、埋め込まれた体に、「傷を治す為に、もっと働かんか!!」と檄を飛ばし続ける事で、コラーゲンの産生を促すのが本体だからです。地道に、糸が溶けてなくなってしまうその日(180~240日間)まで、コラーゲン産生を促し続けてくれる事でしょう。
糸の寿命が、若々しさの縁の切れ目って訳ではないが…。
お利口な皆様のご想像通り、原理から考えると、ファインリフトは一生モノにはなり得ない。ですが、糸の切れ目が縁の切れ目かっていうと、吊り上げって意味では、パンツのゴム同様、溶けてなくなれば下がります。しかしながら、肌のプリプリに関して言えば、「コラーゲンを作れ!」って命令がなされて、ありんこの線維芽細胞が死にもの狂いでコラーゲンを作り捲り、1~3か月後位に漸く結果(実感)が出ます(美容通信2004年5月号)。つまり、糸が溶けたからって即日コラーゲンの生産が止まる訳じゃないし、増して、出来たコラーゲンが一気に撤収!なんてありえません。緩やかに、1年弱位掛けて、徐々に加速する衰退曲線を描くって感じですかね。まあ、良い状態の維持を期待するなら、3か月後にメンテナンスを加えておく方が望ましいですしね つまり、単独でも効果はあるんですが、他の施術と組み合わせて線維芽細胞を更に酷使出来れば、もっと効果が上がる筈ですよね。フラクセル(美容通信2007年2月号)、フォトフェイシャル(美容通信2003年5月号)等々のレーザー系若しくはもどき系やケミカルピーリング(美容通信2005年4月号)で、更なる鞭を振り下ろすのも良し。ACR(美容通信2006年12月号)やAAPE(美容通信2009年3月号)、BENEV(美容通信2012年6月号)若しくは安価系でプラセンタ(美容通信2009年2月号)で、拡声器を使って周囲の線維芽細胞を呼び集めるのも良し。線維芽細胞注入(美容通信2007年9月号)で、海外からの移民を労働力として受け入れるも良し。メソセラピー(美容通信2006年6月号)やダーマローラー(美容通信2009年8月号)、(超音波)イオン導入(美容通信2006年1月号)等で、線維芽細胞にご飯の差し入れをするのも良し。 金の糸と違い、POD糸とは言え、単なる吸収糸に過ぎませんから、レーザー系だって怖くないから、何でも併用OKなんです。上記の様なお肌のプリプリ系をUPさせるもの全般は勿論、イデバエ(美容通信2009年3月号)やボトックスの様な毛穴改善(美容通信2010年11月号)兼リフトアップ(美容通信2011年3月号)系も併用OKです。
糸の寿命を考える他
ファインリフトをはじめとする、所謂、垂れた皮膚を糸で吊り上げる”スレッドリフト”に使用される糸も、実は地道に進化しています。
- 第一世代 ガット(プレーン及びクロム)
- 第二世代 PGA(ポリグリコール酸)
- 第三世代 PDO(ポリジオキサノン) ファインリフトで使用するのは、この第三世代のPOD糸。超高引張強度、優れた柔軟性、滑らかな組織通過性がウリです。そして、そして、この吸収までの日数を見て下さい。一言で吸収糸と言っても、製品によってこんなに違うんですねぇ。へ~ぇ。
- プレーンガット [質量吸収] ~70日
- クロムガット [質量吸収] ~90日
- PGA [質量吸収] 60~90日
- PGLA [質量吸収] 60~80日
- PGCL [質量吸収] 80~120日
- PDO [質量吸収] 180~240日
ファインリフトは、右図の様に特殊肉薄針なので、1ランク細い針で、同一の太さのPOD糸を刺入出来るとは言え、本数で稼がなくちゃならない。これを小回りが利くと言うか繊細な表現が可能と考えるか、物足りないと捉えるかは、まあ、個人の考え方にもよると思います。が、HISAKO的には、内出血が起こり難く、痛みも軽微で済むなら、一杯針刺しても良いじゃ~ん。だって、刺せば刺すだけ、異物反応で活性化した線維芽細胞が、バリバリ、コラーゲンを作るようになるんだもん。プリプリお肌度が上がる方が、お得かなって思うんですけどぉ。
ざくっと言っちゃうと、より安価にリフト効果だけを求めるなら、従来のスレッドリフトに軍配が上がると思う。けど、美容院感覚で、3か月毎のメンテナンスを好し考えられるのなら、そこそこのリフトアップと、お肌のハリと言うダブルの若返りの維持を期待出来る、ファインリフトってとこかな。
ファインリフトは、こんなお悩みに最適!
まあ、前述の2つの原理を考えれば、色んな可能性が広がって来る訳で、一応適応としては下記の様なものが考えられます。ちょっと、拡大解釈し過ぎって感も否めないけどぉ、列挙しときます。
- シワ全般 顔、首、手、ゴルゴライン(インディアンのシワ)、マリオネットライン、豊齢線、目尻のシワ、眉間のシワ
- ボリューム減少 二重顎、頬骨、二の腕、腹部
- 輪郭矯正 顔全体、胸部、ウエスト、上腕部、ヒップアップ
- 肌の質感の向上 顔の血流改善による美白、引き締め(タイトニング)、毛穴縮小、弾力アップ、セルライト改善
粟野君が、挑戦しました。付録でHISAKOも。
左の写真は、粟野君です。郷ひろみと同い年の56歳。独身です。痛がりさんなので、この写真撮影後、塗る麻酔を塗ってスタート♪しました。
全てに於いていえる事ですが、
- 施術年齢が上がると、コラーゲン産生の誘発やリフティング効果の実感の為には、必要な糸の本数は徐々に増えざる得ないのが現状です。
- 当然ですが、施術後の赤味や腫れを極力軽減する為には、消炎効果のあるパックを施術直後に加えたり、おうちでも大人しく軽く冷やしてもらえると嬉しいかな。
- 繰り返しになりますが、プラスαを定期的に加える事で、弱点の補強を兼ねた多方面からのアプローチを行う方が効果的です。
- ファインリフトは、お隣の韓国では非常に人気の施術の一つですが、初回の施術後、2~3週間毎に、合計3回の施術を行うってプロトコールが一般的です。
豊齢線
深い皺の直下に通し、底上げを図りつつ、只管上に中心から外側へと、戻りたい若かりし頃の顔を思い出しつつ、糸を入れて行きます。 あ、粟野君は豊齢線のみならず、リフトアップ進行中のお写真です、はい。 明らかに豊齢線がなくなったとは口が裂けても言えないけど、粟野君の感想としては、直後から「何かそこはかとなく良い感じ」。でも、表情を激しく動かすと、最初の2~3日は、糸が入っているだけに、ちょっとツッパリ感があったかもだそうです。1週間後の感想は、寧ろ全ての部位に対して、「上がっています♪(キッパリ)」で、豊齢線については「浅くなっています」と断言。
リフティング
あんま痛くない、ちょっと鈍いエリアなので、ガンガン攻めで行っちゃう場所でしょうか。兎に角、顔の輪郭線に沿って、重力に逆らって上げたい方向に、上へ上へと待ち針で留めて行くって感じが近いかも。フェイスリフトの手術でお馴染みの、SMAS層(表在性筋膜)をターゲットにしています。一般的には、半顔で20本位使用しますが、ケースバイケースですかね。
純粋なリフトアップって意味では、前述の通り、やっぱちょっと物足りない感じは否めない。でも、その分お肌プリプリになるけどね。まあ、更なるリフト効果を求めたい向きは、プラスαを組み合わせておくんなまし。
粟野君が一番お気に入りだったのが、意外にも(?)このリフティング効果。何だか、顔が全体的にハリが出たというか、持ち上がった感じがして、ちょっと若返った気がすると、直後からご満悦。1週間後には、「日々良くなってます」の発言が飛び出しました。皆様にも後で写真を見て貰いますが、写真的には劇的に上がった感じはないと思います。唯、タルタルのお肉を上に上に待ち針で固定し直し、頬っぺたの肉を頬骨の上に寄せ集めたりと、漫然とだらりと下垂していたおっぱいを、ワコールのブラに詰め込んだ的な若々しさとでも言うのかな、出っ張りが上に上がった=バストアップしたって表現が一番当て嵌まる気がします。
目の周り
下から、上へ上への上昇志向。皮膚が薄い場所柄故に、赤くなったり、内出血したり、痛みを伴いのが難点。それ故に、ちょい軽めのアプローチに止めておいて、他のレーザー系やボトックス、ヒアルロン酸を組み合わせて、弱点を補強したくなっちゃう。
上記の粟野君の写真を見て貰えば分るように、如何にも内出血を予感させそうな膨らみが出ちゃって、ちょっと覚悟したんですけど、右上の図を見て下さい。針を全て抜去直後の粟野君、多少放心状態なのはさて置いて、内出血が全くない訳じゃないけど、多寡が知れてるでしょ。
何となくしょぼくれていたこめかみが、何となくボリュームアップして良い感じかな。
額
最も痛みを感じる敏感な場所だけに、麻酔をしていたにも拘らず、うっすら涙ぐんだ粟野君。「ウルセラ(註:高密度焦点式超音波。超音波エネルギーによる強い振動で摩擦熱を発生させ、凄く小さい範囲に熱ダメージ(破壊)を与え、この熱ダメージが、コラーゲンの分解と収縮を起こしSMAS筋膜を引き上げるので、最強のたるみ改善マシーンとして日本に上陸。とっても魅力的な超音波理論に魅せられ、HISAKOも御多分にも漏れず欲しい病に罹り、購入を検討したけど、結局断念した器械。デモ機を借りて、粟野君とHISAKOが体験したんですけど、半端じゃなく、痛かった。HISAKOはスタンダードってレベルで全顔照射したけど、あまりの痛さに休憩を挿み挿み挿んで1時間半で終了。ちょっと、可愛くなった気もしないではなかったけど、あの雷に打たれた様な、フグに当たった様なビビビ~ッと走る痛みを思うと、絶対次回の照射はあり得ない。膝がガクガク震えるんだもん。粟野君に至っては、最低出力で照射したにも拘らず、涙を流して、「最後まで打たなければいけませんか」と哀願する始末。挙句、全く彼の顔は変わらず、後日ボソッと「あの器械は買わなくて正解です」と私に囁いた(笑))より、(痛みが)ましだけどぉ…」と、ボソッと一言。上記の写真の如く、赤味がちょっと出易いかな。内出血も起こり易い場所と言われています。 でも、思いの外、額のシワは軽減したと思うんですけどぉ。
粟野君の写真を、経時的に示します。施術前、1週間後、4週間後です。 HISAKOは、左12本、右13本を豊齢線をターゲットにファインリフトしてみました。直前、施術中、直後です。あにゃ?直後から、ちょっとハリが出て、上がった? そして、1週間後。
他にも、こんな所が適応です。
粟野君の写真はないので、販売元のリードメディカルサイエンス社提供の写真を載せときましょう。
首
…悪くはないけど、単に首の横皺だけなら、ファイブロペン(美容通信2008年6月号)の方が優れると思う。でも、多少の下垂の改善もって考えるのなら、このファインリフトかな、う~ん。凄~く、七面鳥も真っ青の垂れ垂れ首は…、難しい!
腹
皆が皆、こんな締まった腹を確保出来るのではないと思って下さい。寧ろ、遺伝子的弱点の補強(美容通信2010年3月号)や栄養療法(美容通信2010年4月号)、ホルモン補充療法(美容通信2011年10月号)の内的なものに加え、脂肪細胞を直接破壊した(美容通信2011年9月号)り、脂肪融解注射(美容通信2006年6月号)、代謝を上げる為の強制運動(美容通信2012年7月号)と言った力を借りる方が確実です。 とは言いつつも、意外に健闘!?
腰回りの贅肉・ヒップアップ・大腿&下腿
上記の腹同様、あんま結果は期待すべきではないと思うけど。可能性の提示って事で、ご了承を! *註:HISAKOの美容通信に記載されている料金(消費税率等を含む)・施術内容等は、あくまでも発行日時点のものです。従って、諸事情により、料金(消費税率等を含む)・施術内容等が変更になっている場合があります。予め、御確認下さい。
※治療の内容によっては、国内未承認医薬品または医療機器を用いて施術を行います。治療に用いる医薬品および機器は当院医師の判断の元、個人輸入手続きを行ったものです。
関連ページ
関連するHISAKOの美容通信をピックアップしました。
来月号の予告
幹細胞から豊富な成長因子をGETして、髪も皮膚も若返ろう! <BENEV>です。