再生医療~線維芽細胞注入 | 旭川皮フ形成外科クリニック旭川皮フ形成外科クリニック

HISAKOの美容通信2007年9月号

再生医療~線維芽細胞注入

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線維芽細胞注入は、自分の組織を使用する為に、確実且つ安全なお肌の若返り方法です。
そして最大の利点は、将来、その継代培養した細胞を注入する事が可能って点です。
つまり、本当に年老いた時、自分の若い頃の細胞を注入して若返りを図れると言う、未来の投資話でもあるのです。

 貴女が38歳のオバさんだったとしましょう。幾ら嘆いてみたところで、夜遊びしようと、メイクを落とさず寝ようと、ビクともしなかったあの18歳の頃のギャル肌には戻れません。でも、貴女が78歳の婆ちゃんになった時、38歳のオバさん肌の弾力をそのまま保っていたら‥、それだけで十分過ぎる位にハッピーじゃない? 例え、18歳のギャル肌より劣っていても、ね。
 未来に投資をと思ったら、国債より確実な利回りの”線維芽細胞注入”をご検討下さいませ。何とかファンドの様な決して高利回りを謳う手技ではありませんが、きっと豊かな老後を実感出来ると思います。

自分の線維芽細胞を注入すると言う選択肢

 弛んだ皺くちゃ婆だからって所謂<病気>じゃあないけど、見た目的に全然可愛くない。醜く老いさばらえて朽ちて行く‥諦念の境地に達するのもありですが、殆どの人は煩悩が断ち切れないから、鏡を見て溜息を吐いては、解決策を模索するんです。解決策は色々あります。image648一刀両断の手術(美容通信2006年9月号)とか、窪んじまった所に物を詰め込んで底上げする(美容通信2005年8月号)とか、ボトックスで表情筋を麻痺させて皺をそもそも寄れなくさせる(美容通信2003年10月号)とか、レーザー(美容通信2007年2月号)や光治療(美容通信2003年5月号)、ケミカルピーリング(美容通信2005年4月号)やメソセラピー(美容通信2006年6月号)、イオン導入(美容通信2006年1月号)、Vit.A外用(美容通信2005年2月号)等で細胞に<活!>を入れるとか、体の中から若返る、例えば栄養素の不足を分析してサプリメント等を補う栄養療法(美容通信2007年3月号)やプラセンタ注射、体内に蓄積した有害な微量元素の排出を促す究極のデトックスであるキレーション(美容通信2006年11月号)etc.がスタンダードな方法です。

 最近は、再生医療(端的に言うと、自分の組織を使うって意味。ほら、コラーゲンとかヒアルロン酸とかは、溶けて無くなるから安全とは言われていても、結局は工場で大量生産している異物に過ぎませんからねぇ。「やっぱ、異物は幾ら安くて効果が高いと言われても抵抗を感じる!」なんてロハスな人には、再生医療が向いてます)の旗手として、器械系では前人未到とされる目の際までふんわり餅肌をGET出来る自己多血小板血漿注入療法ACR(美容通信2006年12月号)が、大人気です。血小板が出すフェロモンならぬ成長因子に誘われて、ふら~っと集まって来た線維芽細胞達がせっせとコラーゲンを作ってくれるって代物ですが、ピークが注入後2ヵ月で、精々6ヶ月の命。色香が褪せるにつれ群がる男の数が減る。まるで、40越えるとぐっとモテ度が下がるのに似ています(笑)。唯、人生は一度しかありませんが、ACRは何度でも追加注入がOKです。つまり、何度でも、我が世の春を謳歌可能です。正確に言えば、可能なはずです。
image361 唯、ACRを行なっても今一つの満足感しか得られない人もいるのも事実。その人々には共通点があって、う~ん、ちょっと言い難いんですが、年金(年金に対する質問は、左図の社会保険庁まで)を貰うお年頃に達すると、フェロモンを振り撒く能力は、注入前よりは確かに上がってはいても、二十歳の小娘には敵うべくも無く‥、更に懸命に振り撒いてみても、そろそろ同級生の訃報がちらほら耳に入って来る、つまりターゲットとなる男(線維芽細胞)の絶対数が下がれば下がる程、靡く男の数も減る。
 シニカルに流してしまえればそれだけの話ですが、中々達観の境地に至れないのが一般人の常。で、どうするか? そこで俄然注目を浴びて来たのが、この線維芽細胞の注入です。細胞の絶対数が増えたら、嫌でもコラーゲンの産生は増えるって訳。ACRと併用すれば、更に効果UPしますしね、ふふふ♪ 
 そして、この方法の素晴らしい美点は他にもあって、時間差攻撃も可能だって事。つまり、若い時に線維芽細胞を取ってちゃんと保管しておけば、婆になってから、若いまま時間が止まった線維芽細胞を注入出来るって事なんですよ。誰が考えたって、ピチピチした小娘時代の線維芽細胞の方が、ヨボヨボ婆の線維芽細胞より、沢山コラーゲンを作ってくれるじゃないですか。同じ注入するなら、やっぱ、若い細胞ですよね? 

 1995年以降、アメリカでは患者の耳介後面から皮膚を採取し、Cell Processing Centerで自己真皮線維芽細胞を単離・培養・増殖させた後、皺、弛み等に注入する治療が注目を浴びています。現在、アメリカでは、日本の厚生労働省に相当するFDAの第3相まで審査が終了し、そろそろ正式な認可が下りるかなって所にまで進んでいます。

体験レポート~線維芽細胞を注入しちゃいました♪

 欧米では、線維芽細胞の培養を受託する専門の会社があります。日本では、大学等の研究機関の他、Cell Bank社等があり、クリニックで採取した皮膚を送ると、Cell Processing Center内で線維芽細胞を単離・培養・増殖させた後、細胞懸濁液をクリニックに返送してくれます。これをクリニックで注入します。

 まあ、手順としてはこんな所ですが、この治療、万人向けって訳ではありません。不適格者って人が、やっぱりいます。

線維芽細胞注入に向かない人

    • 結果に過度の期待を抱く不届き者

 例:大昔の小ギャル時代の写真を振り翳して、「もっと若返るか確約して!」と迫るオバちゃん。

    • 意思の疎通が出来ない人

 例:image649地球外生命体

    • 現在病人進行形:癌、糖尿病、自己免疫疾患、血液凝固異常、感染症、重症の貧血

 →事前の血液検査が必要です。一般の末血と感染症5項目(HIV、梅毒:TPHA、ヒト白血病:HTLV-1、HBV:B型肝炎:s・e抗原、HCV:C型肝炎)です。

    • 妊娠中or妊娠の可能性のある御婦人   

 

 注入に適する部位は、額の横ジワ、眉間の縦ジワ、眼の下の窪み・縮緬ジワ、カラスの足跡、豊齢線、シワシワ梅干みたいな口許かな。後、怪我なんかで窪んじゃった所も◎です。

さあ、耳の裏側から皮膚を採りましょう

image353 耳の後ろから、2mm×4mm(米粒の半分位の大きさ!)の皮膚を採ります。流石に、麻酔しないで行なうのは暴挙でしかありませんから、麻酔はします。局所麻酔です。
image354 全層で皮膚切られてます。

 採った皮膚は干乾びちゃうと元も子も無くなっちゃうので、即行、ピンクの保存液に入れて、細胞培養のプロの会社さん(Cell Bank:Cell Processing Center)の人に回収してもらいます。HISAKOの耳の裏の皮膚が沈んでるの、分かります?
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 採取部位は、そのまんまで開けっ放しにして治す訳には行かないので、縫い合わせます。1週間で抜糸! 元々が目立たない場所なので、術後の傷が気になるなんて事はありませんから、ご安心を!

プロの業者(Cell Bank)では、どんな風に貴女の細胞を育てるのでしょう

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 企業秘密とやらで、詳しい事は実はHISAKOも知らないんです。でも、簡単な事は知ってます。自分の血液を予め100cc程採っといて、これを餌に、皮膚から抽出した線維芽細胞を無菌的に専用の培養設備で育てるんです。細胞試薬及び細胞培地は、契約先のアメリカ・インビトロジェン社からサプライヤーディーテールレポートを取得した物を使ってるので、安全性はばっちり保障済み♪ ご安心を! 
 でも、治療に用いるレベルにまで育て上げるのには、専門のスタッフが毎日毎日たまごっち級にお世話して、30日掛かります。つまり、耳の裏から皮膚を切り取って、漸く注入出来るのは、どんなに早くたって1箇月後なんですよ、ほほほ。  

 注入は基本的に、14日毎に2~3回行ないます(1クール)。自分の細胞は自分の血液で育てて、他の動物製剤を一切使わないのがこの治療法の最大の特徴ですから、注入の予定日の14日前までに、更に血液が約40cc必要になります。これがないと、注入に適した細胞の数に調整が出来ないんです。1回の治療で2ccの線維芽細胞を注入する為には、40ccの血液を要する計算なので、注入量が多ければ多いだけ、必要な血の量は増えるって訳。多くは、皮膚の採取日に一気に160cc吸い上げちゃうんですけどね(笑)。

 別途保管料を支払って専門の業者さんと契約しておけば、貴女の線維芽細胞を大事に大事に箱入り娘として育ててくれます。5年後でも10年後でも、顔に老いを感じてふっと線維芽細胞を注入したくなったら、その14日前までに採血して下さい。何時でも、今よりも確実にピチピチの線維芽細胞が注入可能!って、寸法です。

b010cutプロの業者さんからのお願い
s001lis細胞は極めてデリケートな為、細菌感染をする場合があり、一旦汚染した細胞は、正常細胞を含めて全て破棄し、クリーンルームの一斉点検・消毒を施行しなければなりません。この場合、皮膚の再採取から改めて治療をやり直す事になります。ご了承下さい。
s002lis予期せぬ事態(非常用バックアップ電源の容量を超える長時間の停電、火災、地震、盗難etc.)に於いて培養が中断された場合には、安全の為に全てを破棄し、クリーンルームの一斉点検・消毒を施行後、培養をやり直す必要があります。この場合も、皮膚小片の再採取から改めてやり直す事になります。又、細胞(細胞保管サービスの細胞も含む)が同様の予期せぬ事態により使用不可能になった場合には、後に改めて皮膚採取を行ないます。ご了承下さい。

線維芽細胞を注入!

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 先ずは、お約束のHISAKOの素っぴんから。今回は気になる目の下と口元に注入予定です。    
 注入は、一箇所一箇所の痛みは大した事無いんですが、極細の針(30G)でうんざりする位ちくちく刺されるので、麻酔を省略すると、気分はじと~っと堕ちて行きます。少なくとも施術の30分前には、塗るなり、貼るなりして、予め痛み対策を講じて泣き喚かないのも、淑女の嗜み(笑)。注入自体は、10分程度で終了します。

200709image357 線維芽細胞の注入(1回目)直後です。ちょっと赤いです。ちょっと脹れてます。でも、こんな程度なんです~ぅ。え? 冷やしたら、もうちょっとまともな顔になるんじゃないのかって? ブ~っ!! 冷やし過ぎたり、強く圧迫すると、折角入れた線維芽細胞が死んじゃうから、×です。
 洗顔は注入2時間後から、メイクは翌日からどうぞ。注入した細胞のコラーゲン産生を少しでも増やす為、ビタミンCは飲んどくのが無難。勿論、お外では日焼け止めを、お家の中でも保湿を徹底してね。

200709image358 24時間後です。日焼け止めにお粉叩いた程度で、これ位にはカバー出来ちゃいます。まあ、プチ・津川雅彦級ですがね(笑)。2~3日で完全に元に戻ります。

 線維芽細胞を注入して直ぐに何が起こる訳でもなく、1ヶ月は最低経たないと、コラーゲンも産生されません。平均的には3~6ヶ月と言われています。婆になるにつれ、実感するまでに要する時間は、段々長くなる傾向はあります。てな訳で、2回目の線維芽細胞注入の前後写真は、目新しい事も無く、省略! image388右の写真は、線維芽細胞を2回注入して1ヵ月後、つまり初回から1ヶ月半後のHISAKOです。写真的には微妙ですが、手触りは違う。何だろう、皮膚が厚くなったって感じか知らん。因みに、厚くなった皮膚を採取して顕微鏡で観察をしたって論文は無いのですが、超音波断層検査では真皮層が密になっているのが確認出来たんだそうな。

 どれ位の持続効果があるのか? この美容通信の読者ならずとも、興味津々とは思います。論文的には3年程度とありますが、どうなんでしょうねぇ‥。現在44歳のHISAKOが47歳になった時、元々の線維芽細胞も注入した線維芽細胞も47歳。数は増えていても、個々のコラーゲン産生能力は落ちているでしょうし、老化も進んでいる事を思うと‥。唯、どう転んだって、注入しないで迎える47歳よか若いはずだけど、1本の皺のみを注目して考えると、評価は難し~ぃ!!

今回はACRも入れちゃいました。

 線維芽細胞の初回注入から1ヶ月半。今度は、ACRも入れちゃいました。線維芽細胞が増えれば、増えた分だけ血小板からの命令にも反応して、ふわふわどが上がるに違いありません。only ACRの時のHISAKO(美容通信2006年12月号)とどっちが若返るか、がちんこ勝負!! 200709image359左が注入直後の写真です。

200709image360 右が、線維芽細胞2回注入+ACR注入24時間後!

 <線維芽細胞2回注入+ACR注入2週間後>(右図)Vs<ACR単独注入2週間後>(左図)です。こうやって並べてみると、写真上は微妙ですかね(笑)。でも、感覚的には、ACR単独だった時は1週間後位から地道にふんわり度が上昇して、1ヶ月半頃からメキメキ加速を付けて、一気に2ヵ月後のピークに上り詰めたって感じでした。線維芽細胞も注入した今回は、出だしから加速が付いているって感じかしら。それも、ふわふわだけじゃなくて、芯もしっかりしていると言うか‥、可愛いだけじゃない、文武両道の優等生って皮膚なのよね。経過? う~ん、この原稿を書いているの、ACR注入からちょうど3週間+2日なんです。その後の話は、外来で致しましょう。だって、分かんないもん(笑)。

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*註:HISAKOの美容通信に記載されている料金(消費税率等を含む)・施術内容等は、あくまでも発行日時点のものです。従って、諸事情により、料金(消費税率等を含む)・施術内容等が変更になっている場合があります。予め、御確認下さい。


※治療の内容によっては、国内未承認医薬品または医療機器を用いて施術を行います。治療に用いる医薬品および機器は当院医師の判断の元、個人輸入手続きを行ったものです。

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