解毒(デトックス)を極める | 旭川皮フ形成外科クリニック旭川皮フ形成外科クリニック

HISAKOの美容通信2017年8月号

解毒(デトックス)を極める

201708image14私達の生活を取り巻く環境には、様々な毒素(化学物質)が存在します。これ等は代謝障害を引き起こし、老化や、癌、副腎疲労症候群、アレルギー性の疾患(アトピー性皮膚炎や蕁麻疹、気管支喘息等)、肌荒れ、抜け毛・薄毛、脳梗塞や心筋梗塞、糖尿病、認知症、肥満、うつ、不妊等の様々なトラブルの原因となります。
しかし、一方的に毒素にやられている訳ではありません。私達には素晴らしい、解毒(デトックス)のシステムがあります。①肝臓、②腎臓、③腸管、④皮膚が、システムを担う臓器です。
増え続ける一方の毒素(化学物質)に対し、これ等の解毒(デトックス)のシステムを、最大限に働かせるにはどうすべきか? 有機酸検査やアミノ酸検査、有害重金属検査、TOX検査等で、原因とトラブル箇所を探り、デトックス(解毒)をサポートする為の、食生活(デトックスダイエット)やサプリメント(グルタチオン、バイタルデトックス等)について解説します。

 今月号は、そのままズバリ、<解毒(デトックス)を極める>です。

 環境汚染(大気汚染、海洋汚染、スペースデブリ)、食生活の変化(化学調味料、保存料・殺虫剤、含有ビタミンの乏しくなったお野菜達、遺伝子組み換え食品)、医療環境の変化(抗生物質の大量投与、ワクチン、抗癌剤、向精神薬)、居住環境の変化(電波・携帯電話、Wifi・SNS、ハイブリッド車、都市化・核家族、柔軟剤・洗剤)、経済環境の変化(長時間労働、経済ゼロ若しくはマイナス成長、睡眠時間の減少、個人主義・孤独、終身雇用終了)で拍車が掛かり、毒素(化学物質)は、望まない様々な代謝障害を引き起こします。

 しかし代謝障害と一言で言っても、直接的なものと間接的なものがあります。直接的なものとしては、酸化ストレス、炎症、細胞障害、ホルモン異常、血栓形成が挙げられます。間接的なものとしては、ミトコンドリアダメージ、免疫異常、栄養障害、中枢神経障害があります。

解毒

201708image2 解毒の経路に関与する臓器は、①肝臓、②腎臓、③腸管、④皮膚です。

 様々な私達の生活を取り巻く毒素(化学物質)達により、代謝障害が起こります。代謝障害には、直接的なものと間接的なものがあり、前者としては、酸化ストレス、炎症、細胞障害、ホルモン異常、血栓形成が挙げられます。後者としては、先月号(美容通信2017年7月号)でも特集したミトコンドリアダメージ(美容通信2017年4月号)(美容通信2016年11月号)、免疫異常、栄養障害、中枢神経障害が挙げられます。

肝臓

 肝臓は、解毒経路に於いて、一番の肝心要の臓器です。ですから、ここで解毒トラブルが起こると、様々な症状が起こります。例えば、倦怠感、頭痛や嘔吐、内出血しやすい!、筋肉痛・関節痛、睡眠障害・途中覚醒、口臭、湿疹、化学過敏症、浮腫み、マイナス思考、目の周りの色素沈着、脂肪肝・胆石、満腹感・消化不良、便秘、集中力の低下、記憶力の低下、ADHD、巧緻性の低下、バランス能力の低下等です。

■肝臓の解毒経路

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 上図は、肝臓の解毒(デトックス)経路と、それに必要な栄養素を記載した図で、まあ、これが全てって、身も蓋もないって話(笑)。少し補足をいたします。

 一般にToxinと呼ばれるものには、①endotoxinsと呼ばれるものと、②extotoxinsと呼ばれるものがあり、前者には、代謝の最終産物や細胞内毒素等が含まれます。後者には、薬物、農薬、食品添加物、微生物、汚染物質等があります。

 体外から入った毒物でも、水溶性だと、とっとと腎臓から排泄されて、バイバイ❤ ところが、脂溶性の毒物は、肝臓で水溶性の物質に変換された上で、腎臓から排泄されます。この水溶性物質に変換する為に、肝臓では、二段階のステップ、つまりPhase1とPhase2の2つのステップを踏む必要があります。

  • Phase1(第1相反応)

 201708image15  これ等の脂溶性の毒物は、肝臓で、チトクロームP450酵素により、化学反応(酸化、減少、加水分解、脱水、脱ハロゲン化)を受け、先ずは、毒性の弱い中間体(intermadiates)になります。これらは、OH基、COOH基、NH2基等を有し、次のステップ(Phase2)で抱合を受けます。

   Phase1は、SNPs遺伝子により左右はされますが、後述のPhase2同様に、有害重金属で障害を受けやすいのが特徴です。

   Phase1に於いて必要な栄養素としては、ビタミンB2、B3、B6、B12、葉酸、グルタチオン、フラボノイド類が挙げられます。当たり前ですが、これ等の栄養素が不足していると、解毒の第一歩であるPhase1の反応は滞ってしまいます。

  • Phase2(第2相反応)

   抱合とは、外来の毒や薬物、ホルモン、胆汁酸等が、親水性の分子に付加される反応の事で、グルクロン酸抱合、硫酸抱合、グルタチオン抱合、アセチル抱合、アミノ酸抱合、メチレーション等があります。例えば、グルクロン酸抱合の場合は、UDPグルクロン酸からグルクロン酸が毒物へと転移されます。グルクロン酸は極めて水に溶けやすい分子なので、これと化合する事で、毒物の水溶性が高まり、腎臓から容易に排泄されるようにななります。

   抱合には、夫々の反応には、下記の様な必要な栄養素があり、これ等が欠けたり不足すると、反応が上手く進みません。

   ・メチレーション:SAMe、メチルB12、メチル葉酸、DMG、TMG

   ・硫酸抱合:ビタミンB6(P5P)、B1、モリブデン

   ・グルタチオン抱合:グルタチオン、Nアセチルシステイン、ミルクシスル(マリアアザミ)

   ・アミノ酸抱合:グリシン、タウリン、アルギニン、オルニチン

 

腎臓

 腎臓の段階で、解毒が滞ると、様々なトラブルが起こって来ます。例えば、疲労や眩暈、浮腫み、頻尿、乏尿、ホルモンバランスの異常、シミ、皮膚の痒み、難治性の湿疹、口臭、口腔内の味の違和感、嘔気、頭痛、感冒のような症状、足がつる!

■腎臓の解毒経路

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 腎臓の機能としては、①体内水分の調整、②老廃物の排出、③電解質バランス調整(Na、K、カルシウム)、④酸塩基平衡の調整(酸の排泄/アルカリの再吸収)、⑤ホルモンの分泌(エリスロポエチン、レニン。プロスタグランジン)、⑥ビタミンDの活性化(美容通信2013年3月号)があります。

 

腸管

 実は、解毒の7~9割を担う陰の支配者。腸管での解毒過程に問題があると、様々なトラブルが生じます。列挙するだけでも疲れてしまいそう(笑)。例えば、多動、イライラする/叫ぶ、感情の起伏、自己刺激行動の増加、便秘、下痢、不安感、社会からの隔離、コミュニケーションの低下、発語の発達の遅れ、感冒の様な症状、頭痛、攻撃的な態度、睡眠障害、感覚過敏、湿疹、集中力の低下、泣き喚く、嘔吐、解毒治療にもう耐えられない!

■腸管の解毒経路

 腸管の解毒経路に関与するものとしては、①胃酸、②膵液、③胆汁、④腸の蠕動運動、⑤水分・ミネラル、⑥腸内フローラ、⑦交感神経・副交感神経バランスが挙げられます。

 最近話題のSIBO(small intestine bacterial overgrowth)は、異常な数のバクテリアが小腸に存在し、消化や吸収を阻害している状態です。腸管の解毒経路がきちんと働いていない疾患の、代表格です。症状としては、お腹が張ったり、便秘や下痢を繰り返す、食物繊維やプロバイオティクスと言った腸管に良かれと思って摂取した物が、却って仇となり、症状が増悪したりします。お腹の痛みや不快感、逆流性食道炎を髣髴とさせる症状、胸焼け、おなら、ゲップ、頑固な難治性の鉄欠乏性貧血!、グルテンやカゼインに対する不耐性等があります。

 因みに、「腸肝循環」とは、体内の生体物質や薬物等が、胆汁と共に胆管を経て十二指腸管内に一旦分泌された後に、腸管から再度吸収され、門脈を経て肝臓に戻る循環の事を言います。腸肝循環では、 腸内細菌が非常に重要な役割を果たしています。肝臓で抱合代謝を受けた代謝物は、嫌気的細菌群の酵素類(β-グルクロニダーゼ、β-グルコシダーゼ、アゾ還元酵素)により、主に還元と加水分解を受け、脱抱合されて再び腸管から吸収されるという過程を辿ります。これにより、ビタミンD3、ビタミンB12、ビタミンB6、葉酸、エストロゲン、胆汁酸等を効率良く利用する事が出来ます。

201708image16 しかしながら、この「腸肝循環」は、非常に優秀なリサイクルシステムではありますが、折角の解毒経路としてのうんこブリブリ排出作戦を頓挫させていまいかねない危険性を孕む、諸刃の剣です。薬剤に限って言いますと、主に肝臓によって抱合されたグルクロニドは、腸管循環を受けやすいとされています。 腸肝循環は、肝臓での濃度を高める為、然程有害性の高くない薬剤であっても、有害性のより高い物質にバージョンアップ?させてしまう危険性を有しています。薬剤が腸肝循環により、長期間に渡ってこの循環サイクルに残る可能性もあります。 また、何らかの理由(抗生物質投与等)で、腸内細菌にダメージがある(美容通信2016年9月号)と、腸肝循環に乱れが起こり、薬物効果の持続性に影響が出て来る事も知られています。 腸管循環を起こす薬物としては、クロルプロマジン、インドメタシン、モルヒネ等が有名です。

 

皮膚

 皮膚からのデトックスが円滑に行われないと、様々な症状が起こって来ます。例えば、湿疹、蕁麻疹、アトピー性皮膚炎、色素沈着、疲労、掻痒、焦燥感、不安、不眠、頭痛、眩暈、ホルモンのバランス異常、肥満、発癌リスク、感覚過敏、知覚過敏等。

■皮膚の解毒経路

 皮膚も、立派な解毒(排泄)器官です。汗腺や皮脂の中には、異物や体内の老廃物が含まれており、皮膚からの排泄を行っています。ですから、皮膚の付属器である、髪の毛や爪は、おしっこでデトックス状態を評価してもらえない多くの道産子にとって、大事な評価材料❤ 詳しくは、以前有害重金属検査として特集したので、そちら(美容通信2016年4月号)を読んで下さいね。

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 えっ? 品川ではやってたのに、何で、旭川ではおしっこ検査をしてないんだって? あ、あ…アメリカへの直行便が飛んでない北海道は、検体(おしっこ)の鮮度が落ちて、きちんと評価が出来ないって理由から、検査会社から受付を拒否られちゃったからなんです…。ご了承下さいませ。

体内への影響とサポート(有機酸検査・アミノ酸検査)

有機酸検査

201708image18 先月のミトコンドリアの機能評価(美容通信2017年7月号)の際にも登場した有機酸検査ですが、この検査は、おしっこ中の代謝物を評価する検査です。

  • 胃腸機能

   吸収不良や腸内毒素を明らかにする事が出来るマーカーを測定。消化器系の問題、栄養不足、酵母の異常増殖(美容通信2016年9月号)、認知機能の障害、消化吸収等の原因検索。

  • 細胞及びミトコンドリアのエネルギー産生

   TCAサイクルの重要な中間体を提供する代謝産物を評価(美容通信2017年7月号)。炭水化物の代謝産物、脂肪及びコレステロールの代謝を評価。細胞エネルギー代謝の不均衡が、慢性疲労、細胞ダメージ、及び老化に関与します。

  • 神経伝達物質

   神経伝達物質の代謝物の評価。エピネフリン、ドーパミン、及びセロトニンの尿中代謝産物。ストレス応答、メンタル、認知、睡眠のパターンに関与します。

  • アミノ酸/ビタミン/ミネラル補因子

   ビタミン、補酵素、ヨウ素、酵素活性、及び他の栄養素の評価、ビタミンB6、B12、C、マグネシウム、銅、鉄、種々のアミノ酸。

■消化器系内の真菌増殖

 腸内環境の評価としても、消化器系内の真菌増殖についてのこれ等の検査検査項目は、有用です。イーストと真菌マーカー(アラビノース等)、バクテリアマーカー、クロストリジア菌マーカーについて評価します。カンジダやクロストリジウムの増加は、お腹の解毒のトラブルを招きます。
 因みに、アラビノースは、侵襲性カンジダ症の間接的なマーカーの一つで、アルドースと言う糖の一種です。酵母菌特有の糖です。アラビノースは、グルコース糖の分解から生成される場合もあり、この変換反応はグルタチオン等の抗酸化剤で阻止が可能です。グルコースの分解は、また、グリオキサルと言うアルデヒドを形成し、このグリオキサルは、体内で更に、グリオキサル酸→シュウ酸、グリコール酸に変換される事があります。

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アラビトール

   アラビトールは、アラビノースに非常に類似した糖で、アラビノース同様に、カンジダが産生します。普通の人々の血清中の濃度は極めて低値しか示しませんが、酵母菌の増殖によって体調を崩す(=コロニー形成)と、アラビトール値は高値を示すようになります。私達の身体は、勿論、腸内細菌自体も、アラビトールをアラビノースに変換する能力?があるのではないかと考えられてます。

■シュウ酸代謝

 下図は、グリオキシル酸回路です。ハンス・クレブスらによって発見された、微生物の一部や植物で認められる、生化学的代謝回路で、多くの酵素がクエン酸回路と共通しています。グリオキシル酸は、菌類の中で、シュウ酸へと変化します。

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 シュウ酸代謝の評価は、シュウ酸、グリコール酸、グリセリン酸の3項目から行います。シュウ酸だけでなく、グリコール酸やグリセリン酸の高値も伴えば、遺伝的疾患を疑う必要がありますが、シュウ酸だけ高値ならば、遺伝的要因は排除されます。

 しかし、その理由が何であれ、シュウ酸の値が高いと、ロクな事は起こりません。列挙すると、代謝↓、インスリン機能↓、LDL↓、TC↓、解毒機能の低下ホルモンのバランス異常コルチゾール↓、DHEA↓)、腹痛、腸の粘膜産生↓、腸の透過性↑(Leaky gut)、メタロチオネン↓、自閉症スペクトラム症状の悪化(運動機能↓、発語↓、夜尿、社交性↓)等が起こります。

  • シュウ酸

image115   シュウ酸↑値は、アスペルギルスやペニシリウム、若しくはカンジダ、又、ビタミンCの多服用による腸内細菌症に関与しています。イースト菌や真菌マーカーも高値を示している場合、抗真菌療法を行うと、当たり前ですが、シュウ酸の値は下がります。シュウ酸値の増加は、不凍液(エチレングリコール)中毒でも起こります。

   シュウ酸塩は、Caとの結合により極めて溶け難くなり、シュウ酸カルシウムとして、腎結石や急性腎不全、尿細管間質障害の引き金になってしまう事もあります。

   副腎疲労(美容通信2015年4月号)の治療(美容通信2017年5月号)が捗々しくない時は、アルベックス(美容通信2016年2月号)やプロバイオティクスの様な腸管の治療(美容通信2012年8月号)(美容通信2014年1月号)(美容通信2013年8月号)はまず最初に行われるべきでしょうし、それでもダメな場合は、低シュウ酸ダイエットを行います。

img_l030低シュウ酸ダイエット

201708image17 消化器系での腸内細菌症によりシュウ酸が生成されている場合に、有効な還元方法です。シュウ酸を含む食べ物には、ほうれん草、ビーツ、チョコレート、大豆、ピーナッツ、小麦ふすま(小麦粉を精製する際に出る、ごみと言うか…種皮ですね)、お茶、カシュ―、ピーカン、アーモンド、ベリー類等があります。まあ、これ等を喰うな!極力減らせ!って事ですね。

   併せて、消化器系でのシュウ酸吸収を阻む、クエン酸カルシウムのサプリメントを食前に服用するのも、あり。勿論、ビタミンB6(美容通信2016年6月号)(美容通信2009年11月号)、アルギニン、ビタミンE(美容通信2009年12月号)、コンドロイチン硫酸、タウリン、セレン、ω3脂肪酸(美容通信2010年6月号)(美容通信2007年3月号)、Nアセチルグルコサミンのサプリメントも、シュウ酸とその毒性の還元に有効とされています。

■グルタチオン

 解毒の指標物質として、ピログルタミン酸、オロチン酸があります。

  • ピログルタミン酸

   ピログルタミン酸は、グルタチオンの代謝物です。グルタチオンには、抗酸化物質としての働きの他、様々な毒物・薬物・伝達物質等を細胞外への排出(肝臓でのグルタチオン抱合による解毒)があります。この値が高ければ、グルタチオンやNアセチルシステインの補充が、サプリメントで十分行われている事を意味します。反対に低値であれば、酸化ストレスや化学物質への暴露により、グルタチオンが欠乏している状態であると判断出来ます。(還元型)グルタチオン、Nアセチルシステイン、リポ酸、ビタミンCのサプリメントは、グルタチオンレベルをUPしてくれます。又、セレンは、グルタチオンの抗酸化作用を遺憾なく発揮する為には、絶対必須のパートナーです。

  • オロチン酸

   増加の最たる原因としては、アンモニア毒性が挙げられます。アンモニアの増加は、肝臓への薬物毒性、肝炎ウィルス感染、消化管出血、又はアンモニア代謝の先天的障害(←診断には、血漿アミノ酸検査が必要!)等で起こります。

■メチレーション(ピリミジン代謝)

 メチレーションとは、「メチル基(CH3)が、ある物質から別の物質へ移る生化学的反応」の事です。葉酸は、このメチレーション回路の出発点。ですから、葉酸が欠乏していたり、葉酸代謝がきちんと出来ていないと、メチレーション回路が回らず、様々なトラブルに見舞われる事になります。具体的には、動脈硬化の治療も捗らないし、ホルモン代謝異常の改善も、解毒(デトックス)も進まなくなってしまいます。

img_l030葉酸(Folate)と、…葉酸(Folic Aicd)?

201204image13 因みに、”葉酸”ですが、所謂、栄養療法(サプリメント外来)で言うところの葉酸とは、全て葉酸塩(フォレート/Folate)。勿論、メチレーション回路の開始地点で必要な葉酸も、葉酸塩です。葉酸塩は、非加熱の緑の葉物野菜、つまり、自然の食品に含まれ、サラダ等から摂る事が出来ます。しかしながら、似て非なる物に、Folic Aicd(葉酸)があります。両者は、全く違う栄養素です。Folic Acid(葉酸)は、完全に人工で作られた物質で、廉価で長期間保存可能なビタミンB9の化合物です。これらは、市販のサプリメントや粉ミルク、加工食品に含まれています。

 Folic Acid(葉酸)も葉酸塩も、確かに、最終的には「メチルテトラヒドロ葉酸」まで代謝されて、初めて生体で使える形にはなりはします。しかし、人工物であるFolic Acid(葉酸)は、体内で代謝されるスピードが極めて遅く、過剰に(加工)食品や不良?詐欺?サプリメントから摂取してしまうと、次の物質へと変換されずに、体内に有害物質として蓄積され、健全な生体活動を阻止する大きな障害となります。具体的には、免疫システムの変性(NK細胞の減少)、動脈硬化、結腸癌、妊娠期に大量の葉酸を摂取して来た母親から生まれた子供の喘息、老齢期の認知機能低下(特にビタミンB12濃度が低い人)etc.が挙げられます。両者は、化学的構造も異なれば、代謝経路も異なる物質なんです。

 横文字で、Folateとか、Folic Aicdと記載されていれば、「ああ!」って判りますが、”葉酸”と日本語で記載されてしまうと…う~ん。故意なのか、否か? 悩ましい限りです。

  • ウラシル

   葉酸は、ウラシルからチミンへの転化に於いてメチルを提供する事から、ウラシル値↑は、葉酸欠乏か葉酸代謝が上手く行っていない事を示しています。ウラシル値↑は、自閉症の子供の約1割で認められます。

  • チミン

   ちょっとくらい高くても、別に気にする必要はありません。が、明らかに高値なら、炎症性疾患や癌等の可能性を疑った方が良いかも。ピリミジンやチミンの高値は、ジヒドロピリミジン脱水素酵素欠損症や稀な遺伝子疾患で報告されており、これは自閉症やてんかんに関係があります。

■栄養マーカー

 特に、重要視されるのが、ビタミンB12不足の指標であるメチルマロン酸と、グルタチオンの前駆体であり、同時にキレート物質であるN-アセチルシステインです。

  • メチルマロン酸

201708image001   メチルマロン酸(左図)は、中央のcにメチル基が付加した、マロン酸の誘導体であるジカルボン酸です。このメチルマロン酸に結合した補酵素AのメチルマロニルCoAは、メチルマロニルCoAムターゼによって、スクシニルCoAに変化し、クエン酸回路に入ります。この反応の際に、ビタミンB12が補因子として働きます。

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   ・メチルマロン酸↑:ビタミンB12欠乏の際に認められます。他には、悪性貧血、腸内細菌叢の乱れ、栄養失調、乳幼児の胃腸炎が要因として挙げられます。

   ・メチルマロン酸↑↑↑:遺伝性の病気。

  • ピリドキシン酸

   お馴染みビタミンB6の主要な代謝産物です。がっつりビタミンB6を摂っていると、当然、ピリドキシン酸が高値を示しますが、実際問題として、ビタミンB6の消費が半端ない人達もいますから、別に高値だからと言って、ビタミンB6の摂取を控える必要は全くありません。

  • パントテン酸

   必須ビタミンで、D(+)-N-(2,4-ジヒドロキシ-3,3-ジメチルブチリル)-β-アラニンの事。大昔は、ビタミンB5とも呼ばれてました。CoA(補酵素A)の構成成分として、糖代謝や脂肪酸代謝に於いて、重要な反応に関わっています。

   ビタミンB6と同様、がっつりパントテン酸を摂っていると、当然、パントテン酸が高値を示しますが、実際問題として、パントテン酸の消費が半端ない人達もいますから、別に高値だからと言って、摂取を控える必要は全くありません。

  • グルタル酸

   グルタル酸は、トリプトファンの代謝経路であるグルタル酸経路や、上述のクエン酸回路に関与しています。2位にアミノ基が結合した2‐アミノグルタル酸は、非常に重要なアミノ酸であるグルタミン酸として知られています。

   リボフラビン(ビタミンB2)が不足していると、高値に。それ以外にも、脂肪酸酸化欠損症、バルプロ酸(デパゲン)の代謝による影響、セリアック病でも値は上昇します。唯、半端ない高い値の時は、もう生まれつき。遺伝性の疾患を疑う必要があります。ビタミンB2とCoQ10のサプリメントを飲むだけで、症状が改善する事も結構あります。お試しあれ。

  • アスコルビン酸

201301image15   ご存知、栄養素ビタミンC 。それ故に、サプリメントで採れば、素直に値は上がります。腸内毒素症があれば、アスコルビン酸がシュウ酸へと変換され、そりゃあ腎結石になる危険性も上がりますが、そうじゃない普通の人は、アスコルビン酸の値が高くたって、何の問題もありません。

  • 3‐ヒドロキシ‐3‐メチルグルタル酸

   CoQ10とコレステロールの前駆体です。値が高い場合は、コレステロール値の検査と併せて、CoQ10のサプリメントを飲みましょうね。え? 食事で摂るって? まあ、確かに、牛肉、豚肉、鶏肉、もつ、レバー、イワシ、鮭、サバ、マス、ウナギ、マグロ、キャベツ、ブロッコリー、ほうれん草、ジャガイモ、枝豆、大豆、ピーナッツ、卵、豆腐等々は、CoQ10を多く含む食材とは言われますが、必要量って観点から考えると、結構貧弱なんですよ。一般的推奨されるCoQ10量は、30~60mg。例えば、30mgのCoQ10をイワシで賄おうとすると6匹。牛肉なら950gと約1Kgのメガ!だし、ピーナッツに至っては1.15Kgと大台超えちゃってます。もう、これ、どう考えても大喰い王/女王のレベルでしょう(笑)。

   ↑:腸内酵母菌の過剰成長(美容通信2016年9月号)かも。

   ↑↑:CoQ10の合成低下!が原因かも。コレステロールを下げるお薬には、CoQ10の合成反応を阻害してしまうものもあるので、ホント、要注意です。

   ↑↑↑:遺伝疾患であるHMG酸尿症の可能性も。

  • N-アセチルシステイン

   体内のグルタチオンのストックを増やしてくれる、強力な抗酸化物質です。作用はそれだけでは膜、グルタチオンと同じく、直接、毒性代謝物に結合し、一種のキレート剤として働きます。鎮咳剤としても良く使われます。しかし、過ぎたるはの言葉通り、過剰で腹痛や湿疹等の副作用が起こる事も。

  • メチルクエン酸

   ビオチン(ビタミンH)の不足の際に、メチルクエン酸値は上昇すると言われて来ましたが、最近の研究では、指標になんかならねぇ!って否定的な報告もあり、微妙…。ビオチンの不足は、吸収不良やそもそも食事ってものをしない人々の他、生卵の白身ばっかり食べてるメレンゲ族?マシュマロ族?とか、腸内毒素症なんかで起こります。値が高い時は、遺伝的な疾患を疑う必要もあり、改善の為には、ビオチンの白い粉に咽るくらい(?)の大量服用が必須とも言われています…。

アミノ酸検査

体内のアミノ酸の役割とは?

 アミノ酸は、生命に必要な蛋白質構造です。アミノ酸は、神経伝達物質機能やコレステロール、糖質代謝、炎症や解毒プロセス等に対し、非常に重要な役割を果たしています。又、解毒と体内のフリーラジカルを中和するのに絶大な威力を発揮するグルタチオンの生成を助けます。

 基本アミノ酸は22種類あり、蛋白質合成(又は他の分子の合成)、若しくはエネルギー源として利用されます。このうち10種類は、体内での合成が可能な非必須アミノ酸ですが、残りの12種類は、体内での合成が難しい為に、食事から摂取しなくてはならなず、条件付き必須アミノ酸と呼ばれています。

アミノ酸検査

201708image11 アミノ酸検査は、多くの慢性疾患の根底にある代謝の不均衡を評価する検査です。アミノ酸の不均衡は、代謝異常や胃腸障害、神経疾患、運動障害の根本的な原因となります。アミノ酸値が低い人は、考えてみれば当たり前ですが、概して様々な病気に罹りやすいだけでなく、病気からの脱却も難しいのが現状です。この検査を行う事で、他の検査結果の診断の明確化や補強、又、低いアミノ酸レベルにある患者さん達の、お食事の調整に役立ちます。

 検査に必要な検体は、朝一番若しくは24時間畜尿のおしっこ5ml(但し、濃い色である事が前提!)です。40種類のアミノ酸を分析し、異常値の要因の詳細と、それによって起こりうる結果と栄養に関するアドバイスを、検査会社であるグレートプレインズラボラトリーから貰えます。

 因みに、アミノ酸検査の推奨疾患としては、自閉症スペクトラム障害、心血管障害、うつ病、皮膚炎、慢性疲労、成長障害、消化器系疾患、先天性代謝障害、腎臓結石、運動障害、筋力低下、OCD(強迫性障害)、骨粗鬆症、免疫不全、発作、睡眠障害、チック障害、トゥレット症候群、弱い爪等が挙げられます。

 ■(条件付き)必須アミノ酸

 [検査項目]methionine、lysin、threonine、leucine、isoleucine、valine、phenylalanine、tryptophan、taurine、cysteine、arginine、histidine

 必須アミノ酸の全般的な低下は、腸のトラブル、つまり腸の解毒能力の低下を示唆する所見です。吸収障害SIBO(端的に言うと、ご飯食べても、バクテリアにそれをそっくるそのまま横取りされちゃうので、全然身にならない( ;∀;)って、お人好し過ぎる状況)、消化酵素の低下蛋白質摂取量の低下代謝機能の低下の時等に起こります。

 アミノ酸抱合(肝臓のPhase2(第2相反応)に必要なアミノ酸)は、グリシン、タウリン、アルギニン、オルニチンです。

 ■非必須アミノ酸

 [検査項目]alanine、asparate、asparagine、glutamine、glutamate、cystine、glycine、tyrosine、serine、proline

 ■胃腸マーカー

 ■マグネシウム依存マーカー

 ■ビタミンB6,B12,葉酸依存マーカー201708image10

 [検査項目]serine、alpha-aminoadipate、cysteinecystathionine、1-methylhistidine、3-methylhistidine、alpha-amino-n-butyrate、beta-aminoisobutyrate、beta-alanine、homocystine、sarcosine

 ■解毒マーカー

 [検査項目]methioninecysteinetaurine、glutamine、glycine、aspartate

 メチレーション回路に於いて重要な事は、確かに葉酸やビタミンB12は大事ですが、それ以上に忘れてはならない前提がアミノ酸チェックです。ビタミンや補酵素を大量に摂取したところで、肝心の解毒材料のアミノ酸が不足しているのでは、そもそも解毒回路自体が機能しないから。201708image12

 ■神経学的マーカー

 ■尿素サイクル代謝物

GPL-TOXプロファイル(環境汚染物質検査)

おしっこで測れる、環境毒素マーカー

 日常生活を、極々フツーに送っているだけで、私達は薬品、殺虫剤、加工食品、家庭用品、環境汚染等、日々数100もの有害化合物に曝されています。化学物質を多く含んだ商品に慣れ親しみ、環境毒素に汚染されている生活が、癌や心臓病、慢性疲労症候群(美容通信2017年5月号)(美容通信2015年4月号)化学物質過敏症、自己免疫疾患、パーキンソン病、アルツハイマー病、発達障害等々の慢性疾患の増加に関連している事は、私達は肌感覚では十分過ほどに自覚はしているはずです。しかし、自分がどれ位汚染されているのか、良く分かっていないのが本当のところでしょう。

 有機リン酸系殺虫剤、フタル酸エステル、キシレン、塩化ビニル、ピレトリン殺虫剤等の165種類の毒性化合物と、11種類の汚染物質について評価をするのが、このGPL-TOXプロファイルです。この中には、チグリルグリシン(TG)と言うミトコンドリアDNA(美容通信2017年7月号)の変異に起因するマーカーも含まれています。有害物質への暴露や感染、炎症、栄養欠損等で、容易にミトコンドリアDNAの変異は起こります。尿検査なので、痛くも痒くもありません。

 治療としては①原因物質の除去②グルタチオン(経口、経皮、点滴)美容通信2008年11月号)や③Nアセチルシステインの補充、④皮膚からの排泄を促すサウナが挙げられます。

■GPL-TOX検査で検出出来る、家庭で見つかる一般的な毒素

  • フタル酸エステル

201708image19   何処にでもあると言うより、含まれてないモノを探す方が難しい!なんて、揶揄される最も一般的な毒素グループ。化粧品、洗剤、プラスチック容器をレンジにかけた際の食物中、ガキんちょのおもちゃ、経口のお薬、整髪剤、殺虫剤、マニュキア、除光液、香水、塗装膜、印刷インク、ニス等、多くの日用品にみられます。生殖障害、白血球機能の低下、癌の他、子供については、血液凝固やテストステロン値の低下、性的な発育の阻害、特に男の子(胎児)の脳みその発達に影響するとされています。

   しかし恐ろしい事に、体調が悪くなって受診する病院にも蔓延していて、点滴のチューブや血液バックなんかも、勿論フタル酸エステル…。

  • キシレン

   キシレンは溶媒なので、塗料、ラッカー、殺虫剤、洗浄液、燃料や排気ガスの他、香水、防虫剤にも。キシレンの長期暴露は、酸化ストレスを増加させ、吐き気を催したり、眩暈や立ち眩み、中枢神経系の抑制等の症状を引き起こし、最悪の場合は死に至ります。組織処理には必須のアイテムなので、病理検査室のお姉さん、要注意です!

  • 溶媒

   溶媒(solvents)が含まれている製剤は、ペンキ、インク、塗装剤、自動車製品、塗料シンナー、シミ落とし、ドライクリーニング液、添加物、医薬品、マニュキア除光液、マイクロエレクトロニクス等。

  • ピレトリン

   主に殺虫剤に含まれます。神経の発達に悪影響を及ぼし、ホルモンの破壊、癌の誘発、免疫システムの抑制等に関わってます。

  •  ジクロロ・フェノキシ酢酸(2.4-D)201708image20

   遺伝子組み換え食品の農業生産や除草剤としての使用が一般的。皮膚や呼吸器を介しての暴露は、神経炎、脱力感、吐き気、腹痛、頭痛、眩暈、末梢神経障害、昏迷、発作、脳損傷、反応異常等と関連。

   遺伝子組み換え食品として要注意と名指しされている札付き共としては、リンゴ、ブドウ、ほうれん草、セロリ、ピーマン、ネクタリン、きゅうり、ミニトマト、じゃがいも、唐辛子、ブルーベリー、苺。注意に留まっているのは、アボカド、トウモロコシ、パイナップル、アスパラガス、マンゴ、キウイ、ブロッコリー、パパイヤ、バナナです。因みに、遺伝子組み換えのトウモロコシを2年間与えたラットの50~80%に腫瘍が!なんて報告も(SOURCE AFPModifié le 19/09/2012à 19:36-Publié le 19/09/2012à 10:42 |Le Point.fr)。

  • ベンゼン

   極々一般的に普及している有機溶媒。煙草の煙でも何でも、兎に角、合成材料が燃えれば出る。つまり、工業のプロセス於いては、必ず発生する汚染物質とも言えます。ベンゼンは、変異誘発性と発癌性のある非常に毒性の強い化学物質で、高暴露は、眩暈、吐き気、調整力の欠如、中枢神経系の低下を引き起こし、最悪の場合は死に至る事も。血液の異常も引き起こします。

  • 塩化ビニル

   産業若しくは塩素化合物の分解によって放出され、大気中や水の中に溶け込んでしまいます。又、塩化ビニルは、ポリ塩酸ビニルも含む幾つかの市販化学物質の合成を媒介するもので、これ等への暴露は中枢神経系の抑制、吐き気、頭痛、眩暈、腎臓損傷、退行性骨変化、血小板減少症、脾臓の肥大を引き起こし、最悪の場合、死に至るかも。

   ヴィトンやゴヤールのバックは、塩化ビニルの代名詞として有名です(笑)が、無名どころでも、床のフローリングなんかにも良く多用されています。その他、プラスチックバックやラップ、プラスチック容器等も、皆、塩化ビニル!

 

  • MTBE&ETBE

   オクタン価を向上させる為に使用される、ガソリン添加剤。地下水の汚染、皮膚や呼吸を介してのガソリンへの暴露、蒸気/排気ガスによるものが殆ど。肝臓、腎臓、中枢神経系毒性、末梢神経毒性、癌等を引き起こします。

  • スチレン

201708image21   建築材料やプラスチックの製造に使用され、自動車の排気ガス中に検出されます。ポリスチレンとその共重合体は、幅広く食品のパッケージ包装材として利用されていますが、恐ろしい話ではありますが、容易にスチレン単量体が食品その物に染み出してくるんだそうで。職業的に、スチレンを大量に吸入してしまうような場合、中枢神経系に悪影響を及ぼし、集中力がなくなったり、筋力低下、疲労、眩暈の他、目や鼻、喉等の粘膜を刺激します。

  • 有機リン酸エステル

   最も凶暴なグループに属するのが、この有機リン酸エステル。生物兵器にも使用される位ですから、その凶暴度は推して知るべし!なんです(笑)が、実は、最も一般な利用としては、農薬製剤としてなんです。コリンエステラーゼ酵素の阻害剤で、神経細胞を過剰刺激し、発汗、唾液分泌、下痢、異常行動、攻撃性増加、うつ病等を引き起こします。

重金属検査

検体は、大きく分けると4種類

 重金属検査は、大きく分けると4種類。髪の毛、爪、血液、おしっこです。どれも、利点欠点があり、だからこそ、検体が一種類に統一できないとも言えるんですが(笑)。

■毛髪ミネラル検査と爪ミネラル検査

image123 検査の詳細につきましては、以前特集(美容通信2016年4月号)をしているので、そちらをご参照下さい。毛髪ミネラル検査と爪ミネラル検査は、有害重金属の検査としては、非常に簡便で、且つ値段もお安いにも拘らず、可なり以上に優秀。唯、対象が、体内ではなく、髪の毛や爪から排出出来る毒物に限られます。

 両者の違いを端的に言うと、測定期間。爪は、当たり前だけど、伸びた部分を採取せざる得ないので、検査結果の値がおよそ半年前の値。唯、半年前から生活習慣等を変えていないのであれば、さほど今の結果と変わりはないので、十分代替可。毛髪だと、根元から3cmの採取とるので、直近~3ヶ月の値が反映されます。なので、直近のデータにあくまで拘る派なら髪の毛。楽な方で良いやぁと思うなら、爪って選択ですかね。唯、髪の毛の場合、カラーリング等の影響で値が変動してしまうので、注意が必要です。

 この髪の毛と爪の2つの検査については、日本国内での検査が可能ですが、後述の血液とおしっこについては、現在のところアメリカに検査会社に検体を送って調べてもらう為、ちょっと、う~ん、かなり割高(笑)な感じかな。まあ、髪の毛と爪だけでも、十分用が足りるので…敢えてねぇ…と言うのが、HISAKOの本音かな。

  • 毛髪ミネラル検査

   2種類があります。26元素(有害ミネラル6元素、必須ミネラル13元素、参考ミネラル7元素)を調べる毛髪ミネラル検査と、有害ミネラルだけを調べる有害ミネラル検査(6元素)です。有害ミネラル6元素とは、①Cdカドミウム、②Hg水銀、③Pb鉛、④As砒素、⑤Beベリリウム、⑥Alアルミニウムの6種類の重金属です。

  • 爪ミネラル検査

image143   ナトリウム、カリウム、カルシウム等の多量ミネラル5元素と、鉄、亜鉛、銅等の微量ミネラル7元素の合計12元素(必須ミネラル)。更に、癌や貧血、腎臓障害、動脈硬化等の深刻な病気や、アレルギー、不妊、脱毛etc.に関与しているとされる、カドミウム、水銀等の有害ミネラル5元素と、今後有害ミネラルに昇格確実とされているウラン、ストロンチウム等の準有害ミネラル5元素についても調べます。爪有害金属検査は、後二者に含まれる10元素について調べます。有害ミネラル(5元素)とは、①Cdカドミウム、②Hg水銀、③Pb鉛、④As砒素、⑤Alアルミニウム。準有害ミネラル(5元素)とは、①Uウラン、②Srストロンチウム、③Snスズ、④Sbアンチモン、⑤Baバリウムです。

■尿検査(負荷検査)

 検査の詳細につきましては、以前特集(美容通信2006年11月号)をしているので、そちらをご参照下さい。DMSA等のキレート剤を服用して負荷を掛け、尿中に排泄される有害重金属と必須ミネラル全38種類について検出する検査です。この検査は、キレート剤による解毒効果を評価出来るメリットもあります。唯、解毒機能が低下して、重金属の排泄能力が低い方には、治療を兼ねたと言うか兼ねざる得ない検査方法なので、腎機能に問題がある場合は適応がありません。勿論、必須ミネラルも、キレート剤を使用するので強制排出の憂き目に遭い、キレーション用のサプリメントの併用は必須とは言え、元々足りてなさ過ぎている人に、(未治療のまま)負荷をいきなりかけてしまうような検査は…、HISAKO的にはちょっと躊躇してしまいます。

 尿有害メタル検査の重金属の測定項目は、AlアルミニウムSbアンチモンAs砒素BaバリウムBeべリウムBiビスマスCdカドミウムPb鉛Hg水銀NiニッケルPdパラジウムPtプラチナTeテルルTiタリウムThトリウムSnスズWタングステンUウランです。

■血液による検査

 あくまでも、血中に存在する!有害重金属がターゲットで、脂肪組織に蓄積してしまっているものは、当たり前ですが、測定出来ません。

デトックス(解毒)をサポートしてくれるサプリメント達

201708image7グルタチオン

 グルタチオン(Glutathione, GSH, Glutathione-SH)(美容通信2008年11月号)は、左図の如くに、3つのアミノ酸(グルタミン酸、システイン、グリシン)から成るトリペプチドです。

 グルタチオンは、組織に広く分布するSH基を持った化合物で、解毒を促進する作用や抗酸化作用があります。その為、様々な疾患に対し、適応があります。

  • 癌、パーキンソン病、アルツハイマー病image469

   パーキンソン病のグルタチオン点滴療法は、今や鉄板の治療ですよね。

  • 抗癌剤に対する神経障害
  • 慢性肝疾患に於ける肝機能の改善
  • デトックス(体内解毒)、アンチエイジング
  • 慢性疲労症候群
  • 薬物中毒、自家中毒、周期性嘔吐症
  • 急性湿疹、慢性湿疹、皮膚炎、蕁麻疹、リール黒皮症、肝斑、炎症後の色素沈着
  • 妊娠悪阻、晩期妊娠中毒
  • 過敏性腸炎
  • 線維筋痛症
  • 各種神経系疾患
  • 角膜損傷の治癒促進
  • 放射線療法による白血球減少症、放射線宿酔、放射線による口腔粘膜の炎症
  • 閉塞性動脈硬化症

201708image8 しかしながら、グルタチオンをお薬として飲んでも、腸で吸収されるまでに多くが壊れちゃうので、昔も今も点滴が主流です。しかし、最近は、その欠点を改善した製品も発売されています。HISAKOのクリニックでもリピーター続出!のアミノマテリン(天然グルタチオン酵母含有食品)は、分類的には栄養機能食品ではありますが、協和発酵バイオが製造する由緒正しい日本製のグルタチオンを、ヒドロキシプロピルメチルセルコース(耐酸性包装材料)で出来たカプセルに閉じ込めています。つまり、アミノマテリンは、胃酸からグルタチオンを保護してくれるので、劣化を心配する事なく、そのまんま腸管での吸収が期待出来ちゃう製品なのです。

 

バイタルデトックス

vitaldetoximage48 HISAKOが1st デトックス アイテムとして、全幅の信頼を置いているのが、”バイタルデトックス60カプセル”♪ 体内の解毒機能を高め、肝臓の健康をサポートしてくれるダイエタリーサプリメントです。
 肝臓での解毒ステップは、前述の通り、PhaseⅠとPhaseⅡがありますが、PhaseⅠは、生体が産生するシトクロムP450という酵素を利用して中間生成物を作り、それをグルクロン酸によるPhaseⅡによって無毒化するって二段構えでしたよね? バイタルデトックス60カプセルは、このPhaseⅠとⅡの両方のステップをサポートしてくれます。

  • Phase I デトックスサポート

   ①ビオチンは、細胞増殖、脂肪代謝、及びエネルギー発生をサポートするビタミンです。
   ②コリン及びイノシトールは細胞膜では必須な栄養素です。シトクロムP450 酵素をサポートするには、肝細胞の膜が健康である必要があります。又、コリンとイノシトールは、肝臓での脂肪やコレステロールの代謝をサポートします。
   ③DIM (ジインドリルメタン) は、ブロッコリー、カリフラワー等のアブラナ科の野菜にあるの硫黄化合物です。DIM は、Phase I 及びPhase II の肝臓デトックスやエストロゲン代謝物のデトックスをサポートします。

  • Phase II デトックスサポート

   グルカル酸カルシウムは、グルクロン酸化をサポートする緩衝化されたグルクロン酸です。グルクロン酸化プロセスは、真菌毒素、ステロイドホルモン及び体内に入り込んだ排気ガス等を体内からデトックスします。

デトックスダイエット(体を浄化する食事療法)

jk31 世の中には、様々なデトックスダイエットがあります。ある意味、以前ご紹介したリプログラム断食療法(美容通信2016年3月号)も、一種のデトックスダイエットとも言えます。今回紹介するのは、お手軽にお家で出来るデトックスダイエットで、7段階からなるプログラムです。1から2週間程度で、1週間でプチっとなら各段階を1日づつ、2週間かけてそこそこ本格派目指すなら各段階を2日づつ。好みに合わせて、どうぞ❤ 唯、このデトックスダイエットは、あくまでも、極々くフツーに健康人!って人達を対象にしています。妊娠中や、長期に亘って、何らかのお薬を病院から処方されて服用している人や、食事制限を課されている人は適応ではありません。悪しからず!

■第一段階

 水だけ。「へ?」と思うかも知れませんが、システムを洗い流すのに、最も素早く純粋な方法です。脳の下垂体に於ける成長ホルモンの生成を刺激し、加齢対策としても○。お湯にレモンを一絞り加えるだけでも、酸性に傾いた体を中和する方向に働き、腸を刺激してくれます。

 1、2日の事とは言え、水だけでは流石に…って向きには、ハーブティーやスパイスティーもオススメ。刺激的で、退屈しません(笑)。ハーブ系なら、ショウガや、タンポポ、フェンネル(ウイキョウ)、ノコギリソウかな。勿論、蜂蜜が体に良いと言われてるからって、入れてはいけませんよ! ジュースって、手もあります。第二段階で詳しく触れますが、体内浄化作用のあるフルーツを選び、ジューサーでギャオーって作りましょう。他には、スープ。野菜からだけも良いですが、ベースに生肉や魚のスープストックを使うのも○です。

■第二段階

 水とフルーツのみ。フルーツは酸っぱくても、実は非常にアルカリ度が高く、デトックスダイエットを開始した当初に溜りがちな老廃物も中和してくれるんです。繊維成分も沢山含まれているので、ある意味緩下剤としても有用です。野菜のみならず、勿論、フルーツも有機栽培のものを選んで下さいね。浄化したはずの有毒物質が、単に殺虫剤の残留物に置き換わっただけなんて、笑うに笑えない落ちになっちゃいますから。

 お勧めの果物は、リンゴ、パイナップル、パパイヤ、ブドウ、スイカです。

■第三段階

 生野菜を加えます。出来れば自家製の(!)、無ければ店で買ってくるしかありませんが、豆もやしは加えて下さい。芽は、種の5倍の栄養素になるんだとか。他には、生!のニンニク。

 野菜とフルーツには幾つかの共通な特徴があり、サラダで食すると、浄化パワーがUPします。

 お勧めのお野菜は、フェンネル(ウイキョウ)、クレソン、タンポポの葉っぱ、パセリです。

■第四段階

201708image13 調理したお野菜と玄米を加えます。お野菜は、出来るだけ少量の水で、出来るだけ短時間の調理。この出来るだけちょっとの工夫で、損なわれる栄養素がぐ~んと減ります。推奨される調理方法としては、蒸す。次に、炒める。特にアブラナ科のお野菜は、いつもいつも負担を強いられてしまう可哀そうな肝臓君を、しっかりサポートしてくれます。お米は、勿論ジャポニカ種の玄米を指名買いして下さい。内臓の毒素を鳥もちみたいに吸収してくれますし、消化が良く、繊維成分にも優れると良い事尽くめ。HISAKOは、最近は専ら、ここさちの「二八玄米」。たまたま友人から「玄米のくせにぼそぼそ感がない!」と頂いて、半信半疑で食べ始めたんですが、玄米嫌いの親が、まず最初にファンになったんです。ここさちの回し者ではありませんが、もち玄米20%+うるち玄米(普通の白米の玄米)80%のブレンド玄米なので、白米と混ぜて炊かなくても、ぼそぼそせずにオイシイ❤ 国産ですので、安心です。あ、炊き方? ちょっとコツがあるので、ネット(←リンクしてます)を参考にして下さいね。

 カイエンとショウガは、スパイスとして使うのにピッタリ。消化管を良い意味で刺激してくれるので、皮膚からのデトックスを助ける働きがあります。

 浄化系の調理に向くお野菜としては、リーキ(ニラネギ)、玉ねぎ、にんにく、アンティチョーク、キクイモ、ビートルートが挙げられます。

■第五段階

 お豆とナッツと種を加えましょう。お豆は、良質の蛋白源として有名ですが、未だ第五段階では、お米と一緒には食べてはいけません。デンプンと蛋白質が混ざると、消化が遅くなってしまうからです。両者を食べる場合は、4時間以上開けてから、別個に食べましょう。

 ナッツは、生か無塩がお約束。種同様に、必須脂肪酸(美容通信2010年1月号)の形で役立つカロリー源です。必須脂肪酸は、体にとって大事な脂肪酸で、色々な働きをしてくれますが、デトックス関連では、胆汁の流れを促し、消化を助けてくれます。こんな大事な奴なんですが、如何せん、体内で産生する事が出来ません。食べるしかないのです。ゴマ、ヒマワリ、アマニには、豊富に必須脂肪酸が含まれています。

■第六段階

 穀物と生のヨーグルトを加えます。ヨーグルトと言っても、後述する様に、牛乳の脂肪細胞は非常に大きく、殆どの日本人には消化が難しく(美容通信2016年9月号)(美容通信2016年2月号)(美容通信2014年1月号)、ここで言うヨーグルトは牛のおっぱいから作ったヨーグルトではありません。ヤギとか羊さんのおっぱいから作ったヨーグルトで、消化が良く、栄養的にも非常に優れています。

image1195 穀物は、必ず全粒です。腸の中にある老廃物を体外に押し出す除雪機みたいな存在である繊維成分と、肝臓機能を助けてくれる微量のミネラルが含まれているからです。ライ麦、ソバ、大麦、オーツ麦等、小麦以外なら取り敢えず何でもOK(笑)。いずれも、ゆっくりと確実にグルコースを供給し、肝臓がグリコーゲンを供給出来るようにします。グリコーゲンは、緊急用のエネルギーとして、血液にお砂糖を運ぶのと同時に、浄化機能を効率良く促進する為にも必要不可欠な栄養素です。

■第七段階

 お魚(美容通信2010年6月号)を加えます。新鮮なお魚なら何でも良いですが、寒流系の方が、皮膚の為の必須脂肪酸が得られやすいのでお勧めです。

 これで、全段階が終了しますが、今まで食べれなかった食べ物を「さあ、食べるぞ!」とがっつくのはNG。1日おきに、様子を見ながら、肉や乳製品等を少しづつ加え、最後に、小麦。唯、急ぎ過ぎると、消化が追い付かないなんて憂き目に遭いますから、ご注意下さいませ。

赤信号の食品(と避ける方法)

 食べ物には、体が持て余してしまう様な物も多くあり、これ等を食べると、消化機能や循環機能にトラブルを引き起こす事は良く知られています。唯、この様な食べ物は、恐ろしい事に、概して、私達が安くて美味しい❤と依存症になりがち(笑)。体内浄化の期間は勿論、その後も、少なくても1、2週間は…出来ればもっと!もっと!ですが、以下の食品は危険。替りのもので済ませられるのなら、それに越した事はない…。

  • image886牛乳、ヨーグルト、チーズ等の乳製品。牛乳の脂肪は非常に大きく、HISAKOを始めとする多くの人にとって、消化は難しいのが現実です。これが、程度の差はあれ、ラクトース(乳糖)不耐性(過敏症)の原因になります。羊さんか山羊のおっぱいにしましょう。脂肪細胞はぐんと小さくなった分、消化もぐんと楽になります。
  • コーヒーや紅茶と言った嗜好品は、人工的に循環機能を刺激し、内臓を刺激し、酸を生成します。
  • アルコールは、浄化プロセスに重要な酵素軍団を阻害し、毒素の悪?大親分?として君臨します。悪い奴ら(その他の毒素)が、尻馬に乗ってロクでもない事にいそしみ始めます。
  • 小麦(美容通信2016年9月号)は、消化器官を刺激して、粘液を分泌させます。ライ麦等のその他の穀物で作ったパンを食べるか、米から作った朝食用シリアル等を食べましょうって…、シンプルに玄米ご飯で良いじゃ~ん。
  • レンズ豆は、おなら連発の原因に。
  • マッシュルームは、八百屋さんでは売ってますが、お野菜と言うより菌類ときちんと分類すべきです。折角、内臓に棲みついている良いバクテリアさん達に、要らぬちょっかいを出して、成長を阻むなんて悪事を平気で働きます。
  • オレンジは最も酸性度の高いフルーツで、大事な肝臓でさえ充血させてしまう事があるんだそうな。
  • トマト、ほうれん草、ルバーブは、シュウ酸が多く含まれていて、内臓を刺激します。
  • ピーナッツは有りがちなアレルゲンとして知られていますが、実に消化が悪い食べ物です。

 

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*註:HISAKOの美容通信に記載されている料金(消費税率等を含む)・施術内容等は、あくまでも発行日時点のものです。従って、諸事情により、料金(消費税率等を含む)・施術内容等が変更になっている場合があります。予め、御確認下さい。


※治療の内容によっては、国内未承認医薬品または医療機器を用いて施術を行います。治療に用いる医薬品および機器は当院医師の判断の元、個人輸入手続きを行ったものです。

 

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来月号の予告

<アンチエイジングの為の栄養アプローチ>です。老けない食べ方を考えましょう。