HISAKOの美容通信2014年4月号
女性の皮膚トラブル
ホルモン環境や生活環境等の影響により、女性特有の皮膚トラブルを起こす事があります。
セルライトや薄毛、化粧品かぶれ、更年期角化症、外陰部皮膚掻痒症(見た目的には皮膚に問題はないが、お股が痒い!)、主婦湿疹等について解説します。
今月は、男女平等なんで建前はかなぐり捨てて、徹底的に男女差別しちゃいます。
てな訳で、今月号は<女性の皮膚トラブル>です。
女子の柔肌を、オヤジ共に自慢しても良い理由がある。
女子肌は、オヤジの皮膚と違って、薄くコラーゲン(膠原)線維が少ない”柔肌”です。皮脂の分泌量や皮膚血流量については、オヤジに劣るところは確かにありはしますが、角質機能に関しては何ら遜色はありません。
皮膚の構造と解剖学的な違い
街中で中年夫婦と思しきカップルを見掛けると、皆が皆姉さん女房でもあるまいに、女の方が老けて見えるなぁと密かに思っていました。未だに嫁にも行けないHISAKOがやっかみ半分で見てるからだ!なんて手厳しい意見もありますが、実は、コラーゲン(膠原)線維密度が、顏のタルミなんかに無頓着な男共より早くに減少し、皮膚老化の特徴の一つである皮膚のタルミを女子の方が感じ易い傾向にあるから、当たり前っちゃ当たり前な風景なんです。元々女子の方が、皮膚のコラーゲン(膠原)線維量自体は少ないからこそ、”柔肌”。男性は皮膚の厚さ、コラーゲン(膠原)線維量共に、年と共に直線的に徐々に減少するもんなんですが、女子はコラーゲン(膠原)線維の減少が年と共に若干ブレーキがかかるのに対し、皮膚の厚みは40代までは比較的一定で、その後めきっと大きく減少します。つまり、タルミが一気に進むんです。それ故に、大人女子に差し掛かると、昔は年下の可愛い彼女も同級生カップル?に一気に昇進し、挙句、姉さん女房に進化する…。HISAKOの年下嗜好も好い加減、止め時なのかも知れません。
男の子は、年頃になると、お肌は男性ホルモンの作用により脂ギッシュさに拍車が掛かりますが、同時に、毛の成長にも影響を及ぼし、髭は伸びるけど、頭の薄いAGA族(美容通信2013年2月号)(美容通信2008年9月号)が出現します。
皮膚生理機能の違い
- 角質機能に性差はない。
- 皮脂分泌・発汗
元々男性ホルモンにより、男の子の方が皮脂の分泌は多いんですが、恐ろしい事に、男は年金を貰い始めても、未だ皮脂の分泌が減らない動物。大人女子は、50を境に急激に減少するもんなんですが…。発汗量も男には劣る。
しかし、女子の乾燥肌を語る時、その傾向を助長させている行動にも目を向ける必要があります。まあ、平たく言うと、自業自得的な側面も否めない。お年頃になると、化粧と言う蟻地獄に誰もが落ちてしまうものなんですが、化粧にはクレンジングが付き物。大昔流行った汚ギャルの残党でもない限り、メイクはした限りは落とすものと、徹底的に洗脳され、疑問すら抱かない(笑)。ところが、唯でさえ男に皮脂分泌では劣ってるのに、それに輪をかける様なメイ落とし+洗顔のWクレンジングで、無意味な位に過度に、ごっそり表皮の皮脂が取り除かれると、そりゃあ、干乾びて当たり前。自業自得系乾燥肌の出来上がり(笑)。
- 皮膚血流
エストロゲンは自律神経に作用し、α2アドレナリン作動性の血管収縮を増加させます。と言っても50前の小娘の話なので、大人女子は、男と何ら差を認める程の物ではありません。
- 皮膚の色
ホルモンの影響もありますが、何と言っても、メイク等で紫外線暴露を防御する、その絶え間ない努力の賜物だと思います。
ホルモンの影響
ホルモンと肌の関係は密接で、未だ生理がある現役女子では、何故だかは分りませんが、生理のちょい前(黄体期)の方が排卵前(卵胞期)に比べて、TEWL(経表皮水分喪失量)が高く、皮膚透過バリア機能が低下しています。閉経後は、皮膚の厚みもコラーゲン(膠原)線維の量も、めっきり減り、女性ホルモンの急激な減少によって、皮膚の衰えに加速が付くって感じです。ですが、ホルモン補充療法(美容通信2010年12月号)(美容通信2010年8月号)(美容通信2010年9月号)で、欠乏したホルモンを補うと、皮膚の厚みもコラーゲン(膠原)線維量が増加して、タルミに歯止めが掛かるだけでなく、角質水分量が増加するので、シワも減るって事は周知の事実。
女性ホルモンはやっぱ、大事?
女性ホルモン(勿論男性ホルモンもそうだが)、皮膚の老化を抑えてくれる❤(→詳しくはホルモン補充療法の特集を読んでね(美容通信2010年12月号)(美容通信2010年8月号)(美容通信2010年9月号))
女性ホルモンのみならず、老化に伴いホルモンが低下するとロクな事が起こらない。
一つでも当て嵌まったら、「ホルモン補充療法適齢期」ってお話を依然しましたが、覚えていますか?
- 大人女子って言えば聞こえが良いが、単に40歳以上のおばさんです。
- 考えたり、行動するのに難儀する状態を、尻が重いとか、腰が重いと言います。
- 気分はドン底だし、やたらと疲れる。
- 性欲が湧かないのは、単に相手のせいではなかった…。
- 何をした訳でもないのに、じわじわと、しかし確実に体重は増える一方だ。
- 運動をちょっとしただけでも、体の節々が痛むんです、はい。
- 女子会の話題は、専ら”ホルモン補充療法”です。
- 肌のハリがなくなった。爪が割れる。薄毛になった。寒がりになった。
- 老化による心臓病、脳卒中、糖尿病、高コレステロール。
- 人生が全てくだらなく、つまらないと感じる。
女性ホルモン
女性ホルモンは、肌に対しては、後述の通り、皮膚の老化を抑えてくれる大事なホルモンです。皮膚以外にも様々な効用なるものが存在し、脳血流の循環を良くする事に作用し、脳細胞を活性化させ、記憶力をUPします。又、血管壁に働き掛けて、血管の弾力性を保持し、脂質代謝を改善する為に抗動脈硬化作用もあります。更に、エストロゲンは脂質代謝に作用して、HDLコレステロールを増やし、LDLコレステロールを減らし、中性脂肪を減らしてくれます。その他、骨吸収抑制、骨形成を促進させ、骨量の維持に役立っています。
つまり、まあ、閉経したおばちゃん連中が、めっきり見た目も老け込むだけじゃなく、中身も、Alzheimer病や物忘れ、高血圧、脂質異常症(高脂血症)、骨粗鬆症等々のトラブルも起こって当然って状態になるんです。
エストロゲンは、どう皮膚に作用する?
エストロゲンは、表皮細胞の増殖を促し、色素細胞に対してはメラニン色素の生成を促進します。真皮に於いては、コラーゲン(膠原)線維や酸性ムコ多糖類、ヒアルロン酸等の合成や分解に関与し、皮膚の厚み及び保水能力の維持に働いているとされています。エストロゲンは、線維芽細胞におけるbEGF(美容通信2012年6月号)(美容通信2009年3月号)(美容通信2009年8月号)やTGF-β1(美容通信2008年9月号)の産生を介して、コラーゲン(膠原)線維や細胞外マトリックス合成を増やし、MMPの発現を抑制し、TIMPの産生を増やす事で、コラーゲン(膠原)線維の分解を防ぎ、老化に伴う皮膚の委縮も抑える作用も。又、髪の毛に対してもふさふさに、反対に体毛に対してはもじゃもじゃにならない様に作用します。皮脂分泌はエストロゲンで抑制されるので、脂ギッシュな乙女から脱却! 血管の拡張や新生、血管内皮細胞の増殖も促進します。傷の治り(美容通信2004年5月号)(美容通信2013年4月号)は、早くなります(肉芽の形成、再上皮化の誘導)。
プロゲステロンは、どう皮膚に作用する?
プロゲステロンは、エストロゲンと反対に皮脂の分泌を促します。エストロゲンに似た作用としては、真皮の線維を作る細胞に作用して、真皮の線維であるコラーゲン量を保ち、皮膚の厚みを保持するのにも役立っているんだよ~ん。
化粧は、やっぱ皮膚的にも良いと言って良いのだろうか?
それで、生活に潤いが出るなら、まあ、総じてみれば良しとしよう。
女にとって化粧とは?
大学の頃、同級生の男の子に、「化粧は、男に媚びる目的でしてるんでしょ?」って質問をされた事がある。「へ~?」とマジにびっくりする私に、質問した男の子の方がびっくりしていたのを覚えてます。今からは想像が出来ませんが、HISAKOも大学時代は、『JJ』って雑誌(←今でもあるのかな? 昔は、HISAKOの様な片田舎の女子大生にとっても、バイブルだったんですよ、ホント)そのまんま的なメイクや洋服を着ていました。理由? 単に、メイクするのが、お洒落するのが楽しいから好き♪って単純な動機。気分は上がるし、純粋に楽しかったですよ。他人の目? 強いて言えば、異性ではなくて、同性の目ですかね、気になったのは(笑)。社会人(医者)になったら、メイクは一種の身だしなみって名前の保護色にならざるえなかったにもかかわらず、そんなメイクでも、戦闘準備って訳ではありませんが、朝ばちっと目が覚めて、モチベーションが上がりますね。年下の可愛い男の子とデートだと、そりゃあ、別の意味で力は入っちゃいますが、そんなハッピーな出来事は人生そうそうあるものじゃありません(笑)。
女は幾つになっても、化粧って、気分を瞬時にハイに出来るツールなんです。例え、それが単なる身だしなみでしかなかったとしても、です。老人性認知症やうつ病等の症状の軽減や回復に効果があるとされ、実際、メイクアップにより入院患者の在院機関が短縮されたって報告もあります。
世の中の化粧品事情
薬事法に於いて、『化粧品』とは、”人の身体を清潔にし、美化し、健やかに保つ事を唯一絶対の使命としている。皮膚・毛髪を健やかに保つ事を目的としたものであって、決して、効果・効能を期待してはいけないも”と定められています。そりゃあ、医薬品でも、医薬部外品でもない訳ですから、寧ろ、効果・効能があってはいけないんです。まあ、例え、万が一、効果・効能があったとしても、謳ってはいけない。薬事法違反になるからです。
それ故に、最近流行りの機能性化粧品とは申せ、化粧品である以上、その効果・効能は推して知るべし(笑)。じゃあ、近年、若い頃から美容に関心のある女性の皮膚は、老化のスピードが遅くなるなんて事が既に判明しており、じゃあ、その本体は何なんだ~あ!?って事になります。
紫外線は、敵だ!
紫外線については、口が酸っぱくなる位に、繰り返し繰り返し、その罪状を挙げて来ました。そうです、私達が老化と思っている、その約8割が光老化。つまり、年齢で諦めざるえない老化は2割しかなく、その他の大部分は回避が可能って事です。特に、女性に於いては、エストロゲンの減少によって光老化や老化が促進される為、閉経後はその傾向が著明になって来ます。更に、単なる見た目での問題だけではなく、皮膚癌の原因にもなります。詳しくは、以前特集を散々行っているので、そちらをご参照下さい(美容通信2003年7月号)(美容通信2013年10月号)。
紫外線防御は、如何に塗る日焼け止め(美容通信2003年8月号)を適正に使おうと、単独では、やっぱ無理だと思います。飲む日焼け止め(美容通信2012年10月号)と併用しながら、そもそも長時間日光に当たらない(笑)、衣服、帽子、日傘、眼鏡等で物理的な防御を組み合わせるのがお約束❤
唯、一般的に体が必要とするビタミンDの90~100%は、UVBによる皮膚合成によって賄われている為、サプリメント等による補充(因みに、食べ物由来のビタミンDは物凄く少なくて、食べ物から、例えば、花粉症の症状が著しい時は、前述の通り、4000IU/日のビタミンDの処方を行う事が多いのですが、この量を採ろうとすると、アンキモなら100g、生シイタケなら5Kg必要)を行わずに、紫外線を完全敵視した生活を送っていると、ビタミンD欠乏症(美容通信2013年3月号)に陥ってしまいます。そうなると、私達の生活の質が損なわれる可能性が非常に高くなります。従来は、骨折予防や骨粗鬆症改善位にしか思われていなかったビタミンDの効果ですが、最近は、体中の細胞が正常な分化と機能維持に必要なホルモン様物質である事が判明し、インフルエンザや風邪の予防、花粉症を始めとするアレルギー性疾患の治療、抗癌作用、自己免疫疾患の緩和や動脈硬化性血管疾患、糖尿病等の所謂生活習慣病の予防効果も期待されており、抗加齢医学の分野に於いても、極めて重要なビタミンの1つとして注目されています。
ニキビ治療の妨げとなる事は重々承知でも、やっぱ化粧はしたい!
まあ、気持ちは分んないでもないけど、冷静に第三者的視点で鏡を見ると、その隠ぺいメイクって、結構不自然で、却って人目を引いてる!なんて事は往々にしてあります。
「メイクはするな!」と指導してもしてしまったら…、これはもう落とすしかない
クレンジング料は、そりゃあ、不必要に多く使うのは論外ですよ。でも、メイクをした罪悪感からケチりにケチって、洗顔料の泡立て不足状態での擦り洗いは、単に破壊的行為を肌に加えているんだ~っ!って事を十分御理解頂き、「皮膚が撚れたりせずにスムーズに滑る位の量は、寧ろ必要悪」との認識を持ってください。しっかり泡立ては、皮膚への摩擦軽減に繋がります。
ポイントメイクを極める(美容通信2003年11月号)
ニキビの赤味を気にするあまり、悪い事とは知りつつも、つい、リキッドファンデやコンシーラーetc.によるカバーメイクって名前の隠蔽メイクに手を染めてしまう輩が多くいます。赤ニキビに機械的な刺激を加え、同時に毛穴を塞ぐなんて行動は、膿がしっかり溜まった黄ニキビへの登竜門(笑)。それが嫌なら、目晦ましって名前の、アイメイク等のポイントメイクで、視線をニキビから逸らす作戦に切り替えるべきです。
化粧品に負ける。
別に、化粧品とガチで勝負しようなんて思う人はいないと思うけど、負けてしまう人もいます。刺激性接触性皮膚炎、アレルギー性接触皮膚炎、光アレルギー性接触皮膚炎、接触皮膚炎症候群なんかが、相当します。アレルギーの原因となる化粧品原料としては、タール色素、香料、酸化防止剤、紫外線吸収剤等が多い。天然材料と謳っているから大丈夫なんて訳がなく、アレルギーを起こす人もいます。単に使用方法の間違いでも、起こる事もあります。アトピー性皮膚炎の皮膚は化粧品等で容易に刺激を受けてしまいますし、エステで過剰にお手入れを受けた事で刺激性接触皮膚炎を起こしたり、化粧品に含まれるプロポリスや植物成分等で惹起される、アレルギー性接触皮膚炎なんてものもあります。
舶来物
日本国内で流通している以上、如何に化粧品と言えども、輸入・国産品を問わず、日本の掟に従わなくてはならない事になってはいます。ところが、法の目をすり抜けて、生産国の掟に従った製品が跳梁跋扈しており、これらは日本の掟上は配合禁止とされている成分が、公然と含まれている場合があり、要注意です。
ダイエットは、美肌の敵!?
極端なダイエットは、お肌のトラブル(乾皮症・網状皮斑・末梢のチアノーゼ・休止期脱毛症・光線過敏症etc.)の総合商社(笑)。活に潤いが出るなら、まあ、総じてみれば良しとしよう。
ダイエットによる皮膚症状
そりゃあ、体の中で一番大事じゃないもんって、皮膚ですからね、皮膚。極端なダイエットなんてすれば、被害は最初に皮膚に出て当たり前。乾皮症・網状皮斑・末梢のチアノーゼ・休止期脱毛症・光線過敏症等々の症状が出ます。特に最近蔓延している光線皮膚炎の多くに、ダイエットの関与が囁かれており、ちょっとしたお日様に当たるだけでも、過敏に炎症が出現し、始末が悪い事にそれが遷延するんです。
セルライト
セルライトって良く耳にするけど、何モノ?
セルライトとは、脂肪層の局所的な代謝不全によって、女子の腰回りだとか、太腿、腹なんかに、凸凹のorange peel appearanceと称される、見苦しい外観伴う皮膚の変化です。1920年にnon-inflammatory complex cellular dystrophyとして、医学的には初めて報告されましたが、実は世の中の一般人はも~っと前から当たり前に知っていて、1600年代の絵画にも、しっかりセルライトは描かれていたようです。
セルライトは、所謂”肥満”とは全く別個のモノです。肥満とは、脂肪細胞が肥大、増加した挙句の醜態で、腰だけとか、太腿だけとか、部位の局在はありません。それに対し、セルライトは、皮膚の症状を伴うのが特徴で、腹回りとか、太腿の裏側とか、兎に角、局在を示します。
現代に於いても、セルライトの病態学的な研究は殆どなされておらず、何故、25~44歳の所謂壮年期と称される大人系女子世代に多いのかとか、何で部位的な局在を示すのかとか、全く、謎だらけ。唯、遺伝的な要因も大きく、黄色人種の私達は、毛唐と称される白人よりもセルライトに侵食される人が少ないとはされています。ホルモンのアンバランス(←妊娠後に多くは出現!)や、加齢変化、循環障害、姿勢の悪さ、アルコールの過度の摂取等が関係してるのでは、なんて噂はありますが…。
セルライトに於ける脂肪細胞と正常脂肪細胞との間には、明らかな生理学的な差は、何ら認められていません。強いて言えば、真皮と脂肪層の境界の結合組織に差があるんです。つまり、セルライトでは、脂肪層から真皮内に向かう凸凹の結合組織成分が認められ、末梢循環不全、代謝不全に伴って、脂肪組織内に線維化が生じ、その結果、ますます脂肪組織の代謝不全が進行して、脂肪組織が変性を来すと共に、周囲組織の線維化も進んだ…。全く、悪循環以外の何物でもない(笑)。
左図は、セルライト部位の超微形態所見です。萎縮変性した脂肪細胞、脂肪層内の血管内皮細胞の基底膜の層状変化や破壊所見が観察出来ます。これらは、血管内皮細胞の変性を伴った脂肪細胞の変性所見であり、セルライトの末梢血管の循環不全を示すと共に、脂肪細胞の代謝不全、変性を裏付けていると考えられます。
セルライトの分類
セルライトの分類は、0から5までの6段階評価になります。
- グレード0
セルライトを認めない。
- グレード1
表面上は皮膚に凸凹は認められないけど、ぐぎっと皮膚を抓んだりして、圧迫・伸展すると、漸く凸凹が軽やかに認められる。
- グレード2
表面上は皮膚に凸凹は認められないけど、ぐぎっと皮膚を抓んだりして、圧迫・伸展すると、凸凹が明らかに認められる。
- グレード3
一目見ただけで、皮膚の表面に僅かとは言え、凸凹が分る。
- グレード4
一目見ただけで、皮膚の凸凹どころか、萎縮性の皮膚変化が認められる。
- グレード5
一目見ただけで、皮膚の凸凹、萎縮性の皮膚変化、結節と、フルコース♪
日本人の大部分は、毛唐と違って、精々グレード3止まりが殆どです。
セルライトの治療
クリニックでは、メソセラピー(美容通信2006年6月号)で、脂肪と線維化した索状組織を融解するお薬を注射に、、リンパマッサージ、脂肪細胞を破壊する超音波器械”S-OPERA”(美容通信2011年9月号)をしていますが…、中々難しいのがセルライトの治療です。将来的には、脂肪細胞に対するレセプターの検討等、分子生物学的手法やホルモンの影響を考慮したものが出て来るんじゃないのかなぁ。
更年期角化症
掌蹠角化症
字面通り、掌蹠角化症は手のひらや足の裏の皮膚が厚くなる病気で、生まれながらの先天性のものと、中年以降になってから発症する後天性のものの2種類があります。後者は、足裏だけに軽やか(←あくまでも、先天性と比較してって意味ですが…)に角化を伴う事が多く、手の症状はあったとしても、足裏より全然軽いのが特徴です。踵や親指の付け根の所(母趾球)とか、所謂体重が掛かる部位に症状が著明で、土踏まずの様な非荷重部も含めて均一に角化を呈する先天性と、見た目的にも異なります。
この後天性の代表格が、中高年のおばさんの足裏を醜く蝕む「更年期角化症」です。
加齢による足裏の角化って何?
足裏に半端なく角質が出来ちゃう過角化は、魚の目やタコ(美容通信2004年6月号)(美容通信2009年6月号)と同じで、一種の老化現象(笑)。ここまで読んで超不満そうな顔しているおばちゃんがいっぱいいそうですが、幼稚園や小学校低学年のガキんちょの足の裏に、魚の目や胼胝が出来てるの、見た事あります? 中学生以上になって、部活で野球やサッカーを熱心に頑張るようになると、そりゃあガタイもデカく育ってきますからね、たまに足裏に魚の目が出来る事はあります。がぁ、おばさんの比じゃない(笑)。
残酷に聞こえるかも知れませんが、足裏の角化は、特に大人女子を名乗るおばさんに於いては、老化の兆候の一つなのです。年と共に、皮膚の発汗量や皮脂の分泌が減少し、皮膚は乾燥します。特に、手のひら、足の裏なんて部位は、脂腺が存在せず、爺婆化に伴い、角質の水分保持量が減少し、ひび割れ、それを補うように角質がどんどん肥厚し続ける羽目になるのです。
更年期角化症
病因・病態・臨床症状
おばさんの足と言われて、私達が素直に想像しちゃうのが、踵が角質で分厚く肥厚、ひび割れし、そこにストッキングや靴下が引っ掛かって穴が開いた姿。でっぷりと、水を飲んでも太るんじゃない?と真顔で問いたくなる過大な負荷や、冬の乾燥でその様相は更に凄惨を極めます。又、おばさんが何故か大好きなイボイボサンダル等、足底にこれでもかぁ!?とばかりに加重刺激を増強させるサンダルや靴を選択する嗜好性によっても、更年期角化症は顕著になります。酷くなると、足裏に出来た亀裂で、歩行に支障を来す場合もあります。
病名は更年期角化症ですが、勿論更年期を既に過ぎてしまった高齢の女性であっても大丈夫(笑)。足裏や時に手のひらに及ぶ過角化で、湿疹や水虫等の病気や、後述する他の後天性掌蹠角化症を除外して、残ったのが更年期角化症です。特有な症状とか状態が別にある訳でも何でもなく、取敢えずの余物を纏めてみました♪的な診断名です。
皮膚の水分保持には女性ホルモンが機能しており、更年期を境に激減する事から、激しく皮膚がした為ではないかと考えられています。実際、卵巣を摘出後、更年期角化症様の症状が出現した若い女の子に、エストロゲンを補充した所、症状が改善したなんて報告もあります。それ以外にも、末梢循環の低下も、原因の一つとして考えられています。
鑑別診断
確かに稀な出来事ではありますが、更年期角化症と時期を同じくして発症する可能性があるのは、悪性腫瘍に伴う後天性掌蹠角化症。何たって、癌の好発世代ですからね。噂では、食道、肺、咽頭、胃等の、どっちかって言うと上っぽいエリアの癌が多いとされていますが、まあ、何処からでも癌は発生しますからねぇ。まあ、ざらっと全身のスクリーニングをしといた方が、無難っちゃあ無難なんですが、ねぇ。
女性の薄毛…。
内容が重複するので、美容通信2008年5月号や、美容通信2010年12月号を御参照下さい。
全然見た目は普通なのに、何かお股が痒い(外陰部皮膚掻痒症)
全然見た目は普通なのに、何かお股が痒い原因は色々あります。が、見た目が普通と思っているだけで、実は皮膚病変を伴っているにも拘らず、本人が気付いていないだけなんて事も。恥ずかしがらずに、見せて頂戴❤ 全てはそこから始まります。
外陰部皮膚掻痒症
掻き壊したって、所謂”掻破痕”が二次的に認められる事は往々にしてありますが、痒み自体の結果ではなく、原因と思しき発疹がないにも拘らず、痒い!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!って状態を、皮膚掻痒症って言います。外陰部掻痒症は、当たり前だけど、それがお股の所に起こった時の病名です。
皮膚病変を起こさない痒みには何がある?
種々の刺激性要因
考えられるものをざら~っと列挙。汗・摩擦・蒸れ・汚れ・膣分泌物・尿・便・下着・生理用品・洗浄剤・香料・外用薬・避妊用具等々と、何でも、お股に触れさえすれば、痒みの誘因となり得ます。まあ、軽きゃぁ、何も見た目的に変化を齎しませんが、進化すれば刺激性接触皮膚炎になりますし、経皮感作が成立してしまうと、アレルギー性接触皮膚炎にまで進んでしまう事もあります。
トリコモナス膣炎、萎縮性膣炎
トリコモナス膣炎は、一種の性行為感染症です。泡沫状のオリモノが特徴的で、顕微鏡で見てみると、鞭毛を生やした活きの良い(笑)原虫が蠢いています。
萎縮性膣炎は、閉経し、エストロゲンの低下により生じる、大人女子限定の病気です。エストロゲンが減少すると、膣粘膜が萎縮・菲薄化し、膣上皮からの粘液分泌も減る、まあ平たく言うと碌に濡れもしないので、当然膣内が干乾びちゃうんです。グリコーゲン産生の低下も加わって、Doderlein膣桿菌が減少し、膣内は一気にアルカリ性に傾き、バイ菌天国に。これが、痒みの原因です。
毛じらみ
御存知、なんでもあり❤の五●田 有楽街でも、跳梁跋扈してるって噂の毛じらみ。主に性的な接触で感染るので、何と言っても陰毛部が好発部位になります。毛の根本の皮膚を刺咬して、血を啜るだけならまだしも、お返し?って訳でもないのでしょうが、皮膚に注入される唾液腺物質に対するアレルギー反応で、物凄く強烈な痒みが生じます。が、皮膚は、全然見た目普通のまんまです。
汎発性皮膚掻痒症
以下の汎発性皮膚掻痒症の部分症状として、外陰部の痒みを訴える事があります。特に、女性の外陰部皮膚掻痒症の背景疾患として、糖尿病が有名かな。
精神疾患、心因による痒み
精神疾患としては、皮膚寄生虫妄想、皮膚異常感覚症に起因する痒みがあります。皮膚異常感覚症は、うつ状態、身体表現性障害、妄想性障害等の身体的症状を訴えるもので、皮膚の痛み、灼熱感、ムズムズ感と共に痒みを訴える事もあります。
ストレス、抑うつ、不安等の心理的な要因が、発症の契機となる事もあるし、又、別の原因で生じた痒みが、心理的な影響で増悪するなんて事だってある。
思いもよらない接触皮膚炎の原因って、何?
化粧品、外用薬、家庭用品etc.と、身の回りには思いもよらぬ伏兵がいっぱい!?
時代が変わる…。生活が変わる…。接触皮膚炎は、ある意味、時代を映す鏡でもあるそりゃそうだ!
「ほ~っ」と思って、トラブルを起こした際は疑いの目で見て貰えれば良いので、列挙しちゃいます。ニキビ対策化粧品とか、他に、面白い所では、内眼角に繰り返す皮膚炎がビューラーによって引き起こされてたり、様々。
良かれと思って使った薬に負けちゃうなんて事もあります。ステロイドでも、非ステロイド外用薬でも、ニキビの抗菌薬でも、何にでも起こり得るんです。
家庭用品としては、矯正下着、眼鏡、ウィッグなんかも。
手湿疹は、何故主婦湿疹とも呼ばれるの?
(美容通信2004年3月号)
!?掃除、洗濯、家事等の家事一般は、手の皮膚の乾燥を酷くするだけの代物で、手湿疹の大いなる原因です。最近は主夫も増殖中なので、主夫湿疹なる言葉も、何れ教科書に載るようになるでしょう。
手の皮膚の特性とは?
朝鮮半島に於ける軍事境界線とは、陸上に於いて韓国と北朝鮮との実効支配領域を分割する場所の事で、HISAKO的には、表皮のバリアと良く類似するものだと思っています。皮膚表面の水分を保ち、外界からの様々な刺激に対する防御として働くのが、角質層に存在する表皮バリアです。韓国と北朝鮮の場合は、どちらが皮膚側とは、敢えて申しませんが(笑)。 表皮バリアに関与する因子は、保湿因子とも称され、①角質細胞の間を満たすセラミド等の角質細胞間脂質、②アミノ酸等による天然保湿因子、③毛包から分泌されるトリグリセリド等の皮脂の三兄弟が有名かな。
石川啄木でなくても、ぢっと手を見るとお分かりの様に、掌ってところは、毛が生えておらず、皮脂が分泌されません。つまり、上記の表皮のバリア機能三兄弟の一人である皮脂が欠けているので、他の部位と比べると当然ながら弱っちく、更に角層が分厚いので、表皮の水分が角層の表面にまで行き渡り難く、乾燥するんです。バイ菌はお友達(美容通信2014年1月号)って大原則を忘れ、昨今の清潔神話に洗脳されて頻繁に手洗いなんぞしていると、大事な②の天然保湿成分が水に溶けて下水道に流れ去り、手は乾燥するんです。①のセラミド連中も、お水とかお湯とかを長時間使うと、減ります。つまり、全滅って事だわなぁ(笑)。
もう、こうなってしまうと、悪循環。負のスパイラル。保湿因子が減少して皮膚が乾燥してしまうと、正常な角質層が本来果たすべきバリアとしての機能が果たせず、単なる役立たず。無防備にも、外界からの様々な刺激を受けるだけ受けて、殆どフリーパスで、皮膚の内部まで侵入を許してしまいます。皮膚の乾燥に伴って表皮角化細胞から炎症性サイトカインが放出されると、表皮の抗原提示細胞であるLangerhans細胞の抗原提示能がパワーアップし、アレルギーを誘導するんです。つまり、乾燥は、刺激性皮膚炎やアレルギー性皮膚炎への導火線みたいなもんなんです。
手は、普通に生活しているだけで、色んなものに触れます。触ります。まあ、手って、触れる為の道具♪って言っちゃっても良いくらいの存在ですから、物理的、化学的な刺激やアレルゲンに塗れ、皮膚炎を起こし易い星の下に生まれついたも同然です。更に、表皮・真皮境界部に存在する痒みを感知する知覚神経は、実は表皮内まで入り込んでおり、特に知覚神経が密に存在する掌や指腹は、ちょっとした刺激で痒みを感じてしまう敏感エリア。快感に身を任せて掻き毟ってしまうと、皮膚炎が更に増悪するんですよ。
手湿疹の誕生までの謎
手湿疹の誕生には、①刺激性皮膚炎、②遅延型アレルギーによる接触皮膚炎、③即時型アレルギーによる接触蕁麻疹のどれかが関与しているらしい。
刺激性皮膚炎
手湿疹原因の7割を占めるとされる刺激性皮膚炎。洗剤やシャンプーに配合されている界面活性剤、石鹸、手指消毒剤、アルコールを始めとする有機溶剤etc.による保湿因子の低下や化学的刺激、紙や布、キーボードの摩擦etc.による物理的刺激…。これらが皮膚の乾燥を招いたり、表皮角化細胞を直接傷害して生じる皮膚炎です。
刺激を受ける事から端を発するので、刺激を受ける部位から、当然始まります。つまり、利き手の指先や掌、爪周囲なんかから始まるって事なんです。
遅延型アレルギーによる接触皮膚炎
既にもう感作されちゃってると、原因物質に接触してから12~24時間後に、湿疹からスタート。特に、皮膚の乾燥や刺激性皮膚炎があるなんてベースが出来ちゃってると、原因物質が皮膚から吸収され易くなっているので、遅延型であろうと即時型であろうと、兎に角アレルギーを起こし易くなるんです。
遅延型のアレルギーを起こし易い原因物質としては、ニッケル、クロム等の金属、ゴム製品の成分、洗剤やシャンプーの成分、ヘアカラーの主剤であるパラフェニレンジアミン、漆、桜草、菊等の植物が有名ですが、手に触れる物ならなんだってありと考えた方が無難じゃないかな。菊やベルガモットは、光接触アレルギーの原因にもなり得ます。
一般的に、刺激性皮膚炎よりも症状は過激(笑)。原因物質に触れたところから症状が始まりますが、指の間や指の側面は、付着した原因物質が長く残り易い事もあって、人気?の部位の1つ。原因物質は、手だけに張り付くとは限らないので、接触した手首や前腕にも認められる事もあります。
即時型アレルギーによる接触蕁麻疹
原因物質に予め感作されちゃってると、接触して数分から、遅くても1時間以内に、IgEを介する肥満細胞の活性化に伴い、ヒスタミン等のケミカルメディエータが放出されて、痒みと蚊に刺されたみたいな膨疹が出現! エビやカニ等の甲殻類、野菜や肉等の食材、ラテックス、塩酸セフォチアムを始めとする抗菌剤、塩化ベンザルコニウム等の消毒薬による接触蕁麻疹は有名ですよね。
でも、必ずしもIgEを介してって訳ではなく、IgEを介さない非アレルギー性の機序で、肥満細胞からメディエータが遊離しちゃうことだってあります。この代表格がイラクサなんかの植物、クラゲや毛虫、食品防腐剤の安息香酸等です。その他にも、アレルギーもどきなんてものもあります。痒みの原因となるヒスタミンやコリンが含まれてる、謂わば偽アレルゲンでって奴で、ホウレン草や茄子、トマト、タケノコ何かが相当します。
接触部位の膨疹と痒みが基本的な姿ですが、時には全身に拡がったり、息苦しさや鼻水じゅるじゅる、涙うるうる等々の粘膜症状、ゲロ吐きそうなんて消化器症状等のアナフィラキシー反応を呈する事もあります。原因物質との接触を断ちさえすれば、数時間以内に消失しますが、これはあくまでも拗らせていない初期の段階でのお話で、何度も何度も引っ掻いたり、叩いたり、抓ったり等々していると、れっきとした湿疹までに進化します。
何で主婦湿疹と呼ばれるの? 主夫はならないの?
家事担当係りは、主夫よりも主婦の方が人口比でみて圧倒的に多いから、主婦湿疹なんです。
家事ってものは、掃除・洗濯・炊事等、手の乾燥を煽って、刺激する作業のオンパレード。頻繁に、そして長時間、水とかお湯に浸かっているなんて事自体、天然保湿因子やセラミド等の角質細胞間脂質を減らし、皮膚を乾燥させます。食器洗いや拭き掃除に用いる洗剤も、性悪です。保湿因子を減少させるだけでなく、化学的な刺激にもなります。洗濯物を干す行為すら、湿った皮膚が空っ風に晒され、更に乾燥に拍車が掛かる…。植木や切り花等の植物や、食い物による接触アレルギー。ホウレン草や茄子、トマト、タケノコ等の、似非じゃない偽アレルゲンによる痒み。レタスやパセリが触れた皮膚に紫外線が当たると、感作なしにイキナリ光接触皮膚炎(美容通信2009年7月号)を起こしたり…、も~っ、踏んだり蹴ったり(笑)。
唯、これ等の刺激を避ける為にと称して、家事の際にゴム手袋やビニル手袋をする人がいます。良い解決方法です。しかしながら、時には手袋の内側に溜まった汗で余計に皮膚が痒くなるなんて、踏んだり蹴ったり度が高くなっちゃう人もいます。可哀相に…。
*註:HISAKOの美容通信に記載されている料金(消費税率等を含む)・施術内容等は、あくまでも発行日時点のものです。従って、諸事情により、料金(消費税率等を含む)・施術内容等が変更になっている場合があります。予め、御確認下さい。
※治療の内容によっては、国内未承認医薬品または医療機器を用いて施術を行います。治療に用いる医薬品および機器は当院医師の判断の元、個人輸入手続きを行ったものです。
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