ジャルプロ「スーパー ハイドロ」は、たるみの原因である靭帯の緩みを改善するヒアルロン酸注入製剤旭川皮フ形成外科クリニック

たるみを靭帯レベルから改善する!進化したヒアルロン酸製剤

近年、注入剤を使用したアンチエイジング治療が盛んです。これまでは、架橋ヒアルロン酸を中心に形を作る、ボリュームアップをする治療が一般的でした。しかし、ヒアルロン酸の過注入症候群Overfilled Syndromが問題視される様になり、より自然に若々しい仕上がりが期待出来る、細胞外マトリックスのモデリング作用による肌再生治療が2005年頃より注目されるようになって来ました。サーモン注射(リジュラン(美容通信2021年10月号))やミラノ注射(ジャルプロ)等がこれに相当し、非架橋のヒアルロン酸とヌクレオチド(サーモンDNA)からなるものがサーモン注射ですし、非架橋ヒアルロン酸にアミノ酸を配合したのがミラノ注射です。
2021年の後半には、たるみの原因である靭帯の緩みを改善する製品が、ジャルプロ「スーパー ハイドロ」として発売されました。

 最近の美容外科学会の展示会場で幅を利かせているのが、糸(美容通信2021年9月号によるリフトと肌質改善。そして、リジュランの様なECM注射剤(細胞外マトリックス(ECM)のモデリング作用による肌再生治療)と、ジャルプロ「スーパー ハイドロ」を始めとするリガメント(靭帯)を強化及び再生する、進化したヒアルロン酸製剤達です。

 最近はヒアルロン酸の注入方法自体についても、ボトックス(美容通信2003年10月号)の様に、顔面の筋肉をコントロールするmyomodulationと言う概念が2018年ブラジルの形成外科医Mauricio de Maioにより提唱され、線から面(ボリュームアップ)(美容通信2005年8月号)、更には靭帯の補強によるリフトアップ(美容通信2018年11月号)から、筋肉の動きの制御と、更なる進化を遂げようとしています。

ECM製剤の復習

 ECM製剤は、低分子又は高分子の非架橋のヒアルロン酸に、数種類のアミノ酸やヌクレオチド(サーモンDNA)(リジュラン)(美容通信2021年10月号)を配合した、所謂、コラーゲンブースター注射製剤です。真皮内(真皮中層~真皮深層)に注入する事で、細胞外マトリックスのモデリング作用による肌質改善と共に、過矯正にならない自然な若返りを期待するものです。

 1週間ほどは注入したヒアルロン酸の効果でハリが出ていますが、非架橋のヒアルロン酸が故に、とっとと吸収されてしまいます。しかし、これ等を引き込み役として、2週間後からは、配合されたアミノ酸やヌクレオチドが、細胞外マトリックスのリモデリングを促すコラーゲンブースター効果を発揮します。つまり、ヒアルロン酸で膨らませる!のではなく、コラーゲンやエラスチンの合成に必要な線維芽細胞に、謂わば餌を与えて、コラーゲンやエラスチンを沢山作れよ! それが牽いては、肌の若返りに繋がる。これがECM製剤の効果の本質なんですね。換言すれば、加齢等により、既に細胞外マトリックスの構造が損なわれてしまった、50歳以上の、所謂大人女子、勿論大人男子もですが!、その様な皮膚には効果的ですが、未だ、そこまで真皮の状態に問題がある訳ではないお子ちゃまには、治療効果を実感し難い治療って事です。

 他の注入療法では改善が難しい細かい縮緬ジワ、皮膚表面の浅い皺の改善に最適で、皮膚のテキスチャー改善には著効を呈します。具体的には、目の周りや口周りに出やすい細かな皺、紫外線老化(美容通信2022年8月号)の進んだ肌の若返り治療が特に適応とされ、自然なハリ感やリフトアップ感を得やすく、持続力を実感出来ます。

 皮膚の浅層の皺の治療として、現在様々な治療が行われています。マイクロボトックス(美容通信2011年3月号)やラジオ波、フラクショナルレーザー(美容通信2007年2月号)、ピーリング(美容通信2005年4月号)、イオン導入(美容通信2006年1月号)等がありますが、どの方法も細胞外マトリックスにアプローチをする治療方法ではありません。また、皮膚の深層の皺の治療に頻用される、ボトックスやヒアルロン酸注入、ハイフ、糸によるリフト(美容通信2021年9月号)等然り。ですから、これ等の治療と組み合わせる事で、欠けてるところを補い合えるではありませんが、相乗効果が認められます。勿論、今月号の目玉、ジャルプロ「スーパー ハイドロ」との組み合わせもありです!

ジャルプロ「スーパー ハイドロ」

大まかにこれさえ押さえれば、ばっちり!

 2021年後半に発売されたジャルプロ「スーパー ハイドロ」は、ECM製剤である従来のジャルプロ シリーズとは異なり、低分子と高分子と言う異なる分子量を持つ高濃度のヒアルロン酸に、7種類のアミノ酸と3種類のペプチドが配合されています。そのコンセプトは、ズバリ、靭帯(Retaining Ligament)とECM(細胞外マリックス)モデリングの再生治療です。尤も、注入の深さが皮下組織なので、後者の細胞外マトリックスのリモデリング作用はグリコのオマケに近いとは思いますが…、まあ、多少はある(笑)。

 靭帯(Retaining Ligament)は皮下に無数に存在し、骨膜から皮膚を繋ぐ靭帯で、脂肪体(Fat Pad)等を支えると言う大切な役目もあります。この靭帯は、コラーゲンとエラスチンで構成されていますが、加齢等によって皮膚が重力で下方に引っ張られ、引き伸ばされて、その挙句に緩みが生じます。これが、たるみの大いなる原因です。ジャルプロ「スーパー ハイドロ」は、たるみの原因となる靭帯の強化再生を主眼とした注入剤なんです。ですから、特に、中顔面(ミッドフェイス)の皮膚のタイトニングには効果的で、小顔効果を実感し易いのだとも言えます。

 ヒアルロン酸でリフトアップ(美容通信2018年11月号)のMD-CoodesTMを覚えていますか? 靭帯のある部位に、その補強として、粘着力の強い、鳥もちの様なヒアルロン酸で杭打ちをする方法でしたよね? このジャルプロ「スーパー ハイドロ」も、ターゲットは一緒ですから、注入部位も一緒です。違いは、前者が老化で弱ってしまった靭帯をそのままにして、強力な接着剤を埋め込んで補強する方法ですが、後者は、弱った靭帯自体の強化再生を測る注入製剤です。

 丸1日から2日位は、蕁麻疹か!?って感じの膨疹が残りますが、大丈夫。消えます。推奨される頻度としては、1ヶ月毎に3回施術後、メンテナンスとして6ヶ月後に1回。若しくは、1ヶ月毎に2回施術後、メンテナンスとして3ヶ月毎に2回です。

 

 

製品概要

 低分子と高分子の異なる分子量を持つ高濃度の非架橋ヒアルロン酸(80mg/2.5ml、低分子200kDa+高分子2000kDa)に、アミノ酸7種類と3種類のペプチドが配合されています。アミノ酸クラスターの役割としては、線維芽細胞の増殖、コラーゲンの合成、成長因子(TGFβ)の生成、走化性、コラーゲン分解速度の低下等が挙げられます。

  • アミノ酸7種類:①Glycine、②Proline、③Lysine、④Leucine、⑤Alanine、⑥Valine、⑦Arginine
  • 機能性ペプチド3種類:①Acetyle Decapeptide 3 、②Oligopeptide 24、③Acetyl Tetrapeptide 5

 主な適応部位は、顔と首です。

 期待される効果は、繰り返しになりますが、靭帯(Retaining Ligament)の強化&再生、細胞外マトリックスのリモデリングです。

 ざっくり言うと、皮下腱細胞(線維芽細胞)にアミノ酸の栄養を与える事で、コラーゲンとエラスチンの産生を高め、リガメント(靭帯)の強化及び再生を促します。失われたリガメントの密度を高める事で、自然な肌のリフトアップ、タイトニング、Fat Pad(脂肪体)の構造維持が期待出来ます。

ジャルプロ「スーパー ハイドロ」の4つのアンチエイジング効果のまとめ

  • 細胞外マトリックスのリモデリング

   線維芽細胞の活動を活性化し、コラーゲン、エラスチンの産生を促進する事で、肌密度を高め、自然なハリと小ジワを改善。

  • 結合組織(Retaining Ligament)を強化・再生し、リガメントの密度を高め、肌のリフトアップと引き締めを実現。
  • 脂肪体(Fat Pad)の構造維持による、肌の弛みの予防及び改善。
  • 2つの分子量の異なる(低分子と高分子)非架橋ヒアルロン酸をブレンドされており、これにより、持続的な足場の機能が保持され、即効性のある高い保湿力が確保。

 

 

プロトコール

 注入ポイントは、顔面の片側で0.2ml×6か所(①~⑥)、更に任意の箇所0.1ml(例・顎(⑦))。トータル2.5mlの薬液を使用します。

 ①Orbital thickening、②Zygomaticus ligament、③Upper masseteric cutaneous ligament、④Masseteric cutaneous ligament、⑤Mandibular septum、⑥Platysma auriculae fascia、⑦Chin

 真皮(乳頭真皮、網状真皮)及び皮下組織上層部(下組織の中に張り巡らされている網目状の線維)に薬液を注入するのですが、層が見える訳ではないので、如何にターゲットに注射するかと申しますと、27Gのトップ二段針って奥の手を使います。穿刺の深さを一定にするストッパー(針自体が二段となる形状)が付いているので、過穿刺を防げる優れモノです。これを皮膚に対して45°の角度で挿入すれば、目的地にばっちり到達出来ちゃうんですね(笑)。

 推奨される頻度としては、1ヶ月毎に3回施術後、メンテナンスとして6ヶ月後に1回。若しくは、1ヶ月毎に2回施術後、メンテナンスとして3ヶ月毎に2回。

■併用療法について

 他の施術との組み合わせは、殆どなんでもありとされるジャルプロ「スーパー ハイドロ」ですが、特に高相性とされているのが、ハイフと外科手術や糸によるリフトです。ハイフについては、作用機序が異なる施術を重ねる事で、より相乗効果が認められると思います。が、内容的には、後者については、ECM製剤でもあるリジュランの方が適応は高いとは思います。しかし、ジャルプロ「スーパー ハイドロ」にも、靭帯(Retaining Ligament)だけではなく、ECM(細胞外マリックス)モデリングの再生があるので、まあいいか(笑)。

  • ハイフ

   ハイフ(美容通信2021年7月号)は、マトリックスメタプロテアーゼを活性化させて、古いコラーゲンの分解を促します。また、線維芽細胞が活性化されるので、新しいコラーゲンの産生も活発になります。ジャルプロ シリーズは、スーパーハイドロを含め、線維芽細胞にアミノ酸クラスター(餌)を十分に与えてくれるので、コラーゲンの産生が促されます。これに、器械との相乗効果が加わるので、最強!の組合せになります。

  • 外科手術

   海外では、外科手術後の傷跡をより綺麗に治す為に、メソセラピーでアミノ酸補充を行っているようです。メソかぁ…となると、敢えてジャルプロ「スーパー ハイドロ」である必要はないといえばないのですが(笑)。

   外科手術の17日前にECM製剤を週に1回を2回。更に、外科手術の72時間前に1回行います。出来れば、外科手術の1週間前から、アミノ酸とビタミンCを通常の2倍量飲みます。術後は、1~3ヶ月間は、アミノ酸(4000mg)とビタミンC(500mg)を通常量飲みます。

  • 糸によるリフト

   目的は2つ。①糸の刺入口の傷跡を目立たなくするのと、②糸によるコラーゲンの産生を強力にサポート。

   糸によるリフトの17日前に中顔面~下顔面に、ECM製剤をメソセラピーします。更にその1週間後には、糸の刺入口と中顔面~下顔面に同様の処置を行います。糸リフトを行う1週間前からは、アミノ酸とビタミンCを通常の2倍量飲みます。糸リフトの3日前、糸の刺入口にECM製剤をメソセラピーします。術後は、1~3ヶ月間は、アミノ酸(4000mg)とビタミンC(500mg)を通常量飲みます。

■注意事項

 下記に該当する方は、ジャルプロ「スーパー ハイドロ」の適応はありません。

  1. 本剤の成分に対し、過敏症、アレルギー体質の既往歴がある。
  2. 妊婦若しくは妊娠の可能性がある。授乳中。
  3. 自己免疫疾患又は免疫療法を受けている。
  4. 18歳未満。

 想定される副作用としては、

  1. ひりひり感、痒み、赤み、熱感…でも、精々2日位です。
  2. 膨疹、腫れは1~2日。内出血は、運が悪いとと言うか…当たり所が悪いと起こってしまいますが、7日くらいで、自然に勝手に消えてしまいますが、内出血を極力回避若しくは軽減したい場合は、ネオケラスキン(美容通信2020年1月号)がオススメです。

 


*註:HISAKOの美容通信に記載されている料金(消費税率等を含む)・施術内容等は、あくまでも発行日時点のものです。従って、諸事情により、料金(消費税率等を含む)・施術内容等が変更になっている場合があります。予め、御確認下さい。

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