オイリー肌対策と毛穴の収縮 | 旭川皮フ形成外科クリニック旭川皮フ形成外科クリニック

HISAKOの美容通信2010年11月号

オイリー肌(脂性肌)対策と毛穴の収縮

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オイリー肌(脂性肌)の延長線上に、ニキビや脂漏性湿疹(皮膚炎)、毛穴の開き等のお肌のトラブルが繋がっています。
クリニックでは、カーボンピールやフラクショナルレーザー、ボトックスの真皮内注射(メソセラピー)等の施術を、栄養療法やスキンケア等と組み合わせて治療を行いますが、最近はグリシルグリシンの超音波イオン導入も人気。
皮脂中に存在する遊離不飽和脂肪酸の毛穴開大シグナルを、水際でガッツリ抑え込んでくれるので、毛穴がきゅ~んと引き締まるんです。

 昔、毛穴の脂をガムテープみたいなシールだったかパックだったか忘れたけど、力ずくで剥ぎ取るなんて製品がありました。結構ヒットした様な気がするんだけど、覚えてます? あ、脂取り紙。以前ほどは持て囃されなくはなったけど、未だに近所のツルハ・ドラッグでも置いてある超ロングセラー商品。
 ‥昔から乙女にとって、テカリとか脂浮きとか毛穴とかって、永遠の悩みって相場が決まっているんです。そんな訳で、<テカリ肌対策・毛穴肌改善>です。

テカリ肌(オイリー肌)は何故起こる?

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 一般的な肌質分類なる概念がありますが、これは皮脂量と水分量の組み合わせで出来る4つの分類を基本にしています。世に言うテカリ肌とかオイリー肌は、右図の様に、皮脂量が多く、且つ水分量も多い状態です。化粧品事典なんてマニアックな本には、続けて、「特に、顔と鼻筋は皮脂量が多い。ニキビや吹き出物が出来易い。毛穴が比較的大きいので、キメが粗く見える等々‥」と記載されております。
 皮脂量が多くなる、つまり、私達ご主人様の乙女心に反して、たかが一介の付属器に過ぎない皮脂腺が、盛んに活動して顔をテカらせるのは一体何故なのでしょう?

毛包3兄弟

下の図を見て下さい。
 毛包には3種類あるんですが、顔だとか、デコルテとか、背中の肩甲骨の辺りだとか、何か脂ギッシュって言うか、小ニキビもどきの脂っぽいザラザラと言うか、混在するニキビと言うか、毛穴が開き切っている状態と言うか‥、兎に角、乙女心を腐らせるオイリースキン(脂性肌)の部位に限って、脂腺性毛包が多いんです。つまり、こいつがテカリ肌の元凶って事。

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暴走する皮脂腺の手綱を握っているのは誰?

 脂の垂れ流しをしかねない皮脂腺の手綱を握っているキーマンは、1人ではなく、複数。中でも首謀格なのが、数ある内分泌因子の中でもホルモン系。ホルモンについては、アダルトニキビ(美容通信2007年11月号)や若ハゲ(美容通信2005年12月号)(美容通信2008年9月号)、ホルモン補充療法(美容通信2010年8月号)(美容通信2010年9月号)等でも、何度も切り口を変えて取り上げていますが、皮脂腺に対するホルモン支配は結構複雑です。

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 ホルモンの中でも男性ホルモンは、皮脂腺の大きさ、細胞分裂、皮脂生成を増加させ、その結果として乙女の肌をテカらす極悪人。男性ホルモンは、男子では大部分が精巣由来ですが、付録程度のご愛嬌程度に副腎から、女子では副腎と卵巣由来で、視床下部-下垂体ネットワークを介して産生、分泌されます。

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 血中の主な男性ホルモンであるテストステロンは、皮脂腺に存在する5α-還元酵素で5α-ダイハイドロテストステロンに進化します。そして、この進化形になって、初めて、皮脂腺の男性ホルモンの受容体と結合が可能になり、脂ギッシュに燦然と輝く天下のテカリ肌(オイリースキン)になれるのです。‥まあ、幾ら悩んだところで、生理も上がって、HISAKOの様な本ちゃんの婆世代になっちゃうと、細々とでもテストステロンを80位まで分泌し続けている爺さんと違って、カサカサの乾燥肌に悩む羽目になるんですがねぇ(笑)。因みに、来月の総合ホルモン検査でHISAKOのデータを解説するつもりではありますが、HISAKOのテストステロン量は殆ど”嘘だろ~!?”級に低かった‥。

 因みに、男性ホルモンの他にも,下垂体ホルモンや成長ホルモンも皮脂分泌を亢進させます。

それでも、「基本、良い奴」の皮脂が牙を剥く時

image1033 皮脂はホントの事を言うと、悪いだけの存在ではないんです。皮脂が9割を占めるとされる皮表皮脂ですが、皮表皮脂は皮膚の表面では皮表膜を作って、外敵の侵入を防いだり、お肌の中の水気が抜け過ぎて干物に心配りをしたり、殺菌隊として活動したり、又、お肌を柔軟化したり、肌の刺激を緩和すると言う、所謂”エモリエント”作用までと、殆ど八面六臂の大活躍をしてくれています。つまり、基本、良い奴なんです。

 唯、直ぐ、すねると言うか、グレるんですよねぇ。空気中に含まれている良く分んないけど色んな物質だとか、空気自体、紫外線等々に絶えず晒され、酸化されて、皮表脂質は、性悪の”過酸化脂質”にあっという間に豹変してしまうんです。勿論、悪者は外敵だけじゃなくて、内なる敵なんて奴もいますけどね。例えば、不適切な洗顔方法や洗顔料、それに嗜好品としての煙草(美容通信2006年10月号)(美容通信2008年7月号)とか、合成着色料や保存料等の添加物は勿論、糖分の過剰摂取、ストレス等で体内の活性酸素(美容通信2004年11月号)が過剰になると、細胞間脂質と結合し、過酸化脂質が産生されちゃうんです。
 過酸化脂質のその性悪振りについては、多くの報告がなされています。後で、テカリ肌に関与する病気としてニキビを取り上げていますが、そこでも触れている様に、過酸化脂質は炎症に油を注ぎ、それが更なる角化異常→ニキビ菌(P. acnes)等のバイ菌の大繁殖へと繋がり、それが又角化を促進し、炎症を増悪‥と悪循環って名前の永遠のラビリンスへ迷入(笑)します。同時に、唯でさえ過酸化脂質が細胞間脂質の保湿機能を押し下げているのに、ご丁寧にも、角質細胞膜まで破壊してくれる訳ですから、細胞間脂質自体も減少して、お肌のトラブルは鰻登り!?

過酸化脂質

 少し、”過酸化脂質”についての補足をしておきましょう。  活性酸素による過酸化脂質の生成は、あたかもエンドレスのベルトコンベアーの様に連鎖的に行われます。下の図を見て下さい。活性酸素のヒドロキシラジカル(・OH)により生じる脂質ラジカル(L・)が、他の脂質(LH)と反応し、過酸化脂質(LOOH)になり、新たなる脂質ラジカル(L・)が生成‥、つまり連鎖的に続いてますよね?

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 抗酸化ビタミンであるビタミンEは、上図の脂質ペルオキシラジカル(LOO・)に電子と水素を供与する事で、過酸化脂質(LOOH)にして安定化を図り、自らはビタミンEラジカル(VE・)になります。しかし、このVE・は、安定してしていて反応性も低いので、他の脂質(LH)と連鎖的に反応を続ける事は、殆どありえないと考えられています。因みに、ビタミンEラジカル(VE・)は、キリストみたいに、ビタミンCから電子を奪い、浄化(還元)され、復活(再生)します。

 以前も特集(美容通信2010年10月号)(美容通信2010年3月号)しましたが、遺伝子的にこの過酸化脂質が増え易い星の下に生まれてしまった人々って、存在します。14種類の酸化ストレス関連遺伝子の内、特に脂質の酸化に関係する遺伝子は、HUMPONA遺伝子(Met55Leu)&PON1遺伝子(Gln192Arg)の2つ。HISAKOは不幸にも2つ共に保有している遺伝子ですが、HISAKOの同類さんなら、人並み以上に脂質の酸化を少しでも阻止する事に腐心する‥、例えば、プラセンタやαリポ酸の注射や内服を普段から心掛けている方が望ましい(美容通信2010年10月号)です。  ここに細胞自体が酸化ストレスに負け易い体質が加われば、炎症が酷くなり、角化異常も更に進み易くなります。Mn-SOD(Val16Ala)遺伝子やGCLM(C-588T)遺伝子、mitochondria(C5178A)遺伝子、ApoEε4(←2種類の遺伝子多型から判定)の4種類の遺伝子です。GCLM遺伝子を持ってる人は、細胞内のグルタチオン産生の低下が起こり易く、酸化ストレスに晒された時は、必死でグルタチオンを点滴等で補充しないと、バリンバリンに錆びちゃいます。  ミトコンドリアは、美容通信2010年1月号でも特集しましたが、炭素Cと水素Hからなる糖類を酸素Oに結合し、二酸化炭素CO2と水H2Oに変える事でATPを生成する、謂わば体内のエネルギー産生工場です。ところが、mitochondria遺伝子を保有していると、兎に角、CoQ10って燃料を過剰に喰う燃費の悪いアメ車状態ですから、必死にガソリンを注入し続けて工場をフル稼働させないと、あっという間に工場が活性酸素が充満しちゃいます。
 ‥貴女は、幾つ遺伝子を保有していますか?

テカリ肌の延長線上にある嬉しくない病気

テカリ肌の延長線上にある嬉しくない病気、病態にはこんなものがあります。

ニキビ&脂漏性皮膚炎

 脂ギッシュな肌に付き物の病気と言えば、先ず最初に挙がる病名は,ニキビ(美容通信2003年11月号)。
 子供の頃には絶えて無かったニキビが、思春期を境に暴徒化する理由は、前の章でも述べた(美容通信2007年11月号)様に男性ホルモンの悪戯。皮脂腺上にある5α-還元酵素によって凶暴に目覚めたテストステロン(凶暴化した進化形を5α-ダイハイドロテストステロンと呼ぶ)が、皮脂腺の男性ホルモン受容体と合体して、皮脂腺の機能を亢進。こうなると、脂質は増産体制を爆走し始めるし、同時に毛包漏斗部では角栓の形成、つまり閉塞が起こるので、毛包管の中が色んなもの掃き溜めになってきます。例えば、毛包内の常在菌であるニキビ菌(P.acnes)etc.のバイ菌、垢(角化物質)何かが溜まって、挙句、ニキビの第一段階であるコメドを形成する訳です。元々、ニキビ菌は油っぽい味付けを好む性質がありますから、好物が堆く積まれたコメドは素晴らしい食料品庫♪ そりゃあ、当然、人口は爆発的に増加します。更に、悪い事に、ニキビ菌の産生する酵素の中でも特に細菌性リパーゼって奴は、しなくてもいい事をするタイプ。脂質中の中性脂肪を、下図の様に、毛包漏斗部の角化、炎症惹起に関与すると考えられている遊離脂肪酸に加水分解するんです。

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 単なるコメドが、赤くて痛いニキビになり、膿が溜まって、爆発して、醜いニキビ跡として青春の傷跡を残して終了するまでの変遷は、皆さんもご存知の通り。つまり、過剰な皮脂が、ニキビ菌と連係プレーで炎症を増悪させ、その挙句に、私達をニキビ跡でブルーな気分に陥れるのです。

 脂漏性皮膚炎自体は、ニキビとは全く別物ですが、原因の多くをニキビと共有し、毛包漏斗部の角化異常や炎症惹起etc.を増悪させる因子です。つまり、ニキビとは悪友関係なんですね。例え、ニキビにまでは至らなくても、テカリ肌や毛穴の開きを訴える患者さんは、ほぼ必発しています。詳しくは、以前特集したので、美容通信2004年9月号をどうぞ。

毛穴の開き

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 巷では、雑誌の特集記事やテレビ番組何かで盛んに取り上げられたりしていますが、実際問題として、皮膚科や美容皮膚科の教科書を引っくり返してみても、殆ど記載がないんです。学会でも、「このレーザーを照射すると、○○だけじゃなくて、毛穴も(!!)目立ち難くなります」的な発表はありますが、”毛穴”なんてセクションはありません。何でって? 今まで殆ど研究自体がなされていなかった分野だから。近頃、漸く、ぼちぼちってところでしょうか(笑)。なので、ちょっと最近の報告(論文)の中から、面白そうなものを勝手にピックアップしちゃいました。

目立つ毛穴 Vs 目立たない毛穴(飯田ら:2004年 FRAGRANCE JOURNAL 32)

  • 目立つ毛穴では毛孔部(所謂、漏斗部)が広がっているのではなく、その周囲がすり鉢の様に陥没した形をしており、そこが影の様に目立っているんだそうです。ところが、あまり目立たない毛穴には、そんな構造をしてないんだとか。そして、すり鉢の角層では、本来は消失しているはずの核が多数観察され、不全角化状態、つまりお肌が荒れ果てた状況だったんだそうです。
  • 更に、頬っぺたの毛穴で「目立つ」「中間」「目立たない」の3つのグループに被験者を分け、水分蒸発量と総皮脂量を測定したところ、「目立つ」に分類された人々は、水分蒸発量、総皮脂量の両項目に於いて、他の群より多かったんだそうです。更に面白い事に、遊離脂肪酸に注目して調べると、「目立つ」人々は「目立たない」人達と比べて、飽和遊離脂肪酸と不飽和遊離脂肪酸の割合が、大きく後者に傾いていたんだそうです。
  • 因みに、不飽和脂肪酸は同じ炭素数の飽和のものより粘度が少ない為、脂腺機能が亢進している時は、より脂質は流動性が高い。つまり、より脂ギッシュにテカるんですよ。

 下の図を見て下さい。オレイン酸を始めとする、パルミトレイン酸やペトロセリン酸等の、皮脂中に存在する遊離不飽和脂肪酸は、角化細胞のCa2+濃度の変化を引き起こし、これを引き金に毛穴周りの肌状態を悪化させるんです。

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 後述する毛穴対策ですが、最近のトピックスとしては、(1)を改善方向に導くツールとしてはボトックスの皮内注射が、(2)に対してはグリシルグリシンの超音波イオン導入とボトックスの皮内注射が、当て嵌まるかなぁと思います。

小娘のテカリ肌・毛穴の開き対策

お家編

先ずは、暴走を助長する洗顔剤・洗顔方法を改めよう。

 何度も繰り返しますが、活性酸素は悪者です。紫外線や科学物質摂取、ストレスなどで体内の活性酸素が過剰になると、細胞間脂質と結合し、過酸化脂質が産生されます。過酸化脂質過剰により、細胞間脂質による保湿機能が低下し、更に、この過酸化脂質が角質細胞膜を破壊するので、細胞間脂質自体も減少してしまうのです。
こんな息も絶え絶えの状況に、”合成界面活性剤”が駄目押ししてくれると、本当に凹ります。シャンプーやリンス、ボディソープ等は、石油を精製する過程で得られる”ナフサ”を原料とする”合成界面活性剤”を洗浄成分としています。この合成界面活性剤、脂質と結合する力が非常に強力。つまり、油汚れを落とす力が、そこまで根こそぎ落とさんくたってエエだろ~!?って位に、超強力過ぎるんです。大事な皮脂膜を溶かし、角質層に侵入、そして細胞間脂質のセラミドを、更には同じ脂質で出来た角質細胞間膜も破壊しちゃうんですねぇ。
ですから、HISAKOのクリニックでは、洗顔料に関しては、超が付くほど好い加減。本質的には、多少汚れが残ってたって、お肌のターンオーバーに乗っかって、垢と共に勝手に落ちてしまうものなのです。例えば、油性のマジックで手に落書きしたとしましょう。目くじら立てて、ベンジンで肌を傷めてまで消さなくったって、2~3日も経てばマジックの痕跡までしっかり落ちているでしょう? 汚れだって、メイクだって同じ。潔癖症は寧ろ犯罪なんです。だから、洗顔料は、余計な物が入らない超シンプル、超マイルドがお約束。
image1026f クリニックのオススメは、左図のAK石鹸。弱酸性・無香料の低刺激性石鹸です。お肌のセラミドや皮脂を取り過ぎない緩~い洗浄力のアミノ酸石鹸で、オマケとして、お肌に潤いを保つ天然保湿成分のセラミド(セレブロシド)と黒糖オリゴ(黒砂糖エキス)を配合。兎に角、水に溶け易い、ナメクジに塩!?的な欠点にさえ目を瞑れば、洗った後につっぱらない!!と、賞賛する患者さんが後を絶たないって優れモノ。騙されて、買って良かったと貴女も思うはずです。

image587  脂ギッシュな典型的オイリー肌には、1滴混ぜるだけで、お手持ちの石鹸が劇的に変貌するのが、水虫の特効薬・ケトコナゾール(ニゾラール)。抗男性ホルモン作用がある事から、爆笑問題がCMをしているプロペシア(美容通信2005年12月号)の陰のサポーターとされ、若ハゲに悩む男子から盛んに持て囃されている抗真菌薬ですが、ちょい乾燥気味に傾きな点を除けば、ニキビの際に使用されるディフェリンゲルなんかより、黄色人種の私達にとってとっても使い勝手が○。
 皮膚の表面には常在微生物って先住民族が占拠していて、新参者の病原菌の付着や増殖を抑えていますが、皮脂生産が盛んなテカリ肌では、ちょっと油断すると、脂好きのマラセチアちゃんってカビがのさばって、脂っぽい小ニキビもどきのザラザラ=脂漏性皮膚炎(美容通信2004年9月号)が起きて来ます。好発部位から、「Tゾーン皮膚炎」と呼んだ方が通りが良いかも知れませんが、ねぇ。

image1027 勿論、AK石鹸だけではメイクは落とせません。本当は余計なモノは乗せない方が良いんですが、長らく女やっていると、スッピン=変装と誤解される程、周囲の認識との間に大いなる隔たりが生じてしまうもの。エンビロン(美容通信2004年11月号)のクレンジングジェルでさっぱり仮面を落としましょう。

 洗顔時は、必要以上に皮膚を擦る事でも、角質表面が破壊され、細胞間脂質が減少してしまいます。ご注意を!

洗顔後のお手入れだって侮れないぞ!

 一番手軽に始めるなら、ASVC(美容通信2009年10月号)をベースに、ハイドロキノン(美容通信2004年12月号)とビタミンA(美容通信2005年2月号)の外用薬を加えてみましょう。基礎化粧品から揃えたいのなら、やっぱり抗酸化ビタミンで、打たれ強い肌に導いてあげるのが正統派・エンビロン(美容通信2004年11月号)が○。でも、一気に片を付けたいのなら、過激だけどオバジのニューダームシステム(美容通信2004年12月号)はオススメ。赤くなって、皮が剥けた分だけ、毛穴が消える(笑)。

クリニック編

 クリニックで行う施術系は、一言でテカリ肌・毛穴対策とは言っても、赤味が残るのが嫌だとか、多少の痛みには耐えても効果が出る方が良いとか、効果と欠点と懐具合を相談しながら、色々な施術を組み合わせて、最大限の満足度を探すのがお約束。ディープクレンジングやケミカルピーリング(美容通信2005年4月号)、スーパーライザー(美容通信2007年12月号)やプラセンタ(美容通信2009年2月号)のツボ注射(美容通信2009年4月号)、グリシルグリシンetc.の超音波イオン導入(美容通信2006年1月号)等で、毛穴の汚れを落としたり、色素沈着を軽減させたり、又、毛穴レーザーピールやニキビ脱毛、レーザーで面取りしながら一緒にフラクセル(美容通信2007年2月号)等をしたりして、毛穴を積極的に縮めたり、メソセラピー(美容通信2006年6月号)やフォトフェイシャル(美容通信2003年5月号)等で頑張る細胞達にエールを送ったり、ボトックスの皮内注射(皺取りの際の様に、筋肉内に注射するんじゃない!)してきゅーっと底上げしたり等々と外側からの揺さぶりが専門。

グリシルグリシン

 過酸化脂質の項目でも触れましたが、近頃注目株と言えば、このグリシルグリシン。不飽和脂肪酸のシグナルを抑える事が出来れば、毛穴を小さくする(=開き構造の発達を抑える)事をコンセプトに開発されました。

image1032  クリニックでは、乾燥と美白系を求める欲張りさんには、トラネキサム酸とグリシルグリシンのWの超音波イオン導入を、オイリースキンのギトギトさんには、グリシルグリシンと抗酸化ビタミンのWの超音波イオン導入を行っています。 ‥良い方法ですが、あくまでも不飽和脂肪酸の存在を前提にしています。つまり、同時に、前提となる不飽和脂肪酸を減らす為の努力を怠ると、やってるときだけイイになっちゃいますよ(笑)。

炭酸ガスレーザーで面取りしながら、一緒にフラクセル

image1034 フラクセルについては以前にも特集(美容通信2007年2月号)しましたが、基本、レーザーで皮膚に傷を付けて、それを治そうとする線維芽細胞達の涙ぐましい努力、それを医学的には創傷治癒と申しますが、これに便乗してニキビ跡を目立たなくしてしまおうと言う方法。でも、エッジ立ってしまったくっきり&しっかりのクレーター様ニキビ跡は、謂わば、堅牢な要塞級の擁壁なので、如何にレーザーとは言え、ポイント的にしか照射出来ないフラクセルでは歯が立たないのが現実。ベルリンの壁を叩き壊す様な、確固とした強い行為が必要です。炭酸ガスレーザーによる面取りを併用すると、ぐ~んと効果がUPします。

ボトックスの皮内注射で、毛穴のついでにリフットアップも期待しちゃおう

 ボトックスは、従来は、目尻のカラスの足跡や眉間のシワに対するシワ取りとしてとか、多汗症に対する治療(あ、これは筋肉には注射しない!! 当然だけど(笑))、小顔にする為に咬筋や耳下腺に打つなんて治療(美容通信2010年4月号)が一般的でした。詳しくは以前の特集(美容通信2003年10月号)を読んで頂きたいんですが、期間限定で、神経筋接合部でアセチルコリンの放出が阻害され、それで筋肉が緩んで表情を止めちまうって原理です。下の図のおっさんは、向かって右側の咬筋にボトックスを打った5ヶ月後の写真。1ヶ月後より、5ヵ月後の方が尚更効果が上がってますよね。

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 最近は、上記の様な筋肉ではなく、皮膚のど真ん中に細かく少量を分散注射する事で、お肌の質感の改善~オイリー肌や毛穴の開きを改善するだけでなく、軽いタイトニング(お肌の引き締め)効果や滑らかでマットなシャイニーな艶肌効果等を期待する方法が広まって来ました。更には、その進化系としてボトックス・リフトと、まだまだ進化途上で面白い使い方が出現しそうな予感♪ 何れボトックスについては、特集第2弾を組もうかなぁとは思っていますが、今回は脂ギッシュなテカリ肌と毛穴の改善について、ちょっと解説します。
 ボトックスは、神経筋接合部以外にも、自律神経節や交感・副交感神経終末にも作用します。詳しい作用機序については未だ分んない事も多いんです。皮膚直下の筋肉(表情筋)から立ち上がる部分的な筋線維への作用、毛根に付着する立毛筋への作用(←これが毛穴を小さくする最大の理由とも言われたが、実際は立毛筋はアドレナリン作動性なので、現在では単に韓国辺りから何となく流れて来たデマに過ぎないと判明!)、エクリン汗腺への効果、毛穴の開き改善、汗腺に存在する筋上皮細胞への作用、真皮内のコラーゲン線維やamyelinic nervous fiberへの作用、更にアセチルコリンやカテコラミンの関与が考えられています。  ですが、毛穴の改善の一番の功労者は、皮膚直下の筋肉(表情筋)から立ち上がる部分的な筋線維への作用だと、現在のところ考えられています。つまり、すり鉢状構造に凹んだ底面を、ぐ~っとと底上げてくれるから、毛穴が浅くなる。同時に、皮脂の分泌も抑えてくれる事が、前述の過酸化脂質の生成を減らし、延いては炎症を抑え、正常な角化を促してくれるので、オイリー肌の改善のみならず、毛穴の開大にもプラスに働いてくれているようです。がぁ、どういう機序が絡み合って皮脂の分泌を抑制しているのかは、未だ良く分っていないんですよねぇ‥。そのうち、どっかの偉い先生が解明してくれるでしょうけど(笑)。


 しかしながら、外側からの揺さぶりに答えてくれる体があってこその結果。例えば、以前創傷治癒(美容通信2004年5月号)の特集でも触れましたが、ビタミンCがないとコラーゲンが出来ない。つまり、幾らレーザーで面取りしながら、一緒にフラクセルを照射したって、傷が治(創傷治癒)んなきゃ、金払って痛い思いをしただけで、毛穴は縮まんない(笑)。同時に、頑張る細胞にエールを送る事は勿論、角化異常を起こさない(=炎症を惹起させない)細胞環境を整えておく、内分泌環境(ホルモン)の把握と改善等の内なる努力も必要です。高濃度のビタミンCを始めとする点滴療法(美容通信2008年11月号)や、創傷治癒の過程で働く色んな細胞を効率良く分配してくれる人材派遣業も兼ねるプラセンタ(美容通信2009年2月号)注射や内服、毛穴収縮現場で中心的に働く線維芽細胞にエネルギーを供給し続けるに必須のCoQ10の筋肉注射(美容通信2009年11月号)等の、施術当日の裏方サポートもさる事ながら、日々の栄養療法(美容通信2007年3月号)は細胞環境を整え、そもそも角化異常を来たさせない=毛穴の予防の側面もあります。ビタミンBやマグネシウム、亜鉛、EPA(美容通信2010年6月号)、ビタミンA、鉄、ビタミンCやE等々。更に、HISAKOの様に、生まれ付き脂質の酸化を来たし易い遺伝子(HUMPONA遺伝子(Met55Leu)&PON1遺伝子(Gln192Arg))を保有していれば、それをより積極的に抑制する為に、 プラセンタ(美容通信2009年2月号)と、αリポ酸の点滴も有効です。そして、材料を効果的に使用する為の臓器間のネットワークツールであるホルモン環境(美容通信2010年8月号)(美容通信2010年9月号)を整えておく事も、立派なテカリ肌・毛穴対策です。ですから、場合によっては、施術よりピルが選択される場合だってあります。再来月号で多分特集を予定しているヤーズは、抗男性ホルモン作用があるスピルノダクトン(美容通信2007年11月号)を含有する日本で唯一のピルですしね。‥兎に角、外から何んかの施術を加えりゃ良いんだ!!的な短絡発想は、いただけません。

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     補足ですが、婆ちゃんの弛んだ挙句の毛穴の開きには、上記の方法は効果があります。が、悲しい事にドループが出来てる方が、地肌の毛穴と言うか柄が目立つのよねぇ。右の図を見て下さい。同じカーテンの生地でも、ドレープがある方が、柄が密集して目立ちますよね。毛穴も同じです。年齢と共に皮膚が弛んで来ると、ドレープ効果で毛穴が密集して目立っちゃうんですよね。  つまり、ヒアルロン酸(美容通信2005年8月号)を注入して頬っぺたを盛り上げても、ボトックスリフトでも、ハッピーリフト(美容通信2006年9月号)でも、フェイスリフトの手術でも、兎に角、弛んでいるのを改善した方が、多少の柄の大小を問うよりは、ず~っとず~っと効果がある。そんなものなんです。毛穴治療の難しい点は、毛穴自体を目立たなくさせる事を腐心するより、単に弛みを改善する事の方が断然効果があるって事ですかねぇ。

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*註:HISAKOの美容通信に記載されている料金(消費税率等を含む)・施術内容等は、あくまでも発行日時点のものです。従って、諸事情により、料金(消費税率等を含む)・施術内容等が変更になっている場合があります。予め、御確認下さい。


※治療の内容によっては、国内未承認医薬品または医療機器を用いて施術を行います。治療に用いる医薬品および機器は当院医師の判断の元、個人輸入手続きを行ったものです。

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ケースレポート・弟2弾は、総合ホルモン検査(唾液&血液スポット)をHISAKOが受けちゃいました。
その結果と解説で~す。