天然ホルモン療法(前編)~総合ホルモン検査と治療 | 旭川皮フ形成外科クリニック

HISAKOの美容通信2010年8月号

天然ホルモン療法(前編)~総合ホルモン検査と治療

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更年期障害を切っ掛けに、ホルモン補充療法を真剣に考える大人女子は多いと思います。
ですが、女性ホルモンと聞くと、癌化の問題や血栓、太りやすい等々の副作用=「怖い」ってイメージが未だ先行しており、二の足を踏む人も多いのは事実です。
しかしながら、これらの副作用は、合成のホルモン(保険薬として処方されるのは全てこれ!)で補充を行った事による弊害です。
天然”の生物学的同一ホルモン(ヒト固有ホルモン=天然(ナチュラル)ホルモンによる補充を考えてみませんか?

 ホルモンの別称に「トンチャン」ってあるんですが、ご存知ですか? これは朝鮮語のトン[糞]とチャン[臓][腸]、つまり小腸・大腸という意味なんだそうです(「豚(トン)ちゃん」ではないので、悪しからず!) ‥御徒町に、HISAKOが上野動物園に遠出をした時に、必ずと言って良い位に立ち寄るお店があります。”故郷味”。中国東北地方に住む朝鮮族の料理(「延辺料理」)を食べさせてくれるお店です。中国料理なら炒め物になる干し豆腐は、唐辛子たっぷりの和え物に変身と、中国料理と朝鮮料理が見事に融和して、とっても美味しい! 勿論、内臓(ホルモン)系も充実していて、個人的には{麻辣肚絲(ハチノスの炒め物)”が好きです、ハイ。
 あ、最近アンチエイジング分野で注目されているホルモン療法のホルモンの話が、食い物のホルモンの話に脱線してしまいました。へへへ。食い意地が張っているんで‥。<総合ホルモン検査と治療について~天然ホルモン補充療法[前編]>です。

突然ですが、「子宮がん(癌)」使わないで!~産婦科学会が要望決定。

 突然ですが、先日の日経新聞に、こんな記事が載ってました。それによると、日本産科婦人科学会は、「子宮がん(癌)」という用語は定義が曖昧だとして、使用しないよう厚生労働省に要望する事を決めたんだそうです。子宮癌と一口に言っても、実は子宮の入り口に出来る子宮頸癌と、奥に出来る子宮体癌の2つに分類されます。前者の頚癌の原因はウィルスによる感染症なのに対し、後者の体癌はホルモン依存性の癌。当然、罹患年齢層も、予防法も、治療方法も、勿論予後だって、全く異なる別個の癌なのに、それが偶々舞台が子宮であったが故に、一括りに纏めてしまうのは如何なものかと、厚生労働省に物申した次第って事らしい。確かに、厚労省の統計では、両者を合わせて「子宮がん(癌)」として集計する場合があり、「予防施策を進める上で、両者を区別して実態を正確に把握する必要がある」ととする同学会の言い分は御尤も。まあ、唯、今になって唐突に、何が何でも厳密な医学的線引きを強要する必要性があるのかは、部外者のHISAKOには疑問と言えば疑問で、ケースバイケースで良いんじゃないのと思ってしまいますが(笑)。先月号で特集した”子宮頚癌予防ワクチン接種”(美容通信2010年7月号)への啓蒙活動の一環と考えれば、まあ、納得のオチですが、ね。 01_0701h  先月号の復習にもなりますが、子宮頸癌の大部分は扁平上皮癌で、罹患者は20歳代から出現し始めて30~40歳代で増加します。それに対し、子宮体癌の体部分は腺癌であり、50歳代に年齢分布のピークがあります。また、子宮頸癌の発症は発癌性ヒトパピローマウイルス(HPV:human papillomavirus)感染が原因である一方で、子宮体癌はホルモン依存性の代表的な癌です。

 子宮体癌の他にもホルモン依存性の癌としては、女性では乳癌や卵巣癌、男性では前立腺癌等が挙げられます。これらの癌は、性ステロイドホルモン依存性に発生・発育し、疫学的に、生活習慣の変化に伴い、近年では日本でも増加傾向にあります。

 ‥ホルモン依存性の癌になりたくなければ、ホルモンの作用を全部止めちまえば良いんだろう!? 確かに、極論ですが、正論です。ホルモン依存性組織のホルモン支配は、一連の流れとして、視床下部のGnRH、下垂体のゴナドトロピン(LH,FSH)、性腺の性スラロイドホルモン、標的組織と繋がっています。当然ながら、標的組織由来癌にも夫々の受容体が存在し、これらホルモン支配を受けていますから、これら全てのホルモン作用を取り除く事は、或る意味有効な癌治療の方法であり、強力な再発予防の手段でもあります。実際、乳癌の内分泌療法として、卵巣摘出や放射線照射、副腎摘出、下垂体摘出が行われていた時代もありました。
 でも、ホルモンは、細胞と細胞、臓器と臓器を繋ぐ大事なコミュニケーションツール。これを根こそぎ否定してしまうと、ホルモン依存性の癌で死なないかもしれませんが、脳みそ~免疫系~消化器系と言った多様な器官系に於けるバランスが崩れ、結局は生命体としての均衡が損なわれ、存続自体が危うくなります。ホルモンを否定するのではなく、もしバランスが悪い方に傾いていれば、それを軌道修正すれば良いだけの話だと思いませんか? image996例えば、乳癌や子宮体癌に関与するとされる女性ホルモンですが、次章でお話しする様に、善玉さんや悪玉さん、そしてどっちでもない風見鶏さんがいます。ホルモン総合検査でこれらの比率を測定すると、癌のリスク判定を行なう事が出来ます。検診のターゲットは既に罹患してしまった癌ですが、ホルモン検査はその前の段階を察知し、その検査結果に従ってホルモンのバランスを整える、つまりホルモン療法を行なう事は、軌道修正を図る、謂わばホルモン依存性の癌に対する究極の予防法でもあるのです。そして同時に、自身の現在の若返り/老化傾向を検証する事が出来るので、アンチエイジングにも役立ちます。

女性ホルモンには、善玉と悪玉と、そしてどっちつかずの風見鶏がいる。

 女性ホルモンの作用については、以前更年期障害(美容通信2005年10月号美容通信2005年11月号)で特集を組んでいるので、詳しくはそちらを読んで下さいね。  女子の健康とホルモンの働きには密接な関係があり、生理不順や不妊、疲労、記憶力低下、火照り、更年期障害、頭痛、性欲低下、乳癌や子宮癌等のホルモン依存性の癌、そして骨粗鬆症etc.と言った、幅広い年齢層で起こる全身的な病気のみならず、直ぐ肌荒れし易いとか、化粧ノリが悪い、シワっぽいとか、薄毛で地肌が透けて髪形が決まらない、代謝が悪くなったとか‥所謂広い意味での美容皮膚科領域~アンチエイジング領域でのトラブルの原因にもなっています。

女性ホルモンの代謝経路

 先ずは、下の図をご覧下さいませ。飽食の時代、日本国民から一方的に敵視されるコレステロールですが、ここからホルモン代謝経路がスタートします。一番右下に<Estrogens Metabolites>って黄色い領域がありますが、先ずはここを御注目下さい。

image993  女性ホルモンであるエストロゲンは、若々しく健康的な生活をサポートしてくれるハッピーな方向へ代謝される事もあれば、反対に発癌性を増すお先真っ暗な方向に代謝される事もあるんです。つまり、乳癌や子宮癌、前立腺癌等のホルモン依存性の癌と言っても、単に体の中を血液に乗っかって循環しているエストロゲンの総量がどれ位あるかではなくて、如何にエストロゲンが処理(代謝)されているかで、その発癌性が変わってくるんですねぇ。

 エストロゲン代謝物質の中でも2大勢力と称され、常に動向が注視されるのが、2-水酸化エストロン(2-OHE1)と、16α-水酸化エストロン(16α-OHE1)です。
 2-OHE1は、細胞の受容体と穏やかに結合し、細胞増殖を遅らせる代謝物質です。つまり、鳩山由紀夫前首相は多くを学んで初めて(笑)、海兵隊の各部隊が連携し維持している抑止力なるモノの存在を漸く理解しましたが、ホルモン依存性の癌に対しては、2-OHE1は、この海兵隊同様に大いなる抑止力として働きます。しかし、同時に諸刃の剣で、閉経後の女子にとっては、骨粗鬆症等の危険性が増大します。
 16α-OHE1は、救い難い悪玉って程じゃないけど、兎に角血気盛んな刺激っくす系。度が過ぎる事も多々あり、16α-OHE1が高い値を示す場合は、エストロゲン過剰による乳癌や前立腺癌等のリスクが増大している警告と、素直に受け止めた方が無難です。この傾向は、デブだとか大酒飲みだと強くなるんだそうです。
 4-OHE1は、癌に関して言えば、限りなく黒に近い灰色なんですが、根っからの極悪人ではないので、COMT(メチル化酵素)に諭され、中和されると、毒気の抜けた4-MeOE1になるんだそうな(笑)。

 まとめると、ホルモン依存税の癌に於けるリスク評価は、こんな感じかな。あ、特に、乳癌と前立腺癌では、この傾向が顕著に出るんだそうな。

    [ホルモン依存性の癌になるリスクが低い状態]
  • 2-OHE1 ↑
  • 2-OHE1/16α-OHE1比 ↑
  • 2-MeOE/2-OHE1比 ↑
  • 4-MeOE/4-OHE1比 ↑
  • [ホルモン依存性の癌になるリスクが高い状態]
  • 16α-OHE1 ↑
  • 4-OHE1 ↑
  • 2-OHE1/16α-OHE1比 ↓
  • 2-MeOE/2-OHE1比 ↓
  • 4-MeOE/4-OHE1比 ↓

女性ホルモン総合検査

 兎に角、現状を把握しない事には、乱れてしまった貴女のエストロゲン代謝を是正する事すら出来ません。調べてみましょう!

女性ホルモンは、朝一番のおしっこで分析をする‥。

 HISAKOのクリニックでは、女性ホルモンの代謝評価に使用するのは、オシッコです。‥オシッコ!? 血じゃ駄目なんかい!? 婦人科で、「更年期かも知れないので女性ホルモンの値を計っておきましょう。」って、血採られたけど!! 確かにそうですが、より有益な情報を取りこぼしなくGETするには、代謝産物まで測定出来るオシッコに勝るものがないからなんです。

 ホルモンの分析材料は、基本的には血と唾とオシッコの3種類があります。どれでも同じかと言うとそうでもなくて、夫々に利点と欠点ってものがあり、目的によって最適な材料を選ぶ必要があります。      先ずは、下を見て下さい。材料によって調べられるホルモンの種類が違います。

     Estradiol・Progesterone・Testosterone・DHEA(S)・Cortisol・FSH・LH・FT3・FT4・TSH・IGF1・Insulin・Hs-CRP・Vitamin D3・PSA

唾液

     Estradiol・Progesterone・Testosterone・DHEA(S)・Cortisol

オシッコ

     Estradiol・Progesterone・Testosterone・DHEA(S)・Cortisol・FSH・LH・FT3  これだけ見ると、血ってターゲットとするホルモンの種類も多く、何て素晴らしい検体♪ それに比べて、唾とか、オシッコなんて、お下劣なだけ!!‥と思うかもしれませんが、実は同じホルモンでも、測定しているものが違うんです。  主に副腎皮質、卵巣、そして精巣で産生されるステロイドホルモン類は、勿論、女性ホルモンも立派なステロイド一族の一員ですが、血液中では蛋白質と密接に繋がっているもの(結合型)が大部分です。この結合型って奴は、非活動型。もしもの貯金でしかないんです。これに対し、実際に所謂ホルモンとして働いてくれるのが、血液の中の少数派である独身貴族・”非結合型”。彼らは身軽が身上が故に、細胞受容体と結合出来、ホルモンとして作用する事が出来ます。平たく言えば、蛋白質と結合したホルモンは銀行に預けている貯金(定期預金)みたいなものですし、結合していないホルモンは自由に使う事の出来る財布の中の現金ですかねぇ‥。
image991 左図を見て下さい。血液で測定出来るのは、あくまでも貯金と財布の中の合計金額、つまりホルモンの総資産額です。唾液は、実際に使える現金だけを評価しています。

 オシッコで測定出来るのは、非結合型のホルモンとその代謝産物。つまり、実際に使える現金と、今まで使ったお金のレシートです。‥銀行の貯金はその時々の金利で変わりますから、実際問題として、血液で総ホルモン(結合型+非結合型)量を測定して、生物学的に利用可能なホルモン量を予測しようなんて考え方は、より志を高く持ちたい女子には、あまりにも大雑把な判断材料と言わざる得ません。肌理の細かい対応を期待するなら、オシッコの方が女性ホルモンの評価材料としては断然優れる訳です。


 一見万能にも見えるオシッコですが、実はオシッコにも限界ってモノがあります。例えば、下記の様な場合は、オシッコによる評価は不適切とされます。
  • 腎機能に問題あり!
  •  オシッコによる評価の最大の前提は、腎臓がマトモに働いている事。腎機能に問題ありの紳士淑女の皆様は、血か唾で妥協して下さい。
  • 一日の変動を知りたい。
  •  ホルモンの日内変動を評価したい時は、唾液を用います。例えば、ストレスホルモンとして有名なコルチゾールですが、通常は、起床後にどぴゃ~と放出され、その後は徐々に徐々にジリ貧に減ると言う日内変動を示します。唾液検査は1日に4回、決まった時間に検体(唾)を採取する方法ですから、検査でこの日内変動に乱れが認められれば、例え未だ病気としての症状は発現していなくても、視床下部-下垂体-副腎間に連携不足があったり、そもそも臓器自体に何らかの綻びが生じ始めているetc.の可能性があります。1日の平均値しか分んないオシッコでは、到底及びも付かぬ芸当ですよね(笑)。
     え? 唾を吐くなんてお下劣だから、血じゃ駄目かって? 下のグラフを見て下さい。プロゲステロンってホルモンの入ったクリームを塗った時のホルモンのレベルをプロットしたもので、ちょっと日内変動とは違うんですが、血は‥小回りが効かないって言うか‥機敏じゃないって言うか‥なんですよ、はい。 image990
  • オシッコに血が混じってる!! け、血尿だぁ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
  •      赤血球中のホルモン成分が、値をマスクしてしまうのです。それ故に、×。
 オシッコを検査する時、朝一番のオシッコで勝負する方法と、24時間オシッコを溜めといてそれを調べる方法の2つがあります。基本的に女性ホルモンの検査に於いては、朝一番のオシッコを使用します。何と言っても、一回の採取で済みますし、多くのホルモンが早朝にピークを迎えるので、この約8時間(=睡眠時間)のオシッコを測定するって事は、ピーク時の排出量と総排出量の両方を推測する事が可能だからです。ですが、24時間の蓄尿の様に、直接(推測なんかではなく!)総排出量を測定する事も、微量なホルモンまでの検出も難しい。それ故に、上級者を目指したいなら、手間は掛けても、ちょい割安な検査料金で出来る24時間尿での検査がオススメです。

ホルモンバランスを整えよう!

 治療の基本は、上記の検査結果を踏まえての天然ホルモン補充療法(美容通信2005年10月号美容通信2005年11月号)と、それをサポートする栄養療法(美容通信2007年3月号)です。更に、プラセンタのツボ注射(美容通信2009年2月号)や点滴(美容通信2008年11月号)、スーパーライザー(美容通信2007年12月号)、漢方薬(美容通信2005年6月号)、運動療法(美容通信2010年3月号)等を併用する事も多いかな。

天然ホルモン補充療法

ウィメンズ・ヘルス・イニチアシブ(WHI)の衝撃の告発に、反撃の狼煙が上がった! image997  2003年、ウィメンズ・ヘルス・イニチアシブ(WHI)は、エストロゲン補充療法が乳癌や心臓発作、脳卒中、認知症のリスクを高めると言う発表を行いました。しかし、これは、合成ホルモンである「プレマリン」と「プロベラ」を使用した時の結果です。天然ホルモンの結果ではありません。似て非なる物質である以上、当然、副作用が生じて当たり前です。

 参考までに、「プレマリン」には人間の体内には存在しない10種類のエストロゲンが含まれています。例えば、エキリンって馬の体内にしか存在しないエストロゲンには、心臓や足、肺に於ける静脈・動脈内の血液を凝固し易くする副作用(血栓や静脈炎)があります。天然ホルモンでは、こんな副作用は起こらないのですが‥。  その他にも、WHI調査後に発表された複数の報告によると、合成、天然に関わらず、何れのエストロゲン製剤を使用した場合でも、60歳以下若しくは更年期直後(5年以内)に補充を開始しさえすれば、脳卒中や心臓発作の原因とならないばかりか、寧ろ予防する作用が認められているそうです。65歳以上、つまり年金受給を始めてからだと‥多少エストロゲンの単独投与では僅かに脳卒中の発生率は上がるそうです。
 肥満に関しては、合成物は天然物と違い、ぼてっとデブ化し易いんだそうです。


 更に恐ろしい事に、プロゲステロンは後述の様に、エストロゲンと共に働き、多彩な効果を期待出来るにも拘らず、その代用品である合成ホルモン剤の「プロベラ」は、子宮を守る効果しかありません。他は評価すべき所がないどころか、本来のプロゲステロンの効果を台無しにしちゃったので、プロゲステロン自体まで色眼鏡で見られるようになった経緯の張本人です。  例えば、乳癌。プロゲステロン自体は寧ろ乳癌の発生を抑えますが、その代用品である合成ホルモン剤の「プロベラ」は、癌のリスクを高めます。心臓に対しても「プロベラ」はマイナス方向に働き、折角エストロゲンが心臓にプラスに働いても、プラマイゼロ。相殺しちゃいます。それ以外にも、「プロベラ」が欝の原因となるのに対し、天然ホルモンは反対に欝を改善してくれますし、不眠改善効果にも優れます。デブの原因にもなりません。

201007image577  医者がホルモン補充療法と称して、人様のオシッコから精製したホルモン剤を注射しようとした所、馬の御婦人は、「私はれっきとした馬なのに、何で、馬じゃなくて人間なんかのオシッコから作ったホルモン剤を投与されなければならないの!?」と、激しく医者を罵った‥。
 ホルモン補充療法を行なう場合、”天然”の生物学的同一ホルモン(ヒト固有ホルモン=天然(ナチュラル)ホルモン)のみを使用すべきである。人に対し馬由来のホルモンを化学的に使用する事の正当性は認められていない(馬にとってナチュラルであっても、人様にとってはナチュラルホルモンではない!)。これが、女性に於けるホルモン補充との最近の論争の根拠であり、その事情を端的に表現するものとして、左の図は、学会や研究会等で殆ど必ずと言って良い程引き合いに出される絵です。
 現在の調剤薬局の多くは、と言っても日本ではなくて、米国のお話なんですが、馬ではなくて(笑)、人様の体内で自然に作られるホルモンろ全く同じ化学構造をしたBio-Identical Hormones(ヒト固有ホルモン)を配合、調合しています。‥調剤薬局!? 何で製薬会社じゃないの!?  一般人が疑問に思うのは当然で、これには市場の原理が働いているのです。
 更年期のオバちゃんの友として、愛され続けて約半世紀。特に、妊娠した馬のオシッコから精製された「プレマリン」は、米国では、1970年代初頭から年間で最も処方された回数の多い薬品に常にランクイン! 何と言っても1996年の1年間だけで、2200万回以上も米国内で処方されていて、他の”プロザック”(SSRI型抗鬱剤で、Eli Lilly社が1988年にアメリカで発売して以来、爆発的な人気を呼び、世界中で2000万人以上の人々が使用していると言われています。アメリカでは、落ち込んでいる、気分が重いという軽い患者にも処方され、”魔法のクスリ”として多くの人々が服用され、厳しい競争社会を生き抜くビジネスマンも「明るくなる」「積極的になれる」という評判から服用する事もあるんだそうな)とか”ザンタック”(日本でも販売されているので、名前位は耳にした事はあるんじゃないかな。胃潰瘍、十二指腸潰瘍等のお薬です。抗ヒスタミン薬を開発している途中で偶然見つかったお薬にも拘らず、効果は抜群! 注射薬もあって、この薬剤の出現で、アメリカにおける潰瘍手術は従来の5分の1に減少したんだとか。近年開発された薬のうちでは,最も素晴らしいで賞!)と言った売れセン薬剤の2倍以上。製造販売元であるWyeth-Ayerst社は、1億7000万ドル程「プレマリン」で儲けた勘定になるんです。わ~お。
 天然ホルモンもこれ位稼いでくれれば、HISAKOや、日本で所謂天然ホルモン(ナチュラルホルモン)療法を行っている他のクリニックも、米国の調剤薬局でチマチマ調合された物を輸入するなんて七面倒くさい事をしなくても済んだんですが、全然儲かんないので製薬会社が手を出さない(笑)。だって、既存の天然ホルモンでは、幾ら製造したって、今更特許は取れません。つまり、天然のホルモンに激似してはいるものの、明らかに異なる分子構造を持った新しい物質(=合成ホルモン)を作り出して、それで特許を取って初めて儲かるものからです、はい。

エストロゲン(卵胞ホルモン)

 エストロゲンは、卵巣や副腎から分泌される女性ホルモンで、更年期障害の救世主としてばかり持て囃されますが、実はコレステロールの善玉さんと悪玉さんのバランスを是正し、骨組織のカルシウムを保護し、又、血管の弾力性を高め、心臓病の原因である血栓を除去して血管をキレイにしてくれる、ご立派なホルモン。更に、アルツハイマーの予防、記憶力の向上と脳みそに嬉しいのみならず、インスリン耐性(美容通信2010年4月号)を抑制して中年太りの原因を少しでも改善してくれます。唯、過剰に摂取し過ぎると、反対にデブったり、浮腫んだりするけどね。
 そして、美容皮膚科・皮膚科でエストロゲンが持て囃される最大の理由は、兎に角、肌が綺麗になる。繰り返す皮膚炎で難儀していた患者さんが、めっきりトラブルを起こさなくなり、それどころか、カサカサを通り越してガザガザの乾燥肌が改善され、たるみやシワが軽減するんです。

 エストロゲンには、3種類あります。もう一度、”コレステロールから女性ホルモンが出来るまでのホルモン生成の流れ”の図を見て下さい。エストロン(E1)、エストラジオール(E2)、エストリオール(E3)の3つです。E2が一番強力なエストロゲンで、現役女子時代に一番多く作られるホルモンです。ところが、更年期を過ぎて現役を返上すると、E1が主要なエストロゲンになります。

 前述の通り、ホルモン依存性の癌のリスクが上がっている状態では、エストロゲンの代謝産物が下記の様な状態になっています。

  • 16α-OHE1 ↑
  • 4-OHE1 ↑
  • 2-OHE1/16α-OHE1比 ↓
  • 2-MeOE/2-OHE1比 ↓
  • 4-MeOE/4-OHE1比 ↓
 つまり、エストロゲンの存在自体が悪者で、その悪意の結果が、乳癌や前立腺癌等のホルモン依存性の癌を引き起こす訳ではないんです。ですから、エストロゲンの補充療法を行なったが為に乳癌になるなんて事はありません。前述のウィメンズ・ヘルス・イニチアシブ(WHI)でも、合成ホルモン剤である「プレマリン」と「プロベラ」を同時に使用した場合にのみ乳癌のリスクが上がり、エストロゲン単独投与では寧ろそのリスクが下がった事が確認されています。エストロゲンの代謝過程に於いて、何らかの切欠で、image999代謝が性悪な方向に傾いてしまった時に、癌化するんです。
 ですから、エストロゲンを補う場合、代謝が正常に働いてさえいれば、E1もE2もE3も全部入ったホルモン剤・Triestrogenでも十分です。でも、エストロゲンを補う必要性を実感するのは、小娘ではなくて、E1が主役となった更年期以降です。エストロゲンの代謝が性悪に傾く可能性がある以上、癌化の引き金となる可能性があるE1を、態々補う必要なんて当然ながらなく、E2とE3で十分って事になります。ですから、クリニックでは、天然のエストロゲンの製剤でも、E2とE3しか入っていないBiestrogenを使用します。E1も入っているTriestrogenは、基本的に使いません。  エストロゲン補充の方法は、基本的に塗り薬です。飲み薬は、肝臓で代謝される為に、飲んだ分が全て身になる訳ではなく、精々10%。塗る方が、直接血流に入るので、ロスが全然少なくて済むんです。使用方法は、毎朝1日1回、1mlを二の腕etc.の毛の少ない部位に垂らして、擦り込みます。クリニックでは、後述のプロゲステロンも一緒に配合した製品を使用しているので、生理がある場合は、生理期間中のみ使用を中止します。

プロゲステロン(黄体ホルモン)

 エストロゲンと相乗効果的に働くもう一つの女性ホルモン。しかしながらこのホルモンは、前述のエストロゲンが富士の高嶺に降る雪なら、京都先斗町に降る雪。雪に変わりはないじゃなし、融けて流れりゃ皆同じ♪ お座敷小唄にもある様に、とっても大事なホルモンにも拘らず、長らく日陰の身を強いられてきたホルモンです。昔は、プロゲステロンの働き自体があまり分っておらず、妊娠をする環境を整えるホルモンとしてしか認識がなされていませんでした。ですが、漸く最近になって研究が盛んになり、閉経(子宮摘出後も含む)後の女子の健康に果たす役割が分ってきました。エストロゲンの様な派手さ(インパクト?)はありませんが、エストロゲンと共に手を取り合って、更年期障害に於ける諸症状を改善し、乳癌や子宮体癌の予防の他、骨粗鬆症の予防や心臓の保護と言った体のみならず、欝っぽい気分を改善してくれる心にもポジティブ思考を齎してくれます。不眠にも効くみたいです。
 ですが、女子は誰しも三十路を過ぎると、プロゲステロンの分泌が減少し始め、更年期が終わる頃には、完全に干上がって殆どゼロになっちゃうんです。そして、若くても、HISAKOの様に子宮癌で子宮を摘出した女子には、エストロゲンについては補充療法は行なわれても、プロゲステロンの処方を多くの婦人科の医師はしてくれないのが実情でした。特に日本では、健康保険の制約があり、「プロベラ」の様な合成ホルモンしか処方の選択肢がない現状では、プロゲステロン自体は寧ろ乳癌の発生を抑えるにも拘らず、その代用品である「プロベラ」が癌のリスクを高める以上、癌患者には処方し難いって婦人科の先生の気持ちは分ります。でも、今は天然ホルモンでプロゲステロンのクリームが手に入る時代、エストロゲンだけの補充は、やっぱどう考えても片手落ちでしょう。そう思いません? ですから、クリニックでは、天然ホルモン剤でも、BiestrogenとProgesterneの両方が配合されたクリームを使用して補充を行います。

栄養療法

 勿論、食事が基本ではありますが、摂ってるつもりだけのつもり族が多いのも事実。備えあれば憂いなし。オシッコ検査でイエローカードが出ちゃったら勿論、出る前から下記の栄養素をサプリメントで補っておきましょう。

2-OHE1↓ and/or 2-OHE1/16α-OHE1比↓ and/or 4-OHE1↑

  • アブラナ科の野菜を食べて食べて食べまくる。
  •  アブラナ、大阪白菜、カブ、からし菜、カリフラワー、キャベツ、京菜、クレソン、ケール、小松菜、コールラビ、搾菜、山東菜、すぐき菜、タアサイ、カイワレダイコン、大根、タイサイ、高菜、チンゲンサイ、唐菜、薹菜、菜の花、野沢菜、白菜、パクチョイ、ラデッシュ、日野菜、広島菜、ブロッコリー、ホースラデッシュ、水掛菜、ルコラ、芽きゃべつ、わさびetc.。結構、そこいらのスーパーでもお目に掛かるお野菜達です。
  • ロッコリー一族の門下に下る。
  •      ・インドール3カルビノール        「国立ガン研究学会誌」でも発表され、免疫強化に最適の栄養素で、害を持つ異常細胞を無毒化する酵素の働きを強める事が知られています。インドールというフィトケミカルには、乳癌や前立腺癌に関連するホルモンの働きを阻止する作用があるんだそうな。因みに、食い物ではアブラナ科の野菜に多く含まれています。
    註:フィトケミカルとは?
     一般的な意味では、通常の身体機能維持には別になくても困らないんだけど、病気を予防したり健康を維持したい♪なんて志を高く持つ人々にとっては、避けて通れない植物による栄養素の事。アメリカがん研究協会(AICR)は、「がんと闘う食べもの」(Foods That Fight Cancer )を公表し、豆、アブラナ科の野菜、深緑の葉の野菜、ベリー、亜麻仁、ニンニク、葡萄、緑茶、大豆、全粒穀物を挙げています。
    ジンドリメタン
    スルフォラファン
     その強力な解毒作用と抗酸化作用から、癌の予防効果があると言われています。キャベツやカリフラワー、ブロッコリーetc.に含まれていますが、中でもブロッコリーのスプラウトは断トツ♪

2-MeOE/2-OHE1↓ and/or 4-MeOE/4-OHE1比↓

 2-OHE1も4-OHE1も、根っからの極悪人ではないので、せっせとメチル化して、毒気を抜く様な栄養サポートが欠かせません。  生体内でメチル基供与体として働きます。多くの生物体内に存在し、お野菜やキノコetc.の食物にも含まれていますが、特にテンサイ(Beta) には多く、ベタイン (Betaine) の名はここから来たんだそうです。今でも、テンサイ糖蜜から抽出されています。コリン、葉酸、B12、S-アデノシルメチオニンと共闘体制を布いていています。

image1000 *註:HISAKOの美容通信に記載されている料金(消費税率等を含む)・施術内容等は、あくまでも発行日時点のものです。従って、諸事情により、料金(消費税率等を含む)・施術内容等が変更になっている場合があります。予め、御確認下さい。

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来月号の予告

アンチエイジング医療に於ける<天然ホルモン療法~総合ホルモン検査と治療について[後編]>です。