大人ニキビとピル(ホルモン療法) | 旭川皮フ形成外科クリニック

HISAKOの美容通信2007年11月号

大人ニキビとピル(ホルモン療法)

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大人ニキビとかアダルトニキビを、吹き出物って誤魔化してしまう癖に、平気で10代の小娘の使う様なアクネ化粧品に手を出すのはちょっと待って! 
確かに、ニキビの原因となるホルモン(DHEA)が10代後半で一度大きなピークを迎えた後、もう一度、35歳前後にの小さなピークが到来した事が、大人ニキビの原因です。
ピル(ホルモン療法)が著効を奏します。
安易にアクネ化粧品を使うと、ガキんちょの頃には考える必要すらなかった乾燥が酷くなり、結果ニキビも悪化します。

 警告! 鳩の糞で困っています。鳩に餌をやらないで下さい。  ニキビ治療に於けるホルモン療法を一言で表すと、こんな感じでしょうか。餌を与える人がいなければ、鳩は十分な量の餌を食べる事が出来ないので、当然出るモノ(糞)も出ず、周囲の環境を汚せません。勿論余裕も無い訳ですから、ファミリーも増やせる状況ではありませんしね。てな訳で、今月の特集は、<ニキビ2・ホルモン療法(ピル)>です。

 ニキビは皮脂腺に発生する炎症性の皮疹であり、発生には性ホルモン、特にアンドロゲンがニキビの形成に関与しています。アンドロゲン、特にジヒドロテストステロン(DHT)はTriglycerides(皮脂の50%を占める!)の産生を促進し、これがP.acnesの栄養源になっているとされています。このアンドロゲンの影響を如何に抑え込むか? これがニキビに対するホルモン療法の真髄です。

ホルモン療法は、年甲斐もなくニキビに悩むオバさんの救世主!

 ニキビの原因は実に多彩(美容通信2003年11月号)で、未だ全容の解明には至っておりません。が、その一言で終わってしまっては身も蓋もありませんから、端的に申しますと、ニキビの発症には大きく分けると4つの段階があると考えられています。第一段階は、アンドロゲンが関与する脂腺活動の活性化。第二段階は、毛孔の閉塞を来たす異常角化(面皰形成)。第三段階は、毛包内のPropionibacterium acnes(アクネ桿菌)の増殖。その結果としての第四段階目、炎症! これらの発症メカニズムに加えて、遺伝的要因、ストレス、そして恐らくはダイエットもニキビの発達と重症度に影響を及ぼしているのかもと、考えられています。 image664
 それ故に、その治療は一筋縄ではいきません。クリニックでは、栄養療法(美容通信2007年3月号)を基本に、ベースにアトピー性皮膚炎(美容通信2007年4月号)や脂漏性湿疹等(美容通信2004年9月号)があればそちらの治療を優先しつつ、抗生剤や抗真菌剤と言った従来のニキビ治療法の他に、ケミカルピーリング(美容通信2005年4月号)や、ニキビ脱毛(美容通信2006年2月号)、部分フォトフェイシャル(美容通信2003年5月号)等を組み合わせたコンビネーション治療を行なっています。

 ですが、それでも中々結果が得られない謂わば頑固者がいるのも事実。それも、青春のシンボル♪とはおこがましくて‥と口に出すのを憚るお姉たま世代に、何故か近年大量増殖中なんです。特徴としましては、顎や首、頬っぺたの外側~揉み上げにかけて、兎に角、ニキビが百花繚乱状態。正に、小娘のTゾーンVsオバさんの貫禄・Uゾーン(笑)。
 憎きP.acnesの栄養源となるTriglyceridesをせっせと供給出来る様に、アンドロゲンが弛まぬ努力をしているって話は皆さんも良くご存知だとは思いますが、貫禄のUゾーン・ニキビの持ち主は、この血中アルドステロン値が高いんです。繰り返しますが、高値が唯一の原因ではありませんが、原因の大きな一翼を担っている(第一段階)のは紛れもない事実なんです。だから、小娘と同じニキビ治療で多少は改善しても、中々ぱきっと治り切らない頑固者は、そろそろホルモン療法って次のステップを加味してみましょう。
 教科書的には、お姉たま世代で、①通常の飲み薬や塗り薬で中々治らない貫禄のUゾーン・ニキビで、②ちょっと毛深いとか、生理不順etc.で悩んでいる、③生理前にニキビが酷くなるの3拍子揃ったら、ホルモン療法の適応とされています。

アンドロゲンは、脂腺活動を活発にさせる!

 今月のお題目は、ニキビ発生の第一段階”アンドロゲンが関与する脂腺活動の活性化”を如何に阻止するかですから、そもそもの脂腺ってモノが分かんないと、何言ってんだか状態に陥ってしまいます。格言通り、急がば回れ。

image665 ニキビは、脂腺性毛包に出来ます。毛に脂の腺が付着してワンセットって考えるんですが、これ、実は3種類あるんです。脂腺性毛包、終毛性毛包、軟毛性毛包で、ニキビになれるのは脂腺性毛包だけなんです。構造的にニキビ仕様に出来ちゃってると言うか‥、皮脂分泌の亢進、皮脂貯留、毛漏斗部の角化異常、ニキビ菌(Propionibacterium acnes)の増殖とそれによる炎症の惹起‥、全てに於いて、悪い事に悪い事が更に重なっちゃって、勝手に坂を転げ落ちちゃう的構造になってるんですねぇ、ほほほ。

 脂の腺に影響を与えるもの(因子)は、色々あります。

  • ホルモン

  •  アンドロゲン、エストロゲン、プロゲステロン、糖質コルチコイド、下垂体ホルモン、甲状腺ホルモン、インスリン

  • 遊離脂肪酸

  •  リノール酸、パルミチン酸

  • レチノイド

  •  イソトレチノイン

  • 外来性物質

  •  テトラデカン、ジメチルスルホキシド

  • その他

  •  気温、季節

     ぶっ千切りの断トツ因子は、勿論アンドロゲン。脂腺を発達させ、皮脂を合成・分泌させます。アンドロゲンは、男の子も女の子も、副腎皮質って所で作られています。男の子は男になって、ウィーン少年合唱団から追放されるようになると、殆どのアンドロゲンを玉々(精巣)で作る様になります。が、女子供は玉無し(ガキは有って無い様なモノ!?)なので、当然ですが、image660右図の様にアンドロゲンは色々な種類はあれど、どれも副腎皮質由来が殆どです。

     テストステロンは大部分が性腺(卵巣や精巣)で作られ、脂腺で、より活性の高いジヒドロテストステロン(DHT)に進化します。脂腺細胞の中では、アンドロゲンとアンドロゲンレセプター(受容体)が、衝撃的なマリアージュ♪ ラブラブな二人ですから、あんな事もこんな事も‥色々ムフフな出来事がドミノ倒しで起こって、その結果、脂腺細胞の増殖と皮脂の産生が進むんです。

     勿論、脂肪細胞は油断も隙もないちょい不良娘系ですから(笑)、同時進行と言うか二股と言うか‥、副腎アンドロゲンからテストステロンを作っちゃう小悪魔ワザ(?)を駆使してしまうんです。‥ふんふん、と読み進んで来た貴女、この小悪魔が女の子にとって意外に大事なポイントなんですよ!
     男の子に比べておませなエンジェルギッズは、早々と副腎アンドロゲンが増加する為、脂腺の発達も早く、当然皮脂分泌量も早く増加するんです。多感な美少女時代は、副腎アンドロゲンが皮脂の分泌に大きく関与しているので、男の子のテストステロンが女の子のテストステロンより如何に多かろうとも、乙女の脂は男の子を凌駕しちゃうんです。そして、20歳代に、このDHEAは、男女問わずピークを迎えます。これが、小娘Tゾーン・ニキビの真相。
     普通は、ここで年と共に枯れて行くと思うでしょ? 男は、そうです。が、女ってホント業が深いから(笑)、年増女の深情け、逆襲があるんですよ(笑)。30歳代にも、小さいとは言え、又、山が来るんですよねぇ‥。オバさんて怖い動物と思うか、大人の底力として尊敬するかは、貴女にお任せします。でも、大人の貫禄<Uゾーン・ニキビ>は、こんな女の性(さが)の賜物なのでしょうね、きっと、多分‥。

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     唯、注意しなくてはならないんですが、この男性ホルモン血中濃度とニキビが出来るは、決して=(イコール)ではないんですよね。男の子について言うと、ゴジラ顔負けのニキビ野郎もツルツル肌のイケメン’ズも、面白い事に差はないんです。でも女の子は、明らかに違う。副腎性男性ホルモン(DHEA、DHEA-S)、DHTの代謝産物である3α-アンドロスタンジオールグルクロニドetc.が高いんですよ。特に、ニキビに悩む大和撫子は、何故かDHEA-Sが高い人種らしいです、はい。生理前にニキビが悪化するお姉たま達も、DHEA、DHTが軒並み高値揃いとも言われております。

     女性ホルモンとニキビの関係? 余りにも研究報告(論文)自体が少なくて、語れる程の内容すら、HISAKOにはありません。エストロゲンは、男性ホルモンによって刺激された脂質合成を抑制する事だけは知られていますが、これはあくまでも、薬理学的大量投与のお話。私達の体の中レベルでは、果たしてそんな効果が有るのか無いのか‥、知りません。


ホルモン療法って、どんな薬があるの?

ホルモン療法って、どんな薬があるの?

 ホルモン療法の目的は、ニキビ発症の第一段階であるアンドロゲンによる脂腺活動の亢進を抑える。この一言に尽きます。現在存在する可愛くないニキビをレーザーやケミカルピーリング等で治療しつつ、未来の可愛くないニキビの種をホルモン療法で摘むって事なんです。

 アプローチの方法は、次の2つ。

  • アンドロゲンの過剰産生を抑制する。
  • 末梢でのアンドロゲン作用を阻止する。

 詳しくは、下の可愛くない絵を見てね。夫々の薬が何処に効くのかが、分かります。

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しかしながら、残念な事に、ニキビに有用なホルモン剤系塗り薬はないんですよね~。全て飲み薬です。

黄体ホルモン代謝産物(ジオール)

 ジオールはプロゲステロンの尿中代謝産物で、ホルモンとしての生物活性が認められないので、一応、ホルモン剤ではないと分類されてはいます。でも、これは悪までも表向きと申しますか、詭弁でしかありません。軽微なプロゲステロン作用は実はあるじゃないかと、密かに思われています。実際、長期大量投与で、血中アルドステロンを低下させますしね。 グレーゾーンのホルモン剤ですから、グレーゾーン・レベルの働き(笑)をしてくれます。

スピルノラクトン(アルダクトンA)

 以前には、ジオールとスピルノラクトンのちょうど中間にメサルモンF(総合代謝性ホルモン剤)って薬があって、非常に使い勝手が良かったんですが、製造中止になってしまった‥。痛恨の限り!  
  
 スピルノラクトンは、エストロゲン類似作用の他に、先回りしてアンドロゲン受容体に取り付いて出遅れたアンドロゲンを爪弾きにする事で脂を強力にストップ! 教科書的に表現すると、アンドロゲン受容体を競合阻害するんです。これによるニキビの予防効果は、ホント目を見張る級で、ニキビの治療薬として名高いあのレチノイドを遥かに凌駕。内服開始後2週間で皮脂分泌の劇的(!)な減少がみられ、4週間で殆ど新しいニキビは出来なくなっちゃいます。余談ですが、匙を投げたくなる様な重症な脂漏性皮膚炎にも、絶大な効果が期待出来ます。   

 飲み方は、50~400mg/dayを症状に応じて増減させながら、連日服用します。スタンダードな女の子の場合、200mg/dayでスタート。 先にも述べた様に、このお薬はあくまでも未来への投資でしかありません。今ある白ニキビや赤ニキビを現状打破したいなら、レーザーやケミカルピーリング等を併せて行なう必要があります。唯、今日のニキビは明日のニキビ跡ですから、これも未来への投資の一環と考えるべきなんですが‥、ねぇ。
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 脂ギッシュさは2週間で枯れて来るし、新しいニキビも4週も飲めば殆ど出て来なくなりますが、2~3ヶ月はこの量をキープします。その後、1ヶ月毎に150mg→100mg→50mgと徐々に減量します。この時大事なのは、効果が十分に確認出来ないのに下げると、ドツボに嵌るって事。ケース バイ ケースなんですね。普通は、症状を診ながらテーパリングする分には、リバウンドはありません。が、これは薬ってモノの宿命ではありますが、根治的療法では無くて、あくまでも対症療法にしか過ぎないので、止めて半年経つと、原因が取り除かれていない場合は、そろそろニキビもポツリポツリと出て来る事があります。

 このお薬、確かに効果は可也凄いんです!!が、じゃじゃ馬度も半端じゃないんです。ちょっと目を離すと、生理の周期は乱れるし、気分が悪くなっちゃうし、元々利尿剤ですからお水をガバガバ飲まないと干物女に成り下がるし‥。まるで、お薬界のポルシェ(笑)。何でこんなに扱い難いじゃじゃ馬なのか、未だ完全には解明されておりません。が、参考までに、スピルノラクトンのホルモン類似作用について教科書を丸写しすると、下の様になってます。多彩なホルモン類似作用の所為なんですね‥、はい。

作用機序 効果
酵素レベルでの活性低下
17-20 desomlase
17α-hydroxylase
21 hydroxylase
18 hydroxylase
11β-hydroxylase
5α-reductase

ステロイド受容体での効果競合的結合

アンドロゲン受容体
エストロゲン受容体
活性の上昇 Aromatase
その他
競合的作用
テストステロンがTeBG(Testosterone binding globulin)に結合する
Progestative effect

 尤も、飲む量に副作用の程度は比例しますから、多寡が200mg(通常初回量)程度じゃ、おしっこ行き捲くりなんて事はありません。ベースに重篤な病気、つまり腎臓が悪いとかぁ、そうでも無い限り、まず電解質異常なんか起こりませんしね。

 唯、元々、20歳以上のニキビに悩むお姉さん達は生理不順が多いんですが、そうでなくても、生理の周期は乱れや不正出血が、長期に服用する場合は、殆ど必発に近いんです。スピルノラクトン自体の作用なのか、余ったテストステロン・DHTからエストロゲンに変換されての作用なのか‥、未だ機序は明らかにはなってません。ですが、先程触れた様に長期で飲むのが前提のお薬故、実際問題として、これをどう克服するかが重要なポイントになります。

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 一般的には、生理が始まって4日目から21日目までだけ、50~100mg/day飲んでみる。これ、意外にイケます。
 唯、元々生理不順に悩んでる乙女なら、寧ろこの際、割り切ってピルを併用するのは如何でしょう。実際的には、生理の周期の4日目に相当するのが、ピル内服開始の1日目。だから、この日から18日目まで重ねるんです。用量は、50~100mg/day。これで生理の周期を完全にコントロール出来るので、乱れる事も、不正出血を起こす事も無くなります。更に、併用する=作用機序が異なるモノを重ねる訳ですから、悩みの最大の根源である脂腺活動の亢進をばっちり抑えてもくれるんです。良い事尽くめ!? image668   ピルがどうしても抵抗があるなら、エストロゲン・プロゲステロン注射(デポー剤、筋注)をするのも手。注射後、7~10日で生理が来ます。

フルタミド(オダイン)

 非ステロイド系のアンドロゲン受容体阻害剤。250mg~500mg/day飲みます。これも結構良いお薬で、海外では多用されていますが、日本では前立腺癌でしか保険の適応は通ってません。ニキビに悩む女の子は、自費で薬局さんから購入しろって事なんですね、ははは。

フィナステリド(プロペシア)

 御存知、ハゲの薬、プロペシア(美容通信2005年12月号)! 尤も、脂腺にある5α-リダクターゼはタイプⅠが関与していると言われていますから、タイプⅡの特異的阻害剤であるプロペシアは、ニキビ的には如何なものかと思わぬ訳ではありませんが、論文上ニキビのホルモン療法として載っていたので、一応の御報告まで。
 多分、AGAのある男子ならデュタステリド(アボルブ)(美容通信2013年2月号)ってハゲ薬が兼で良いと思うけど。

酢酸シプロテロン(アンドロクール)

 日本では、本来の前立腺癌の薬としてよりも、おかまちゃん相手の方が遥かに販売販売実績を誇ったと言う何とも皮肉な宿命の末、肝癌等の副作用から抹殺されてしまったアンドロゲン受容体阻害剤です。ですから、日本人には合わないお薬なのかも‥。
 ですが、海外では、経口避妊薬(ピル)に含まれていて、多くの国でニキビ治療用として認可を受けていますし、ニキビと言えばファーストチョイスに選ばれる薬でもあります。特に、Diane-35は断トツの有効率を誇り(80%)、お岩さん状態の炎症が激し過ぎるニキビに凄く良く効くとされています。今の所、日本では、販売どころか治験の目途すら全く立っていません。日本での販売中止の経緯を考えると、当たり前か!

ピル(経口避妊薬)

 現在海外では、幾つかの経口避妊薬(ピル)が、ニキビ治療薬として認可を受けています。どの薬も、35μg以下のエストロゲンを含む低用量のピルです。一昔前の高用量のピルと効果は変わらないにもかかわらず、極めて安全性が高いのが売り。
 LHを低下させて、テストステロンの産生を抑えてくれます。その結果、ピル単独でも、論文上の話ではありますが、40~70%の改善率が見込まれるそうです。

 詳しくは次の章以降をご覧下さいませ。

ピル(経口避妊薬)

 最初に、一般的なピルのお話をさら~っとしておきましょう。

ピルの効用~一般編

 ピルの効用には、こんなものがあります。

  • 今は、絶対、妊娠したくない!!(避妊効果)
  • image670 <Hはしたいけど、今は子供はちょっと困る!>なんて事は、人間ですから誰だってあります。キリスト様だって、堕胎を繰り返す小娘より、計画性のある大人の女を優先して箱舟に載せてくれるはず(笑)。作りたくなったら、飲むのを止めれば良いだけの話ですから。

     生理が辛くて仕方がない!(月経困難症)

     ①生理痛が酷い‥。だからって、こんなに鎮痛剤に頼ってて良いのかしら‥。そんな(良?)心の声が聞こえたら、同じドラッグでもピルに切り替えましょう。その痛みの原因の治療です。
     ②生理の血の量が半端じゃなく出る。鬼の様に出る。‥気になって気になって、お出掛けどころか仕事も行きたくない(月経過多)! 使い過ぎで経済が破綻した貴女の鉄のお財布を、節約で立て直し、貯金だって目指します。鉄欠乏性貧血改善の為にお使い下さい。
     ③生理不順を強制的に、立て直すのがピルのお仕事なんだよ~ん。

  • 子宮外妊娠、卵巣のう腫になり難くなります。

  •  子宮内膜症の症状を軽くしてくれるだけじゃなくて、病気の進行だって抑制してくれるんです。

  • 子宮体癌、卵巣癌、良性のおっぱいの病気、骨盤内感染症etc.の色んな女の子系の病気の予防にも。

  • ニキビ改善!

  •  今回の特集の目玉はココ!!
     最近人気の経口避妊薬は、どれも低用量のエストロゲン・プロゲステロン併用型。高め推移の黄体形成ホルモン(LH)値を並みに引き戻し、卵巣由来のアンドロゲンのみならず、副腎由来も低下させちゃう超優れモノで~す。
     低用量ピルに含まれるエストロゲンに関して言えば、種類も量も、どこの製品でも同じ。皆、エチニルエストラジオール♪ エストロゲンは、LH(黄体形成ホルモン)を低下させ、テストステロンの産生を抑えるので、血中テストステロンレベルの高いニキビちゃんには、と~っても効果があるんです。
     これに対し、製品で違いがあるのがプロゲストーゲンの種類。製品によって、アンドロゲン活性が全然違うんですよね。ニキビっ子にしてみれば、如何にアンドロゲン作用を抑えるかがニキビ制覇の要である以上、当然ここがピル選びのポイントにもなる訳。詳しくは、次のマーベロン28の章を読んでね。

  • 大腸癌、骨粗鬆症、関節リウマチにも効果があるんだそうな。

  •  HISAKOには、よ~分かんないけど、日本産婦人科学会のガイドラインにはそう書いてある。

ピルを飲む前に、お約束の相性占い♪

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 こうして読んでみると、食わず嫌いしていただけで、意外にピルも良い奴じゃんって、洗脳されて来ません? ふっと心が揺らいだら、その恋は、女の子の定番!占い段階に突入した証拠。さあ、貴女に相応しい男かどうか、占って差し上げましょう。問診表(クリニックでお渡ししするピル専用問診表で~す)をクリアしたら、検査を受けて下さい。検査は、ピルを最初に飲む時のスクリーニングと同時に、飲み続けて安全な状態かを確認する年に1回のイベントでもあります。まあ、一般的処方前のスクリーニングと言えば、こんなところかな。

  • 一般検査
    • 血圧測定
    • 身長・体重測定
    • 身体的検診(特に甲状腺腫、心肥大、心雑音、肝肥大の有無)
    • 検尿(蛋白、糖、ウロビリノーゲン)
    • 血液性化学検査(GOT、GPT、コレステロール、中性脂肪)
    • 血液学的検査(赤血球、白血球、ヘモグロビン、ヘマトクリット、血小板)
    • 血液凝固系検査
  • 婦人科的検査
    • 内診(妊娠、子宮筋腫、子宮内膜症etc.の有無)
    • 子宮頚部細胞検診
    • 乳房検診(触診)
  • 性感染症検査
    • クラミジア、梅毒、淋病、B型肝炎、HIVetc.

ピルのいらないオマケ編(副作用)

ピル初心者に告ぐ!(マイナートラブル)

 ピルのピル初心者の中には、<頭が痛い>とか、<ムカムカする>、<吐き気がする>とか、<そこはかとなくだる~い>とか、<おっぱいが張る>とか、<生理とは明らかに違う不正出血がある>等々を感じる人もいます。でも、大丈夫! 放っとけば、3ヶ月位で殆どなくなっちゃいます。
でも、どうしても予期せぬ不正出血に手を焼くようなら、生理の3日目から服用をスタートしましょう。何でなのか良く分からないんです(学会でも、何時も何時も<何故なんだ~ぁ!>の質問が演者に浴びせられる‥)が、意外にこの裏技が良いらしい‥。 
吐き気がするなら、制吐薬(フェロベリン1Tを朝昼夜の3回飲む)の併用もありかな。

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愛煙家に告ぐ!

 煙草さえ吸っていなければ、低用量のピルで心血管系の病気、例えば狭心症とかになり易いなんて事は先ず心配する必要はありません。
 35歳以上で、一日に15本以上吸ってたら、ピルは諦めましょう。それ以下でも、喫煙本数が多くなればなる程、婆の愛煙家になればなる程、リスクは鰻登りに上昇します。‥煙草止めますか(美容通信2006年10月号)? それとも、ピル止めますか?

デブ・おばさん・血栓症の既往の3拍子揃ったら、ピルは凶器に変身!!

 血栓症のリスクは、統計上、最初の年だけは何故か3.4人/1万人(通常は、1人/1万人)に跳ね上がりますが、それ以降はメキメキと減少して、並みか寧ろ若干低めのレベルに落ち着きます。だから、3拍子揃ってさえいなければ、ピルを飲んで血栓症になったらどうしようなんて心配する必要はありません。
 でも、大事なのは、ピルで血栓症になり易い訳では無い(初年度を除く)が、起こってしまったら、直ちにピルの服用を中止すべきだと言う認識は持っていて下さい。つまり、下記の様な症状が起こったら、即刻ピルを中止し、至急病院に連絡して下さい。

  • ふくらはぎの痛み・むくみ、手足の痺れ
  • 鋭い胸の痛み、突然の息切れ
  • 胸部の押しつぶされる様な痛み
  • 激しい頭痛、めまい、失神、視覚・言語障害(目の霞み、舌のもつれ)
  • 体を動かせない
  • 著明な血圧上昇
特に、40歳以上は要注意! 若い女の子の血栓の発症率を1とすると、<凝固系遺伝子第Ⅴライデン因子の変異>保因者の相対リスクは、ヘテロで6~8倍、ホモで30倍です。この様な保因者がピルを飲むと、相対リスクはナント80倍に跳ね上がっちゃうんです。ガイドラインでは全ての人が保因子かどうかの検査をする必要はないとされていますが、四十路越えしたら変異の発生頻度が急激に増加するのも事実なのですから、ね。

頭痛持ちは要注意!

image672 問診表でもチェックしたと思いますが、激しい頭痛や偏頭痛、目が霞む事がある人は、そもそもピルを飲めません。まあ、頭ん中が、右みたいな人。脳卒中のリスクがどっか~ん!!と上がりますから、ね。まあ、35過ぎて前兆の無い偏頭痛持ちは、飲まない方が無難です。前兆あれば、当然、禁忌で~す。

ピルに対する根拠の無い悪い噂編

乳癌のリスクの上昇は、統計学上は否定されています。

 乳癌はホルモン依存性の癌だから、ある意味、HISAKO的には可能性は否定出来ないとは思うけど、統計的には特にリスクが上がった、つまり有意差は認められないのよね、低用量のピルを飲んでた人と飲んでない人とでは、全く。だから、両刃の剣である子宮体癌や根治が難しいとされる卵巣癌が、ピルの服用で却ってリスクを軽減出来るのなら、寧ろお得感があるのよねぇ。どう思います?

子宮頚癌になり易い!? そんなアホな!

 子宮頸癌になり易い? あれは一種のインフルエンザやイボと同じウィルスの感染症(性行為感染症!)だから、全然ピルの服用と関係ないのよねぇ‥。濡れ衣! 子宮頚癌の罹患率が上がるのは、単に、完璧に避妊出来てると思うから、生でやっちゃう所為なの。貴女のHを見直して下さい!!

デブ化する!? そんなアホな!

 ピルの服用を躊躇う女の子が心配するのは、太る事。40年前の駆け出し小僧のピルと違って、近頃の低用量ピルは、言葉通りホルモン量が少ない(数十分の1)ので、巨体化するのを心配する必要はありません。統計上は、ピルを飲もうと飲ままいと、±2Kg。変わらんとです。体重が増えたとしたら、ピルに責任転嫁せず、増えるだけの生活をした結果と謙虚に反省した方が良いって事です、はい。 image673 因みに、右の図はお握りではありません。我が家のデブ猫です。勿論、ピルは飲んでいませんが、勝手巨体化しました。

子宮筋腫の御婦人は飲んではいけない!? 何を根拠にそんな戯言を?

 昔々、日本のガイドラインでは禁忌とされていました。今は、漸くガイドラインは問題が無いと訂正されました。が、未だに、添付文書には、禁忌と書かれています。 しかし、WHOでは、<ピルの服用で子宮筋腫が増大する事は無く、どんな状況でも使用出来る>と見解を示しています。何でこんな捩れガ生じてしまったのか、全くHISAKOには分かりません。物凄~く筋腫がでかくて、それによる圧迫があるのなら飲んではいけないと言うのなら、理解が出来ます。日本産婦人科学会では<、何の症状も無い、若しくは直ちに治療を必要としない子宮筋腫持ちが、ピルを飲むのは全く問題が無い! 子宮筋腫が直接的な原因で月経過多や貧血を起こしているのでなければ、寧ろ貧血の治療になるので望ましい>と見解を示しています。多分、PL法に対する過剰な製薬会社の自己防衛の成れの果てじゃないかとは、推測はするんですがねぇ‥。

マーベロン28

 皮膚科・形成外科を標榜している以上、婦人科じゃないから、HISAKOがピルを処方するのは、避妊を第一の目的になんて事は当然あり得ません。一に、ニキビ。二に、生理不順があり、ホルモンバランスの乱れから、ニキビを始めとする皮膚のトラブルが耐えないと思われる症例。だから、数ある経口避妊薬の中から、日本で認可されている薬で、ニキビに一番効果がある低用量のピルを選びました。それが、マーベロン322_57075B15Dです。
世界的な潮流から考えると、やはり、Diane-35の効果は断トツだとは思います。けど、酢酸シプロテロンの項でも触れましたが、日本人に合わない薬もあるんです。だから、使いません。

 マーベロン28は、エストロゲン(EE0.03mg)と、アンドロゲン作用の低いプロゲストーゲン(デソゲストレル0.15mg)の合剤です。

 エストロゲンは、先にも述べた様に、日本で売られている低用量ピルについて言えば、どの製品も同じエチニルエストラジオールです。血中性ホルモン結合グロブリン(SHBG:sex hormone binding globulin)を増加させ、FT(フリーテストステロン)を減少させて皮膚組織での5α-reductase活性を抑制し、ジヒドロテストステロン(DHT)への代謝を抑制してくれます。

 これに対し、製品で違いがあるのがプロゲストーゲン。色んな種類があるんです。細かく言うと、プロゲストーゲンは19-ノルテストステロンの誘導体で、エストラン系にはノルエチステロンが、ゴナン系にはレボノルゲストレルとデゾゲストレルがあります。ここがニキビっ子にどのピルを選択するかの肝で、アンドロゲン作用の低いデゾゲストレルが、ポイントとなる訳。うちのクリニックでファーストチョイス・ピルと言えば、”マーベロン28”(第3世代)なんですが、この理由からなんです。  向学心旺盛の貴女の為に、マーベロン28で使用されているデゾゲストレルの補足をしておきましょう。デゾゲストレルは、プロゲステロン・レセプターが大好きなので、見つけると直ぐぺたんと張り付いちゃいます。医学用語では、これを親和性が高いと表現します。これに対し、アンドロゲン・レセプターがあんま好みじゃないみたいで、本命じゃないけどぉ、取り合えずキープだけはしとこうかなどうしようか的な、気の無~い取り付き方しかしません(親和性が低い)。つまり、黄体ホルモンの選択性(プロゲステロン/アンドロゲン比率)が高いんです。強い排卵抑制効果を有しながらも、ニキビの敵であるアンドロゲン作用が弱いって事なんです。

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 上の図を見て、素朴な疑問が沸きませんでしたか? そう、ピルってもんには、一相性と三相性があるんですよ。世界では一相性がスタンダード。だって、三相性の特徴でもある、あのプロゲストーゲンの量が変わる変わり目に、不正出血が起き易かったり、気持ちが悪くなる等の副作用が出易いからなんです。何で日本だけが三相性を珍重したがるのかが、全くの謎。<女性の体の周期に合わせてなので、その方がピルだって自然でしょ?>って薬屋は言うけれど、ホンマかいな。元々女の子には、例えそれが少々乱れていようとも、生理の周期があるんだから、その振幅の幅を無理矢理広げてど~すんのって、HISAKOは思うんですけどねぇ。自分の力を信じて、それを誘導してあげる位の控えめさ(一相性)で良いんじゃない。お節介おばさん(三相性)は、嫌われますよ(笑)。

ピルだけでは力が及ばなかったら、スピルノラクトンの助けを借りよう!

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 ピル単独でも、ニキビには効果(論文上は40~70%の改善率)があります。が、3ヶ月頑張っても駄目なら、前述のスピルノダクトンを被せよう!! 改善率はそれだけでも、50~80%は上がるんだぜィ。飲み方については、スピルノラクトンの章を読んでね。ココでは重複するので、省略!


不幸の落とし罠~落ちてしまった女は、お気の毒!

 稀に、ニキビの治療の為にピルを服用したのに、却ってニキビが悪化しちゃった なんて、泣くに泣けない不幸のどん底に落ちちゃう人もいます。何故こんな運命の悪戯が起こってしまうのか定かではありませんが、どうも、エストロゲンによりsex hormone binding globulin(SHBG)が減少し、遊離テストステロン濃度が上昇する為じゃないかと考えられています。脂質代謝への変化や、血糖レベルの上昇、それに続く耐糖能の低下等々、ホントに良く分かんないんですけどねぇ、色んな可能性があるとは言われています(←歯切れ悪~い)。
 尤も、第二世代のピル、つまり、レボノルゲストレル系のプロゲストーゲンを使ったピルに、どちらかと言うと、その傾向が強いみたい。具体的には、アンジュ21/28、トライディオール21/28、トリキュラー21/28と言った日本では主流系を占めているピルです。第一世代(オーソM-21)や第三世代(マーベロン21/28)の方が、ニキビ制御には強いですから。でも、ピルの服用初期は、どのピルでも体が慣れていないので、ニキビに傾く事だってあるんです。2~3ヶ月粘って駄目なら、この際潔く種類を切り替えてみるのも手かも、ね。

image663 *註:HISAKOの美容通信に記載されている料金(消費税率等を含む)・施術内容等は、あくまでも発行日時点のものです。従って、諸事情により、料金(消費税率等を含む)・施術内容等が変更になっている場合があります。予め、御確認下さい。

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