HISAKOの美容通信2021年4月号
サプリメント外来|炎症による影響等
サプリメント外来で必須とされる血液検査ですが、先月号で、三大栄養素についてどう読み解くのかを解説しました。今月号では、簡単なエネルギー代謝の評価と、サプリメント外来でない普通の外来でも最低限検査される項目である血算(CBC)から、栄養状態を推測するコツを解説。更にはもっと踏み込んで、これ等の血液データに影響を及ぼして、目を曇らせると言うか…状況判断を誤らせる炎症反応、組織障害についても解説しました。取り敢えず、これさえあれば、医者から渡された血液データで、自分の栄養状態を把握出来ます(笑)!
今月号は、先月号に引き続き、サプリメント外来の楽屋裏を大公開です。
エネルギー代謝(ATP産生)の評価
エネルギー代謝(ATP産生)の評価
■3大栄養素からアセチルCoAが作られる過程
私達の身体を機能させる為にはエネルギーATPが必須ですが、このATPを産生する為には、その原材料としての三大栄養素がなくてはなりません。糖質、脂質、蛋白質です。
しかし、手っ取り早くATP産生するなら、脂質からの作るのが一番です。脂質は、脂肪酸からβ酸化を経てアセチルCoAになり、これを材料にしてミトコンドリアでATPが産生されます。蛋白質の有効利用には、この脂質が重要な鍵となります。つまり、エネルギー産生を上げなければいけない!なんて時に、赤味の肉だけを喰ってちゃダメなんです。脂身が実はと~っても重要なんです。どうしてかって? エネルギー基質として脂身を優先的に使う事で、病態改善に必要な材料である蛋白質の浪費を少しでも減らせるからです。
糖質は、摂取した糖質がグルコースにまで分解されて、グルコース6‐リン酸から解糖系を経て、ピルビン酸が合成されます。ピルビン酸がピルビン酸脱水素酵素の働きによってアセチルCoAに変換され、ミトコンドリアに入り、ATP産生へと繋がります。このピルビン酸脱水素酵素の補酵素がビタミンB1です。つまり、糖質の代謝にとって、ビタミンB群はとっても大切な栄養素なんです。ビタミンB1不足があると、ピルビン酸脱水素酵素の活性が落ちるので、ピルビン酸の処理能力が低下しますから、結果的に乳酸が溢れかえる事態に陥ります。確かに、乳酸もエネルギー基質として使われますし、それ自体に様々な生理作用がある事も知られるようになり、あながち悪者と言い切れない面もあるのは事実ですが…。乳酸が大量に生成されている時は、糖新生によってグルコースに変換するか、ビタミンB1を補酵素とするピルビン酸脱水素酵素に鞭打ってアセチルCoAにしてしまう事で、少しでも乳酸の減量に勤めましょう。これで、エネルギー環境は随分と改善します。しかし、もし仮に、ビタミンB1が十分に補充されている状態だったとしても、ピルビン酸脱水素酵素の処理能力は元来あまり高くないものなので、糖質を大量に摂取しながら運動続けるなんて暴挙に及べば、当然、乳酸の合成促進に拍車が掛かる羽目になります。
蛋白質は、どの様な経路でアセチルCoAに向かうかと言うと、2つの経路、つまり、①アミノ基転移反応により、糖原性のアミノ酸はピルビン酸になります。②ケト原性のアミノ酸は、アセチルCoAになります。アミノ酸はアミノ基に窒素原子を有しており、水と二酸化炭素に分解される為には、先ずはアミノ基の解体作業が必要になります。アミノ基転移反応により窒素原子を外して、エネルギー基質として利用可能な形に変換しなければなりません。ところが、あらゆる酵素活性を上げたり、私達の体の組織を合成する為には、アミノ酸をエネルギー源として使わずに、つまり、余計なところで浪費なんかしないで、蛋白質の合成って目的に一本化する方が、病態改善には効果的です。エネルギー基質として利用するのは、糖質と脂質で十分なんです(笑)。
■TCAサイクルとビタミンB群、アミノ酸の関係
下図は、三大栄養素がアセチルCoAとしてエネルギー基質になった時、若しくはミトコンドリア(美容通信2017年7月号)に運ばれて来た時、どの様な経路を経てATPを産生を行うのか(TCA回路)を示した図です。
TCA回路では、あらゆるビタミンB群が必要になります。三大栄養素からアセチルCoAが作られ、このアセチルCoAがTCA回路に入る過程に於いては、オキザロ酢酸と言う中間代謝産物が非常に重要な役割を担っています。つまり、オキザロ酢酸がないと、TCA回路が回る切っ掛けが作れないんです。アスパラギン酸からオキザロ酢酸を作る過程で必要な酵素がASTなんですが、この酵素の補酵素がビタミンB6です。ですから、このAST(GOT)の値が低い人は、アセチルCoAがTCA回路に入って行く切っ掛けを掴みにくく、エネルギー産生が捗らない大きな要因の一つになります。
又、糖質の代謝過程に於ける代謝産物のピルビン酸も、ビタミン1の働きによってアセチルCoAに代謝されますが、ビオチンが存在すると、オキザロ酢酸に変換されます。それ故、ビタミンB群のサプリメントを選ぶ際には、十分量のビオチンの含有が有るか無いかが、ATP産生って観点から考えると、結構大事な選択ポイントになるんですね。アラニンと言うアミノ酸が、ピルビン酸を経てアセチルCoAになる過程に於いても、ビタミンB6は不可欠です。アラニンをピルビン酸に変換する反応が、ALT(GPT)です。
つまり、ALT(GPT)やAST(GOT)が十分な活性を有していないと、そもそも、TCA回路にアセチルCoAやオキザロ酢酸を供給すら出来ない訳ですから、エネルギー産生なんて望めません。ALT(GPT)やAST(GOT)が低値な人であればある程、ビタミンB群の補充が優先されるのは、こんな理由からなんですね。
■ビタミンB群に関する補足
三大栄養素からエネルギー産生を行う上で、ビタミンB群は非常に重要な補酵素です。最近の研究では、これ以外にも色々な作用がある事が分かって来ました。
- 抗酸化作用
ビタミンB群は、互いに協力しながら抗酸化に作用します。しかもこの抗酸化作用、時間と共に変化します。ビタミンB1、B2、葉酸、ナイアシン等は、酸化ストレスが掛かると、初期の段階では、却って酸化を促進する方向に働きます。ビタミンB6は、初期の段階ではあまり抗酸化作用を有していないんですが、酸化ストレスが掛かって暫く経つと、つまり2~3週間経て漸く、強い抗酸化作用を発揮するようになります。ビタミンB12は、極く初期の段階、1~2週間はあまり抗酸化作用を有しないんですが、3週間後から抗酸化作用を持ち始めます。しかも面白い事に、ビタミンB12は、酸化ストレスの強度に応じて、抗酸化力を増強する性質があります。ですから、ビタミンB群はコンプレックスとして存在する事により、急性反応期には、一時的にその反応を押し進めなければいけないので、ビタミンB1、B2、葉酸、ナイアシンは、初期には酸化ストレスを促進しますが、時間が経つにつれ、抗酸化に作用します。B12は後半にはしっかりと抗酸化に働き、B6も時間の経過と共に抗酸化力が変化します。
ビタミンB群には、最近、強力な抗酸化作用がある事が広く知られるようになって来ましたが、特に、糖化に伴うAGEs形成を強力にブレーキを掛けてくれる存在としての認識が広まるにつれ、今後抗酸化物質のリーダーとして抗酸化界を牽引するのではと、日本ビタミン学会では専らの噂です。抗酸化物質と言うと、水様性のビタミンC、脂溶性のビタミンが東西の横綱と思われ来ましたが、実は、補酵素が主な役目と虐げられて来た存在のビタミンB群が、体の中では、抗糖化を含めた抗酸化作用を持った重要な物質だったんですね。
血中に存在する最終糖化産物の一つであるペントシジン血中濃度は、糖化抑制因子の代表格であるビタミンB6の不足で上昇します。統合失調症の患者さんの中には、血中ペントシジン濃度が非常に高い=糖化の亢進が著しく認められるタイプの人達がいます。彼らは著しいビタミンB6欠乏を示しており、彼らにある種類のビタミンB6を補充すると、症状の改善が認められたとの報告(2011年)があります。所謂難治性で、長期入院を余儀なくされている患者さん達の中には、ある一定数、この様なカルボニルストレス性のタイプが存在し、ビタミンB6の著しい欠乏が、何らかの病態形成に関与しているのではないかと考えられています。神経疾患の治療に、ビタミンB群の応用が2010年頃より行われるようになって来ました。
- 神経伝達物質の生合成とビタミンB群
神経伝達物質の合成過程でビタミンB群が非常に重要な役割を果たしており、神経疾患等の治療として、或いは神経伝達物質のバランスの補正の為に、栄養療法が応用される事が最近は多く目にするようになりましたが、それだけでなく、前述の如く、糖化の抑制が精神症状の改善に繋がる事が分かって来ました。
私達の脳内だけでなく、腸内にも存在する神経伝達物質は、上図の過程で合成されます。一番左側の経路ですが、特に、ビタミンB6に依存性が高いのが、このグルタミン酸からGABAへの過程です。つまり、ビタミンB6が不足すると、糖化が促進され、GABAの合成が抑制されます。多くの脳のトラブルのベースにGABAの不足があるらしいとの認識が広まり、最近ではこう言った栄養アプローチも試みられるようになって来ました。因みに、GABAの不足症状で良く知られているのが、てんかんです。脳の神経伝達物質としては抑制系の代表格であり、睡眠のトラブル(美容通信2020年4月号)(美容通信2020年3月号)にもGABA不足が関係していたり、不安やパニックの様な症状にもGABAの不足が関係しています。睡眠のトラブル解消の為にマイナトランキライザーを手放せない人の中には、グルタミン酸からGABAへの変換経路が上手く行っていない場合が多く散見されます。その様な時は、ビタミB6を十分に補充しながら、この経路を流してあげるだけでも、可なり改善が見込まれる事があります。但し、ナイアシン不足がベースあるのに、グルタミンの補充をすると、一時的とは言え、却って脳みその中でグルタミン酸が溢れかえって、過剰症状(そわそわしたり、多動になったり、衝動的になったり…)を呈する事があるので要注意! 特に発達障害のお子ちゃまでは起こりやすいので、ナイアシンによる下拵えが大事になります。
真ん中の経路に関する補足になりますが、ドーパミンやノルアドレナリンを必要とする場合は、その上流に鉄が必要です。トリプトファンやメラトニンを作る経路(一番右側の経路)でも、上流で鉄が必要です。ですから鉄の不足があると、鬱症状や睡眠障害等の症状が起こって来るのですね。
- 腸内細菌との関わり合い
ビタミンB群は、上述の通り、エネルギー産生に於いてだけではなく、神経伝達物質のバランスを取る上でも非常に重要な栄養素です。例えば、ビタミンB1レベルで常に100ミリ以上が必要な人、時には毎日200ミリ近くを要する人もいますが、彼らの多くは何らかのお腹のトラブルを抱えており、腸内細菌から供給されるビタミンB群が非常に少ないか、腸内細菌によるビタミンB群の合成が抑制されている可能性があります。勿論、ビタミンB群の消費は、生活習慣や気質(ビタミンB群を非常に大量に消費してしまう人達…例えば、物凄く集中力が高いとか、聖徳太子級に常に色んな事を並列に?重層に?頭で考えているとかが相当します)で左右されますから、大量消費群はちょっと置いといての話ですが(笑)。ビタミンBを摂っても摂っても追いつかないなんて人は、先ずは腸内環境から見直した方が早いかも知れません。
- 補酵素としての作用を全うする為の、大事な助っ人達
補足ですが、ビタミンB群が補酵素として働く為には、部分的な活性化が必要になります。活性化の多くは、ビタミンB群の基質に核酸が結合する事が必要です。ところが、消耗時には核酸の生合成が抑制されているので、慢性疾患の場合は、ビタミンB群の効果を上げる為にも、十分な核酸補充も必要です。所謂精が付くとされる、たらことか白子の様な核酸成分を多く含む食材を食べる事は、消耗時にはとっても大切なんですね。サプリメントにもビタミンB群に核酸成分を含有したものがあるので、消耗時こそ、その様な製品をセレクトするのも大事です。
リボフラビンは活性化される事で、ビタミンB2の本来の効果を発揮出来るようになって行きます。
フラビンリン酸化酵素の触媒により、フラビンに一つ核酸が結合するのですが、この時に亜鉛がなければ反応は進みません。この一つ核酸が結合したビタミンB2に、更に核酸を結合させる為には、FAD合成酵素と併せて、マンガンが必須です。つまり、ビタミンB群を活性化して行く為には、亜鉛やマンガンの様なミネラルの存在が欠かせません。このフラビンの酸化酵素については、甲状腺ホルモン(美容通信2015年3月号)がこの酵素の誘導に関係しているので、甲状腺ホルモン低下時には、ビタミンB2の活性化が低下する事が知られています。つまり甲状腺機能低下時には、コレステロールの値が上がったり、中性脂肪の値が上がってしまうんです。更年期を境におば様方が、さほどカロリーのあるものをバクバク食べている訳でもないのに、中性脂肪やコレステロールの値が上がってしまうのは、ある意味仕方がない事とも言えます。脂質のβ酸化が進まない為に、脂質の利用障害が起こり、中性脂肪が激増します。つまり、甲状腺機能の低下により、基礎代謝が低下してエネルギー消費が下がる為に、中性脂肪値が上がらざる得ないと言うだけでなく、β酸化の阻害も関与しているんです。
- メチル化について
トランススルフレーション経路は、ホモシステインを、ビタミンB6の働きによってシステインに流して行く過程(上図の下側の経路)です。この先にあるグルタチオン活性に関与してくるので、解毒をしっかり行う為には、この過程が恙なく流してあげる事がとても大事になります。その際に重要なのが、ビタミンB6です。
一方、ホモシステインをメチオニンの方向に代謝する経路で一番重要な回路が、葉酸回路(上図左側)です。この経路ではMTHFR(メチレンテトラヒドロ葉酸還元酵素)と言う酵素が関与しますが、この酵素は非常に遺伝子多型を起こす事が知られており、遺伝的な素因でその酵素活性が阻害されている人がいます。彼らは、ホモシステインからメチオニンへの代謝が行えず、高ホモシステイン血症を示す為に、動脈硬化等を起こしやすい家系として知られています。この様な場合、活性化した葉酸の投与も一理ありますが、ホモシステインをメチオニンの方向に代謝する経路は、葉酸回路だけではありません。ベタインを中心として、ホモシステインからメチオニンに変換を進め、高ホモシステイン血症を改善する代謝経路(上図右側)が存在します。ベンタインは菊名のベトナム料理の名店で、大昔、大学の医局時代には週1~2回はお世話になっていたんです(現在、閉店!)が、ここで言うベタインは似て非なるもの。ビタミンB群の一つです。しかし、非常に吸湿性に富んだ分子であるが故に、サプリメントとしての製品化が難しいとされる栄養素です。しかし、MTHFRの多型遺伝子を持っている人にとっては、ベタインの補充は有用な選択肢の一つである事は間違いなさそうです。
メチル化は抑制される事も問題ですが、反対に促進され過ぎる事も問題です。オーバーメチレーションと呼ばれる状態で、発癌を促進したりと、様々な問題を起こす事が最近理解されるようになって来ました。
■細胞達のエネルギー源
グルコースのみをエネルギー基質としているのは、赤血球だけ。赤血球は核やミトコンドリアを有しないので、エネルギー基質は主にグルコースに頼らざる得ません。その他の組織についてはグルコースは勿論、他のエネルギー基質と言う選択肢があります。例えば、脳はグルコースとケトン体の両方を基質として利用出来ます。脳がエネルギー基質としてグルコースに依存している時は、低血糖の影響を強く受けます。ところが、上手にグルコースとケトン体の間でエネルギー基質の変換シフトチェンジが出来る人は、血糖値が下がったところで、低血糖症状としての脳のトラブルを訴える事はありません。
糖質、脂質、蛋白質が、私達の体の中で、どの様にエネルギー源として貯蓄されているかを示しています。
乾燥エネルギーKcal/g | 乾燥貯蔵量Kg | 水分貯蔵量g/g乾燥 | 貯蔵湿重量Kg | 湿エネルギーKcal/g | 総エネルギー貯蔵量cal | |
糖質 | 4 | 0.6 | 2~3 | 1.8 | 1~1.5 | 2400 |
脂質 | 9 | 15 | 0 | 15 | 9 | 135000 |
蛋白質 | 4 | 6 | 2~3 | 18 | 1~1.5 | 24000 |
もしも、私達が絶食を余儀なくされ、何も口に出来ない状態に陥った時の、絶対的な救世主が脂質です。断食を行いますと、先ず、糖質の2400Kcalが使われます。その後、グリコーゲンが消費されるので、血糖の維持の為に糖原性のアミノ酸が糖新生の為に使われるようになります。この時に、同時に、脂質サイドにエネルギー基質の変換が進まないと、筋肉の異化ばかりが激しく進行してしまいかねません。つまり、定期的な断食療法(美容通信2016年3月号)が効果な人は、脂質の利用が上手に出来る人限定だって事なんです。それが出来てない人が、さあファスティングだ!と断食を試みても、却って体調を崩したり、筋肉の異化が過剰に起こって、筋肉がゲソっと落ちてしまいかねません。ですから、そんな人がダイエット目的に断食療法をしてしまうと、却って筋肉量が落ちた分、燃焼し難い=太りやすい状態になります。正に、本末転倒以外の何物でもありません。
採血の基本CBCから栄養状態を考える
一般的に貧血等の評価に用いられる血算(CBC)は、造血過程に於ける多くの栄養不足によって影響を受けます。私達の住んでいる地球は、元々は、大気中の酸素濃度は高くなかったので、鉄は2価の鉄イオンとして多く存在していました。その状態の時に生物が誕生したので、生物はそもそも2価の鉄イオンを利用する様な代謝のメカニズムになっています。その後に、地球環境の変動による酸素分圧の上昇が起こり、地球上の多くの鉄は2価から3価に酸化されてしまったんです。つまり、そもそもの前提が違うだろう!って怒る訳にもいかず…、多くの生物にとって、生き難さを感じる環境になっちゃった!けど、それを甘んじなくちゃいけない!!って事なんです。何か…国民に自粛は促すけれど、休業補償はしないって菅内閣を髣髴とさせる対処(←この原稿を書いているのが、2020年の11月中旬です。桜の開花が話題となっている4月では、可成り世間が様変わりしているかも知れませんが…)ではありますが、ある意味、この日本で生き延びる為には仕方がない(笑)? 話を戻しますが、鉄は生命活動にとって非常に重要な分子ですから、地球上の酸素分圧の上昇により利用し難くなったからと言って諦める訳にはいかず、生物間同士での壮絶な鉄の争奪戦が勃発しました。勿論、私達人間もその例外ではありません。世界人口の50億のうち、少なくとも5億人以上とも20億人とも言われていますが、鉄不足と考えられています。
アメリカやスェーデンでは、慢性的な鉄不足を補う為に、離乳食や、普段日常で食べる小麦製品等に鉄を添加する政策を取っています。同時に、これらの国々は元々肉食獣!の国でもありますから、日本人と比して鉄不足に陥る可能性は少ないと思われます。若い女性のダイエット志向が、更に鉄不足に拍車を掛けている可能性があります。
ライフサイクルと鉄
■赤ちゃんの鉄不足
左図は、生後の成長曲線と鉄の関係をまとめた図です。紫色に塗られている部位は、理想的に食事から鉄を摂取しても不足してしまう、2つの魔の時期です。最初の欠乏時期、つまり、生後一年間については、性別に関わりなく、母乳の中に含まれている鉄では賄いきれない時期になります。みすみす鉄不足に陥るなんて事は、胎児だって極力避けたいのが人情ってもんですから、胎児はフェリチンの値をかなり高く、お母さんのフェリチン値よりも遥かに高い値を以って、人生の航海に乗り出します。妊娠前にフェリチンの値が低い女性では、非常に早産が多いとのデータもあります。子宮内感染が多かったとの報告もあります。もしかすると、これ以上お腹の中にいても埒あかないな(メリットないぞ!)と母体を見限った時に、新天地を求めて、早産を選ぶのかも知れません。胎盤からではなくて、自分の口で鉄をGETする、謂わば独立宣言なんでしょう。外国では、赤ちゃんの自立を後押しするって人権的な立場?からではないでしょうが、離乳食や粉ミルクに鉄を添加する事をお国が推奨しています。実際、ω3脂肪酸を含有したり、鉄を強化したりと、様々な商品が、スーパーマーケット等の店頭に並んでいるそうです。因みに、日本はお国の規制が強くて、横並びの商品しか手に入りませんが…。
鉄と異なり、亜鉛を貯蔵して出産に挑む赤ちゃんはいません。まあ、亜鉛自体が貯蔵に向かないミネラルなので、寧ろ生まれてからの母乳に依存せざる得ません。ですから、お母さんが亜鉛不足だと、赤ちゃんに亜鉛たっぷりの母乳をあげれるはずもなく、赤ちゃんはお母さんの亜鉛不足のとばっちりをもろに受ける事になります。生後の2~3ヶ月の頃が、赤ちゃんは最も亜鉛不足に陥りやすい時期となり、亜鉛不足の症状が著明に出て来ます。手足の先っぽの皮膚にトラブルを起こしたり、オムツかぶれがなかなか治らない等のトラブルの遷延化が認められるようになります。しかしながら、生後2~3ヶ月の赤ちゃんに亜鉛のサプリメントを飲ませる訳にもいかず、やはりお母さんのおっぱいに期待せざる得ない以上、沢山亜鉛をお母さんに摂取してもらうしか手がありません。
そしてこの際注意しなければならないのは、亜鉛欠乏とビタミンA欠乏の症状は類似しています。亜鉛の補充のみで中々症状の改善が認められない場合や角化の問題がある場合は、ビタミンAも一緒に補充する事が大切です。亜鉛とビタミンAは、カップリングして補充するのが、臨床症状の早期の改善には必須です。
■女の子の鉄不足、男の子の鉄の不足
左上の2番目の紫色の時期、つまり魔の時期ですが、これは女の子限定です。成長期と月経のダブルパンチで、理想的な食事を摂っていても、必ず鉄不足が生じます。
アトピー性皮膚炎の患者さんに「いつから発症したの?」と尋ねると、「赤ちゃんの時から」って答える患者さんが一定割合います。これは最初の魔の時期、つまり、生後既に亜鉛不足があって発症してしまったんだ!と納得が出来ます。皮膚のトラブル以外にも、様々な不定愁訴、疲労感、頭痛、メンタル面での不調が10代の前半から15,6歳頃から発症している場合、特に女の子の場合は、鉄不足が関与している症例がかなりあります。
生理がある世代の女の子(有経女性)の鉄の必要量は2mg/日とされており、先程の左上の図を見て頂ければ一目瞭然、基本的に鉄不足なんですね。私達が通常食べている食事の肉の摂取量では、約1mg/日の鉄の吸収量と考えられており、成長期の成長期の男の子も、ダブルパンチの女の子程ではないにしろ、鉄欠乏が起こっていると思われます。彼らの鉄の喪失の原因は、主にその盛んな成長と汗です。この発汗から失われる鉄は意外に侮り難く、この世代の男の子が訴える疲労感や抑鬱、頭痛、成長痛等の背景にある可能性があります。
鉄の代謝
鉄不足がベースにあると、吸収率が上がるので、多少のプラスαは期待は出来ますが、私達は、通常、肉を一生懸命食べても、実際に吸収する鉄の量は約1mg/日。おしっこやうんこ、汗等で失われるのが約1mg/日ですから、鉄ってものは微量の収支決算で成り立っている閉鎖回路なんですね。これが他のミネラルとの、決定的な違いです。つまり、他のミネラルは過剰になれば、おしっこで外に流し出してしまいますし、反対に不足傾向にあれば、出し惜しみと言うか…おしっこの中への排泄を抑制をします。ところが、鉄は、体の外に出さない囲い込み運動だけで欠乏を回避しようとしますが、過剰の流入に対して積極的な排泄経路がないのですから、為す術がない=お手上げ、\(^o^)/するしかないんです。ですから、鉄は過剰にしてはいけない!んですね。
1回の生理による鉄の喪失は約30mgですから、一日換算で1mg/日になります。なので、有経の女性は、1日2mg、つまり男の倍はお肉を食べなきゃいけないんです。それなのに、何でレディースセットと謳っている代物は肉の量が少ないんでしょうか!?(←見栄を張って頼んだ後は、いつも空腹に苛まされます( ;∀;))。
鉄の吸収
■腸上皮細胞と鉄
ビタミンCを鉄と一緒に摂った方が良い。良く耳にすると思いますが、2価の鉄に還元した状態を保つ為に、ビタミンCがあった方が吸収率が上がります。
無機の鉄は、基本的にDMT1を介して小腸粘膜に吸収された後、小腸粘膜上皮の中でフェイチンとして貯蔵されます。鉄が必要だ! 応援を頼む!!って要請を受けると、備蓄していた鉄をトランスフェリンに渡し、窮地を救うのが無機鉄のお仕事です。
ヘム鉄は、HCP1と言うヘム鉄固有のトランスポーターを介して小腸粘膜上皮の吸収された後、鉄が不足している場合は、ストックしている小腸粘膜上皮の中から、直接ヘム鉄として体の中に入って来ます。鉄があまり不足していない場合は、ヘム鉄に含まれている鉄も、小腸粘膜上皮でフェリチンとして貯蔵され、体内に吸収される時には、フェロポルチンと言うトランスポーターを介してトランスフェリンに受け渡しをされ、血液の中に鉄が入って来ます。
小腸粘膜上皮から体の中に鉄を入れるか入れないかを調節している蛋白質が、ヘプシジンです。ヘプシジンが外に出て来ると、鉄を体内に入れない様にブロックします。ヘプシジンは、基本的に炎症時に出て来ます。肝臓に負担が掛かっている時にも、ヘプシジンが出て来て、無機鉄の吸収を強力にブロックします。しかしヘム鉄の場合は、ヘプシジンの関与を受けない別経路があるので、鉄の欠乏があれば、その経路から安全に鉄を体内に取り込む事が出来ます。
■鉄の吸収
鉄は、私達の小腸の何処から吸収されるのでしょうか? 答えは、小腸の絨毛の先端部からです。一方小腸粘膜上皮には、クリプトの陰窩の部分で細胞が出来て、徐々に持ち上げられて、最終的にはこの先端部分が便中に剥離されます。鉄はこの先端部分で吸収されますが、体内に鉄が十分にある場合は、トランスフェリンに受け渡しをせずに、小腸の粘膜上皮ごと剥離して、うんこと一緒に体の外に捨ててしまいます。鉄は体の中で飽和すると、小腸の粘膜上皮細胞が扉を固く閉ざし、1mgたりとも鉄の侵入を許さない鉄壁の要塞と化して、体内で鉄が過剰になる事を厳しく防いでいるのです。
赤血球と鉄
赤血球で鉄の過不足を貧血かどうかで判定します。正常な赤血球が作られる過程ですが、循環血に出る前の段階で、つまり骨髄の中で非常に多くのプロセスを経て、私達にお馴染みの、あの特徴的な扁平な形の赤血球になって、漸く循環血に出て来ます。造血幹細胞から赤芽球に分化する過程に於いて、ビタミンAや亜鉛は非常に重要な栄養素です。再生不良性貧血の様な病的な骨髄の機能低下時には、汎血球減少パンサイトぺニアになります。しかし、そこまでの機能低下ではない、つまりご老人!って人達に多く見られる現象なんですが、赤血球も白血球も血小板も、全てがそこはかとなく少ない。全員ではないのですが、彼らに共通して言える事は、ビタミンAや亜鉛が可成り少ない。ビタミンA不足による、何となくパンサイトぺニアなんですね。年を取ると、脂っぽい物を控えてしまう傾向にあるので、どうしても脂溶性ビタミンであるビタミンAの吸収が減り、その結果、赤血球の正常な分化が抑制されてしまいます。
赤芽球から、核のDNAの合成や核の成熟の段階に入るのですが、この段階ではビタミンB12や葉酸が必須で、欠乏すると大球化します。
最終段階でヘモグロビン合成がなされますが、ヘム鉄の他、蛋白質やビタミンE、ビタミンB6が必須です。特にビタミンB6の存在は重要で、ヘムと言う分子、これはポルフィリン環に鉄が結合した物をヘムと言うのですが、ポルフィリン環の生合成の過程に於いて、ビタミンB6は律速段階の補酵素です。ですから、ビタミンB6が欠乏していると、ヘム合成が出来ないんです。幾ら鉄を補充しても、全然ヘモグロビンの値が上がってくれない!なんて時は、実はビタミンB6欠乏だった!なんて事も、結構あります。ヘモグロビン合成が円滑に行われているかどうかは、ヘモグロビンだけでなく、MCV、MCH、MCHC等でチェックする必要があります。つまり、これ等の検査値から、ビタミンAや亜鉛、ビタミンB12、葉酸の過不足を推測出来ます。
コレステロールが十分にないと、赤血球のあの特徴的な形状を維持出来ません。コレステロールやビタミンEの補充は、赤血球の形態を維持する≒溶血を防ぐ事に他なりません。
鉄の吸収調整
■ペプシジン
ペプシジンは肝臓で合成される鉄関連蛋白で、DMT-1の発現を抑制し、鉄の吸収を阻害します。血液の循環中に鉄を入れなくするのが、ヘプシジンのお仕事なんです。ヘプシジンは、鉄が過剰な時に合成されます。その他にも、感染や炎症、エリスロポエチンの欠乏等でも合成されます。特に重要なのが、感染や炎症です。例えば菌血症・敗血症の様な重篤な状態に陥ると、生命の危機に瀕している訳ですから、鉄を体に入れる事は極力避けたい=ヘプシジンの合成に繋がります。勿論、慢性炎症や脂肪肝の時にも、ヘプシジンは合成されます。その為、脂肪肝では、がつがつ鉄を補充しても、フェリチン非常に高値を示すだけで、その有効利用が進まない!なんて羽目に陥ったりします。症状や病態の改善には鉄欠乏の補正が必要ですから、極く少量づつのヘム鉄でご機嫌を伺いながら、補充を進める事になります。
つまり、炎症や感染がある時は、鉄の利用が著しく制限され、特に無機鉄の代謝にその傾向が著明になります。生理がある世代の女子の不定愁訴にの改善には鉄の補充が欠かせませんから、無機ではなくヘム鉄での補充が有効です。
ヘプシジンが合成されている時の基本的な検査データは、フェリチンの値が高めで、血清鉄が反対に低めになります。トランスフェリンへの鉄の受け渡しが抑制されるので、血清鉄の値が非常に低くなります。ここに+溶血が加わると、当たり前ですが、血清鉄の値は高くなります。
■細菌と鉄
炎症と言うのは、本来、細菌感染によって起こるものと、体は長い歴史の中で脳みそに刷り込まれています。ですから、病原体に塩を送るではないですが、大事な鉄を渡さない為に、あの手この手の鉄代謝経路の阻止に働くんですね。
鉄を補充する時の注意点としては、過剰な鉄を摂取した時に、お腹の調子が悪くなるものです。無機鉄の三価から二価に変換する際に、フリーラジカルが発生するのですが、鉄剤を飲んで直ぐ胃がムカムカするのは、このフリーラジカルの仕業なんです。しかし、飲んだ後にお腹が張ったり、うんこの調子が悪くなったりするのは、前述のフリーラジカル障害ではなくて、私達が吸収し損ねた鉄を、腸内の悪玉細菌達が横取りして、勢力を一気に拡大! その結果、腸内細菌叢のバランスが崩れてしまったから起こったんです。善玉菌である乳酸菌やビフィズス菌って連中は、鉄がなくても平気。分化分裂が出来ちゃうんですね。
鉄の補充の原則は、うんこが黒くならない控えめな量で行う事とされています。しかし、鉄を飲んでも便が一向に黒くもならず、採血しても鉄欠乏の改善の兆しが認められないなんて時は、全部悪玉菌に横取りされちゃっている!なんて、笑うに笑えない事態が起こっているようです。特に、酵母、カンジダ類、真菌類は、鉄の横取りの才能については、オレオレ詐欺も真っ青級の、実に狡猾な面を有しています。
CBCから栄養状態を評価する
■MCV・MCH・MCHC
最初に検査データでチェックする項目としては、MCV、MCH、MCHCが挙げられます。
MCVが低下傾向を示す場合は、鉄欠乏、慢性疾患(ガン、膠原病、感染etc.)、低栄養、妊娠・サラセミア・赤芽球性貧血等が考えられます。MCVの低下は鉄欠乏が主ですが、ヘムの合成障害があっても起こります。その為、鉄欠乏の程度がそれ程ではなくても、ビタミンB群、特にB6の不足がある時は、著明にMCVの値が低下します。反対にMCVが上昇傾向を示す場合の原因としては、ビタミンB12や葉酸の不足(←胃癌による胃切除の既往や、ベジタリアンで動物性の蛋白質を食べないetc.)があります。長期間に亘る飲酒の習慣も、例え現在断酒していたとしても、その過去が葉酸不足を招きますし、甲状腺機能低下も影響します。
MCHも、MCHCも、鉄が不足すると低下します。鉄欠乏になると、最初にMCVが下がり、順にMCH→MCHCと下がりますし、因みに、鉄を補充した時に、とっぱじめに値が改善傾向を示すのもMCVです。ですから、MCHCが低下傾向を示していると…、可成り鉄欠乏は末期的? 鉄欠乏に対する特異度は、MCHCが一番高く、次にMCHで、他の色々な、例えば葉酸やB12等の色々な要因の影響を受けるので、MCVが正常値だからって、鉄が不足していないって証明にはならないんです。
■網状赤血球数
理論的な網状赤血球の基準値は、0.8%。例えば、1.2%だと検査屋さんの検査データでは基準値内とはされていますが、50%以上の造血が行われている=赤血球の寿命が短くなっているって意味ですから、出血や溶血を疑う必要がある値でもあります。唯、生理直前とか直後だと、十分あり得る値ではあるのですが…。反対に、0.6%だと絶対数で5万なので、これ以下の値では、網状赤血球が不足=材料不足があるか、炎症が遷延しているかを考える必要があります。
■UIBC(不飽和鉄結合能)+血清鉄=TIBC(総鉄結合能)
蛋白質の代謝が円滑であり、且つ炎症や感染がないという事が、TIBCやUIBCの値を適正に保つ上での大前提です。この様な時は、
TIBC 300μl/dl=UIBC 200μl/dl+血清鉄 100μl/dl
が保たれます。
- 溶血性貧血:鉄が不足すると、基本的には血清鉄が下がりますが、溶血があると、血清鉄の値が正常だったり、却って値が上昇したりする事があります。
- 鉄欠乏性貧血:鉄欠乏の時の特徴は、TIBCが上がります。ところが、蛋白質の代謝が抑制されている時には、例え鉄欠乏があったとしても、TIBCが上がりきらない事もあります。
- 炎症や感染時:炎症や感染時に特徴的な所見が、血清鉄とTIBCの低下です。前述の通り、鉄の代謝は著しく抑制される為、鉄の補充はヘム鉄を少量づつ行う必要があります。
生体内に於ける鉄の動態
鉄は小腸の粘膜上皮細胞に貯蔵され、必要な分の鉄だけが体の中に入る事を許されます。入って来た鉄が、もし過剰になりそうだ!って事になると、今度は肝臓で鉄をフェリチンとして貯蔵します。それでも過剰になりそう!!って事態になると、肝臓でヘモジデリンと言う大量貯蓄に適した形態に変替し、貯蔵します。昔は、一度ヘモジデリンにまで形状を変えると、二度とフェリチンには戻れないと思われていましたが、実はそんな事はなくて、鉄不足!って非常事態宣言下では、ヘモジデリン→フェリチン→鉄の利用と、必要に応じで柔軟な対応が出来るお利巧さんだって事が、最近の研究で明らかにされました。
マクロファージは鉄の代謝に於いて、臨機応変な迅速且つ強大な処理能力を有していて、鉄が過剰になりそうだ!って情報を掴むと、いち早くはせ参じ、鉄をドカ喰い早喰いしてしまいます。マクロファージの胃袋に詰め込まれた鉄は、網内系の鉄の受け渡しに使われるだけでなく、マクロファージの本来の任務であるウィルスや細菌を貪食した際の助っ人として働きます。つまり、マクロファージは、取り込んだウィルスや細菌に対し、抗菌蛋白質で攻撃するだけでなく、体内に取り込んだ鉄を利用して、敵の勢力を削ぐ為にフェントン反応を仕掛けます。フェントン反応には、鉄イオンだけでなく銅イオンも関与します。唯、同じ2価のイオンでも、亜鉛はフェントン反応の引き金にはなれません。悪しからず!
Fe2++H2O2→Fe3++HO–+HO●
比較的毒性の少ない過酸化水素と2価の鉄イオンが反応する事で、非常に活性の強い活性酸素であるヒドロキシラジカルを発生させます。この容赦のないヒドロキシラジカル攻撃でふらふらに弱ったウィルスや細菌連中は、あっけなくマクロファージの餌食となり、貪食され、死滅してしまいます。抗菌蛋白質だけでは息の根を止められなかった病原体も、ヒドロキシラジカルによって殲滅されちゃうんですね。
ところが、非常に鉄が不足している状況下では、この抗菌蛋白質+ヒドロキシラジカルのW攻撃能力が下がり、ウィルスや細菌をの進撃を阻止出来ず、感染を許してしまいます。鉄欠乏の女性が風邪を引きやすいとか、風邪をこじらせやすいのは良く知られていますが、この理由の一つに、このマクロファージの機能低下が関与しているのではないかと考えられています。
鉄の補充について
鉄の補充は、基本的に経口摂取が推奨されます。静注と経口の鉄欠乏時に於ける補正比較を行った論文によれば、最終的には両者に差がないとされています。その為、静注の場合の鉄過剰、或いは一時的なフェントン反応を起こすリスク等を考慮すると、経口で十分ではないかと言うのが、最近の栄養療法の主流の考え方です。
■フェロケル(ビスグリシン
最近注目の海外からの輸入サプリメントですが、アミノ酸のグリシンでキレートした「フェロケル」(美容通信2020年10月号)と言う鉄剤があります。これを服用すると、非常に早い段階からフェリチンの値が上昇します。この為、「超特急で鉄が補充される」ってイメージが強く、最近巷では大人気のサプリメントなのですが、赤血球に未だ鉄を取り込まなくてはならない状況、つまり検査データとしては、MCHC↓、TIBC(UIBC+血清鉄)<300μl/dlなのに、フェリチンだけが真っ先にど~んと上昇するので、体はフェリチンに惑わされて「もう鉄過剰だ!」と判断してしまいます。
何で、こんなフェロケルの様な猫じゃらしに体が騙されてしまうのか?と申しますと、フェロケルの鉄を体がちゃんと使いこなせるだけの状況にない(←豚に真珠?)だけでなく、本来と異なる、邪道とも言える代謝経路だからではないかと考えられています。
フェロケルは、2分子のグリシンと言うアミノ酸でキレートした鉄ですが、2価の鉄なので、非常に利用効率が高いのが特徴です。小腸粘膜上皮で、能動輸送によって積極的にアクティブトランスポートで吸収されます。本来鉄と言うものは、前述の如く、小腸絨毛の先端部分で、DMT1やHCP1等によって受動輸送で吸収されるものです。左図を見て下さい。フェロケルは、陰窩のクリプト部分で吸収されており、自然な吸収経路とは異なる秘密の抜け穴から密輸!!されているのではないかと推測されます。
どういったトランスポーターを介してフェロケルが吸収されているのでしょうか? 小腸粘膜上皮には幾つかのアミノ酸のトランスポーターが有りますが、グリシンペプチドは、特異的に能動輸送によって積極的に取り込まれる事が分かって来ました。じゃあ、何故、グリシンがそれほど積極的に、つまり大事なエネルギーを使ってまでも、小腸粘膜上皮に取り込むのでしょうか? それは、グリシンってアミノ酸が小腸粘膜上皮のエネルギー源だからです。食べ物に含まれている蛋白質を分解した結果のグリシンを、非常に積極的に小腸は吸収するんですね。どうも、この性悪なフェロケルは、この真摯な小腸粘膜上皮の営みに乗じて?つけ込んで?どさくさに紛れて?侵入しているみたいです。2分子のグリシンが結合した、あたかもグリシンペプチドを髣髴とさせるその容貌(構造)は、詐欺の手口そのものですなぁ(笑)。
アミノ酸にキレートされた鉄やミネラルと言うものは、実は、フェロケルの専売特許ではなくて、他にもあります。例えば、酵母によって吸収力UPした鉄なんて代物もあります。が、これ等に共通するのは、キレートしているアミノ酸がグリシンではないって事です。つまり、表玄関から入る節度を有した製品なんですね。闇の関所手形、それも単純にグリシンを抱合しただけってお手軽な代物!で、秘密の抜け道からデカい顔して入り込むフェロケアとは、明らかに犯罪度(笑)?が違います。
炎症・組織障害による影響
炎症や組織障害によって、血液データは影響を受け、真の栄養状態が把握出来なくなってしまう。
炎症(美容通信2021年1月号)が起こった時、特に急性期には、急性期反応蛋白として増えるものや、反対に抑制されてしまうものがあり、これ等が混在すると言う現象が起こります。特に、トランスフェリンの生合成の抑制については、注意を払う必要があります。前述の鉄の代謝の章でも触れたように、私達の体は、炎症時に鉄を体の中に取り込まないします。つまり、トランスフェリンの生合成を抑制して、鉄の運搬や代謝を抑制します。その為、血液データ上では、UIBCや血清鉄の値だけでなく、TIBCも低値を示します。ところが、その組織障害の際に溶血を伴う場合は、赤血球が壊れて中身が漏出するので、TIBCは低下しているにも拘らず、血清鉄の値が上昇します。
炎症マーカーとしてはCRPが有名ですが、慢性的な微小な炎症の評価には適していません。CRPが上がっていたり、血清銅の値が上昇を示している場合は、積極的な炎症のコントロールを優先する必要がある病態です。炎症の継続若しくは高度の炎症が起こっている時は、食欲が抑制され、特に癌患者さんなどでは物が食べられず、栄養状態が急激に悪化→全身状態の急激な悪化に繋がってしまう事があります。その為、場合によっては、炎症を抑える為にステロイドを使用するのも一つの方法ですし、高濃度のビタミンCの点滴(美容通信2016年11月号)(美容通信2008年11月号)でも食欲がメキメキ回復します。ビタミンCの働きで、TNF-αを始めとする炎症性のサイトカインが鎮静化し、それが食欲の回復や炎症の抑制に繋がっていると考えられています。EPA(美容通信2010年6月号)やトコトリエノール(美容通信2009年12月号)の栄養素は、心強い援護射撃になってくれます。つまり、脂肪酸の使い分け(美容通信2010年6月号)で大切なのは、炎症が著しい時にはEPAやγリノレン酸の様な、炎症に油を注ぐ尻馬系エイコサノイドを阻止してくれる脂肪酸を上手に併用する事なんです。
■亜鉛
補足になりますが、亜鉛も細胞内の方が多く存在しているミネラルなので、組織障害や溶血があると、若干高めの値を示します。亜鉛のサプリを服用中には血中の亜鉛の濃度が高めに出てくるので、血清の亜鉛濃度が高いにも拘らず、組織障害や溶血が認められない場合は、服用の有無を確認するのをお忘れなく!
亜鉛は、単に不足だけでなく、インスリンの分泌に伴って亜鉛の消費が増大する為に、食後直ぐの採血でも低値を示します。
炎症
■炎症の評価
炎症の急性期では、鉄の様に積極的な栄養補充が却って徒となる事もあり、慢性期に入ってから本腰を入れる方が効果的です。ですから、炎症のフェーズの評価は、栄養療法の効率を考える上で重要な要因の一つになります。その為には、炎症評価は一般的なCRPだけでなく、UIBCや血清鉄、血清銅の検査値を考慮する事で、よりきめ細やかな炎症のフェーズの同定が可能になります。
- CRP:理想的な値としては、<0.05
- Cu:血清銅は、血清のセルロプラスミンの値を何となくではありますが、おおよそ測定していると考えるのが無難な解釈です。血清セルロプラスミン等は、急性期反応蛋白なので、急性期には合成が促進されます。つまり、銅の値が高いって事は、急性炎症があり、且つその炎症の抑制をとっとと行うべき!って意味なんです。つまり、治療により血清銅の値が下がってくれば、急性期は脱した!と考えて差し支えありません。
- 血清鉄とUIBCの関係:一般的には、CRPだけを用いて炎症を評価する事が多いですが、検査項目にUIBCや血清鉄、血清銅の値を加える事で、炎症のフェーズ評価をより的確に行えます。
左図は、各種病態に於ける血清鉄とUIBCの関係を示した図です。血清鉄とUIBCの比が200:100、合計300を正常と考えます。
CRPが軽度炎症で上昇している場合に、まず最初に注目すべきは血清鉄の値で、炎症が背景にあるので、低めの値になります。UIBC(不飽和鉄結合能)の値も200より低値で、TIBCの値も300を切っている事が多く認められます。この様な病態では、多くの場合、銅と亜鉛の比率が>1となっており、前述の通り、急性炎症があり、且つその炎症の抑制をとっとと行うべき状態である事を示しています。つまり、軽度のCRPの上昇であっても、この様な病態では抗炎症の治療が優先されます。
この様に炎症によりTIBCが下がってしまっている時は、いくら頑張って鉄を補充したところで、中々、鉄の代謝の改善に結びつきません。鉄の吸収が非常に抑制された状態では、鉄を補充しても、そのまま腸管内に滞ってまうならまだしも、これが悪玉菌の餌として利用され、腸内環境が一気に増悪してしまいます。ですから、TIBC↓且つ血清鉄↓↓の時は、腸管内の負担をなるべく避ける為に、炎症によって影響を受け難いヘム鉄を小出しに補う戦略を取らざる得ないんですね。
■血栓の評価
- Dダイマー:通常の基準値では微細な血栓溶解の評価は不可。高値を示す場合は、可成り血栓異形成、線溶系の亢進していると考えられます。ホルモン剤使用時では高値を示す事が多く、積極的にEPA等を用いて抗炎症、抗血栓を図るべきで、更には、ナットウキナーゼの様な血栓を溶解するサプリメントの併用が有効とされています。
炎症を伴わない組織障害
炎症だけでなく、炎症を伴わない組織障害も、検査データをマスクする要因となります。炎症を伴わない組織障害の代表的なものには、運動等による機械的な刺激によるものが挙げられます。骨格筋と赤血球(機械的溶血)の2つの組織が、影響を強く受けます。
■溶血
溶血の原因には様々なものがあります。
- 赤血球膜の内的異常(ビタミンE不足・脂肪酸組成)
- 造血ビタミンの欠乏(ビタミンA・葉酸・ビタミンB6、B12etc./薬剤)
- 物理的破壊(熱傷等)
- 感染症
- 免疫学的破壊
- 網内系の器械的亢進
- 機械的破壊(人工弁やペースメーカー等/激しい運動、行進、ジャンプ等)
上記の通り、感染症に伴う溶血だけでなく、栄養的な問題もあります。例えば、赤血球膜の内的な異常によるもの。これは、脂肪酸の組成の問題やビタミンE不足による膜の脆弱性によって惹起されます。他にも、各種のビタミンの欠乏により大球性変化が起こり、その結果、溶血が起こり易くなります。機械的な破壊としては運動によるもの、特にジャンプを繰り返すとか、ジョギングの様に踵に衝撃と言うか…荷重が掛かる運動、激し過ぎる!筋トレでも溶血は起こります。
溶血があると、それにより採血データがマスク(目が曇る?)されて、本質(栄養欠損)を見誤る羽目になってしまいます。溶血の評価は、赤血球/血漿比でします。総蛋白TPやLDH、AST、ALT、血清鉄、K、Mgは、血漿中の濃度よりも赤血球中のそれが高いものなんですが、血管の中で溶血が起こると、まあ、封印された赤血球の中身が漏れ出すようなもんですから、血漿中の濃度がぐんと上がります。赤血球の中には、ALTよりもASTの方が高濃度で含まれているので、溶血が起こると、両者共に値は上がりはしますが、中身が濃い分、ALTに比してASTの値が高くなります。とは言っても、肝機能障害の際に良く見受けられる三桁台ではなく、ALTが45、ASTが28みたいな地味な上昇を示します。こんな時は、LDHをチラ見して、確証を得るのが賢いやり口かも知れません。LDHは、血漿中に比して赤血球中に高濃度に存在するので、溶血によって高値を示します。他にも、総蛋白が高めの値を示したりと、etc.の所見が出て来るんですね。言葉をひっくり返せば、それは即ち、溶血で、栄養状態の指標とされている検査項目が軒並みとばっちりを喰うって事なんですね。
因みに、溶血によって赤血球が壊れるので、Kの値も当然高くなるはずなんですが、とっとと腎から排泄されてしまうので、実際問題としては高値を示しません。Kが高値を示すのは、血管の中ではなくて、外の問題なんです。例えば、採血操作とか、採血した後の保存状態等によって溶血が起こると、それは最早腎機能の管轄外での出来事なので、対処が及ばず、Kの値は高くなります。
間接ビリルビンの参考理想値は、<0.5。赤血球の溶血後の値として参考に。
生体膜と炎症
私達の体を構成する細胞や細胞内小器官の構造を維持する為には、脂質二重層で構築された膜と言う隔壁が必須です。一番左側の図を見て下さい。この脂質二重層は、リン脂質によって形成され、c-1とc-2位に脂肪酸がエステル結合し、c-3位にリン酸化されたアルコールが結合します。特に、c-2位に結合する脂肪酸は食材由来の事が多く、普段からリノール酸、ω6系のリノール酸等を多く摂取している人では、この部位(赤)にω6系の脂肪酸の代謝産物が結合しています。反対に、αリノレン酸やEPA(美容通信2010年6月号)等のω3脂肪酸を沢山食べている人達は、ω3系が結合しており、一見同じように見えるリン脂質の構造でも、食べる物を気を付けるだけでその特徴を変える事が可能なんです。これが、オーソモレキュラー(美容通信2020年10月号)(美容通信2007年3月号)の基本的な考え方です。その右隣りの図は構造式ですが、それで見ますと、1-、2-、3-と炭素原子には名前が付いていますが、2-の部分にエステル結合している(多価不飽和)脂肪酸が食材由来という事になります。因みに、1-の炭素原子にエステル結合している脂肪酸は飽和脂肪酸ですから、私達の体の中でも合成が可能ですし、食材から入って来た飽和脂肪酸も結合します。
このc-2位にエステル結合した部分を乖離する酵素が、ホスホリパーゼA2(美容通信2016年7月号)です。このホスホリパーゼA2は、炎症が起こった際にその酵素活性が亢進し、c-2位のエステル結合を分解するので、脂肪酸が遊離されます。
Wikipediaから拝借して来た、ω6系とω3系の必須脂肪酸の代謝経路です。
リノール酸を出発点とするアラキドン酸は、プロスタグランジンE2、トロンボキサンの2番、ロイコトリエンB2へと進み、炎症を促し、血小板凝集を促進するエイコサノイドの合成を強力に推し進めます。一方、ω3系のエイコサペンタエン酸を期首とするエイコサノイドには、プロスタグランジンであればE3、ロイコトリエンであればB5と言う様に、気管支や血管を拡張したり、血小板凝集の抑制等、真逆の作用を有しています。どちらに転ぶかは、私達がどんな食材を選ぶかで変わるって事なんですね。ステムを
更に最近では、EPA由来のレゾルピンE1、DHA由来のプロテクチンD1等の研究が進み、EPA、DHAによって直接的な抗炎症作用を有する代謝産物が得られる事が分かって来ました。これ等の栄養素由来の代謝産物のサプリメントは、この数年で、ステロイドや非ステロイド性の抗炎症剤ではない第3の選択肢へと昇格しました。
酵素系(と非酵素系)
血液中の酵素とは、基本的には、普段、細胞内で働いている酵素達が、何かの弾みで細胞の外に漏れ出しちゃった( ;∀;)のを血清で測っているので、炎症や組織障害の影響を強く受けます。しかし、これ等の関与が少ない場合は、栄養状態として素直に評価が可能になります。ASTとかALTはビタミンB6を補酵素とする酵素なので、ビタミンB6が不足すれば、当然そのとばっちりを受けます。補酵素がくっ付いていない、かたわのASTやALTになってしまいます。こうなると、ALTはとっとと蛋白質分解酵素で分解されてしまうので、値は低くなります。また、ナイアシンの不足によりLDHの値が下がりますし、亜鉛やMgが活性化に重要な働きを示すALTやアルカリフォスファターゼは、これ等のミネラル不足があると値が低下します。
■アルカリフォスファターゼ
酵素の多くは組織偏在性があり、アイソザイムを測定が可能なものもあります。ALPは、骨、小腸、腎、肝、胎盤、白血球、乳腺等に偏在し、これ等の臓器に何らかの障害が起こったり、骨芽細胞の分裂が盛ん=成長期!の場合は、値が高く出ます。肝胆道系の酵素である、γGTP、コリンエステラーゼ、アルカリフォスファターゼの3項目の絡みで評価します。つまり、他の2項目に対し、アルカリフォスファターゼの値が突出して高い場合は、腸管の炎症を疑ってみる必要があり、アイソザイムを測定するのもありです。反対に、ALPが低い場合は、亜鉛やMgの不足や、ホルモン剤(エストロゲン、ステロイド、スタチンetc.)を服用している時にも起こります。
■(間接)ビリルビン
赤血球膜が健康で、溶血が起こっていなければ、間接ビリルビンの値は0.5未満です。例え基準値内でも0.7を超えていたら、それは軽度上昇になります。
膜がしっかりと保たれた赤血球であれば、骨髄から末梢血に放たれてから120日間、ぐるぐると全身を循環しながら、赤血球としての使命を全うします。しかし、膜が弱っちい状態だと、とっとと勝手に若死して溶血してしまいますが、骨髄の造血能には可なりの予備力があるので、そこそこ持ち堪えて、貧血には至らないんです。つまり、赤血球の崩壊がそこそこ進んでいても、貧血途上君?状態で、貧血にまでなれないだけの話(笑)。ビタミンEやコレステロール等の不足の他、膜を構成するリン脂質の脂肪酸組成が不適切でも、赤血球の膜はと~っても弱っちい子になってしまいます。それでもエンドレスに蘇るゾンビなら、その不気味な強かさを褒めてやりたいところですが、赤血球は核ミトコンドリアを持たないので、活性酸素フリーラジカルにいじめられて傷付いても、傷を自分で修復する事が出来ません。つまり、やられっ放しなんです。軽度の溶血を呈している時は、酸化ストレスが増大している可能性大なので、秘かに隠している悪い生活習慣を悔い改めてもらいつつ、抗酸化アプローチを積極的に試みるのがよりベターな選択になったりします。
■ビタミンE
前述の通り、膜の安定性に重要なのがビタミンEです。膜の脂質二重層のc-2位に結合しているリン脂質に、まるで寄り添うかの様に配置されています。リン脂質に含まれる多価不飽和脂肪酸は、二重結合を多く含む立体構造が故に、酸化ストレス、フリーラジカルの悪影響をもろに被っちゃうんですね。それを守ってくれるのが、ビタミンEです。ですから、Eが足りないと、赤血球だと溶血!になっちゃうんですね。
Eの過不足を評価する指標としましては、LDH、間接ビリルビン、網状赤血球の3つの項目を使用します。
※治療の内容によっては、国内未承認医薬品または医療機器を用いて施術を行います。治療に用いる医薬品および機器は当院医師の判断の元、個人輸入手続きを行ったものです。
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