口腔周囲(口周り)とアンチエイジング | 旭川皮フ形成外科クリニック旭川皮フ形成外科クリニック

HISAKOの美容通信2018年1月号

口腔周囲(口周り)とアンチエイジング

口周り(口腔周囲)とアンチエイジングは、単に容貌の若々しさ、つまり、ほうれい線やたるみの改善や口角を上げるだけの話に留まりません。噛むbitingにより、酸化ストレスが軽減することが知られており、抗酸化能を発揮する運動とも言えます。脳機能の活性化にもつながるので、認知症の予防・改善に効果があります。唾液の分泌を促すので、口腔内の自浄作用等が期待出来、高齢者に起こりがちな嚥下性の肺炎等の予防にもなります。口周りの筋肉をトレーニングする、所謂顔トレは、見た目のアンチエイジングだけでなく、唾液の分泌を増やし、脳機能のアンチエイジングにもなります。

 口腔内は歯医者さんの分野で、HISAKOの専門とするところではありません。が、幾ら栄養療法(!)を声高らかに叫んでみても、私達の栄養の根幹である食べ物は、先ずは口から入って来ます。それに、そもそも口腔は、飲んだり喰ったりだけでなく、それを味わい、話をするという、人間の根本的な欲求を司る器官でもあります。実際、「白い精製した米ではなく、玄米を良く噛んで食べろ!」と患者さんに力説したところで、家族から「ボソボソして、不味い!」と総スカン喰えば、食べてもらえません。

 因みに、下記は、コラム 食事で体を治すでも載せた、二八玄米。まあ、コラムは、2017年2月14日のものです。玄米の炊き方について書いてます。参考にしてね。

 …生体の恒常性の維持には極めて重要な器官ですが、医学部出身の医者は、歯学部出身の歯医者ではないので、中々、その指導には難渋するのも事実です。自戒を込めて、アンチエイジング身於ける口腔の役割について考えてみようと思います。

ドライマウス

唾液の重要性

 口腔の機能の維持に、唾液は非常に重要な役割を担っています。1日1500ccも分泌される唾液ですが、単なる水気(水分)って訳ではなく、私達の体の恒常性の維持にとって重要な成長因子や生理活性物質、抗菌物質、免疫グロブリン等が含まれているだけでなく、洗浄や溶解、消化、解毒、粘膜保護作用等の多彩な役割を担っています。

 顎下腺から、神経成長因子nerve growth factor(NGF)や上皮成長因子epidermal growth factor(EGF)が分泌されているのは、皆さんもご存知だとは思います。前脳基底部のコリン作動性ニューロンは、脳みその老化に従い、痕跡程度に萎縮してしまうものですが、この変化は可逆性で、NGF投与により肥大化し、機能の改善に繋がります。実際、Fisherらの報告でも、迷路学習障害のある年寄りマウスにNGFを投与したところ、学習能力が改善されたそうです。

 ですから、成長因子を含む唾液の分泌を促進させる事は、アンチエイジング領域に於いて、非常に重要な課題となります。同時に、種々のホルモン(美容通信2010年12月号)やストレス物質、抗酸化物質、酸化ストレス度等を評価する為の検査の、大事な検体材料にもなるのです。多寡が唾と侮るなかれ!

 

ドライマウス(口腔乾燥症)

 唾液の分泌量が減少し、唾液の質が変化する病気が、”ドライマウス”と定義されています。ドライマスになると、虫歯や歯周病のリスクが上昇するだけでなく、感染症や嚥下性肺炎、上部消化管の損傷、嚥下機能低下等の様々な病気の引き金となり、ぐ~んと人生の質が低下します。

 日本に於けるドライマウスの患者さんは、詳細な疫学調査は行われてはいないのですが、少なくともドライアイとほぼ同数、800万人位ではないかと推定されています。更には、欧米での疫学調査では、国民の約1/4がドライマウスに伴う様々な症状に悩まされており、計算上、恐らく日本でも3000万人の潜在患者がいるのではないかと考えられています。

■発症原因

 何故ドライマウスになるのか。その原因は非常に多様ですが、その大半は生活習慣病等から高血圧症を発症し、降圧剤の服用の挙句、嬉しくないオマケとしての、つまり薬剤性ドライマウスが多く、その他にも、糖尿病や高脂血症、動脈硬化等の生活習慣病に起因する慢性疾患美容通信2015年6月号)(美容通信2017年4月号)(美容通信2016年11月号)(美容通信2017年10月号に起因する事が知られています。更には、食習慣による筋力の低下!等や、精神的なストレスによるものも多く、実に発症は複合的な原因が絡み合っているので、運動指導や食事指導を含む、包括的なドライマウス対策が重要になります。

唾液腺ホルモン(パロチン)

 緒方知三郎先生により、1940年頃より唾液腺内分泌説が浮上し、1944年にパチロンと言う物質が確認されました。耳下腺(パチロン)や顎下腺(S-パチロン)では、唾液腺の腺条部からパチロンは分泌されますが、同じ唾液腺の括りの中にいるとは言え、舌下腺には腺条部がないので、分泌はされません。

 耳下腺からの分泌機能は、幼少期ではとてもお盛んですが、成熟期になる頃から、耳下腺の腺房は萎縮・脂肪化の一途を辿ります。高齢者では唾液腺の萎縮→パチロンの分泌も減少します。

■最近話題の若返りホルモンが、パチロンだ!

 パロチンの間葉性組織(軟骨、歯、毛、血管系等)に対する作用、つまり、散骨の増殖、歯の石灰化促進、毛の成長促進、血管新生促進が明らかになるにつれ、パロチンの分泌減少が、老人病の発症に深く関与している事が次第に明らかになって来ました。

■パチロン(10mg)(あすか製薬株式会社)製造中止のお知らせ

 しかしながらの、悲しいお知らせです。

2014 年 11 月 販売中止及び薬価基準経過措置のご案内

謹啓

時下ますますご清祥のこととお慶び申し上げます。 平素は弊社製品につきまして格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。 唾液腺ホルモン製剤「パロチン錠 10mg」につきましては販売開始以来、先生方にご愛顧を頂戴して まいりました。しかしながら、原薬である唾液腺ホルモンの専用採取牛を BSE 発生経験国以外で継続 的に確保することが困難となり販売を中止させて頂くこととなりました。 大変ご迷惑をおかけし誠に恐縮に存じますが、事情ご賢察のうえ何卒ご了承賜りますようお願い申 し上げます。今後とも、弊社製品につきまして、引き続きご愛顧を賜りますようお願い申し上げます。

謹白


 パチロンは、血清カルシウム量減少、窒素平衡是正、体重増加、弾力線維(美容通信2004年4月号)及び結合組織の発育促進、細網内皮系賦活作用があり、初期の老人性白内障や進行性指掌角化症が適応疾患です。目や皮膚の老化を防ぐ作用があるとされています。

残存歯数と咀嚼

噛んで、脳みそを活性化しよう。

 末梢と中枢を繋ぐ強力なネットワークが存在する大脳皮質の運動野噛む(咀嚼)って行為は、この運動野をがっつり刺激してくれるので、脳みそへの血流をUP‼ 血流の改善は、脳みその機能の活性化だけでなく、唾液分泌を促します。勿論、全身の代謝も上がります。

 

噛むとは、抗酸化運動の実践でもある。

 面白い論文があります。噛む事により、中枢神経系の酸化ストレスに対してどのような影響が及ぼされるのか? 身動きが取れない様に拘束したラット群と、ご勝手にどうぞ動き回って下さいな群を比べると、拘束群では、明らかに脳内酸化ストレスが亢進していたんだそうです。面白い事に、このバリバリに亢進した酸化ストレスは、ラットに、木の棒を好きなだけ噛んでもいいよ~んと、思う存分噛ませただけで、激減してしまったんだそうです。木の棒が、∞プチプチの様な究極のストレス発散グッズなのか(笑)、噛むと言う咀嚼筋運動自体が、酸化ストレスを軽減するのか…。恐らく、常識的には、後者でしかありえません(笑)が、噛むと言う行為には、口腔機能だけでなく、中枢の酸化ストレスを軽減する、一種の抗酸化運動とも考えられます。

 

噛む為には、歯が必要だ。

 この咀嚼に関係するのが、歯の本数。残存歯数です。臼歯を欠損させ、学習能力を検討したマウスの実験では、臼歯がちゃんと残っているマウスは、餌場を覚えていて、効率良くご飯を食べていたのに対し、臼歯欠損群では、明らかに餌の摂取量は低下していました。解剖してみると、この欠損群のマウス達の脳みそは、記憶を司る海馬の神経細胞が著しく減少していたんだそうです。この事から、残存歯数と学習記憶能力には明らかな関連性があり、歯の欠損や不成咬合は脳みその活性化を損ない、その機能の低下を増悪させる可能性が示唆されました。

 噛む行為を妨げる代表的な病気としては、歯周病が挙げられます。現在、糖尿病や高血圧症等の生活習慣病と同様に、歯周病は、その発症や進行に酸化ストレオゾン化オリーブオイルは、一般的な皮膚病変だけでなく、美白やシワ等の美容系も効果があります。代謝を改善し、血流をUPさせる事がその理由と考えられています。感染症にも効果があり、ニキビ肌の日々のケアにも最適です。スが関係しており、オゾニールの様な局所的な外用薬による歯周組織に対する抗酸化治療、又、オゾン療法(美容通信2017年4月号)や高濃度ビタミンC点滴療法(美容通信2016年11月号)、水素(美容通信2017年10月号)等の全身に対する抗酸化治療による、酸化ストレスのコントロールが重要視されています。

 顎関節症も、昔は単なる退行性病変としか考えられていませんでしたが、現在では、酸化ストレスが関連する炎症性疾患として位置付けられるようになりました。顎関節と老化による関係は未だ分っていない点も多いですが、顎関節症の患者さんの顎関節滑液を調べてみると、活性酸素種による酸化ストレスが亢進しています。特に、H2O2が、顎関節症により過剰になった鉄イオン等の生体内遷移金属イオンと反応し、その挙句に産生されたHOが、ROSの主たる構成要員になっているんだそうです。って事は、前述の抗酸化治療と併せて、キレーション(美容通信2017年8月号)(美容通信2006年11月号)が有効なのでは?と考えられています。

補足・脳とアンチエイジング医学

認知機能の加齢変化

 認知とは、私達人間が外界からの刺激を認知する一連の作業で、見たり聞いたり(知覚/注意)、覚えたり(記憶)、考えたり(思考)と言った、人間の脳内で働く総合的な知的活動です。

 所謂、高齢者の認知症のスクリーニング検査(MMSE;Mini Mental State Examimation)(国立長寿医療センター研究所)で測定出来る範囲の認知機能に関して言えば、75歳以上であっても満点を維持出来る人もいる一方で、年齢と共に、ダダ下がりしてしまう人もいます。

 しかしながら、年と共に認知機能が下がる人がいると言っても、彼らは、MMSEの全ての項目に於いて軒並み点数が下がっていたのではなく、損なわれやすい認知機能と損なわれ難い認知機能があったそうです。それによると、「物品の呼称」や「文章で指示された事を実行する」は、年齢に関わりなく正答率は高く、「文章の作成」や「図形描写」については、正解率はやや低いものの、明らかな年齢による正解率の差はなかったそうです。それに対し、物品の名前を思い出すとか計算については、60歳代前半から正解率はぐ~んと下がり(60%)、更には、年を取るにつれて、雪崩的に著しく低下してしまったそうです。

 情報処理のキャパが、元々あんまり大きくない人も、デカい人も、色々います。しかし、年を取って、知覚段階での、難聴だとか老眼、白内障なんかの加齢的な変化や、情報処理速度の低下、注意力の持続低下が起こると、情報のパターン認識や短期記憶の効率が下がります。数分前に覚えた物の名前を思い出したり、前の数値を覚えておかないと、そこに足したり引いたり掛けたり割ったりなぞ出来ない!計算能力の低下は、刺激入力(インプット)系や短期記憶の加齢変化と考えられます。

 それに対し、外界から課題を与えられた場合の、理解や行動の表出(アウトプット)に関しては、加齢変化は認められなかったんだそうです。知能検査等の、より高度な知的能力を必要とする検査を行ってみても、動作的知能は年齢と共に下がる事はあっても、言語性知能は70代まで低下はしません。それどころか、人間の叡智とか知恵は、年老いてますます盛んになるばかり!なんです。

 認知機能は、インプット系については、全員が全員ではないですが、年を取ればそれなりにって事も無きにしも非ず。しかし、アウトプットとしての知能は、フツーは年を取ったからって下がるもんじゃあありません。ですから、何らかの低下があれば、年の所為にせず、病気かも!?と疑ってみるのが大事です。

 

記憶の加齢変化

■記憶の種類

 短期記憶には、秒単位の瞬時記憶と、数時間から数日単位の短期記憶の2種類があります。短期記憶は、電話を掛ける時に、電話番号を一時的に覚えてますよね? あの記憶です。長期記憶は、数十日から数十年に及ぶ記憶です。年を取ると、さっき朝ご飯を食べたのを忘れちゃいますが、子供の頃、戸棚に隠しておいた大事なレモンケーキを、弟に食べられてしまった時の恨みは、何時までも覚えています。短期記憶が障害されますが、長期記憶は損なわれ難いと言う特徴があります。

 又、記憶には、陳述記憶と非陳述記憶があります。前者は、体験した出来事の記憶や言葉の意味、一般常識等の、言葉で表す事が出来る(言葉)記憶です。これに対し、後者は、自転車の乗り方等の体に染み付いた記憶で、言葉に表す事が中々難しく、手続き記憶とも言います。年を取ると、短期の出来事記憶の障害が最も強く、手続き記憶は最も障害され難くい。つまり、さっき朝ご飯を食べたのを忘れてますが、例え、冬山に姥捨てしても、スキー一式も傍に捨てて行けば、ちゃんと里まで滑り降りて、家に戻って来るものです。

■記憶の回路

 陳述記憶には、2つの回路があります。

 大脳皮質連合野は、嗅内皮質に収束し、穿通枝を通って海馬歯状回に伝達されます。その情報は、CA3→CA2→CA1へと伝わり、情報処理を受けて海馬支脚に至り、更に嗅内皮質を経て、大脳皮質連合野に送られて長期記憶になります。短期記憶は、その途中の海馬部分に一時的にストックされただけのもの。取捨選択されて、大事なものの範疇から外れちゃった記憶達です。

 もう一つは、Papez回路(海馬-脳弓-乳頭体-乳頭体視床束-視床前核‐帯状回-海馬体)で、アルコール多飲やビタミンB1欠乏で、近時記憶が障害されます。HISAKOも、先日アホみたいに飲んだくれて帰った時は、しっかり化粧も落とし、友達に鍋ごともらったカレーを一回分づつにジプロックし、鍋洗って、別の友人に長電話して寝たらしいけど、全く記憶がない。近時記憶障害の典型です!

■加齢による記憶障害

 数字は海馬に一時保持され、9桁が最大なんだそうです。若者の平均は6.6に対し、爺婆は5.8。又、他の報告によれば、脳のMRIで全く異常を認めない健常成人に対語記憶検査を行うと、年と共に成績は明らかに低下したそうです。

■記憶のアンチエイジング

 良い環境で飼育したマウスの記憶機能は、有意に高いんだそうです。最近、一旦失われた長期記憶が、ヒストン脱アセチル化酵素阻害薬で回復する事が、動物実験で明らかにされました。強いストレスを加えると、海馬のCA3の神経細胞が死んでしまいます。人間様でも、ストレスに晒された期間に比例して、海馬の萎縮は認められます。軽度の認知障害のある人に、運動負荷を加えると、記憶機能の有意な改善が認められたとの報告もあります。つまり、良い環境(趣味、積極的な生活)や運動は記憶機能を改善するのに対し、ストレスは悪化させる可能性が考えられるって事なんです。

 記憶障害のアンチエイジングって分野は、まだまだ確率はされてはいません。が、何よりも大切なのは、年を取っても繰り返し覚えたり、チャンク化(数字を記憶する時に、0166748921と覚えるのではなく、0166-74-8921と区切って覚える事をチャンク化すると言います)したり、或いは何かに関連付けて覚える事で記憶力はUPします。年の所為にしないで下さい。

 

運動と認知機能のアンチエイジング

 人も猫も犬も、須らく動物は、爺婆化に伴って心身の機能が退行するもんです。しかしながら、世の中に棲息する所謂フツーと称される爺婆だって、適度な運動を続けてると、町内の三浦雄一郎程度にはなれます。若者やスポーツ選手に負けず劣らずの、体力や精神力なんてものは、決して夢物語ではありません。実際、適度な刺激を筋肉に加えると、爺婆化による退行変性が軽減し、クオリティ・オブ・ライフが上がります。

 最近、運動が、脳、とりわけ、海馬の神経可塑性や認知機能を高める可能性を示唆する論文が、急増しています。運動は、脳みその退行変性に対して、どんな潜在的な効果があるのでしょうか?

■人間を対象にした研究から

 爺婆を対象にした疫学的研究では、高い身体活動レベルを有する人ほど、優れた認識機能を有し、更にアルツハイマー病の原因遺伝子であるApoE4の発現抑制が報告されています。

 総じて、これ等の疫学的研究で評価された身体活動には、有酸素運動が多く、実際、有酸素運動(ウォーキング)の介入研究では、記憶に関わる前頭前野の機能改善が報告されています。つまり、認知機能の抑制が示唆されました。更には、有酸素運動を行うと、生活習慣病(糖尿病、高血圧、脂質異常症)や心疾患と言った、認知症発症の危険因子の予防・改善が認められ、認知機能の維持に効果的と考えられています。

 「利根町プロジェクト」(2003~2005年)では、認知症予防に対する運動効果を検討した介入試験です。65歳以上の高齢者に対して、軽運動(約4.5Mets)を課したところ、記憶能力の改善、尿中コルチゾールの減少、記憶能力と有酸素能力での正相関、更には軽度認知機能障害者で記憶能力の改善が認められました。因みに、コルチゾールは、副腎疲労の特集(美容通信2017年5月号)(美容通信2015年4月号)でも触れましたが、強力なストレス因子です。爺婆化に伴い、ストレスホルモン調節機構(視床下部-下垂体-副腎皮質系と交感神経のフィードバック)が衰えしまっている高齢者の脳みそにとって、悪影響しか及ぼしません。実際、年と共に、安静時血中コルチゾール値が増加している老人ほど、空間学習や記憶に関連する海馬の、萎縮やその機能低下が著しいそうです。つまり、慢性的なコルチゾールの増加は、認知機能低下を招きかねませんが、軽運動を続ける事で、脳内のストレスが軽減され、フツーの爺婆は勿論、アルツハイマーを発症してしまった患者さんにとっても、記憶力の改善が認められます。

 HISAKOのクリニックでは、腹筋300回を勝手にしてくれる!AC BODY(美容通信2012年7月号)で、寝たきりでも強制運動ですが。

■動物を対象にした研究から

 動物対象の研究は、ある意味、人に対しては行い得ないような非人道的な内容の実験もありですから、特に海馬に焦点を当てた研究が盛んに行われています。

 豊かな環境、つまり対照群と比較して、広々としたゲージ、回し車(別名:ハムスターホイール)、カラフル!なトンネル、玩具等が完備されている環境下では、海馬神経細胞の新生や生存が促進されるそうです。又、運動により、海馬の機能やシナプスの可塑性、神経新生や血管新生、神経可塑性に重要な成長因子(IGF-Ⅰ、BDNF、VEGF等)が増加します。

 アルツハイマー病のモデルマウスですら、豊かな環境下で、より自発的な運動(活動)が出来ると、病気の進行が治まり、ネプリライシン(アミロイドβの分解を担う)酵素活性の活性化、神経新生や血管新生、細胞の生存等に関連した遺伝子の増加が認められるそうです。運動の認知機能・増進効果は、実に注目すべきもので、運動は筋肉だけでなく、脳みその退行変性に対しても効果があるんです。凄いですね。

 海馬の可塑性を高める為に、より効果的な運動とはどんなものでしょうか? 自発的な運動と言っても、なかなかその条件の設定は難しいし、ストレスに脆い爺婆では、体を動かす事自体が、それこそストレスになりかねません。しかし、低強度のトレッドミル運動レベルでも、十分に神経活動の活性化やBDNFの増加、それに伴う海馬局所血流の増加が、認められたとの論文もあります。

 最後に興味深い論文を。19週齢マウス!って超高齢でも、自発的な運動を行うと、神経新生の促進、空間認知能力の向上が、ちゃんと認められるんだそうです。運動による、認知機能のアンチエイジング効果は、計り知れないものがあります。

 

栄養と認知機能のアンチエイジング

 年寄りの脳機能と言えば、認知症。特に、アルツハイマー病の発症が問題視されますが、このアルツハイマー病にも、食事栄養や運動が大いに関係しています。お野菜と脂質の関与が特に大きく、脂に関して言えば、お魚の油が抑制的に、反対にお肉系の脂は促進的に働きます。と言っても、アルツハイマーの発症は、1つの食品に罪を擦り付けられる程には、単純な病気ではなく、満遍なく色々食べろよな!に帰着するんですけどね。

■アルツハイマー病に関連する食事療法

  • 野菜や果物を食べて予防

   ビタミンC(美容通信2009年11月号)、ビタミンE(美容通信2009年12月号)、βカロテン、ファイトケミカル(美容通信2017年9月号)(美容通信2010年8月号)等の抗酸化物及び葉酸の摂取。

   アルツハイマー病の患者さんの神経組織の特徴的な所見として、細胞外では、アミロイド β(Aβ)のプラーク形成(アミロイド β 斑または老人斑)と、細胞内では、異常リン酸化されたタウ蛋白質による神経原線維変化が挙げられます。これらの蓄積した蛋白質が、神経細胞にダメージ→細胞死を引き起こし、認知症を来たします(アミロイドカスケード仮説)。老化の最大の敵であるフリーラジカル(美容通信2017年4月号)(美容通信2017年10月号)(美容通信2016年11月号)が増加すると、Aβ蛋白質も凝集が促進します。なので、お野菜や果物は、死ぬまでずっと食べ続けて下さいな。お野菜は、1日350g(うち緑黄色野菜120g)は食べないとね。

  • 魚を食べて予防:魚の油に含まれるω-3多価不飽和脂肪酸が関与しています。
  • エネルギー・糖代謝に関するもので、総カロリー摂取過剰、脂質・糖の過剰摂取(美容通信2017年9月号)、糖尿病や高インスリン血症の問題等。

   カロリ―の過剰摂取、つまり食べ過ぎって奴ですが、フリーラジカルの産生を増やしてしまうので、腹八分目で留めときましょう。

■中年は、メタボに注意!

 アルツハイマー病の発症に、血管因子の関与が報告されています。特に、40~55歳の中年期の高血圧や脂質異常症等の心血管系危険因子を持つほど、65歳以降にアルツハイマー病に罹患しやすいんだそうです。働き盛りの中年期に、肥満と高血圧、高コレステロール血症のメタボの王道を歩んでいた人は、リスクが6倍にハネ上がるんだとか!

 まあ、内臓肥満は、高血圧や糖尿病、インスリン抵抗性、慢性炎症(CRP上昇)等の血管因子を介して、アルツハイマー病の発症へと繋がっていくのでしょう。

■日本の爺婆では、寧ろ栄養の欠乏や痩せの方が問題となる!

 複数の横断的調査によれば、爺婆で認知機能の低い群では、高い群に比較して、①ビタミンB1、B2、B6、B12、葉酸等のビタミンB群の摂取が少ない、②ビタミンC、ビタミンE、βカロチン等の抗酸化物の摂取が少ない、③カルシウム、亜鉛、鉄等のミネラルの摂取が少ない、④総脂質、飽和脂肪酸、コレステロール等の脂質の摂取が多い事が分かっています。つまり、年を取って認知機能が低下してくる場合は、その背景に複数の栄養素の欠乏が隠れています。

 昔から、「急激に痩せちまったなぁと思ってたら、あららって間に、急に呆けが始まっちゃってねぇ」なんて話は、好く耳にすると思います。実際、アルツハイマー病に特徴的とされる側頭葉内側面の萎縮の程度と、体重減少は相関するって報告もあります。側頭葉内側に属する大脳辺縁系には、鉤、海馬傍回、扁桃核があり、記憶、食欲、食行動、情動の制御に関係しています。鶏が先か、卵が先か。脳の病理学的変化が体重減少の原因なのか、はたまた、低栄養、必須栄養素の慢性的な不足やエネルギー不足、低血糖が脳の萎縮の原因なのか…どちらなんでしょうね。

■脂の話

 アルツハイマー病に関与する脂と言えば色々ありますが、何と言っても、西の横綱・コレステロールと東の横綱・お魚の油(DHAやEPA)でしょう。脳内でのコレステロールの過剰若しくはDHAの欠乏は、Aβ蛋白質を作り出すγセレクタ―ゼ活性の亢進、アミロイド凝集の促進、アミロイド血管症形成、シナプスの機能異常、可塑性の阻害等を引き起こします。

 脳内のコレステロールは、脳みそ独立国に於いては、自給自足の産生体制(アストロサイト)で統括されていて、体の他の組織とは、血液-脳関門って関所で隔てられています。つまり、血液中のコレステロール値とは無関係で、食事でいくら油ぎとぎとご飯を食べたかなんて関係がないんです。寧ろ、爺婆に至っては、血清コレステロール値が高い程、認知症になりにくいなんて報告もあるくらい。

 お魚さんの油(ω3PUFA)(美容通信2010年6月号)は、コレステロールと異なり、脳内では合成出来ません。食事で食べる必要があります。抗炎症作用(IL-1、IL-6の産生抑制)(美容通信2007年3月号)、抗不整脈作用、抗血小板凝固能亢進作用、抗動脈硬化作用、血清脂質の改善作用などがあり、これ等がアルツハイマー病の予防に効果があるのではないかと思われています。

口腔周囲筋のトレーニング

顔の筋肉

 顔だけでも、50以上の筋肉があります。しかし、実際に意識してトレーニングを行う筋肉は、そんなに多くはありません。お顔全体でも17。口腔周辺に限定すると、もっともっとこの数は少なくなります。 

  • 側頭筋:こめかみの所の筋肉で、顎を閉じるのに使われます。
  • 前頭筋:額の筋肉で、眉全体を挙上する時に使います。
  • 眼輪筋:目の周りの環状の筋肉で、所謂笑いジワはこの筋肉の動きによるものです。
  • 上唇挙筋(上唇方形筋):上唇の筋肉で、上唇が微笑む時に動きます。
  • 大頬骨筋:頬骨の筋肉で、口を動かす時に使われます。
  • 咬筋:顎を閉じて噛む時に使う筋肉。
  • 胸鎖乳突筋:胸と鎖骨を、頭蓋骨に繋ぐ筋肉。
  • 口角下制筋:不快な時に口角が垂れるのは、この三角形の筋肉が関係しています。
  • 口輪筋/(下)口輪筋:上唇及び下唇にある半円形の筋肉で、唇を動かすのに使います。
  • 頬筋:深部にある頬の筋肉で、笑う時にエクボを作ります。
  • 下唇下制筋(下唇方形筋):下唇の筋肉です。
  • オトガイ筋:顎の筋肉。
  • 顎二腹筋:二重顎の原因になる筋肉。下顎に柔軟性を持たせます。
  • 斜角筋:不等辺三角形の筋肉で、頭部を側方へ傾けますが、呼吸補助筋としても機能します。
  • 肩甲舌骨筋:舌骨を後下方に引く作用を持つ筋肉。
  • 頬骨舌骨筋:舌骨を下方に引く作用がある筋肉。

 

トレーニングの意義

 口唇周囲の表情筋群を鍛えるトレーニングは、非常にアンチエイジング分野では重要視されます。口唇閉鎖力は、成長発育だけではなく、年を取る(加齢)と、ちゃんと口を閉じてられない紳士淑女が増えて来ます。標準値(男性14ニュートン/女性12ニュートン)よりも低いグループでは、口腔領域の病気や、アトピー性皮膚炎(美容通信2007年4月号)や蕁麻疹(美容通信2006年4月号)、脂漏性皮膚炎(美容通信2004年9月号)、花粉症(美容通信2005年3月号)(美容通信2011年5月号)等のアレルギー性疾患を患う人が多いとされています。

 勿論、若々しい容貌を保つ為にも重要です。シワやたるみ等の改善に有用です。顔面にある筋肉の約7割は、口腔周囲に集中をしています。実は、顔面の筋肉のうち、通常使用される筋線維は全体の2~3割に過ぎません。確かに、年を取るに従って筋肉は萎縮しますが、使わなければ、若くたって、萎縮して衰えるものです。つまり、使えば、年を取ってたって大丈夫。遅きに失するなんて事はないのです。顔面の筋肉を部分的に鍛える事で、例え、爺婆であったとしても、シワやたるみは改善(美容通信2014年5月号)されます。特に、顎顔面の筋肉は、体の他の部分の筋肉と比して小さく、それ故に個々の筋肉を意識しやすく、また筋肉に対する脂肪の割合も少ないので、短時間でも鍛錬が可能な部位です。

 この様な口腔周囲筋や表情筋のトレーニングは、唾液分泌を促す効果や摂食嚥下機能の改善効果もあり、栄養療法(美容通信2007年3月号)(美容通信2016年6月号)(美容通信2017年9月号)を強力に後押ししてくれます。

 

トレーニングの下準備。そして後片付け。

■三原則

  • ターゲットとなる筋肉は、どれ?

   トレーニングを漫然と行っても、効果は上がりません。トレーニング前に、先ずはそのターゲットをちゃんと見定めておく事が大切です。冬眠状態の筋肉ってものは、見逃しやすいですし、小さな筋肉であればあるほど、その位置を確認するのには鍛錬が必要です。最初は、鏡を見ながら、トレーニングをしましょう。

  • 血行改善

   血行が良くない。つまり、首絞め状態では、酸素も行き届かず、筋肉向上計画の妨げになります。

  • リラックスの重要性

   エクササイズでの緊張が、終了後もずっと続いているのは、決して望ましい状況ではありません。リラックスさせてあげましょう。そうじゃないと、緊張と固くなった事で血行不良となり、痙攣を起こす事があります。

■トレーニングのツボ

 顔のトレーニングは、体のそれと違って、特別な道具(マシーン)も、ウェアも、ジムのような広い空間も要りません。何時でも、何処でも、交通渋滞の最中でも、オフィスでも、ミート矢澤の行列に並んでいる時でも、OKです。そりゃまあ、変顔に困惑したり、吹き出してしまう通行人や同僚はいるかも知れませんが…、弛んだ顔になるだけならまだしも、呆け老人になると思えば、遥かにマシと言うものでしょう。

  • 始める前に、顔をリラックス❤
  • 清潔な肌に整えてから、オゾン化オイル(オゾニール)の様な潤滑剤を塗っておくと、肌に余計な負担を掛け過ぎる事がなくなります。
  • ウォーミングアップをしましょう。
  • 鏡は、トレーニング中も確認しやすい場所にセットしておきましょう。
  • 痛みを感じるようなら、即、中止! 間違った筋肉を使っているのかも?
  • アシンメトリーな顔にならない様に、トレーニングは左右均等に鍛えましょう。
  • 毎日少しずつ、コツコツと! 思い出した様に、たまにがっつり派よりも、はるかに効果が上がります。
  • 一つずつ、丁寧なトレーニングを心掛けて下さい。おざなりに10回繰り返すより、丁寧で適切なトレーニングを1回行う方が全然マシです。
  • トレーニングが終わったら、トレーニングに要したのと同じ位の時間を、リラックスタイムに割きましょう。
  • 息は止めてはいけない!
  • どんなに疲れていても、どんなに忙しくても、クールダウンを省略してはいけません。コース料理で、肉だけ、魚だけ食べて終わりにするようなものです。ウォーミングアップ、トレーニング、そしてクールダウンの3拍子揃って、初めてトレーニングをしたと言えるのです。

■下拵えと後始末。若しくは、前菜とデザート?

 いきなり、皇居の周りを走るランナーはいません。先ずは、ウォーミングアップ。走り終わったら、クールダウン。これはジョギングだけでなく、口腔周囲筋のトレーニングを含む、全ての運動について言える大原則です。

  • ウォーミングアップ

   これから使う筋肉の緊張を解して、血液やリンパの流れを良くするウォーイングアップ。

   立つか、背中を伸ばして座り、両腕を、体と平行に肩の高さまで上げます。肩を軸にして、腕全体を、小さな円を描くように、前方向に10回回します。同じ動きを、今度は後ろ方向にも行いましょう。これを前後夫々に3~5回繰り返しますが、繰り返す毎に、円のサイズを拡大していくのがポイントです。これにより、喉と首の辺りが解れ、血行が良くなります。

  • クールダウン

   ウォーミングアップで行った動作を、再度繰り返します。それから、頭を膝にくっ付けるくらいのつもりで、だら~んと前屈しましょう。上半身は脱力状態で、池袋ビックカメラのテーマソングを心で口遊みながら、両腕は振り子の様に?タンタンたぬきの金玉の様に?ぶ~らぶらさせます。深呼吸。

   リンパの流れを一定に保つ効果があり、デトックス(解毒)効果が期待出来ます。

 

トレーニングの実際

 トレーニングは、全て行う必要はありません。気になる箇所を4つか5つ選んで行います。夫々に1分以上も掛ける必要はありません。ですから、所要時間がMAXでも5分程度のトレーニングって事です。

■鼻

 鼻の筋肉群のドンである鼻筋は、糸切り歯が刺さっている骨へと繋がる筋肉です。筋肉を引き締めて、柔軟な動きを保つようにする他、年と共に、鼻は横にどたんと胡坐を構く傾向が出て来るものですが、これを防いでくれます。

①ゆっくりと深く息を吸い込み、鼻の穴を膨らませましょう。鼻を引っ張って、軽く鼻をかみます。今度は、息を吐きながら、鼻腔を狭めます。これを5~6回繰り返します。


②親指と人差し指で、鼻腔をそっと抓んで、①をもう一度行います。鼻の穴から、息をゆっくり吐いて、胸が沈むのを感じましょう。

③人差し指で、鼻の頭をくいっと上に押し上げて、豚鼻! 次に、親指と人差し指で抓んで引き下げて、魔女の鼻。これ、4~5回繰り返します。

■口と顎全体に

 下唇を動かす下唇下制筋と、小さなオトガイ筋にアプローチします。口角と顎が垂れ下がるのを防ぎ、顎のたるみを引き締めてくれます。オマケに、唇の輪郭や色も綺麗にしてくれるのが嬉しい(^^♪

①上の歯と下の歯を合わせたまま、唇だけを開きます。口角を横に引っぱって、下の歯が見えるようにします。

②両端の口角を両手の人差し指で押しながら、その指の力に抗うように、筋肉を駆使して口角を下に引き下げます。

③口を少し開けて、頭を軽くふりふりして、顎の辺りの緊張を解します。

■口角の皺

 上唇挙筋に対してのアプローチで、所謂豊齢線と呼ばれる皺と言うか…たるみに効果があります。

①口角と上唇を上げて、口は2cmくらい開けましょう。そしたら、そのまま上唇だけを上げて、上げて、上げ続けて、上唇が前歯に掛かるくらいに引き上げます。もうここまでくると、セクシーな今時のアヒル口じゃなくて、完全にドナルドダック!

②リスが頬袋にクルミを溜め込む様に、先ずは頬っぺたの右側に空気を吸い込んで、膨らまします。今度は、吸い込んだ空気を、反対側(左側)の頬っぺたに移動させます。次に、両側のほっぺた~上唇の辺りに空気を移動させ、縦皺も横皺も分からなくなるように膨らまします。空気を、くちゃくちゃ噛みます。これを5~10回繰り返します。

③唇をそっと一旦閉じましょう。それから、ゆっくり1cmくらい開けます。シャボン玉を吹く様に、そ~っと息を吐きましょう。

■上唇の縦皺と頬のたるみ


 ヒアルロン酸の注入(美容通信2005年8月号)やラシャスリップス(美容通信2016年12月号)に、ついつい頼りたくはなりますが、トレーニングの有無で、更なる美人度に差が出ます。唇を窄めた時の縦皺の原因筋である、唇の周囲をグル~んと囲む口輪筋と、韓国の女優さんとか日本でもエビちゃんとかみたいに、口角をくぃっと上げてくれる上唇挙筋の両方に効果的なトレーニングです。

①チュー(・´з`・)する時みたいに、唇を前に突き出して下さい。

②加藤茶といえば「加トちゃんぺ」ですが、中指を唇に当てて、「加トちゃんぺ」をします。

 因みに、右手を伸ばして、ヒトラーに敬意と称賛を示す「ハイルヒトラー」のポーズは、海外では刑務所行きになる事もあります。その為、代替として若者やネオナチの間で広まったのが、この「加トちゃんぺ」。鼻下に指をあてて、ヒトラーのチョビひげを象徴するジェスチャーです。「ハイルヒトラー」のポーズよりも大目に見られていますが、現に非白人サッカー選手に対して、人種差別の意を示そうとしたドイツ人男性が、「加トちゃんぺ」をして起訴されたケースもあります。このトレーニングだけは、場所を考えて行った方が身の為です。

③馬になりきって、ブルルルルっと唇を震わせてみましょう。

■弛んだブルドック頬

 歯を食いしばる時に、硬い水牛の肉を噛み下す時に使う筋肉が、咬筋です。確かに、過ぎたるは猶及ばざるが如し。発達し過ぎた咬筋は、エラの張った顔!ですが、程好く鍛えられた筋肉は、横から見た時の頬の輪郭を整え、たるみを引き上げてくれます。

①10~20秒間、奥歯をぎゅーっと食いしばります。この時、徐々に筋肉に力を加えて行きましょう。筋肉が緊張して行くその様を、とくと実感して下さい。

②下の歯の上に人差し指で、天井ごっこします。指はしっかり固定したまま、下から、グイグイと突き上げるように下の歯と言うか…下顎?を押し上げます。10秒間。

③実るほど頭を垂れる稲穂かな…。頭を垂れて、首の力を抜いて、頭を横にそっと振りましょう。「いいえ。」って、申し訳なさそうに、好みじゃない男性からのデートのお誘いを断る時みたいに(笑)。

■首

 喉ぼとけの両側を走行する4つの主な筋肉に対する、トレーニングです。喉を引き締め、胸の組織を持ち上げて、顔全体の血行を改善します。

①頭をそらして、下顎を偉そうに突き出します。上下の歯は噛み合わせて閉じたまま、顎を十分過ぎる位に突き出すと、首の筋肉も十分に伸びているのが分かると思います。肺の中の空気は、全部吐き出してしまいましょう。

②左右の肩の向こう側にいる背後霊を見渡すつもりで、首を回します。親指と残りの4本の指で、首を前から捕まえて、もう一度、頭を左から右へと動かします。

③静に頭を垂れて、頷くかの様に前後に、そして左右に数回動かします。

有害重金属と歯科用金属

歯科材料で使用される金属

 重金属は、文字通り、比重が重い金属の事で、白金、金、銀、銅、鉄、鉛、クロム、カドミウム、水銀、亜鉛、砒素、コバルト、鉄等で、人体にとって必要不可欠なものと悪影響を及ぼすもの(有害重金属)の、大きく二種類に分けられます。有害重金属が体内に蓄積される(美容通信2006年11月号)と、フリーラジカルの産生が促進(美容通信2017年10月号)され、老化や癌や動脈硬化、糖尿病、慢性疲労、肥満、抜け毛、肌荒れ、喘息等の慢性疾患(美容通信2015年6月号)(美容通信2017年4月号)(美容通信2016年11月号)になったり、その進行が加速します。

 最近歯科で問題視されているのが、アマルガム(美容通信2017年5月号)を代表とする歯科用金属です。水銀を含むアマルガムは、100年以上前から歯科用材料の主流を担っておりましたが、汚染問題や昨今の歯科技術の進歩により、今では歯科の臨床現場では完全に過去の遺物(材料)となりました。が、アマルガムが過去に充填されたままの患者さんは、未だ大勢いるのが日本の現状です。

 この他にも、歯科材料で使用される金属には、クロム、鉄、コバルト、マンガン、ニッケル、亜鉛、銅、白金、金、銀等の合金が使われています。白金、金、銀は、田中貴金属でも取り扱っている貴金属で、この金属の含有量が多い程、人体に及ぼす影響を最小限に抑えられるとされています。しかしながら、これ等の金属は、貴って文字通り、お値段も張ります。どうしても、安値で直球勝負❤組には、ニッケル、コバルト、クロム等は、時代の潮流によっての若干の差はありますが、やはり根強い人気があり、未だに入れ歯の王道材料です。しかしながら、こ奴らは、酸化されやすく、化学的に不安定な金属なので、フリーラジカルを発生しやすく、更には、唾液や物を噛む度に、金属が溶出しやすい特性があります。つまり、アマルガムほどではないにしろ、人体に蓄積が懸念される金属である事には違いありません。

 まあ、これ等の重金属による汚染度を知りたければ、以前特集した様に、おしっこや髪の毛、爪等で検査は可能(美容通信2016年4月号)です。


*註:HISAKOの美容通信に記載されている料金(消費税率等を含む)・施術内容等は、あくまでも発行日時点のものです。従って、諸事情により、料金(消費税率等を含む)・施術内容等が変更になっている場合があります。予め、御確認下さい。


※治療の内容によっては、国内未承認医薬品または医療機器を用いて施術を行います。治療に用いる医薬品および機器は当院医師の判断の元、個人輸入手続きを行ったものです。

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