シワにファイブロペン | 旭川皮フ形成外科クリニック旭川皮フ形成外科クリニック

HISAKOの美容通信2008年6月号

シワにファイブロペン

image767ファイブロペンは、世界初のIntra RF システム。
シワに直接アプローチします。
ボトックスの様に表情が乏しくなったり、ヒアルロン酸注入の様に盛り上がったりする心配がないのが最大の特徴です。
額のシワや目尻のカラスの足跡、首の横皺等が得意分野です♪

 最近、枕に嵌ってしまいました。元々、枕なんてしない派で生きて来たんですが、友達に誕生日プレゼントに枕が欲しいとリクエストされ、デパートの枕売り場に足を運んだのが運の尽き。素材と高さの組み合わせが何十通りもあり、その中から、ピローフィッターなるお姉様が測定をしてぴったりの枕選びを手伝ってくれるんですよ。目から鱗。と~っても快眠。非常に満足♪
 ですが、何かピローフィッターのお姉様には申し訳ないんですが、私、首の皺が深くなった気がするんですよ。電車の中で居眠りしてても、イナバウアー(←古いな、ははは)並みに退け反って、後頭部を何度も窓ガラスに強打してしまうハシタナイ女だけに、首の横皺とは無縁の筈でした。ところが、枕デビューをしてから、何か首が老けた気がするんです。‥単に、年を喰ったからだけなのかも知れません。でも、気になるんです、はい‥。
 学会の展示会場で、ファイブロペンが、ぱ~んと目に入りました。人間、何かを気にしていると、それに関する情報が勝手に寄って来るって言うじゃありませんか。‥これって、一期一会? 運命の出会いをしちゃったので、今月号の特集は、ズバリ、”ファイブロペン”です。

世界初(!!)のIntra RF システムとは何ぞや?

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 世界初のIntra RF システム。‥謳い文句は凄いですが、このファイブロペンは、画期的な発想の元に設計された素晴らしい最新の器械かと言うと‥、全然そんな事はありません(笑)。100年近くの大昔、1920年代に彗星の如く外科の手術分野に現れた電気メスと、全く構造上は変わらない。単に、外科系のクリニックや病院なら極々当たり前に保有している、止血・切開・凝固の為の器械(バイポーラー/電気メス)と、全く同じ。唯、それらと決定的に違うのは、先端。先っぽが右の図の様に針状になっているって事だけなんです。この、まるで、トイレの中でうんこしながら閃いちゃいました♪的発想の転換が、恐ろしく感動モノであり、ファイブロペンの価値はこの一点のみに集約されると言っても過言ではないのです。

image399 どう言う事かと申しますと、理解を深める為に、ちょっとばかし歴史を遡ってみましょう。1864年、ジェームズ・マクスウェルが電磁波の存在を理論的に予測。その後、1888年にハインリッヒ・ヘルツによる実験で発見されました。この電磁波には色々な種類があり、その中の電波(10kHz~100GHz)は無線通信用として使われていて、ラジオ波 Radio Frequency(略してRF)とも呼ばれています。中でも300kHz~6MHzの高周波領域のRFは、医療分野で良く利用されていて、その代表格が止血・切開・凝固の為の器械(バイポーラー/電気メス)。最近は、肝癌や乳癌、肺や腎臓等の悪性腫瘍の切らない手術としても引っ張りだこですよね。

 美容医療分野でも、2000年頃からはRFを取り入れた治療がお盛ん。皮膚表面には熱傷を起こさずに、真皮または皮下脂肪層に発熱を誘発しtrabeculaeのコラーゲン線維の拘縮を起こさせたり、脂肪の萎縮をもたらしたりさせる作用があるから、若返りや痩身に絶大な威力を発揮するんです。
image768 中でもRF美容業界で2大勢力を張っているのが、モノポーラー方式とバイポーラー方式です。
 前者の代表は、御存知サーマクール。装置本体に接続されたモノポーラ電極から、アースである対極板に高周波電流を通電し、電極接触部位(生体組織)へ電流を集中させ、生体熱を発生させるんです。即効性はありませんが、皮膚の深部でコラーゲン合成が増加するので、地道に肌がふっくらして来ます。
 これに対し、後者の代表はポラリスやオーロラ(フォトRF)。バイ=2の言葉の通り、2つの電極に挟まれた組織のみに高周波を流す方法で、電極が組織に密着する為、隣接する組織の熱損傷や電気的損傷が少なく,低電圧で使用出来る利点があります。ポラリスやオーロラ(フォトRF)と言った従来の器械は、2つの電極を皮膚の上に接触させ、その電極に挟まれた皮膚の極く浅い所にだけ働きます。その為、即効性があり、肌の引き締め効果(skin tightening)に優れています。

 ファイブロペンは、分類上は、バイポーラー方式です。ですから、皮膚の深部には作用しないと言うか、出来ない。つまり、弛みには効かない。でも、従来のバイポーラー方式のRFと比較して、格段にターゲットとする皺には効果があります。だって、皮膚の上からアプローチをするなんて生温い方法ではなく、直接皮膚の中にぶっ刺して、皺になってる部分の真皮・皮下組織にダイレクトに照射するんですもの。皺に効いて当然。でも、面で照射する訳じゃなくて、線状の照射だから、バイポーラー方式のRFだろと言われても、肌の引き締め効果(skin tightening)も期待なんてされても困るですよねぇ。まあ、イメージとしては、ボトックスの注射(美容通信2003年10月号)の適応部位に、ボリューム・アップを伴わない自前のヒアルロン酸注入(美容通信2005年8月号)をするって感じですかねぇ。ボトックス注射の本態は表情筋の動きを止める事にあるんですが、このファイブロペンはそれが無いので、表情を大事にする人にはファーストチョイス。でも、言葉を引っ繰り返すと、表情を止められないから、ボトックス注射の様に進行を少しでも阻止する予防的役割は期待出来ませんが、ね。

ファイブロペンについて、詳しく知ろう

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 ファイブロペンの真髄が、針の先端にある事は、何となく理解出来たんじゃないかと思います。実際問題として、この針の先端を、貴女のその気になる皺の直下にぶっ刺す訳ですから、針についてもっと知っておきたいと思って当然ですよね。解説を加えておきましょう。

 針の直径は、全て0.35mm。これは、29Gの注射針に相当します。一般的に病院で採血する時に使用する針が22Gですから、それよりもず~っとず~っと細い仕様になっています。針の長さは、30mm、40mm、50mmの3種類。照射するターゲットにより長さを選択します。‥え~っ? そんな長い灼熱の棒っこを皮膚にぶっ刺すのかい!? 心配はご無用。灼熱と言っても、高が50~70℃で火傷する程の温度ではありませんし、針全体が灼熱の棍棒ではなく、image764先端部分の2mmしかバイポーラーRFを発していません。凄~く限局した部分だけのお話なんです。つまり、最小のRFエネルギーで最大の効果を得ようという、実に虫の良過ぎる構造なんですね~。

 これを、下図の様に皮内・皮下組織にぶっ刺してRFを照射します。
 え? 痛いかって? 当然痛いです。欧米では無麻酔と言いますが、か弱い大和撫子は卒倒してしまうと思います、多分。‥実は、業者に騙されて、後でお見せする実験台の潮来ちゃん(仮名・49歳・オトコ)の額は、無麻酔で施術しました。大学生の息子達がいる良い年したオヤジが、ボロボロ男泣きした挙句、”勘弁しておくんなまし”と絶叫するものですから‥、額以外の残りの予定部位は麻酔を施行。”最初から、麻酔して下さいよぉ。これなら全然痛くないじゃないですか!!”と怒られちゃいました、へへへ。ですから、それ以後は全例麻酔はしてます。当然ですが、誰も痛がりません。

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 では、素朴な疑問”何で、皺が伸びるのでしょう?” 最近の美容医療業界では、器械自体の限界を、人間の体が本来持っている修復能力で超えさせようって考え方が主流。つまり、産業革命で一旦は主となるかに思われた器械も、主ではなくて従に下り、人間に主権が復帰。器械の価値は、人間が秘めたる潜在能力を如何に引き摺り出す事が出来るかで決まる様になって来たんです。
 針をぶっ刺してRFを流す。傷が出来れば体は必死に治そうとして、線維芽細胞がコラーゲンを作り捲くる。‥この野蛮な行為こそが、人間が本来持っている創傷治癒(美容通信2004年5月号)過程を推し進め、線維芽細胞を刺激して、皺を伸ばす。全く、大昔のゴム農家と、やってる事は変わらないですよね(笑)。

 ファイブロペンの原理、見えて来ました? ですから、ファイブロペンの真の実力は、線維芽細胞の頑張りによってコラーゲン線維の増殖を待たねばならないので、実際は1ヶ月以降(~3ヶ月)の実感となるはず。でも、直後から限局した皺の部分が脹れるし、真皮のコラーゲン線維が熱で蛋白変性を来たして、ちょうど焼肉屋で網に肉を乗っけると縮むのと同じ原理でぐ~っと縮むんです。それで、照射直後から皺が浅くなった気になるんです。image769だから、直後からは勿論、後追いしてボディブローの様に効いて来る、まるで一粒で2度美味しい施術なんですね。

 このファイブロペンは単独でも効果はあるんですが、他の施術と組み合わせて線維芽細胞を更に酷使出来れば、もっと効果が上がる筈。ACR(美容通信2006年12月号)で、拡声器を使って周囲の線維芽細胞を呼び集めるのも良し。線維芽細胞注入(美容通信2007年9月号)で、海外からの移民を労働力として受け入れるも良し。メソセラピー(美容通信2006年6月号)で、線維芽細胞にご飯の差し入れをするのも良し。負荷が掛かり続ければ、幾ら皺が消えた所で、再発は間逃れる訳には行きませんから、ボトックスの注射(美容通信2003年10月号)で表情筋の動きを止めて、少しでも予防の足しとして延命効果を計るのも良し。中々1回の施術では解決出来ない、硬く深く刻み込まれた皺を少しでも軽減する為に、ヒアルロン酸注入(美容通信2005年8月号)を注入するも良し。兎に角、組み合わせは何でもありだと思うんです。

 勿論、浅くはなっても、1回の施術では物足りね~って思う事もあります。なら、再度トライしましょう。1ヶ月後に2度目、3ヵ月後に3度目と、追加して下さい(最短照射間隔:20日)。一般的には、1クールが1~3回。半年から1年位経つと、元々の表情から皺が徐々に再発して来ます。そしたら、又、照射して下さいね。

例えば、こんな感じ♪

 以下症例は、”面が割れても構わないから、皺を何とかしてくれ~!!”と喚いた潮来ちゃんのモノです。他の協力者のメンズは、協力者を名乗りながら実際は極めて非協力的(笑)で、皆、顔を公開されるのを拒んだもので‥、ベスト・ショットと胸を張れないのが少し悲しいです、はい。
 実感度の高い順に並べてあります。効果があるのは、浅い皺。そうじゃないと、ファイブロペン単独の治療ではキツイです。

首のヨコシマじゃない、横皺!

 HISAKOがこのファイブロペンの一押しと密かに思っているのが、首のヨコシマじゃない、横皺! ヒアルロン酸やメソセラピー、ボトックス注射も、確かに悪くは無いけれど、でも断トツにファイブロペンは良い。個人的には、ファイブロペンで大まかな皺を消しつつ、瑞々しい肌をメソセラピーで保つのが一番若々しく見えるのではないかと考えています。首は年齢が著明に出る所ですから、攻略は怠り無く!

 先ずは、論より証拠。潮来ちゃんの首の横皺を見てみましょう。

照射前

 お座敷芸者・潮来ちゃんの照射前の首で~す。ターゲットにしたのは右の図で、オレンジ色のマッキーで描いた2本の横皺です。

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照射直後

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 結構、真っ赤! この赤線は意外に長く続き、2日程で消えました。何箇所かやって一番赤みが出たし、長引いた所でもあるんですが、一番結果が実感出来た部位でもあります。どうやら赤みと効果は比例するらしい‥。痛み? 麻酔してたんで、よ~分りません。終わってからも、特に痛いなんて事も無かったしぃ。腫れと言える程の腫れは、首の横皺のみならず他の部位にも無し。内出血も、ファイブロペンが元々出血をした時に止血凝固する器械って事を考えれば、殆ど出ないのも納得かな。

照射8日後

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 潮来ちゃんによると、皺が消えたなぁって実感を抱いたのは、照射後2,3日してから。結構、良いじゃ~ん!!

照射27日後

 潮来ちゃん、益々、良い男♪

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額の皺&眉間の皺

 潮来ちゃんの照射前の額の横皺と眉間の縦皺です。

照射前

 ターゲットにしたのは右の図で、オレンジ色のマッキーで描いた4本の横皺と、眉間の縦皺1本。

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照射直後

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 最初、業者さんの”欧米では無麻酔で行なっています!”の言葉を無謀にも信じて、無麻酔で行なったのが額。”Mで~す! ハイヒールで踏みつけて下さ~い!!”を信条(?)としている潮来ちゃんの目にも、大粒の涙。結構頑固に刻み込まれている額の皺なので、首の様に1pass(1回焼き)ではなく、3pass(3回の根性焼き!)したいのが本音だったんですが、Sに徹しれないHISAKOは、潮来の涙に絆されて、潮来を解放しちゃいました、ははは(笑)。
 痛みが唯一あったのが、当然ながら額。他はありません。麻酔が切れてからも、痛みはなし。赤みは、全て5~6時間で完全に消失。

照射8日目

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 写真で見ると、大した改善がなさそうに感じるかもしれませんが、潮来的には結構ルンルン♪ ”良いですね、これ! 女房に若くなったって喜ばれちゃいましたよ、へへへ”だそうです。頑固な深くて硬い額の横皺でも、3pass出来ていれば、可也浅くなってたはず。‥でも、潮来ちゃんもそうなんだけど、眉毛を上げる癖が強い紳士淑女の方は、ボトックスの注射を併用出来れば、再発予防にも繋がるのでより良い結果が期待出来ると思います。単独のボトックス注射より、注射箇所は可也減るとは思います。肝心要の頑固者だけ、動きを止めてしまえば良いんですから、ね。
 まあ、浅い額の皺なら、ファイブロペンの1passだけで十分です。
 皺が消えたなぁって実感を抱いたのは、照射後2,3日してから。

照射27日目

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カラスの足跡

 首の横皺同様、皮膚が柔らかく薄いので、結果が期待出来る部位の一つ。痛みも無く、赤みは全て5~6時間で完全に消失しました。照射後2,3日で皺が消えた!って印象を抱くみたい。でも、深くてしっかりサンには、ポイントだけでもボトックス注射を追加したいと思ってしまうのが、人の子の心情。

唇周囲

  別に、悪くはないと思う。けど、個人的には唇に縦皺が入った、梅干酸っぱ~い!!orお尻の穴(肛門)状態を気にするお年頃なら、万田久子級に鼻の下が伸びている可能性大だよね。寧ろ、ヒアルロン酸でフレームを形成してあげた方が、絶対若返ると思う。ちょっとドナルドダックみたいに唇がそっくり返って、鼻の下も短く見えるし、フレームが入るだけで、縦皺だって目立たなくなる。一石二鳥! それでも、ど~うしても気になる縦線が残っていれば、ありかなって、思う。ファーストチョイスではないかな。

鼻の横皺・目の下の薄い皮膚に走る横皺・豊齢線

 以下の鼻の横皺、目の下の薄い皮膚に走る横皺、豊齢線は、微妙。単純に皺だけじゃなくて、弛みも関与している為、これを何とかしない限りは、ぱきっと改善は望めない。症例を選べば、稀にピンを張れる事もあるし、そうじゃなくても、コンビネーション治療の一つのアイテム・レベルの働きはしてくれる。

その他

 その他にも、傷跡や肉割れ、ニキビ跡、タイトニングにも効くと業者は言ってるが‥、個人的には、ニキビ跡には意外に使えるんじゃないかなぁって印象。他は‥、微妙。多分、他の治療法を選択した方が良いと思う。

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*註:HISAKOの美容通信に記載されている料金(消費税率等を含む)・施術内容等は、あくまでも発行日時点のものです。従って、諸事情により、料金(消費税率等を含む)・施術内容等が変更になっている場合があります。予め、御確認下さい。


※治療の内容によっては、国内未承認医薬品または医療機器を用いて施術を行います。治療に用いる医薬品および機器は当院医師の判断の元、個人輸入手続きを行ったものです。

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