糸リフトで、低侵襲の鼻形成 | 旭川皮フ形成外科クリニック旭川皮フ形成外科クリニック

HISAKOの美容通信2019年5月号

糸リフトで、低侵襲の鼻形成

糸で行う低侵襲の鼻形成術「MISKO®(ミスコ)」です。従来の手術(切開法:インプラント挿入、軟骨移植等)と、ヒアルロン酸注入によるプチ整形の中間に位置し、ダンゴ鼻、ブタ鼻、鼻の穴が大きい、平らなぺちゃ鼻等の改善に、効果が見込まれます。単独で鼻形成だけでなく、手術やプチ整形と組み合わせた施術も可能です。施術時間は10~15分程度なので、その分、腫れ等のダウンタイムが少ないのが特徴です。10代後半から施術は可能です。

 この鼻形成に用いられるMISKO®(ミスコ)の様な、溶ける糸を使用した、手術とヒアルロン酸注入(美容通信2018年11月号)(美容通信2005年8月号)やボトックス注射(美容通信2003年10月号)等によるプチ整形のちょうど中間に位置する施術が、美容皮膚科/美容外科領域で、最近メキメキ存在感を増しています。HISAKOのクリニックでも、糸を使った施術としては、3Dリフト(美容通信2013年7月号)やファインリフト(美容通信2012年5月号)、来月号で特集予定の上口唇形成スレッド「ボカ」等があります。これらは、溶けて完全に吸収されてしまう糸ではありますが、大なり小なりコラーゲンバンドの形成を誘導してくれるので、それを自覚するか否かに関わらず、完全に元の木阿弥にはならないのが特徴でもあります。

 今月は、<糸リフトで低侵襲の鼻形成>です。

糸で行う低侵襲の鼻形成術「MISKO®(ミスコ)」

 鼻は、嗅覚を司る感覚器であるのと同時に、呼吸をする為の呼吸器であり、餌の臭いを嗅ぐので、ある意味、口の補助的役割もある器官です。しかし、顔の中央に存在するが故に、その本来の機能以上に、人間界に絶大な影響力を有する器官でもあります。「クレオパトラの鼻。もしもそれがもっと低かったら、大地の全表面が変わっていただろう。」 …パスカルは『パンセ』の中で、こう述べています。たかが鼻。されど鼻。それが、人間界に於ける鼻の位置付けです。

 MISKO®(ミスコ)施術は、従来の手術(切開法:インプラント挿入、軟骨移植等)と、ヒアルロン酸注入によるプチ整形の中間に位置する、低侵襲(注射式糸施術法)な鼻形成術です。糸の注入の仕方によって、ペチャっと低い鼻を高くしたり、小鼻をちょっと小さくしたり出来る糸リフトです。一般的な鼻形成や、インプラントの除去後にも、施術可能なのがMISKO®(ミスコ)の嬉しい強みでもあります。

●施術時間は10~15分程度と短時間。その分、腫れ等のダウンタイムも少ない施術です。

●団子鼻、ぶた鼻、鼻の穴が大きい、ぺったんこのぺちゃ鼻等の改善に、効果が見込まれます。

●成長期の10代後半から、施術可能です。

●1回目の施術後、追加の施術は2週間以上経っていればOKです。

●6ヶ月から1年以内に追加の施術を行うと、1回だけよりも、完全に元に戻った感が少なくて済みます。

●挿入されたスキャホルダーは、2ヶ月後から徐々に吸収が始まり、6ヶ月後にはほぼ完全に吸収されてしまいます。これに伴い、時間の経過と共に、矯正力が徐々に弱くなり弱くなり…もとじわじわ戻って行きます( ;∀;)。

●スキャホルダー自体は、ほぼ完全に6ヶ月で吸収され、無くなってしまいます。が、後述の特性により、コラーゲンバンドの形成を誘導してくれるので、施術当初の矯正体積の20~40%は残ります。つまり完全に元の木阿弥には、なれない。死してなおって、奴です。これが、単なるヒアルロン酸の注入等との、一番の大きな違いです。

MISKO®(ミスコ)の製品について

■ユニークな特徴のMISKO®(ミスコ)の糸

 このMISKO®(ミスコ)の糸が面白い!とお褒めをいただく理由は、左図の如くに二段階で入った深い糸の返し(Cog)の存在です。糸自体は、大昔、もう30年以上前から臨床現場で普通に使用されて来た縫合用の糸の素材POD(polydioxanone)で、珍しくもなんともない代物です(←まあ、それはイコール安全性の証って意味でもあるのですが…)。フツーの、所謂溶ける糸でしかありません。が、しかし、この糸に刻まれたガチっと深い二段階切込み、つまり二方向の深い取っ掛かりで組織を掴んで離さないので、固定性にとても優れます。

 そして、もう一つの特性としては、糸の両端が竹箒の様に広がっている事。単にプチンと切りっ放しだと、引っ掛りがないので、先端が皮膚を突き破って出てしまう可能性が無きにしも非ず。MISKO®(ミスコ)は、先端が足場の役割をしてくれるので、踏ん張りがきく。つまり、高い組織保持力で突出を防いでくれます。

 まあ、まとめるとこんな糸特性です。

■MISKO®(ミスコ)の糸が組織内でしている事

 MISKO®(ミスコ)特製のCogは、実は、右図の如く、コラーゲンバンドの形成を誘導して、弾力性は勿論立体構造も維持してくれます。

 確かに、堅固な足場として挿入された糸自体は、挿入後2ヶ月くらいから徐々に吸収が始まり、6ヶ月後には痕跡‼だけを残して吸収されてしまいます。ですから、矯正力は時間の経過と共に次第に弱まらざる得ないんですが、完全にブツが吸収されてしまっても、ナント、最初の矯正体積の20~40%が維持されているんだそうです。つまり、完全には元には戻れない=ちょっとだけだけど、財産として残る。これが根性に欠けるヒアルロン酸等との、一番大きな違いと言えます。ですから、1回目の施術後、半年から1年の間に2度目の施術を加えておくと、1回だけの単発施術よりも、矯正の名残は僅かとは言え、勝ります。

実際の施術方法

 従来の手術(切開法:インプラント挿入、軟骨移植等)と、ヒアルロン酸注入によるプチ整形の中間に位置するのが、糸リフトによる鼻形成術です。鼻尖をちょっと尖らせたり、鼻柱を高くしたり、寸詰まりの鼻をすらっとした長い鼻にしたり、非対称に歪んだ形状をなるべく対称に近づけたりと、ちょっとした小細工が可能です。ですから、過去に入れて、そのまま今も現在進行形に入っているプロテーゼ(インプラント)に手を付けず、+αとして糸リフトを入れるなんていうのもありです。勿論、プロテーゼを抜去後、そのままだと寂しいから、糸リフトで寂しさを紛らわしてもあり。その他にも、糸リフトと一緒にヒアルロン酸を注入(美容通信2005年8月号)したり、脂肪移植したりと、組み合わせのバリエーションは無限大ではないけれど、可なり広い♬

 その癖、施術時間は10~15分程でとっとと終了するし、腫れも殆ど!ないので、手術の時の様な大仰なダウンタイムを考慮する必要はありません。

 …って訳で、とてもユニークなアイテムなのです。

鼻柱を立てる(通常26mm/28mmを使用)

 局所麻酔下で、MISKO®(ミスコ)の施術をします。

 左図の様に、鼻の穴に指を突っ込んで、高くしたい!と希望する高さまで鼻柱を上方に引き上げる=鼻をつまみ上げて、予め開けていた小さな針孔から、インジェクターを鼻の中に優しく‼回し入れます。

 

 スキャフォルダーを、親指と人差し指の間、つまり軟骨の間にスッと差し込む感じです。

 終点は外からは伺い知れませんが、こつんと、ニードルの先端部分が前鼻棘に当たった感触で分かります。

 今度は、そろっと筒だけを抜去ります。勿論、中の糸が一緒に誤って抜けてしまわない様に、ガチっと指で掴んで、糸を残すようにします。

 基本は上記の如くで、4本くらい糸を挿入する事が多い(推奨)んですが、まあ、その応用編は色々。

 目的に合わせて、並行に糸を挿入するだけでなく、クロスする(左から2番目)なんて芸当もします。それどころか、通常は、26mmか28mmの長さのものを使用するのを、敢えて20mmくらいの短い糸を積層するなんて小技に走る事もあります(右から2番目)。短い糸の積層挿入メリットは、何と言っても、鼻の頭をぱちんと指で弾かれても、その衝撃!が骨までガツンと響いて泪( ;∀;)にならない事ですかね。まあ、その分、長い柱を立てた時の様な、しっかりとした矯正力は期待出来ませんが…。反対に、敢えて28mm、30mm、32mmと言った長めを選択する方法もあります。数本の糸を、真っすぐではなく、傘を半分広げた様に曲げて入れます(一番右側)。

 

鼻背(鼻の長さ)の延長(通常28mm/30mmを使用)

 糸の本数ですが、患者さんによって使用する本数は異なります。通常推奨される本数は4本です。

 鼻柱の中央を掴み、鼻を左図の如くに少し前方に押します。糸を充填したインジェクターを、鼻の頭の天辺から、ど真ん中に鼻柱の方向に入れます。そのままインジェクターをゆっくり回しながら、張りの先っぽがこつんと骨(or 骨膜)に当たるまで、針をぐいぐい進めましょう。

 糸の先端部の位置が決まれば、後は、筒の中の糸が抜けてしまわない様に糸をがっしり掴んだまま、そろっと筒だけを抜いていきます。後は、必要に応じて、ケースバイケースです。

 

鼻翼縮小

  下図の如くに、患者さんによって使用する本数は様々ですが、一般的には、鼻翼については両鼻翼で計4本、鼻翼縮小については、MISKO®(ミスコ)ではなく、通常のリフトなんかに使うMISJUを2~3本使用します。

 左図を見て下さい。縮小したい側の鼻翼を親指で、反対側に押します。鼻の頭から頬っぺたの方向(鼻尖部下方(頬部))に、直線又は斜めに挿入します。スキャホルダーの挿入方法は前述の通りなので、省略しちゃいますね。

 小鼻自体の幅が広い場合は、鼻翼縮小をします(MISJU35mm)。

 

施術後に於ける鼻のマッサージ(ホームケア)

施術後に於ける鼻のマッサージ方法(ホームケア)

 施術後5日目から1週間、毎日マッサージを行いましょう。1日1回、1分間で十分です。

  1. 左図を見て下さい。両手を図の様に組み、小指を立てます。
  2. そのカタツムリのツノみたいに立てた小指を、鼻の穴にずぽっと入れ、鼻先をしっかり持ち上げましょう。
  3. そのまま、前方に向けて、じっくりと引っ張ります。
  4. 手の力を抜き、ゆっくりと元に戻します。

 あ、マッサージの前に、手は綺麗に洗っておいて下さいね。

スキャホルダーのトラブルに対しての対応方法

施術結果が気に入らなかったり、不快感がある。又、鼻の頭のてっぺんの上から糸が触る。

  あんまり時間が経ってしまうと、糸の性質上、流石に除去が難しくなってしまいます。基本的には、施術後2週間以内です。除去は、局所麻酔下で行います。入れた糸を全部抜去する場合は、良くピアスを入れる部位として有名ですが、口腔内(frenulum)を切って、ここからアプローチをします。一部だと、鼻柱を切って、ここからアプローチします。

 しかし、全例が全例抜去の対象になるかと言うと…そうでもありません。例えば、笑う時に鼻の動きが多い患者さん…鼻の頭が下方に動きやすいとか、鼻の穴が横に拡がるとかが相当するんですが、この場合は、寧ろ動きを制限してしまう方が、露出の可能性を防ぐには一番手っ取り早くて且つ確実な対処法になります。動けばその分だけ壁にぶち当たるし、ぶち当たる回数が増えれば増えるほど、穴が開いて飛び出してしまう可能性が増える訳で…「水滴 石を穿つ」の諺通りです。鼻先の新しい刺入点からスキャホルダーを追加で挿入して、横風に煽られない、しっかりとした足場を補強するとか、ボトックスで筋肉運動を止めさせるとかです。鼻の穴が驢馬さんみたいに横に拡がっちゃう癖がある人に、癖を治せ!と言っても土台無理な話ですから、右図の様にalar rimに沿って、ボトックスを2単位くらいで十分なんですが、注射して、スキャホルダーを安定させるのは、非常に良い回避方法です。

スキャホルダーが、万が一、勝手に皮膚を破って露出して来たら…。

 施術後から4週間位まで、場合によってはもう少し経過してからなんですが、アプローチをした穴の周囲が若干赤みを帯び始め、スキャホルダーがつんつん皮膚を突っつく感じが出て来ます。まあ、それが所謂抜き時の合図で、糸の端っこをモスキートでガシッと掴んで、一気に引っこ抜きます。こう書くと、非常に極悪非道に聞こえるかも知れませんが、変な温情は、スキャホルダーのトゲトゲに組織がささくれだって引っ掛かり、却って地獄です。

www.miskomisuju.comより症例提供

 まあ、製造会社さんのパンフレットから拝借した症例報告ですから、まあ、全ての施術した患者さんにこの結果が全て保証されるって代物ではないのですが、イメージが沸かない人には全く沸かないと相場が決まっていますので、参考までにって立ち位置です。誤解なきように、お願いします。

  • 症例1.大きく広がった鼻

  • 症例2.鼻先の陥没瘢痕 

  • 症例3.鼻先が平坦な鼻 

  • 症例4.他院修正の再手術

  • 症例5.

   インプラントが既に挿入されていた鼻を、インプラントの入れ替え+糸リフトを行った後、インプラントのみを抜去して、再度糸リフトしました。

 

 


*註:HISAKOの美容通信に記載されている料金(消費税率等を含む)・施術内容等は、あくまでも発行日時点のものです。従って、諸事情により、料金(消費税率等を含む)・施術内容等が変更になっている場合があります。予め、御確認下さい。


※治療の内容によっては、国内未承認医薬品または医療機器を用いて施術を行います。治療に用いる医薬品および機器は当院医師の判断の元、個人輸入手続きを行ったものです。

 

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来月号の予告

上口唇形成スレッド「ボカ」で、老化と共に低下したボリュームと薄さを改善して、上口唇の若返り。

<ボカ(上口唇若返り)>です。