HISAKOの美容通信2004年11月号
化粧品の底力!前編・エンビロン
エンビロンは、分類としては化粧品ではありますが、そのラインナップには、医師の処方の下でしか買えない高濃度のビタミンAを含有している商品もあります。
コンセプトは、抗酸化ビタミンによる光老化の予防とダメージ肌の修復。
活性酸素による損傷を最大限防御・修復してくれる、たかが化粧品、されど化粧品なのです。
近頃の化粧品の進化は凄い。どんどん、医薬品の領域を侵食している。
特に目を見張るのは、従来の化粧品と違う”医師の処方”を必要とする化粧品群。だから、デパートの化粧品売り場やドラッグストアでは手に入らない。限りなく医薬品に近い化粧品。
今月号、来月号の2ヶ月連続特集。題して、「化粧品の底力」です。
前編は、<エンビロン>(一部医師の処方箋を要する化粧品が含まれる)について。後編は、今話題のオバジの<ニューダーム・システム>(全商品医師の処方を要する)について。HISAKOが詳しく解剖しちゃいます。
決して、化粧品だと侮ってはイケナイ。
HISAKOが、数ある化粧品の中からエンビロンを選んだ訳
私達のクリニックで取り扱っている基本の化粧品は、エンビロンです。南アフリカの形成外科医であるDr.フェルナンデスが開発したこの化粧品のコンセプトは、”光老化の予防”と”ダメージ肌の補修”です。
年齢を重ねるにつれてシミやシワが増え、次第に肌がハリと潤いを失って行くのを”自然の摂理”と言い訳をしていませんか? 医学界に於いては、紫外線により生じる活性酸素(フリーラジカル)が皮膚細胞にダメージを与える事で、老化が進行すると言う”光老化フリーラジカル説”が定着して来ました。
実は、肌の老化の80%が光老化であると言われており、自然の老化とは区別して考えられています。例えば、金属が錆びたり、リンゴが変色したりする事が酸化反応であるように、私達の肌も活性酸素(フリーラジカル)により、錆びるのです。そして、加齢による老化とは違い、光老化は予防が可能である事が解っています。つまり、紫外線をサンスクリーン剤で遮光したり、活性酸素による肌の錆び(酸化)を抗酸化作用のある物質で防ぐ事により、老化の約80%は止める事が出来るのです。更に科学的なスキンケアを行う事で、ダメージを受けて老化してしまった肌を修復する事も不可能ではありません。
ゴールディン・ホーンの映画”永遠に美しく‥”を単なるブラック・コメディとして語れる時代は、終わろうとしているのかもしれませんね。
紫外線対策
UV-A防止剤とUV-B防止剤で構成されています。詳しくは、光老化・後編~予防方法(美容通信2003年8月号)を読んでね。
- 紫外線吸収剤
紫外線吸収剤は、紫外線のエネルギーを身をもって阻止! 殉職です。
・ t-ブチルメトキシベンゾイルメタン⇒紫外線A波をキャッチ!
・メトキシケイヒ酸オクチル⇒紫外線B波をキャッチ!
- 紫外線散乱剤
紫外線散乱剤は、紫外線及び可視光線を反射・散乱します。
・酸化チタン⇒紫外線A・B波を散乱する紫外線防止剤。特にB波の散乱が得意!
活性酸素(フリーラジカル)対策
活性酸素対策を語る前に、活性酸素が何たるかを知らなければ、話にもならない‥。
活性酸素(フリーラジカル)って何?
活性酸素って、何となくフレッシュな酸素が一杯(!)とか、天然酸素バー?とか、体に良さそげに聞こえますが、これは勝手な思い込み! 羊の皮を被った狼です。どんどん不法投棄され、溜まる一方の産業廃棄物です。おぇ~っ。
私達は地球上の生物ですから、酸素がなければ生きて行けません。大きく息を吸ってみましょう。酸素が体内に取り込まれましたね。で、この酸素が体で何をしているかって言うと、人間が活動する為のエネルギーを食べ物から変換するお手伝い。酸素がないと、幾らご飯を食べても、それは力にはなりません。
このように、私達の体にはなくてはならない酸素ではありますが、欠点は寂しがり屋な事。悲しい性と言うべきか、分子になっても電子と言う名の本能が疼くんですね。男が欲しい!とホントに叫んで飛び回っているかどうかは定かではありませんが、独身(若しくは彼氏いない歴○ヶ月?)の電子は手当たり次第、出会い系でも逆ナンでも何でもありで、強引にベットイン! その時に、不幸にも出来ちゃった不肖の子供達が、活性酸素4兄弟。分子構造は本来の酸素分子とそれほど大きく違わないのに、酸素分子以上に不安定かつ強引な性格の持ち主なんです。まあ、これだけだと単に寂しがり屋の強引な奴らで終わっちゃいそうですが、実は札付きの超悪ガキどもと呼ばれる理由は後でじっくりお話しますね。
ちょっと魔が差すって言うのは、誰にもある話。大人の女には1つや2つや3つの行きずり、成り行きの恋があっても、今時の当たり前、許容範囲です。人生生きてりゃ色々あって当然ですから、深呼吸して吸い込んだ酸素達も、ちょっと羽目を外します。2%程度は活性酸素に転化しちゃうんですね。これは生体反応ですから、幾ら品行方正を自負する貴女にも、非難する資格はありません。
まあ、悪さもこれだけで納まってくれればお転婆娘で済みますが、困った事に、現代日本に生きる文明人ともなると、誘惑が沢山あるんですよね。酸素社会にも、生体反応としてどうしても活性酸素になってしまうものの他に、煙草、紫外線、排気ガス、大気汚染、殺虫剤、加工食品(極端な偏食)、過激なスポーツ、洗剤、レントゲン‥これらの誘惑に負けて、活性酸素になっちゃうものも出て来ます。例えば、紫外線は非常に強力なエネルギーを持ったビームとして皮膚を貫き、皮膚の細胞を構成する酸素分子から電子を一つ弾き出し、その分子から活性酸素を誕生させる‥。一服の煙草は3兆個の活性酸素を生む‥。‥。‥。
毎日の満員電車(殺人的な東海道線、何とかしてくれ~!)の楽しみは、吊り広告。今日はちょっと!な広告が目に入っちゃったので、思わず表題を抜粋しちゃいました。‥本当に、こんな生活してんの!? 活性酸素、バリバリじゃない!
「主食は乾燥ラーメンを齧ること」「ほぼ無職なので毎日モヤシ生活」「幼児を連れて毎晩ファミレス」……etc.
極端な偏食、奇怪な献立、産地不明、添加物などが蔓延!
こりゃBSEよりカラダに悪い!?
<20~30代[フツーの食生活]白書>
‥‥‥。そうHISAKOが思うのは、私が40代になっちゃったから?
そして、この反応はそれだけに留まらず、非常に強引で寂しがり屋の性格故に、どんどん友達を巻き込んで、連鎖反応的に爆発的に不良化が蔓延してしまいます。題して、小中学生の渋谷化、プチ・エンジェル化とでも言いますか。不安定で反応性に富む活性酸素は、手近な分子の電子を奪おうとして、次々と連鎖的にその分子構造を変えて行きます。始めは原子や分子のレベルのお話ですが、やがて体の細胞にも影響を与えるようになるんですね。細胞膜が破れたり、細胞の遺伝子が傷つけられたりするようになる‥。具体的に言うと、活性酸素は細胞膜を弱め、DNAを傷付け、細胞の自己増殖能力を弱め、エラスチン線維に損傷を与え、体の生化学的結合を壊し、時には直ちに細胞を殺す事もあります。皮膚の老化現象も、活性酸素によるダメージです。コラーゲンとエラスチンが活性酸素によって傷付けられると、皮膚の弾力が失われてシワシワ婆あぁ美容通信2004年4月号)。ケラチノサイトのDNAが傷付くと、日光角化症や脂漏性角化症になり、最悪の場合は皮膚癌になる‥。メラノサイトのDNAが傷付くと、メラニン生成に異常が生じてシミになる‥。その他にも、ガン・動脈硬化・糖尿病・老人性痴呆・白内障といった大変な病気の引き金にもなると言われているんですね。万病の元、諸悪の根源と言っても言い過ぎじゃないでしょ? だからぁ、悪ガキ4兄弟って言うんです。いや、此処まで来ると凶暴な野獣4兄弟かな。
私達、カヨワイ女の子には、この様な凶暴な野獣に対抗する手段はないのでしょうか? ボコボコにやられっ放しで、我慢するしかないのでしょうか? いいえ、違います。私達には、ありがたい事に、活性酸素を処理する能力が備わっています。それを、正義の味方<活性酸素抑制剤(フリーラジカル・スカベンジャー)>と言います。尤も、フリーラジカル・スカベンジャーの能力には限りがありますから、敵に塩を贈るのは勿論御法度ですが、彼に声援を送る必要もある訳です。 スカベンジャーの代表的な隊員、抗酸化ビタミンについてお話をしましょう。
抗酸化物質
抗酸化ビタミンは、フリーラジカル・スカベンジャーの代表的な隊員です。活性酸素連鎖反応を非常に効率的に抑制し、活性酸素の悪さを封じ込める事が解っています。この戦隊の中核を担うのが、アバレッド、アバレブルー、アバレイエローならぬ、ビタミンC、ビタミンE、βカロチンの3隊員です。彼ら&彼女は、勿論、1人1人が勇敢で且つ有能な戦士ですが、互いに合体してアバレマックスになるとパワー炸裂! 更に、他の隊員(抗酸化ビタミン&抗酸化酵素)とも合体してアバレオーに! もう最強の戦士軍団になります。
しかし、仲間は多い方が良い。私達はご飯を食べる事で、これらの抗酸化ビタミンを補給して、活性化酸素を去勢しているんですが、何せ私達を囲む環境は悪化の一途。体内の活性酸素は増え続ける一方ですから、これに対抗する為には、バブル期並みの隊員の大量採用をする必要があります。だから、しっかり食べて、更に皮膚からも直接ターゲットにアプローチするんです。
ビタミンC
ビタミンCの本名は、アスコルビン酸。水溶性のビタミンです。グァバ、パセリ、苺、レモン、パパイヤ、ブロッコリー、小松菜、菜の花、ピーマンと言った多くの植物性食品や、肝臓や脾臓、副腎、脳みそ、ミルクと言った動物性食品に含まれていて、自然界では極々普通に存在しています。犬や鼠と違って私達人間は、約7000万年前にビタミンCを作り出す能力が欠落しちゃったので、こう言った食べ物を食べる事で補給をしています。
ところがアスコルビン酸は、熱や光何かでいとも簡単に劣化してダメになっちゃいますから、食べ物やお薬(若しくはサプリメント)として飲むだけじゃあ、よっぽど長期間の持続大量服用をしない限り、このシミ!あのシミ!って皮膚のターゲットに対して高濃度に働き続ける事はちょっと無理なんですね。そこで皮膚については、アスコルビン酸の賞味期限を延ばす為に色々工夫をして(具体的には誘導体にして安定化を図る!)、ターゲットの場所に直接塗って局所濃度を高めているんです。まあ、それが外用薬と言うか、化粧品でアスコルビン酸の誘導体については、後で詳しく述べる事にして、先ずはその働きについてお勉強しましょう。
ビタミンCの特徴は、
- 体液内に生じたフリーラジカルを消去する、最も迅速な抗酸化因子です。
平たく言うと、火事場の初期消火班。”火事だ~!”って隣家の叫び声を聞きつけたら、真っ先に家の消火器を抱えて現場に走る近所のオヤジですね。
- フリーラジカル・スカベンジャー隊として一緒に戦ってくれるビタミンEは、1人の怪人(1個の活性酸素)と戦うと、もうスタミナ切れでダウンしてしまいます。
仮死状態のビタミンEにヤカンの水をぶっかけて目を覚まさせ、もう一度怪人との戦いに赴かせる。まるでラグビーのマネジャーの様な役割を担っているのが、ビタミンCなんです。それ故に、ビタミンCは水溶性でありながら、自分が本来なら戦う事すら出来ない脂容相で、脂溶性のビタミンEを使って間接的に怪人と戦う事が出来るんですね。題して、対岸の火事の消火と言います。
- Asc(=アスコルビン酸)トランスポーターって、まあドラえモンのドアですね、これを開けて活性酸素の生成部位にビタミンCを送り込む。
別名ガサ入れ、若しくは出動果敢と言います。
ビタミンCが、スキンケア商品に使用された時の効果をトラブル別に解説すると‥。
- 光老化
フリーラジカル・スカベンジャー隊のNo.1の実力を誇るビタミンCですから、紫外線によるフリーラジカルを強力に消去して光老化対策をしてくれます。日焼け止め(サンスクリーン剤=紫外線反射剤)よりもこのビタミンCがお利口な点は、細胞に吸収されて、約30~36時間も効果が持続するところ。バシャバシャ水遊びしても、体を洗っても、紫外線遮断効果をキープしてくれる。本来紫外線の防御の為に産生されるメラニンを抑制しても、皮膚は紫外線から守られるって事ですから、これは凄い(!)よね。
- シワ
コラーゲン線維の前駆体プロコラーゲン(まあ、コラーゲン線維が出世魚のブリだとすると、 ハマチあたりですかねぇ)をコラーゲンに進化させるのは、ビタミンCの後押しがあってこそ。それに加えて、色んなムコ多糖類の生成過程にも何と関与している事が発覚! コラーゲン合成促進だけでなく、細胞外間質(マトリックス)の再構築を手助けし、総合的にアプローチ!がシワ改善の秘密です。
- 色素沈着
ビタミンCがシミのお薬って事は、皆さんも良く御存知かと思います。どうして効果があるのかと言うと‥。
そもそもメラニンを作らせない。ビタミンCにはチロシナーゼと言う酵素(忘れちゃった人は、2003年7月1日号で復習だ~い!)を抑制する働きがあるんです。チロシナーゼは、メラニン産生工場のラインに於いて重要な触媒。これがないと、メラニンを作れないんです。まあ、日本酒を造るのに麹菌と呼ばれる微生物がないとダメなのと一緒ですかね。更に(!)、出来ちゃったメラニン色素も還元して無色化する作用も併せ持っています。これが、ビタミンCの美白効果です。
更に見逃せないのが、皮膚の炎症に対する優れた消炎効果。つまり日焼けしたり、虫に刺されたり、レーザー治療を行った後とか、肝斑(一種の炎症後色素沈着と考えられていま~す!)等に対しても、色素沈着を起し難い皮膚を作るって事なのよね。だから、1粒で2度美味しいグリコみたいな奴。でもだからって、百害あって一利なしの日焼けは、絶対止めて下さいね。
- 傷跡
以前、美容通信(美容通信2004年5月号)でも書きましたが、昔からビタミンCが欠乏(壊血病)すると、傷の治りが悪い事は良く知られていました。が、医療現場で皮膚の傷跡にビタミンCを使用するようになって来たのは、つい最近のお話。傷跡のある皮膚に、比較的大量使用します。塗り薬って手もない訳じゃないですが、ある程度結果を出すには、経皮吸収性を上げるイオン導入って手法を用いるのが、一番。ビタミンC効果でより多くの正常な(!)コラーゲンが生成され、引きつれた瘢痕を構成している出来損ないのコラーゲンと置き換わります。だから、目立たなくなるんですね。
- その他
・ニキビ菌をノックアウト!
ニキビ菌の産生するコプロポルフィリンの悪戯を諌め、ニキビの悪化を阻止する執事であり、皮脂の分泌を抑制する番頭でもある。
・毛穴を目立たなくする。
・細胞の老化を抑制して、寿命を延ばすらしい‥。
人間の細胞は、まあ組織の種類によっても多少の違いがあるにしろ、大体50~100回細胞分裂を繰り返すと、それ以上分裂できなくなっちゃうってHayflick限界があるの。でも、この限界点に到達するまで一生懸命働き続けるかって言うとそうでもなくて、それ以前にDNA合成が低下したり、細胞分裂が遅くなるって予兆があるのね。これが、25歳はお肌の曲がり角、皮膚老化の始まり。ビタミンCは、この細胞の寿命の長さをコントロールするテロメア遺伝子の短縮化を抑制して、細胞寿命を延長し、分裂回数を増加させるって効果があるそうだ。論文にはそう書いてあった‥。今の段階では、化粧品で実感出来るかって言われると、ねぇ‥。ネズミちゃんの実験では分かっているんだけどね。
・癌の転移抑制。
黒色色素細胞癌の転移を抑制するそうだ。これまた、論文からの受け売りです。スキンケアで何処までって言われると‥、にゃ~あなんだけどね。
更に、ビタミンA(酢酸レチノール、パルミチン酸レチノール)と組み合わせて使ったり、他の抗酸化物質や紫外線A波の防御法と組み合わせたりと、美肌姫のレシピは盛り沢山。うふふふふ。
以上の様な優れた特性を持つビタミンCなんですが、酸化安定性が悪く着色し易い為に、そのまま化粧品に配合するのには問題があるんですね。そこでアスコルビン酸の安定性を上げる為に、色んな羽飾りを付けて誘導体にするんです。後述するVCIPとかVCPMgとかパルミチン酸アスコルビルとかの誘導体がこれに相当するのね。
VCIP(Vitamin C tetra-iso palmitate)
今、巷で話題のVCIPって、一体なんでしょう? テトライソパルミチン酸アスコルビルって、舌を噛んじゃいそうな名前が、正式名。通称、新型油溶性ビタミンC誘導体(VCIP)です。
アスコルビン酸は、前述の通りとってもお利口なビタミンではありますが、水溶性(水溶性物質である為、細胞膜の透過は困難!)で、非常に不安定なのが欠点です。つまり直ぐダメになる。賞味期限が3週間と短いんですね。これは貴女がお店で買ってからの日にちじゃなくて、工場で出来た日からの話。これでは、実際問題として、化粧品の中に配合するのはちょっと無理ですよね。それに酸性なので、高濃度で配合すると、乾燥してガビガビになる‥。
そこで開発されたのが、VCPMg(リン酸アスコルビルマグネシウム)。ちょっと前はこれが主流でした。VCPMgは、アスコルビン酸同様水溶性なんですが、細胞により効果的に取り込まれる工夫が為されています。それに、何と言っても安定性が格段にUP。それで、<これは化粧品として使えるぞ!>って事で、市場のニーズを嗅ぎ付けた企業や大学、研究施設等が一斉に注目し、ビタミンCに対する研究が飛躍的に進んだんです。こうして生まれたのが、油溶性で非常に安定性の高いテトライソパルミチン酸アスコルビル、略してVCIP。21世紀のビタミンCトリートメントのスタンダード(!)との評価もあるくらい凄いんです。
具体的には、VCIPは、従来のVCPMgと比べて、多くのビタミンC(約16.5倍!)を経皮(表皮)吸収させる事が出来る上に、より多くの量をアスコルビン酸に変換させて細胞の中に送り込む事が出来る、つまりアスコルビン酸への変換効率が高いのね。(あ~、ちょっと補足しておくと、ビタミンCは安定性が極めて悪いんで色んな羽飾り(分子)をくっ付けて誘導体にするんだけど、体内では羽飾りを付けたまんまじゃ力が発揮出来ないのね。で、この飾りを外す必要があるんだけど、不器用だと外せない=働けないの。VCIPは、VCPMgよりこの飾りをとっとと外して身軽になる能力が高いのね。解ったかな?)ので~ス。つまり、前述のビタミンCの効果をよりパワフルに増強して発揮出来るって事ですね。それにそれに、油との相性が良い!ので、皮膚のバリア機能を高めて乾き難い肌にしてくれるんです。つまり使っても、あの不快な乾燥感がないって事なんです。良い事づくめでしょ?
因みに、エンビロンの化粧品に含まれるビタミンCは、全てVCIPで~す!
ビタミンE
脂溶性のビタミンで、最強のフリーラジカル・スカベンジャーの隊員です。近頃、アンチエイジング話となると、何かとひっぱりだこのビタミンE。何と昔は、主な作用は、バイアグラ(美容通信2005年1月号は、”バイアグラ”特集。興味本位では語って欲しくない、貴女の大事なパートナーと大切な関係維持の為に!)もどきつまり強い男!の精力増強剤と信じられていたんですね。でも今は、主な作用は3つだって事が分かってます。。
- 抗酸化作用
私達の体=約60兆個の細胞。この細胞を一つづつラッピングしているのが細胞膜って奴で、大半が不飽和脂肪酸で出来ています。つまり脂身系。故に、脂溶性のビタミンEの独壇場に近いかな。不飽和脂肪酸が活性酸素の強引な誘惑に屈して酸化してしまうのを、水際で強力にブロック! 正確には、潜入捜査中の警官(ビタミンEは脂溶性なので細胞膜に入り込んでいる)が、引っ掛けた客を案内しようとしているポン引きと刺し違える事(自らが酸化される事で、膜の脂質の過酸化を抑制する)で、ぼったくりの被害を阻止するんです。意識不明の重体に陥ったビタミンEは、白衣の天使(ビタミンC)の献身的な看護で蘇生(リサイクリング)され、再び現場復帰します。これを、ビタミンEとCは相乗的に抗酸化作用を示すと無愛想な教科書は表現します。
- 生体膜安定化作用
過保護な親(抗酸化作用を介して細胞膜を保護)だけじゃなくて、誘惑を跳ね返す強い意思を持った子に育てる(細胞膜自身を直接的に安定化)事が、非行防止の第一歩。親子の絆については家族でないと分らない事も多々あります(未だ解明されてないんですね)が、親子の会話を持つ事(細胞膜のアラキドン酸の二重結合のポケットに、ビタミンEの側鎖メチルがジグソーパズルのようにぱかっと入り込んで、ガチンコ・タグを結成!)が肝要と思われます。
- Beyond Antioxidant Function
Traber先生とPacker先生は、直截的と言うか‥短絡的と言うか‥抗酸化作用では説明の出来ない作用を、み~んなひっくるめてこう命名しちゃったんですね。ビタミンEの一部はProtein Kinase Cを抑制するけど、別の一部はその作用に拮抗するとか、5-oxylipooxygeaseの活性抑制とか、ナトリウム利尿作用とか、‥未だ良く分んないの。だから、一纏め。ここから、将来のスターが誕生するかも。青田買いスポットです。
- その他
抗血栓作用
血行促進作用
ホルモン分泌調整作用
で、肝心の化粧品に含まれたビタミンEは、私の肌に何をしてくれるのかと言うと‥、主なターゲットは、紫外線による日焼け、免疫低下、老化、癌と言った酸化障害の軽減なんですね。具体的には、
- 皮脂腺から皮膚表面に分泌して、酸化ストレスからお肌を保護。
- 抗酸化酵素と抗酸化物質がネットワークを結成して、紫外線による酸化損傷を予防!
孤軍奮戦するよりは、連合して活性酸素の討伐を行う方が、勝率は格段に上がりますからね。体は、賢いモンです。
- 紫外線による皮膚の免疫低下を改善。
- 皮膚のDNA障害を軽減。
- 保湿性が長期投与でUP! 短期じゃ無理だけどね。
βカロチン(プロビタミンA)
βカロチンは、ビタミンAの前駆体(関西風に言うなら、ブリの手前のハマチ的存在)で、2つのビタミンAの分子で形成されています。発動命令が出ると、この双子ちゃんは別行動を取って、夫々が体内でビタミンAとして働きます。だから、体の中にβカロチンでコンパクトに収納しておくと、いざって時に必要なだけビタミンAを使えるんですね。まるで、困った時のチキンラーメン的存在!
ビタミンA(美容通信2004年4月号)の概略は触れたので、忘れた!って貴女はもう一度読み直してね。もっともっと知りたい!って知識欲旺盛な貴女には、ビタミンA特集美容通信2005年2月号をどうぞ。
抗酸化ビタミンとしてのβカロチンは、活性酸素に対する中和能力は驚異的(!)で、フリーラジカル・スカベンジャー隊の主要戦闘隊員として、活性酸素を一掃します。
アルファリポ核酸(チオクト酸)
アルファリポ酸は、細胞の中でジハイドロリポ酸(DHLA)に変身して、水油両相(!)でビタミンC、Eを始め様々な抗酸化物質をリサイクルします。名付けて水陸両用型の環境に優しいエコ・スーパーマン。その他にも、性ホルモンの生成を加速させたり、細胞の老化のサインでもある細胞の糖化を抑制する作用もあります。
ダメージ補修
壊れてしまうのを予防するだけじゃありません。修復だってこの子達は致します。
- ビタミンA
- ビタミンC
- βカロチン
- ビタミンB5
水溶性ビタミン。お肌のキメを整えて、明るさを保つのに役立ちます。また、ビタミンAの刺激を和らげる作用もあります。
角質ケア
AHA(アルファハイドロキシ酸:通称フルーツ酸)には、角質細胞間の結合を溶かし、古い角質を落とし易くする作用があるんですね。日本では最もポピュラーなケミカルピーリング剤の成分として知られています。
- グリコール酸
AHAの一種。分子量が小さい為に浸透性が高く、角質を落とす作用はAHAの中で最も優れています。ニキビのケア等に適した酸ですね。
- 天然乳酸
天然乳酸は、グリコール酸に比べ刺激が穏やかで角質を落とす力もマイルドになり、安全性に優れた酸です。また天然乳酸には、セラミドの産生を促して保湿を高めたり、メラニンの生成を抑える美白作用があります。だから、乾燥肌や色素沈着でお悩みの肌に最適です。言い換えると、私達大人の女にこそ相応しいAHA?
基本プログラム
基本は、3つのステップ(洗顔、角質ケア、保湿)&サンケア。お肌の状態に合わせて、製品を組み合わせたり、必要に応じてスペシャルケアをプラスして、貴女に最適なスキンケア・プログラムをどうぞ。お肌別の組み合わせ例は、次の例えば‥を読んでね。シンプルだけど、効果はお肌で実感メニューです。来月号のオバジのニューダーム・システム使用後の維持製品としてもお使い頂けます。(註:以下定価は平成16年4月1日現在・消費税率5%で表示されています。)
ステップ1.洗顔で、お肌を清潔に保とう!
洗顔料選びの基本は、弱酸性~中性でお肌に優しいにも関わらず、しっかり汚れをノックアウト出来る物を選ぶ事。エンビロンの洗顔ラインはジェルとクリームの2つ。どちらも弱酸性です。貴女は、ジェルでさっぱり派? それともクリームでしっとり派? どちらもダブル洗顔でメイクもバッチリ落とせます。
ステップ2.角質ケアをして、角質の代謝リズムを整えよう!
AHA(グリコール酸)の配合濃度で2種類。洗顔だけでは落としきれなかった毛穴の奥の汚れや古くなって剥がれ掛けの角質をマイルドに取り除くアルファートナー(グリコール酸3%)と、頑固に積もり積もった角質を取り除くアルファークリーム(グリコール酸4%)です。普段使いのアルファートナーに、スペシャルケアとして週に2~3回アルファークリームを重ねる方法もありです。
乾燥やシミが気になる貴女には、アルファートナーの後に、天然乳酸(乳酸16%)を配合したダーマラックローションの重ね塗りがオススメ。単独使用ではちょっと角質除去作用が弱いのが難点だけど、重ね塗りでこの弱点をカバー。乳酸の保湿、美白効果がプラスされる使い方です。単独使いなら、ボディ、特に足のカサカサ・ドライスキンにオススメ。夜塗ってお休みになると、朝にはしっとり自惚れ肌!
*AHA配合製品は、ダメージ肌であればある程、ピリピリ刺激的。お肌の状態が良くなるにつれて軽減するけど、アトピーさんや超が付く程の乾燥肌の貴女は、コットンに水を含ませてアルファートナーを薄めて使うって裏技もありです。
ステップ3.ビタミン補給!
抗酸化ビタミン群(βカロチン、ビタミンC・E・B5)とビタミンAの力で、光老化の予防と老化してしまった肌の改善をしちゃいましょ。
前述の通り、ビタミンAの作用により、お肌の状態によっては、使用開始当初に赤味・ほてり感・乾燥感・一過性のニキビ活発化等の症状が出る場合(”レチノール反応”)があるんですね。慣れちゃえば全然平気だし、何と言っても凄いパワーの持ち主だから、上手く飼い慣らさなきゃね。段階的に徐々に馴らしてでも良いし、開き直ってバーンとハイスコア狙いもあり。ビタミンAの配合濃度により、幾つかの段階があります。一番高い濃度のウルトラシリーズは、医師の処方が必要な化粧品になってます。
化粧水の代わりって表現が一番ぴったりなのが、モイスチャージェル(ビタミンA1000IU配合)。入門編として良く使われるのがプライマリー(ビタミンA600IU配合)ですが、ニキビが落ち着くまでの期間限定って使い方も。モイスチャージェルは、それだけじゃなくて、お家でスペシャルケアとしてイオン導入にも使えちゃう優れモノで~す。只者じゃないでしょ?
モイスチャージェルが化粧水なら、ディクリーム&ナイトクリームは乳液の代わり。ビタミンAの配合濃度により、プライマリー(ビタミンA600IU配合)、マイルド(ビタミンA1250IU配合)、唯のディクリームとナイトクリーム(ビタミンA2500IU配合)、ウルトラ(会社が正式に公表していないんで‥唯、ディやナイトクリームの4倍位って話だよ)の4段階に分かれます。あ、ディとナイトの違い? 単に日焼け止め(PA*** SPF4)が入っているか否かの違いです、はい。
サンケア
詳しい内容は、光老化後編~予防方法(美容通信2003年8月号)を読んで思い出してね。このラドローションは、PA***&SPF16と日常使いに最適。更に、ウォーターレジスタント効果で水にも汗にも強い! それだけじゃ他の日焼け止めと変わんないんじゃないと思われるかもしれませんが、嬉しい事に抗酸化ビタミン群(ビタミンC・E、βカロチン)がたっぷりなので、紫外線による活性酸素消去効果は勿論、日焼けによるダメージの回復も期待出来ちゃうので~す。
スペシャル・ケア
- クレイティックマスク
ニキビさんは勿論、毛穴の黒ずみ・開きが気になる貴女に週1~2回のスペシャルケア。主成分のカリオン(クレイ)が、毛穴に詰まった皮脂を吸着! 更に、抗酸化ビタミン群(ビタミンE・B5)とミネラルオイルがしっとり保湿。塗ったまま放置(仮眠‥は、HISAKOだけ?)するスタンダードな使い方が一般だけど、顔が何かザラザラする!って時は、マッサージを加えるとスクラブ効果爆発!
- アンチオキシダントジェル
抗酸化ビタミン(βカロチン、ビタミンC・E・B5)群&ティーツリーオイルが主成分。超敏感肌、超乾燥肌、ニキビ肌、アトピー肌と言った超が付くデリケート肌にオススメです。ビタミンAが含まれていないのでレチノール反応は当然ないにも関わらず、βカロチンが含まれているのでお肌でマイルドなビタミンA効果が期待出来ちゃうんです。だから、ビタミンAではちょっと刺激的過ぎる!って方にも、ニキビの悪化が心配って方にも、◎印。それにティーツリーオイル配合だから、抗菌・抗炎症作用も! 正にニキビさん仕様ですね。それだけじゃなくて、ティーツリーオイルには、精神をリラックスさせてくれるアロマ効果もあるから、嬉しい付録付きって感じかな。化粧水+乳液感覚でお使い下さいね。
- C-ブースト
経皮吸収性(VCMgの何たって16.5倍!)・細胞内到達性抜群のVCIPを高濃度に配合してま~す! それにも関わらず、水溶性のビタミンC誘導体みたいにガビガビに乾燥したりする事がなくて、程良いしっとり感が画期的と大騒ぎになった逸品。ビタミンA配合製品と併用すると、相乗効果でパワー倍増です。
- モイスチャーオイルカプセル
脂溶性のビタミンC(VCIP)・ビタミンEと、抗酸化力の強いチオクト酸を配合が、強力にタグを組み抗酸化力炸裂! 性能の高さは勿論ですが、保湿力が抜群な油のくせにさらりとした触感が、HISAKOを虜にした理由かな。ビタミンAも入っています。
例えば、貴女はこんな使い方?
基本プログラム
何たって、基本! これのバリエーションなんだ。
シミ・くすみ肌
ポイントは、ダーマラックローションとC-ブースト! 乳酸とビタミンCパワーで、白をゲットしよう。
小じわ・たるみ肌
AHA(グリコール酸)とC-ブーストのコラーゲン生成促進パワーが、効く。
ニキビ肌
活発なニキビちゃんには、ビタミンAは刺激的過ぎるから、アンチオキシダントジェルをセレクトします。クレイの力で毛穴ケア♪ アルファートナーは2度拭きでっせ。
乾燥肌
保湿と言えばダーマラックローション、これに究極の救世主モイスチャーオイルカプセルをプラスしてみました。冬場のHISAKONO定番メニューです。
毛穴の開き、黒ずみ肌
クレイの威力をみよ。AHA(グリコール酸)の実力を感じよ。
超が付く敏感肌&乾燥肌とアトピー肌
ビタミンAは立ち入り禁止区域。
使えるものは、親でも使う。化粧品だってとことん利用してやりましょう。それが、楽して美肌姫になる方法です。
*註:HISAKOの美容通信に記載されている料金(消費税率等を含む)・施術内容等は、あくまでも発行日時点のものです。従って、諸事情により、料金(消費税率等を含む)・施術内容等が変更になっている場合があります。予め、御確認下さい。
※治療の内容によっては、国内未承認医薬品または医療機器を用いて施術を行います。治療に用いる医薬品および機器は当院医師の判断の元、個人輸入手続きを行ったものです。
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「化粧品の底力・後編」は、”オバジのニューダーム・システム”です。