HISAKOの美容通信2005年5月号
漢方薬で体質改善~基礎講座編
漢方薬で体質改善しましょう。
漢方薬は、民間療法的なイメージが強いですが、更年期障害や花粉症の治療など様々な病気に対して、病院で処方される保険のお薬でもあります。
今月号から3ヶ月連続で特集する”漢方で体調を整えよう!”です。
漢方医学では、病気は全身の働きの歪みと考えます。
だから、西洋医学とはアプローチの仕方が違うんです。胃の病気だから胃を治すって言うのではなくて、歪みを正す事で、全身の働きを整え、私達が本来持っている自然治癒力を高める事が治療の主眼。体が冷えて働きが悪くなっている人なら、温めて治しましょ。暑がっている人なら、冷ましてあげましょ。なんですね。だから、漢方では、同じ症状、病名でも、患者さんの体質によって処方する薬が違うんです。同じはあり得ない。例えば、同じ婦人科系のお薬でも、当帰芍薬散(23)は、竹下夢二の”色白・痩せ型で浮腫み易く冷えに敏感な蒲柳”の女性に。桂枝茯岺丸(25)は、レニー・ゼルウィガー用。がっちりとした体格の女性の愁訴に効きます。
江戸時代のカリスマ漢方医和田東郭(1742~1803)は、こう言いました。”薬の運用と言うのは自在でなければならない。これは脱肛の薬、これは下血の薬というふうに病気別に薬を使うのではだめだ。たとえて言うならば、すり鉢は灰を入れれば火鉢になり、土を入れれば植木鉢になる。水を入れると水鉢に、逆さまにすれば踏み台にもなる。” 漢方の真髄を言い当てた名文句と評されていますが、漢方に限らず医学の基本だと思うけどね。
じゃあ、始めましょうか? ”漢方薬基礎講座”です。
初めての漢方薬指南 第一章”漢方の病気の捉え方”
漢方では、患者さんが”陰・陽””虚・実”のどの状態にあるかの”証”を見極め、”気・血・水”の異常がどのような組み合わせで起こっているかを考え合わせて、処方が決まります。だから漢方では、同じ症状、病名でも、患者さんの体質によって処方する薬が違うんです。自分の漢方薬を、同じ様な症状だからって家族や友達にあげるなんて言うのは、論外!なのね。
個別の詳しい内容は夫々の章を読んでね。
体質、体力、病状から、”陰・陽”、”虚・実”の”証”を見極める。
漢方には、患者さんの体質や体力を総合的に測る物差しがあって、これが”証”。謂わば、その人が持っている病気に対する抵抗力のようなもの。急性疾患では、”陰・陽”は寒熱と読み替えると分りやすいかな。でも、慢性疾患では熱は考慮しなくて良いので、初心者さんは”虚・実”だけが問題となって来ます。
体力が有り余って、生理機能が亢進しまくった状態が”実証”。”虚証”は、”実証”とは逆に、体力がなく生理機能が衰えた状態で、抵抗力も殆どない。そして、その中間を”中間証”と言います。一般に、”実証”の人は、がっちりとした体格で血色が良いです。スポーツ選手に多いって言われています。”虚証”の人は、線が細くて顔色も悪く、脈も弱々しい。都会人とも、言います(笑)。
それじゃあ、貴女の”証”を判定しちゃいましょう。質問あ)、い)、う)の夫々の○の個数を数えてね。一番多かったのが、貴女の”証”。
質問あ) □マッスル、マッスル。
□元気一杯!
□声がデカいから、良く同僚から”うるせ~”って言われる。
□お肌つやつや、ばら色の頬。
□胃腸は頑丈! 鉄で出来てる(?)
□食欲旺盛。
□爪もピンク色で滑らか。
□食べるのが早い。
□1日でも糞詰まりになると、気持ちが悪い。
□積極的で、疲れ知らず。
--------------------------------- 合計 個
質問い) □並な体型。
□取り立てて元気が良い訳でもなく、悪い訳でもなく‥。
□声の大きさも並。
□取り立てて何もない、普通肌。
□胃の調子? 並ですね。
□食欲も、並。
□爪も、並。
□早食いとも、トロトロ喰ってるとも言われないけど‥。
□やっぱ2、3日ウンコしないと、調子が悪いよ。
□まあ、特に疲れやすいとも思わないけど‥。僕って、凡庸な人間?
--------------------------------- 合計 個
質問う) □華奢。
□元気がない。
□声が小さいから、電話で”え?”って聞き返される。。
□ガサガサ肌。
□山根君みたいに、胃腸が弱い。
□食べたくない。
□爪が波打ってます。ガタガタ。
□ゆっくり咀嚼して食べてるつもりが、気付いたら昼休みは当の昔に終わってた。
□何週間もウンコしてません。でも、全然平気!
□疲れやすい。
--------------------------------- 合計 個
あ)が多いと”実証”、い)だと”中間証”、う)だと”虚証”。あ)とい)の数が同数の場合は、ちょっと”実証”気味だし、あ)とう)が同数なら”中間証”だし、い)とう)が同数なら”虚証”気味って考えます。貴女はどれでした?
”虚証”が強くても”実証”が強くても、病気になりやすいんです。理想は”中間証”かな。
全身を巡る”気”、”血”、”水”(生理的因子)の歪みから、病気を考える。
漢方では、”気”、”血”、”水”(生理的因子)が体内を巡って、健康を維持していると考えるんです。これらに何らかの異常事態が発生して不具合が生じてくると、当然、三者の均衡が崩れる=病気になるんですね。
”気”とは?
元々は、自然界に於ける空気の移動(=風)の事。これから転じて呼吸の意味になり、段々拡大解釈されて、生命活動を営んだり、精神活動を行うエネルギーのようなものまで表すようになりました。そして”気”は、”血”(血管を流れている成分)と”水”(汗やリンパ液と言った血液以外の体液全般)と言った体と心を結ぶ情報ネットワークの中枢、まあ”血”と”水”の親分でもあるんです。
過労や寝不足、ご飯が食べれない等など、ちょっとした生活の行き違いで、”気”は乱れちゃうんです。家族や友達、学校や会社等の人間関係がハッピーで、心安らかに塀の中の(!)様な規則正しい生活を送れたら、人間病気になんてなりません。でも、人間は業が深い生き物なので、(当事者は結構深刻だけど、第三者的には)些細な事で、”気”乱れて体まで不調になってしまいます。
例えば、”気”の不足は、”気虚”。
活力(体力・気力)が低下した状態を指します。”病は気から”の”気”がこれ。だから、根性が入ってね~とかじゃなくて、生命エネルギーが衰退しているって意味なんだよ~ん。
具体的には、元気が出ないとか、かったるい、だるい、飯食うの面倒とか、ヤル気起きね~。貧血。
- 有効成分:人参、黄耆、天草、大棗
- 処方例:四君子湯(75)、補中益気湯(41)、小建中湯(99)(黄耆建中湯(98))
”気”が喉の辺りで停滞すると、”気滞”。
抑鬱状態や、頭が重い、喉がつっかえる感じ、腹が膨れる、手足も痛い‥。
- 有効成分:枳実、木香、半夏、厚朴、檳榔子、香附子
- 処方例:半夏厚朴湯(16)、香蘇散(70)、女神散(67)
”気”が上がり過ぎると、”上衝”。まあ、”のぼせ”状態って考えると分り易いかな。
のぼせや動悸、情緒不安定の他、発作性の冷えやゲップ、汗だらだら。
- 有効成分:桂枝、呉茱萸、黄連、竜骨、牡蠣
- 処方例:桂枝甘草湯、苓桂甘棗湯、桂枝加竜牡蠣湯(26)
それじゃあ、貴女の”気”の異常度チェック! ○が多ければ多いほど、貴女は□△×だ!
- ”気虚”
□元気がない。
□活発に行動出来ない。
□疲れやすい。
□風邪を引きやすい。
□食欲がない。
- ”気滞”
□不安感がある。
□喉が詰まる感じがする。
□憂鬱な気分。
□頭が重い。
□無気力である。
□イライラしやすい。
□寝起きが悪い。
- ”上衝”
□のぼせる。
□眩暈がする。
□動悸がする。
□頭痛がする。
□顔面が紅潮しやすい。
□不眠がち。
□イライラしやすい。
”血”とは?
”血”は、血液とその働きを意味します。”血”は気と共に全身を巡り、体の隅々まで栄養を運んでくれてま~す。だから、内分泌系や免疫系、婦人科系と関係が深く、それ故に私達女の子は無視が出来ない”血”の異常。詳しくは、”血虚”と”お血”(ヤマイダレに於けるって書くんだけど‥変換出来ない馬鹿なホームページ作成ソフト使ってます!)の2種類があります。
”血虚”は、血の不足から来る機能障害。全身の栄養状態が悪くなり、貧血になっちゃうぞ!
皮膚がかさかさする、爪が脆い、髪が抜けると言った症状の他、良く眠れない、集中力も低下するし、こむらがえりで足もつる‥。月のものの量が少ない(過少月経)、血行不良(免疫異常の他、直ぐ青たんが出来ちゃう血管の脆い女がこれに相当!)。
有効成分:当帰、地黄、芍薬、川きゅう(コレマタ、変換不可! クサカンムリに弓)、阿膠、何首烏、艾葉、丹参
処方例:四物湯(71)、きゅう(クサカンムリに弓です)帰膠艾湯(77)、十全大補湯(48)
”お血”は、血の巡りが悪く(末梢循環・静脈系の循環障害)なって滞ってしまった状態。
ターゲットは、実に多彩。①打撲・捻挫、②皮下及び粘膜下の出血・紫斑、③静脈瘤・静脈炎、血栓症、④月経異常・不妊症・排卵異常、⑤産後の諸症状(腰痛、眩暈、帯下etc.)、⑥所謂、冷え症、⑦肝機能障害・糖尿病etc.の代謝性疾患、⑧常習性便秘・痔、⑨術後の回復促進、⑩頭痛や鬱、脳血管障害と言った精神神経疾患、⑪湿疹、蕁麻疹、しもやけ、⑫その他(血尿、膠原病、ステロイド剤使用時)。特に女性特有の症状には、”お血”の関わっているものが非常に多いんですね。
有効成分:桃核、牡丹皮、芍薬、当帰、川きゅう、大黄、紅花
処方例:桃核承気湯(61)、桂枝茯苓丸(25)、当帰芍薬散(23)
それじゃあ、恒例の貴女の”血”の異常度チェック! ○が多ければ多いほど、貴女は□△×だ!(□△×に虚血とかお血とか入れてね)
□顔色が悪い。
□貧血がある。
□肌がカサカサする。
□手足が痺れやすい。
□抜け毛が多い。
□眩暈がする。
□目が疲れ易い。
□不眠傾向。
□生理不順。
□爪が割れ易い。
□集中力に欠ける。
□目の下にクマ。
□おへその周りを押すと圧痛。
□肌荒れ。
□鮫肌。
□舌や歯茎の色が悪い。
□内出血し易い。
□口が渇き易い。
□痔がある。
□月経異常。
□よく下腹部が痛くなる。
□感情の起伏が激しい。
”水”とは?
”水”とは、血以外の体液の事で、汗、唾、涙、おしっこ、リンパ液、胃液etc.を指します。水の流れが悪くなった状態を”水毒”or”水滞”と言い、水分の代謝が悪くなるので、やたらと喉が渇いたり、浮腫んだり、おしっこや汗の量に異常を来たしたり、鼻水じゅる~っ。酷くなると頭痛や眩暈、動悸まで出現!
。
- 有効成分:茯苓、朮、沢瀉、附子、麻黄、防已
- 処方例:五苓散(17)、猪苓湯(40)、真武湯(30)、防已黄耆湯(20)
- ”水毒”
□浮腫みやすい。
□水のような鼻水が出る。
□おしっこがじゃんじゃん出る。
□おしっこがあんまりでない。
□関節痛。
□頭痛。
□眩暈がする。
□乗り物酔いし易い。
□立ちくらみしやすい。
□下痢っぴ。
□手足が冷える。
□水太り。
□動悸や息切れ。
□瞼が痙攣。
初めての漢方薬指南 第二章”素朴な疑問”
最低限知ってて欲しい怒涛の漢方薬基礎講座始まります。だって、これを知らないと、いざ処方されても飲み方が分んないよ~んとかなっちゃうと困るからね。ん、じゃ、始めるよ。
漢方薬の成分って何?
植物の葉や根は勿論、動物の皮や骨、鉱物だって‥、まあ、中国4000年の歴史だけに、この世にあるものは椅子の足だって飲んじゃいます(笑)。生薬の多くは、”草根木皮”と称される植物の根や茎、樹皮、葉、果実、花、種子等。杏仁(アンズ)、桃仁(モモ)、紫蘇葉(シソ)、竹葉、蒲公英(タンポポ)、艾葉(ヨモギ)etc.。でも、これは序の口、オオコウモリのうんこ(五霊脂→註;黄金バットのうんこではありません)やセミの抜け殻(蝉退)、人間の髪の毛を焼いた物(血余炭)、鹿の分泌物(麝香)と言った動物奇想天外級の生薬や、動物の化石(竜骨)、硫酸カルシウム鉱石(石膏)、珪酸アルミニウムの粘土鉱物(滑石)と言った堅物までバラエティーに富んでいるんです。凄いですね、中国人って。
漢方薬は長く飲み続けないといけない?
腐っても鯛じゃないけれど、漢方薬も薬です。”風邪”や”腹痛”、”頭痛”と言った即効治って欲しい症状には、即効性のあるもので攻めます。例えば、風邪の引き始めに葛根湯を飲むと、1時間くらいで頭痛や鼻詰りが改善する事もあるくらい。
そもそも、漢方薬の処方は、”性格”(方位)があって、どちらかと言うと”攻め”(生体内の病理的産物を発汗・瀉下・利尿などで速やかに除去)に比重がある処方、”守り”(生体内の抗病反応を賦活する薬)にウェイトを置いたもの、攻めるも守るもOKの”攻守兼務”に分ける事が出来ます。先で述べた葛根湯は、”攻め”の代表的な処方に使うお薬なんです。
だから、所謂不定愁訴の様な症状に対しては、歪みを元から正していかなくてはならないので、効果が出始めるのは2週間くらいしてから。普通は1ヶ月くらい飲んで、症状が少し良くなったような気がしないでもないなら、それは合ってると判断。飲み続けます。でも、え~、全く変んないよ!とか症状が酷くなったじゃない!なら、同じ違うものにチェンジ。体質改善を目指すなら、もっと猶予期間を下さいね。半年から1年みて下さい。尤も、途中で証が変って行くなんてザラだから、漢方薬もどんどん変えて行かなくちゃね。
そうそう、自分にその漢方薬が合っていると、美味しく感じるんですって。これも一つの指標かもね。
煎じ薬Vsエキス剤
煎じ薬は、処方に応じて調合された生薬を水から煮出して服用するもので、時代劇では良く見かけるシーン。でも、一々煎じるのは面倒だし、出張の時、嵩張るし、例え土瓶をスーツケースに忍ばせて出掛けても機内ではど~すんだ!って事にもなりかねません。やっぱ、現代人には無理な話。それにって言うと、まるで欠点ばっかり論っている様で嫌なんですけど、言います。保存も面倒。まあ、漢方薬に限らずどんな薬もそうなんですが、あんまり長く保存しておくと、薬効が落ちて箪笥の肥やし(特に、蘇葉、菊花等は、買った途端に傷み出すと考えた方が無難)どころか、ものによっては黴ったり、虫が湧いたりするんです。紙袋に入れ、風通しの良い所に陰干ししておきましょう。冷蔵庫でも可です。
そこでツムラは考えた。工場で予め煎じて、それを顆粒状に加工したエキス剤ではどうだろう? 効果は多少は劣っても、飲んでもらえないよりマシじゃないか。保存も楽だし♪ 品質もムラが無いぞ。
それでも煎じて飲みたい人の為の煎じ方
器は、出来れば土瓶がベスト。なければ、あの上野動物園の来園者数を抜き日本一の人気動物園として君臨するに遊びに来たついでに、旭川のHISAKOの実家まで買いに来て下さい。不幸にも、が生理的に受け付けないので旭川に行けないって人は、ホウロウやアルミ、ステンレス、強化ガラスと言った鍋でも良しとしましょう。でも、鉄や銅などの金属の鍋は成分が変化する可能性があるので、ペケです。
毎日、その日に飲む分だけを煎じます。作り置きは手抜き主婦の常識ですが、漢方薬にその常識は通じません。1日分の漢方薬と水、そうですね、一人分なら、600ml位の水で十分です。これを弱火でゆっくり40分位煮詰めます。短気を起こして、強火にしたり、お湯から煎じては効果激減。忍耐、忍耐。‥半分位に煮詰まったら、ガーゼで濾して、容器を移し替えて、温かいうちにどうぞ。飲み残しは、冷まして冷蔵庫で保存します。が、次回飲む時には冷たいままは厳禁で、必ず人肌程度に温め直して下さいね。
漢方薬の飲み方って、知ってる?
空きっ腹に漢方
”空きっ腹に漢方”って言葉通り(え? 知らない? HISAKOがさっき造りました。造語ならぬ標語です)、1日3回、空きっ腹に飲んで下さい。論文によると、漢方薬の成分によっては、腸内細菌によって分解されて初めて有効な成分になるものもあるとか。って事は、他の食べ物と一緒くたになっちゃうと、それだけ分解能力が落ちて、効きが悪くなっちゃうらしい。それだけじゃなくて、腸から吸収されて血中に入る率も低くなってしまうし、ほら、西洋薬は食後に飲む事が多いので時間差攻撃にもなる。故に、ご飯の1時間前に飲みましょう。
え? 飲み忘れた? じゃあ、仕方ありません。食後30分~1時間なら、まあ、大目に見ましょう。飲み忘れよりマシですから。胃腸が弱くて、空きっ腹に飲むとぐへ~ってなっちゃう人も、食後でも良いです。妥協しましょう。
あ、あと、漢方薬を飲んで直ぐに牛乳や清涼飲料水等は飲まないでね。効果が半減するよ。
西洋薬との併用もOK
併用出来る事が殆どだけど、病状や体質にもよるので、予め教えてね。飲む時は、飲む間隔を30分~1時間空けるほうが良いよ。漢方薬も2剤、3剤を併用する時は、一緒に飲むと生薬の重なりetc.で不都合が起きる場合もあるので、時間をずらすとか工夫が欲しいですね、はい。
エキス剤はお湯に溶かして飲むのが正統派
さらさら顆粒状のエキス剤は、インスタントコーヒーと同じ様にお湯に溶かして飲むのが基本。元々の煎じ薬の形に戻して飲んだ方が吸収が良いんです。特に冷え症や胃腸虚弱の山根君は、温かくして飲みましょうね。でも、実はちょっとばかり溶かすにはコツが要ります。どばっと一気にお湯を注ぐと、ダマになります。少量の水か微温湯で良く溶かしてから、お湯を入れるんです。お試しあれ。
漢方薬はお高い?
漢方薬は、健康保険が使えます(昭和51年~)。エキス剤でも、煎じ薬の為の生薬でも、みんな保険が利くんです。尤も、生薬を扱っている保険薬局は極めて少ないので、処方箋を握り締めて都内を駆けずり回るなんて事もなきにしもありず、なんてね。
エキス剤は、現在約150種類が保険で認められています。同姓同名の市販のエキス剤はマツキヨやドンキ(因みに、うちのクリニックの大家さんであるアイロムは、ドンキに処方箋薬局を展開しています)でも売っていますが、手軽な分、病院で処方されるものより有効成分が約7割と少なくなってます。それに保険が利かない分、高いし‥。まあ、病院にイラッシャイマセ。
中国土産には気をつけろ!
日本で使われている生薬は約200種類。でも、本場中国では何万種類もの生薬がラインアップ。この中には、同じ黄色人種とは言え、日本人の体質に合わないもの、成分自体が未公開!って得体の知れない漢方薬、、更には効果を狙って副腎皮質ホルモン剤であるステロイド含有製品まであって、一日の服用量自体が多過ぎて胃腸障害になっちゃった等など量的な問題まで含めると、最早これは日本人が考える漢方薬の域を逸脱して、別物と言わざる得ないんです。第一、漢方薬は同じ症状でも人によって処方するものが違うって特性を考えると‥、路上で買わない、如何わしい店は敬遠するのは当然としても、笑い話で済まされる範囲に留めておいた方が無難というものでしょう。
薬膳料理を作ろう
毎日の食養生が漢方の基本。古代中国では食べ方を指導する食医が最高の医者(上工)だったらしい。病気にかからない様にする医者が一番偉いを中国語で言うと、”上工治未病”。‥でも、今は日本中どこの大学病院を探したって、食医なんていやしない。だったら、貴女がなればいい。そうでしょ? 薬膳料理なんて私には作れっこない!なんて、最初っから敬遠しないで。普段の食生活の中で、身近な食べ物をちょっと気を付けて選ぶ事だけで、もうそれは薬膳料理。さあ、”医食同源”を今日から実践しましょう。
漢方では”四気”と言って、食べ物を”熱”、”温”、”涼”、”寒”の4種類に分類しています。”熱”と”温”の食べ物は体を温めるので、冷え症の人や体力のない人に活力を与え、逆に”寒”や”涼”の食べ物は体を冷やして熱を取り、痛みや炎症を鎮めてくれます。だから、その時々の体調や病状によって、例えば陰証や寒証なら”熱”と”温”の食べ物を、熱証なら”寒”や”涼”の食べ物を食べてバランスを取るようにすれば良いだけの話。因みに、”四気”以外の食べ物は”平”と言って、ど~でも良いor万能の食材を指します。全部併せて5レンジャーならぬ、”五性”とも言います。
食べ物の五性
●”熱”と”温”の食べ物
韮、葱、人参、玉葱、大蒜、生姜、南瓜、玄米、味噌、鶏肉、鰯、酢、杏、桃、唐辛子、胡椒
●”寒”と”涼”の食べ物
トマト、茄子、白菜、筍、蕎麦、蒟蒻、浅利、蜆、牡蠣、西瓜、小麦、鳩麦、塩、醤油
●”平”の食べ物
馬鈴薯、玉蜀黍、キャベツ、椎茸、蓮根、大豆、小豆、卵、梅、枇杷、林檎、豚肉、秋刀魚
昔、雑誌(何だったか忘れちゃいました。ソコだけ切り取っておいたから‥。ゴメン)で読んで、なんちゃって薬膳したい時にHISAKOが作るのは、生薬湯をお水代わりに使う料理。野菜や魚なんかを煮るとか、米を炊くとか、ブイヨンやだし汁と合わせてスープにしたりとか、仄かな香りや苦味が、何か体に良さそげってレベルなんだけどね。雰囲気から始めたいって人にはオススメかも。HISAKOは、十穀米とかが大好きなので、これで薬膳リゾットとか良く作ります。アサリを入れて、三つ葉を散らしたら、もうお洒落なリゾットざましょ?
生薬湯の作り方
ストレスや目の疲れ、冷え性や頭痛と言った不定愁訴に効きます。沢山作っちゃって余ったら、スープストックと同じ要領で、製氷皿に入れて冷凍しちゃいましょ。便利です。
- 西洋人参
- 材料:水1l、西洋人参10g、大棗15g、枸杞の実10g、菊花0.5g、ローズレッド2g
朝鮮人参と同じウコギ科の植物の根。朝鮮人参よりも気力を補う補気作用は劣りますが、解熱・鎮静・鎮痙・鎮痛作用が優れてま~す。
- 大棗
ナツメの実を日干しにしたもの。滋養強壮、病後の回復、咳止め、冷え性、低血圧、精神安定、ヒステリーに効きます。抗アレルギー作用や腎障害の改善作用も。
- 枸杞の実
中国では古くから”仙人の杖”と呼ばれ、老化防止の妙薬として有名。生薬の中で最も良い上品(じょうほん)に属し、無毒で、滋養強壮や老化防止、長寿の効果。その他、肝機能を高めて、目にも良いんですよ。
- 菊花
花屋じゃなくて、野菜売り場に食用として生のは売ってるよね。パソコンによる目の疲れに最適。解熱作用や血液の循環を良くしてくれる等の作用もあります。
- ローズレッド
ハーブティー界では良く使われますが、気分をリフレッシュさせたいなら、これ。神経疲労や二日酔い、更年期障害、便秘、肌荒れ、シミ!にまで効くそうな。
作り方:
1.鍋(煎じ薬と一緒で、鉄や銅などの金属の鍋は成分が変化する可能性があるので、ペケ。HISAKOは土鍋を使ってます)に、お水と、西洋人参、大棗の順に放り込みましょう。
2.強火で煮立ったら、とろ火にして下さいね。
3.煮過ぎると苦くなっちゃうから、30分位で留めておこう。
4.枸杞の実と菊花、ローズレッドも放り込みましょう。これで10分間、煮ます。
5.火を止めて、ろ紙で濾す。目の細かいものが良いって書いてあったんで、HISAKOは、今は使ってないデカイ業務用のコーヒーメーカーのフィルターを使っています。ははは。
6.濾した汁は生薬湯として、濾された生薬の残骸は袋に詰めて生薬風呂。リサイクル、リサイクル。
*註:HISAKOの美容通信に記載されている料金(消費税率等を含む)・施術内容等は、あくまでも発行日時点のものです。従って、諸事情により、料金(消費税率等を含む)・施術内容等が変更になっている場合があります。予め、御確認下さい。
※治療の内容によっては、国内未承認医薬品または医療機器を用いて施術を行います。治療に用いる医薬品および機器は当院医師の判断の元、個人輸入手続きを行ったものです。
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