プラセンタ注射/点滴 | 旭川皮フ形成外科クリニック

HISAKOの美容通信2009年2月号

プラセンタ注射/点滴

image834 プラセンタは、兎に角万能。
様々な効果・効能があります。
アトピー性皮膚炎やニキビ・ニキビ跡シミ(美白)、シワ、傷の治りを促進したり、ホルモンもどきとして更年期障害の改善やアンチエイジングに、疲労回復、不眠症の改善等々が主な作用です。

胎盤【プラセンタ】は胎児と母体のインターフェイスとして各種栄養成分や成長因子の供給、排泄物などの処理を行っています。プラセンタ注射液はヒト胎盤のエキスで、多種のアミノ酸やビタミン・ミネラルを豊富に含み、新陳代謝や血行を促進して免疫力・自己治癒力を高めるため、様々な疾患に適用されています。
‥こんな小奇麗なパンフレットに踊っていそうな美辞麗句じゃあ物足りない。薀蓄を傾けたい。そんなマニアな人々に贈るHISAKOのプラセンタ解説です。

てな訳で、今月号は”プラセンタ療法”です。

プラセンタの歴史

 プラセンタの歴史は古く、ナント、紀元前・古代ギリシャ時代に遡ります。秦の始皇帝は、不老不死の妙薬として愛飲していました。医学の父として崇められているヒポクラテスは、治療に薬として使用していました。世界の歴代の美女達、楊貴妃もクレオパトラも、はたまたフランスの王妃マリー・アントワネットも、常用していたんだそうです。‥大昔から、世の東西を問わず、プラセンタは何か良く分んないけど(笑)、凄い奴的存在だったんです。
image836 プラセンタが所謂治療用のお薬として表舞台に登場したのは、1933年。旧ソ連の眼科医でオデッサ医科大学教授のフィラートフ博士が、「組織療法」にプラセンタ(胎盤)を使用したのが始まり。当時、満州医科大で教授をしていた稗田先生(医学・農学博士)は、”ほほ~っ。こりゃ、面白い治療法方法だわなぁ”っと言ったかどうかは定かではありませんが、嵌っちゃったのは事実。戦争が終わっても、満州に居残って、1953年に日本に帰国するまでの8年間、中国の八路軍に参加して、怪我をした兵隊さんに色んな組織を埋め捲くりました。牛の脳下垂体だとか角膜、肝臓、胎盤etc.‥。今のご時世なら、とんでもない人体実験だ!と激しい謗りを受けたでしょうが、何せ時代は戦時中。それも、結果をバチッと出しちゃったもんだから、問題になりようもありません。稗田博士は、”やっぱ、胎盤が最高!!”って実感を得て、漸く帰国の途に着きましたが、勿論これだけの学者さんですから、久留米大学の病理学の教授と医学部長を兼任しながらも、胎盤の研究に邁進。遂には、廃業した醤油工場を買い取って、ラエンネックって名前を付けて、注射液として売り出すほどになりました。当時は、工場の規制なんてあってないような時代。公害なんて概念すらありません。工場の廃液が庭の池にじゃんじゃん流れ込み、その池では鯉がマグロ化し、稗田博士を含むスタッフ一同、凄い! 凄い!!って歓声を上げていたそうです(笑)。‥1959年には、厚生省(現・厚生労働省)から”肝硬変”のお薬として認可を受け、後年適応が拡大され、現在は肝機能改善薬として認可されています。

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 おおっと、点滴静脈注射で使用出来るプラセンタは、この”ラエンネック”だけです。え? プラセンタって、全部、点滴静脈注射出来る訳じゃないの!? ‥そんなプラセンタ初心者の貴女に贈る、補足:”プラセンタ製剤対決~ラエンネック Vs メルスモン”。

a009icn 補足:プラセンタ製剤~ラエンネック Vs メルスモン

 プラセンタ療法には、保険適応となっている疾患もあります。日本で医療用医薬品(注射剤)として認可を受けているのは、ラエンネックとメルスモンの2つだけ。ですから、下記に挙げる適応疾患の殆どは、保険適応外。自腹切って、払ってもらう必要があります。
image837 両者共、原材料は私達と同じ仲間である人間の胎盤から抽出した製剤です。(因みに、薬局や薬店で売っている大衆薬や化粧品、サプリメントの類は、人間のじゃなくて、豚のなんですよ、豚の!) ですが、保険の適応病名は、ラエンネックは、慢性肝疾患に於ける肝機能の改善。メルスモンが、更年期障害と乳汁分泌不全症。ラエンネックは、皮膚に注射しようと、筋肉に注射しようと、はたまた、血管の中に流し込もうと全く問題がありません。しかし、後者のメルスモンは、静脈内への注入は不可。‥何か、疑問感じませんか? そうです。原材料が例え同じ人間の胎盤であっても、お薬に含まれる成分は、抽出方法によって差が生じます。
 例えば、メルスモンにはベンゼルアルコールが含まれているので、静脈内に注射したら‥、死んじゃいます。ラエンネックは、含まれていないので、大丈夫です。
 更に、効果の面でも、抽出法により差が生じます。胎盤から取り出したい有効成分が分子量の小さいアミノ酸であれば、加水分解法(塩酸等の強酸を使用)や酵素分解法(強酸の代わりに酵素を使用)で抽出します。この製造方法は昔から一般的に行なわれて来た抽出法ですが、欠点は、細胞増殖因子やサイトカインの様な大きく複雑で且つデリケートな分子は、粉々に壊れてしまう事。ですから、これらの貴重な成分を損なわずに、それも高濃度で抽出する場合は、目の細かい篩を使った分子分画処理を併用しなければなりません。ラエンネックは、ペプシンによる酵素分解、塩酸加水分解処理を行なっていますが、分子分画処理を併用しているので、細胞増殖因子やサイトカイン等の効果も期待出来る注射薬です。ですがメルスモンは、成分的には各種アミノ酸、ミネラル、核酸関連成分、キサンチン等は確認出来ていますが、成長因子(GF)等は確認されていませんし、ラエンネックが効果として挙げる美白効果についても、メルスモンを製造しているメルスモン製薬会社に回答によると、データ自体がないので不明だそうです。

 つまり、以下のお話は、プラセンタはプラセンタでも、HISAKOのクリニックで扱っている”ラエンネック”のお話。婦人科で一般的に使われている”メルスモン”ではございません。悪しからず。

プラセンタ注射の保険適応病名は、肝臓障害である。

 満州帰りのプラセンタおたくの稗田博士が、試行錯誤の上得た結論は、”色んな病気にプラセンタは効果があるが、断トツに肝臓の病気に効く”って事でした。まあ、次の章以降では、お零れと言うか、他の保険適応外の疾患に対して触れていく訳ですが、お上のお墨付きを得た本来の作用機序は、真のプラセンタ・マニアとなる為には、外す事の出来ない大事な前座。とくと聞いておくんなまし。

 肝臓の病気の治療は、肝実質の崩壊(需要)と再生(供給)のバランスを、以下に速やかに回復させるかが医者の腕の見せ所。一般に、内科医の武器は、下記の①~④の4種類です。
 慢性肝障害の場合、原因の80%がウィルス性ですから、抗ウィルス薬であるインターフェロン(①)は、この場合必須の選択薬となります。ですが、同時に、肝細胞にも強くなってもらわねばなりません。外敵に屈しそうな負傷兵に手を差し伸べるのが、強力ネオミノファーゲンCの様な肝細胞膜安定剤(②)。未だ外敵にやられていない残存肝細胞にエールを送るのが、アデラビン9号の様な肝細胞賦活剤(③)。この3種類(①~③)の薬は、病因の除去や肝実質細胞の進行を鈍化させる事で、所謂”需要”の抑制を目指すもの。
 これらに対し、ラエンネックは、唯一、”供給”サイドに働き掛ける肝予備能賦活剤(④)。本来正常肝細胞が持っている再生・増殖能力(=肝予備能)を賦活させる事によって、新生肝細胞の形成・成長を促して、壊れちゃった肝実質を速やかに修復してくれるんです。それ故に、(今は肝疾患全般に適応は拡大されてはいますが)、日本で最初の肝硬変の治療薬として認可されたんですね。ふむふむ。

プラセンタは、胎盤って意味である。

 プラセンタとは、商品名ではなくて胎盤の事。胎盤、胎盤と連呼すると、如何に素晴らしい薬であろうとも、言葉の響きが妙に生々しい。犬畜生が、赤ん坊を産み落とした後、己の胎盤を貪り喰う姿‥。野生動物にとって、産後の体力の回復の為にも必要な行為だとは頭では理解出来ても、患者さんの食わず嫌い的な生理的拒絶反応を誘発する可能性は無きにしも非ず。そんな危惧からか、お洒落な横文字ならお手軽にイメージ・アップ♪と、考えたかどうかは知りませんが、日本では胎盤を治療に使う時、専らプラセンタと呼んでおります。

image838 胎盤は、お母さんの体の中で、お腹の中の赤ちゃんとお母さん自身を繋ぎ、赤ちゃんを元気に育てる為の大事な臓器。ですが、女なら誰もが生まれながらに腹の中に隠し持っているなんて代物ではなく、妊娠して、つまり受精卵が子宮内壁に着床して、初めてお目見えする臓器なのです。そして、実に興味深い事なんですが、10ヶ月間だけの期間限定臓器。出産と同時に役目を終えると、赤ちゃんと一緒に体の外につる~んと出てしまいます。‥考えてみると、ちっちゃな1個の卵(受精卵)が、僅か10ヶ月と言う短期間に、約6兆個の細胞に分化・増殖して、重さ3Kgもある赤ちゃんになっちゃうんですよ。それも、未分化癌と称される極めて性悪な癌細胞の増殖曲線と殆ど一致しながらも、癌にではなく、元気な赤ちゃんになるんです。この驚異的な生命を育むのが、胎盤のお仕事なんです。胎盤、侮る事なかれ!!

 ですが、人間の胎盤を使う以上、他人の物は信用が出来ないから嫌!と嫌悪感を抱く方に、プラセンタ注射は無理です。諦めておくんなまし。

プラセンタの有効成分

 人ひとりの体を作り上げる使命を担ったプラセンタ(胎盤)には、生きて行く為に必要な殆ど全ての栄養素が備わっています。3大栄養素である蛋白質、脂質、糖質は勿論、各種ビタミン、ミネラル、酵素、核酸etc.の生理活性成分が豊富に存在しています。

主役は、活性ペプチド!

 プラセンタで合成・分泌される活性ペプチドの中でも、”細胞増殖因子”は、様々な細胞の増殖・再生のシグナルとなる大事な物質。特に、約10ヶ月間と言う限られた期間の間に、1個の受精卵を赤ん坊までに仕上げる使命を担った胎盤は、色んな種類の増殖因子(因みに、全ての細胞増殖因子が見つかる組織は、プラセンタだけ!)を多量に合成し、胎児に与え続けます。このシグナル(号令? 鞭?)なしでは、怠けたがりの細胞達は、増殖の様な疲れる仕事を態々しようと思いもしませんから、ね。

 例えば、細胞増殖因子にはこんなものが含まれています。

  • 上皮細胞増殖因子(EGF)

 表皮の細胞が、新たに出来てから角質化して剥がれ落ちるまでの1周期を、ターン・オーバーと呼びます。小学生のガキんちょが、どんなに虫に刺されて掻き毟ろうとも、黒ん坊の様に日焼けしまくろうとも、跡形もなく綺麗に治ってしまいます。これは、日焼けやシミ等のメラニン顆粒の注入された皮膚細胞が、きっちり28日間で角質として剥がれ落ちてくれるから。でも、婆ちゃんになると、このターン・オーバーは、長くなる一方。28日が、30日に、40日に、50日に‥、どんどん延びるんです。つまり、新しい皮膚が出来上がるまでに、ガキんちょに比べて日数を大幅に要する=日焼けや虫刺されの跡が一向に消えないって、事です。何でこんな非情な事態になったかと申しますと、表皮細胞の合成を指示するEGFという物質の産生(血中濃度)が、貴女が婆化するのと共に低下し、表皮細胞が合成され難くなったからなんです。
EGFの効果は、局所的に注射しても、全身的に点滴でも、どっちでも期待大!

  • 線維芽細胞増殖因子(FGF)

 真皮を構成する細胞外マトリックス(ECM)の主要物質は、コラーゲン・エラスチン・ヒアルロン酸等。これらを産生する線維芽細胞の増員計画を発動する係りが、増殖因子のFGFです。
加齢などによるコラーゲン密度の低下や皮膚の弾力の低下、乾燥肌等は、これらの物質を産生する線維芽細胞の活性が著しく低下する事に起因します。FGFは線維芽細胞の増殖を促進し、活性の低下した細胞を活性の高い新生細胞で置き換える事により、旺盛に細胞外マトリックスを産生させ、紫外線や酸化により傷害を受けた皮膚組織や、加齢による皮膚のタルミや小皺の修復を行います。FGFの効果は、外用剤として局部的な効果も、また全身的な効果も、共に期待出来ます。因みに、FGFは外用剤として重度の火傷や褥創、創傷治療を目的とした医療用医薬品として、既に臨牀実験に入っているそうです。

  • 肝細胞増殖因子(HFG)
  • 神経細胞増殖因子(NGF)
  • インシュリン様成長因子(IGF) etc.

これらの細胞増殖因子の中でも、特に免疫系に特化した部隊を”サイトカイン”と呼んでいます。細胞を意味するcytoと、運動・動きを意味するkineの合成語です。
プラセンタに含まれる代表的なサイトカインには、下記のものがあります。

  • インターロイキン(IL)1~12
  • インターフェロン(IFN)-α・β・γ
  • リンフォトキシン(LF、TNF-β)
  • 腫瘍壊死因子(TNF-α)
  • コロニー形成刺激因子(GM/G/M-CSF)
  • マクロファージ遊走阻止因子(MIF) etc.

 まあ、内容的に、局所に注射と言うよりは、やっぱ全体的に点滴ででしょう。

 この他にも、チロシナーゼ活性阻害物質(詳しくは後述)等があります。

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その他大勢の脇役達

脇役だって、頑張ってま~す。

  • アミノ酸

生命の源。色々な生理機能を有しています。ロイシン、リジン、バリン、スレオニン、イソロイシン等の必須アミノ酸、グリシン、アラニン、アルギニン等の21種類のアミノ酸があります。

  • タンパク質

人の体を作る栄養素。アルブミン、グロブリン等。

  • 糖質

エネルギー源になったり、細胞構造を維持します。グルクトース、ガラクトース、蔗糖等。

  • ビタミン

生理機能を調節し、代謝をスムーズにします。ビタミンB1・B2・B6・B12、ビタミンC、ビタミンD、ビタミンE・ナイアシン等。

  • 核酸塩基

 核酸塩基は、DNA(デオキシリボ核酸)やRNA(リボ核酸)の基本物質として知られていますが、実は、強力な抗酸化作用も隠し持っているんです。DNAの突然変異、即ち”癌化”って奴は、活性酵素等の”フリーラジカル”の攻撃を受けてDNAが壊れちゃった、その結果、起こります。この活性酵素は本当に厄介で、紫外線や放射線に晒されただけでも、鬼の様にワサワサ大量発生するんです(美容通信2004年11月号)。それ故に、核酸塩基は、強力な抗酸化作用で武装して、常に大事な設計図である(DNA)を守らなくちゃいけない。つまり、自衛隊的側面も持っているのです。胎盤は、胎児を育てる為に大量のDNA・RNA合成を行うので、他の臓器に比べ、核酸塩基(特にウラシル)が豊富に含有されています。ウラシル、アデニン、グアニン等。

  • 脂質・脂肪酸

細胞を作る重要な材料の1つです。コレステロール、ホスファチジン酸、ホスファチジルエタノールアミン、ラウリン酸、パルチミン酸等。

  • ムコ多糖類

細胞間を繋ぐ成分で、炎症を抑える働きなんかもしちゃいます。ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸等。

  • ミネラル

血液・体液の調整等、意外に細々と色んな所で活躍。カルシウム、ナトリウム、カリウム、リン、亜鉛、鉄等。

  • 酵素

 生体内の化学反応を助けてくれます。アルカリホスファターゼ、酸性ホスファターゼ、ヒアルロニダーゼ等、その数、数百以上!


 読んでいて、ホルモンって名前が出て来ない事に気付きました? そうなんです。元々胎盤には多くのホルモンが含まれています。お薬としてのホルモン、例えば、良く皆さんが耳にする副腎皮質ステロイドホルモンもその代表格なんですが、微量でも高い治療効果を示します。ですが、長期に亘り使用し続けると、重大な副作用を生じる危険性が多分にあります。それ故に、舶来モノについては不明ですが、少なくとも日本で認可されているラエンネックやメルスモンには、ホルモンが残存しない様に分解の工程を加えています。つまり、プラセンタには、ホルモンは入ってません

点滴静脈注射で、体の細胞の一粒一粒までプラセンタの恩恵を染み渡らせる。

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 以前、美容通信2008年11月号でも述べましたが、戦う戦士が高濃度ビタミンCのイメージなら、プラセンタ療法は、攻めと守りがバランス良く‥まあ、良く言えば、良妻賢母の代表格(八方美人系?)。因みに、同様の表現を取ると、マイヤーズカクテルは兵站部隊。グルタチオン療法は、水洗トイレ型と言うか‥兎に角、水に流してしまいましょうって言うデトックス(解毒)系! つまり、プラセンタ・ベースの点滴は、とってもバランスが取れて使い勝手が良いんです。つまり、適応が広い。一緒に点滴の中に加えるお薬の匙加減で、より貴女のお悩みに細かく答えてくれるって寸法です。代表的な適応を挙げておきましょう。

  • 血行、代謝の促進
  • 肌状態の改善(シミ、シワ、ニキビなど)・美容総合
  • アレルギー体質の改善
  • 創傷の治癒促進
  • 肝機能強化
  • 増血作用
  • 自律神経系の調節内分泌系の調節
  • タンパク質の同化(スポーツ選手)
  • 乳腺発育の促進
  • 疲労改善、熟睡
  • 更年期障害の改善&アンチエイジング
  • 肝炎の改善
  • 胃潰瘍の改善
  • 頭髪発毛効果
  • ダイエット etc.

 まあ、代表的な疾患について、補足を少々しておきましょう。

アトピー性皮膚炎

 プラセンタがアトピー性皮膚炎に効果的なのは、超が付く程有名な話。含有されているサイトカインが、免疫系を正常化させるだけでなく、活性酸素を除去し、損なわれちゃった皮膚のバリア機能を修復してくれるので、根本に効く。更に更に、副腎皮質ステロイド剤の効果を増強してくれるので、従来の治療に対しても、相乗効果的な働きが嬉しい。
 痒みの強い症例に対しては、抗ヒスタミン作用が強い高濃度のビタミンCを併せて点滴する方が効果的です。

 癌治療の併用療法としては、1つだけと言われれば、高濃度ビタミンC療法(美容通信2008年11月号)を挙げざる得ません。でも、より効果を期待するのなら、プラセンタの併用も悪くないと考えられており、日本でも併用している施設も沢山あります。唯、浸透圧の問題等があるので、基本は一緒に混ぜるのではなく、高濃度のビタミンC終了後に追加投与が一般的です。
 細胞増殖を促す成長因子が含まれているのなら、癌細胞だって育て育てってエールを送っちゃうんじゃないかと心配するかもしれませんが、ところがどっこい、逆なんですね。プラセンタに含まれている細胞増殖因子やサイトカインは、正常細胞の設計図を運ぶ物質であって、栄養物質ではないんです。それどころか、逆に癌を持って赤ちゃんが生まれて来ないように、細胞の遺伝子の突然変異(=癌化)を強力に防止してくれる働きだって担っているんです。

 癌にならない、謂わば予防的な働きだけでなく、プラセンタを褒めてあげたいのが、新規整理活性ペプチドのメタスチン。癌転移抑制作用があるんだそうです。わ~お。

アンチエイジング

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 どうも”老化”って奴は、細胞増殖因子の産生能(血中濃度)の低下が鍵を握っているらしいと、最近、偉い科学者連中の間ではもっぱらの噂。確かに言われてみれば、 サイトカイン等の免疫細胞関連の増殖因子の産生能も、年と共に低下の一途を辿る訳で‥、爺婆になると、若い頃にはあり得ない!!様な単純な感染症、例えば、”肺炎”なんてその代表格ですが、こんなチンケな病気にも罹り易くなってしまうのです。トホホ‥。
 更に追い討ちを掛ける様な話ですが、爺婆の細胞数はガキんちょに比べ、著しく数が減少している(肝臓では、正常でも40%近く減少しているという報告も!)、又、生き残っている細胞も機能低下が明らかにみられるという報告もあります。細胞増殖因子の著しい減少が、細胞の増殖(再生)能を低下させ、”老化”の1つの大きな要因になっている可能性は極めて大です。

繰り返しますが、プラセンタにはあらゆる種類の成長因子が存在し、それがプラセンタの持つ様々な機能や効能の有力な本体(=有効成分)です。
 もし、私達が、成長因子を外部から補給し続ける事が出来たら‥、究極のアンチエイジング!が適うかも。そう言う意味では、プラセンタは、近い将来、現代科学の力を借りて、不老長寿の妙薬に大化けする成長株かも知れません。先行投資、してみます?

メソセラピーで、面時々点で攻める。

メソセラピーで一般的にプラセンタに期待される効果は、下記の通り。

  • リフティング効果
  • 美白効果

 特に、静脈内に点滴で投与するより、効果が断然期待出来るのが、美白と言うか、シミ。何故かと申しますと、実は、プラセンタは、チロシナーゼ・インヒビター(チロシナーゼ活性阻害物質)だからです。下のメラニンの合成経路を見てみましょう。

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 アミノ酸のチロシンを原料にして、メラニン顆粒が作られます。この一連の生産ラインには所々に関所が設けられていて、そのうちの何ヶ所かで通行手形として手渡されるのが、チロシナーゼって名前の酵素。もしプラセンタが、意地悪して手形(チロシナーゼ)を渡してくれなかったら、旅は中断せざる得なくなります。つまり、メラニン色素を作れない=シミになる事が出来ません。
 それ故に、回りまわって今あるシミを薄くするだけでなく、予防としても効果が期待出来る訳。

メソセラピーで局所的に攻撃を仕掛ける方が、当然効率は良いに決まっている理由がお分りになりました? 点滴でも期待ゼロって訳ではないですが、ね。

  • Skin Toning Effect
  • 皺への効果

 HISAKOの様な散歩の達人族は、紫外線に長時間暴露され続ける事が避けられない運命。ワサワサ大量発生してしまった活性酸素で、皮膚癌になるのは嫌ですが、皺が南の国の漁師のおじちゃん級に深くなるのはもっと嫌。‥そうなると、プラセンタ様の抗酸化作用にお縋りするしか、ないんですぅ。

  • 即効性

 メソガンで広く浅く表皮内にアプローチすれば、お顔全体の広い面積にそれなりの広く浅い効果が期待されます。プリッキング法で真皮のど真ん中に一箇所一箇所注射していけば、名前通りのリフト効果が実感出来ます。


 勿論、併用療法(例:ケミカルピーリング・フォトフェイシャル・イオン導入etc.)を行なえば、更に相乗効果を期待出来ます。

メソガンで、広く浅く表皮内にアプローチ(美容通信2006年6月号

 プラセンタは分子量がデカイだけに、単に塗った位じゃあケツが支えて、皮膚の中までは侵入不可。なら、ドアを無理矢理抉じ開けて、入れるようにしてあげましょう。これが、メソガンによるメソセラピーです。この方法は、精々カブト虫が顔の上を行進した様な違和感を感じる程度で痛くはないし、内出血の心配もなく、施術終了後からメイクして帰れる手軽さが身上。勿論、ライトな施術にライトな結果は付きモノで、来月号で御紹介する様なイデバエやAAPE級の効果を期待されても困ります。
色々な成分との相乗効果を期待して、HISAKOのクリニックでは、プラセンタを含有したメソカクテルのメニューが既に何種類かあります。勿論、症状に併せてお薬をカクテルするわけですから、カクテルのメニューは無限大。どんどん注文を付けて下さいな。まあ、良いお肌の状態を維持するなら、2週間に1回位がベストかな。

注射で一箇所一箇所、真皮の極々く浅い層までしっかりメソリフト

 目の周りだとか、額や、皺々の口元とか、ちょっと手強い相手には、広く浅い表皮内へのアプローチだけでは、上記の方法では明らかに力不足。きっちり仕事をさせたいのなら、真皮乳頭層に確実プラセンタを捻じ込まねばなりません。パキッ!っと、深く刻み込まれた皺を消すなんて事は無理ですが、ぽわ~んと肌がふんわりするので、目立たなくなります。
 左下の写真は、プラセンタのメソリフト直前のHISAKOの目元。行なったのは、中央の写真の赤点線で囲まれた部分です。そして右の写真が1週間後になります。

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 う~ん、結果はこんなもんです(笑)。唯、注射したエリアのみならず、周囲3cm位は少し肌質が改善した気はする。ACR()より即効的な感じはしますが、ACRより効果が乏しい上に持ちも悪い。来月号で特集するAAPEと比べても、比べる事自体に罪悪感を感じます(笑)。月とすっぽんです。‥でも、リーズナブルなお値段を考えると、力量と効果の持続が劣るのはご愛嬌。文句を付けるどころか、その優れたコストパフォーマンスに乾杯したくなっちゃいます。

 印象的には、最初は2週間に1回、出来れば週1回位の施術は必要かな。でも、回を重ねる毎に効果が蓄積されて来るので、欲さえ掻かなければ、2ヶ月に1回でも結構そこそこの満足感のキープは可能肌♪に進化します。

ツボ打ちで、点で攻め。

 中々、点滴や静脈注射で屈しない頑固モノには、ツボ打ち(経穴注射)がお薦め。プラセンタ単独が基本ですが、痛みが強い時はキシロカインって局所麻酔のお薬を一緒に使ったり、凝りが強い時はビタミン剤(B1、B2、C)を併用したりします。B12を併用すると、体質の増強作用で、病気の回復が早くなるみたい。何でかは分らないんですが、兎に角、併用すると、効果倍増する事が多いんですよね。
 でも、余りにも慢性化し過ぎた病気とか、元々が虚の体質の人だったり、ツボ(経穴)が明確に虚!なんて時は、余りの刺激に体が吃驚仰天。その為、却って逆効果!!なんて笑えない話もあります。
 点滴や静脈注射、皮下注射ならいざ知らず、何でツボに打って効果が出るのかって? 知りません。色んな考察がなされてはいますが、未だ明確になってるもの(原因物質)はないんです。多分、細胞増殖因子って奴らが、お互いに何か協力し合って、トータル的に良い仕事をしてるんじゃないかなぁ~と考えられています。通常の鍼灸治療も同じですが、プラセンタが神経免疫系を介して、単純に皮下注射するよりも効果を上げているのではないかって説もあります。

 ここで、混同され易い紛らわしい用語の解説をしておきましょう。

トリガーポイント注射

 トリガーポイントとは、”圧痛点”のお洒落な横文字表現。患者さんが痛みや凝りを訴える辺りを、”ここかなぁ”、”あそこかなぁ”と指で押し捲って、”ぎゃ~っ!!”と悲鳴を上げた部位が、トリガーポイント(笑)。当てずっぽうぽく聞こえますが、昔から”阿是穴(あぜけつ)”と露骨過ぎる名前が付いている、由緒正しいポイントです。ここにブチッと刺すのが、トリガーポイント注射。プラセンタでは、日常茶飯事に行なわれる手法で、直接的なだけに、効果はあります。

ツボ注射

 通称”ツボ打ち”。経穴注射とか、穴位注射とか、硬い言い回しをする事もあります。
中医学的に申しますと、人体には隈なく経絡が巡っていて、経絡は電気的に流れの良い導線である事が科学的に判っています。経絡は12経絡あり、左右対称なので倍の24本。更に、正面の中心線上に任脈、背面に腎脈があるので、それらを併せると、合計26本の経絡が全身を巡っている勘定になります。
 この経絡上に、治療すべきポイントとしてあるのが経穴。所謂、俗に言うツボって奴です。

ツボ注射の根拠である経絡・経穴の発見は、”痛い所に手を当てる”という行為に端を発したと言われています。大昔の中国、漢の時代の”黄帝内経素問”とか”霊枢”って本では、既にツボについての記述がある事から、もっともっと昔から経絡・経穴の存在が知られ、使われていたと考えられています。今では、①ツボは、皮膚の電気抵抗が、無茶苦茶低いポイント!で、②機械的刺激や化学的刺激、熱刺激を受けたポリモーダル受容体(≒ツボ。最も分化の遅れた原始的受容器!)は、皮膚では主にC線維、内臓や筋などの深部組織ではAδとC線維を介して、情報を脳みその様な中枢部分に伝えます。これにより、生体のネガティブフィードバック機構が賦活し、鎮痛効果を実感出来るんだとか。それ故に、疼痛を伴う整形外科的疾患が、得意中の得意なんです。例えば、脊柱管狭窄症etc.の、通常の皮下注射や点滴等では早急な改善が期待出来ない様な、難治性の病気が良い適応となります。
 その他にも、自律神経系、内分泌系、免疫系にも強い修飾効果があるので、気管支喘息etc.の内科的疾患や、子宮筋腫etc.の婦人科的疾患にもと、結構応用範囲が広いんです。
 でも、まだまだ、謎が多いのがツボって奴なんですけどねぇ‥。

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 基本のツボは、右図の通り。見て分るのかと問われても、実はHISAKOも鍼灸のお勉強を始めたばかりの初心者なので、良く分りません(汗)。でも分らないとツボ打ちは出来ないので、じゃあ、どうするかと申しますと、今時は、西洋医学一辺倒の教育しか受けて来なかった医者達の為に、経絡・ツボ発見器がちゃんと医療用機器として売ってるんですよね、ははは。これを使うので、大丈夫なんです。

 患者さん自身が、注射の針を刺された時に、”ぎゃ~、痛い!!”じゃなくて、“ず~ん”と重苦しい感じがする、所謂、”得気(とっき)”を指標に、プラセンタを注入します。同時に、ツボの原点である”トリガーポイント(阿是穴)”や、経絡・ツボ発見器で見付けた弱っている経絡上のツボにも、注射を加えたりします。この場合、ツボには5~6対、合計10~12ヶ所 。一ヶ所につき約0.5~1.0mLの注射をします。注射するタイミングの目安として、1クール10~15回とします。休薬期間は7~15日、美容を目的とするなら週に1回程度で十分です。
 繰り返しになりますが、例えば、脳貧血の様な迷走神経反射を起こし易い虚弱体質の人とか、超が付く程の痛がり屋さんには、ツボ打ちは実際問題としては無理。どうしてもなら、ツボ打ちの箇所を2~3ヶ所と、控え目控え目に留めて置くのがポイントかな。特に、手首・足首より先っぽのツボに対する注射は、断念した方が無難です。後、ツボが実(硬結:コリコリしている感じ)ならツボ打ちには適していますが、虚(弛緩:ふにゃ~ん)なら諦めるか、注入量を減らすと言った匙加減が必要になります。悪しからず。

 クリニックでは、症例により、ツボ打ちにスーパーライザー(美容通信2007年12月号)やマイクロウェルダーを併用して効果を高める場合もありますが、トリガーポイント注射に併用したり、場合によっては、点滴や静脈内注射、皮下注射に併用して、ツボ打ちの欠点を補う事もあります。詳しくは、何れ、美容通信で。お楽しみにね!

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*註:HISAKOの美容通信に記載されている料金(消費税率等を含む)・施術内容等は、あくまでも発行日時点のものです。従って、諸事情により、料金(消費税率等を含む)・施術内容等が変更になっている場合があります。予め、御確認下さい。

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