サプリメントEPA | 旭川皮フ形成外科クリニック旭川皮フ形成外科クリニック

HISAKOの美容通信2010年6月号

サプリメントEPA(エイコサペンタエン酸)

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美人のサプリメントとして有名なEPAは、ω-3脂肪酸の多価不飽和脂肪酸の1つです。 日本古来の食生活ではEPAが優位であったものが、食生活の欧米化に従いアラキドン酸が優位となり、肌荒れやニキビ、アトピー性皮膚炎、脂漏性皮膚炎等の皮膚科的疾患のみならず、心筋梗塞、大腸ガン、前立腺ガン、乳ガン等の疾患の増加に関与していると言われています。

 北海道の何処の家にも必ずあった、床の間の定番・木彫りの熊。良質の蛋白質に富み、EPAやDHAも豊富な鮭を咥えたこの熊は、1924年(大正13年)、尾張徳川家の当主であった徳川義親の発案で、旧尾張藩士が入職した北海道の農場「徳川農場」が立地する八雲町の農民達の冬期の収入源として商品化され、一躍北海道の土産物界で不動の地位を確立しました。まあ、正確には初期の木彫りの熊の口には鮭が咥えられていなかったそうで、作品の多くのバリエーションの一つに鮭版があり、偶々、その迫力のあるお姿が、折からの観光ブームで全国区に躍り出たって言うのが真相です。
 近頃は、木彫りの熊は邪魔なだけの有難迷惑にさえなりかねない北海道土産に転落し、食料品に首位の座を奪われたんだそうです、はい。
 今月号は、ヒグマさんも大好き(?)な<EPA(エイコサペンタエン酸)>です。

何時だって、アメリカは憧れの的だった‥。

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 先ずは、右の図を見て下さい。  厚生労働省の国民栄養調査で、日本人の総脂肪摂取量は、1955年を境に1970年までの15年間に一気に3倍に増加しました。中でも、動物性脂肪摂取量の増大は著しく、ナント4.6倍。両者共に、その後の変化は微増で、高値安定。まるで、日本の高度経済成長と歩を同じくするかの様です。1955年は、都知事・石原慎太郎が”太陽の季節”で芥川賞を受賞した年であり、あのビル・ゲイツが誕生した年でもあります。そして、その3年後の1958年に東京タワーが完成。1964年には東京オリンピック開催と、日本自体がイケイケどんどん。生活も嗜好も食事もイケイケどんどんと、アメリカナイズ(狂牛病の時みたいに、外圧に屈した!?)され、脂肪を多く含む肉類中心の食事が増えている事によると考えられます。

良い子・悪い子・普通の子

 脂肪がどれもこれも悪者かと申しますと、別にそんな事は全く無くて、良い油と悪い油と、そして、どっちつかずの普通の油(笑)の3種類があります。唯、これは絶対的なものではなくて、相対的な評価。どう言う事かと申しますと‥、昔は、飽和脂肪酸は健康を害する悪い油でした。反対に、後述の不飽和脂肪酸のリノール酸は健康を促進してくれるお医者様推奨の良い油って、殆ど勝手な思い込みでしかないのだけれど、何故か常識!って確固たるイメージがあったんですよねぇ‥。実際は、飽和脂肪酸は人の体内でコレステロールを溜め難い一価不飽和脂肪酸のオレイン酸に変わります。ですが、羊の皮を被った狼になりきれない一般人・リノール酸は、最終的にはアラキドン酸に豹変しますから、過剰に摂り過ぎれば、動脈硬化や高血圧の原因だけならまだしも、美肌の大敵になりかねません。‥要は、人間界と同じで、一概にどれが悪いって事じゃなくて、バランス(比率)なんです、はい。
 因みに、忘れてしまったかもしれませんが、脂肪の種類は、以前美容通信2010年1月号で特集した通り、脂肪に含まれる脂肪酸の多寡によって大きく分けられています。バターの様な動物性の脂肪に多く含まれていて、二重結合を持たない脂肪酸が、飽和脂肪酸。紅花油やシソ油、エゴマ油の様に植物性の脂肪に多く含まれていて、二重結合を持つ脂肪酸が、不飽和脂肪酸です。

飽和脂肪酸

  • 主な脂肪酸:パルミチン酸・ステアリン酸・ミリスチン酸・ラウリン酸
  •  お肉の脂身や牛乳やバター等の乳製品の脂肪に多く含まれています。
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不飽和脂肪酸

一価不飽和脂肪酸

  • 主な脂肪酸:オレイン酸
  •  オリーブオイルや菜種油(キャノーラ油)、種実、調合サラダ油etc.に多く含まれています。
     体内で合成出来るので、必ずしも食事で摂らなくても良い脂肪酸。でも、野菜炒めには油がないと困るので、加熱調理用として皮膚科医の多くが推奨する油。後述のω-6系・ω-3系のバランスに影響を与えないので、アトピー性皮膚炎等のアレルギー性の病気や乾癬、ニキビ等を改善はしないが、少なくとも治療の足を引っ張る様な真似をしない事が評価理由かな(笑)。体内で酸化しないので、有害な過酸化脂質を作り難いしね。最近は、善玉コレステロールを下げずに総コレステロールを下げる働きが注目され、動脈硬化の予防的観点から、内科医からも熱い視線を受けてるらしいです、はい。

多価不飽和脂肪酸

多価不飽和脂肪酸は、2重結合の位置により、ω-6系とω-3系に大きく分けられます。

  • 主なω-3(n-3)系脂肪酸

  •  ・α-リノレン酸:シソ油・エゴマ油・亜麻仁油・しそ・えごまetc.
     ・DHA(ドコサエキサエン酸):本マグロの脂身・養殖ハマチ・養殖真鯛・ブリ・サバ・鰻・サンマ・サワラetc.

    *母乳:日本人のおっぱいの中には、毛唐連中と違って、DHAが奴らの2~3倍もたっぷり♪ その為、「乳母にするなら日本の女」と白人セレブ・ママ達から虎視眈々と狙われてる(!?)なんて嘘ですが、これは日本のDHAを多く含む食品を食する食文化の賜物で、赤ちゃんの脳みその発達に非常に有利なんだとか。‥少なくとも、日本の国力を損なわない最大の政策は、仕分けではなく、DHAの多いご飯を女子に食わせろ!って事かな。
     ・EPA(近頃はIPAとも呼ばれる)(エイコサペンタエン酸):養殖ハマチ・マイワシ・本マグロ脂身・サバ・養殖真鯛・ブリ・鰻・サンマetc.

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  • 主なω-6(n-6)系脂肪酸

  •  ・リノール酸:紅花油(サフラワー油)・ひまわり油・綿花油・大豆油・コーン油・胡桃etc.
     ・γ-リノレン酸:月見草油・母乳etc.
     ・アラキドン酸:レバー・卵白・サザエ・伊勢海老・アワビetc.

     「崩れたリノール酸神話!」ってセンセーショナルな見出しと共に、最近語られる事が多いリノール酸。昔は、リノール酸の多い植物油は血中のコレステロールを減らすので善玉で、反対にオレイン酸の多い動物性脂肪は血中のコレステロールを増やすので悪玉と、実しやかに語られておりました。が、実は最近になって、これが単なる思い込みでしかなかった事が判明! リノール酸は血中のコレステロール値を短期的には下げても、長期的には下げないどころか、リノール酸を摂り過ぎると、逆に心臓病死が増加するんだって事が判っちゃったんですよ、はい。
     従来悪玉と忌み嫌われていたバターの様な飽和脂肪酸は、実はそんな性悪な奴でもなくて、寧ろ善人面していたリノール酸に代表されるω-6不飽和脂肪酸は性悪なところもあるので、適当に距離を置いた付き合い方が大事。因みに、前述のω-3不飽和脂肪酸は、イワシやサバ、アザラシやトド、白熊さんのお肉に含まれるEPAやDHA、シソ油等に含まれているα-リノレン酸なんですが、長期間の摂取で血中のコレステロール値が低めに保たれるだけでなく、アトピー性皮膚炎等のアレルギー性の病気や乾癬、ニキビ等の改善にも効果的。老化してカサカサの粉吹き芋状態の婆肌(だって老化は謂わば慢性の炎症の結果ですからねぇ!)にも効くんです。‥ホント、定説とか常識って、如何にあてにならんものかって思いますよ。

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     後述しますが、リノール酸は体内でアラキドン酸に変わった後、各種のホルモン様物質になります。つまり、リノール酸をバカバカ喰ってると、体がアラキドン酸で充満し、挙句ホルモン様物質が過剰生産に陥り‥、生理的バランスを崩して、アレルギー過敏症になる。肌が荒れる。更には、血栓が出来易くなって、心臓病や脳卒中なんて、縁起でもない末路を辿る羽目になる‥。

不飽和脂肪酸についての補足~皮膚科医の呟き

 皮膚科・美容皮膚科領域で、実はと~っても大事なキーマンがこの不飽和脂肪酸。表皮の乾燥重量の約10%が脂質で、この大部分は細胞膜を構成しているリン脂質に由来しています。つまり、表皮がちゃんと職務を真っ当出来るかどうかは、角化が正常に行なわれているかと、表皮の脂質の質で決まるんです。このお話は以前にも、代表的な皮膚の炎症性疾患であるアトピー性皮膚炎(美容通信2007年4月号)や乾癬(美容通信2008年4月号)の特集でも触れましたが、もう一度復習してみようかなって思っています。因みに、アトピー性皮膚炎や乾癬、脂漏性皮膚炎、ニキビ等の病気のみならず、広義には老化も一種の皮膚の慢性炎症ですから、アンチエイジングの観点からも、皮膚病変の炎症が局所に留まり治癒するか、周辺へ炎症が波及し、更に全身の炎症となるかどうかが左右される大事な分水嶺なんです。


 局所炎症のコントロールを司っているのが、細胞膜のリン脂質由来のエイコサノイドです。エイコサノイドとは聞き慣れない言葉かと思いますが、体内で様々な生理活性作用を示すホルモン様物質の事で、不飽和脂肪酸の代謝産物です。何度も使い古した図ですが、下の図を見て下さい。プロスタグランディン(PG)、トロンボキサン(TX)、ロイコトリエン(IT)等で、これらは四六時中垂れ流し状態で漂ってる訳ではなく、必要に応じて体内で極く微量が生成され、生成された局所だけで作用し、速やかに消失します。まるで、忍者か、プロの殺し屋の様な無駄のない動きをします。

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 局所だけの話なら、アラキドン酸が生成される経路にさえ道を誤らなければ、炎症は納まる‥。つまり、皮膚科の炎症性疾患に効果的って事なんです。それ故に、プロスタグランディン代謝改善の旗手として、γ-リノレン酸、EPA、補因子(ビタミンB6・マグネシウム・亜鉛・ビオチンetc.)の3兄弟は、と~っても大事なんです。特に、ω-6不飽和酵素の活性が、元々劣っている私達日本人。更に、アトピーっ子は輪を掛けて乏しいと来るから、少しでも流れを変えたければ、食べて、そして飲んでカバーするしかありませんよね。

 補足までですが、ω-6系とω-3系のこの2つの系の性格は‥極めて可愛くない。自己主張が強いくせに、ちょっと形勢不利と見ると、とっととシッポを巻いて逃げちゃうタイプなんです。その性格の悪さが顕著に伺えるのが椅子取りゲーム。お互いに席を譲り合うなんて謙虚な心は持ち合わせていないω-6系とω-3系は、限られた数しかない細胞膜上の座席を巡って激しくバトルします。が、例えば、ω-6系に偏ったご飯ばっかり食べている等の数的に不利な状況に陥ると、ω-3系はとっとと退散してしまいます。男なら打ん殴ってやるんですが、如何せん、どちらも人間の体の中では合成が出来ない=ご飯で食べて摂らなきゃいけない必須脂肪酸。体の中ではお互い完全に独立した経路で、途中から宗派替えならぬ系替えなんて芸当の出来ない頭の固さを思えば、私達、ご主人様である人間が、両者のバランスをきちんと管理せざる得ないのです。ω-6系とω-3系の理想的な食事のバランスは、4:1。にも拘らず、魚を碌に食べず、脂っこい物ばっかり好んで食べている人だと、下手をすると、平気で7:1なんて事態も起こってしまうのです。概して現代人の食事が、ω-6系に偏りがちで、ω-3系が不足している現状を考えると、その管理には十分注意を払う必要があるのです。

image743 ω-6系の不良娘・アラキドン酸は、食事由来の他、リノール酸からも変換されます。<小さな炎症の火種も、煽って煽って大火事にしちゃいましょう♪>と、碌でもない事に闘志を燃やし尽くす超過激chemical mediator連中、例えば、prostaglandin E2、thromboxan A2、Leukotriene B4等々は、どいつもこいつも、元を辿れば全てアラキドン酸。肌荒れに悩む善良な市民の背中を、崖底に向って蹴り落としてくれちゃうんですよね~。アラキドン酸は、食事に於いては専ら肉・卵と言った動物由来。その他にも意外な盲点になりそうなのが、炒め物や揚げ物等の加熱調理に使われる植物性油です。米油、ゴマ油、大豆油、コーン油、紅花油(高リノール酸)と言ったω-6系たっぷりの油で調理してませんか? せめて、オレイン酸が豊富なオリーブオイルや、高オレイン酸と表示のある油を使いましょう。唯、外食産業で使われている油は、殆ど基本的にω-6系と考えた方が無難。故に、外食は油の少ない和定食etc.をチョイス♪

 正義の味方・ω-3系は、ω-6系と違って炎症惹起作用は極めて弱いんです。手っ取り早くω-3系をGETするなら、朝晩錠剤で飲む。そして、ドコサヘキサエン酸(DHA)やエイコサペンタエン酸(EPA)を沢山含んでいる秋刀魚や鯖etc.の青魚を喰い捲くる。まあ、<合コン前には、魚食系女子!>を徹底的に実践したからと言って、イケメンをGET出来るかどうかは保証の限りではありません。が、足掻く価値は充分あります。‥さあ、中国や欧州に魚を輸出している場合ではありません。日本国民が、先ず食べましょう(笑)。駄目押ししたい方は、αリノレン酸が豊富なロースト亜麻仁を、ゴマ代わりに使ってみましょう。亜麻仁とは、亜麻と言う植物の種の事。癖がないので、どんな料理にも合わせ易いんです。是非お試しを! 因みに、亜麻仁油(フラックスシードオイル)や、エゴマの種子から作られたエゴマ油を調理に利用するのも良い案なんですが、如何せん、酸化し易いので、加熱調理には不向き。ドレッシングとして、熱を加えずにお召し上がり下さい。


 参考までに、ω-3系の脂肪酸は、他の脂肪酸よりも優先的に燃焼され易く、皮下脂肪として蓄積され難いって特徴もあるんです。つまり、贅肉を減らした~いメタボっ子には、嬉しいオマケって所でしょうか。

EPAで、美人をGET!

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 何度も繰り返すようですが、EPAを多く含むのはイワシやサバと言った尻じゃなくて背中の青い魚に、水族館の帝王若しくは大和煮の定番・アザラシやトドのお肉、旭山動物園の人気者・白熊さんのお肉等々と色々あります。
 基本的に、水族館の展示物になりうる生物、つまり海の生物だけがEPAを持っています。プランクトンやオキアミ等の海に棲息する生物の体内でしか、EPAは合成が出来ないんです。だから、プランクトンを食べるお魚さんと、お魚さんを食べるアザラシやオットセイ、トドの様な海獣と、海獣を食べるHISAKOの様な生粋の道産子とか、極寒のグリーンランドのイヌイット(昔は、エスキモーって呼ばれていた人達。エスキモーは、「生肉を食べる人」って意味の蔑称だったそうで、エスキモーさんは代替名称として、自ら「人間」って意味のイヌイットと名乗るようになったんだとか。豆知識でした♪)と言う、EPAの食物連鎖上に存在する生物しか、体内に大量のEPAを保有していないんです。内地に暮らす多くの日本人、つまり、トドやアザラシ系の海獣は勿論、白熊を可愛いだけのリアル縫いぐるみとしか認識していない人々にとっては、EPAの摂取方法は、青身魚か、イワシ等の青身魚の魚油から抽出・精製したサプリくらいしかありません。
 しかしながらサプリと違ってお魚さんは、料理方法が何であれ、新鮮じゃないと駄目。活きが悪くなると、幾らお魚さんと言えども、過酸化脂質が増加するのよねぇ。お野菜やビタミンCやEは、被害を食い止めてくれる働きがあるので、釣り立てを甲板で食せる漁師でもない限り、お魚とお野菜(緑黄色野菜)はセットで食べる習慣を付ける方が無難かな。

お魚MEMO♪

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 お魚には旬があります。この時期は旨味も栄養も充実。食べるなら、この時期が狙い目!

  • 鮭(さけ)
  •  一般に鮭と呼ばれているのは、シロザケとかギンザケ。良質の蛋白質に富み、EPAやDHAも豊富。特に秋の鮭は、脂質の他にもビタミンD、血行を良くするビタミンEを多く含みます。image977
  • 秋刀魚(さんま)  EPAや脳細胞を活性化するDHAが豊富。10月頃が旬で、脂肪は18%程になります。秋、三陸沿岸を南下する”下り秋刀魚”は絶品との高評価。ビタミンDも多く、カルシウムの吸収を助けてくれます。又、貧血に効果のあるビタミンB12は血合いに多く含まれています。image979
  • 鰤(ぶり)
  •  成長と共に呼び名が変わる出世魚で、関東では、ワカシ→イナダ→ワラサ→ブリと出世して行きます。旬の冬にはEPA、DHA、ビタミン類の含有量がピークになります。又、コレステロールの代謝促進に役立つタウリンも豊富です。image980
  • 鯖(さば)
  •  一般的には、マサバとゴマサバに分けられます。マサバの旬は秋で、ゴマサバは5~6月。秋に収穫されたものは脂肪が20%にもなり、旨味も大幅UPします。EPA、DHA共に多く含みますが、臭みがあるので、生姜や葱等と合わせて調理します。image981
  • 鰯(いわし)
  •  一般に鰯と言えば、マイワシ。字の通り、身が柔らかく、骨も細く、鮮度も落ち易い魚です。血液をサラサラにしてくれるEPAが豊富で、これは特に身と皮の間に一番多く含まれています。旬の秋には、脂質含有量が16%にも上昇します。image982
  • 鮪(まぐろ)
  •  種類や部位で栄養価に違いがありますが、何れも良質の蛋白質、脂質、ビタミンに富んでいます。トロのDHAの含有量は、魚の中で最高です。image983
  • 鰆(さわら)
  •  成長すると体長1mにもなる白身の大型魚。一般に春が旬と言われますが、11月から冬季に掛けても脂が乗って、”寒ザワラ”と呼ばれ、美味とされます。image984
  • 太刀魚(たちうお)
  •  太刀に似た姿で立って泳ぐ事が名前の由来。体長1mにもなる大型の魚です。脂の乗った旬には、EPA・DHAが増加します。image985
  • 鯵(あじ)
  •  せいごと呼ばれる硬い鱗が特徴です。良質の蛋白質を含みます。脂質は余り多い方ではありませんが、EPAやDHAが豊富です。

 この海の宝物であるEPAは、前述の通り、色んな種類の細胞の膜リン脂質の構成成分となる脂肪酸ですから、長期間摂り続ける事によって、血液成分(赤血球や血小板)や体全体の細胞にも取り込まれて来ます。これが、EPAが肌荒れや婆肌の救世主として崇められる大きな理由です。
 お肌の”弾力性”を改善・”シワ・たるみ”の予防・”はり”の保持に、EPAがどの様に効くのか、とくとご覧あそばせ。

抗炎症作用

 何度も繰り返し書いてるので‥、飽きちゃった、ははは。故に、省略! 前章を参考にしてね。唯、一番の肌に対する効果がこれだと思います。確かに、アトピー性皮膚炎や乾癬、脂漏性皮膚炎等の急性期の症状に対し、他の、つまり抗アレルギー薬の様な即効性を期待するのは酷だとは思います。が、肌荒れや紫外線による光老化を含む婆肌の様な‥病気ギイギリの境界線上のトラブル肌にまで適応が拡大出来るにも拘らず、元を糺せば、サプリとは言え単に青身魚の油ですから、副作用も無く、当然、長期に渡って服用してもOKなのがエライ!

血流の改善

血小板凝集を阻害!

 これを独立の章として取り扱うべきかどうか、抗炎症作用の枝葉として取り扱うべきか、実は大いに迷うところではありますが、まあ、何時も日陰の身扱いでは可哀想なので、ちょっとスポットライトを当ててみました(笑)。
 ”局所刺激への反応と不飽和脂肪酸”の図を、もう一度画面をスクロールして見て下さい。リノール酸を食べると、不飽和酵素だとか鎖延長酵素の働きで、大半がアラキドン酸に進化して、リン脂質として細胞膜に蓄えられます。しかしながら、ここにアレルギー反応だとか、紫外線だとか、レーザーだとか、手術だとか、何かの刺激が加わると、大人しく細胞膜に収まっていたアラキドン酸が突然目を覚まし、アラキドン酸カスケードって名前の雪崩と言うか、ドミノ倒しと言うか‥反応が一気に進み、炎症を誘発するメディエーター連中だとか、血小板凝集を誘導するトロンボキサンA2等々が産生されるんです。

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 ‥まあ、確かに、これらの産物は、何れも生体防御反応として必要だからこそ産生された品々。血小板凝集も、血を止めない事には失血死しちゃいますから、生体の恒常性を維持する為には重要な機能は機能なんですが、物には限度とか、分相応って言葉がある様に、過剰に産生されたり、その産生に制御が掛からなくなったりすると、慢性の炎症が起こります。確かに、アトピー性皮膚炎や喘息、アレルギー性鼻炎等のアレルギー系の病気には、アレルギーの抗体を作り易いって生まれながらの素因も関与はしています。ですが、炎症を制御し難い環境が、症状の増悪に拍車を掛けているのも、事実。‥老化も慢性の炎症ですしねぇ。EPAが、血小板凝集を少しでも阻害してくれるのは、ありがたい事です。

血液サラサラ効果

 EPAには、前述の血液を固まり難くするだけでなく、自らがしなやかな肉体を手に入れる事(赤血球の変形能の改善)で、血液の循環を良くする作用があります。と、言っても、下図の程度なんですけどねぇ。 image976
 あ、余談なんですが、良くTVや雑誌なんかで、”血液ドロドロ”とか”血液サラサラ”って言葉と殆どセットで登場する、この変な車両侵入防止ポールみたいなのがMC-FAN。端的に言うと、1cm角のシリコンの板に幅7mm、長さ30μmの車両侵入防止ポールを配し、ここで障害物競走を行ってタイムを競うんです。血小板が出口に殺到する群衆みたいに群れていれば、当然ゴールにまで要する時間は掛かります。赤血球がウドの大木化していても、軽の様な小回りが効きません。EPAを飲んだり食べたりして、赤血球の変形能を改善して変化自在の肉体を手に入れるのも、血流改善、引いては美人肌獲得の為の大事なポイントです。

コラーゲンとエラスチンの産生を促進!

 まあ、最大の功績は、抗炎症作用にあります。以前も美容通信2004年4月号特集した様に、お肌のハリや弾力、小皺は、コラーゲンやエラスチンと言った線維成分が、紫外線で損なわれた(=炎症)挙句のお話。

 人様とウサギさんは違う生き物だって事は、HISAKOだって重々分ってはおります。でも、ウサギさんの実験結果を見せつけられると‥、藁にも縋りたい気分になっちゃうのはHISAKOだけでしょうか(笑)。


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お肌の油分の質の向上‥

 まあ、これも回りまわれば抗炎症作用に行き着いちゃうのが、まあ、悩ましいところ。 clip_image002225B15D ”乾燥”と言えば聞こえは良いですが、結局は単に炎症のツケ。だから、EPAの抗炎症作用が取り沙汰される訳なんですが、実はこのEPAは皮膚の油分の調整もしている脂肪酸。角質層が生成される層からヒアルロン酸と共に分泌されたEPAは、水分と混ざってねとねとしたジェル状の物質になります。細胞と細胞間脂質の関係は、良くレンガとモルタルに例えられますが、乾燥肌とか、その極端に不良化した敏感肌では、このモルタルに碌にEPAが配合されていない代物なので、脆く、大事な水分がどんどん蒸発してしまいます。この状態が、世の中で言う”保湿力が低い”って状態です。
 じゃあ、真逆を行く”脂ギッシュ”なオイリー肌はどうかと言うと、これ又、EPAの不足で起こるんですねぇ。脂取り紙で必死に吸い取ってる脂は、ω-3不飽和脂肪酸であるEPAじゃなくて、殆どが悪名高きアラキドン酸なんです。ビタミンB群が不足したり、EPAやヒアルロン酸が上手く分泌出来ないと、角質層がヘタレ君になっちゃいます。そうすると‥、どの会社の部署にもいると思うんですが、妙に張り切っちゃう勘違い男っていますよね? アラキドン酸もそんな性格ですから、”お肌の一大事!”って、皮脂腺からわさわさ這い出してきちゃうんです‥。まあ、それ故に混合肌なるモノまで出現しちゃうって次第なのです、はい。

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 前述の通り、ω-6に比重が掛かる食生活にどっぷり浸かってしまった私達日本人。今更、お魚生活に回帰するは無理でも、せめて足掻きたいと考えるのが人情です。ω-3不飽和脂肪酸って処方の仕方はないので、HISAKOのクリニックでは食事指導と併せて、サプリメント等でω-3の旗手であるEPA製剤を内服してもらったりします。  怖いもの見たさとか、お肌の状態の改善度の一つの指標として評価する場合には、通常の栄養状態の検査(採血&おしっこ)と併せて、EPA(エイコサペンタエン酸)/AA(アラキドン酸)比を調べます。アトピー性皮膚炎とか乾癬についてしか論文はないんですが、有効例はこのEPA/AA比が1前後とされています。まあ、血液検査の基準値は0.06~0.72μg/mlと、極めて志が低く設定されています。が、HISAKOのクリニックで栄養療法(美容通信2007年3月号)って鞭でお尻を叩かれ続けている患者さんは良くご存知だと思いますが、余り物勝負の科目(皮膚科・美容皮膚科)なだけに、低い志のままでは末端の皮膚まで栄養が回って来ない(笑)。さあ、測定して、現状をしっかり認識しましょうね。


*註:HISAKOの美容通信に記載されている料金(消費税率等を含む)・施術内容等は、あくまでも発行日時点のものです。従って、諸事情により、料金(消費税率等を含む)・施術内容等が変更になっている場合があります。予め、御確認下さい。


※治療の内容によっては、国内未承認医薬品または医療機器を用いて施術を行います。治療に用いる医薬品および機器は当院医師の判断の元、個人輸入手続きを行ったものです。

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