HISAKOの美容通信2023年12月号
女性専科:婦人科美容・形成術
婦人科美容・形成外科(女性専科)に於ける代表的な手術、①小陰唇形成・縮小術、②副皮切除、③陰核(クリトリス)包皮手術、④大陰唇形成・縮小、⑤膣内ヒアルロン酸注入、⑥会陰形成・膣形成術、⑦処女膜切開術について、まとめてみました。所謂、保険診療が対象となる病気ではない為に、異常ではないとか、気にし過ぎとか、(保険の)治療の対処ではないとあしらわれてしまうケースが殆ど。でも、表面に見える部位だけが、アンチエイジングの対象ではありません。
婦人科美容・形成外科関連の学会の企業展示ブースでは、外陰部の美容・医療器機のコーナーが学会の度毎にメキメキ増えています。これまで顔用に開発されてきた高周波やレーザーを用いた医療器機が、膣や外陰部の美容・アンチエイジング用の医療器機に衣替えして、次々と発売されています。
閉経や加齢の伴って現れる尿漏れや萎縮性膣炎等の女性を悩ます不快な症状は、閉経後性器尿路症候群(genitrourinary syndrome of menopause:GSM)(美容通信2021年7月号)と呼ばれ、最近注目されている分野です。特に女性のウェルネスが重要視される欧米では、これらの症状を積極的に改善すべく、膣ハイフやインティマレーザーの様な医療器機(美容通信2022年1月号)や家庭用の医療器機(美容通信2022年4月号)による治療が盛んになっています。「尿漏れ」「膣の乾燥」「外観」の改善が主たるターゲットです。内服薬(美容通信2022年1月号)やホルモン補充療法(美容通信2010年8月号)、デリケートゾーン専用のケミカルピーリング(美容通信2019年12月号)等の併用により、これらの治療効果は相乗効果を示す事が良く知られています。
今月号は、手術とヒアルロン酸の注入(美容通信2022年3月号)、そしてデリケートゾーン専用保湿ジェルについてお話をしようと思います。
小陰唇形成術・縮小術
小陰唇(labia minora)
小陰唇は、大陰唇の内側、膣前庭の左右外側にある細いヒダです。小陰唇の幅の平均値は2.5cm(0.7~5cm)との報告がありますが、個人差が大きく、形状やサイズは、ホント、バリエーションに富んでいて、左右非対称が当たり前。私達の顔と同じ。実際、平成(令和かな? 否、昭和?)の色男と称されるいしだ壱成殿は、「やっぱり女性を追求したい。経験人数は1000人近いですが、『最高の1人を選べ』と言われても難しい。みんな違って、みんないいですから。だから、常に新しい女性を探しています」と申しておりますし、ね。
小陰唇は、膣口や尿道を覆う事によって、膣の乾燥を防ぎ、感染から保護する役割を担っています。
■小陰唇肥大とは
小陰唇の肥大の定義の明確な定義はなく、なんとなく、通常より大きい状態。この為に、見た目の問題だけでなく、垢が溜まりやすく衛生面で問題が生じます。更には、慢性摩擦による色素沈着、きつい下着を穿いた時に感じる不快感と言うか…違和感、自転車等に跨った時やスポーツの際の痛み、エッチの時に小陰唇が巻き込まれる!、おしっこが飛び散る等々の、日常生活の質を明らかに下げてしまう原因となります。
小陰唇肥大の原因には幾つかあり、生まれつき、物理的刺激、出産、会陰切開、外傷、泌尿器や皮膚炎による炎症、性ホルモン、リンパ浮腫(美容通信2003年9月号)(美容通信2011年1月号)(美容通信2011年2月号)(美容通信2012年4月号)(美容通信2014年3月号)(美容通信2016年5月号)等が挙げられます。
小陰唇形成術・縮小術
陰唇形成術は、大陰唇及び小陰唇のサイズ縮小や形態の改善を目的とした手術で、婦人科美容・形成領域で最も施術件数が多い手術の一つとされています。線状切除法と楔状(V字)切除法が代表的な方法です。症例によっては、両者を組み合わせて手術を行う事もあります。
1971年に、最初の小陰唇縮小術が報告されました。HISAKOが医局から目黒の美容外科のクリニックに派遣され、この業界に初めて足を踏み入れた頃は、婦人科美容・形成外科なんてお洒落な言葉はなく、男性専科に対比する女性専科との呼称の下、日陰の手術扱いでした。その後、特に2000年に入ってから、婦人科美容・形成外科の症例は急激に増加し、その需要は2000~2010年の10年間で、オーストラリアでは2.5倍、英国では5倍に増加しました。近年では、国際学会も設立され、一つの学術分野として認知されるようになりました。この間に、小陰唇肥大の定義も大きく変化し、未だ、統一見解は前述の様に得られてはいませんが、世の中の潮流は、昨今のバッグ同様に、ミニサイズに。1976年Padmanは幅が5cm以上と定義しましたが、2000年Rouzierは4cm、2006年Munhozは3cm、近年では2cm以上を、小陰唇肥大として治療の対象とされるようになって来ました。…唇同様に、小陰唇も大きいのが流行る時代が来るのでしょうか? 大昔は薄い唇が知的と持て囃され、毎日の様に、唇を薄くする手術をしたのを覚えています。
合併症率は5%以下と比較的低く、合併症自体、軽微な事が殆どです。疼痛、感染、出血、血種、左右差、創傷治癒遅延、吸収糸の早期脱落、色調の不一致、創離開、尿閉、遅発性疼痛、瘢痕、瘢痕拘縮、性交痛、感覚の変化(感覚過敏、感覚鈍麻)、凸凹、過剰切除、薬剤アレルギー等が挙げられます。色調については、縫合断端部の色調が異なる事で、美瑛の丘を彷彿とさせるパッチワーク様の外観に最初は戸惑う事もありますが、人体は素晴らしく、半年もすれば色調が馴染んでしまう事が殆どです。感覚の変化として、ピリピリとした痛みが1ヶ月位続く事もありますが、気が付けば、いつの間にか治ってしまいます。血種は比較的稀ですが、起こるとすると24時間以内。起こったら、直ぐ、クリニックに来て下さい。場合によっては、何らかの処置が必要になる事もあります。
■線状切除法
線状切除法は、切除量を自由に設定出来、黒ずみの切除も同時に行えるのが利点とされていますが、所謂ヤリマンの証!と誤解されがちですが、実は単に女性ホルモンの影響が大きいんですよね。つまり、女性ホルモンの影響を受けないお子ちゃまと、おばあちゃまはピンク。発情期のニホンザルのおケツが真っ赤なのと同じとまでは言いませんが、生殖適齢期を示すのがあそこのドドメ色なんですよ。因みに、ドドメとは、関東地方の方言で桑の実を意味します。桑の実は、熟す過程で桃色から紫になり最終的に黒っぽい紫色に近くなるので、赤紫から黒紫の少し熟した実の色をドドメ色と言うんだそうです。だから、黒ずみの改善ばかりに目が行っちゃうと…、却って本末転倒になっちゃうかも(笑)。
小陰唇の外側に特有な自然な黒ずみやヒダ感は無くなってしまうのが、強いて言えば、この術式の欠点かしら。
- 適応
- 同時に黒ずみの改善も希望する症例。
- 小陰唇の厚みが比較的薄い症例。
- 大きく切除したい症例とは言っても、比較的多くの症例が適応になります。
- デザイン
立位時に、大陰唇から食み出さない程度の大きさを目安に、周囲組織とのバランスで切除幅を決定。幅1.5cm程度と小さめに縮小するのが最近の人気かな。時々、「いらんから、全部切り取ってくれ!」と申すご婦人もおりますが、過剰切除は、膣炎や膣の乾燥、膀胱炎を招きかねません。神経障害や膣入口の拘縮等のリスクも上がってしまいます。存在する意味があるから、存在しているのが臓器ってものですから、程ほどにが、大事なんです。
陰核小帯の下から膣の入り口まで、外側に広がるカーブを描くようなデザインで、陰核小帯から1.5cmくらい下の部位(上1/3位の部位)が一番出っ張ってるのがナチュラルで今時な形状とされています。デザインのポイントとしては、ほんの少し、外側の切開ラインを内側よりも幅広めにする事かな。縫い目はこれにより内側に入るので、元々傷の目立ち難い部位ではありますが、更に目立ち難くなります。
- 術後の注意事項
- 術後は、血種予防の為に、48時間のガードル着用がお約束。
- シャワーは翌日より可能ですが、湯船に浸かるのは術後2週間経ってから。
- 術後1週間は、強い圧迫や擦れる等の刺激、飲酒、喫煙は禁止です。
- 激しい運動やHは、術後1ヶ月後から解禁。
■楔状(V字)切除法
- 適応
- 自然な外縁を温存したい。
- 放射線状に縦に広がるタイプの小陰唇
- 厚みのある小陰唇
薄過ぎる小陰唇は適応外。それ以外にも、切り取った後の断端同士の色調があまりにも違い過ぎる小陰唇の他、タバコのみ、血流が悪い症例でもリスクが高く、適応がありません。
- 術後の注意事項
線状切除の時と一緒です。
副皮切除
副皮とは、陰核(クリトリス)包皮の左右に存在する皮膚のひだですが、見た目的にだけでなく、ひだに垢が溜まって悪臭の原因になる為、切除を希望する患者さんが多いのも事実。
副皮切除術
副皮は個人差が大きく、バリエーションに富む為、副皮単独の切除だけの場合もあれば、一緒に小陰唇切除を行う症例まで色々。
術後の注意事項は、小陰唇切除術と一緒です。副皮単独の切除だけの場合は、激しい運動やHは、術後2週間後から解禁です。
合併症は比較的少ない手術ではありますが、小陰唇切除術同様に、疼痛、感染、出血、左右差、創傷治癒遅延、吸収糸の早期脱落、創離開、瘢痕、過剰切除、薬剤アレルギー等が挙げられます。
陰核(クリトリス)包茎手術(陰核包皮縮小術)
陰核
陰核は、体の器官の中で唯一、性的快楽の為にある器官。それが故に、性行為に女性が快楽を感じる事を悪とみなすアフリカを中心とする地域(特に、赤道沿いの広域エリア!)では、2000年以上も前から、大人になる為の通過儀礼として行われる風習です。性感帯を失った女性は自発的に性行為をしなくなるので、結婚まで純潔・処女性を保てると信じられています。その為、アフリカの多くの地域では、女子割礼は結婚の条件とされています。現在でもアフリカの28カ国で、主に生後1週間から初潮前の少女に行われています。
■陰核包茎とは
陰核亀頭は、陰核の中で、唯一、頭のてっぺんが露出して見える部位。男の人のペニスの亀頭部分に相当し、神経の終末が集中しているので、直接的な刺激を避ける為に皮で守られています。しかしながら、陰核亀頭には皮脂腺があるので、内側に皮脂や赤が溜まりやすく、不衛生や悪臭の原因になる可能性があります。
男の子の包茎手術はズル剥け状態にするのが一般的ですが、陰核(クリトリス)包茎手術ではクリトリスを露出させる事が目的ではないので、整容的に縮小の症例が殆どです。性的な感度をUPさせたい!のが主訴であれば、3~5mm程度の露出はありですが、露出し過ぎると、下着が擦れるだけでも痛くて痛くて…日常生活にも差し障りがあるので、決してお勧めするものではありません。
陰核(クリトリス)包茎の程度が重度の場合は、陰核だけ皮が有り余っているなんて事は殆どなく、小陰唇や副皮も発達しているので、一緒に取ってしまう事が多いかな。
因みに、陰核と尿道口の距離は1.5cm以上あります。それ以下の場合は、陰核肥大?の可能性があるので、手術の適応にはなりません。
陰核(クリトリス)包茎手術
- 適応
- 陰核包茎の整容的な改善を希望する症例。
- 感染や炎症を繰り返す症例。
- 垢が溜まって匂う。
- 不感症の改善を希望する症例。
- デザイン
垂直方向、水平方向、全方向の、何処に余剰皮膚があるのかによって、デザインが変わります。
- 術後の注意事項
- 術後は、血種・疼痛予防の為に、48時間のガードル着用&冷却がお約束。
- シャワーは翌日より可能ですが、湯船に浸かるのは術後2週間経ってから。
- 術後1週間は、強い圧迫や擦れる等の刺激、飲酒、喫煙は禁止です。
- 激しい運動やHは、術後1ヶ月後から解禁。
- 合併症
疼痛、感染、出血、血種、左右差、創傷治癒遅延、吸収糸の早期脱落、色調の不一致、創離開、遅発性疼痛、瘢痕、瘢痕拘縮、性交痛、感覚の変化(感覚過敏、感覚鈍麻)、凸凹、過剰切除、薬剤アレルギー等が挙げられます。特に、術後3~4週間は、陰核の感覚が敏感になり過ぎるのは覚悟しておいて下さいませ。
再発率は、50%以上! 皮は、パンツのゴムみたいに伸びるんです。
大陰唇形成術・縮小術
大陰唇
大陰唇は、左右の小陰唇の外側に存在する幅の広い皮膚のヒダで、小陰唇や膣前庭等の外陰部を外的な刺激から守る役割があります。男の子の陰嚢に相当する臓器で、表面は扁平上皮で覆われています。陰毛、脂腺、汗腺、アポクリン腺があります。奥には、平滑筋や皮下脂肪、陰唇脂肪体からなり、血流は豊富です。
若い頃にはハリがります。しかしながら、若くても激ヤセしたり、年を取ると、ハリがなくなり、弛みが目立つようになります。見た目だけでなく、大陰唇の脂肪が萎縮するのに伴って、内部を保護する機能も低下してしまうので、膣の乾燥感、不快感、痛み、性交痛、感染の原因になります。特に、大陰唇の皮膚の下垂が強い症例では、Hの時に巻き込まれたり、バイクや自転車に乗る時に擦れて痛い!痛い!痛い! このような症例では、後述の形成術・縮小術だけでなく、高周波医療器機(美容通信2022年1月号)(美容通信2022年4月号)、ヒアルロン酸注入(美容通信2022年3月号)、脂肪移植を選択する場合もあります。
大陰唇形成術・縮小術
前述の小陰唇や副皮、陰核包茎の手術も一緒にしたい!との希望がある場合は、先ず、大陰唇形成・縮小術を行った上で、必要に応じて、バランスを見ながら、他の手術を追加するって順番で行います。
- 適応
- 大陰唇に中等度~高度の弛みがある症例。
- 大陰唇のボリュームがあり過ぎで、マンスジが目立ってしまう症例。
- デザイン
切除幅が大き過ぎると、陰唇や膣等の大陰唇の内側が露出し、整容面だけでなく、膣の乾燥が問題となります。その為、弛みが強い場合は、切除幅で稼ごうとせずに、高周波医療器機、ヒアルロン酸注入等の併用を考えた方が無難です。
前陰唇交連から5~10mm程上方から、膣効下端より5~10mm程度肛門の高さまでの範囲で真っ直ぐにラインを引き、外側に切除幅に合わせた楕円形に皮膚のみを切除します。
- 術後の注意事項
- 術後は、血種予防の為に、48時間のガードル着用がお約束。
- シャワーは翌日より可能ですが、湯船に浸かるのは術後2週間経ってから。
- 術後2~3日間は、疼痛・腫脹軽減の為に、軽く冷やしてあげるのが望ましいかな。
- 術後1週間は、足を大きく開いたり、強い圧迫や擦れる等の刺激、飲酒、喫煙は禁止です。
- 激しい運動やHは、術後1ヶ月後から解禁。
- 合併症
疼痛、感染、出血、血種、左右差、創傷治癒遅延、吸収糸の早期脱落、色調の不一致、創離開、遅発性疼痛、瘢痕、瘢痕拘縮、性交痛、感覚の変化(感覚過敏、感覚鈍麻)、凸凹、過剰切除、小陰唇・膣口の露出やそれに伴う乾燥感、薬剤アレルギー等が挙げられます。
傷跡が少し目立ちやすい場所なので、大陰唇粘膜側の陰核包皮及び小陰唇との境の溝(陰裂)に沿ってアプローチする場合もありますが、この切り方は、傷が目立たない分、小陰唇の際から陰毛がいきなりもさもさ生えてるみたいに、有毛部が内側に移動してしまうという欠点があり、術後、永久脱毛を行って誤魔化す事が前提かしら。
色調や質感は、6ヶ月から1年くらいで、なんとなく馴染んで気にならなくなるのが殆ど。感覚過敏は1ヶ月程度続く事がありますが、大概はいつの間にか無くなってしまいます。
ヒアルロン酸注入による大陰唇形成術
■ヒアルロン酸
ヒアルロン酸は、関節や皮膚等の細胞外マトリックスに広く分布しています。年齢や体重減少による大陰唇の軽度の弛みやシワには、ヒアルロン酸注入の良い適応とされています。
■ヒアルロン酸注入
- 適応
- 大陰唇の軽度~中等度の弛み・シワ。
- 大陰唇のボリュームを増やしたい症例。
- 注入の方法
注入量は、恥丘の脂肪の厚さや小陰唇の露出、弛みやシワの程度等のバランスで決まりますが、片側で2~4ml使用する事が多いかな。
恥骨結合から1~2横指外側(大陰唇中央の延長線上)から、針穴を開けてカニューレを挿入し、ヒアルロン酸を注入します。前方からの注入だけでは不足の場合、後陰唇交連の高さで小陰唇から2cm外側から、針穴を開けてカニューレを挿入し、斜め内側前方に追加注入します。つまり、前陰唇交連から膣口の肛門側下点までのエリアです。
注入する層は、皮下脂肪浅層内です。
注入後は、しっかりマッサージをして均一にならし、大陰唇全体が綺麗な楕円形となる様に、自然な形態を作ります。
- 術後の注意事項
- 注入後1週間は、外的刺激、入浴、スポーツは禁。
- 合併症
主なものとしては、発赤、疼痛、凸凹、内出血、嚢胞、リンパ管炎、感染、肉芽腫、ヒアルロン酸の漏出、血管塞栓、組織壊死が挙げられます。中でも最も頻度が高いのが内出血で、軽度のものなら数日で改善します。
膣内ヒアルロン酸注入
G-spot(Grafenberg zone)
G-spotは、1950年に所謂性感帯として、ドイツ人婦人科医Gräfenbergによって最初に報告されました。G-spotは、直径1~2cmで、尿道口より3~5cm奥の膣前壁に位置し、組織学的には、多くの神経血管束や神経節が存在するとされています。G-spotの存在を示唆する報告は多数あるにも拘らず、エビデンスレベルの高い論文は少なく、G-spotの存在を否定する報告もあり、その存在の有無については学術的な結論にまで達していないのが現状です。
近年、G-spotにヒアルロン酸や脂肪移植を行って隆起させ、不感症の改善を試みる方法が盛んに試みられています。
膣内ヒアルロン酸注入
膣粘膜下にヒアルロン酸を注入する事で、膣の内腔縮小や、膣の乾燥による不快感・性交痛・不感症の改善を図る治療です。他の方法と比較して、手技が簡便で低侵襲でありながら、効果を直ぐ実感出来るので、人気の施術です。勿論、臓器脱がある場合には、施術の適応にはなりません。悪しからず。
- 術後の注意事項
- 当日は、運動・飲酒は×。
- 術後7日後より、入浴とHが可能です。
- 合併症
腫脹、疼痛、出血、薬物アレルギー、血管塞栓等が挙げられます。
■膣内腔縮小・乾燥改善
膣の乾燥に対し、要するヒアルロン酸量は10mlぐらいを、膣内腔の縮小には20mlぐらいを使用します。
主に、両側壁と後壁に注入します。具体的には、砕石位で両壁に対し1か所ずつ、後壁左右2か所の計4か所から、膣粘膜下にカニューレで、扇状に注入します。注入後、指で注入部全体を軽くマッサージして、なだらかに慣らします。刺入部には抗生剤含有軟膏を塗布して終わり。
■不感症
G-spotには、2mlが目安の使用量です。尿道口から膣内側3~4cmの膣前壁に、直径1cm程度の円形マーキングを行います。尿道カテーテルを入れてモニターしながら、粘膜下に直接ヒアルロン酸を注入します。
会陰形成術・膣形成術
会陰形成術は膣入口部を、膣形成術は膣口径を縮小する事で、会陰部の外観の改善と性交渉時の満足度を高める事を目的とした手術。膣形成術は、俗に膣縮小術と呼ばれたりします。
過剰切除は、傷が広がったり、性交痛の原因になります。足りなければ切り足せば良いと、基本、医者は思っているので、低矯正気味に手術します。
術後は、24時間、抗生剤含有軟膏ガーゼで膣パッキングします。
主な合併症は、疼痛、腫脹、感染、出血、血種、創傷治癒遅延、創離開、有毛部の位置の変化、薬剤アレルギー等が挙げられます。
会陰形成術
経膣分娩で会陰全体や膣直腸筋膜が損傷した症例が、適応になります。但し、膣は出産時に赤ちゃんの通り道になるので、将来的に経膣分娩の可能性がある場合は、当たり前ですが、手術は論外で、膣内ヒアルロン酸注入やハイフ等で誤魔化すしかありません。
子宮脱や膀胱脱等の骨盤底筋群の機能低下がある場合も適応外です。直腸診で、直腸の膣側への脱出が認められる症例や、便秘等の排便障害が強い症例も、肛門や直腸疾患の合併が疑われるので、これも適応外になります。
新生膣口は2横指(約3cm)挿入出来る程度を目安に、菱形に粘膜を切除し、両側の浅会陰横筋と海綿球筋を中央で縫合して、離開している会陰体を形成し直します。直腸膣筋膜の断裂もあれば、これも縫合します。
膣形成術
会陰から2cm程の位置から膣奥に向かって、弛みに応じて切除縫合します。
処女膜切開術
処女膜強靭
処女膜とは、環状の白色粘膜で、膣前庭に位置し、膣口を囲んでいますが、その形状は個人差が大きく、多様です。性交渉や損傷によって破れると、膣口に不規則なヒダ状に残ります。
処女膜強靭とは、処女膜が通常より厚い、又は線維化等により伸展し難い状態で、入れようとしても痛くて痛くて、Hが出来ない状態と定義されています。明確な診断基準はありませんが、疼痛によりペニスの挿入が困難な状態と、肉眼的所見及び触診で診断されます。しかしながら、不安や恐怖による疼痛や膣痙攣、低エストロゲン状態による膣・外陰粘膜の萎縮や膣潤滑液の分泌低下、性器・尿路感染症、腫瘍、外傷等でも性交渉時に疼痛が生じるので、要注意!
■処女膜切開術
処女膜の肥厚により、挿入時の疼痛があり、性交渉が困難な症例、挿入が物理的に困難な症例の症状改善を目的に行う手術。
- デザイン
切開を入れる事で、性交渉時の疼痛を解除する方法が最も一般的で、安全。処女膜自体は残存する為、比較的自然に破れた状態に近い方法です。
遊離縁から膣壁直上まで直線の切開ラインを、時計針の1、3、5、7、9、11時の方向にデザインします。処女膜の形態には個人差があるので、形状に合わせて、切開のラインの位置や数を変更します。膣壁は切開しません。尿道や直腸が直下にある0、6時方向は、敢えて危険を冒して切開線を入れる価値はないので、入れません。
瘢痕様組織が疼痛の原因の場合は、その部位は切除します。
切開・切除後、2指が挿入可能であれば、一般的な性交渉は問題なく行えるとされています。
- 術後の注意事項
- 手術の翌日から、シャワー可。綺麗に洗って下さいね。ですが、入浴は2週間後から。
- 術後1週間は、抗生剤含有軟膏をマメに塗って、物理的刺激、飲酒、喫煙は禁。
- 激しい運動や手術部位が伸展される様な運動や性交渉は、2週間後から可。
手術により器質的な原因が取り除かれたにも関わらず、痛くて痛くてHなんて無理!って訴える患者さんが、時にいます。H=激痛と脳みそに刷り込まれてしまっている為で、挿入行為自体に慣れる事から始める必要があります。医療用の潤滑ゼリーと共に膣ダイレーター(日本性科学会のホームページで購入可能)を用いた、系統的脱感作療法です。
膣ダイレーターは先端が丸みを帯びた筒状の医療器具で、プラスチック製/ゴム製で、通常長さは約14~18cm。太さは、1cm程度から数cmまでの、3~4段階に分かれています。患者さん自身にマイ・ダイレーターを購入してもらい、自宅で使います。多量の出血や鋭い疼痛、挿入への物理的抵抗、おりものの増加、発熱等があれば、使用は中止して。
- 合併症
再癒着、疼痛、感染、出血、創傷治癒遅延、瘢痕拘縮、感覚過敏、薬剤アレルギー等が挙げられます。稀に、切開断端の一部が再癒着してしまう事も。
アワノ41Dジェル
女性ホルモンの減少に伴い、外陰部や膣は、乾燥しやすくなります。ドライシンドローム(美容通信2018年12月号)に対しては、女性ホルモンの補充療法(美容通信2010年12月号)が一番確実な治療方法ですが、なかなかそこまで踏み込めない輩には、ヒアルロン酸の注入(美容通信2022年3月号)の他、膣ハイフやインティマレーザーの様な医療器機(美容通信2022年1月号)や家庭用の医療器機(美容通信2022年4月号)があります。プラセンタ(美容通信2009年2月号)の内服や注射、エクオール(美容通信2016年8月号)、漢方薬(美容通信2005年6月号)も、併用は心強い援軍ではありますが、単独では些か心もとない…。
アワノ41Dジェルは、デリケートゾーン専用の保湿ジェル。医療機関限定ですので、アダルトサイトではご購入いただけません。パール粒大を指先に取り、膣入口から外陰部に優しくマッサージする様に伸ばして下さい。保湿効果がありながら、べたつきがなく、1日何回でもお使いいただけます。
商品の主成分は、下記の通り。
- 培養液エキス:サイトカイン(免疫システムの細胞から分泌される蛋白質で、標的細胞は特定されない情報伝達をするもの)が含まれています。
- エンテロコッカスフェカリス:善玉ヒト乳酸菌。
- 乳酸桿菌/乳発酵液:生乳や脱脂粉乳を乳酸菌で発酵させ、その発酵乳の上澄みを粉末にしたもの。ペプチド、アミノ酸、乳酸、糖を含み、保湿作用や匂いを抑える働きがあります。
- オウゴン根エキス:バイカリン等のフラボン類を含みます。また、アルカリフォスタターゼ抑制効果による消臭作用もあります。
*註:HISAKOの美容通信に記載されている料金(消費税率等を含む)・施術内容等は、あくまでも発行日時点のものです。従って、諸事情により、料金(消費税率等を含む)・施術内容等が変更になっている場合があります。予め、御確認下さい。
*治療の内容によっては、国内未承認医薬品または医療機器を用いて施術を行います。治療に用いる医薬品および機器は当院医師の判断の元、個人輸入手続きを行ったものです。
関連ページ
関連するHISAKOの美容通信をピックアップしました。
来月号の予告
暦年齢と異なる身体機能やリスクを反映する、生物学的年齢について
<生物学的年齢>