HISAKOの美容通信2008年4月号
乾癬
乾癬は、炎症性角化症の代表的な病気ですが、原因が良く分んないだけに、中々ぱきっと治らない難治性の病気なんです。
時々、ちょっと暴徒化して重症化する事もあるだけに、如何に騙して賺して、上手に付き合っていくかが治療のポイントになりますかね。
野良猫ならぬ、野良サボテンを目撃した事があります。
チャイニーズと修学旅行生ご用達の、目黒のこじんまりとしたホテルの植え込みの中に、ある日、捨てられているのを発見しました。10月の晴れた日曜日でした。雨が降ろうと、風が吹こうと、誰も餌をやらなくても、隣のコインパーキングで車が何台も車上荒らしに遭おうとも、細かく砕けたフロントガラスの欠片を植木鉢の土の上にキラキラと乗っけたくらいにして、野良サボテンは元気に育っておりました。何時しか、私の日課に、ホテルの従業員に野良サボテンが発見され、撤去されていないかを確認すると言う項目が追加されました。
この孤高の野良サボテンの支援者は、私だけでなかったようです。他にもいました。イブが明けた翌日の朝、それを知りました。トナカイと赤い服着た雪だるまの飾りが、植木鉢に突き立っていたのです。私も、3ヶ月近く寒空の下、頑張って生きている野良サボテンに、何かしてあげたいと願うようになっていました。年末の買い出しで込み合う三越で洒落た正月の注連飾りを見掛けた私は、即決しました。七草が終わったら、これを野良サボテンの首に掛けてやろうと。輪投げに適した注連飾りを玄関に飾った時、一瞬、宵闇に紛れて行動する自分が脳裏に浮かびました。
‥でも、結局、実行に移す事は出来ませんでした。新たな年を迎える前に、野良サボテンが撤去されてしまったからです。程なくして、私自身も、家主から立退きを命じられて、目黒を去りました。
今月号は、野良サボテンとは何の関係もありません(笑)が、”乾癬”の特集です。
乾癬って、どんな病気?
難しい話は、省略! だって、膨大にある研究報告を細々と述べたって、実際の本体が解明されていない以上、頭が混乱した挙句、涎を垂らして睡魔の餌食になるのがおち。患者さんにとって大事なのは、末永く付き合わなければいけない病気なら、如何に上手に乾癬と付き合う術を身に付けるか、そして、今自分が受けている治療がどんなものか、この二点に集約されると思うんです。今回は、そんな観点から、乾癬を解説します。
乾癬は、炎症性角化症の代表的な病気で、中々治らない難治性の皮膚病として有名です。ガッザガザの厚い角質がへばり付いた、境界明瞭な僅かに盛り上がりのある赤い紅斑が、数ヶ月から数年掛けて、徐々に徐々に、他の場所にも広がって行きます。一度出来上がっちゃった皮疹は、長い間固定した状態を保つ事が多いんですが、扁桃炎や虫歯etc.の細菌感染を切欠に、勝手に暴走し始めて重症化する事もあります。遺伝的な素因があるのではないかと考えられてはおりますが、我が国では家族内発症の頻度は4~5%と低いんですよね~。まあ、どちらにしろ、外的な要因(環境因子)で物凄く!!症状が左右される病気なので、これを上手く攻略する事が、乾癬と上手に付き合う方法と考えられています。
洞爺湖サミットの開催前ですが、環境問題について話し合いましょう
繰り返しになりますが、乾癬は炎症性角化症の代表的な病気で、中々治らない難治性の皮膚病として有名です。好もうと好まざるとも、長~いお付き合いを強いられる伴侶なら、なるべく良い関係を保っていたいもの。この乾癬、外的な要因(環境因子)で物凄く!!症状が左右される病気です。なら、逆手に取って、乾癬を乗りこなしてやりましょう。
乾癬に悩んでる患者さんは、日本では10万人程度。ここまでは、大して面白くも何とも無い事実。しかし、欧米では男女の比率が1:1に対し、日本では何故か女性が男性の2倍。我が国独特の、極めてユニークな性差があるんです。多分、これは外的要因(環境)にとるものと想像はされてはおりますが、この様な観点からは誰も解析してないので、HISAKOも分んな~い!! ちゃん、ちゃん♪
これで終わりにしちゃうと狐に抓まれただけで終わっちゃうので、違う環境因子の話に摩り替えてしまいましょう(笑)。大人の都合って奴です。
紫外線
紫外線(日光)照射は、乾癬に効く!! まあ、これは古くから言われて来た事実で、最近では色んなバリエーションがお目見えして、楽しい限り(?)。
死海ツアー
どうせ治療せざる得ないんなら、楽しい方が良いに決まってるじゃん。と、考えたかどうかは知りませんが、欧米では人気の死海ツアー。特に、乾癬で悩む患者ばかりを集めた湯治ならぬ乾癬-死海療法ツアーは、景気の変動に左右されない、でも、テロには左右されるかも知れない(笑)、人気の定番メニューです。
死海での水浴び(沐浴)中は、当然紫外線に晒されます。ですから、基本的にはこの死海ツアーの効果の真髄は、紫外線。紫外線療法の変法との位置付けられています。しかしながら、実は温泉や沐浴によるリラックス効果も侮れないかもってHISAKOは勝手に想像しています。それに、海水の10倍もの塩分(特にMg)濃度が、どうも乾癬には効くみたいです。
最近は、気軽に死海ツアーに参加出来ない諸事情を有する方々(!)の為に、balneophototherapyなる方法も登場。日本でも何処其処の温泉の湯をトラックで運び込んで、溜池に満たして、○○の湯なんて謳う銭湯もありますが、発想は全く同じ。死海の水を輸入して、手軽に沐浴気分を堪能してもらったら、後は定番の紫外線照射。効果はあるみたいです。が、最近の論文によると、単独で紫外線照射したのと効果は変わんね~なんて書いてはありますが‥。ツアーに参加する事にこそ、(精神的な面での)意義があるのかも、ね。その辺事情は、HISAKOにも、よ~分りません。
ドクターフィッシュ(kangal fish)
これ又、日本では乾癬の治療がどうこうって事は完全に無視しちゃって、最近エステ感覚で人気なのがドクターフィッシュ。正式名は、ガラ・ルファ・オブトゥサと言うコイ科の淡水魚です。
トルコ共和国の中央部に位置するカンガル地方では、乾癬の治療として、昔から民間温泉療法が行なわれて来ました。30~32℃の温泉に患者さんが浸かると、体長3~4cm程度の腹を減らした小魚ちゃん達が、”餌だ! 餌だ!!”と喜びの雄叫びを発してるかどうかまでは定かではありませんが、兎に角、群がって要らない角質を貪るように食べてくれるんです。所謂、ピーリング効果って奴ですね。同時に、お魚ちゃん達に熱烈なキスの洗礼を受ける事で、さり気なくではありますがマッサージ効果も得られ、皮膚の新陳代謝が促進されるみたいです。それに、水槽の中に手を突っ込んだら怯えて逃げるのが当たり前のお魚ちゃんが、群れを成して集まって来てくれる。魚と言えど、モテ願望を満たしてくれる。これが、高齢者にとっては一種の癒しになるんだとか‥。熱帯魚先進国のドイツでは、このガラ・ルファちゃんによる治療が、保険適用の医療行為として認められています。
てな訳で、”ドクターフィッシュは、日本の悩める10万人の乾癬患者の救世魚となるに違いない!”と目論んだドイツの企業が、このお魚ちゃんを治療用に輸入してみたそうです。ところが、効果の程は今一つ‥。日本の乾癬患者の角質は、トルコ人やドイツ人の角質の味に慣れ親しんだガラ・ルファちゃんにとっては、ちょっと馴染めない代物だったのか‥、魚語の話せない日本の皮膚科医達には、当然、真相を知る由もありません。きっと、屋外の温泉に浸かっている時に紫外線に晒されていたのが良かったんだろうと、教科書的にはあっさりと処理されております(笑)。
ナローバンドUVBの進化系”Dua Light(美容通信2006年3月号)(美容通信2006年5月号)”で、ターゲット照射
御存知ナローバンドUVBは、中波長紫外線(UVB)領域に含まれる311±2nmの非常に幅の狭い波長の紫外線。広い波長を網羅する(笑)ブロードバンドUVB照射と違い、如何に安全性が高い波長のみのナローバンドUVBとは言え、何の症状も無い正常な皮膚にも照射する訳ですから、照射パワーにも制限が出ようと言うもの。でも、心おきなく乾癬を叩くには、もっとパワーを上げたい!! この両者のジレンマを解決したのは、発想の転換。そこ(乾癬部分)だけ強く照射すれば、良いじゃ~ん。これが、ターゲット型のDua Lightの真骨頂。効きます。
クリニックでは、更にこのDua Lightのパワーを最大限に発揮する為に、様々なオプションを用意しています。
例えば、”死海ツアー”。この治療法は、先にも述べた通り、紫外線療法とリラックス効果のW作用です。ところが残念な事に、クリニックには死海に通じるどこでもドアは設置しておりませんから、死海でバカンスをエンジョイしながら、Dua Lightの照射をする事は不可能。でも、スーパーライザー()ならあります。スーパーライザーは優れたリラックス効果のみならず、免疫力を高め、炎症を抑え、傷の修復を促してくれるんです。塩水より優秀!?
そして、”ドクターフィッシュ(kangal fish)”。勿論、クリニックには魚は飼っていませんが、ディープクレンジングの器械があります。この器械は、乾癬のみならず、アトピーさんや掌蹠膿疱症、毛孔性苔癬etc.と角質が分厚くなっちゃう病気に効果絶大。皮膚の上にこんもりと堆積している余計な角質を取り除くだけでも効果がありますが、真髄はDua Lightの光の透過性を格段にUPしてくれる事。それに、この超音波によるディープクレンジングの際に感じるこのと~ても心地よい振動が、リラックス効果さえも齎してくれるのです。前述のスーパーライザーと併用すれば、更なる至福の時!?
煙草
この解釈は、極めて難しいのが現実。貴女は、この事実(報告)をどう解釈しますか?
アメリカのユタ大学の調査です。煙草を嗜む人の割合は、一般ピープルの13%。ユタ大学の患者の25%。患者の中でも乾癬に限って割合を見てみると、なんと37%と、どう考えても煙草飲みに多い。
次は、イタリアからの報告。ヘビースモーカーであればあるほど、乾癬の症状もヘビーな人が続々増えるんです。重い乾癬の症状で悩む煙草飲みの割合をみてみると、1日10本以下の患者の倍以上が、1日20本以上のヘビースモーカーなんだそうです。
煙草が乾癬を悪化させたのか、それとも、煙草を吸わざる得ない環境が悪さをしたのか‥。最近では、煙草も、デブ同様、過食行動を余儀なくされる心理的ストレスが発症の原因というより、儘ならない乾癬って病気に苛立つ心理的ストレスが、これらの行動に患者を走らせているのではないかと考えられています。
しかしながら、少なくとも、煙草が乾癬の発症の切欠を作った可能性はあります。煙草の煙が咽頭リンパ組織を直撃する事で、色々なケミカルメディエーターの遊離が促され、炎症を引き起こした。‥今更、煙草を止めれば治る(若しくは症状が軽くなる)とは言いませんが、少なくとも、多重債務者ならぬ多重疾患保有患者(笑)になるのが嫌だと思うなら、煙草は止めましょう。止め方は指南致します。決心が付いたら、禁煙(美容通信2006年10月号)(美容通信2008年7月号)をクリックしましょう。
食事
おデブ
乾癬患者は、概しておデブなんです。でも、溢れんばかりの脂肪細胞が、要らぬ病気(乾癬)を呼び込んでしまったのではありません。乾癬と言う名の蟻地獄に落ちてしまった精神的トレスが、患者を過食行動に追い込んだんです、多分‥。でも、低カロリーのベジタリアン(デブ先進国のアメリカに多く生息する、高カロリーのベジタリアンではありませんよ!!)に宗派替えすると、症状が良くなる人もいるので、完全に因果関係を否定するのも如何なものかとは思いますが‥。
絶食ないし低カロリー食
ヒトラー総統の様に逼塞した国民感情を外に向わせる為に、若しくはプーチン大統領の様に政治的な権力闘争を勝ち抜く為にetc.と、戦争には色んな隠れた動機があるものです。ですが、少なくともHISAKOの知り得る限り、乾癬の治療の為に戦争を始めた治世者はいません。しかし、結果的には、乾癬には非常に効果的な治療法でした。‥戦禍が激しくなるにつれ、一般の人民の生活は困窮を深め、栄養状態も悪化の一途を辿ります。それと反比例する様に、乾癬の患者数は激減しました。その為、栄養失調すれすれの乏しい食生活は、寧ろ乾癬の治療にとって望ましいのではないかと考えられたようです。
確かに、後述する様に、肉や卵の食べ過ぎは乾癬を悪化させます。戦時中は、軍のお偉いさんか農家でもない限り、一般の庶民が口にする事など出来なかった肉や卵も、今ではそこら辺のホームレスだって食べてます。日本の乾癬患者が戦後急速に増加したのは、肉中心の食生活に変化した事と、全く無縁の事ではないでしょう。ですが、戦地に於ける乾癬患者の激減は、栄養失調スレスレだったからと言うより、寧ろ屋外での労働に伴う紫外線照射が有効だったのではないかとする説の方が有力です。
多価不飽和脂肪酸(美容通信2007年3月号・美容通信2007年4月号)
栄養療法は、全ての皮膚のお悩みを改善する為の基礎中の基礎。乾癬と言えども、例外ではありません。美容通信の愛読者なら何度かお目に掛かっている図かとは思いますが、もう一度復習しましょう。
上図からもお分りの様に、多価不飽和脂肪酸は、末端のメチル基から数えて最初の2重結合の位置により、ω-6系とω-3系に大きく分けられます。
この2つの系の性格は‥極めて可愛くない。自己主張が強いくせに、ちょっと形勢不利と見ると、とっととシッポを巻いて逃げちゃうタイプなんです。その性格の悪さが顕著に伺えるのが椅子取りゲーム。お互いに席を譲り合うなんて謙虚な心は持ち合わせていないω-6系とω-3系は、限られた数しかない細胞膜上の座席を巡って激しくバトルします。が、例えば、ω-6系に偏ったご飯ばっかり食べている等の数的に不利な状況に陥ると、ω-3系はとっとと退散してしまいます。男なら打ん殴ってやるんですが、如何せん、どちらも人間の体の中では合成が出来ない=ご飯で食べて摂らなきゃいけない必須脂肪酸。体の中ではお互い完全に独立した経路で、途中から宗派替えならぬ系替えなんて芸当の出来ない頭の固さを思えば、私達、ご主人様である人間が、両者のバランスをきちんと管理せざる得ないのです。ω-6系とω-3系の理想的な食事のバランスは、4:1。にも拘らず、魚を碌に食べず、脂っこい物ばっかり好んで食べている人だと、下手をすると、平気で7:1なんて事態も起こってしまうのです。概して現代人の食事が、ω-6系に偏りがちで、ω-3系が不足している現状を考えると、その管理には十分注意を払う必要があるのです。
ω-6系の不良娘・アラキドン酸は、食事由来の他、リノール酸からも変換されます。<小さな炎症の火種も、煽って煽って大火事にしちゃいましょう♪>と、碌でもない事に闘志を燃やし尽くす超過激chemical mediator連中、例えば、prostaglandin E2、thromboxan A2、Leukotriene B4等々は、どいつもこいつも、元を辿れば全てアラキドン酸。乾癬に悩む善良な市民の背中を、崖底に向って蹴り落としてくれちゃうんですよね~。アラキドン酸は、食事に於いては専ら肉・卵と言った動物由来。その他にも意外な盲点になりそうなのが、炒め物や揚げ物等の加熱調理に使われる植物性油です。米油、ゴマ油、大豆油、コーン油、紅花油(高リノール酸)と言ったω-6系たっぷりの油で調理してませんか? せめて、オレイン酸が豊富なオリーブオイルや、高オレイン酸と表示のある油を使いましょう。唯、外食産業で使われている油は、殆ど基本的にω-6系と考えた方が無難。故に、外食は油の少ない和定食etc.をチョイス♪
参考までに、ω-3系の脂肪酸は、他の脂肪酸よりも優先的に燃焼され易く、皮下脂肪として蓄積され難いって特徴もあるんです。つまり、おデブが多いとされる乾癬の患者さんにとっては、嬉しいオマケって所でしょうか。
酒
環境に左右され易い乾癬業界にあって、酒の取り扱いは極めて微妙。酒に溺れざる得ない荒んだ生活が、治療の妨げとなり、乾癬って病気を悪くしているのかも知れません。それとも、乾癬って負い目が、アルコールに駆り立てているのかも知れません。‥卵が先か、鶏が先か。永遠の命題です。
治療
使えるアイテムはそこそこありますが、病気の本質が完全に解明されていないので、決定打に欠けるのが難点。だからって手を拱いている訳にはいきません。
戦いのルール(治療方法)
治療方法は大きく分けると、下記の4つ。
単独療法mono therapy
単に、1種類のお薬を塗るだけ~。そんだけ~。
併用療法combination therapy
複数の治療方法を併用して、良いとこ取りしつつ、夫々の治療の副作用を減らすのが最大の目的。だから、HISAKOのクリニックでも、治療の基本中の基本。例えば、病院で週2回、デープクレンジングして光の透過性を阻害する角質を除去した上で、紫外線(Dua Light)を照射し、超音波でステロイドをイオン導入。これも立派な併用療法です。外用薬を2種類使い分けるのも、これ又、立派な併用療法になるんです。
ですが、注意も必要。同じ部門に配属されたって、妙に馬が合う奴もいれば、ちょっと苦手って野郎だっています。相性は併用療法にとって、一番重視しなければいけない留意点です。例えば、どんなカップルを監視する必要があるのでしょう?
- 幸せ婚・ステロイド外用薬とビタミンD3外用薬の、塗り薬カップル
- 金持ちなら幸せは保証婚・ネオーラル(シクロスポリン)とビタミンD3外用薬の、飲んで塗ってカップル
- 過去が破局を招くかも婚・チガソン(レチノイド)とビタミンD3外用薬の、要注意カップル
- 誰もが認めるおしどり夫婦婚・ビタミンD3外用薬と紫外線療法(Dua Light(美容通信2006年3月号))の、ベストカップル
- 幸せの代名詞婚・チガソンの内服とPUVA療法(Dua Light(美容通信2006年5月号))の、通称RePUVAカップル
- 史上最悪の大凶殺婚・シクロスポリンとPUVA療法の、禁断カップル
ステロイドの最大の魅力は、強さが5段階に分かれていて、更にそれがスプレーからローション、クリーム、軟膏etc.と豊富な剤型を揃えている事。唯、後述のステロイド外用の項目でも少し触れますが、長期大量投与では副作用が問題となって来ます。
これに対しビタミンD3は、高濃度のものが2000年から発売され、乾癬治療の主役に一躍躍り出たのは皆さんもご存知の通り。唯、万人に利くかと言うと‥、微妙だし、効果を実感するのにと~っても時間が掛かる(約8週間)。テラテラ赤くなっている紅皮症様の状態だと、塗れば刺激を感じる人もそこそこ出て来るし、吸収が高まり過ぎて高カルシウム血症も心配になって来ます。それに何と言っても、ちょっとお値段が張る。
そこで、<両者の欠点を補い合う為に、縁組させちゃお~っ!!>って結論に至った訳。新興の成金が、娘を没落貴族の息子の所に嫁にやる‥。こんな政略結婚でしょうかね(笑)。平日はビタミンD3、週末はステロイドのケジメ婚。D3とステロイドの重ね塗り婚。塗る時にその都度混ぜ合わせるねるねるねるね婚。薬局さんで予め混ぜ混ぜしてもらう既存婚。‥唯、その結婚生活の実態は、人夫々。色々です。
金は掛かるが、お互いが高め合える理想の相乗効果型婚。言葉を返せば、金の切れ目が縁の切れ目婚‥。
このカップルの前途を占う為には、寧ろ過去の塗り薬遍歴に注目しましょう。特に直前に破局した相手が何者か、これが重要なんです。チガソンの相手がステロイドの塗り薬だった場合、ステロイドによるDVの挙句(!?)、皮膚がペラペラに菲薄化しちゃってる可能性があるんです。こんな所に、ビタミンD3が優しい声なんて掛けた日には、相手に溺れて周囲が見えなくなって当然。吸収が亢進し過ぎない様に、刺激感が強くなり過ぎない様に、少しづつ2人の距離を縮めて行くのがコツ。低濃度のタカルシトール(2μg/g)軟膏から始めましょうね。
お互いに高めあう理想婚♪
チガソンの内服とPUVA療法は、RePUVAなんて造語すら出来ちゃう程、世紀のラブラブ・カップル。
RePUVAのラブラブ結婚生活に対し、シクロスポリンとPUVA療法は、兎に角、大凶殺カップル。皮膚癌になって死んじゃうかも率が、高くなるんです。同時進行じゃなくても、元カレならぬ前カレがPUVA療法なら、飲むのは止めといた方が良い‥。詳しくは後述する循環療法を見てね。
移行(段階)療法sequential therapy
端的に表現致しますと、先ず、出会い頭に頭を打ん殴って気絶させる。後は、煮るなり焼くなり、じっくりと味わい尽くす。‥長期の連用には適しませんが、電撃速攻の激しい猫パンチ攻撃で、最初に乾癬の勢いを封じてしまいます。先制攻撃にビビって、借りて来た子猫ちゃん状態になったら、維持療法に適した、つまり、副作用が少ないけど効果も極めてマイルド薬剤に変更し、ソコソコの良い状態を長~く保ちましょって方法。だから、先程述べた併用療法と全く対立する概念ではなく、移行療法と言う大きな流れの中に、併用療法が組み込まれていると考えて頂いた方が良いと思います。
例えば、Koo先生お奨めの塗り薬の移行療法(3段階)は、こんなプラン。
第1段階(clearing/quick-fix期間):約1週間
超強力なステロイド(strongestクラス)外用薬を短期間使用。その際適宜ビタミンD3外用薬を併用する事も。兎に角、症状の軽快を図る事を目的とします。
第2段階(transitional期間):2~4週間
治療の強さを急激にマイルドなものに減じるます。ココで勢いを盛り返させない様に、如何に騙くらかして行くか、小細工を弄するのがポイントです。例えば、ステロイドとビタミンD3の塗り薬を夫々1日1回だけ塗るとか、平日はビタミンD3を週末はステロイドを塗るとか。同時に、超強力なステロイドも、徐々にレベルダウンしましょ。
第3段階(maintenance期間)
副作用の少ない維持向きのビタミンD3君に、全権を委譲。
勿論、全身療法により症状の軽快が認められた場合に、次第に外用療法に切り替えて行くのも、移行療法になります。
循環療法rotation therapy
乾癬は慢性の難治性疾患。下手をすれば、治療は一生の付き合いになりかねません。如何に効果絶大な治療であろうと、同じ事をず~っと続けては、累積する副作用が心配になって来ますよね? 値段の安さに釣られて、中●国産のお野菜や加工品ばっかり食べて健康を害してしまっては、困ります。例え、感心しない何らかの成分が入っていたとしても、輸入先がバラけるだけでも、一成分当りの体内蓄積量は減るはずです。これが、循環療法の概念(笑)。
唯この方法、構成メンバーは極めて粒揃いのイケメンにもかかわらず、若干、2名ほど、殺し合いが起きかねない程の犬猿の仲の奴がいるのが難点です。シクロスポリンとPUVA療法の2人です。先程も申しましたが、併用で、ぱ~んと発癌のリスクが上がるんです。じゃあ、この2人の扱いをどうするか? 甲乙付け難いイケメンなら、どちらかを選ぶなんて了見の狭い事を考えずに、2人ともキープするのが大人の女の嗜みでしょう。要は、レストランで2人を隣同士の席に並べて座らせたり、彼らを相手に3Pを楽しもうとしなければ良いだけなのですから。治療的には、ローテーションの対極に置くべき物とお考え下さい。例えば、右の中川先生流犬猿の仲のイケメンの侍らせ方を見てみましょう。見事に、シクロスポリンとPUVA療法の2人が、対極に鎮座しています。これじゃあ、流石に喧嘩も出来ませんよね。ははは。
更に、シクロスポリンとPUVA療法のいがみ合いを減らす為に、色んな工夫を加えてみましょう。PUVA療法と相性が抜群に良いチガソン君を、PUVA療法の直後に配置するのは当たり前ですが、ちょっと前倒ししてPUVA療法と同時に始めるのも○。こうするだけで、夫々の治療期間を大幅に増大出来るのでもあります、はい。
戦いのアイテム(武器)
戦い方(ルール)が分ったら、手持ちのアイテムを駆使して、モンスター・乾癬を封印してしまいましょう。その為には、ラッキーアイテムも含め、個々の武器に対する理解も不可欠。
ステロイド外用薬
何でステロイドを塗ったくると良いのかは、未だ不明のまんま。唯、乾癬の原因が、恐らくTリンパ球を介した免疫学的機序に基づくものであろうと言う説が有力な現在、ステロイドが、①表皮細胞、②真皮内血管、③リンパ球etc.の免疫担当細胞に働き、総合的に効果を発揮しているのだろうと考えられています。
ステロイドはご存知の通り、長期に使用し続けると、皮膚がペラペラに薄くなって、毛細血管が浮き出して来たり、挙句、バイ菌やカビ、ウィルスと言った、兎に角碌でもない輩に付け入られる隙を提供してしまう羽目に。毅然として生きていく為には、併用療法を上手く駆使して、依存しない女でいる事しかありません。
ラッキーアイテムのご紹介♪ 手元の武器が、俄然パワーアップしちゃう優れものです。左の器械は折り孔で、デーぷクレンジングも超音波のイオン導入にも使える優れモノ!
- デープクレンジングimage392.jpg
- 超音波イオン導入
活性型ビタミンD3外用療法
活性型ビタミンD3の塗り薬は、私達の美しい国・日本が世界に向けて発信した、乾癬治療界の新興勢力です。薬の開発には、面白い話が付き物で、この活性型ビタミンD3外用薬も、ご多分に漏れず、結構笑らかしてくれます。切欠は、偶々、乾癬合併していた骨粗鬆症の患者さんが、1α(OH)D3を飲んだら乾癬が良くなってしまった事。これはイケるかもと製薬会社が飛びついて、トントン拍子に開発が進み、外用薬が発売。今や乾癬治療のスタンダードにまで成り上がりました。‥え? そもそもは、飲み薬じゃなかったっけ? そうなんです。これがこの話のオチでもあって、飲み薬は効果が認められず、ボツになっちゃってたんですね~。ほほほ。
何でこの活性型ビタミンD3の塗り薬が効果があって、飲み薬が効かなかったのかとか、未だ詳しい事は分りません。唯、当初想像されていた様な、表皮細胞の分化誘導作用や増殖抑制効果ではないようです。炎症性サイトカイン調節作用、アポトーシス誘導作用、調節性T細胞誘導作用etc.の新しい免疫薬理作用による可能性が報告されています。
特に、この調節性T細胞誘導作用は、ステロイド外用剤との混合ないし併用療法の根拠ともなっています。つまり、現在でも不動の人気を誇るステロイドの塗り薬ですが、長期に使用せざる得ない乾癬では、皮膚の萎縮や出血斑等の嬉しくない副作用が出現しかねません。それに、超強~いレベルのステロイドも利かない頑固者が増殖する可能性だって出て来ます。この様な好ましくない現状を招かない為に、そして同時に相乗効果が期待出来るのが、両者の混合ないし併用療法なのです。
併用療法については、既に触れているので省略。ここでは混合についての補足をしておきましょう。ヨーロッパでは、既に混ぜ物(リンデロンDP軟膏&ドボネックス軟膏)が売られています。が、日本で売られてないんなら、薬局さんで混ぜて貰えば良いじゃん♪ 唯、ココで注意してもらいたいのが、厚生労働省が医療費削減の為に強烈に後押ししている後発品(ジェネリック)の存在。患者さんは、オリジナルと全く同じ薬が安くなっていると思っているようですが、違うんです。確かに、薬の成分は一緒です。が、それを混ぜる物(基剤)が違うんです。単体で使用する場合は、単にオリジナルより作用が弱いんだよねと、殆どの医者と同じ様に、HISAKOも蔑むように言い捨てて終わり。でも、混ぜ物の場合は、ちょっと問題は深刻になる。pHの変化や溶解性、含量の低下etc.が起こる可能性があるんです。オリジナルと違って、そこら辺の実験データを厚生労働省に提出する必要がないので、製造メーカーに聞いても分らないなんて事も!! 安けりゃ良いって考え方は、混ぜ物系では少なくとも止めた方が無難かな。ちゃんちゃん。
Dua Libht(ターゲット型PUVA療法・ターゲット型ナローバンドUVB)
内容が繰り返すので、ここでは省略! 美容通信2006年3月号・美容通信2006年5月号を読んでね。ターゲット型なので、狙いを定めて強力にピンポイント照射が可能です。 単独でも勿論効果は抜群ですが、併用療法で更なる効果を実感出来ます。外用薬は何でも抜群の相性ですが、飲み薬、特にチガソンとはRePUVAの名前が付く程の世紀のマリアージュ♪ シクロスポリンとさえ重ねなければ、怖いものなし!! ラッキーアイテムのご紹介♪ 手元の武器が、俄然パワーアップしちゃう優れものです。
- デープクレンジング
レチノイド(チガソン)
ビタミンAの塗り薬については、美容通信2005年2月号をご参照下さいませ。
飲み薬であるチガソン(ビタミンA化合物)は、小腸粘膜から吸収され、活性代謝物となって標的細胞に運ばれ、核内レセプターを介して特異的遺伝子の転写を調節します。チガソンにより抑制される転写因子の中には、細胞の異常増殖や炎症に関与し、乾癬病変部に多く発現するAP-1も含まれています。その作用が不活性化される事で、表皮細胞の増殖や炎症が抑えられるんですね。
皮膚に於いては、角化の抑制は良く知られる作用ですが、これには、ケラチノサイトの増殖を抑えるだけではなく、他にも色んな経路がある様です。例えば、表皮の分化段階に密接に関係するケラチン蛋白では、分化したケラチノサイトで見られるK1、K10、K6、K16の合成が抑制されるんです。その他にも、表皮の角層細胞膜を形成する為の酵素トランスグルタミナーゼの合成を抑制しますし、デスモゾームの大きさと数を減少させて表皮細胞間の接着性を低下させる為、角層が脱落し易くなり、角化が抑えられます。同時に、白血球の遊走を阻止し、血管内皮細胞の増殖を抑制、ケラチノサイトのサイトカイン合成を抑制する等々の、乾癬病変部での炎症を抑制する作用も兼ね備えているんです。
チガソンの最大の欠点は、赤ちゃんに問題を来たす場合(催奇形性)がある事。体内に蓄積する特性があるので、内服中は勿論、女の子は内服中止後2年間、男の子は中止後半年は、子作りは避けましょう。
他には‥、1日量が多過ぎると、口内乾燥、落屑、皮膚の萎縮等の皮膚粘膜かな。飲み始めて直ぐこれらの副作用は出て来るので、その時は量を減らしたり、ちょっとお休みすると直ぐに消失します。ご安心を!
飲み方は、最初は、寛解導入として0.5~0.8mg/Kg/日からスタート。1~2週間したら、症状の改善度に応じて0.3~0.5mg/Kg/日で維持するのが一般的です。唯、どんな薬でもそうですが、長期間に飲み続けるのはあんまり望ましくないので、ちょっと間にお休みの時期を挟んで間歇投与がお約束かな。
併用療法で更なる効果倍増なので、塗り薬や紫外線療法との組み合わせが人気です。特に、先にも触れたRePUVA療法は、有名です。
ネオーラル(シクロスポリン)
捨てる神あれば、拾う神あり。これを地で行ったのが、このシクロスポリン。元々抗菌剤の開発の目的で、米国Wisconsin州の土壌から採取されたCyclindrocarpon lucidumt の、若しくはノルウェーのHardanger高原から採取されたTolypocladium infantum Grams の培養液中から分離された環状ペプチドでした。ところが、開けてびっくり。当初の予想と反してこの代物、抗菌作用なんてない!! <糞ったれ~っ!>と、研究者連中に罵しられたかどうかは定かではありませんが、まあ、薬としての利用価値がなければ、当然、お蔵入り。打ち捨てられた存在でした。ところが、Borel先生によって免疫抑制作用が報告され、一躍、ゴミ箱から世紀のヒーローとして復活劇を果たしました。
1992年に、シクロスポリンのサンディミュンが、日本でも認可。2000年には、更に進化したマイクロエマルジョン製剤であるネオーラルが、認可されました。ネオーラルは、サンディミュンと異なり、吸収が良く、食事の影響を受け難いのが最大の特徴です。
乾癬に対する薬理作用は、以下の2点と考えられています。
- 活性化T細胞に対する作用
- 角化細胞に対する作用
乾癬は、T細胞が異常にハイになった事で、インターロイキン2やインターフェロン-γ等のサイトカインが景気良くばら撒かれ、表皮細胞の狂い咲きを招いた結果、発症したと考えられています。シクロスポリンはヘルパーT細胞に働いて、悪ガキ共(インターロイキン2やインターフェロン-γ等のサイトカイン)の産生を抑えるんです。
生物学的な意義があるかどうかは極めて疑問ですが、角化細胞に対して直接抑制作用があるらしい。
結構お利巧になったネオーラルですが、欠点も当然あります。 最大の欠点は、繰り返しますが、PUVA療法のみならず、兎に角、紫外線療法と相性が悪い。 そして、長~く飲み続けた場合ですが、腎障害が問題となって来ます。一般的には、3~5mg/Kg/日の導入量からスタートし、状態を見ながら0.5~1mg/Kg/日づつ量を減らし、1.5~2mg/Kg/日で維持or中止。トータルでも、最長1年(FDA勧告)。だから、併用や循環療法を選択せざる得ないんですよね‥。
漢方薬(美容通信2005年5月号・美容通信2006年7月号)
”医食同源”って言葉を、誰しも一度は耳にした事があると思います。漢方薬は、本来、食べ物の延長線上にあるもので、安全な物であるべきであり、それ故に、効果は取り敢えず置いといて、副作用がない物が”上品(じょうほん)”と呼ばれています。それに対し、よく効くけれども副作用がある物、例えばステロイドは”下品(げほん)”と分類され、漢方界では蔑まれます。そうすると、後述の栄養療法やスーパーライザーは、漢方薬と同様、”上品”。症状の増悪時にはピンを張れる能力はないと思います。ですが、ボディブローの様に、確実に効いて来る。併用療法としても、調子が良い時の維持療法としても、お使い下さいませ。
代表的な使い方は、下記の通り。
- 血熱型
- 血燥型
- お血型
発症が急で、皮膚の紅斑が強く、点状皮疹となる。絶えず新しい皮疹が出現。
こんな乾癬にお奨めなのが、温清飲(57)。
温清飲(57)は、中間証に用いられる駆お血剤。名前の通り、温めて、冷ます(清)と言った一見矛盾する作用を持っています。これは、清熱剤の代表格・黄連解毒湯(15)と、温潤剤の代表格・四物湯(71)を合わせた成分を含有しているから。つまり、可も無く不可も無く、他の治療法や他の漢方薬との併用でがお約束。上品の極みなのです。赤ら顔で、比較的体力もありそうなら、一緒に黄連解毒湯(15)を飲ませちゃうって手も意外と好評かな。
経過が長く、皮疹の色が淡くて、一部は消褪!
こんな乾癬にお奨めなのが、四物湯(71)。
皮膚は肥厚し、暗紅色で、鱗屑は血熱型より厚くなく、皮疹は汎発性に融合して行き、ついには紅皮症に移行する事も。
こんな乾癬にお奨めなのが、大黄牡丹皮湯(33)や桂枝茯苓丸(25)。 乾癬の多くがお血の病態を示す為、女の子のお薬と思われがちな駆お血剤・桂枝茯苓丸も、男女を問わずファーストチョイス。特に、桂枝茯苓丸は、長期のステロイド外用でペラペラに薄くなってしまった皮膚も癒してくれるので、一挙両得!!
因みに、おデブの薬、防風通聖散(62)も人気の併用漢方薬♪
栄養療法
内容が繰り返すので、ここでは省略! 上の食事の章及び美容通信2007年3月号・美容通信2007年4月号を読んでね。ピンは張れませんが併用療法の基本です。
スーパーラーザー
内容が繰り返すので、ここでは省略! 美容通信2007年12月号を読んでね。ピンは張れませんが併用療法の基本です。
*註:HISAKOの美容通信に記載されている料金(消費税率等を含む)・施術内容等は、あくまでも発行日時点のものです。従って、諸事情により、料金(消費税率等を含む)・施術内容等が変更になっている場合があります。予め、御確認下さい。
※治療の内容によっては、国内未承認医薬品または医療機器を用いて施術を行います。治療に用いる医薬品および機器は当院医師の判断の元、個人輸入手続きを行ったものです。
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