塗る日光角化症の薬(べセルナクリーム) | 旭川皮フ形成外科クリニック

HISAKOの美容通信2013年10月号

塗る日光角化症の薬(べセルナクリーム)

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日光角化症は、紫外線に長期に晒され続けた挙句の、癌の一歩手前(前癌状態)ではなく、癌になりかけ(有棘細胞癌の早期病変)です。
しかしながら、実はその周辺皮膚も、臨床的に病変が確認出来なくても、微小病変や早期病変が多数存在している可能性があり、”広域発癌(field cancerization)”の状態になっていると推測されます。
従って、日光角化症の治療は、病変周囲を含めて治療を行う”フィールド治療”が主流となっており、従来の凍結療法や外科切除と併用して、イミキモド(べセルナクリーム)による外用療法を行う症例が増えています。

 紫外線は良くない。シワになる。シミが出来る。そして、癌にもなる。
 …だからって訳でもないだろうが、概してドラキュラは美男美女揃いで、しかも、と~っても長生きだ。「アンチエイジングの鏡・ドラキュラ嬢を手本に、人生生きて行きたい❤」と、成城石井の無塩ミックスナッツを齧りながら、秋の長夜を”ヴァンパイア”モノのDVDを鑑賞しつつ、本気で思う今日この頃のHISAKOです。が、悲しいかな。お天道様の下で細々と生きる私達人間は、そうは問屋が卸さない(笑)。それが、現実です。

  ”日光角化症”は、紫外線に長らく晒され続けた挙句の、癌の一歩手前(前癌状態)ではなく、癌になりかけ(有棘細胞癌の早期病変)の状況である。しかしながら、絶望してはいけない。塗って治すって選択肢もあるのだ。って訳で、今月号は、出不精で、「病院に出掛けるのすら億劫だ」とほざく、殆ど引きこもり爺婆img_b051でも続けられる(笑)”塗る日光角化症の薬(べセルナクリーム)”のお話です。

日光角化症の見た目

 日光角化症なんて病名を言われても、単なる老人性のイボなんだか、シミなんだか…、よ~分らん!!!!!!!!!!!!!って無視されたら元も子もないので、先ずは人目を引こう作戦で、症例供覧(兼病型分類)。

紅斑型201310image16201310image17

 最も多い病型です。紅色の斑状病変で、表面の一部に多少の鱗屑・痂皮がみられる事が多いかな。ちょっと萎縮性の紅斑の事もありです。軽い粗造感があります。大きさは1cm程度までの事が多いんですが、それより大きい症例も結構多いので、サイズはあくまでも目安程度と考えて。

色素沈着型201310image18

 淡褐色~中濃褐色調で、斑状病変の事が多いですが、局面・結節の事もあるのがご愛嬌。臨床的に、後述する日光黒子や悪性黒子との鑑別が重要になります。

疣状型201310image19

 病巣表面に顕著な角質増生を伴った、疣贅(いぼ)様の皮疹。病変基部が、ちょっと紅色になっている事も多いかな。

皮角型201310image24

 疣状型の角化が更に尖がって、病変の高さが直径の1/2以上に達し、角状を呈するシロモノ。ロックな日光角化症だぜぃ。

肥大型201310image26

 隆起性の局面~結節。表面に多少とも鱗屑を伴い、粗造な事が多いかな。斑状病変の一部が隆起して結節状になってるなんて事もあり。有棘細胞癌へ進展した病変か否かの判定が問題となります。


 以上の5つが、日光角化症の臨床病型分類とされていますが、各病型の中間型やら複数の病型で構成されるなんて捻くれ者もいるので、一筋縄では語れない。特に、日本人の日光角化症の30%を占める多発例は、複数の病型を呈し、臨床像は極めて多彩とされています。唯、自覚症状の殆どが見た目だけのお話で、まあ、偶に、ちょっとばかり刺激感や痒みを感じる事もあるって程度なので、爺婆になるとシミだらけで汚なくなるもんだと、放置しがち。ところが、日光角化症は、癌の一歩手前(前癌状態)ではなく、癌になりかけ(有棘細胞癌の早期病変)の状態なんです。

日光角化症のドラキュラなんて、ありえない!

 当たり前だけど、太陽とニンニクと十字架が大嫌いなドラキュラが、日光角化症を患ったなんて話は聞いた事がない。長い間、紫外線に晒され続けた挙句の老化してしまった皮膚、これを日光老化皮膚って申しますが、この前提がないと”日光角化症”にはなれないんです。

日光角化症は、有棘細胞癌の早期病変だ!

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 右図を見て下さい。日光角化症とは、紫外線に慢性的に当たり続ける事によって発症する皮膚病変で、有棘細胞癌の早期段階の病変(表皮内癌)と考えられています。転移を生じる危険性はないし、深部組織を破壊する事もないので、まあそんなに性悪って訳ではないけど、一部は、確実に、真皮内浸潤性の有棘細胞癌へと進展します。まあ、論文上では、浸潤性有棘細胞癌へ進展する確率は約8%と報告されています。唯、どのような条件で、いつ、日光角化症が浸潤性有棘細胞癌へと進展するかについては未だ解明されていないので、ぼけ~っと手をこまねいていても仕方がないので、取敢えずは、日光角化症の段階で手を打っとこうよ!って言うのが、現在の治療現場での考え方かな。

 日光角化症病変、有棘細胞癌(SCC)病変、正常皮膚の遺伝子発現プロファイルをマイクロアレイにより解析したPadillaらの報告によると、下図の如く、日光角化症病変と有棘細胞癌(SCC)病変は、似通った発現プロファイルを呈しましたが、両者と正常皮膚は明らかに異なっていたんだそうです。つまり、日光角化症は、癌の一歩手前(前癌状態)ではなく、癌になりかけ(有棘細胞癌の早期病変)の状況って事なんです、はい。

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一見まともそうに見える周囲の皮膚も、実は広域発癌(field cancerization)の状態

唯、往々にして、医者から「日光角化症ですねぇ」なんて言われると、その日光角化症の病変部分だけ!を注目しがちですが、実はその周辺皮膚も、臨床的に病変が確認出来なくても、微小病変や早期病変が多数存在している可能性があります。紫外線に長らく晒された挙句の話ですから、周囲の皮膚の遺伝子も損なわれていて当たり前。寧ろ、ドミノ倒し的に癌を次々と発生し易い”広域発癌(field cancerization)”の状態になっていると考えるべきで、日光角化症の治療は、「目で確認出来る病変のみを除去・治療しても、新たな病変が周囲に続発する可能性」があり、病変周囲を含めて治療を行う”フィールド治療”が主流になりつつあります。

 下図を見て下さい。

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 中波長紫外線(UVB)はチミジンダイマーを形成する事で、直接的にDNAを損傷し、長波長紫外線(UVA)は光酸化ストレスを生成し、間接的にDNA損傷を誘導するとされています。このDNA損傷の一部が修復されずに徐々に蓄積すると、癌抑制遺伝子p53や、癌遺伝子bcl-2、rasの変異等の紫外線特異的な遺伝子変異(UV signature mutation)が生じます。これらの遺伝子変異は、当たり前だけど、一見まともそうに見える皮膚にも起こっています。Jonasonらの報告によると、白人の露出部の皮膚には、p53遺伝子変異を持つ角化細胞60~3000個が集簇した集落(p53変異クローン)が、平均40個/cm2も認められるんだそうな。
 唯、以前にも癌化の遺伝子変異(美容通信2011年11月号)(美容通信2011年12月号)については特集したけど、p53の変異のみで癌化する訳ではないんです。癌化する為には、幾つもの不幸な出来事が重なり合って、まあこれをセカンド・ヒットって言うんですが、崖から突き落とす様な遺伝子変異が必要不可欠なんです。このセカンド・ヒットの1つとしては、UVBによる免疫抑制の誘導が挙げられます。UVBはDNA損傷を介して、或いは直接的にcis-ウロカニン酸の増加、RANKLの発現、IL-10の発現etc.を経て免疫抑制状態をもたらします。
 つまり、日光性角化症の病変部と、その周囲の一見まともそうに見える皮膚の間には、ラッキー・アンラッキーレベルの紙一重の差しかないと考えるべきであり、切欠さえ揃えば何時でも日光角化症って早期癌病変に転落しうる。謂わば”崖っぷち”予備軍として治療を考える必要があるって事なんです。

日光角化症の疫学

 さあ、心がちょっと萎えて来た(笑)所で、日光角化症の一般的なお話をしておきましょう。

皮膚癌キングの異名を持つ絶対王

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 日本の主要97施設における1997~2001年の調査によると、日光角化症は皮膚悪性腫瘍の約16%を占めていました。日光角化症と、同じく有棘細胞癌の早期病変であるBowen病の両者を有棘細胞癌と捉えると、有棘細胞癌が全体の約45%と、日本人で最も頻度の高い皮膚癌となります。

高齢化社会を映す鏡である

 日本人の日光角化症罹患率は100~120/10万人/年と推定されており、このことから日本で毎年10万人以上の日光角化症が発生すると算出されます。又、日光角化症の患者数は増加傾向にあり、2001年の発生数は1987年の1.9倍と、ほぼ倍増していました。患者は70歳以上が大半である為、高齢化社会の進行に伴って今後も更に増加する事が予測されます。

○○美人地帯に、日光角化症は少ない???????

 色白は七難隠すと申しますが、肌の色が白いと美人に見える。秋田県を含む日本海側は、全国的に見て日照時間が少なく、紫外線の悪影響を受け難い上に、更には、冬は積雪が多く、屋内に籠りがちなるので、「雪国の人は色が白い」=美人の誉れ高い地域とされております。秋田に多くの美人が棲息している理由は、もしかすると、日光紫外線照射量以外に、ロシア人の血を引いているからとか、関ヶ原の戦いの結果、常陸国(現在の茨城県)の大名佐竹義宣が江戸幕府から秋田への転封を命じられた腹いせに、旧領内の美人全員を秋田に連れて行ってしまい、その後水戸に入府した徳川頼房が佐竹氏へ抗議したところ、秋田藩領内の美しくない女性全員を水戸に送りつけてきたからかも知れません。

 しかしながら、日光角化症は紫外線に晒された挙句の皮膚病ですから、当然、日光紫外線照射量の多い地域に多発する…あんまり美人が棲息していないとされる(失礼!)事になります。
 地域別の有病率については、兵庫県加西市と沖縄県伊江島を比較した研究があり、加西市で166.7人/10万人、伊江島で803.5人/10万人と、沖縄の有病率は兵庫の約5倍でした。又、別の調査では、大分県の漁村である姫島では1238人/10万人と報告されています。

好発部位はここだ!

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 日光角化症は、日光紫外線に慢性的に晒され続ける顔面や禿頭部、手背などに多く発生します。日本人を対象とした調査では、顔面が75%以上を占めており、なかでも頬部に多く生じていました。また、同調査で多発例は30%と報告されています。

 日光角化症は、農業や漁業等の屋外での職業に従事する人に発生しやすく、高齢になるほどその頻度が増加しています。又、屋外スポーツを趣味に持つ人も発生リスクが高いと考えられています。スキンタイプとしては、サンバーン(日光紫外線による発赤反応)を起こしやすくサンタン(肌の黒褐色化)を起こしにくい(HISAKOの様な)色白の人に生じやすく、若い頃からの日光紫外線に対する防御対策の有無も発生に影響します。

診断を下す。

 誤診と言うと語弊があるけど、日光角化症の診断は意外と難しい。教科書には、臨床診断のポイントについて、「慢性露光部位に見られる不規則地図状の角化性紅斑局面で、触診すると粗造な感じを認める事が特徴である」と書いてある通り、一般的に診断は、見た目だけが勝負(視診)。

臨床診断のポイントなるものを列挙すると、こんな感じかな。

  • 慢性的な日光曝露部位に認められる紅斑状病変で、しばしば多発する。
  • 表面がやや粗造な感じで(触診が有用)、多少の鱗屑・痂皮がみられる。
  • 形状や表面の性状などが不規則で、境界不明瞭なことが多い。
  • ときに萎縮性紅斑や高度に角化した皮角としてみられることがある。
  • 全体が黒褐色を呈することは稀だが、一部が褐色調を帯びることはある。
  • 近傍に日光黒子や脂漏性角化症を併発することが少なくない。

真皮内浸潤性有棘細胞癌への進展を示唆する臨床所見としては、以下が挙げられます

  • 病変部に明らかな結節・硬結があり、触診で弾性硬に触知する場合。
  • 硬結を触知するびらん・潰瘍性病変がみられる場合。
  • 急速に増大する結節・潰瘍性病変を生じてきた場合。

 しかしながら、臨床診断による正診率は3/4程度(74%)と、決して高くはないんです。それ故、医者に、「切り取って、病理調べさせてよ~ぉ」と言われたら、四の五の言わずに、素直に切り取られて下さい。やっぱ、確定診断は、ブツを取らない事には付きませんから、ね。

組織診断のポイントは、以下の通り

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 これまた列挙しておきます。

  • 表皮の特に下層部を中心に異型ケラチノサイトが乱雑に存在する。
  • 病変部の角層は大部分が不全角化を呈するが、毛孔部には正常角化が残る。
  • 真皮上層にsolar elastosis(日光性弾性線維症)が淡紫色の線維状~無構造物質として認められる。
  • 真皮上層には毛細血管拡張とリンパ球主体の炎症性細胞浸潤が種々の程度に認められる。

201310image27 非侵襲的な補助診断としては、左図の様なダーモスコピー(美容通信2008年3月号)もありです。strawberry patternやsuperficial broken-up pseudonetworkと言った特徴的な所見が、診断の鍵に!

鑑別診断

 紛らわしい病気としては、色素沈着型では、基底細胞癌、悪性黒子、悪性黒色腫、皮角型では脂漏性角化症、尋常性疣贅、肥大型ではSCCが代表格。その他、円板型エリテマトーデス、扁平苔癬様角化症等の炎症性疾患との鑑別が必要な場合もあります。

脂漏性角化症201310image28

 ケラチノサイト系の良性腫瘍で、境界が極めて明瞭な、急峻に隆起する褐色~黒褐色調の局面あるいは結節としてみられます。臨床的に日光角化症との鑑別が最も問題になります。

日光黒子201310image29

 境界明瞭な黒褐色調の斑状病変で、やや大型で多少不整形状の事もあります。表面の鱗屑はあまり目立ちません。部分的あるいは全体的に軽度に扁平隆起し、その表面が多少角化性でビロード状を呈する事があります。

扁平苔癬様角化症201310image30

 炎症症状を伴うために、紅褐色調の扁平隆起性病変としてみられることが多く、臨床的に日光角化症との鑑別が最も問題になります。境界明瞭で、病変が全体的に一様な性状を呈する事が特徴です。

尋常性疣贅201310image24

 径1cm程度までの類円形の病変で、表面が高度角化性で、規則的な乳頭状~乳嘴状の凹凸を示します。この乳頭頂部に微小な出血点がよくみられます。疣状型や皮角型の日光角化症との鑑別が問題になります。

Bowen病201310image32

 径数cm程度までの、紅色~紅褐色の斑状あるいは局面状の皮疹で、表面の一部に角化、鱗屑・痂皮がみられます。多くは体幹など被覆部にみられますが、顔面など日光曝露部にも生じます。

基底細胞癌201310image33

 灰黒色調の結節性病変の事が多く、病巣表面が角化せず平滑であり、半透明の膜で覆われたようにみえる点が日光角化症との鑑別に役立ちます。

悪性黒子(メラノーマの早期病変)201310image34

 不規則、不整な黒褐色の斑状皮疹で、真黒色部分がみられます。色素沈着型の日光角化症との鑑別が問題になりますが、悪性黒子の方が色素沈着が濃く、角化傾向はほとんどありません。

さあ、治療だ!

 繰り返しますが、最大の治療前提を記載しておきます。”日光角化症を生じている領域の慢性的日光曝露皮膚には、肉眼的に認識出来ない日光角化症の微小病変や、その早期病変が多数存在しているものと推測されます。このような場合、臨床的病変のみを除去しても、近傍に新たな日光角化症が続発してくるリスクがあります。治療やその後の経過観察に際しては、このことを十分に考慮する必要があります。”

 日光角化症の治療は、 外科的療法と薬物療法の大きく2つに分類されます。一般的にその治療方法の選択に際し、下記の様なガイドラインが設定されています。

  • 基本的に、単発病変は、凍結療法や外用療法。多発病変は、凍結療法、外用療法、PDT(光線力学的治療)。
  • 角化が強い病変や他の治療に反応しなかった病変、真皮内浸潤が疑われる場合は、生検又は手術。
  • 浸潤が疑われ、手術以外の治療法を選択する場合は、予め生検を行う。   etc.

外科的治療

●外科切除

 

局所麻酔を行い、肉眼的な病巣辺縁から1~2mm程度離して、皮下脂肪織浅層で全摘を行います。角化傾向の強い病変や、結節・硬結性病変で真皮内浸潤が疑われる場合は外科切除が第一選択となります。
 因みに、見た目的に病変部分と思われる辺縁よりも1mm離して大きく切除した場合の、再発率に関する論文なるものがあります。127例(側方断端陽性9症例、陽性疑い14例、陰性104例)の1年後の再発率は、4%(5例)(治癒率96%)と高い治癒効果が示された為、「1mmは十分な切除マージンと考えられる」と結論しています。加えて、陽性群、陽性疑い群、陰性群の再発率は22%、7%、2%であり、「側方断端陽性の場合は、追加切除か確実な経過観察が必要である。陽性疑い、或いは陰性の場合は追加切除不要と考えられる。」とも書かれています。

●凍結療法

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 局所麻酔は行わず、液体窒素を綿球などに染み込ませ、病変部に押し付けて凍結、変性、壊死させて病変を除去する治療法です。簡便な治療法ですが、凍結時にかなり強い痛みを伴います。また、多くの場合、数回の処置が必要となります。

薬物療法

●フルオロウラシル軟膏(5-FU)

 日本では、1日1~2回塗布し、塗布後にラップ類で覆う密封包帯療法(ODT)が推奨されています。病変部が全体的にびらんになるまで外用を続けるのが一般的です。十分な効果を得るためには、かなり強い痛みや灼熱感を伴うことがあります。また、出血、滲出、二次感染への適切な対処が必要です。

●イミキモド(imiquimod)【製品名:ベセルナクリーム5%】

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 日本では、2011年11月に日光角化症治療薬(顔面又は禿頭部に限る)の適応を取得しました。
 従来、我が国では日光角化症の治療法として、凍結療法や外科切除が主な治療法とされて来ましたが、多発病変には適さない事や、病変周囲は治療の対象とならない為、再発・続発率が問題になる事が往々にしてありました。しかし、イミキモド(べセルナクリーム)による外用療法は、癌を発生し易い病変周囲組織を含めて治療をするフィールド治療に適しており、又、従来の凍結療法や外科切除との組み合わせ技なんて芸当も可能で、病変ごとにに適した治療をより選択し易い利点があります。

[イミキモド(べセルナクリーム)の良い適応症例]

  • 多発病変。
  • 薄っぺらい病変。つまり、皮角型や肥大型の病変には、そりゃあ他のアプローチをしなきゃ、無理だよね、どう考えても。
  • 明らかに日光角化症と判断出来る病変の周囲にも、軽い変化を認める時。
  • 凍結療法で痛がる患者さん。
  • 手術や凍結療法で治療部位は完治したが、その他の部位に軽い病変が存在する時 and/or 早期病変が再発した時。
  • 手術や凍結療法を頻繁に繰り返す患者(新生しやすい患者)。   etc.

どうして効くのかにゃ~ん?

201310image46 イミキモド(べセルナクリーム)の日光角化症に対する作用機序は明らかではありません。自然免疫系及び細胞性免疫応答の賦活化、並びにアポトーシス促進により日光角化症病変に対して効果を発揮することが示唆されています。

 これまで、イミキモド(べセルナクリーム)の主要な作用機序として、Toll-like receptor(TKR)7に結合して形質細胞様樹状細胞(pDC)を活性化させ、pDCが直接的に、或いはインたふぇ論(IFN)-α/βを誘導する事により腫瘍細胞を殺傷する機序等が考えられていました。
 Drobitsらはマウス悪性黒色腫モデルを用いた検討結果から、右図の様な肥満細胞を経由する機序を推測しました。
 それによると、イミキモド(べセルナクリーム)は、TLR7依存性及びIFN-α/βレセプター1(IFNAR1)依存性に、肥満細胞からケモカインCCL2の分泌を促進し、pDCを皮膚病変(腫瘍)へ遊走させます。病変に集積したpDCは、イミキモド(べセルナクリーム)がTLR7に結合すると、大量のIFN-α/βを産生すると共に、自身の細胞上に発現したIFNAR1への作用(オートクリン)を介して、グランザイムBやTRAIL(TNF-related apoptosis-inducing ligand)の様なアポトーシス誘導性分子の発現を促進し、腫瘍を直接殺傷します。即ち、イミキモド(べセルナクリーム)は、肥満細胞を刺激してCCL2産生を促進する事によりpDCを腫瘍細胞に集積させ、又、pDCをキラーDCサブセットへ転換させる事により抗腫瘍細胞効果を発揮します。

使い方をマスターしよう

201310image42 治療部位に適量を1日1回、週3回、就寝前に塗布します。塗布後はそのままの状態を保ち、起床後に塗布した薬剤を石鹸を用い、水又は温水で洗い流す。4週間塗布後、4週間休薬し、病変が消失した場合は終了とし、効果不十分の場合は更に4週間塗布します。

 とってもお手軽な方法なんですが、注意事項が幾つかあります。

    • 赤くなったり、腫れたりするのが当たり前。

 ジクジクしたり痛みがあるのは、局所の炎症が起こっているからに過ぎません。効果の証なので、別に薬が合ってない訳じゃないので、めげずに使い続けよう!

    • 一般的には、使い始めて2週間後に一度再診で来てもらう事が多いんですが、この時、ジクジクしたり痛みでかなり凹んでしまっていれば、「1~2回はサボっても良いよ。これ位なら、そんなに治療効果を損なうって程でもないから」と優しくHISAKOは声を掛けます。

 皆が思う程、HISAKOはドSではないですから!

    • 日光角化症が明らかな病変部位の周囲の組織は、一見まともそうに見えても、実は広域発癌(field cancerization)の状態の事も。

 それ故に、一回りは広めに塗るのがお約束。唯、この際、見た目には分らなかった早期の病変が、顕在化してくるので、びっくりしないでおくんなまし。

いらないオマケを、副作用と言う。

 塗布後の主な副作用(局所皮膚反応)として、紅斑(68.3%)、痂皮(57.1%)、浮腫(46.0%)、落屑/乾燥(44.4%)、びらん/潰瘍(44.4%)、湿潤/滲出(39.7%)等の塗布部位皮膚障害、及び瘙痒感(27.0%)等の塗布部位反応が報告されています。国内臨床試験では、週3回本剤を使用した63例中、57例(90.5%)に副作用が認められています。結構どころは、殆ど必発的な感じですかね。

今こそ、「紫外線当たらず、しかもビタミンDの濃度を下げない」人生設計を。

紫外線防御の為のエトセトラ

●塗る日焼け止め(美容通信2003年8月号)(美容通信2009年7月号)(美容通信2004年11月号

 原因となるUVAとUVBの両方を防御出来る製品がお約束。つまり、SPF16以上、PA+++の日焼け止めをお選び下さい。但し、規定量である2mg/cm2を塗って、初めて表示通りの効果が出るんです。具体的には、顔全体の面積なら、クリームタイプでパール玉2つ分(約0.6g)ですし、ローションタイプなら1円玉硬貨2枚分(0.6ml)なんです。良く、デパートの化粧品屋さんのお姉ちゃんが、「この日焼け止めのクリームは、SPF35、PA+++で、日常使いとしては十分です。それに、この日焼け止め、凄く伸びが良いので、厚ぼったくなりません。」などとほざきますが、SPFとPAの値がそれだけある商品であるって事は事実ですし、伸びが良いって特性も事実でしょうが、この二つの事象は全く別箇のお話で、薄塗りして表示通りの値が出るって意味ではありません。悪しからず!

●貼る日焼け止め

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 エアウォールUVは、UVAとUVB(290~400nm)の紫外線を約97%カット! フィルム表面にテカリを抑える特殊効果がプラスされているので、あのセロハンテープを顔に貼った時の様なテカテカ感がなくて、見た目はと~っても自然。上にファンデーションを塗って、同窓会に出掛けても、近所のスーパーにお買い物でも、遠目的には全然分んない(笑)。更に更に、「塗る」んじゃなくて「貼る」だから、長時間安定した日焼け止め効果を実感出来ます。日焼け止めクリームの様に汗や皮脂・衣類の擦れ等で落ち難い上、塗りムラがなく、当たり前だけど塗り直し不要のお手軽さが、高齢者にはピッタリ♪

●飲む日焼け止め

 飲む日焼け止め(美容通信2013年4月号)は、塗る日焼け止めを駆逐出来るほどの能力の持ち主ではありません。ですが、塗るだけでは防ぎきれなかった…謂わば取りこぼしを減らす的な存在として考えると、実に優秀な代物です。

薬に頼らない、日光角化症(再発)予防

●紫外線に頼らないビタミンDの摂取こそ、日光角化症(再発)予防に効果的

 ビタミンD(美容通信2013年3月号)と言えば、昔はくる病にならない為に必要なビタミンって程度の認識すらされていませんでしたが、最近は免疫調整ホルモンとして、インフルエンザの予防や花粉症の症状改善、癌の予防や治療等に必要なビタミンって事が判明して来ました。しかしながら、日光角化症の患者さんにとって、とりわけ大事なビタミンにも拘わらず、その100~95%は皮膚が紫外線(UVB)に当たる事によって生合成されており、紫外線防御に努めなければいけない実情を鑑みると、殆どの患者さんが不足してるものと思われます。
 日光角化症(再発)予防の為にも、25(OH)ビタミンD濃度を測定し、適正な濃度を維持出来るよう、サプリメント等で補充を行いましょう。

●高濃度のビタミンC(美容通信2008年11月号)とASVC(美容通信2009年10月号

●オゾン療法

 オゾン療法(美容通信2011年8月号)は、免疫力を上げる作用に優れている為に、癌の補完療法として、前述の高濃度ビタミンC点滴療法(美容通信2008年11月号)と併せて行う事が多いかな。


*註:HISAKOの美容通信に記載されている料金(消費税率等を含む)・施術内容等は、あくまでも発行日時点のものです。従って、諸事情により、料金(消費税率等を含む)・施術内容等が変更になっている場合があります。予め、御確認下さい。

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