HAフィルパッチで、目元のシワを改善 | 旭川皮フ形成外科クリニック旭川皮フ形成外科クリニック

HISAKOの美容通信2011年6月号

HAフィルパッチで、目元のシワを改善

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HAフィルパッチは、目元に貼って寝るだけでシワが目立たなくなるホームケア製品。
シートの全面がヒアルロン酸のマイクロニードルで覆われていますから、これを貼るだけで、コラーゲン産生が促進されるんです。
家庭用のダーマローラーをコロコロする手間と時間を省いた、お忙しい現代人にぴったりの次世代型化粧品です。

 夏になると、無性に食べたくなるのが天文館むじゃきの”白熊”。某百貨店の物産展で衝撃的な出会いを果たしてからは、見掛けるとつい買ってしまう、夏のHISAKOの定番です。本家には、基本の白熊の他、チョコレートやストロベリー、ハンディ、プリン、宇治金時、スペシャル、ヨーグルトと色んな種類があるようです。ですが、どの味もお口の中で溶けるからこそ、美味しい。世の中には、白熊の様に、溶けてナンボのモノがあるんです。
 このヒアルロン酸(HA)フィルパッチも、角層に刺さって、溶けて、初めて有難味を実感出来る。マイクロニードル技術を採用した次世代型化粧品で、寝たまま、潤い注入しちゃいましょう。

とげまる、じゃないヒアルロン酸(HA)フィルパッチ新発売

 ヒアルロン酸で出来たパッチが新発売しました。短いながらも棘々が突き出したルックスが、可なりユニークな目許用シールです。その名を”ヒアルロン酸(HA)フィルパッチ”と申します。
 密封したパッケージの中身をとくとご覧下さいませ。

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 棘々が分りますか? 拡大すると、こんな感じ。従来品よりも6.5倍大きいシート上に、長さ200μmの匂玉型状の棘々が、シート1枚に付き約900本、整然と規則正しく突き出しているでしょう? 

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image609  棘々の正体は、ヒアルロン酸を針状に固めたマイクロニードルです。左図の様にこのHAフィルパッチを皮膚に貼り付けると、肌に棘々が刺さります。あ、HISAKOの眼が赤いのは、棘が刺さって痛いから泣いちゃったからではなくて、花粉症性の赤眼兎だからです。  痛いっちゃあ痛い気がしないでもないけど、大昔流行ったシーブリーズの粒々洗顔料程度の刺激感で、お散歩中に靴の中に小石が入った時より全然痛みも違和感もありません。がぁ、こんな短くてちゃっちい棘々の癖に、やる事は凄いんです。
 ちょっと、この「マイクロニードル技術」なるモノの補足をしておきましょう。ヒアルロン酸等の成分を超微粒子加工技術によりミクロン単位で固め、これで肌に直接穴を開ける事で、皮膚の角質層という強固なバリア機能を有する構造を強行突破。まあ、単なるビスとして打ち込んだってだけじゃ、今までの家庭用を含むダーマローラー(美容通信2009年8月号)やフラクセル(美容通信2007年2月号)と何ら変わりがないんですが、この製品の面白い所は、長時間角質層内に存在している内に、体液でビス自体が溶け出して来て、本来なら内部に侵入する事自体が難しかった分子量500以上の巨体系や、水溶性の成分が肌の奥深くまで浸透するって点。

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 まあ、唯、この製品は化粧品ですからね。角質層のちょい深めの部位にまで突き刺さるのが精一杯(笑)。

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 上図の様に、実は、マイクロニードルはその針の長さにより3種類に分けられ、真皮に到達する800μm、表皮に達する300μm、そしてこのHAフィルパッチの様な化粧品向けの200μmのラインナップなんです。まあ、本業は、インスリンの経皮吸収製剤やインフルエンザ等の経皮ワクチン用のデリバリーシステムとして開発されたんですけど、ねぇ。image1129この当りの事は新聞等のメディアにも数多く取り上げられていて、2010年7月20日の朝日新聞朝刊にはこんな記事が載っています。
 本音言えば、た、単にヒアルロン酸だけかよ~(笑)と思わぬ訳ではありませんが、婆化に伴い激減するだけに、ヒアルロン酸単独のメソセラピー(ナパージュ)(美容通信2006年6月号)(美容通信2005年8月号)も結構若返り目的に行う手法としては、それなりの患者満足度が高い施術ですから、まあ、それもありかなぁ。(何れ、後発組が色んな有効成分を含んだシートを発売してくるんじゃないかと、密かに心待ちにしています。)
 実際、製造元の資生堂によると、女性26人にHAフィルパッチを週に2回目許に一晩貼っただけで、1ヶ月連用後には皺の面積数値が有意に減少し、ハリの指標である肌の粘弾性も25%アップしている事を確認したそうです。城西大学とのヒアルロン酸投与による資生堂共同研究で、表皮細胞中の天然保湿因子(NMF)前駆体産生量が5.5倍、ヒアルロン酸産生能も線維芽細胞で向上している事が分り、ヒアルロン酸の角層内保水作用が乾燥皺の改善に繋がっている可能性を見出したんだそうです。(←完全な受け売りです)

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 更に製造元の資生堂によると、モニターの声として以下が寄せられたそうです。

  • 全面にニードルが配置されているのは、インパクトがある。
  • 通常のスキンケア効果が倍増した感じがした。
  • 痛みはやや感じるがスキンケアでは得られない効果感がある。
  • アイロンで伸ばした様にピンと張った感じがした。 等々
 上の症例写真は、まあ、どこの化粧品屋でもレーザー屋でもそうだと思うけど、一般消費者に示されるのは、数ある症例の中でも断トツに良い結果である、所謂チャンピオン症例。‥個人的にはどうかと言うと‥、ヒアルロン酸(HA)フィルパッチは、凄く良いとは思えない。少なくとも、HISAKO自身は1ヶ月の連用後の評価は、それ程高くはないのが事実。唯塗るだけでは決して肌の中には浸透しないけど、有効な成分を皮膚に穴を開けて突っ込んじまうと言う、野蛮だけどより確実性が高い方法を、病院ではなくて自宅でお手軽に実践出来る製品って意味では、以前紹介した家庭用のダーマローラー(美容通信2009年8月号)と成長因子のパックの組み合わせには、はっきり言って劣ると思います。けど、週に1~2回、目許に一晩貼って寝るだけの手間らしい手間を掛けずに得られるならば、それは決して悪くないと結果だと思う。明らかに、貼らずに過ごした左側の目許より、連用した右側の目元の方が皺が浅い気がするから。
 ‥今度は、貴女の目許で評価して下さい。

HAフィルパッチの使い方

  • 週に1~2回、夜、化粧水の後に貼るのが原則。

  •  この際、化粧水以外の所謂油モノを使ってしまうと、その油でシートが密着しないので、御注意下さいませ。
  • 使用直前に、袋からケースを取り出します。

  •  袋から出したままにしておくと干乾びてしまうし、ケースで保護しておかないと棘が折れて、この製品の商品価値が下落します。
     HAフィルパッチは湿気にも弱いので、手が濡れていないかを確認して、ちゃんと乾いた手でケースからフィルムを取り出します。

  • 下図の如く、フィルムのミシン線を切り、本体には絶対手を触れないようにしつつ、外側の粘着部分を持って、ずるっとフィルムを剥がします。

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  • シートの本体ではなくて接着部分の辺縁が、少なくとも眼の際から3mm以上離れるようにして、目頭から目尻に向かって丁寧にシールを貼り付けましょう。

  •  空気が入らない様に、慎重に慎重に密着させてね。貼り直しは効かないので、一発勝負です。勿論、この時も本体には絶対手を触れないで下さいね。
     ニキビや傷、炎症のある部位には貼付しないで下さい。
     この原則さえ守れば、場所は如何様にも♪

  • シートの上から両手(中指・薬指)で、しっかり押えて馴染ませます。

  •  何か‥小石が挟まっている様な‥痛い様な‥熱い様な‥そんな刺激を感じる事があります。棘自体は大体4時間で溶けちゃう設定なので、遅くてもそれ位で違和感が無くなるはずなんですが、違和感が何時までも続くようなら使用を中止し、直ぐクリニックに連絡して下さい。

  • シールを貼っていない部分は、通常のスキンケアを続行して下さい。

  •  但し、クリームの様な油系がシールに付かない様にだけは御注意下さい。

  • 後は、そのままお休みなさい。
  • 翌朝、シールをゆっくり剥がし、優しく丁寧にジェルの残り物を洗い流しましょう。

  •  後は、何時ものお手入れを通常通りに! 稀に、シートを剥がした後も、2~3時間、赤味が残っている場合も。

「手間隙惜しまずに」って性格の方にオススメの、とげまる・家庭用ダーマローラー

 「手間隙惜しまずに」って性格なら、家庭用のダーマローラー(美容通信2009年8月号)の方がオススメかな。まあ、確かに目許ギリギリまではコロコロは出来ないけど、HAフィルパッチが睫毛を挟まない様に3mm以上開けて貼る‥、つまりシールの糊しろ部分を考えると、下眼瞼縁から8mm以上離れた部位にしか貼れないので、結局限界ラインって意味では一緒。にも拘らず、顔全体でも、頭でも、肉割れした腹でも足でもと、許容範囲が広いのがポイント。

image516 復習になりますが、先ずは、左の図を見て下さい。これが家庭用のダーマローラ”MI-ROLL”の正体。病院で治療に使用するダーマローラーは、針の長さが1.0mm~2.0mmもあり、正にコロコロの剣山版。それに対し、家庭用は、0.25mmと針の長さも超短い代物で、コロコロの亀の子タワシ版(笑)。ですから、流血の惨事を来たす事もなく、何時ものお手入れのパワーアップ・アイテムとして、最早スタンダードの地位を築いた逸品でございます。

 私達の周りには、多くの敵、例えば、紫外線や微生物(バイ菌やウィルスetc.)、酸化体、有害物質等々が、存在しています。そんな連中から身を守る為の城壁”万里の長城”が、皮膚の一番外側に存在する角質細胞が堆積して出来た10~20μm程の薄い膜=角質層です。
 この守備の最前線を担う城壁に亀裂を生じている状況、つまり、肌荒れとか乾燥してバリア機能が低下した状態ならいざ知らず、 フツーの肌の状態だったら、蟻んこ級しか侵入不可。分子量が500以上の物質は、皮膚の中には入れないんです。ところが、お肌の若返りに有効な成分は、ヒアルロン酸であれ、美白に効くリジェンソリューション プログラムであれ、プラセンタであれ、兎に角、分子量がデカイんです。そんじょそこらのビタミン類と異なり、多くの製品に含まれる成長因子等は分子量が4万とか8万とか超重量級なんです。
 マイクロニードルとは、微細な針を用いて、巨大な分子量を有する有効成分が楽々通過出来る大きさの風穴をブチ開けちまえ!と言う、誠に剛毅な経皮送達システムです。古くは、ダーマローラーやフラクセルが挙げられますが、最近は前述のHAフィルパッチの様な自己融解型の製品の開発が進んで来ました。何れ近い将来、自己融解型は、針の長さでターゲット層を選定するだけでなく、様々な目的に応じて含有する薬剤の種類を選んだり、又その融解に要する時間を調整する事で、一定の濃度を長時間保ったり、複数の成分を時間差攻撃で放出させたりと、美容皮膚科分野以外でも様々な製品が開発・発売される事でしょう。個人的には、HAフィルパッチは、とても将来性を感じさせる面白い製品だと思っています。唯、途上品と言うか‥、そう言う意味で、軍配が未だ家庭用のダーマローラ”MI-ROLL”に上がっているとお考え下さい。

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 まあ、当然の事ながら、家庭用ダーマローラーで穴開けただけでは、「あ、そう。」の一言で終わっちゃいますから、何かを入れてナンボのものです。クリニックでは、集中プログラムとして、目的別に、白玉女子にはリジェンソリューション プログラムを、若返り欲張り女子にはプラセンタのプログラムをお薦めしています。更に、成長因子のパック(マスク パック)は、週一回のスペシャルケアとして追加使用を推奨しています。ですが、ちょっと金額的には‥なんて懐淋しい系女子には、週に1回で良いから、単にダーマローラーで穴を開けたら、速攻上から成長因子のパックを乗せてくれ!と言っております。

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 補足になりますが、マスク パックに含まれているサイトカインは、下記の様な、特に皮膚の老化防止、お肌の若返りに効果的な先鋭部隊です。


  • 上皮成長因子 EGF(Epidermal Growth Facter)

  •  紫外線やオフィスの乾燥した空気、不適切なスキンケア等で、傷付いてしまったお肌を即効修復してくれる蛋白質! 勿論、ダーマローラーって物理的に傷を付けるって荒治療を行なっている今こそ、線維芽細胞を更に刺激し、真皮内のコラーゲン生成をモリモリ促進してくれるサイトカインは、正に必須のアイテム。これで、年齢と共に疲弊して薄っぺらくなってしまった真皮も、小娘と見紛うばかりのハリを取り戻すって寸法です。だから、小皺ともバイバイ♪なのです。

  • 塩基性線維芽細胞増殖因子 bFGF(basic Fibroblast Growth Facter)

  •  線維芽細胞をターゲットと認識し、コラーゲンをせっせと作るように鞭を振るう成長因子。その仕事振りは、殆ど性的嗜好と申しますか、超ドSの領域にまで達していて、責め方はしばしば暴走行為にまで発展。それ故、単独行動だけは絶対避けたい。

  • インスリン様成長因子 IGF-1(Insulin-like Growth Facter-1)

  •  筋肉や神経組織を形成して、壊れた細胞を蘇らせる‥。正に、神!?

  • Thioredoxin (TRX)

  •  細胞に健やかに育て!育て!!とエールを送ってくれるThioredoxinは、若さの大敵である不良の活性酸素Free Radical()を抑制する働きを持っているだけでなく、強力な抗酸化作用を有しているので、細胞が天寿をまっとう出来ずに早死にしたり、若いくせに碌に働けないヨレヨレ状態を改善してくれます。つまり、これって、お肌の老化防止に効くって事です。

  • Copper Peptide
  •  この聞き慣れない蛋白質は、アメリカのSkin Biology社のLoren Pickart PhDによって開発された新しい物質です(特許済)。お肌も勿論、髪の毛にも効果が! 効能を列挙しておきましょう。‥まあ、何にでもそしてそこそこ効くって事です(笑)。
     ①刺激性又は赤味の肌を改善
     ②お肌の弛みの弾力の回復及び強化
     ③皮膚を保護する蛋白質の膜の強化
     ④皮膚の弾力性を強化
     ⑤小皺の改善
     ⑥深い皺の緩和
     ⑦皮膚の艶、透明度を増進
     ⑧しみ、色素沈着を減少 
     ⑨カサカサの皮膚を改善
     ⑩皮膚の全体の外見を改善
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*註:HISAKOの美容通信に記載されている料金(消費税率等を含む)・施術内容等は、あくまでも発行日時点のものです。従って、諸事情により、料金(消費税率等を含む)・施術内容等が変更になっている場合があります。予め、御確認下さい。


※治療の内容によっては、国内未承認医薬品または医療機器を用いて施術を行います。治療に用いる医薬品および機器は当院医師の判断の元、個人輸入手続きを行ったものです。

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