白斑(白なまず)と外傷後の色素脱失 | 旭川皮フ形成外科クリニック旭川皮フ形成外科クリニック

HISAKOの美容通信2006年3月号

白斑(白なまず)と外傷後の色素脱失

image430 色ムラは、美人の大敵。
使えるテクは駆使して、美人の王道を歩みましょう
白斑(尋常性白斑)も、日焼け後の白ブチも、怪我や手術後,、妊娠腺と言った傷の色素脱失も、どうぞ。
てな訳で、今回の特集は”白斑”

 色白は七難隠すって言うけれど、それは全体が白かったらのお話。黒いシミ(色素沈着)も気になるものですが、白抜け(白斑)も気になります。色ムラは、美人の大敵。使えるテクは駆使して、美人の王道を歩みましょう。白斑(尋常性白斑)も、日焼け後の白ブチも、怪我や手術後,、妊娠腺と言った傷の色素脱失も、どうぞ。

 あ、この治療法、炎症性の疾患にも効果があるんですよ。乾癬、アトピー性皮膚炎、脂漏性皮膚炎、透析後の皮膚掻痒、結節性痒疹、慢性痒疹、円形脱毛症、扁平苔癬、掌蹠膿疱症とか。意外に守備範囲広しでしょ?

”白なまず(尋常性白斑)”ってなあ~に?

image440 ある日を堺に、急に、メラニン色素を作る機能が低下して、白く肌の色が抜けて来ちゃう現象です。大人であろうと、子供であろうと、それは例外がありません。俗称”白なまず”(因みに、ナマズの種類ではありません。悪しからず!)、医学的には病名を”尋常性白斑”と言って、生まれつきではなくて、生まれてからなる(=後天性の)病気なんです。

 脱色したところが白くなって、木の葉状や類円形のものから不規則な地図の形を示すものまで、実に様々。毛髪のある部分では白髪になる事もままありますね。更にこの白斑、白く抜けただけでいてくれればいいのに、年季が入ってくると、隈取りとでも言うんでしょうか、周囲の色が濃くなって、一層白さが際立つなんて皮肉な外見を呈して来ます。でも、それ以外の、つまり痛みや痒みetc.の自覚症状を伴う事は殆どありません。極く極く稀に、炎症症状(周囲が赤くブツブツ)になっちゃう事はありますが‥。だから、見た目だけが、重大問題なんです。

何時なるの? 何時治るの?

 発症の時期は、大人から子供まで様々。白斑の分類については後で詳しく述べますが、一般的に”神経分節型”は、お子ちゃまや若者に多くって、2~3割は自然治癒してくれちゃいます。でも、残りの”限局型”(噂によると、”限局型”は”汎発型”の仮の姿に過ぎないらしい)と”汎発型”どちらかと言うと性悪で、老いも若きも区別なく、(悪?)平等に、新生と悪化を繰り返しながら、ジワジワ~っと白い勢力範囲を広げて行きます。

 PS.老年期になってから白斑が生じるのは一種の老化現象によるもので、老人性白斑と言います。”尋常性白斑”とは別物です。

何の因果で、”白なまず”?

image445 巷では、怪我、火傷、日焼けによる皮膚への刺激、またストレス何かが原因だ!なんて噂が実しやかに流れてはおりますが、ホントの事は誰も知らない。未だ解明されていないんです。唯、一旦発症した白斑がズンズンと広がってしまう理由としては、お茶やコーヒーを飲み過ぎたり、洗剤が残っている肌着や衣服を身に着けたり、体を洗い過ぎる事等が悪さをしてるようです。尤も、患者さんによって個人差があり、一概には言えませんけどね。

自己免疫説

 過度のストレスなどによる自己免疫疾患の一種と言われています。分りやすく言えば、言えば、自分の体の中の本来なら細菌などから体を守るべき白血球などが、何を狂ったのか、自分自身の体の細胞を攻撃してしまうんですよ。膠原病やリウマチと言った病気が、有名ですよね。白斑も、このお仲間ではないかと考えられています。メラニン色素を形成する細胞を自分で壊してしまったり、機能が低下したりして、皮膚の色がない状態、白くなってしまうのです。

神経説

 自律神経の異常による説。昔から、白斑が神経の支配領域に一致して出現したり、白斑の部分だけが汗をかくorかかない(発汗異常)etc.と自律神経系の異常が認められる、なんて話はありました。最近になって、皮膚の神経終末とメラニン色素を作るメラノサイトが繋がっている事が明らかにされました。更に、培養色素細胞での、つまり実験室の中のお話って事なんですが、神経蛋白であるカルチトニン遺伝子関連蛋白etc.が、培養細胞を刺激し、神経系が正常メラノサイトや分節型白斑のメラノサイトに影響を及ぼしている事が、明らかになって来たんです。”神経分節型”の白斑では、神経蛋白の分泌低下が起こっているか、或いは神経蛋白に対するメラノサイトの感受性の低下が、発症の原因のようです。

皮膚の刺激から発症

image446 発症の切欠は、怪我や火傷、日焼けなど、皮膚に何らかの刺激が加わる事によって起きるのではないかと言われています。伝染したり、遺伝したりする事はないと思われていますが、正確な事は未だ分っていません。

内臓の病気etc.との関係?

 白斑と甲状腺の病気に何らかの関係があるのかどうかも、分りません。唯、甲状腺機能亢進症、甲状腺機能低下症etc.の甲状腺の病気を合併している人も、偶にいます。頻度としては、1割もいないんですが‥。まあ、”汎発型”については、甲状腺機能検査をしておくに越した事はないでしょう。あと他には、糖尿病とか、萎縮性以遠とそれに伴う悪性貧血、アジソン病等の合併が極く偶にみられますね。唯、後者については症状がない限り、検査は普通しません。
フェーノール類を取り扱う仕事をしている人が、なり易いのは周知の事実。でも、何でだろぅ? 4TBP等のフェノール化合物のメラノサイトに対する細胞障害性によるって事までは分ってはいるけれど‥、それ以上は不明。

白斑の3タイプ

 症状により白斑は3タイプに分類されます。身体の一部に白斑が認められる”限局型”、全身の色々な部分に白斑が認められる”汎発型”、ある神経の通り道に沿って白斑が認められる”神経分節型”です。

限局型白斑

 それほど大きくない(直径数cm~10数cm)白斑が1個~数個出来るタイプで、集落を組みたがるのが特徴かな。全身何処にでも出てきちゃいますが、どっちかって言うと露出部に多いですね。局所的な刺激が関与している事があり、ステロイドの外用だけでも反応する例が多く、最も治り易いタイプの白斑とは言われています。 が、一説には”限局型白斑”は”汎発型白斑”の単なる予兆で、何れ移行するとされています。2つ纏めてA型、”神経分節型”をB型と、2つに分類する分類法も。

神経分節型白斑

image447 ある神経の通り道に沿って白斑が認められるもので、体の左右どちらかの片側だけに生じるのが普通。皮膚の表面近くを走行している自律神経の何らかの異常が、原因とされています。顔や首に出来易く、特に三叉神経の支配領域に多いとされています。
 お子ちゃまや若者に発症する、それも人目に触れ易い場所が場所だけに、親はこの突然の事態にパニックを起こしちゃいますが、2~3割は自然治癒してくれちゃいます。でも、残りについては可也の頑固者で、原因が原因だけに、治療に抵抗します。ですから、保存療法で粘り続けるより、安定期に入っちゃったら、とっとと見切りを付けて、表皮移植に踏み切りましょう。 発症するのは非常に稀なケースです。

汎発型白斑

 体の何処にでも生じる可能性があり、特にシャツの襟で擦れる首や、ベルトが当たる腰の周辺部、膝や肘、爪の周り等、どちらかと言うと刺激を受け易い部位に起こります。このタイプは何でかは全く不明ですが、ロールシャッハテスト顔負けの左右対称性が特徴です。全年齢層に発症し、放置して置くと次々と全身に広がって行くのが、この汎発型の性悪な所。限局型に比べて、非常に制御し難いと言うか、治り難いんです。まぁ、外用だけで何とかしようなんて勝手な幻想を抱いても、裏切られるだけですかね。打てる手は皆打つ。それも速攻がお約束。病理の組織を見ても、初期ではメラノサイトの変性、数の減少が認められるのに対し、年季の入った(!)白斑はメラノサイトちゃん自体が不在になっちゃってるんですもの。
 原因としては、本来は細菌等から体を守る為のリンパ球が、自己の体の細胞を攻撃すると言う、”自己免疫疾患”の一種らしいです。自己免疫がメラニン色素を形成する細胞を攻撃しているんですね。

治療法

尋常性白斑の原因が未だに解明されていないので、確固とした治療法は行なわれていません

image444 治療の中心は、進行を抑えるのではなく、脱色部に色素を復活させる対症療法です。何らかの原因で機能が下がったメラニン細胞に活動を再開させる為の刺激を与える、且つ、白斑周辺のメラノサイトの刺激を行なって、皮膚の毛穴を中心とした部分と白斑の周囲から色素沈着を期待するんですね。まあ、イメージとしては、白斑の中にぽつんぽつんと点状の色素斑が出現。それが徐々に拡大し、点がやがて島になり、島と島が次第に合併して大きくなり‥、白斑の周囲にも色素が増強して、気が付けば周囲の肌色に馴染んでたって感じがゴールですかねぇ。
 外用剤としてステロイド軟膏やビタミンD3軟膏等を使用する治療と、”紫外線照射療法(PUVA療法)”が一般的です。日本では、最近、効果のある狭い周波数の紫外線を全身に照射するNarrow-Band UVB治療が主流になって来ました。ですが、世界に目を向けると、今や、病変のみに照射可能な、つまり正常皮膚に対する副作用がない、ターゲット型光線療法システムに治療の主軸は移行しています。代表的なターゲット型光線療法システムには、エキシマレーザー、DuaLight(長波長紫外線A(UVA)&中波長紫外線B(UVB)システム)があります。

 基本的には、局所の問題は局所の治療で対応が基本ではありますが、全身療法も時にはありです。セファランチンや漢方薬と言った物が相当します。その他にも、凄~く重症で、急激に進行してしまう様な手に負えない暴れん坊の汎発型白斑場合には、少々荒っぽいですが、無理矢理馬乗りになって押さえ込む必要があります。ステロイドの内服やお注射を使わざるえない時もあります。

 治療を始めても、色素が再生して元通りの色に戻るまでには、結構時間が掛かります。特に、年季と根性の入った古参者の白斑は頑固で、治療に抵抗します。部位的には、手足と言った末梢系も、根性が入っているので難渋します。‥一般に短くて数ヶ月、長ければ数年掛かる場合もありますので、そのつもりで。

副腎皮質ステロイド剤などの塗布

image449 現時点では、尋常性白斑の治療としては、一般に副腎皮質ステロイド軟膏や活性型ビタミンD3軟膏等の外用塗布が行なわれています。内服薬に比べて全身に及ぼす副作用が少なく、免疫の働きを調節する作用が嬉しいところ。

 副腎皮質ステロイド軟膏は、発症初期の白斑に対しては色素の再生が見られる事が多いようですが、古い白斑では効かなくなります(トホホ)。まあ、機序を考えれば当然ですが、分節型も効果が低いようですね。

 局所免疫調節薬(タクロリムスやピメクロリムス軟膏)は、副腎皮質ステロイド薬と異なり、慣れやタキフィラキシー(tachyphylaxis:過耐性速成習慣)の心配がなく、効果が持続♪ 更に皮膚萎縮の心配がない上に、さらりとした使用感が人気です。紫外線療法やレーザー療法との併用で更に効果が上がるのも嬉しいですよね。

 活性型ビタミンD3軟膏は、紫外線療法やレーザー療法との併用で更に効果が上がるので、タクロリムス軟膏とトップの指名争いしている人気のお薬で~す。

 白斑が増えている時期や、他の治療法が通院の都合などで出来ない場合には、比較的手軽な方法として良く行なわれています。

紫外線照射療法

 ステロイド軟膏などの外用剤で白斑の拡大を抑えながら、紫外線療法で色素を取り戻す方針で治療を行ないます。此処で誤解を招くと嫌なので、声を大にして叫んでおきますが、紫外線療法は強制的に日焼けをさせて、白斑を目立たなくさせちゃおう!ってものじゃないんです。紫外線を照射する事で免疫細胞(リンパ球)を押さえ込んで、メラノサイト虐めをなくそう。そして、不登校の引き篭もりになってしまっていたメラノサイトを、腕を引っ張ってでも学校に連れ戻そう。そうすれば、いじめっ子のいない環境で、のびのびと、多少は教師のシゴキはあってもそれを素直に愛情と捉え、メラノサイトはメラニンを作るようになり、色が回復するぞって原理です。つまり、<虐めをなくして、教師の愛情一杯の指導力の許、子供達の能力を120%開花させよう!>って、まるで小学校の教育理念(笑)と同じなんです。茶髪のガキを校則で無理矢理黒に染め直させて、<我が校には不良はおりません>って弁明する事勿れ主義の校長先生とは根本的に違います。

 これらの治療法は、尋常性白斑のみならず、乾癬、アトピー性皮膚炎、脂漏性皮膚炎、透析後の皮膚掻痒、結節性痒疹、慢性痒疹、円形脱毛症、扁平苔癬、掌蹠膿疱症etc.にも効く事が分って使用されています。つまり、免疫細胞の異常と関係のある病気は、皆OKって事なのです。

PUVA療法

image450 50年前にEl Mofry先生が始めたこの療法は、嘗てのgold standard。Psofalen(ソラレン)Ultra-Violet A(ウルトラバイオレットA)の頭文字を取って、PUVAと言います。言葉が示す様に、紫外線照射前に、紫外線を吸収し易くするオクソラレンと言う薬を予め塗布(10~30分前)or内服(2時間前)しておくのがお約束。オクソラレンはイカの抽出物で、これを併用する事により、紫外線の照射量を減らせる事が出来るんですよ。その後に比較的安全な長波長紫外線を照射します。紫外線の働きで、残っている色素細胞が活発になり、色素を作るようになるのを期待する方法です。1~2週間に1回程度の通院が必要かな。

 PUVA+オクソラレンは入院が基本。日光が当たると火傷しちゃう可能性があるので、通院の場合は、要・厳重梱包ファッション? 特に内服の場合は、目に対する副作用を避ける為に、内服後8時間はサングラスは必須です。

 長期の治療をすれば、広範囲に照射する為、長波長紫外線の過剰照射による日焼けは出て来るし、白内障・皮膚悪性腫瘍が発生する可能性も無きにしも非ず。(データ的には、確たるモノは揃ってないのが実情。乾癬の治療にPUVA療法を行なった場合、回数を200回以下or累積照射量を200J/cm2以下にするのが、皮膚悪性腫瘍の予防には望ましいとはされています。唯、スキンタイプでこの量は異なりますしね‥。それに、肝心の白斑のデータは‥、未だないのです、はい。) その他、頭痛、胃腸障害が副作用として挙げられます。

 乾癬の他、尋常性白斑、アトピー性皮膚炎、円形脱毛症、色素性蕁麻疹etc.の治療にも使用されています。

ナローバンドUVB

 最近注目されている紫外線治療法は、ナローバンドUVB療法。中波長紫外線(UVB)のうち、治療に有効な波長(311nm)のみを照射します。つまり漫然とブロードバンドのUVB(波長帯280~320nm。従来のUVB照射療法)を当てるよりも、紅斑を起こし易い300nm以下の波長をカットする事で、副作用を軽減し、効率化が図れるのがミソ。PUVA療法よりもぐ~んと効果は上がります。PUVA療法お約束の、あの前もって薬を塗布したり内服したりする煩わしさがなく、お子ちゃまのみならず、妊婦さんにも使えるのが売り。それに、PUVA療法では不可能だった顔もOK。だって、お面被って24時間過ごすなんて事、週に2回もあったら‥、とても日常生活なんて送れませんもの。

 唯、欠点は‥、結構器械が大掛かりで結構広範囲に照射するんです‥。患部だけ当てるのはどっちみち難しい(=正常な皮膚の照射部分を考慮して、パワーがどうしても控えめにならざる得ない!)ので、欧米では既に後述のターゲット型に照射方法の主軸は移行して来ています。

ターゲット型光線療法システム

 従来のPUVA療法やナローバンドUVBは、全身用で、病変部のみを照射する事が出来なかった為、大量の紫外線を正常の皮膚を含めた広範囲に照射する羽目になり、効果を追えば当然照射量が上がり、副作用の心配が増加します。かといって、パワーを下げれば効果が出難い‥とのジレンマがありました。

image260 近年は、欧米ではこの欠点を改良したターゲット型の光療法(エキシマレーザー、DuaLight:UVA/UVB Targeted Phototherapy System)が出現し、効果を上げています。つまり、紫外線の中でも有効な波長のみに絞込み、それを病変部だけに、如何に集中砲火しかけられるかって事なんです。唯、難しい所は、パワーを上げればパラレルに効果が得られると言う単純なものではないんです。原爆を投下すれば、白斑の原因である狂った免疫細胞を死滅させる事は出来ますが、肝心の人間も消滅してしまう‥。更に、この様なターゲット型の装置が毛包メラノサイトの増殖を刺激し、白斑病変の再生に一役買っている事が分って来ました。使えるものは親でも使う。この精神に脱帽です(笑)。

 従来の紫外線療法にも言える事なんですが、ターゲット型光線療法システムも、タクロリムス(プロトピック)、ピメクロリムス(Elidel)etc.の局所免疫調節薬、局所ステロイド薬、局所ソラレンと言った併用療法で効果が相乗的にUPします。

  • DuaLight(長波長紫外線A(UVA)&中波長紫外線B(UVB)システム)

unit015B15D-2 効果は、アメリカの食品医薬品局(FDA)のお墨付きUVA(320~380nm)+Narrow UVB(290~320nm:ピーク放射303nm)で、両親の良い所はそのままと言うかパワー・アップしたくせに、2人の欠点は矯正した、まぁ、欲張りのイイトコ取りの出来た息子ですかね。これもターゲット型だからの成せる業。
 後述のエキシマレーザー(308nm)と異なり、ターゲットを絞ったUVAの照射も可能な事から、メラニン形成の刺激、UVB照射の効果増強の他、局所ソラレン光化学療法の併用も可能って所が御自慢です。

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 19mm×19mmのスポットなので、処置もとっとと終わります。特に、熱いとか、痛いとかはありません

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 尋常性白斑のみならず、乾癬、アトピー性皮膚炎、脂漏性皮膚炎、透析後の皮膚掻痒、結節性痒疹、慢性痒疹、円形脱毛症、扁平苔癬、掌蹠膿疱症etc.にも効きます。下の症例写真はDuaLight単独治療によるものですが、当然ですが、他の療法との併用が治療の早道。症状に合わせて、組み合わせで攻めて行きましょう。

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 勿論、外傷やレーザー・手術後、はたまた妊娠腺と言った傷の色素脱失、日焼けし過ぎて色が白く抜けちゃった!なんて時にも、本領発揮。こんな感じかな。尋常性白斑と違ってメラノサイトは現役で頑張っていますので、DuaLightでお尻をちょっと押してあげるだけで、ぐ~んと短期間で結果が出ます。でも、色素沈着と混ざって色素脱失を来たしている場合は、当然、DuaLightだけでは無理。レチノイン酸や漂白剤の外用に加えて、ケミカルピーリングやダイヤモンドピーリング、イオン導入、プラセンタのお注射etc.、はたまた内服薬なんかをを組み合わせて、最短距離で色ムラのない肌への復帰を目指します。

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  • レーザー(エキシマレーザー)治療

 エキシマレーザー(308nm)も、注目の機種。唯、 金額が超高いのが難点(参考までにですが、相場が4cm2で1万円~10万円/1回とか‥)なんですよ。その為、近頃は、パワーが殆ど同等にも関わらず、断然リーズナブルなDuaLightの出現で、ちょっと苦戦気味ですかね。

 エキシマとは、励起された二量体を意味する言葉Exited Dimerを短縮した造語です。希ガスのアルゴン(Ar)やキセノン(Xe)、クリプトン(Kr)等と、ハロゲンガスのフッ素(F)や塩素(Cl)、臭素(Br)等を組み合わせ、これらを高圧放電で励起する事によりエキシマが作られるんです。そして、このエキシマが安定な基底状態に戻る時に出す紫外線領域を共振器で増幅させたものがエキシマレーザーです。

表皮移植術

 もうず~とそのまんま、変らない古い分節型の白斑用。分節型は、もう皆さんもお分かりの通り、お薬も、紫外線療法も、ターゲット型光線療法も、大して効果はありません。それを無理に押し通すと、当然ダメージの方が強くなっちゃう訳で‥、あ~、も~、変わんないかなぁと見切りを付けた時用とでも言うのでしょうかねぇ‥。言葉を反すと、汎発型に行なっても、原因が原因だけに‥、再発します。全部が全部とは言わないけれど‥。

 メラニンを作る細胞を、本人の正常な皮膚の表面から移植する方法です。跡が残らないように皮膚を吸盤で吸い上げて人工的に水泡を作り、その皮の部分を頭を削いでおいた白斑の部分に貼り付ける方法(吸引水泡移植術)が良く行なわれています。こうする事によって水泡の皮に含まれていたメラニン細胞が白斑の部分に定着し、数週間から数ヶ月後には正常な色に戻ります。通院での移植術も可能ですが、植皮部の患部を固定しておく必要があるので、出来る限り入院治療した方が良いでしょう。1週間程度の固定が必要になります。

その他の方法

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万策尽きたら、姑息的な方法で逃げる。それが、メイク。カバーマークの他、角質層に色を着ける‥可也前に流行ったセルフタンニングって奴。ジヒドロキシアセトン(5%)は、御存知の通り、水に濡れても、洋服で擦れても落ちません。4~5日は持ちますしね。唯、このセルフターナーの使用は、2004年の米国皮膚科学会でも報告されましたが、色素再生療法に対する反応を減弱させるので危険です! Grimes先生によると、過酸化水素及び酸化ストレスを増加させるので、色素再生を阻害しちゃうんだとか。

 その他、周りを暈す為に、ダイヤモンドピールしてハイドロキノンで漂白するなんて場合もあります。この方法は永続的な結果を齎してくれるものではありませんけど、体の半分以上の色が抜けちゃった人とか(面積の広い白い方に合わせた方が手っ取り早い!と、かのマイケル・ジャクソン氏が考えたかどうかは定かではありませんが、‥)、どんな色素再生の方法も無効の頑固な白斑持ちとか、足掻く事すらプライドに傷が付くって方に根強い支持が集まります。

 白斑の発症には活性酸素が関与しているとの観点から、抗酸化ビタミン剤(美容通信2004年11月号)のイオン導入(美容通信2006年1月号)等を従来の方法に加えるのもありだと思います。

生活指南

image38  日焼け厳禁! 白斑の周囲の正常皮膚を日焼けさせ、却って白斑とのコントラストを増強させるだけのもの。日焼け対策はお忘れなく! 詳しくは、美容通信2003年8月号を読んでね。

その他、色素脱失の原因

 その他、色素脱失の原因には、尋常性白斑の他、老人の証=”老人性白斑”、”海水浴後白斑”、炎症後に生じる”炎症後白斑”、子供の顔によく見られる”はたけ(単純性粃糠疹)”、高血圧の薬による”白斑黒皮症”、先天性の”限局性白皮症”や”脱色性母斑”等もあります。

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*註:HISAKOの美容通信に記載されている料金(消費税率等を含む)・施術内容等は、あくまでも発行日時点のものです。従って、諸事情により、料金(消費税率等を含む)・施術内容等が変更になっている場合があります。予め、御確認下さい。


※治療の内容によっては、国内未承認医薬品または医療機器を用いて施術を行います。治療に用いる医薬品および機器は当院医師の判断の元、個人輸入手続きを行ったものです。

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