CBDオイル|ブロードスペクトラム | 旭川皮フ形成外科クリニック旭川皮フ形成外科クリニック

HISAKOの美容通信2021年5月号

CBDオイル|ブロードスペクトラム|15%高濃度

1990年代、体内で自然に生産されるエンドカンナビノイド(内因性カンナビノイド)が発見されました。これらは、全身に分布する受容体と結合して、細胞同士の連携とバランスを調整し、食欲、睡眠、性行動、疼痛、免疫調整、感情制御、運動機能、発達と老化、神経保護、認知と記憶等をコントロールしています。エンド・カンナビノイド・システム(ECB)です。ところが、私達は、老化や強いストレス、栄養障害、重金属、環境ホルモン、女性ホルモン等により、このシステムの働きが低下する、つまり、カンナビノイド欠乏症に陥ると、様々な疾患や不調が生じる事が分かって来ました。癌、不眠症、様々な疼痛、嘔吐、関節炎、てんかん、糖尿病、虚血性心疾患、認知症、自閉症スペクトラム、うつ病、不安障害、統合失調症、炎症性腸疾患、多発性硬化症等の自己免疫疾患といったメジャーなものから、原因不明の希少疾患等々。皮膚科関連では、帯状疱疹後の神経痛や線維筋痛症、皮膚炎の痒み、不眠症等の補完的治療に、CBDオイルが使われる事が最近増えて来ました。クリニックでは、15%の高濃度のブロードスペクトラムのCBDオイルを販売しております。

 CBDは、薬物規制に関する国際条約による規制はありません。健康食品や化粧品成分としても流通しています。日本で流通しているものは、規制対象ではない麻の茎と種から抽出されています。勿論、HISAKOのクリニックで取り扱っているCBDオイル「ENCOCA STRONG CBD1500mg」(臨床CBDオイル研究会)も、フルスペクトラム(全草成分)に可能な限り近づけたブロードスペクトラムオイルです。15%の高濃度、容量10ml。THC完全フリーの製品です。

 

カンナビノイド概論

大麻草は怖い?

 皆んなの大好きWikipediaから、大麻の基礎知識を引用しますね。

 大麻は、アサの花冠、葉を乾燥または樹脂化、液体化させたものです。別名、マリファナですが、花から製造された(栽培種の花序からとった)ものをガンジャ、樹脂をハシシとかチャラスと呼んだりするそうです。含有される約60種類のカンナビノイド、特にテトラヒドロカンナビノール (THC) には薬理作用があり、紀元前から用いられてきたそうです。神農本草経(中国最古の薬物書)やアーユルヴェーダ(インドの伝承医学)にもその薬効が示されているそうです。

 大麻の繊維は、日本では古くからしめ縄、神事のお祓いの大麻等々に用いられており、神聖なものとして神事に欠かさせない存在でした。スサノオノミコトの暴虐に怒った、アマテラスオオミカミを天の岩屋から誘き出すのに、アマノコヤネノミコトが4種類の猫じゃらし(榊の枝に吊り下げたヤサカノマガタマ、ヤタノカガミ、シラニギテ、アオニギテ)を手に踊り狂った話は、古事記や日本書記にも記されていますが、この一つが麻で織った布、アオニギテです。この様に、麻は、伊勢神宮の神札の大麻と呼ぶ由来となった植物であり、三草のひとつに数えられ、米と並んで主要作物として盛んに栽培されて来ました。第二次世界大戦中には、農林省が日本原麻を設立した日本でも、終戦後にGHQの指令により規制され、繊維用の麻まで強く規制されてしまった為、伝統継承の問題が生じています。20世紀半ばより国際的に薬用の大麻が規制され、21世紀初頭には医療大麻、違法かつ非犯罪化という緩い規制への変化、米国首都での嗜好大麻の合法化等の例外も増えて来ているのが現状です。医療に於ける使用としては、癌、AIDS、喘息、緑内障の治療、抗うつ薬、睡眠障害、食欲増進剤、抗けいれん剤、腰痛等の疼痛疾患対策等々と、様々な領域での医療利用について研究が進められています。

 大麻に対する規制は、国によってまちまち。取引自体を犯罪として死刑を科す国から、少量の所持を非犯罪化して処罰の対象外とする国、医療用に於いてのみ合法である国、酒・煙草等と同様に嗜好品としても合法である国、許可によって販売出来る等々と、ホント、ばらばらなんですね。因みに、嗜好・医療目的の大麻が合法な国としてはカナダ、ウルグアイ、南アフリカ。また国により州など一部の区域で、嗜好・医療目的若しくは医療目的のみを合法としている国としては、アメリカ合衆国、イスラエル、ベルギー、オーストリア、オランダ、イギリス、スペイン、フィンランド、ドイツ、韓国等です。

 

医療用大麻について

■医療用大麻の歴史

 大麻の薬や嗜好品としての歴史は長く、中国では、2700年前にシャーマンが薬理作用を目的としたとされる大麻が発掘されていますし、2500年前の中国の古代都市の車師の墓地からも、麻の布がなく花穂の特徴から摂取を目的としたと考えられる大麻草13本が出土しています。薬としての最初の言及は、後漢(25年 – 220年)の頃に成立したとされる中国最古の薬物学書『神農本草経』とされ、 麻の花穂「麻蕡」(まふん)として集録され「多食令人見鬼狂走 久服通神明軽身」との記載があります。麻蕡は上薬に分類されており、その適応はリウマチ性疼痛、便秘、女性器障害、マラリア等。又、別の書によれば、ぶどう酒に混ぜたものを外科手術の鎮痛剤としても用いていたようです。

 また、『アタルヴァ・ヴェーダ』古代インドの医学書であるだけでなく、現存する世界最古の医学書と目され、古代ギリシアや古代中国の医学にも影響を与えました。医学健康に関する部分だけを抜き出したのが、『アーユル・ヴェーダ』ですが、これによれば、鎮痛剤、抗けいれん、催眠鎮静、抗菌、抗寄生虫、下痢、胃腸炎、食欲刺激、利尿、媚薬、気管支炎や喘息に用いられていました。

 近代になって、インドでの体験を基に、アイルランドの医師ウィリアム・ブルック・オショーネシーが抽出物から大麻製剤(チンキ)を作ったのを契機に、欧米に一気に普及しました。アメリカの南北戦争では、負傷した兵士の治療に大麻チンキが使われたそうです。

 1912年、阿片やコカイン並びに、これらから誘導された薬品が引き起こす害毒を禁止する目的で、万国阿片条約が締結されました。大麻に関しては、統計的・科学的見地から研究される事が望ましいとされていたのですが、1925年に条約が見直された際、乱用が社会問題化していたエジプトの提案で、国際的な取引に関する規制されました。この国際連盟の阿片条約を、国際連合と世界保健機関が引き継ぎ、後続の1961年の麻薬に関する単一条約が締結され、麻薬の乱用防止の為、医療や研究等の特定の目的について許可された場合を除き、これらの輸出入・流通・生産、所持が規制されました。その後、新たに覚醒剤やトランキライザーの乱用が国際的な懸念となり、向精神薬を規制する1971年の向精神薬に関する条約が制定され、殆どの欧州諸国で非合法化されました。

 しかし規制の格付けが科学的証拠に従っていないとして、2016年より世界保健機関による証拠の見直しが進められ、一定の危険性と乱用性と共に医療価値が見出され、大麻関連の規制の降格が勧告されました。痛み、抗てんかん薬、癌、AIDS、喘息、緑内障の治療、抗うつ薬、睡眠障害、食欲増進剤等々と、様々な領域に於ける医療利用についての研究があされています。2020年には麻薬委員会がまとめた各国投票を通じて、条約の「危険性が医療価値を上回る」という分類から大麻が削除されました。これにより、各国での医療大麻の使用に関する議論の可能性が開けたのです。

■医療用大麻の適応疾患一覧

 鎮痛作用、沈静作用、催眠作用、食欲増進作用、抗癌作用、眼圧の緩和、嘔吐の抑制等があり、アメリカ合衆国では慢性痛患者の8.9%が自己治療で大麻を使用しているそうです。また、モルヒネ等のオピオイド系鎮痛薬やイブプロフェンのような非ステロイド系抗炎症剤に十分な効果が見られない疼痛に対して、大麻が有効であるとする論文があります。他に、神経保護作用や、脳細胞の新生を促す作用があります。

 体内では、神経調節物質としてエンド・カンナビノイド(内因性カンナビノイド)が元々産生されているので、カンナビノイド受容体は全身に広がっており、多くの異なる機能に関与しているます。これが、医療用大麻の医療応用性の広さの理由です。

 HIV、アルツハイマー、うつ病、強迫性障害、不眠症、てんかん、気管支喘息、帯状疱疹、多発性硬化症、筋萎縮性側索硬化症、クローン病、パーキンソン病等々、約250種類の疾患に効果があるとする論文があります。

 4276人の統計からは、約7割が不安、不眠、痛みに用いており、74%は他の薬からCBDに置き換えたり、薬の量を減らす事が出来たとの報告もあります。

 医療用大麻が注目される理由には

  • 身体的害(副作用)が少なく、第一選択薬として望ましい。
  • 製造、栽培が容易かつ安価。
  • 法的規制の問題を除けば、本質的には製造・入手が容易かつ安価。
  • 多くの品種が存在しており、成分(THC、CBDなど)のバランスが多様。但し、日本ではTHCの成分が含まれているものは、×。
  • 嗜好植物としての大麻には多くの品種が存在しており、薬効成分(THC、CBDなど)のバランスが多様なため、患者の個人差・病状の差に適合した品種を見つけることができる(一種のテーラーメイド医療と言える)。但し、日本ではTHCの成分が含まれているものは、×。
  • 化学薬品ではない。
  • 既存の治療薬の効果が薄かったり、副作用が強い患者に対して別の選択肢となりうる。(代替医療)
  • 未だに有効な治療薬が存在しない疾患、難病に対して、効果が認められる事がある。

などが挙げられます。

 2010年代の西洋では、痛みの管理のために処方されたオピオイドの過剰摂取死の増加は、オーストラリアを除いて、2010年代のトレンドでした。医療大麻を合法化したアメリカの州では、危険性がより少ない大麻に注目されています。

 以下は、現時点で、論文上、医療用大麻を用いる事で何らかの治療効果が得られたとされる疾患です。

 性器ヘルペス・ペニスのヘルペス感染,エイズ関連疾患,西部ウマ脳炎後遺症,化学療法回復,帯状疱疹,放射線治療,慢性ウイルス性B型肝炎,慢性ウイルス性C型肝炎,節足動物媒介疾患,ライム病,ライター症候群,ポリオ後症候群,悪性黒色腫,その他の皮膚癌,前立腺癌,精巣癌,副腎皮質癌,悪性脳腫瘍,多形神経膠芽腫,癌全般,リンパ節細網癌,骨髄性白血病,子宮癌,リンパ腫,グレーブス病,後天性甲状腺機能低下症,甲状腺炎,成人糖尿病,インスリン依存型糖尿病,偶発性成人糖尿病,糖尿病性腎症,糖尿病性眼科疾患,糖尿病性神経障害,糖尿病性末梢血管病,低血糖症,脂肪腫症,関節障害、痛風,ムコ多糖症,ポルフィリン症,アミロイド症,外因性肥満症,病的肥満,自己免疫疾患,血友病A,ヘノッホ・シェーンライン紫斑病,老年痴呆,振戦せん妄,統合失調症(陰性または外因性),統合失調感情障害,躁病,突発性大うつ病,反復性大うつ病,双極性障害,自閉症,アスペルガー症候群(自閉症そのものより、二次症状に効果があると思われる),不安障害,パニック障害,広場恐怖症,強迫性障害,気分変調性障害,神経衰弱症,書痙,心因性インポテンツ,アルコール依存症,オピエート依存症,鎮静薬依存症,コカイン依存症,アンフェタミン依存症,アルコール乱用,たばこ依存症,心因性多汗症,心因性幽門痙攣,心因性排尿障害,歯ぎしり,吃音,神経性食欲不振症,非特異的チック障害,トゥレット症候群,持続型不眠症,悪夢,過食症,緊張性頭痛,心因性疼痛,外傷後ストレス障害(PTSD),器質性精神障害,脳振盪後症候群,非精神器質性脳症候群,頭部外傷,間欠性爆発性障害,抜毛癖,非多動性注意欠陥障害,注意欠陥・多動性障害,その他の注意欠陥障害,その他の心因性疾患,パーキンソン病,ハンチントン病,むずむず脚症候群,フリードライヒ失調症,小脳性運動失調症,脊髄性筋萎縮症(II型),筋萎縮性側索硬化症,その他の脊髄性疾患,脊髄空洞症,反射性交感神経性ジストロフィー(RSD),多発性硬化症,その他の中枢神経系脱髄性疾患,半身麻痺,脳性麻痺,四肢麻痺,対麻痺,非特定運動麻痺,てんかん,大発作てんかん性疾患,辺縁系激怒症候群,ジャクソン型てんかん,片頭痛,古典的片頭痛,群発性頭痛,脳圧迫症,有痛性チック障害,ベル麻痺,胸郭出口症候群,手根管症候群,下肢単発神経炎,シャルコー・マリー・トゥース病,神経障害,筋ジストロフィー症,黄斑変性症,緑内障,弱視失読症,色覚異常,結膜炎,視神経の集晶,視神経炎,斜視,両眼視,先天性眼振,メニエール病,耳鳴症,高血圧症,虚血性心疾患,狭心症,動脈硬化性心疾患,心伝導障害,発作性心房頻拍,開心術後症候群,レイノー病,閉塞性血栓血管炎,結節性多発動脈炎,急性副鼻腔炎,慢性副鼻腔炎,慢性肺障害,肺気腫,喘息,自発性気胸症,肺線維症,嚢胞性線維症,歯顎顔面異常痛症,顎関節症候群,胃食道逆流症,急性胃炎,胃炎,消化性潰瘍疾患,胃腸障害,潰瘍性大腸炎,クローン病,幽門痙攣性逆流症,限局性腸炎,大腸炎,大腸憩室症,便秘症,過敏性腸症候群,術後ダンピング症候群,腹膜痛,非ウイルス性肝炎,膵臓炎,腎炎,腎障害,尿管結石痙攣,尿道炎,膀胱炎,前立腺炎,精巣上体炎,精巣回転症,骨盤内炎症性疾患(PID),子宮内膜症,月経前緊張症,腟痛,更年期障害,スタージ・ウェーバー症候群,湿疹,天疱瘡,表皮水疱症,多形性紅斑,酒皶,乾癬性関節炎,乾癬,そう痒症,白色萎縮症,脱毛症,ループス,強皮症,皮膚筋炎,好酸球増多筋痛症候群,関節リウマチ,フェルティ症候群,変形性関節症,外傷後関節炎,変形性関節障害,膝蓋軟骨軟化症,強直症,多発性関節痛障害,椎間板ヘルニア,腰部椎間板疾患,頚部脊髄症,頚部椎間板障害,頚腕症候群,腰仙後部障害,脊柱管狭窄症,腰痛症,末梢腱付着部症,腱鞘炎,デュプイトラン拘縮,筋痙縮,線維筋痛症,結合組織炎,オスグッド,シュラッター病,ティーツェ症候群,メロレオストーシス,脊椎すべり症,脳動脈瘤,脊柱側弯症,潜在性二分脊椎,骨形成不全症,エーラス・ダンロス症候群,爪膝蓋骨症候群,ポイツ・ジェガース症候群,肥満細胞症,ダリエー病,マルファン症候群,スタージ・ウエーバー症候群,不眠症,睡眠時無呼吸症候群,慢性疲労症候群,振戦,不随意運動,筋筋膜性疼痛症候群,食欲不振症(拒食症),過換気症,咳,しゃっくり,嘔吐,吐き気,下痢,尿管痛,悪液質,椎骨脱臼,むち打ち症,ぎっくり腰,肩部傷害,前腕・手首・手部傷害,臀部傷害,膝・踵・足の傷害,乗り物酔い,リウマチ,うつ病,アナフィラキシー様症状,電磁波過敏症

カンナビノイド

カンナビノイドとは?

 カンナビノイドとは、大麻草に含まれる化学物質の総称です。窒素を含まないので、植物に広く含有されるアルカロイド成分ではありません。

 60種類を超える成分が大麻草特有のものとして分離されており、テトラヒドロカンナビノール (THC)、カンナビノール (CBN)、カンナビクロメン (CBC)、カンナビジオール (CBD)、カンナビエルソイン (CBE)、カンナビゲロール (CBG)、カンナビディバリン (CBDV)etc.があります。1990年代には、体内で自然に生産されるエンドカンナビノイド(内因性カンナビノイド)が発見され、研究が進展して来ました。

 特にTHC、CBN、CBDは、カンナビノイドの三大主成分とされていますが、陶酔作用があるのはTHCのみです。日本では、大麻草は大麻取締法が規制し、含有されるTHCは麻薬及び向精神薬取締法の規制により、医療目的であっても使用、輸入ならびに所持は禁止されていいます。規制対象ではない麻の茎と種から抽出されたCBDは、日本でも規制対象外なので健康食品(主に、オイルやバーム、キャンディー等)として流通しています。

  • テトラヒドロカンナビノール (THC)

   THCの略称で知られており、大麻の主な向精神性の成分です。ハーバード大学の試験管及びマウスを使った研究で、THCが一般的な肺癌腫瘍の成長を半減させ、転移拡大する能力を抑えるとの報告があります。ドイツの臨床研究では、THCの経口投与で線維筋痛症の痛みに対して顕著な緩和効果が見らたそうです。

  • カンナビジオール(CBD)

   CBDは、医療大麻の主成分のひとつであり、大麻草から約40%のCBDが抽出可能です。多くの試験から良好な安全性の特徴、忍容性があり、前述のテトラヒドロカンナビノール (THC) の様な典型的な効果(精神作用)はなく、乱用、依存、身体依存、耐性はみられません。CBDは広く医療への応用の可能性があると考えられています。臨床報告によると、副作用が少なく、特に向精神作用がなく、精神運動学習や心理的な機能に影響がない事がその理由とされています。

   CBDは、痙攣、不安神経症、炎症、嘔吐等の緩和と、癌細胞の成長の抑制に作用します。近年の研究により、統合失調症に対する非定型抗精神病薬としての効果が示されています。2007年11月に公表された研究報告では、CBDが試験管内で乳癌の悪性癌細胞を減らし、浸襲性を軽減する事が明らかになりました。これは、毒性のない外因性の要因で、攻撃的な腫瘍の活性低下に繋がる事を意味します。また、CBDは神経保護作用のある抗酸化物質でもあります。CBDの神経保護能力は、ジブチルヒドロキシトルエンと同等と考えられており、精神作用がTHCより弱く、高用量投与が可能です。NMDA受容体やカンナビノイド受容体タイプ1に関与していません。因みに、CBDは、アメリカ政府が所有する特許「抗酸化物質、神経保護物質としてのカンナビノイド」特許番号:6630507にリストされています。

   CBDは、薬物規制に関する国際条約による規制はありません。健康食品や化粧品成分としても流通しています。日本で流通しているものは、規制対象ではない麻の茎と種から抽出されています。

■エンドカンナビノイド(内因性カンナビノイド)システム

 エンドカンナビノイド・システムは、1989年に発見された脂質ベースの信号伝達システムで、全ての哺乳類に備わっています。カンナビノイド受容体-内因性リガンド(細胞の表面に存在する特定の受容体に特異的に結合する物質の事で、ホルモンや神経伝達物質等があります)-(必要に応じて!)内因性のリガンドを生成・分解する合成酵素&分解酵素の3要素から構成されています。主なカンナビノイド受容体は、2つ。CB1受容体とCB2受容体です。CB1受容体は、神経調節作用を持つG蛋白質共役受容体で、脳幹を除く、中枢神経系と末梢神経系全体に発現しています。肺、肝臓、腎臓と言った臓器、又、内分泌器官や生殖器にも存在します。CB2受容体は、免疫調節作用があり、免疫組織、造血細胞、消化管、そして心臓血管系全体にあります。CB受容体は、脂肪細胞と筋骨格組織にも認められます。

 脳は、体内で最もCB受容体の密度が高い臓器であるだけでなく、脳には他のどんな種類の受容体よりも多くのCB受容体が存在しています。エンドカンナビノイド(内因性カンナビノイド)システムとは、内因性のカンナビノイドの放出のタイミングを調整して、内の興奮と抑制と言う相対する経路のバランスを保たり、記憶、疼痛知覚、気分、シナプス可塑性、運動学習、食欲と味覚、代謝機能を司る海馬歯状回顆粒細胞のニューロンの新生等の調整をしています。つまり、脳のCB受容体は、高次の認知機能や自律神経系に起因する運動調節機能や感覚機能に深く関与しているんです。

 内因性カンナビノイドであるアナンダミドと2-AGは、必要に応じで体内で産生されます。細胞間の神経伝達・信号伝達を調整し、そのバランスを取る逆行性伝達物質として働きます。エンドカンナビノイド(内因性カンナビノイド)システムは、ホメオスタシス(恒常性)を保つ上で非常に重要なシステムです。その主な役割としては、シナプスや細胞表面に対して不適切な刺激、つまり、それが過剰だったり不足だったりする事がありますが、その是正を図る事にあります。現在、既に若しくは推定されている多様な作用機序の一つとして挙げられているのは、中枢や末梢のニューロンから放出される神経伝達物質の調節や、マクロファージから分泌されるサイトカインの調節です。植物性カンナビノイドは、体内のカンナビノイド受容体に結合し、老化や強いストレス、栄養障害、重金属、環境ホルモン、女性ホルモン等により内因性カンナビノイドの欠乏状態に陥っている私達の体で、エンドカンナビノイド(内因性カンナビノイド)システムを強力にサポートし、恒常性維持機能を助けてくれます。

 正しく言うと、陶酔作用を有しないカンナビノイドであるCBDは、カンナビノイド受容体とは直接的に結合はしません。アロステリック効果で作用します。

 アロステリック効果とは、酵素が通常結合する定部位以外の部位(アロステリックサイト)結合する事で、構造変化し、その酵素作用促進されたり阻害されたりする事です。この様な作用機序は特殊例だと思われていましたが、実は、寧ろこちらの方が世の中的には主流派で、主に酵素反応に関して用いられる用語でしたが、近年は、Gタンパク質共役受容体 (GPCR) を中心とする受容体タンパク質の活性化制御に於いても、アロステリック効果を示す化学物質 (アロステリックモジュレーター) の存在が知られるようになって来ています。

 CBDは、ステロール(コレステロール等)の代謝を抑制するSoat2やCyp27a1等の遺伝子に作用します。5-HT1A(セロトニン)受容体とTRPV1受容体の作動薬としても働き、気分や疼痛知覚に影響を及ぼします。アナンダミドやその他の重要な脂質を分解する酵素の産生を阻害して、アナンダミドやその他の重要な脂質の血中濃度を維持します。これ等の作用により、効果を発揮する前に分解されてしまうかも?って弱っちい存在に過ぎなかった内因性のカンナビノイドが、血液中に長く留まるので、より多くの内因性カンナビノイドがCB受容体に結合するチャンスが増えます。

 因みに、CBDオイルにはTHCが含まれていないので関係はないんですが、CBDには、THCの摂取によるハイな状態(陶酔感)を軽減する作用があります。THCは、カンナビノイド受容体と結合するとハイになりますが、CBDは、THCが結合するCB受容体にアロステリックに作用するので、ハイにはなれないんですね( ;∀;)。

■エンドカンナビノイド(内因性カンナビノイド)の機能障害~欠乏と過剰

 2004年発表された研究によると、「エンドカンナビノイド(内因性カンナビノイド)欠乏症は、偏頭痛(美容通信2013年5月号)、線維筋痛症、過敏症大腸炎症候群と言った疾患の原因になる」と言う仮説が提唱されました。先天的な若しくは後天的な理由により、私達の体内のカンナビノイドの量、その生産機能と代謝機能、カンナビノイド受容体の数や状態は、自ずと規定されてしまいますが、この所謂エンドカンナビノイド・トーンに問題が生じると、様々な不調が生じるようになります。機能障害には、欠乏症もあれば、過剰症もあります。CBDには内因性カンナビノイドの血中濃度を高める効果ありますから、CBDの摂取は欠乏症の治療に役立つと考えられています。

 機能障害は、大きく分けると、3つのカテゴリーに分けられます。親の因果が子に報い(笑)ではありませんが、遺伝性のもの、感染や外傷等が引き金となった外因性のもの、そして特発性自己免疫性の3つです。特発性自己免疫性とは、遺伝だかバイ菌に冒されたんだか、良く分かんないんだけど、兎に角、何かの切っ掛けで免疫調節効果が機能しなくなってしまった状態です。原因は全てどれかのカテゴリーに分類が出来るなんて単純なものではなく、幾つかのカテゴリーを股にかける!なんて強者もいます。例えば、過敏性腸症候群は、食べ物や処方薬が原因となる事が多いので、外因性エンドカンナビノイド欠乏症なんですが…、その後、多発性硬化症を発症し、それが神経系に影響を与えているような場合、カテゴリーとしては突発性自己免疫性となり、出世魚?二股/三股女?の様相を呈します(笑)。

 エンドカンナビノイド(内因性カンナビノイド)・システムは様々な種類の細胞間の信号伝達に深く関わっている為、その欠乏若しくは過剰が何処の段階で起こっても、限定的な被害で済むか、全身的に波及するかは別にして、兎に角、私達の恒常性を脅かしてしまいます。認知症や循環器疾患、多発性硬化症、高インスリン血症、糖尿病、肥満等々の様々な病気の発症に繋がります。

 以前HISAKOの美容通信でも慢性炎症について特集しました(美容通信2021年1月号)が、炎症によって活性化される免疫系の調節に於いて、このエンドカンナビノイド(内因性カンナビノイド)・システムは非常に重要な役割を果たしています。私達の免疫組織の7,8割方は消化管に存在していますが、実は、カンナビノイド受容体が表面を所狭しと占拠しています。ですから、炎症を惹起し易く、世の中で目の敵とされる欧米型の食事は、エンドカンナビノイド(内因性カンナビノイド)の産生や、エンドカンナビノイド(内因性カンナビノイド)・システム全体に、直接的な悪影響を及ぼします。消化管の炎症や微細な損傷(傷)は免疫系の過剰な代謝カスケードを引き起こし、更には炎症や微小血管の劣化、そして内因性カンナビノイドの障害に繋がります。エンドカンナビノイド(内因性カンナビノイド)・システムの調節機能が上手く働かなければ、更なる慢性的な炎症と消化管の破壊に繋がり…この様なエンドレスとも言える日常的な反復は、メタボリック症候群や肥満へと繋がり、それがインスリン抵抗性、糖尿病、また糖尿病から派生する症状の出現へと一直線に繋がってしまいます。そして、同時に、これ等の外因性のエンドカンナビノイド・システムの障害は、アルツハイマー型や血管性認知症の様な、神経機能にまつわる病気にも関係してきます。血管の柔軟性が低下し、炎症が強まると、シナプス間の信号伝達を阻害し、神経系の機能低下を引き起こします。CBDの十分な摂取は、神経の健康を保ち、その機能を高めてくれます。研究(アメリカ合衆国:特許#6-630-507)によれば、CBDには神経保護作用があります。

 最近の研究によれば、炎症の抑制や発症に過大な影響を及ぼすとする一酸化窒素の産生と分泌の調整にも、エンドカンナビノイド(内因性カンナビノイド)・システムは深く関与しています。一酸化窒素は、通常の生理的な状態では、抗炎症作用として働きます。しかし、何らかの切欠で過剰な産生に傾くと、反対に炎症誘発性メディエーターに立場を豹変し、炎症を煽りまくって、炎上。メタボリック症候群を誘発します。

 ライフスタイル医学とは、自然な食べ物を食べ、運動し、良く眠り、ストレスを管理し、危険を伴う薬物を避ける(美容通信2019年4月号)。これは新しい概念でも何でもなくて、昔から私達が所謂健康的な生活を送る為の常識として知っている事を、変な言い訳をせずに、もう一度基本に戻ってきちんと実践しましょうってものです。この有力な手助けの一つがCBDで、これを摂取する事で、健康的なエンドカンナビノイド(内因性カンナビノイド)・システムを補完し、下流代謝経路の正常化を図りましょうって話なんですね。

 【CBDのまとめ】

 CBDは、精神作用はある(精神状態や気分に何らかの影響を及ぼす)けれど、陶酔や多幸感を引き起こす事はない植物性カンナビノイドの事で、人体内のエンドカンナビノイド・システムに良い影響を与える事が分かっています。抗炎症作用、免疫調整作用があります。私達の体の中にあるCB1とCB2受容体との親和性は低いにも関わらず、①サイトカインや神経伝達物質の分泌を調節する事で、CB1及びCB2受容体の作動薬に対して、拮抗的に働く、②他の受容体に対し作動薬として働く事が知られています。

 CBDは、代謝障害以外にも、てんかん、心不全、悪心、炎症、癌、その他の多くの病気や症状の緩和に効果がある事が、動物実験レベルではありますが、明らかにされています。CBDは、血液脳関門を通過して、抗酸化作用、抗菌作用、神経保護作用を発揮する事が示されており、活性酸素による神経障害や神経疾患、及び完成性の疾患の予防と治療にとって重要である事も多く報告されています。

 

CBDの作用機序/副作用

CBDの作用機序

 CBDは、カンナビノイド受容体のCB1とCB2に対し、非常に低い親和性しか示しませんが、間接的な拮抗剤として機能しています。復習になりますが、前述の通り、CB1受容体は、脳等で多量に発現しており、神経伝達の抑制的制御に関与しています。CB2受容体は、脾臓や扁桃腺等の免疫系の臓器や細胞に多く発現しており、炎症反応や免疫応答の調節に関与しています。内在性のリガンドとして最初に単離されたアナンダミド(←至福を意味するアナンダが由来)は、カンナビノイドレセプターの弱い部分アゴニストです。その後発見された2-アラキドノイルグリセロールが、カンナビノイドレセプターの生理的なリガンドと考えられています。

 CBDはTHCの効果を減少させますが、CB1受容体の密度を上げたり、CB1受容体に関連した経路では、THCの効果を上昇させる可能性も指摘されています。

 CBDは、尾状核(多くの動物のの大脳基底核に位置する神経核で、脳の学習と記憶システムの重要な部分を占めています)や線条体(終脳の皮質下構造で、大脳基底核の主要な構成要素のひとつ。運動機能への関与が最も良く知られていますが、意思決定等のその他の神経過程にも関わると考えられています)に発現するカンナビノイド受容体とみられる GPR55、G蛋白質共役型受容体の拮抗剤です。また、CBDは5-HT1A 受容体の部分アゴニストなので、これが抗うつ、抗不安、神経細胞保護等と言ったCBDの作用に関わっていると思われます。CBDは μ及び δオピオイド受容体の間接的な作動薬です。CBDの薬理効果は、PPARyのアゴニスト、細胞内カルシウムの放出に起因します。

 前述の通り、脊椎動物は、内因性のカンナビノイドを持っており、それにより、食欲、睡眠、性行動、疼痛、免疫、感情、運動機能、発達、老化、認知、記憶等を制御しています。CBDは、このエンドカンナビノイド(内因性カンナビノイド)・システム(ECS)を強化します。つまり、脂肪酸アミド加水分解酵素 (FAAH)を抑制する為、体内で生成されているアナンダミド等の内因性カンナビノイドの濃度を上げ、薬理作用を生じさせていると推測されています。更には、CBDの代謝物にも薬理作用があり、CBDの生理作用に貢献しているようです。この様な機序により、老化、ストレス、栄養障害、重金属、環境ホルモン等にるカンナビノイド欠乏症に対し、多彩な効果を発揮します。

 

副作用

 CBDでは、深刻な副作用ないとされています。CBDによる副作用は、他の医薬品で許容されている副作用の範囲内です。 

 CBDは依存性が低く、耐性もカフェイン程度に低い為、適正使用では依存症に陥ったり、摂取量が増えたりすることはありません。また、CBDが直接の原因(1次的死亡原因)による死亡例は、今のところ報告はありません。

 人間を対象に行われて来た、CBDの安全性に関する複数の小規模での研究によれば、1500 mg/日(経口摂取)か、30 mg(点滴)までの摂取量ならば、十分な忍容性が認められています。毒性は、極めて高い投与量でない限り、生理、生化学的に問題がありません。CBDには、THCの様な典型的な効果やドーパミン遊離作用はなく、動物研究及び人間に於いて、乱用、依存、身体依存、耐性はないとされています。

 しかしながら、CBDは、後述の通り、効果との表裏一体でもありますが、眠気、不眠、睡眠の質の低下、食欲低下、下痢、倦怠感等が起こる事があります。CBD製剤「Epidiolex」(イギリスのGW製薬)の臨床試験では、10%超の有害事象として、計民19%、疲労11%が列記されています。

【大麻成分に対するアレルギー反応】

 通常の食べ物や漢方薬等に対してもアレルギーを起こす可能性がある以上、大麻草と言う植物成分にアレルギー反応を起こす可能性は十分あります。大麻草蛋白質に類似しており、大麻草アレルギーを持つ人々にアレルギー反応を起こしやすいとされる食物としては、トマト・茄子・アーモンド・ヘーゼルナッツ・りんご・バナナ・栗・グレープフルーツが挙げられます。以上の食物にアレルギーを有している場合は、CBDオイルは使用はオススメしません。

 

HISAKOが、臨床CBDオイル研究会推薦の製品をオススメする理由

  • CBDやTHC単体よりも、多くの多成分が入る事による、①薬効の相乗効果と、②副作用の軽減効果が得られます(アントラージュ効果)。
  • 同じCBDを10%含むオイルでも、CBDのみのオイルと、全草成分(日本では、THC成分は法律上完全除去!)のオイルを比較すると、後者の方が格段に良好な効果が得られます。
  • 農薬や有害金蔵の汚染の心配がない土地で作られたものでないと、「全草成分」のものは汚染され易い。全草成分もののCBDオイルは、メーカーの信頼性が重要になります。

CBDと皮膚の病気

■急性及び慢性の皮膚の炎症性疾患

 湿疹(美容通信2007年4月号)(美容通信2004年9月号)や乾癬(美容通信2008年4月号)(美容通信2019年9月号)等の慢性の皮膚の病気、接触性皮膚炎等の急性の皮膚疾患は、発疹、掻痒、感染リスクの増大、精神的なストレス等が伴います。また、皮膚炎の症状は、免疫反応によって悪化します。

 研究によれば、CBDが持つ抗炎症作用と鎮静作用は、こうした症状を軽減させる可能性があります。CBDには、又、ケラチン生成細胞(角化細胞)の増殖を阻害する作用があり、乾癬を始めとする皮膚疾患の治療の強力なサポーターになり得ます。更には、精神的なストレスを軽減すると言う側面も期待出来ます。

■糖尿病性潰瘍

 糖尿病の合併症で、皮膚の血液還流の減少に起因する糖尿病性潰瘍に対しても、CBDは、高グルコース環境に起因する血管系内皮細胞の炎症反応を抑え、血管拡張を促進して血流を改善するだけでなく、抗菌作用も兼ね備えているので、治療の選択肢とてしても有望です。

■皮膚癌

 CBDが、悪性腫瘍に対し細胞死を誘導し、成長を抑制、内臓器官への転移を阻止するのに有効との研究報告があります。細胞の老廃物を除去するオートファジー機能(美容通信2017年7月号)を強化し、これが悪性腫瘍の細胞死を促進するようです。皮膚癌治療の研究に於いては、CBDオイルの持つ抗発癌作用、抗菌作用、鎮静作用を裏付ける決定的な研究が行われており、皮膚癌の治療にCBDの投与を挙げる研究論文が増えています。

CBDと眼科の病気

 酸化ストレスと直接的に関係する視覚系の病気には、緑内障、ブドウ膜炎、黄斑変性、糖尿病性網膜症を含む網膜の病気があります。最近の研究により、CBDが、ミクログリア細胞の活性化による酸化ストレス応答を防ぎ、炎症反応による損傷を軽減させる事が明らかになって来ました。バランスの取れたエンドカンナビノイド・システムは、健全な代謝に直結し、牽いてはそれが眼科疾患の治療に繋がる可能性があります。

■緑内障

 緑内障とは、眼圧以上に関連する様々な眼科疾患を指し、網膜神経節細胞の死滅、視神経の変形、視力の低下を伴い、時には失明の原因となります。

 CBDは、活性酸素種(美容通信2017年10月号)の産生を減らし、陶酔作用を伴わない抗酸化物質として作用します。研究によれば、緑内障発生の生理的原因である過酸化脂質、亜硝酸化合物、ニトロチロシンの生成をCBDが阻害し、グルタミン酸による損傷から網膜を護るそうです。更に、緑内障が最終的に進行性の視力低下を引き起こす原因は、アポトーシスによる網膜神経節細胞の選択的細胞死です。つまり、アポトーシスと網膜神経節の細胞死を如何に防ぐかが、緑内障の治療にとって非常に重要であり、近年の実験で、緑内障の治療に於いて、カンナビノイドが神経保護作用を有する事が実証されました。カンナビノイドを繰り返し摂取する事で眼圧が下がり、神経変性とアポトーシスの進行が緩やかになります。

■ブドウ膜炎

 ブドウ膜炎とは、浮腫ったり、組織破壊が起こる事で、視力低下や失明に至る様々な炎症性眼科疾患の総称です。目のブドウ膜に発症しますが、水晶体、網膜、視神経、硝子体液にも損傷が起こります。

 複数の研究から、CBDの抗炎症作用が効果を発揮する事が知られており、また、CBDが酸化ストレスを防ぎ、エンドトキシンによる損傷を軽減させる事で、神経をブドウ膜炎から護るとの報告もあります。

■黄斑変性症

 網膜のミクログリア細胞が活性化すると、炎症性疾患を原因とする組織損傷や黄斑変性症が進行します。

 幾つかの研究によれば、CBDの持つ神経保護作用と抗炎症作用が有効と考えられています。

■糖尿病性網膜症

 糖尿病性網膜症は、血液網膜関門の劣化と網膜神経節細胞の細胞死により、視力の低下に至る病気です。グルコースの代謝異常によって、網膜の透過性が高まり、活性酸素種やニトロ化ストレスによる網膜の損傷が起こり易くなります。

 研究によれば、糖尿病は遺伝子が大いに関与はしますが、それ以上に悪影響を及ぼすのが、不健康な食生活や肥満と言った、日頃の不摂生。その挙句に引き起こされた突発性自己免疫性のカンナビノイド欠乏症が、鍵を握っていると言っても過言ではありません。エンドカンナビノイド・システムは、網膜にも存在し、CBには、糖尿病性網膜症に於ける酸化ストレス、ニトロ化ストレス、炎症、細胞死、血管透過性増大を抑制するとの研究報告があります。糖尿病の患者さんが、CBDを治療として併用する事で、炎症が軽減し、神経保護作用により、糖尿病性網膜症の予防に役立つ可能性があります。

CBDと神経系の病気

 神経調節作用を持つ脂質と受容体からなるエンドカンナビノイド・システム(ECS)は脳内に存在し、脳内及びその周囲体で、人間が生きて行く為に欠かせない非常に重要で広範囲な生理機能を調整しています。

 因みに、カンナビノイド受容体は脳幹にはほぼ存在していないので、外因性のカンナビノイドを摂取しても心肺機能には影響がありません。

 *脳幹(延髄、橋、中脳を含む):心機能、呼吸機能の他、中枢神経系が持つ運動と感覚にまつわる働きを制御。

■筋萎縮性側索硬化症(ALS)

 「車椅子の物理学者」としても知られたスティーヴン・ウィリアム・ホーキングが罹患していた事であまりにも有名な疾患ですが、2014年にアイス・バケツチャレンジが世界的に注目を浴びるまでは、「殆どの人はALSについて認識が乏しく、(研究を支援する為の)資金集めはとても困難だった」そうで、多数の人物が氷水をかぶり、そして寄付をした事により、米ALS協会は同年の7月29日からの3週間で1,330万ドルの寄付金を集めたそうです。因みに、前年同時期の同協会への寄付額は3万2,000ドルだったとか。余談ですが、氷水はアメリカのスポーツ界では「祝福」を意味するんだそうです。

 筋痙直、急速な進行性の筋力低下、筋肉疲労、嚥下障害、運動失語、呼吸器不全等の症状を特徴とする神経変性疾患です。筋萎縮性側索硬化症の発症には、炎症反応やγアミノ酪酸(GABA)のバランス障害が関与しています。

 カンナビノイドは、カンナビノイド受容体と結合し、炎症誘発性のサイトカインやケモカインの分泌を阻害して炎症を抑える事で、多くの作用を発揮する事が知られています。また、一酸化窒素合成酵素を調節(美容通信2019年10月号)し、反応性窒素と活性酸素種(RNSとROS)の産生を減らす事で、酸化ストレスとニトロソ化ストレス(活性酸素種と反応性窒素から受けるダメージ)を防ぐ働きもあります。また、グルタミン酸の分泌を阻害する事で、興奮性毒性を抑制する事が分かっており、CBDは抑制性神経伝達物質であるGABAの作用を強化させるんだそうです。カンナビノイドは、神経保護薬として、ALSの治療に効果的に働くのではないかと考えられています。

■アルツハイマー病

 アルツハイマー病(美容通信2019年4月号)は、脳の神経細胞に影響する進行性神経変性疾患で、記憶障害、言語機能と認知機能低下、気分や行動の変化を引き起こします。神経細胞の死滅は、進行性の神経機能低下の特徴です。

 アルツハイマー病はエンドカンナビノイド欠乏症であり、神経変性疾患の治療にはCBDが抗酸化薬として有効ではないかと推測されています。CBDは、ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体(PPAR)を刺激し、アルツハイマー病の重要な発症因子であるアミロイドの蓄積を分解すると考えられています。更には、CBDの抗炎症作用、神経保護作用が予防に効果があるとされ、予防と治療の両方に有効なツールとなり得ると推測されます。

■パーキンソン病

 パーキンソン病は、中脳の黒質とドーパミンの産生に影響を与える病気で、動作緩慢、筋硬直、関節硬直、平衡機能障害、不全失語症、反応が遅くなる、記憶障害、睡眠障害、鬱と不安感等を含む進行性症状があり、ドーパミン作動系の機能障害と関係があると考えられています。パーキンソン病は遺伝的な要素(遺伝性のエンドカンナビノイド欠乏症)が関係しており、最近の研究によれば、発症には、炎症と免疫の機能不全が大きな要因となっているそうです。

 研究によれば、CBDを治療薬として投与する事で、筋失調、筋痙直、震え、更にパーキンソン病に起因する精神疾患や鬱の症状を軽減させるそうです。CBDには抗酸化作用があり、CB1及CB2受容体の反応を調節する働きがあるので、そもそもの発症の予防または遅延させる可能性があります。

■ハンチントン病

 ハンチントン病は、進行性神経変性疾患の一つで、協調運動に障害が生じて不随意運動が起きたり、認知力低下、情動障害、行動異常等の症状が出現します。遺伝性のエンドカンナビノイド欠乏症の一つに分類され、大脳基底核にCB1受容体がと~っても疎らにしか存在しておらず、神経細胞が傷ついた部位ではCB2受容体の活性が増しています。神経保護作用のあるカンナビノイドでは、ハンチントン病を発症すると、徐々に目減りする一方で、それが大脳皮質に於ける神経細胞の破壊や、痛みを伴うジストニア運動、不安感、鬱を含む関連諸症状につながります。

 CBDには、ジストニア症状の進行を遅らせ、それに伴う痛みを軽減させる他、不安感を軽減させ、患者さんの健康状態を改善させるとの研究結果があります。遺伝的にハンチントン病発症の素因を持っている人の場合、CBDの神経保護作用と抗酸化作用は、発症を遅らせ、症状を軽くしてくれる可能性はあります。

■脳虚血と脳卒中

 脳虚血は、脳の血管が狭くなったり、詰まったりして起こる障害で、血液循環、つまり、酸素の供給が滞って脳細胞が死滅する事です。アテローム性動脈硬化、高血圧、糖尿病、ニコチン摂取等様々なものが、脳虚血(一過性虚血発作或いは脳卒中)が起こる原因となります。脳虚血の前段階としての、後天性エンドカンナビノイド欠乏症は、CB1及びCB2受容体の機能障害、又は体内に存在する内因性カンナビノイドの減少、或いはその両方を引き起こします。動物実験からの、あくまでも推測のお話ではありますが、私達人間でも、脳虚血の4時間以内にCBDを投与出来れば、血管拡張が促進されて、炎症が軽減。運動障害の後遺症が軽くなるのではと考えられています。CBDが持つ抗酸化作用、抗炎症作用、神経保護作用は、脳虚血の素因のある人達にとって、予防的な効果が見込まれます。実際、CBDは、体内を循環するカンナビノイドを増加させ、脳機能を強化し、CB1及びCB2受容体機能を修復します。

■多発性硬化症

 多発性硬化症(MS)は中枢神経系の自己免疫疾患で、ミエリン鞘が破壊され、軸索損傷が起きた事が、病気の進行の根底にあると考えられています。多発性硬化症の症状としては、知覚異常、体に力が入らない、麻痺、痙直、疼痛、膀胱或いは大腸の機能障害等があります。

 CBDには、強力な抗酸化作用、抗炎症作用、免疫調節効果に加えて、抗痙攣作用、筋弛緩作用、神経保護作用、THCの作用の減弱、反応活性種の産生の減少させる作用等々があり、多くの臨床研究の結果から、多発性硬化症の治療の一助になる事が分かっています。特に、疼痛と痙直の軽減については、非常に効果的なようです。多発性硬化症の発症後の早期から、CBDの摂取開始により、大脳皮質に於ける神経の炎症が軽減し、それが、牽いてはミエリン鞘の破壊の阻止に繋がるかも知れません。

■統合失調症

 統合失調症は精神疾患の一つで、異常な行動を取ったり、現実と想像の区別が付かなかったり、思考プロセスが混乱したり、幻覚を見たり、対人関係や感情の表出に乏しかったり、活動が低下したりするのが特徴です。統合失調症に於けるカンナビノイド欠乏症は、遺伝性のものだったり、原疾患に対する投薬によるものだったりします。

 CBDによりアナンダミドの再取り込み阻害や分解の阻害されると、血中アナンダミド濃度が上がるだけでなく、アナンダミドと結合する脳内のCB1受容体の数も上がる為、統合失調症の精神症状の軽減に一助となる可能性が示唆されています。

 因みに、豚肉の脂身は好きですか? 必須脂肪酸の1つであるアラキドン酸は牛肉や豚肉の脂肪に含まれていて、脳内で変化したアナンダミドは、別名「至福物質」とも呼ばれ、幸福感や高揚感をもたらす事が知られています。また、リラックス効果や記憶力増進等々、心身に様々な良好な効果をもたらす可能性があるとも言われているのですが、コロナ以前の平和な時代、飲み会で皿に余った最後の豚の脂身1欠片を巡って、友人の放射線科医者とHISAKOが激しい争奪戦を繰り広げているのを、女医さん達がドン引きしていたのをふと思い出しました…。

■てんかん

 てんかんは、有病率が高く、非常に深刻な中枢神経系の疾患です。自発性且つ反復性の発作を主な特徴とする、脳の状態を指します。てんかんには潜伏期間があり、つまり、感染や脳卒中、或いは遺伝子等に起因する脳の損傷が起こってから、突如として発作が発症するまで執行猶予?期間があるものなのですが、この期間にCBDを投与すると、発作の発症を防いだり、或いはその進行を遅らせて、患者さんのクオリティ オブ ライフを向上させる可能性が示唆されています。体内のカンナビノイド量の増大と、カンナビノイド受容体の反応の改善が、てんかんの神経学的改善に関与しているようです。

■偏頭痛(片頭痛)

 偏頭痛(片頭痛)は、軽度から激しい頭痛に、悪心、嘔吐、光や音、臭いに対する過敏症などの自律症状を伴う神経障害です。美容外科では、皺取りのついでに!ボトックス注射(美容通信2013年5月号)をしてしまう事が多いですが、偏頭痛(片頭痛)もカンナビノイド欠乏症の一つである以上、治療の選択肢として考えるのもありです。大脳皮質と脳幹の三叉神経核にあるCB1受容体が神経伝達物質を処理出来ず、その結果炎症が惹起され、激しい頭痛に繋がります。CBDは、脳血管の炎症を軽減させ、急性の偏頭痛(片頭痛)に対しては鎮痛作用、慢性の偏頭痛(片頭痛)に対しては予防効果があります。

■うつ病と不安神経症

 うつ病や不安神経症を含む気分障害(感情障害)は、コロナ禍の今、誰でもが陥りやすい障害の一つとなってしまいましたが、CBDによる治療の対象となる可能性があります。気分が沈み、自信が持てず、食欲がなく、通常なら楽しいはずの事にも興味が湧かない状態が長く続く状態は、前帯状皮質と膝下前帯状皮質にあるCB1受容体の働きと関連しています。また、慢性のうつ病患者さんでは、脳室の神経変性も認められ、CB2受容体の失調にも関係しているかも知れません。

 うつ病や不安神経症の患者さんにCBDを投与すると、従来の抗うつ病薬と類似した機序で、カンナビノイド・シグナル伝達が亢進し、症状の改善が認められ、治療に役立つ可能性があります。

CBDと消化器系の病気

 消化器疾患は、酸化ストレスと密接な関係があり、悪心、嘔吐、胃食道逆流症、胃潰瘍、十二指腸潰瘍、過敏性腸症候群、炎症性大腸炎、胃癌、小腸癌、大腸癌等があります。私達の体は、損傷や感染の影響を最小限に留める為に、ミクログリア細胞やマクロファージを出動させ、炎症反応を起こします。しかしこの炎症反応は、嬉しくない置き土産とでも言いますか…同時に、グルタミン酸の放出、活性酸素種(ROS)、一酸化窒素(NO)、腫瘍壊死因子(TNF)を生成し、炎症、微小血管の劣化、エンドカンナビノイド・システムの機能を劣化させてしまいます。

■悪心と嘔吐

 大脳皮質の第4脳室の基底部に存在するカンナビノイド受容体(CB1受容体)は、悪心、嘔吐と関係があります。CB1受容体と結合出来るカンナビノイドの血中濃度が間接的に上がれば、当然、症状が改善する可能性があります。

■胃食道逆流症

 胃食道逆流症は、胃酸、胆汁、酵素が胃から食道に逆流するのを防ぐ下部食道括約筋が、締まりが悪くなって起こる病気で、炎症や、疼痛、食道の粘膜障害等の症状を呈します。消化器にはCB1受容体が存在しており、CBDの投与により、エンドカンナビノイド欠乏が改善すると、下部食道括約筋の調節が上手く出来るようになり、引いては胃食道逆流症の予防と管理に役立ちます。

■胃潰瘍

 胃潰瘍は、胃の内壁に局所的な炎症が起こり、腹痛や出血等の症状が起こります。ヘリコバクター・ピロリ菌が悪さをしている事が主な原因とされていますが、消化器官内のカンナビノイド受容体の異常反応も原因の一つに挙げられます。胃粘膜細胞の一つで、胃酸を分泌する壁細胞には、カンナビノイド受容体が多数発現しています。研究によれば、カンナビノイドの投与によって、胃粘膜糜爛に伴うカンナビノイド受容体の状態(と胃酸の分泌)が改善されるそうです。

■過敏性腸症候群

 過敏性腸症候群とは、大腸の運動性が損なわれ、下痢や便秘、若しくはその混合型と、便通異常が起きる機能性消化管疾患です。排便によって改善される腹痛が、3回/月以上も起こります。

 腸の反応性炎症は、カンナビノイドの投与によって改善されます。カンナビノイドは腸のCB2受容体に直接作用します。また、過敏性腸症候群と併発する事が多く、この病気の兆候として重要、且つ、症状の悪化要因とされる鬱病や不安神経症を左右する大脳皮質のCB1受容体の直接作用します。

■クローン病

 クローン病は、自己免疫性且つ炎症性の腸の病気で、消化管の全域に発生します。症状的には、腹痛や下痢、血便、発熱、体重減少等があります。腸管外の症状としては、皮膚炎、関節炎(関節や背骨)、疲労感、目の炎症、肝臓障害、膵臓障害等があります。又、他の自己免疫疾患と併発する事もあれば、腸閉塞や大腸癌の引き金になることもあります。

 研究によれば、カンナビノイドは、腸管の運動を整えるだけでなく、悪心・嘔吐の予防にも効果的と推測されています。

■大腸癌

 臨床研究及び動物実験の結果によれば、CBDが小胞体ストレスを経路として、オートファジー(美容通信2017年7月号)を活性化し、アポトーシスを促進して、癌細胞死へと引導を渡します! 更にCBDは、細胞内接着分子を増加させる事で、癌細胞の侵襲性を削ぐようです。こうした機序により、CBDの投与により、エンドカンナビノイド・システム及びカンナビノイド受容体の恒常性を向上させ、大腸がんの予防に役立つと考えられています。

■膵臓癌

 CBDはアポトーシスを誘導し、悪性腫瘍の成長を阻害する事で、膵臓癌の治療の一助になると考えられています。CBDは、また、活性酸素種の産生を阻害するので、正常細胞の癌化に対して予防的な効果も期待出来ます。

■肝癌

 科学的な研究によれば、肝細胞癌にCBDを投与すると、抗腫瘍作用、腫瘍細胞死の促進、腫瘍細胞の増殖及び腫瘍血管の新生の阻害等が期待出来るそうです。肝悪性腫瘍に於いては、カンナビノイドは腫瘍細胞をアポトーシスに導き、正常細胞の癌化を防ぐと考えられています。

■肝硬変

 CBDによる間接的なCB2受容体への刺激は、門脈圧亢進、炎症細胞の浸潤、線維症を軽減し、肝硬変の治療に良い影響を及ぼします。

CBDと筋骨格系の病気

骨格筋系の健康

 筋骨格系の病気は、カンナビノイド欠乏症と直接的に関係しており、酸化ストレスが関与しています。筋骨格系の病気としては、変形性関節症、関節リウマチ、骨粗鬆症、骨肉腫、骨折、筋痙攣等があります。私達の体は、怪我や感染等によるダメージを最小限に食い止める為に、一連の炎症反応で対応します。つまりミクログリア細胞やマクロファージの放出をしますが、これ等の活性化は、同時に、グルタミン酸の放出、活性酸素種(ROS)、一酸化窒素(NO)、腫瘍壊死因子(TNF)を産生し、炎症を悪化させるだけでなく、微小血管、造血細胞、破骨細胞の劣化、更にはエンドカンナビノイド・システムの機能を劣化させる原因にもなります。動物実験で結果ですが、CBDは、酸化ストレスを阻害し、RANK/RANKLの発現を阻害し、炎症性サイトカインの骨による再吸収を減少させるので、炎症に伴う間接的な被害を減らす方向に働くと思われます。

■変形性関節症

 凄くありふれた関節炎の一つで、炎症反応が原因で起こったり、軟骨と骨を含む筋骨格系内の関節腔に発症し、疼痛、可動域制限、発症した部位が腫れる等します。変形性関節症は、徐々に軟骨を劣化させるので、骨と骨が直接接触して、更に症状は増悪します。変形性関節症に関連するエンドカンナビノイド欠乏症のリスク要因としては、肥満、座っている事が多いライフスタイル、喫煙、外傷等が挙げられますが、これ等はエンドカンナビノイド欠乏を増悪させ、筋骨格系内のCB2受容体の活性化に影響します。

 CBDは、筋骨格系全体の炎症反応を軽減させる方向に働らくので、普段から予防的な措置として、若しくは怪我したら即摂取開始するとかは、心強い助っ人として働いてくれます。研究によれば、CBDは、間接的にアナンダミドの血中濃度を上げて、軟骨に発現したCB2受容体と内因性カンナビノイドの結合を促進、それにより軟骨破壊を抑制する方向に働くと推測されます。

■関節リウマチ

 関節リウマチは全身性の炎症性自己免疫疾患で、筋骨格系に発症し、関節が徐々に劣化して痛みを伴い、可動性やクオリティ オブ ライフに多大な影響を及ぼします。また、関節リウマチの始末に悪い事は、症状が関節だけに留まらず、二次的な症状として、心臓や肺、視覚系にも病変が現れる事があります。他の自己免疫性疾患と関係している場合があります。

 関節リウマチの患者さんでは、CB2受容体の活動に異常が認められ、激しい炎症反応を引き起こします。研究によれば、CBDを予防的に摂取すると、カンナビノイド受容体との結合がより円滑になり、炎症反応が軽減するようです。実際に、症状緩和と可動域の拡大に効果的だったとの報告もあります。

■骨肉腫

 骨肉腫に繋がるカンナビノイド欠乏症は、CB2受容体の機能異常によるものです。

 

骨の健康(破骨細胞と骨芽細胞)

 骨格系の恒常維持(組織の維持、修復、再構築の過程)を司っているのは、主に破骨細胞と骨芽細胞です。破骨細胞は骨を吸収し、骨芽細胞は新しい骨を形成します。

 エンドカンナビノイド・システムは、骨格系に存在するCB2受容体を介して免疫機能を制御し、細胞生成を調節します。更には、CBDは破骨細胞の生成に関与するリガンドを阻害し、逆に骨芽細胞が新しい骨を形成するのを阻害しないとの報告もあ有ます。

■骨粗鬆症

 骨粗鬆症は、破骨細胞の過活動若しくは過剰生成によって、骨量と骨密度が徐々に低下する骨格系の病気です。骨粗鬆症になると、骨に微細構造変化が起き、骨折や骨の痛みが起きやすくなります。CBDは破骨細胞の機能を抑制し、骨粗鬆症の治療の一助となる可能性があります。

■骨折

 CBDは、破骨細胞機能を直接的に阻害するだけでなく、間接的にアナンダミドの血中濃度を上げ、内因性のカンナビノイドとCB2受容体の結合を促進します。ですから、例え骨折の憂き目に合おうとも、多少なりともではありますが、その程度を軽減し、回復を促進し、痛みを減らしてくれる方向に働いてくれるでしょう。

■筋痙攣

 筋痙攣の強度は、CB1受容体の興奮と関連しています。筋骨格系に影響するカンナビノイド欠乏症では、アナンダミドの血中濃度が低下して、神経インパルスの活動過剰が起こり、その結果、痛みを伴い時には動くのがままならないほどの筋痙攣が起きます。CBDを投与して、CB1受容体によるアナンダミドの結合を回復させると、過剰に緊張した筋肉が緩むので、疼痛緩和効果が認められます。同時に、CB2受容体の機能が高まれば、異常な免疫反応が減少し、筋痙攣が起きた部位の周辺の炎症を軽減します。CBDは、アスリートや運動マニアの人達が予防的に使うのもありだし、事が起こってからの事後処理にも使えます。

CBDと心臓血管系の病気

 エンドカンナビノイド・システムは、主にCB1受容体を通して、心臓血管系に作用します。カンナビノイドが欠乏すると、不整脈やアテローム性動脈硬化、心筋虚血等、心臓血管系に異常が生じます。

 CBDが心臓血管系の健康に良いと言う、多くのエビデンスが知られるようになって来ました。CBDは、血管に直接働き、急性血管弛緩と時間依存性血管弛緩をさせるので、血管損傷や閉塞が起こってしまってからの血管開存、還流、再灌流に有効に働きます。内皮依存性血管弛緩作用を低下させた動物実験モデルに於いて、CBDの投与により、血管拡張反応が促進される事が分かっていますし、虚血性発作の後にCBDを投与すると、虚血組織の損傷が軽減するのも実験で示されています。これも動物実験ですが、高グルコース環境や炎症によって生じた血管損傷に対する保護作用も認められています。これ等は、全てCBDの抗炎症作用及び抗酸化作用によるものと考えられています。

■アテローム性動脈硬化症

 脳卒中や心筋梗塞、高血圧症のリスクを高めるとされる、アテローム性動脈硬化症は炎症性の疾患で、カンナビノイド欠乏及び内皮接着分子の存在に対する免疫機能不全と直接関係があると考えられています。循環系全体に存在するCB2受容体は、免疫反応の調節をしています。研究によれば。CBDを含む植物性カンナビノイドは、異常接着分子に対しての炎症反応を軽減させるだけでなく、プラークの生成や細胞死に関与するとされる性悪の活性酸素種を減らしてくれます。

■心筋症

 心筋症とは、心筋の拡張又は収縮機能、あるいはその両方が低下してしまう病気で、酸化ストレスの増加と接着分子の発現に関係しています。血管接着分子があると、線維化と結合組織の増殖が進み、最終的な細胞死に至ります。研究によれば、CB1及びCB2受容体を通して、CBDの調節作用により、心筋収縮能がUPし、酸化ストレスとそれに伴う細胞死と線維性瘢痕が減少します。CBDは、間接的にアナンダミド量を増加させる事で、CB2受容体の感受性を高め、それによって炎症反応を軽減させます。CBDは、原発性心筋症に有効である可能性が示されており、また、高インスリン血症に於ける細胞のグルコース利用を高めるので、代謝異常に伴う心筋症の予防と治療に有効と考えられています。

■高血圧症

 病的な高血圧は、脳卒中、認知症、心筋梗塞、末梢血管疾患その他の様々な嬉しくない面々を伴います…。CBDの投与により、CB1及びCD2受容体と結合するアナンダミドの量を間接的に増やし、血管及び心臓を弛緩させるので、血圧が全身性に下がります。

■心筋虚血

 心筋虚血とは、心臓への血流が滞り、細胞の機能と生存に必要な酸素とグルコースが不足する状態で、心筋組織への損傷に繋がります。心筋の虚血は、後天性のカンナビノイド欠乏と関係しており、心筋のCB1とCB2受容体と結合するカンナビノイドの血中濃度が下がる事で起こる事があります。CBDの血管拡張作用により、心臓への再還流を後押ししてくれます。糖尿病や高血圧、アテローム性動脈硬化症等の代謝性疾患があると、心筋虚血を起こしやすいので、CBDは予防だけではなく、発症後にも有益な存在と思われます。

■心筋梗塞

 心筋梗塞は、心臓への血液の流れが悪くなり、その結果細胞死が起こる病気です。冠動脈がアテローム性動脈硬化症による閉塞を起こすと、心筋梗塞に繋がる可能性が極めて高い為、カンナビノイド欠乏症は明らかなリスク要因と考えられています。CBDは、冠動脈内で起こっている炎症を減弱させるので、異常な免疫反応を減らし、内皮壁プラークが出来難い環境にします。研究によれば、心筋梗塞が起きた直後にCBDを急速投与すると、カンナビノイドと受容体の結合が増し、心拍リズムの異常を回避し、再還流の改善、損傷部位が拡大しないように働きます。

CBDと呼吸器系の病気

 CB1とCB2受容体は、呼吸器全体に分布しており、研究によれば、エンドカンナビノイドの欠乏症は、慢性及び悪性の肺疾患を引き起こす一因になります。

 幾つかのマウスモデルですが、CBDには免疫抑制作用と抗炎症作用がある事が分かっています。最近の研究によれば、予防的なCBD投与により、急性肺障害の患者さんの肺の炎症反応を抑える事が出来たそうです。

■喘息

 喘息は、反応性炎症性の気道の病気です。エンドカンナビノイド・システムは、CB1及びCB2受容体を介して、この炎症反応を抑制する重要な役割を果たしています。活性化されたCB1受容体は、気管支を拡張(又は平滑筋を弛緩)させて呼吸症状を改善し、CB2受容体は、肺の免疫反応を調整します。エンドカンナビノイド・システムは、抗原に対する過剰反応を抑制するので、CBDは、喘息の病態生理的メカニズムを調整或いは治療に於いて、重要な役割を担う事が報告されています。

■肺癌

 肺癌は後天性の悪性腫瘍で、最も因果関係を取り沙汰されているのが、煙草です。喫煙は、エンドカンナビノイド・システムの免疫学的恒常性維持の作用に、悪影響を及ぼします。

 癌の予防や治療に必要とされる、抗炎症作用や抗酸化作用ですが、これ等の作用をCBDが有しているだけでなく、肺癌は脳みそや背骨に転移しやすい事は良く知られていますが、この転移を抑制する作用もあるようです。CBDは、癌細胞が深く浸潤するのを阻むとの研究報告もあります。

■肺炎

 肺炎は、細菌又はウィルスによる感染や、特定の薬物や病気(例・自己免疫疾患)によって引き起こされ、肺の炎症と呼吸器の機能障害を呈します。エンドカンナビノイドの欠乏があると、例えば過剰な免疫応答を防ぐと言った、免疫反応を調整するCB2受容体の作用に悪影響を及ぼすので、アレルギーや自己免疫疾患に発展する可能性が否めません。CBDは、白血球の過剰な活動にブレーキをかけ、肺本来の機能を高め、炎症を軽減し、急性肺感染症から早期の回復を図ると考えられています。

■肺高血圧症

 肺高血圧症は、肺動脈圧を上昇させ、血管破裂の危険性を秘めた、致死に至る可能性の高い慢性疾患です。CBDは、血管壁を弛緩させ、全身の血圧を下げる方向に働きます。実際、CBDの投与により、CB1受容体の結合能が上がるので、結果的に肺動脈圧が大幅に下がります。

CBDと内分泌腺の病気

 エンドカンナビノイド・システムは、視床下部-下垂体‐副腎系軸に影響を与える事によって、ストレス反応を左右し、性腺刺激ホルモンの放出、生殖能力や性行動を変化させる事によって、生殖をコントロールする役割を担っています。

■糖尿病

 糖尿病では、インスリン抵抗性が増大し、血中グルコースが正常範囲を逸脱し、大血管や微小血管を損傷して、心臓血管系、免疫系、神経系、内分泌系に重大な影響を及ぼします。エンドカンナビノイド・システムが、一次性糖尿病とそれによる様々な合併症の発症に重要な役割を果たしている事を示す、明確なエビデンスが存在します。CB1受容体の過反応による、エンドカンナビノイド・システムの過活動は、酸化ストレスとニトロ化ストレス、炎症、脂質生成、インスリン抵抗性の増大、食欲の増大に繋がります。CBDは、酸化ストレスやニトロ化ストレス、そして炎症の強力な阻害剤として働き、糖尿病の治療に有効とされています。

 糖尿病の初期症状を呈するモデルマウスにCBDを投与したところ、32%のマウスが糖尿病に移行しましたが、対照群のCBDを投与しなかったマウスは100%糖尿病を発症したそうです。他にも、CBDによるインスリン抵抗性の改善と血糖値の下降が報告されており、CBDが糖尿病の治療方法の選択肢になり得るとの研究結果が、多数報告されています。臨床現場でも、健康な人、糖尿病のリスクがある人、境界型糖尿病、糖尿病の人にCBDを投与すると、インスリン抵抗性が起こり難く、本格的な糖尿病への移行を防いでるような印象を受けます。

CBDと生殖器官の病気

 ストレスの多いライフスタイル、環境的な要因、感染症の罹患、遺伝子的な影響等が、性別に関わらず、性的な行動や健康を左右します。神経系にも免疫系にも発現しているCB1及びCB2受容体を持つエンドカンナビノイド・システムは、生殖器全体に分布しています。

 エンドカンナビノイド・システムの発見により、セルトリ細胞の維持、精子形成、受精、着床前の杯の発育、着床、胎盤形成、着床後の胎児発育等の、様々な生殖活動に於いて、内因性カンナビノイドによる信号伝達が果たす重要な役割が明らかになって来ました。それらの研究は又、カンナビノイドが不妊症の改善や人間の生殖器系の健康を向上させる可能性を示しています。

■子宮内膜症

 エンドカンナビノイド・システムは、生殖器系のホルモンのバランスの乱れを調節します。子宮内膜症の患者さんでは、カンナビノイドの欠乏により、CB2受容体の機能が低下しています。CBDの投与によって、アナンダミドとCB2受容体の結合が促進されます。CBDの持つ抗炎症作用と鎮痛作用も、腫脹や疼痛、その他の子宮内膜症の症状緩和に効果があります。

■子宮内膜癌

 エンドカンナビノイド・システムは、幾つかの癌に於いて、腫瘍の成長と転移を防ぐ事が知られています。インビトロ及び動物実験でですが、腫瘍の成長が抑えられ、転移もし難くなったそうです。人間を対象とした研究は未だ少ないですが、研究の結果からは、将来的には子宮内膜癌の治療の選択肢の一つとなるのではと思われます。

■前立腺癌

 CBDは複数の臨床試験に於いて、腫瘍細胞のアポトーシスを促進し、腫瘍の発達や転移を阻害する事が示され、前立腺がんの治療として有効な医療効果が期待されています。

CBDと歯科系統の病気

 CB1及びCB2受容体は、共に、口腔内の歯茎、舌、唾液腺、上顎及び下顎に広く分布しています。カンナビノイドが欠乏すると、歯科系統の病気や、感染と全身性疾患の発生率上昇と関係があると考えられています。

■歯周病

 歯周病は、病原菌に対する過剰な炎症反応の結果、組織や骨が破壊される病気で、往々にして、神経性の激しい痛みの原因となります。CBDの主な治療標的は鎮痛と炎症抑制で、カンナビノイド化合物が神経性の疼痛に効く事は多くの研究で実証されています。

■顎下腺炎

 顎下腺炎は、脱水症状、劣悪な口腔衛生、慢性の炎症等によって起こります。顎下腺が痛んだり腫れたりするのが特徴で、CBDの鎮痛作用、抗炎症作用が有効です。

CBDオイルの使い方

貴方だけの、スイートスポットを見付けましょう

  CBDオイルはあくまでも自然物質なので、所謂大量消費生産を旨とする化学薬品と異なり、受け取り手によって反応に個人差が大きく出ます。考えてみればそれも尤もな事で、化学薬品は作用機序がピンポイントなのに対し、自然物は多成分である為に個人差が大きく、同じ効果を得る為に用量が20~30倍違うなんて事だってあります。

 そもそもの話、貴方は、どうしてCBDオイルを使ってみたいと思ったのでしょうか? 総合的な健康増進の為なのか、病気や症状の改善の為なのか、その目的にもよっても使用する量が異なります。先ずは、痛みや不安、不眠、てんかん発作等を止める為等、具体的な摂取目的を定め、少量から目的に合った適量(スイートスポット)を探しましょう。

 CBDには二相性の作用があります。少量で、マイルドな覚醒効果があります。高用量では、リラックス効果が見込めます。つまり、通常CBDを20~30mgを服用すると、多くの人はぐっすりと良く眠れます。しかし、そうでない少数派の人もいます。却って、頭スッキリの覚醒効果!が現れたりします。夜にそれなりの覚醒効果が出ちゃった時は、そのままより高用量を夜に服用すると言う、まあ少々荒っぽい処方もありですが、まずは、午後の早い時間までに使うのがオススメ。それにより、日中は頭が冴えて快適に過ごせ、夜はきちんと眠れると言う理想的な状況を享受出来る人も多くいます。日中にいきなり高用量を使用すると、リラックスし過ぎて、仕事どころじゃない! 寝てしまった!なんて、社会人としてあり得ない失態に繋がります。くれぐれも、少量からが大原則なのです。

 

使用方法と注意事項

  • 舌下へ滴下し、2~3分以上飲みこまずにキープ(舌下投与)

   粘膜からの吸収は、消化管からよりも良好で、肝臓での代謝も避けられる為、速やかにより高い効果が得られます。

  • 市販の空のカプセルを利用する

   味等が理由で舌下が難しい人には、飲食物に混ぜたり、市販の空のカプセルを用いての服用も有効です。唯、カプセルを使用する場合は、15%等の高濃度オイルの方が便利です。胃酸や肝臓による代謝の影響を受ける為、やはり効果は舌下よりも劣ります。

  • 初心者は、CBD3~10mgを1日1回から始めましょう。

   最初にトライするなら、先ず午前中(~午後の早い時間)にお使い下さい。同じ量で数日~1週間程度継続し、効果を確認の上、徐々に増量します。リラックス効果を得られる量を把握したうえで、不眠があれば、その量を夜間に用いてみましょう。

   上記が健康増進目的や効果を急がない時のスタート量ですが、痛みや不安、てんかん発作、不眠等の明確な症状や病気がある場合は、1回0.25‐0.5mg/Kg(体重60Kgで15-30mg)を1日2回から開始します。CBD90mg程度までは増量してみるのも良いかも知れません。CBDは、安全性が高いので、海外では数100mgの使用例も稀ではないようですが、以下の薬物相互作用に注意が必要です。

   因みに、お子ちゃまの場合は、1回0.25mg/Kg(体重10Kgで2.5mg)で1日2回で開始し、少しずつ増量します。てんかんの場合は1回0.5mg/Kgで1日2回から開始し、4日~1週間での発作頻度の推移を見ながら、1日0.5mg/Kgずつ増量をします。上限は1日10mg/Kgです。

   ペットの場合は、低用量1回0.1mg/Kg、1日2回で開始し、徐々に増量し、中用量1回0.3mg/Kg(体重5Kgで1回3mg)を1日2回程度で維持します。状態によっては、高用量1回0.5~1.0mg/Kg、1日2回まで増量が可能です。舌下って選択肢はペットにはないので、お口の中に直接流し込んだり、ココナッツオイルを加えて掌にとって舐めさせたり、餌に振り掛ける等々の工夫が必要です。 

■CBD100mgを超える高用量について(薬物相互作用)

  CBDで死んだ人はいない。それ位、安全性が高い成分で、海外では1日1000mgを超える症例も稀ではありません。しかし、高用量のCBDは、肝臓の酵素(CYP450)を阻害します。医薬品の大半はこの酵素により代謝されるので、血中濃度の上昇や作用時間の延長等の弊害が出る可能性があります。一応の目安として、CBD100mgを超える量を使用する場合は、下記の様な医薬品との相互作用にご注意下さい。

【高用量使用の際に、薬物相互作用を考慮すべき医薬品例】ステロイド・免疫抑制剤・スタチン・抗生物質・NSAID・AGⅡ拮抗薬(ARB)・カルシウム拮抗薬・βブロッカー・抗ヒスタミン剤・ベンゾジアゼピン・抗鬱薬・抗精神病薬・麻酔薬・プロトンポンプ阻害薬・消化管運動機能改善薬・経口血糖降下薬・SU剤・抗不整脈薬・抗HIV薬等

■副作用について

 倦怠感、眠気、眩暈、離人感、軟便、多動、イライラ、頻脈等が挙げられます。極く少量から徐々に増量(数日~1週間毎)で、大半の抗した副作用を回避出来ます。稀に、大麻成分に対してアレルギーがある場合があります。つまり、強い喉の痛みが続いたり、くしゃみ、鼻水、皮膚の発赤、蕁麻疹等です。この場合は速やかに使用を中止して下さい。

 因みに、大麻草蛋白質に類似しており、大麻草アレルギーを持つ人々にアレルギー反応を起こしやすいとされる食物としては、トマト・茄子・アーモンド・ヘーゼルナッツ・りんご・バナナ・栗・グレープフルーツが挙げられます。以上の食物にアレルギーを有している場合は、使用はオススメしません。

■妊娠中・授乳中

 CBDの妊娠中の影響については。徹底した研究自体が行われておらず、確実な安全性が担保されていません。現在の所は、原則使用を控えるべきと考えられています。

 但し、妊娠中のてんかん発作の頻発や統合失調症の急性増悪等、通常の薬物療法を用いても相当なリスクを伴う場合に、医学的な見地で苦渋の選択をなされる場合があります。

■CBDオイルの保管方法

 冷蔵庫に保管して下さい。オリーブオイルやココナッツオイルにCBDを溶かし込んだ製品では常温保存でも構いませんが、ヘンプオイルのみで作られている高品質のブロードスペクトラムCBDオイルは、熱や光が苦手です。ヘンプオイルはω3系(美容通信2010年6月号)を中心としたオイルであり、変性し易いからです。冷蔵庫等の冷暗所での保管をオススメしております。開栓後は酸化しやすいので、60日以内に使い切って下さい。

ENCOCA STRONG CBD 1500mg

 ENCOCA STRONG CBD1500mgは、フルスペクトラム(全草成分)に可能な限り近づけた「ブロードスペクトラムオイル」です。15%の高濃度、容量10ml。THC完全フリーの製品です。

 このオイル1滴の中身を詳しく書くと、下記の通り。

 ①植物性カンナビノイド;15%のCBD、少量のCBC・CBG・CBN

 ②ヘンプシードオイル(50%);ヘンプシードオイル:ω3(0.75g)/ω6(2.5g)

 ③テルペン;ミルセン、リモネン、αピネン、βピネン、リナロール、βカリオフィレン、カリオフィレンオイド、テルピノレン、フムレン

 ④ビタミンE5mg

 ⑤400種類以上の天然分子;カンナビス・ワックス、アルカン、窒素化合物、アミノ酸、アルデビド、ケトン、フラボノイド、グリコシド、ビタミン、色素、水分

 現在、HISAKOのクリニックでは、この15%の医療向け特別バージョン(日本では臨床CBDオイル研究会に所属する医療機関限定)しか取り扱ってないんですが、ENDOCA社の多くの麻畑でも、特に土壌ミネラルやテルペンが豊富な畑から作られるスペシャルな製品です。ちょっと、ここで、このENDOCAって会社についての補足をしておきます。

ENDOCAって会社

 CBDオイルのパイオニア的存在であり世界屈指の会社であるENDOCA社は、意外にも家族経営の会社です。利益重視で上場により資金を集めてしまうと、ミッションに反する株主からの指図を受けざるを得なくなるからだそうです。彼らは経済的に恵まれない人々への医療・健康面での多額の援助を惜しみません。また生産基準の改善に常に前向きな会社です。


 ENCOCA STRONG CBD1500mgは、100%ナチュラルなオイルで出来ています。農薬を一度も使用した事がない、広大な土地から生産された完全オーガニック オイルです。麻の茎と種から抽出され、麻の植物成分以外は何も加えられていません。

 15%と言うと…、ちょっとCBDオイルを試した事がある人だったら、「ちょっと飲みにくいんじゃない?」って腰が引けちゃうかも知れません。が、そんな事ありません。何とも言えないハーブっぽさレベルで、喉に痞えるような感じはしません(←少なくてもHISAKO的には!)。

 

 

ブロードスペクトラム

 オリーブオイルやココナッツオイル等で希釈するのではなく、全ての麻の成分から作られています。CBD以外の麻の成分(テルペン類等)によるアントラージュ効果が得られます。アイソレート(CBDのみを他のオイルで溶かした製品)とは一線を画す、効果とその持続性が期待出来ます。

 アイソレートのCBDオイルを用いて症状が改善した症例では、暫くすると、以前ほどの効果が出ないと言う訴えを良く耳にします。この様なケースでも、ブロードスペクトラム製品に切り替えるだけで、再び効果が得られ、且つその効果の維持が望めます。

 CBD以外の他の成分を全て捨ててしまうアイソレートとは異なり、出来る限り多成分を残す事を身上とするブロードスペクトラムの製品で一番不安視されるのが、THCの残存です。ENCOCA STRONG CBD1500mgは、規制が異なる他国の製品と混ざらない様に、日本専用の製造ラインで作られています。メーカー側の検査は非常に精度が高く、検出限界値のLODが0.001%以下であり、且つ日本の税関によるサンプル摂取により、THCが混入されていると通関出来ないと言うWのチェック機能が働いていますので、ご安心を! 因みに、品質基準については、GMP(Good Manufacturing Practices;国際的な薬品の生産品質規範)及びHACCEP(食品の製造の安全基準)を取得しています。

 

使用方法

 繰り返しになりますが、CBDオイルは、化学薬品と比べると著しい個人差が反応に出ます。大切な事は、CBDを摂る理由は何か? HIDSAKOの様に総合的な健康増進の為に服用したいのか。それとも、痛みや不安、不眠、てんかん発作等を止める為なのか、その目的によっても容量は大きく変わります。

 STRONG CBD 1500mgは、10滴でCBD45mg(4.5mg/1滴)に相当します。多く人は、就寝前にこの量を使用する事で、ぐっすり良く眠れます。唯、CBDには前述の様に二相性作用がありますので、少数の人では、10滴でも覚醒作用が出ます。その場合には、用量を減らすか、午前中に使うと仕事がさくさく捗ります。

 一般的な落としどころの量は、個人差が可なりあるとは言え、1日10~20滴(CBD45~90mg)を1日1~3回に分けて使うでしょうか。少量ならば、仕事が捗る事はあっても、支障となる可能性はほぼないと思われます。​量が多いと、CBDのもたらすリラックス効果が日中の活動の妨げになる可能性があります。そのような場合は用量をより減らすか、夜間の服用が良いと思われます。

 


*註:HISAKOの美容通信に記載されている料金(消費税率等を含む)・施術内容等は、あくまでも発行日時点のものです。従って、諸事情により、料金(消費税率等を含む)・施術内容等が変更になっている場合があります。予め、御確認下さい。


※治療の内容によっては、国内未承認医薬品または医療機器を用いて施術を行います。治療に用いる医薬品および機器は当院医師の判断の元、個人輸入手続きを行ったものです。

 

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