糸リフトで、ぽってり唇/アヒル口 | 旭川皮フ形成外科クリニック旭川皮フ形成外科クリニック

HISAKOの美容通信2019年6月号

リップアップ スレッド「ボカ」

加齢に伴い、唇のボリュームは減り、シワシワ唇になります。鼻の下が伸びた印象になり、口角も何が不満って訳でもないのに下がります。今時のかわいいとか愛され顔と称される「ぽってり唇(アヒル口)」の正反対の、極めて老けた印象を周囲に与えます。「BOCA(ボカ)」は、世界中の医療現場で、手術用の糸として使用されている、生体適合性があるモノフィラメント吸収糸を使用した、糸による上口唇形成 リップアップ スレッドです。全てのEU (欧州連合) 加盟国の基準を満たすものに付けられる基準適合マークである、CEマーク承認製品です。従来のヒアルロン酸注入よりも、持続が2年ちょっとと持ちが良いのが特徴とされています。施術時間は5分程度です。

 糸によるリフトの流行の波は、とうとう唇まで到達しました。今までは、ヒアルロン酸注入(美容通信2005年8月号)か、ラシャスリップス(美容通信2016年12月号)かの、ほぼ2択でした。しかし、このBOCA(ボカ)の発売により、単独使用、若しくは、ヒアルロン酸注入やラシャスリップを併用する事で微調整が可能となり、よりなりたい唇(ぽってり唇/アヒル口)に近づきます。

ぽってり唇の威力

ぽってり唇ってだけで、愛され度は上がる。

 唇美人とは、厚みのある「ぽってり唇」な女子を指します。例を挙げると、石原さとみとか、アンジェリーナジョリーですね。一昔以上前には、たらこ唇とかオバQ唇と一括りの嬉しくない範疇に括られていた厚ぼったい!(笑)唇は、時代の変遷と共に、ぽってり唇/アヒル口 メイク特集とか、おフェロ顔(おしゃれだけどフェロモンがある)メイクとかで、愛され顔の必須条件に認定されてしまいました。小野小町と言えば、未だに誰もが知る伝説の平安美人ではありますが、その時代の(大衆が求める)美の基準に則ってこその美人であり、カワ(・∀・)イイ!!。今は、ぽってり唇/アヒル口が持て囃される以上、諺にもあるように、「流行りの半纏着ないものは馬鹿」なのかも知れません(笑)。勿論、ラシャスリップス(美容通信2016年12月号)でお手軽ボリュームアップって手もありますが。

 しかし、同時に「流行物は廃り物」。永遠の小野小町では困りますが、ヒアルロン酸注入(美容通信2005年8月号)や、BOCA(ボカ)の様な1年半ほどで吸収されてしまう糸で、期間限定のぽってり唇/アヒル口を楽しむので良いのではないでしょうか。溶けてしまっても、その時に再び入れたくなったら入れられる自由。悪くない選択だと思います。その時の旬の”なりたい顔”に、期間限定でなるのもあり。「可愛い」で、上等じゃないですかって、昭和生まれのHISAKOは思います。

 

ぽってり唇ってだけで、更に若々しい印象になる。

 勿論、愛され顔以外にも、このぽってり唇の効用はあります。若返りです。老化に伴い、上口唇のボリュームは減り、鼻の下がベロ~んと伸び、薄い唇になります。左図を見て下さい。論文に掲載されていた合成イメージ写真を拝借したものですが、唇が痩せるだけで、顔全体のたるみや老け感がぐっと強調されてしまいますね。

 老化による口唇のボリューム低下については、幾つもの論文が発表されています。

  • 目及び口唇の大きさ、スキントーンの均一性が、老化度を判断する最も重要な要素である【korthase k, Percept Mot Skills. 1982;54:1251-8】。
  • 口唇の頂点は年齢を重ねるごとに下がり、他人にとって何歳に見えるかを決定する独立因子でもある。又、口唇のボリュームは、観察者が年齢を判断する際の、非常に重要な情報のひとつである【Gunn DA, PLoS One. 2009;4(12), e8021】。
  • 年齢を重ねて口唇は痩せて行き、特に薄めの口唇は「涼し気」な印象を与える【Nkenge A, J Eur Acad Dermatol Venereol. 2008 Aug;22(8):982-91】。

糸で作る「ぽってり唇」(リップアップ スレッド)

リップアップ スレッドの特徴

■自然な形成術

 ヒアルロン酸の注入(美容通信2005年8月号)は、どうしてもゼリー状のブツを注入しなければなりません。つまり、ボリュームアップは、好むと好まざるとに関わらず、必須で、そのままのボリュームで形のみアヒル口にするのは至難の業。糸なら、加齢に伴う唇痩せを、①上口唇の形成、②口角の挙上、③口唇上部のシワの改善と、三拍子揃った自然な仕上がりで実現出来ます。

■高い安全性

  • 生体適合性があるモノフィラメント吸収糸。
  • 世界中の医療機関で、手術用の糸として使用されている素材です。

■コラーゲン線維増加

 自己組織の産生促進と形態維持。

 

リップアップ スレッド「BOCA(ボカ)」の製品について

 プロモイタリア社は、とてもユニークなアンチエイジング関係の製品を出しているイタリアの企業です。小顔効果として有名なイデバエ(美容通信2009年3月号)も、この会社の製品です。凄~く大昔、今みたいな”糸リフトに非ずば”の風潮もない頃のお話ですが、コラーゲンの竹輪みたいな物を、BOCA(ボカ)みたいに入れてた~ぁなと、ふと懐かしく思い出してしまいました(←若い業者さんに言うと、そ、そんな代物があったんですか!?と聞き返された…)。

 BOCA(ボカ)は、プロモイタリア社の独自技術により化学合成されたモノフィラメント吸収糸です。P(LA-CL)【poly(L-lactide-co-ε-caprolactone)=ポリL-乳酸/ε-カプロラクトン共重合体】です。糸の長さは15cm(コグのある領域は10cm)。15~18ヶ月で糸自体は吸収されてしまいますが、直ぐにぺったんこになる訳ではないので、何となくは2年ちょい位は持続している感があります。なので、ヒアルロン酸注入より、倍とまでは言えませんが、遥かに持ちが良いのは事実です。

 勿論、CEマーク承認♪です。あっ、補足ですが、CEマークとは、商品が全てのEU (欧州連合) 加盟国の基準を満たすものに付けられる基準適合マークです。

BOCAの施術を解説

 BOCAのパッケージの中には、糸と、糸を通す為の土管の役割を果たしてくれるスパイナル針が入っています。

 手術時間は、約5分間。

施術手順

①口唇消毒と麻酔を行った後、スパイナル針を口角から刺入します。

②口唇の皮下に沿って針を刺し進め、スパイナル針を貫通させます。

③内筒を抜きます。ここでは、外針と言う名の土管のみが、上口唇全体を串刺し状態に貫通しています。

④反対側から土管にBOCA(ボカ)を通し、手前側からBOCA(ボカ)が出て来るのを確認します。

⑤BOCA(ボカ)の中央を合わせ、そろっと外筒(土管)を抜きます。

⑥土管を引き抜いた後、BOCA(ボカ)が口唇の左右から出ている状態となります。口が少し開いたままの状態で、形を整えます。

⑦余っているBOCA(ボカ)をカットします。その場合、2mm程皮膚から引き出してカットします。

⑧結果は、直ぐ分かります。上口唇が上向きになっているのを確認して、歪んでいたら、その場で、用手的に形を整えてしまいます。

 

プロモイタリア社提供の症例写真

 まあ、製造会社(プロモイタリア社)さんのパンフレットから拝借した症例報告ですから、まあ、全ての施術した患者さんにこの結果が全て保証されるって代物ではないのですが、イメージが沸かない人には全く沸かないと相場が決まっていますので、参考までにって立ち位置です。誤解なきように、お願いします。

  • 症例1(BEFORE / AFTER 1 MONTH)

  • 症例2(BEFORE / AFTER 1 YEAR) 

 


*註:HISAKOの美容通信に記載されている料金(消費税率等を含む)・施術内容等は、あくまでも発行日時点のものです。従って、諸事情により、料金(消費税率等を含む)・施術内容等が変更になっている場合があります。予め、御確認下さい。


※治療の内容によっては、国内未承認医薬品または医療機器を用いて施術を行います。治療に用いる医薬品および機器は当院医師の判断の元、個人輸入手続きを行ったものです。

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