コラム 食事で体を治す 2015年10月10日
川島なお美さんと北斗晶さん

先日、卒業後初めての大学(旭川医大)の同期会に出席しました。27年ぶりです。「がんになったと噂には聞いていたけど、生きて元気に戻って来たんだ! お帰りなさい。」「よかったね。」
私、卒業後すぐに北里大学の形成外科に入局して、28歳で子宮がんになりました。
腺扁平上皮(せんへんぺいじょうひ)がん(Adenosquamous Carcinoma)。
見つかった時は、原発が子宮体がんなのか子宮頸(しきゅうけい)がんだったのかも分からないゲンコツ大の腫瘍(しゅよう)で、すぐに手術はできないと言われ、抗がん剤の局所投与からのスタートでした。腫瘍の縮小が認められ、ようやく手術。後は、抗がん剤の点滴・内服、放射線と、正に、叩くに叩いたフルコース(笑)。
幸いにもリンパ節転移が認められなかったのに、主治医には「あの状態で、(リンパ節)転移がない訳がない。微小血管レベルでは絶対転移があると思う。3年以内に再発は覚悟しといた方がいい。」と宣告されました。
組織型も悪かったのも事実だし、キツイ話をせざるはえなかったんでしょうけど、あれから四半世紀経ちましたが、見事、ハズレ! 今も元気に医者してま~す。
告知? 意外に、そんなもんです。

「命が助かったんだから、よかった。」 確かに、そうです。でも、人間は欲深いから、生き延びたからそれでよし、ではなくて、その後の人生にもっとクオリティを求めたっていいじゃないか、ワガママ上等!なんだと開き直ることもできました。
自分ががんになって、そして生き延びて、初めて患者さんに胸を張ってそう言えるようになりました。
でも現実の患者さんたちはもっと繊細です。例えば、乳がんの手術や放射線の後に、傷がヒキツレて腕が上がらないので、自分で脇の毛の処理が上手くできない。今さらノースリーブの洋服を着るわけではないのだけれど、やっぱり、気になる。がんの患者さんではないけど年配の男性で、もうセックスするわけではないけど、若い頃にした包茎手術の失敗で、ペニス自体が毛むくじゃらになっているのを何十年もコンプレックスに感じていた。…脱毛すれば、いいじゃないかと第三者の立場では簡単に言えるけど、そんなものではないことはわかる医者のつもりです。

たぶん私は、脳天気に、救われたんだとひそかに思っています。餅は餅屋。医者とは言え、婦人科は分野外ですから、あれこれ半端な知識で口出しても仕方ない。主治医の先生にそっくり丸投げしちゃいました。それどころか、「しばらくは、ダイエット中断!」とばかりに、がんの宣告を受けた足で、いそいそと大好物のナポリタンを大盛りでオーダーした口ですから。健全なる腸内細菌に、感謝です。