HISAKOの美容通信2019年7月号
デュピクセント(デュピルマブ製剤)
アトピー性皮膚炎は、増悪/寛解を繰り返す、ありふれた慢性・掻痒性の炎症性皮膚疾患です。が、その悪影響は、痒みや皮膚の病変だけに留まらず、それらに起因する昼間の眠気や仕事への差し障り等々、睡眠や社会生活、労働等々と…日常の生活の様々なシーンで、悉く足を引っ張るような事をしでかしてくれます(泪)。「DISEASE BURDEN(疾病負荷)」と称されるものです。アトピー性皮膚炎のこれらの大いなる負の経済効果!?を打破する為に、新らたな治療の選択肢として登場したのが、”デュピクセント(デュピルマブ製剤)”です。アトピー性皮膚炎に於ける炎症の主体とされる、Th2細胞が関わる2型炎症反応を抑え、今までステロイド外用薬やタクロリムス外用薬(プロトピック軟膏)で十分な治療効果が得られなかった中等度以上の方に適応があります。
アトピー性皮膚炎(美容通信2007年4月号)に於ける「DISEASE BURDEN(疾病負荷)」としては、論文によれば、【睡眠】①疲労感(2.97倍)、②昼間の眠気(2.66倍)、【社会生活】①性的欲求の減弱(57%)、②日常生活への障害(36%)、【労働】①仕事への支障(52%)、②進学や職種選択への影響(38%)挙げられます。これ等の楽しくないオマケを抑え込む為に、新らたな治療の選択肢として登場したのが、<デュピクセント(デュピルマブ製剤)>です。
Th2細胞が関わる2型炎症反応が、アトピー性皮膚炎に於ける炎症の主体!
Th1/Th2バランス
私達の身体には自分と他者(異物)を見分けて、他者を攻撃する免疫システムが備わっています。花粉やハウスダストの様に、”異物だけど、悪い奴ら(病原体)ではない!”連中達に対して、免疫システムが過剰に反応した挙句に起こってしまったのが、アレルギー疾患(美容通信2018年7月号)(美容通信2016年7月号)(美容通信2007年4月号)です。このアレルギー反応の中核を担うのが、ヘルパーT細胞の1つであるTh2細胞です。T細胞(ナイーブT細胞)は、花粉等の抗原連中との生まれて初めて遭遇!により目覚め、夫々の抗原に対して特化したTh2細胞へと分化します。その際、指令物質として分泌されるのが、IL-4をはじめとした、IL3、IL5、IL10、IL13等のTh2サイトカイン達です。これにより、IgE抗体の産生、肥満細胞や好酸球の分化、活性化等のアレルギー炎症が惹起されます。
因みに、これ等のTh2サイトカインは、Th2細胞の専売特許なんかではなくて、ナチュラルキラー細胞(NK細胞)や好酸球、マスト細胞等の細胞からも産生されます。
似て非なるものに、Th1細胞があります。Th2細胞と同様に、ナイーブT細胞から分化するTh1細胞は、細胞内に侵入・寄生する病原体の排除を使命とする細胞です。具体的には、外敵を退治する為に、B細胞へ「どんな敵なのか」を知らせ、抗体(武器)を作るよう指示。B細胞は、作った抗体で敵を退治していきます。一方で、1度作った抗体は記憶しており、同じ敵が二度と侵入しないように見張ります(抗原抗体反応)。その他にも、Th1細胞はB細胞だけでなく、キラーT細胞やNK細胞、マクロファージ等の細胞達を嗾け、細菌やウィルスを貪り喰(貪食作用)わせたり、時には、武器(消化酵素等)で破壊したりします。Th1細胞は、スパイ大作戦の“当局”の人間さながら、小型オープンリール式テープレコーダー(IFN-γ)から指令を発します。指令の最後には、「例によって、君、もしくは君のメンバーが捕えられ、あるいは殺されても、当局は一切関知しないからそのつもりで。」とのメッセージが入っているかどうかまでは、定かではありませんが(笑)。
Th1細胞とTh2細胞は、前述の様に、Il-4やIFN-γ等のサイトカインを夫々産生し、互いの機能を抑制し合っています。この平衡関係はTh1/Th2バランスと称され、これが崩れると、夫々に特有の疾患が生じると考えられています。アトピー性皮膚炎は、このTh1/Th2バランスが大きくTh2に傾いた時、激しく炎上します。
アトピー性皮膚炎の病態
■アトピー性皮膚炎では、一見正常に見える皮膚にも問題が起こっている!(潜在的障害)
アトピー性皮膚炎では、遷延する潜在的な炎症により、非病変部の皮膚も障害を受けている可能性 and/or 炎症所見を認めます。
代表的な正常皮膚、アトピー性皮膚炎の非病変部皮膚、病変部皮膚の組織像です(HE染色)。正常皮膚組織に対して、非病変部組織は、表皮の肥厚とT細胞や樹状細胞を含む炎症細胞の増加を認めますね(スケールバー:100μm)。
■アトピー性皮膚炎では、病変や症状の根底に慢性的な炎症がある。
右図の様に、アトピー性皮膚炎では、病的な皮膚と、一見正常そうに見える非病変部が混在しています。しかし、全身で潜在的な炎症が慢性的に持続している以上、非病変部の皮膚が幾ら綺麗に見えたとしても、決して正常な(健康な)皮膚ではありません。病的!と認識される一線を、単に、見た目的に超えていないだけです。ですから、些細な環境刺激に対して、皮膚の表皮層は、メンヘラ女も真っ青級の過度な反応を示し、皮膚深層部に存在する過剰な免疫応答の結果と相まって、病変と症状が加速度的に増悪します。実際、健常者の皮膚と比較して、アトピー性皮膚炎患者の非病変部の皮膚は、乾燥がより高度で、刺激に対する皮膚の反応性が高くなっているという報告もあります。
更には、マウスモデル及びヒト培養細胞を用いた実験から、Th2反応を介した炎症によって、皮膚のバリア機能が低下し、乾皮症(皮膚の異常な乾燥)及び激しい痒みを伴う病変形成が起こりやすくなる事も知られています【痒みと掻破の悪循環(itch-scratch cycle)の形成】。動物を用いた試験ですが、角層に対するダメージによって、ケラチノサイトからの神経メディエーターの放出と表皮内への神経線維の伸長が起こり、益々痒みが酷くなる!なんて事も報告されています。
アトピー性皮膚炎に於いて、その根底にある慢性炎症の形成には、Th2サイトカインであるIL-4、IL-13等が重要な役割を果たしています。
■アトピー性皮膚炎に於いて、炎症の持続にはIL-4とIL-13が中心的な役割を果たしている。
Th2細胞やTh2(2型)サイトカインに関わる2型炎症反応は、アトピー性皮膚炎に於ける炎症の主体と考えられています。実際、アトピー性皮膚炎患者由来の組織標本を用いた研究から、急性病変と慢性病変、更には非病変部の皮膚でも、①IL-4およびIL-13を産生する免疫細胞の数、②健常者と比較したTh2シグナル伝達の程度 の増加がみられることが示されています。
IL-4及びIL-13は、2型炎症反応の上流経路の主要なサイトカインです。つまり、こ奴らのシグナル伝達回路を早々にブロックしちまえば、下々に位置する、IL-5、IL-31、IgE等の複数の炎症性のメディエーターは遊離出来ず、皮膚のバリア障害も起これない!って寸法です。動物モデル及びヒトでの研究からも、IL-4およびIL-13が、全身性の慢性炎症反応の形成に於いて重要な役割を果たしている事が示されています。動物を用いた試験及び in vitro 試験でも、寄生虫感染に対する正常な免疫応答とアトピー性皮膚炎の病態形成の両者に於いて、IL-13は、IL-4とオーバーラップしつつも、異なる役割を持つエフェクターサイトカインとして働いている事が示されています。
これが、「な~んだ。上流で堰き止めちまえば、皮膚の症状が顕著でない潜在的な状態(時期)であっても、(アトピー性皮膚炎の)持続的に存在する炎症プロセスをコントロール出来るんじゃんかぁ。俺って、頭いい♪」って開発者の自己陶酔に満ちた呟きが聞こえて来そうな薬剤、「デュピクセント(デュピルマブ製剤)」の本質です。
■炎症を抑える事で、アトピー性皮膚炎の本態をコントロール!?
アトピー性皮膚炎は炎症性疾患であり、併存する多くのアレルギー疾患との関連が確認されています。非病変部を含む患者さんの皮膚には、例え掻痒が治まった後であっても、燻り続ける炎症の火種が隠れています。実際、症状の増悪時に疾患活動として現れるTh2炎症反応は、増悪が治まった後も潜在的に持続しています。
アトピー性皮膚炎の保険治療は、対症療法的(すなわちリアクティブ)且つ一時的なアプローチが用いられ、症状の評価も表面的なものになりがちでした。まあ、抗ヒスタミン剤の内服と、ステロイドの外用位が関の山っていうのが、保険治療の限界と言うか…、そもそも保険治療で行える選択肢自体が少ないから、そうならざる得ないのが現状。それでもないよりはましだし、一部の患者さんにとっては有効な場合だってあります。でも、持続する潜在的な炎症に対しては、殆どアプローチらしいアプローチをしていないんですから、(「デュピクセント(デュピルマブ製剤)」って新薬を販売し始めた製薬会社さんが、大きな顔して)「疾患が十分にコントロールされていない患者さんにとっては、不十分です。」と言い放っても、「そだね~★」って頷くしかありません。まあ、機能性医学的な立場から言わしてもらえば、「もっと根源的なところに言及してから言い放てよ(笑)」と思わぬ訳ではないですが(笑)。
そもそも根本的な原因(美容通信2019年4月号)に手を付けていないのですから、どうしたって、”持続する掻痒と病変を伴って、頻繁に繰り返す、予測不可能で、際限のない再燃のサイクル!”から抜け出せす、往々にして、徒労感に苛まれる羽目に…。再燃は数日、数週間、或いはもっと長い期間持続する事もあります。
増悪の回数を減らし、重症度を下げ、増悪の起こる間隔を延ばす為には、以下に炎症をコントロールする事を使命とするデュピクセント(デュピルマブ製剤)だけでは、力不足は否めません。最低でも、皮膚症状改善後も、プロアクティブ療法(保湿外用薬によるスキンケア(美容通信2019年3月号)(美容通信2015年2月号)に加え、ステロイド外用薬やタクロリムス軟膏やコレクチム軟膏(美容通信2020年12月号)の間欠投与等)によるコントロールを考慮する必要があります。勿論、前述の機能性医学の考え方(美容通信2019年4月号)に基づいて、①炎症(感染、食事又はその他の原因による)予防と低下、②ホルモン、栄養素、栄養物(食品)を最適化する、③毒素を駆除するは、必須な話と言うか…それなくして、何が治療?なんですが、現行の保険医療制度では、この大事な根幹は全く評価されません。保険の診療では、このデュピクセント(デュピルマブ製剤)の処方条件として、ステロイド外用薬やタクロリムス外用薬等の抗炎症外用剤を一定期間行っても、十分な効果が得られないって事のみが重要視されます。本末転倒とまでは言いませんが…、まあ、世の中の決まり事として、ご理解下さいませ。
デュピクセント(デュピルマブ製剤)の特性
デュピクセント(デュピルマブ製剤)の特性
- IL-4/13によるシグナル伝達を阻害し、アトピー性皮膚炎の病態に深く関与するTh2型炎症反応を抑える、世界初のヒト型抗ヒトIL-4/13受容体モノクローナル抗体(生物学的製剤)です。
- ステロイド外用薬で効果不十分な中等症以上のアトピー性皮膚炎の症状を改善しました(ステロイド外用薬との併用療法)。
- 投与開始後16週時に68.9%がEASI-75※2を達成しました(検証試験)。
- 掻痒NRS(数値評価スケール)スコア変化率は投与開始後2週時には有意な低下を示し、16週時には-56.6%でした。
- EASIスコア変化率は投与開始後16週時に-80.1%、52週時に-85.0%でした。
- 通常、成人には初回に600mg、2回目以降は300mgを2週に1回皮下投与します。
- アトピー性皮膚炎患者を対象とした国際共同試験3試験で本剤300mgを2週に1回投与された403例(日本人62例を含む)において、副作用は123例(30. 5%)に発現し、主な副作用は、注射部位反応29例(7. 2%)、頭痛12例(3. 0%)、アレルギー性結膜炎7例(1. 7%)でした(承認時)。重大な副作用として、重篤な過敏症があります。
※1:既存治療!で効果不十分なアトピー性皮膚炎に限ります。
※2:EASIスコアが、ベースラインから75%以上改善した患者さんの割合です。
〈効能又は効果に関連する使用上の注意〉
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デュピクセント(デュピルマブ製剤)は、アトピー性皮膚炎の病態形成に深く関係するTh2型炎症を抑制する、ヒト型抗ヒトIL-4/13受容体抗体製剤します。
デュピクセント(デュピルマブ製剤)は、IL-4受容体複合体(IL-4Rα/γc、若しくはIL-4Rα/IL-13Rα1)及びIL-13受容体複合体(IL-4Rα/IL-13Rα1)に共通の、IL-4受容体αサブユニット(IL-4Rα)に特異的に結合する事により、両受容体複合体の形成を阻害し、IL-4、IL-13の両方のシグナル伝達を阻害する遺伝子組換えヒト型モノクローナル抗体です。
■デュピクセント(デュピルマブ製剤)の作用点
まあ、図にまとめるとこんな感じ。
臨床試験で使用した評価指標について
ちょっとつまんない内容ですが、この意味が分かんないと、何言ってんだかちんぷんかんぷんになってしまいます。
EASI(Eczema Area and Severity Index)スコア
EASIは世界的に頻用されているアトピー性皮膚炎評価指標の1つで、体全体の他覚的なアトピー性皮膚炎重症度を表します。乾癬の評価指標Psoriasis Area and Severity Index(PASI)の手法を修正して作成されており、アトピー性皮膚炎に於いて重要な形態的変化の重症度とその広がりから、アトピー性皮膚炎重症度を簡便に評価します。 また、治療反応性の評価にも有効で、アトピー性皮膚炎の臨床試験のコア評価項目の統一を目的とした国際的なコンセンサス会議Harmonising Outcome Measures for Eczema(HOME)は、臨床試験における他覚所見の評価に、EASIを用いることを推奨しています。
- 4つの身体部位ごとに4つの皮疹の要素の重症度を評価し、合計する。
- この値に病変が体表面積に占める割合を掛け、さらに各部位の乗数を掛ける。
- 4つの身体部位のスコアを合計してEASIスコアとする。
- EASIスコアの範囲は0~72である。
0.1~1.0:ほぼ寛解 1.1~7.0:軽症 7.1~21.0:中等症 21.1~50.0:重症 50.1~72.0:最重症 - 臨床的に有意な最小変化量(MCID:Minimal Clinically Important Difference)は6.6ポイント以上である。
【EASI-50、EASI-75、EASI-90 達成イメージ】
※こちらのイメージ写真は特定の治療による効果を示すものではありません。
写真提供:片岡葉子先生(大阪はびきの医療センター 皮膚科)
皮膚病変IGA(Investigator7s Global Assessment)スコア
医師(主治医)による皮膚病変の全般的な評価で、デュピクセント(デュピルマブ製剤)の臨床試験では、以下を基準とした0~4の5段階評価で評価しました。
スコア | |
0(消失) | アトピー性皮膚炎による炎症の兆候なし |
1(ほぼ消失) | 辛うじて認識出来る紅斑、又は極く軽度の病変の隆起(丘疹形成/浸潤) |
2(軽症) | 目で検知可能、薄いピンク色の紅斑、及び極く軽度の隆起(丘疹形成/浸潤) |
3(中等症) | くすんだ赤色、明らかに識別可能な紅斑、明らかに認識出来る隆起(丘疹形成/浸潤)、但し広範ではない |
4(重症) | 深紅/暗赤色の紅斑、著明且つ広範な隆起(丘疹形成/浸潤) |
掻痒NRS(Numerical Rating Scale:数値評価スケール)スコア
掻痒NRSは、痒みの重症度を評価する為に設計された患者報告アウトカムで、患者さんは以下の質問に回答します。「過去24時間で最も酷かった時の痒みをの重症度を、0~10の間の数値(「0=全く痒みがない状態」、「10=想像出来る範囲で最も酷い痒み」)でお答え下さい。」
DLQI(皮膚疾患に特化したquality of life(QOL)の評価指標)スコア
DLQIは、皮膚疾患に特化したquality of life(QOL)の評価指標です。DLQIは、皮膚疾患の種類を問わず、日常臨床で簡便に用いることが可能なQOL評価指標として作成され、皮膚疾患患者のQOL評価や皮膚疾患間のQOL比較に世界中で広く用いられています。
アトピー性皮膚炎の日常臨床に於いて、DLQIを用いてQOLを把握し、アトピー性皮膚炎による心理社会的な影響を考慮する事は、患者中心のアトピー性皮膚炎診療に役立ちます。
- 各項目を合計して総合得点(0~30点)を算出します。
- 高得点ほどQOLが良くない状態です。
0~1点:生活に全く影響がない 2~5点:生活に軽度の影響がある6~10点:生活に中等度の影響がある 11~20点:生活に大きな影響がある21~30点:生活に非常に大きな影響がある - 臨床的に有意な最小変化量(MCID)は4点以上です。
非常に | かなり | 少し | 全くない | この質問は私に 当てはまらない |
||
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1 | ここ1週間、皮膚にかゆみや痛み(ひりひり、ぴりぴり、ずきずきするような)を感じましたか | 3 | 2 | 1 | 0 | |
2 | ここ1週間、皮膚の状態のせいで、恥ずかしく思ったり、まわりの人の目が気になったりすることがありましたか | 3 | 2 | 1 | 0 | |
3 | ここ1週間、皮膚の状態のせいで、買い物や家事、家の仕事をするのに支障がありましたか | 3 | 2 | 1 | 0 | 0 |
4 | ここ1週間、皮膚の状態のせいで、服装に影響がありましたか | 3 | 2 | 1 | 0 | 0 |
5 | ここ1週間、皮膚の状態のせいで、人付き合いや自由時間の過ごし方に影響がありましたか | 3 | 2 | 1 | 0 | 0 |
6 | ここ1週間、皮膚の状態のせいで、スポーツをするのに支障がありましたか | 3 | 2 | 1 | 0 | 0 |
はい | いいえ | この質問は私に 当てはまらない |
||
---|---|---|---|---|
7 | ここ1週間、皮膚の状態のせいで、仕事や勉強がまったくできないことがありましたか | 3 | 0 | 0 |
“いいえ”と答えた方のみにおうかがいします。 | かなり | 少し | 全くない | |
ここ1週間、皮膚の状態のせいで、仕事や勉強の効率が落ちるようなことがありましたか | 2 | 1 | 0 |
非常に | かなり | 少し | 全くない | この質問は私に 当てはまらない |
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8 | ここ1週間、皮膚の状態のせいで、夫(あるいは妻)、恋人、親しい友人、身内や親戚の人たちとの関係がうまくいかないことがありましたか | 3 | 2 | 1 | 0 | 0 |
9 | ここ1週間、皮膚の状態のせいで、性生活に支障がありましたか | 3 | 2 | 1 | 0 | 0 |
10 | ここ1週間、皮膚の治療や手入れのために、たとえば家が散らかったり、治療や手入れに時間がかかりすぎるなどの問題がありましたか | 3 | 2 | 1 | 0 | 0 |
POEM(Patient-Oriented Eczema Measure:患者自身による湿疹評価)スコア
POEMは、患者さん自身によるアトピー性皮膚炎の症状の評価指標の1つで、自己評価指標として世界的に推奨されています。POEMはアトピー性皮膚炎のモニタリングに有用で、またその重症度の分類にも適しています。
- POEMは、子供と大人の為の、アトピー性の湿疹の症状を評価する為の7項目(乾燥、痒み、搔破痕、ひび割れ、睡眠の妨げ、出血、滲出)で構成された質問票です。
- 各項目を合計して総合得点(0~28点)を算出します。
- 過去1週間に、夫々の項目について、症状を認めた頻度に基づいて5段階で評価します。「なし(0日)」の場合は0点、「1~2日」の場合は1点、「3~4日」の場合は2点、「5~6日」の場合は3点、「毎日」の場合は4点です。合計スコアは、0~28点になります。
- 高得点ほど状態が良くないことを表し、0~2点は「消失又はほぼ消失」、3~7点は「軽度の湿疹」、8~16は「中等度の湿疹」、17~24は「重症の湿疹」、25~28は「極度の湿疹」で、臨床的に有意な最小変化量(MCID)は3.4点以上とされています。
質問 | 選択肢 | |
1 | この1週間で、湿疹のために皮膚の痒みがあった日は何日ありましたか? | なし(0日) 1~2日 3~4日 5~6日 毎日 |
2 | この1週間で、湿疹のために夜の睡眠が妨げられた日は何日ありましたか? | なし(0日) 1~2日 3~4日 5~6日 毎日 |
3 | この1週間で、湿疹のために皮膚から出血した日は何日ありましたか? | なし(0日) 1~2日 3~4日 5~6日 毎日 |
4 | この1週間で、湿疹のために皮膚がジクジク(透明な液体がにじみ出る)した日は何日ありましたか? | なし(0日) 1~2日 3~4日 5~6日 毎日 |
5 | この1週間で、湿疹のために皮膚にひび割れができた日は何日ありましたか? | なし(0日) 1~2日 3~4日 5~6日 毎日 |
6 | この1週間で、湿疹のために皮膚がポロポロと剥がれ落ちた日は何日ありましたか? | なし(0日) 1~2日 3~4日 5~6日 毎日 |
7 | この1週間で、湿疹のために皮膚が乾燥またはザラザラしていると感じた日は何日ありましたか? | なし(0日) 1~2日 3~4日 5~6日 毎日 |
臨床試験の結果:有効性/安全性(有害事象・副作用)
有効性
以下、ステロイド外用薬との併用療法(CHRONOS試験)による結果です。
*CHRONOS試験とは、外用薬では疾患のコントロールが十分でない、中等症から重症のアトピー性皮膚炎の患者さんを対象に、ステロイド外用薬と併用したデュピクセント(デュピルマブ製剤)の、有効性及び安全性を評価した52週間投与の長期試験。国際共同第Ⅲ相検証的試験。
■【皮膚病変】EASI-75を達成した患者の割合について、デュピクセント群の優越性が検証されました。(16週時)
- 16週時のEASI-50、75、90達成患者割合:主要評価項目 EASI-75、副次評価項目 EASI-50/90
■【皮膚病変】デュピクセント投与後、EASIスコアは低下しました。(16週時)
- EASIスコア変化率の推移:副次評価項目16、52週時
■【皮膚病変】IGA≦1(消失/ほぼ消失)を達成した患者の割合について、デュピクセント群の優越性が検証されました。(16週時)
- IGA≦1(消失/ほぼ消失)達成率:主要評価項目 16週時、主要な副次評価項目 52週時
IGAスコアが、0又は1、且つベースラインから2点以上減少しているのが確認出来ます。
■【痒み】掻痒NRSスコア変化率は、投与開始後2週時には有意な低下を示し、16週時には-56.6%でした。
- 掻痒NRSスコア変化率の推移:主要な副次評価項目 16週時、副次評価項目 2週時
■【バイオマーカー】投与開始後52週時のTARC変化率は-87.49%でした。
- TARC変化率中央値の推移(LOCF):探索的バイオマーカー
■【QOL】QOLの指標となったDLQIスコアへの影響(参考情報)
- 【参考情報】DLQIスコア変化量の推移:副次評価項目 16,52週時
■【PRO:Paient-Reported Outcome(患者報告アウトカム)】 POEMスコアは投与開始後、12.8点低下しました。(16週時)
- POEMスコア変化量の推移:副次評価項目 16,52週時
*MCID:Minimal Clinically Important Differences
副作用・有害事象
副作用(治験薬との因果関係が否定出来ない有害事象)は、プラセボ群で29.2%(92/315例)、300mg/2週群及び300mg/週群を含むデュピクセント群で34.6%(147/425例)に発現しました。主な副作用は、プラセボ群でアトピー性皮膚炎、注射部位反応、鼻咽頭炎等。デュピクセント群では、注射部位反応、頭痛、アレルギー性結膜炎等でした。
重篤な有害事象は、プラセボ群で16例(蕁麻疹1例、アトピー性皮膚炎1例等)。デュピクセント群で、14例(アトピー性皮膚炎2例、皮膚有棘細胞癌2例等)に発現しました。投与中止に至った有害事象は、プラセボ群で25例(アトピー性皮膚炎15例、蕁麻疹1例等)、デュピクセント群で11例(注射部位反応2例、アトピー性皮膚炎1例等)でした。本試験において、死亡例は1例でした(交通事故) 。
■重度の感染症等の有害事象(52週間)
300mg/2週群及び300mg/週群を含むデュピクセント群425例、及びプラセボ群315例に於いて、重度の感染症が、デュピクセント群で1例(0.2%)、プラセボ群で5例(1.6%)。非経口抗菌薬による治療を要する感染症が、5例(1.2%)及び3例(1.0%)。2週間を超える、経口抗菌薬・抗ウイルス薬・抗真菌薬による治療を要する感染症が、3例(0.7%)及び6例(1.9%)。日和見感染症が、3例(0.7%)及び11例(3.5%)。臨床的な内部寄生虫感染が、1例(0.2%)及び0例に発現しました。
有害事象の種類 |
プラセボ(+ステロイド外用)(n=315) |
デュピクセント(+ステロイド外用薬)(n=425) |
重度の感染症 ・他に分類されない細菌感染 ・ヘルペスウイルス感染 ・インフルエンザウイルス感染 ・下気道及び肺感染 ・皮膚組織及び軟部組織感染 |
5(1.6%) |
1(0.2%) 1(0.2%) 0 0 0 0 |
非経口抗菌薬による治療を要する感染症 | 3(1.0%) | 5(1.2%) |
2週間を超える経口抗菌薬・抗ウイルス薬・ 抗真菌薬による治療を要する感染症 |
6(1.9%) | 3(0.7%) |
日和見感染症 ・ヘルペスウイルス感染 |
11(3.5%) 10(3.2%) |
3(0.7%) 3(0.7%) |
臨床的な内部寄生虫感染 | 0 | 1(0.2%) |
■結膜炎の有害事象(52週間)
300mg/2週群及び300mg/週群を含むデュピクセント群425例、及びプラセボ群315例に於いて、結膜炎の有害事象が、デュピクセント群で76例 (17.9%)、プラセボ群で25例(7.9%)に発現しました。重度の結膜炎及び結膜炎による投与中止例は両群共にありませんでした。
有害事象の種類 | プラセボ(+ステロイド外用)(n=315) | デュピクセント(+ステロイド外用薬)(n=425) |
結膜炎 |
25(7.9%) 5(1.6%) 15(4.8%) 5(1.6%) 1(0.3%) |
76(17.9%) 9(2.1%) 59(13.9%) 11(2.6%) 2(0.5%) |
【用法及び用量】 通常、成人にはデュピルマブ(遺伝子組換え)として初回に600mgを皮下投与し、その後は1回300mgを2週間隔で皮下投与した。
■副作用(国際共同試験3試験集計)
アトピー性皮膚炎患者を対象とした国際共同試験3試験で、本剤300mgを2週に1回投与された403例(日本人62例を含む)に於いて、副作用は123例(30. 5%)に発現し、主な副作用は、注射部位反応29例(7. 2%)、頭痛12例(3. 0%)、アレルギー性結膜炎7例(1. 7%)でした(承認時)。
※主な副作用:プラセボ群の発現率よりも1%以上高い頻度で認められた副作用のうち、発現頻度が高かった上位3つを主な副作用として記してあります。
デュピクセント(デュピルマブ製剤)の投与方法
デュピクセント(デュピルマグ製剤)の適応の患者さんは、どんな人?
デュピクセント(デュピルマブ製剤)で、アトピー性皮膚胃炎だから、全員が全員に使えるお薬ではありません。適応の条件、つまり「既存治療で効果不十分なアトピー性皮膚炎患者さん」でなければ、当たり前ですが、使えません。って訳で、具体的な適応の条件を挙げときますね。
■前治療要件
成人!(お子ちゃまではないです)のアトピー性皮膚炎の方で、直近の6ヶ月以上、ステロイド外用薬(ストロングクラス以上)やカルシニューリン阻害外用薬(プロトピック(タクロリムス軟膏))による治療を受けている事。この6ヶ月以上って期間は、単一のクリニックや病院である必要はなくて、通しの合計って意味ね。これ等の抗炎症外用薬に対して、過敏症があったり、物凄く酷い薬の副作用があって使えない症例は別ですが、基本は、「使い続けているけど、埒が明かないから、更にもう一品!」じゃないと、適応じゃないんです。
「合成のこれ等のステロイドやプロトピック外用薬をもう使い続けるのは嫌だから、中止して、代わりにデュピクセント(デュピルマブ製剤)を使いたい」なんて切実な思いが患者さんにあったとしても、適応外なんです。門前払い。デュピクセント(デュピルマブ製剤)のお注射を続けて、これ等の抗炎症外用薬を塗る場所がなくなって、保湿剤のみになる分には、続けて注射しても保険は通ると言うか…再燃を防ぎ、良い皮膚状態の維持の為のお注射なので、治療としてそのまま継続になります。まあ、これはお約束事ですから、仕方ありません。
■開始時の疾患活動性の状況
以下の要件を満たす必要があります。と言うか、「強い炎症を伴う皮疹が広範囲に及ぶ患者さん」って定義の、具体的な内容とお考え下さい。厚生労働省曰く、漠然と”酷い”じゃあ、公費を使う以上ダメ!って事です、はい。
- IGAスコア 3以上
- 全身のEASIスコア16以上 and/or 頭頚部のEASIスコア2.4以上
- 体表面積に占める、アトピー性皮膚炎病変の割合が10%以上
■禁忌
デュピクセント(デュピルマブ製剤)に含まれる成分に対して、過敏症の既往がある患者さんは禁忌です。
■要注意!
禁忌ではありませんが、要注意!の方は以下の通り。ただ、まあ、真の意味での要注意は、喘息等のアレルギー疾患をお持ちの方ぐらいで、他は、ほぼ禁忌と考えてもらった方が良いかなと。
デュピクセント(デュピルマブ製剤)の投与により、喘息等の他のアレルギー性疾患の症状が変化する可能性があります。その為、デュピクセント(デュピルマブ製剤)投与期間中は、アレルギー性疾患の主治医との連携による治療が必須になります。なので、HISAKOや、HISAKOのクリニックのスタッフに必ずその旨をお伝えいただくのと同時に、治療を行っている and/or 行うであろう主治医の先生にも、「デュピクセント(デュピルマブ製剤)を使ってますだ!」と、必ずお伝え下さいませ。携帯用のポケットカードをお渡ししますので、保険証といつもセットでお願いしま~す!
注射は、何処に打つ?
デュピクセントは、1シリンジにデュピルマブ(遺伝子組換え)300mgを含有するプレフィルド・シリンジです。左図を参考にして下さい。腹部(臍の周り5cmは避ける!)、大腿部、上腕部(二の腕)の皮下に注射します。
- たまに…打った部位が一番効くんじゃないかって誤解する方がいます。このお注射は、皮膚が敏感な部位、皮膚に損傷、打撲や傷のある部位、アトピー性皮膚炎の強い炎症を伴う部位は、避けて注射します。正常な皮膚の部位にしか、注射しません。
- 前回注射した部位とは違う部位に、注射します。
- 腹部に注射する場合は、左図のように上下左右で4ヵ所に分けて、前回の注射とは別の箇所を選んで注射します。これが脂肪融解注射!との違いですね。
投与スケジュール
通常、成人にはデュピルマブ(遺伝子組換え)として初回に600mgを皮下投与し、その後は1回300mgを2週間隔で皮下投与します。
- 注射部位反応が報告されているので、お気に入りのポイント!があったとしても、投与毎に注射部位を変えなければいけません。
- 本剤による治療反応は、通常投与開始から16週までには得られるとされています。ですから、16週までに治療反応が得られない場合は、投与中止を考慮する事とされています。
デュピクセント(デュピルマブ製剤)は、高いお薬。でも、医療費助成制度ってものがあります。
医療費控除
1年間で支払った医療費の総額が10万円(総所得額が200万円未満の方は、総所得金額の5%)を超えると、医療費控除を受ける事によって、所得状況に応じた還付金を受け取る事が出来ます。医療費控除を受ける為には、確定申告が必要です。クリニックからの領収書の再発行はありません! 必ず、保管しておいて下さいね。詳しくは、最寄りの税務署にお尋ね下さい。
【医療費控除の計算式】医療費控除額(最高200万円)=実際に支払った医療費の合計ー保険金等で補償される金額ー10万円
【還付金の目安】還付される所得税の目安=医療費控除額×所得税率
高額医療費制度
1ヶ月間に、クリニック(医科/歯科)や薬局の窓口で支払った額が一定の金額を超えた場合に、その超えた金額が払い戻される制度です。詳しくは、加入している保険者等にご確認下さい。
因みに、この高額医療制度って、1つのクリニックだけの自己負担(院外処方代を含む)額で云々と考えがちですが、実は合算‼の制度。同じ月に受診した別の医療機関等の自己負担分も、併せての高額医療費の支給対象になるんです。更に更に、世帯合算だとか、多数回該当だとかの、自己負担を軽くする裏技が色々あります。唯、年齢や所得によって無茶苦茶細かい規定があって、厚生労働省のホームページ「高額医療費制度を利用される皆さまへ」を読んでも、「何言ってんだか…全然理解が出来ない!」と途方に暮れる患者さんも多く、加入している保険者に個別に確認する方が早くて確実かも。高額医療貸付制度、高額医療介護合算療養費制度等々なんて代物もありますし…、ホント、保険者に一番賢い方法をご相談して下さいませ。
付加給付(一部負担還元金、家族療養費付加金等)
企業の健康保険組合や共済組合等の独自の制度です。「1か月間に掛かった医療費の自己負担限度額を決めておき、限度額を超過した費用を払い戻す制度」です。但し、全ての組合で実施されている訳ではありません。詳しくは、加入している健康保険組合や共済組合にお尋ね下さい。
その他の医療費助成制度
- 大学等の学校では、独自に学生の医療費負担を補助する制度を運営している場合があります。指定病院がある場合は、手続きが必要な場合がありますので、詳しくは学生課等にご確認下さい。
- 自治体によっては、中高生等の子供に対する医療費助成を行っている場合があります。対象年齢、助成内容、申請方法が自治体によって異なります。詳しくは、お住いの自治体にご確認下さい。
- 自治体によっては、ひとり親家庭の方に医療費助成を行っている場合があります。助成内容や申請方法が、自治体によって異なります。詳しくは、お住いの自治体にご確認下さい。
補足・アトピー治療薬の”うれしい”副作用?
デュピルマブ投与で脱毛症患者に発毛
アトピー性皮膚炎の治療目的で、全頭型円形脱毛症の13歳の女児に生物学的製剤のデュピルマブを使用したところ、頭皮に発毛が認められた―。同薬の予想外の”副作用”に関する報告が JAMA Dermatol(2018年10月10日オンライン版)に掲載されました。報告した米・Massachusetts General HospitalのMaryanne M. Senna氏らは「デュピルマブによる円形脱毛症患者の発毛に関する報告はこれが初めて」と説明していいます。
■治療開始から6週間後に産毛!
この女児は2歳以降、毛髪が生える事がなく、anthralin軟膏の局所投与等の様々な治療を試みられたものの、効果が得られなかったそうです。また、女児は生後7カ月で治療抵抗性のアトピー性皮膚炎を発症し、Senna氏らの施設を受診する2カ月前には全頭型円形脱毛症とアトピー性皮膚炎の治療を目的としたステロイドパルス療法とメトトレキサートによる治療を受けていたそうです。しかし、これらの治療はアトピー性皮膚炎には一定の効果がありましたが、脱毛症の改善は認められなかったので中止されました。
そこで、同氏らは、この女児に対して、2017年7月にデュピルマブ300mgを隔週で注射する治療を開始しました。その6週間後には、アトピー性皮膚炎の症状が著明に改善しましたが、更にこの頃、女児が頭皮に産毛が生えてきたことに気付いたんだそうです。
デュピルマブによる治療開始9カ月後には、相当量の毛髪が認められ、その髪質は通常の毛髪と同様の色素性のものだったそうです。その後、医療保険に変更が生じたので、デュピルマブによる治療を2カ月間中止したところ、毛髪が抜け始めてしまったそうです。しかしながら、同薬の使用を再開すると再び毛髪が増え、使用開始11カ月後には頭皮のほぼ全体で発毛が認められたんだそうです。
下図は、プレスリリースより引用抜粋した、デュピルマブ投与開始6カ月後(上)と11カ月後(下)の女児の頭部です。
両疾患に共通した特徴か?
今回、デュピルマブによってアトピー性皮膚炎だけでなく円形脱毛症も改善した事について、Senna氏らは「両疾患に共通した免疫学的な特徴があるからではないか」との見方を示しています。
アトピー性皮膚炎の炎症反応には2型ヘルパーT(Th2)細胞が関与していますが、デュピルマブにはTh2細胞から放出されるインターロイキン(IL)-4やIL-13のシグナル伝達を阻害する作用があります。
一方、同氏らによると、円形脱毛症の病因は完全には解明されてはいませんが、最近の研究から円形脱毛症でもTh2細胞が重要な役割を果たしている事が示唆されています。
なお、同氏は「他の脱毛症患者にデュピルマブが有効か否かについては現時点では不明」とした上で、「疾患活動性が高い円形脱毛症患者の発毛を促す可能性はあるのではないか」と推測しています。「そのような患者群を対象とした大規模臨床試験で、デュピルマブの有効性を検証する必要がある」と主張しているそうです。
※治療の内容によっては、国内未承認医薬品または医療機器を用いて施術を行います。治療に用いる医薬品および機器は当院医師の判断の元、個人輸入手続きを行ったものです。
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