「シカ注意」
動物注意の道路標識は、地方色を色濃く反映するものの一つです。
カメやカニ、ヤンバルクイナなどは、いかにも沖縄!ですし
海外に目を向ければ、ウォンバットやカンガルー、
コアラやゾウなんてものもあります。
「シカ注意」の標識は北海道に限ったものではありませんが
北海道では、エゾシカと自動車との交通事故は年間1800件以上、
JR北海道管内で列車の遅延回数は年間2800件以上が発生しています。
特に、国道44号線は超危険エリアとされており
釧路開発建設部では、衝突事故発生マップの配布の他、
事故を防ぐためのアドバイスや情報を提供しているほどです。
エゾシカは、ニホンジカの亜種の中では最大級の大きさで
頭胴長140-180cm、体重は雄で90-140kg、雌で70-100kgもあります。
ですから、衝突時の衝撃は大きく
稀ではありますが、人の死亡事故が起きることもあります。
春先は、エゾシカとの衝突事故が多発する時期です。
幹線道路っぱたは日当たりが良く
早々に芽吹き始めた蕗の薹はエゾシカ達の大好物ですから
ホント、わらわら集って来ます。
ところがエゾシカには、突然道路に飛び出すって困った習性があり
それも1頭が飛び出すと、我も我もって競って飛び出してくるので
どうしても事故件数が増えるみたいです。
近年の個体数の爆発的増加にともない
エゾシカとの衝突事故は、増加の一途を辿っていますが
それ以上に深刻なのが、農林業への被害と
採食活動による森林や高山植物などの生態系破壊です。
もはやエゾシカの問題は、北海道の経済と自然を脅かす社会問題となっており
「災害」とまでいわれています。
エゾシカは、一日に2~5kgもの植物を食べます。
夏期には草本や牧草、餌が不足する冬期にはササ類や樹皮など
植物ならたいていのものはOKです。
ディアライン(deer line)という言葉を知っていますか?
エゾシカの口の届く高さを境に
食い尽くされたところとそうでないところが明白な、植生上の線のことです。
写真は、ヒサコがGW中に訪れた、神居古潭のハイキングコースです。
そこまで食いつくされた感はありませんが
木の幹にしっかり刻まれた歯跡を見ると、肉食系草食動物、恐るべし!
鹿肉は、高タンパクかつ低脂肪で
牛レバーと比べても鉄分も多く含まれており
栄養学的に非常に優れた食品です。
北海道では、毎月第4週の火曜日を「シカの日」と定め
ハンバーグや加工製品などを使った料理を
「ご当地グルメ」として普及に努めてはいますが
食用として有効活用されるのは
狩猟もしくは駆除されたエゾシカ全体の約13%に過ぎません。
増え過ぎて困る害獣ですが
是非とも、北海道固有の資源として有効活用したいものです。