診療内容 ー メンズヘルスケア | 旭川皮フ形成外科クリニック

メンズヘルスケア

メンズヘルスケア外来では、年齢と共に低下するテストステロン(男性ホルモン)分泌を補います。 そのために定期的な血液検査を行い、症状に応じた注射やクリーム、飲み薬(サプリメント含)などを投与します。これにより、より質の高い生活を追求、もしくは現在の水準を維持することが可能になります。 例えば、男性のAGA(男性型脱毛症)治療の際に定番処方されるプロペシア。確かに髪の毛には効いてるけど、何となくモチベーションが下がっている、といったことはありませんか? それは、テストステロンの3~5倍もの強力なアンドロゲン作用(※)を有し、筋肉以外の全臓器、つまり、脳みそや皮膚、性器、骨などに作用して、人生を楽しくハッピーなものにしてくれるはずのDHT(脱毛に関わる男性ホルモン)値を、プロペシアが過剰に下げてしまっていることが原因です。 ですが、プロペシアとテストステロンという一見相反するお薬は、血液データを見ながらDHT値を適切に調整することで、併用は可能です。むしろ、髪の毛とモチベーションの向上という相反する両方の効果を得ることもできるのです。 テストステロンの補充だけでは、ダイエットが上手く行かないことは往々にしてあります。 思い当たりがある人は、まずは血液検査で現状把握から始めましょう。 ※アンドロゲン:男性を男性らしくする作用を持つステロイドホルモンの総称

では、血液検査の目的を確認しておきましょう。

●ダイエット目的

  • 腹回りの脂肪
  • 糖尿、高脂血症、高コレステロール
  • 筋力低下、肉体のたるみ
●パフォーマンス向上 ●メンタル向上
  • うつ
  • モチベーションの低下
  • 気力の低下
●AGA
  • 脱毛予防
  • 発毛
●男性器機能回復目的
  • 勃起不全(ED)
  • EDの治療薬であるバイアグラやレビトラ、シアリスは、いつのまにかずいぶん有名になりました。統計によると、ED治療薬を病院で買わない理由は、「恥ずかしい」「医師にそんな治療はいらないと言われる」「馬鹿にした目で見られる」「看護婦さんが気になる」「プライドが傷つく…」などなど、だそうです。
  • リビドーの低下 認知度が低いわりに、悩んでいる人が多いのが実情ですね。これは、実は性欲だけの話ではないのです。
  • 性的満足感の低下 射精感の低下ともいわれます、これも、認知度の割に悩んでいる人は多く、特に70歳以上の世代にこの訴えが多いそうです。
加齢によるテストステロンの低下によって、以下のような症状が起きやすくなります。 (加齢男性に起こる男性ホルモン低下症候群:TDS)
  • 内臓肥満発症
  • メタボリック症候群
  • 動脈硬化
  • 勃起障害(ED)
  • 心・脳血管疾患
  • 熟年世代での生存率の大きな性差

 

まずは検査から

治療の前に、まずは検査から。基本的には血液検査でOKです。 こちらをご参照ください。 検査の対象になるのは、以下のような症状がある方です。

  • 高脂血症
  • 高コレステロール
  • 糖尿病
  • 肥満
  • 高血圧
  • 抗不安剤服用
  • 入眠剤服用
  • PDE5阻害剤(バイアグラ・レビトラ・シアリス)服用
検査の結果に応じて治療を行いますが、おおまかな治療方針はこちらをご覧ください。  採血のデータを基に、ステロール系のコントロールを行います。大まかには、①FSH(※卵胞刺激ホルモン)低下型、②FSH上昇型、③高DHT(ジヒドロテストステロン、男性ホルモンの一種)型、④高エストロゲン(※)型の4つのタイプに分けて治療を行います。 ※FSH(卵胞刺激ホルモン):性腺刺激ホルモンの一種。男性の場合、精子の形成に重要なホルモン。 ※エストロゲン:女性ホルモンの一種。
①FSH低下型
若年者、ストレス性に多いのがこの型です。ストレスが高くなると、LH(黄体刺激ホルモン)とFSHがともに低下し、その結果としてテストステロンが急低下。そしてさらにストレスが溜まって……という、まさに悪循環となります。治療としては、アルギニンやレスベラトロールの服用、hCG筋肉注射等を行います。
  • アルギニン ナッツ  アルギニンは蛋白質を構成するアミノ酸の一種で、グアニジノ基(-NHC(=N)NH3)を持つ塩基性の最も強いアミノ酸です。 肉類、ナッツ、玄米、レーズン、エビ、牛乳等の食品に多く含まれています。体内でも産生できるので、栄養学的には非必須アミノ酸と分類されています。 しかしながら、体内での産生量は決して十分な量ではなく、どうしても不足しがちで摂取が必要ですから、準必須アミノ酸とされています。 アルギニンは、1927年頃よりさまざまな角度から研究がなされ、心血管系や肝臓の病気、免疫機能の回復などに効果的とされ、近年では血流改善、疲労回復作用についても評価されています。しかし、体内での作用機序は完全には解明されていません。 アルギニンには、アンモニアの生体内解毒を助ける作用があります。 アンモニアは、アルギナーゼ (EC 3.5.3.1) の働きでオルニチンと尿素に分解されます。怪我や感染、スポーツ、などストレスがかかっている状態では、免疫反応の活性化、細胞増殖を促し、コラーゲン生成促進等に効果があるため、十分な補充が必要とされています。 また、アルギニンからは、血管弛緩作用の重要物質である一酸化窒素(NO)が生成されます。NOは、初動としての平滑筋の拡張と、持続の二段階でEDに効果的に作用するので、EDの治療に効果的とされています。
  • レスベラトロール  レスベラトロールは、カテキン等と同様に、第7の栄養素と称される「ファイトケミカル」の一種です。 酸化ストレスに対する生体保護作用として、①活性酸素種(ROS)の捕捉だけでなく、②ROSの分解除去、③ROSによる傷害蛋白質の修復もしくは分解の亢進の各段階でも働き、酸化ストレスの産生の減少に関与しています。
  • hCG筋肉注射  hCG(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)筋肉注射は、自前のLH、FSHをアップさせ、男性ホルモンを増やす方法です。 週に一回が基本ですが、症例によっては、週に数回からスタートすることも。検査結果を見ながら、少しずつ減量していきます。
②FSH上昇型
高齢者に多いパターンです。テストステロンの補充が必要になります。 テストステロン補充は、最初は筋肉注射と塗り薬を併用します。外用薬だけではなかなか効果が上がらないので、筋肉注射は必須です。値が安定したら、塗り薬で維持します。 実は注射でのテストステロン補充は、血中濃度の急上昇後急降下を招き、体に対して極めて非生理的な変動を強いる事になります。しかし、塗り薬だけじゃ上がらないので、苦渋の選択なのです。 それに、外用薬には、天然のホルモン、つまり、生物学的同一ホルモン(ヒト固有ホルモン)製剤がありますが、注射のお薬には合成ホルモンしかありません。 男性の皆さんも、女性ホルモンの補充療法に対して批判的な話を耳にした事がありませんか?  2003年、ウィメンズ・ヘルス・イニチアシブ(WHI)は、エストロゲン補充療法が乳がんや心臓発作、脳卒中、認知症のリスクを高めると言う発表を行いました。 この発表は話題になりましたが、この研究で使用されたホルモン製剤が合成ホルモンである「プレマリン」と「プロベラ」で、天然のホルモン製剤を使用した結果ではないという事実はあまり知られていません。 合成ホルモンと天然のホルモンは、似て非なる物質です。当然、男性ホルモンや女性ホルモンのように、長期に服用する事が前提の薬剤では、副作用が起こる可能性は高くなります。 男性ホルモンの注射は、まず125mgを2週間に1回筋肉注射し、注射後7日後に遊離型テストステロンを測定して用量が十分かを判定し、足りていなければ注射の用量を250mgに変更します。これが一般的な投与方法になっています。 男性ホルモン補充療法の副作用 男性ホルモン補充療法の副作用として、「前立腺癌」、「乳癌」、「多血症」が進行・増悪する可能性があるため、これらの病気の患者さんは男性ホルモン補充療法を受けられません。治療中は、これらの病気について定期的に検診を受ける必要もあります。 また、男性ホルモンの投与により「女性化乳房」「ニキビ」「多血症(血液が濃くなる)」「睡眠時無呼吸」「体液の増加」が出現する場合があります。また、「前立腺肥大症」の進行を早める作用があると考えられるので、定期的な「前立腺」の検診を受けていただく必要もあります。 少し補足すると、男性ホルモンには血液を造る作用があるので、長期に使用すると血が濃くなる可能性があります。その結果、血が固まりやすくなり、脳血栓や心筋梗塞が発生する恐れがわずかですが出てきます。 定期的に血液検査を受けて、血の濃さを調べて下さい。 また、サウナ等で、脱水にならないように気をつける事も大切です。抗凝血薬(血が固まりにくくする薬剤)を飲んでいる人は、男性ホルモン薬によって抗凝血薬の作用が強くなる可能性があるので、注意が必要です。 精神神経症状として、多幸感が強く出る事があります。特に、注射だけで加療を行う場合、注射後約1週間は男性ホルモンの値が高くなり、その後急激に低下するので、気分のムラが出る場合もあります。頭の毛が抜けやすくなったり、皮膚の色調の変化(紅斑など)が生じることがあるとされています。 いろいろ注意する点はありますが、副作用を最低限にするために、月に1回(不安定な場合は月に2回)の血液検査をしながら全体のホルモンバランスを整えることが大事ですね。テストステロンだけで効果を得るのは難しいので、いろんな療法と合わせて取り組みましょう。
③高DHT型
前立腺肥大、脱毛・薄毛(AGA)、射精感の低下(≒前立腺障害)に悩む人が多いのが、このグループ。特に、最後の射精感の低下は、70歳以降の後期高齢者に多い訴えですね。 DHTが高過ぎるのは、薄毛や前立腺肥大を加速させるのでよくありません。 しかし前述の通り、下げ過ぎてもよくないことがあります。ほどほどのライン、つまり1前後の値(治療基準値は1~4)になるようにコントロールしていきましょう。そのためには、テストステロン+プロペシアなどのような効果が相反する処方をすることもあるんですよ。
  • ノコギリヤシ ノコギリヤシは、前立腺肥大に対するサプリメントとして有名ですが、もちろん、AGA、射精感の低下にも効きます。その作用機序は、以下の2つ。 ①5-αリダクターゼを阻害し、ジヒドロテストステロンの生成を抑制。 ②ジヒドロテストステロンとレセプターとの結合を阻止する。 つまり、頻尿や残尿感にもよく効くということです。
  • フィナステリド(プロペシア)&デュタステリド(アボルブ) AGAの治療薬として有名なプロペシアとアボルブです。5αリダクターゼ(5α還元酵素)を阻害することにより、脱毛や前立腺肥大の原因であるDHT(ジヒドロテストステロン)の産生をブロックします(プロペシアは元々は前立腺肥大の薬として開発されましたが、男性型脱毛症のほうにより効果的だったので路線変更しました)。
④高エストロゲン型
前立腺肥大、肥満、リビドー低下に悩む人が多いのが、このグループ。前述の通り、肥満を気にしている患者さんに、改善策として男性ホルモンの補充だけしか行わないと、どんどんエストロゲンが増えてさらに太ってしまいます。エストロゲンへの代謝にブレーキを掛けましょう! 
  • テストステロン:エストロゲンの比率を30:1を目標に調整します。
  • キサントン
  • レスベラトロール レスベラトロールの効果を列挙しておきましょう。 ①LDLコレステロール低下 肥満ラットを用いた実験では、細胞の核内にある受容体PPARαが活性化するので、中性脂肪が減少し、LDLコレステロールの合成が抑制されます。 ②血糖、インスリン抵抗性の改善。 糖尿病モデルのラットに投与した所、血糖降下薬(メトホルミン)の1/10の量で同等の血糖降下作用が認められました。 ③抗炎症 炎症を悪化させる物質であるTNFαやIL1β、IL4を抑制する為、抗炎症作用があります。 以上が肥満系に働くものですが、それ以外にも、④癌抑制、⑤認知機能改善、前述の⑥抗酸化作用があります。
  • アロマターゼ阻害剤 本来は閉経後の乳癌治療に使うお薬です。 乳癌はエストロゲン(女性ホルモン)依存性の癌なので、アンドロゲンをエストロゲンに変換する酵素であるアロマターゼを非可逆的にブロックする阻害剤を服用すると、血中エストロゲン濃度が下がるので、癌細胞の増殖を抑えるという機序で働きます。ですから、エストロゲン値が高い男性は、乳癌でなくてもこのお薬の恩恵を得られます。 少量使うだけでも体脂肪が落ちますから、経過を見ながら投与期間を調整します。

 

性機能治療

なかなか打ち明けにくい話なのが、性機能に関する相談です。性機能治療というと、ED(勃起障害)にばかり目が行きがちですが、実は、リビドーの低下や射精感の低下も治療対象になります。 ●勃起能の低下 治療薬がどんなメカニズムで効果を発揮するのかは、こちらをご覧ください。

  • アルギニン、レスベラトロール
  • テストステロン補充
  • PDE5阻害剤(バイアグラ 、レビトラ、シアリスetc.) バイアグラ、レビトラ、シアリス、どれを使うかは、その人の単なる好みで構わないと思います。薬自体に、優劣があるわけではありません。ただ薬には相性もあるので、以下はあくまでも一般論です。 1回目はできるけど、2回目はどうもという方には、バイアグラ50mg、レビトラ10mg、シアリス10mgのどれを飲んでも同じかもしれません。全く機能しないなら、レビトラ20mgかシアリス20mgという選択になります。 どの薬も効果が出るまでには1時間ほど必要になりますから、いざという時の1時間前には飲んで下さいね。
  • バイアグラ バイアグラはED治療薬界の老舗的な存在で、知名度と安心感で選ぶなら、迷わずこれでしょう。服用は空腹時に、作用時間は4時間。
  • レビトラ バイアグラの欠点を改善するために開発されたので、あまり食事の影響を受けないし、バイアグラより少し効きが早い。作用時間は8時間です。
  • シアリス バイアグラ、レビトラとまったく違うコンセプトで開発されたのがシアリス。食事の制限を全く受けず、効果は36時間も持続します。
●リビドーの低下 これは単に性欲だけの問題ではありません。 リビドーとは、さまざまな欲求に変換可能な心的エネルギーのこと。ラテン語で「強い欲望」を意味し、強い衝動、欲求、欲望、本能をあらわします。フロイトは当初は「性的なエネルギー」であるとしましたが、後期には「エロス(生の本能)のエネルギー」と再定義しています。 治療の狙いは、エストロゲンとテストステロンのバランスを整えることです。詳しい治療内容については、前述の高エストロゲン型のパートをお読み下さい。 ●射精感の低下(≒前立腺障害) 70歳以上の男性に深い悩みとして現れるのが、射精感の低下です。
  • 高DHT 治療につきましては、前述の高DHT型のパートをご参照ください。
  • キレーション(カルシウム、カドミウム) キレーションは今から50年程前に、炭坑労働者の鉛中毒の治療としてアメリカで始まりました。 キレーションをしてみると、鉛中毒が改善されるのは予測通りでしたが、意外なうれしいオマケも付いてきました。高血圧や糖尿病と言った他の病気も良くなったのです。これは使える!と閃いてしまった研究者たちは、体内の毒物の排出のみならず、血管や細胞を若返らせ、動脈硬化の予防治療にもキレーションの適応を広げて行きました。 そして近頃は、アンチエイジングを主眼に置いたキレーションも人気です。射精感の低下に対しては、カルシウムとカドミウムのキレーションを行います。
  • 亜鉛 精子尾部の形成には、亜鉛がなくてはならない存在です。不足すると、生殖機能の低下を引き起こしてしまいます。

 

まとめ

男性のモチベーションに関するお悩みは、人には言いにくい、けど深くて大きな悩みですね。 ホルモンが関係する症状ですので、モチベーションだけでなく、上述のようにさまざまな身体の不調や心的ストレスを併発していることも多いのです。 クリニックでは、他の症状と同様に、メンズヘルスケアも一つの診療内容として大切に扱っています。まずは原因を突き止めるところから、相談にいらしてください。

 

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