更年期障害に対する保険治療の限界PARTⅡ 付録・男性更年期障害 | 旭川皮フ形成外科クリニック

HISAKOの美容通信2005年11月号

更年期障害に対する保険治療の限界PARTⅡ 付録・男性更年期障害

200511image396更年期障害に対する実際の保険治療~ホルモン補充療法(HRT)について解説します。
因みに、保険治療で認可されている女性ホルモン(エストロゲン)製剤は、全て合成ホルモンなので、安価ですが、天然ホルモンと異なり、癌化や太り易い、血栓等々と様々な問題点もあります。
付録で、男性の更年期障害についてもふれてま~す。

 先月号に引き続き、”更年期を考えるPARTⅡ~ホルモン補充療法(HRT)”です。今月は更に踏み込んで、保険治療に於けるホルモン補充療法の実際について解説します。付録で、今注目の男性の更年期障害についても載せちゃいます。だって、貴女が更年期なら、旦那様も更年期適齢期ですからね! 
 先月号、合成の女性ホルモン製剤(エストロゲン)のメリットとデメリットをお勉強した貴女、さあ、応用編の始まり始まり!

何をどう飲むor貼る、入れる?

 何を? 
 どうする?
 何時から、何時まで? 
 ‥貴女のそのギモン♪に順番にお答えましょう。

何を?

 色んな薬が出ています。が、基本は、寄る年波に逆らえず、枯渇してしまったエストロゲンを補う事が目的です。でもエストロゲンだけだと子宮内膜癌になり易いので、(単にその予防だけの目的で!)、黄体ホルモン(プロゲステロン)も併せて使うのが一般的な保険診療に於ける(合成ホルモンを使用した)ホルモン補充療法(HRT)の基本的な考え方です。ですから、以下は、保険診療に於けるホルモン製剤、つまり合成ホルモンのお話とお考え下さい。天然ホルモンについては、美容通信2010年8月号美容通信2010年9月号をお読み下さい。

合成エストロゲン製剤

    • 結合型エストロゲン

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 代表選手:プレマリン
 特徴:E2系。HISAKOも飲んでるのが、これ。プレマリンは、別名牢名主とも呼ばれるくらい古くから愛飲され続けているエストロゲン界のスタンダード。今まで不動の地位を保ち続けて来れたのは、その高い安全性に加え、値段も安く、一日一回の服用と使い勝手が抜群だから。医者、患者双方からの支持が高いので~す。因みに、妊馬のおしっこから精製した天然型です。唯、飲み薬だけに、一定の血中濃度を24時間保つのは至難の業‥。通常使用は0.625~1.25mg/日。半量投与の時は、薬局さんにごろにゃんして半分に粉砕してもらいます。(1錠0.3125mgの製品も開発中らしいが、未だ市場には出回ってないから。)
 保険適応病名(つまり、この病名が付くのが嫌だ!って人は、全額自費で購入しましょう):更年期障害、卵巣欠落症状、卵巣機能不全症、機能性子宮出血、膣炎

    • 経皮吸収型E2

 代表選手:エストラダームTTS、エストラダームM、エストラーナ、フェミエスト
 特徴:貼り薬の特性でもありますが、持続的に放出されたエストロゲンが直接血液中に取り込まれるので、何と言っても血中濃度が一定。それに、飲み薬と違って肝臓での初期通過を省略出来るので、TG増加効果が殆ど無く、高TG血症の方にも安心です。でも、お肌のデリケートなご婦人は‥、かぶれるかも。だって、貼るって事は、糊で貼るって事だもん。製品によってちょっと貼り方が違って、エストラダームTTS、エストラダームM、エストラーナは2日に1枚、フェミエストは3~4日に1枚です。
 保険適応病名:更年期障害及び卵巣欠落症状に伴う血管運動神経症状、泌尿生殖器の萎縮症状、エストロゲン欠乏による睡眠障害

    • E3

 代表選手:エストリオール、エストリール、オバポーズ、ホーリン、メリストラーク
 特徴:上記のE2系に比べて効果は弱いです。が、その分、子宮内膜癌のリスクが下がるので、お婆ちゃんが長期に渡って飲むor入れるのに最適! それ故に、ホルモン補充療法製剤の中で、唯一老人性骨粗鬆症の病名で保険が通るお薬なのです。唯、飲み薬だと、通常は1日2回(1回1mg)飲まなくちゃいけないのが面倒臭いところ。アソコに入れるなら、1日1回(0.5~1mg)で済むんだけどね。‥まあ、泌尿器、膣粘膜系の症状だけって人なら、アソコに入れるだけで十分な訳だし。
 保険適応病名:更年期障害、老人性膣炎、子宮頸管炎、子宮膣部びらん、老人性骨粗鬆症

    • 配合剤

 代表選手:ダイホルモンデポー、プリモジアンデポー、ボセルモンデポー
 特徴:ちょっと欝っぽいと言うか、消極的になってしまったのが結構気になるようなら、いっそおじ様の脂ギッシュなパワーを戴いちゃいましょう。アンドロゲン(男性ホルモンの一種)には、性欲亢進、意欲亢進作用があります。ですから、これを配合したエストロゲン製剤も症例を選んで使ったりもします。でも本当におじ様になっちゃうと困る(笑)ので、長期に服用する場合は、注意しながらの使用が基本です。2~4週毎に1回の注射を行ないます。
 保険適応病名:更年期障害、卵巣欠落症状、骨粗鬆症

合成プロゲステロン製剤

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 代表選手:ヒスロン、プロゲストン、プロベラ、メドキロン
 特徴:目的は、子宮内膜癌対策のみ。子宮筋腫etc.で、子宮がないなら、飲む必要なし!
 飲み方は2通り。連続服用と周期的服用に分かれます。連続投与の場合、慣れない頃は不正性器出血が起こっちゃう事も。でも、先月号でも話した様に、子宮内膜が萎縮してくるので、半年くらいでそんな事も無くなっちゃいます。通常服用量は2.5mgですが、半量投与で行く場合は、2.5mgを一日おきに飲むか、薬剤師さんにごろにゃんして半分に粉砕してもらって1.25mgを毎日飲みましょう。周期的服用は、1ヶ月のうち10~14日間服用する方法で、自然の生理周期に近い方法。つまり、プロゲストーゲン服用後に、生理が来る訳じゃないけど、毎月生理もどきの性器出血があります。連続服用に比べて、量はちょっと多目。2.5mg~10mg/日です。
 保険適応病名:無月経、月経周期異常、月経量異常、機能性子宮出血、黄体機能不全による不妊症、切迫流早産、習慣性流早産

どう?

 飲み方は、図に示すとこんな感じかな。  

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 大きく分けると、エストロゲン単独で行くか、プロゲステロンを併用するかのどちらか。併用療法の場合は、更に、連続か、周期的服用かに分かれます2005111image399 連続同時服用法は、お薬を始めてから数ヶ月から半年間は、不規則な性器出血が起こる事が多いかな。でも、子宮内膜が萎縮して来るので、そのうち、ああそんな事もあったっけ状態になります。お婆ちゃんや、今更生理用品をドラッグストアーに買いに行くのが面倒臭いってご婦人には、連続的服用がオススメです。これに対し周期的服用は、閉経間もないレディだと小娘時代からの生理の記憶が未だ生々しく、この破綻出血にも難なく順応出来ちゃうので、却って不意の出血騒動より管理し易いかも。

 動脈硬化って病気が、同年代の男の子に比べて若い女の子には凄く少ないんですが、更年期を堺に急激に上昇し、婆になると爺と同じレベルにまで増えちゃうのを御存知ですか? 女性ホルモン、特にエストロゲンには、脂質代謝等の動脈硬化危険因子を改善する力があります。ですから、生理が上がって、この魔力が消えてしてしまうと、その途端ぐ~んと増えるんです。‥昔からホルモン補充療法は、動脈硬化の予防には良い方法だって事は、半ば医療関係者の間では常識中の常識として知られていました‥。

 ところが、近年になって、手放しでこのホルモン補充療法を動脈硬化の予防策として進めるのには問題があるぞって事が分ったんです。アメリカのHERSやWHI等の大規模臨床試験で、合成のホルモン製剤を使用した場合、有効性を否定する様な結果が出たのです。この試験が、アメリカと言う極めて肥満(日本では肥満と分類される症例が、対象者の2/3を占める‥)&喫煙(約半数!)大国で行なわれた為、そのまま日本で当て嵌まるかと言うと、疑問は残ります。が、LDLコレステロール低下作用や血管内皮機能改善作用と言った抗動脈硬化作用が、凝固・線溶系を介した血栓促進作用や炎症惹起作用等の好ましくない作用によって打ち消されてしまったらしいのも事実。

 ですから、現在、動脈硬化の予防だけを目的に、合成のホルモン製剤を使用したホルモン補充療法は行なわれていません。日本人等のアジア系黄色人種は、所謂白人や黒人に比べて静脈血栓や肺梗塞になり難い人種は人種。でも、人種に安住せずに、肥満や喫煙歴と言った動脈硬化性疾患のハイリスク群や、高血圧・糖尿病・不整脈etc.の動脈硬化や血栓症の危険因子がある人は、経口エストロゲン剤の半量投与や経皮剤の使用が安心かな。血栓症や炎症増悪のリスクを減らして行なうのが、ベストとされているんですね。

a003aniエストロゲンの半量投与についての補足

 私達日本人は小柄で慎ましやかな大和撫子なんだから、ガタイの良過ぎる白人並にエストロゲンを補充しなくても、結構イケるぞ!って考え方が今時の日本では主流の考え方。所謂、”半量投与”って方法です。この方法の良い所は、

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①スカスカな骨も、充実の”ルヴァン”のパン並みになります。(→”ルヴァン”は、HISAKOのイチオシのパン屋さんです。偶々、お散歩(と言うか殆ど遠征?)してて、何か美味そげな店がある!とふら~と立ち寄ったのが最初。それから、虜になってしまいました。いつもはクリニックのご近所”メゾン・カイザー”で妥協するHISAKOですが、月に1回は”ルヴァン”を食べないとイライラするんですよねぇ。あの、ずっしりを食べたい!~”ルヴァン欠乏症候群”。え、こんなに絶品なのに知らない? それは、絶対、人生損していると思います。)

   ②常用量投与だと、肝臓にちょっと難有りの人には、負担が大き過ぎるかも。そんな時には、中性脂肪の増加やLDLの小粒子化がなく、抗酸化作用が保持される半量投与に切り替えてしまいましょう。肝臓と全く無縁に効果を発揮する貼り薬も、選択肢としてはありですが、かぶれる人はかぶれちゃうんですよねぇ。。。

   ③抗動脈硬化作用はあるものの、凝固・線溶系を介した血栓促進作用がある為、プラスマイナスゼロ!と蔑まれていたエストロゲン。でも半量投与にすると、抗動脈硬化作用はそのままに、凝固・線溶系に対する悪影響が激減しま~す。

   ④性器出血も格段に少ない。

   ⑤それにも拘らず、火照りと老人性膣炎に対する効果は、常用量投与並み。

何時から、何時まで?

 卵巣が弱って来たなと思ったら、それがホルモン療法の始め時。切っ掛けとしては、更年期障害って人が断トツに多いですね。 

 あ、そう言えば、どうせ女性ホルモンだからと、ホルモン補充療法に避妊効果を期待する人もいるようですが、これは甘いです。勝手に貴女が淡い期待を抱いているだけで、往々にしてこれは裏切られます。月のもの幾らが不規則でも、排卵が全く無くなってしまったわけではなくて、偶にはありますから。不安なら、FSHの値を調べましょうね。40mlU/mlのハードルを越えていないようなら、コンドームつけるとかぁ、外に出すとかぁ(不確実なので、子供は真似しないように!)、まあ、絶対確実路線を選ぶならしないとか(笑)、何かの避妊の手立てを考えなくてはなりません。今まで経口避妊薬を常用していたよ~んって場合は、数週間避妊薬をSTOPして、FSHの値を調べます。

image255 どれ位、ホルモン補充療法を続けるかは、個人差があります。何年間が限度でとか、何歳が限度でとか言った尺度は存在しないんです。更年期障害の症状がなくなったら、止める人もいれば、他の効用を期待してそのまま続ける人もいます。要はその時々で、利点と欠点を秤に掛けて、薬の量や、投与方法を考えて行くのが大事なんです。まあ、一般的には、年を取ると量を減らす事が多いですがね。

検査してから、開始!

 乳癌や子宮癌検診は、30超えた大人の女の常識です。年に1回、誕生日は癌検診の日って標語があったような‥、ないような‥、分んないけど、兎に角受ける事に意義がある。

 ホルモン補充療法を受けるにあたって、他に必要な検査は、

    • 肝機能検査

 飲み薬のエストロゲンには副作用として肝機能障害があるって言われるけど、実際問題として、肝臓がイカレてない極々フツ~の人なら、この量で肝臓が壊れる事はまずありません(と、教科書にも書いてある)。ですが、既にイッちゃってると言うか、突き抜けちゃった肝臓の持ち主は、貼るか諦めるしか手はありません。始める前は勿論調べますが、半年に1回はそれでも調べておくのがお約束。

    • 血清脂質検査

 更年期に入ると、健康だけが自慢♪の貴女(笑)でも、ジワジワと脂質代謝に問題が‥。でも、ホルモン補充療法で改善されるので、効果の指標にもなるんだぴょ~ん。具体的には、総コレステロール、HDLコレステロール、LDLコレステロール、トリグリセライドの値を、早朝空腹時に測定します。始める前は勿論、半年に1回は調べておきましょう。

    • 血液凝固系検査

 静脈血栓の既往はありますか? なければ、aPTT、第Ⅶ因子、anti-thrombin Ⅲ、D-ダイマーを調べます。始める前は勿論、半年に1回は調べておくのがお約束で~す。

    • 骨量、骨代謝マーカーの測定

 血中カルシウム、リン、アルカリフォスファターゼの測定の他、骨形成と骨吸収のバランスの把握の為に生化学的マーカー(骨代謝マーカー)の測定もします。骨代謝マーカーの測定は、骨粗鬆症の診断だけでなくて、治療効果の判定にもお役立ちなんですね。この骨代謝マーカー、骨形成マーカーと骨吸収マーカーの2種類があるんですが、骨吸収マーカーの方が、私達補充仲間には使える。骨粗鬆症が治療でメキメキっとよくなると、データもメキメキっと改善するんです。超感度良好! 具体的には、オステオカルシン、N-テロペプチドが特に人気の指標です。

はらたいらも、更年期に苦しんだ。

 男の更年期の代表みたいに語られる、はらたいら。彼の様に、ああ、オレは更年期だったんだ!と悟って乗り越えてしまえば、しめたモノ。ところが、世の中の大半の男性諸氏は、悶々と悟れずに悩み、症状を拗らせて、挙句鬱になっちゃったり、アルコールやキャバクラ嬢に溺れて泥沼に落ち込んじゃうらしい(笑)。

 更年期の治療自体は、基本的に男も女も一緒で、ホルモンの補充療法や漢方薬、場合によっては抗鬱剤等を使用します。詳しくは後述するとして、今回は更年期障害の関連疾患としての依存症の話でもしましょうか。

憂さ晴らしに酒を飲んで、酒に飲まれてしまった‥。

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 人間辛い時には、穴に頭を突っ込んで、嫌な事から目を背けて生きていたいと思うもの。それが頭隠して尻隠さずと、第三者から笑われようとも、刹那的に気持ち良い(少なくとも悪くない)から止められない。そんな魅惑的な穴(ホントは単なる穴は穴なんだけどね-笑)に頭を突っ込む行為を精神科の先生は”依存”と呼び、”依存”の対象である穴を”嗜癖”と言うそうです。教科書によると、”嗜癖”の種類は3つ。一つは、物質で、酒・覚醒剤・麻薬・煙草の他、清涼飲料水(ポカリスエット依存症とかあるんかねぇ‥知らんかった‥)。二つ目は、過程(プロセス)への”嗜癖”で、競艇・競馬・競輪・バカラ賭博・富くじ・パチンコと言った通称ギャンブル依存症や、ブランド物を買い漁る買い物依存症(←素朴な疑問だが、シャネルが好きで買い漁るのか、一応名の通ったブランドなら、シャネルでもエルメスでもD&Gでもディオールでもグッチでも‥、まあ何でもOKなのか。尤も買っても着ないらしいが、それでもサイズは関係あるのかetc.、精神科の先生、さらりと流さずに教えて下さい。) ラストは、人間関係にどっぷり浸かりたい‥。恋愛依存症(女性誌なんかは、寂しい女症候群とかダメ女とかって表現をするけどねぇ‥)とか、セックス依存症(故ケネディ大統領が典型例?)、キャバクラ嬢orホスト(あたしがNo.1にしてあ・げ・る)依存症、出会い系(+援)依存症、J依存症(←HISAKO? 日テレの”女のシアワセ研究所”(2005年3月31日放映)を見逃した人は、再放送をお楽しみに?)、更に、人の世話を焼く事に生き甲斐を感じちゃってると言うか自分の生存意義を見出しちゃってる共依存(例・マザコン男のお母さん)etc.とバラエティー豊か。まあ、多くはそれ自体で病気とは断定は出来ませんが、有害(!)なまでに”嗜癖”しちゃうようになると、もうこれは完全な依存症で、治療が必要です。

 更年期のオジ様全てに当て嵌まる訳ではありませんが、男性ホルモンの急激な低下は、性機能の障害(つまり立たない! これは、立つのが男として当たり前の事と思って過して来た男性諸君にとって、物凄く精神的ダメージが強いものらしい‥。まあ、バイアグラ美容通信2005年1月号って手もあるし心配は無いんだけどね!)や、自律神経失調症状、不安、鬱病を引き起こし、大和男児らしいパワーに溢れた気分を萎えさせてしまいます。その焦燥感(or悪足掻き)を酒に求めると‥、それが更年期障害の関連疾患としてのアルコール依存症の始まりです。

全ての依存は、”カイカーン”から始まる。

1981-059[1]

 全ての依存は、”カイカーン”から始まると、教科書には書いてあります。ですが、酒に溺れたオヤジは、決して”酒が旨いから、快感だから”とは認めないですよね。言い訳じゃありませんが、実際、快感って自覚はないんです。不安を紛らわす為、空想の中でのパワー幻想の為、くたって弱って来た自分を励ます(or奮い立たせる)為、景気付けに、真っ直ぐ母ちゃんのいる家に帰りたくないから‥、酒を飲みます。でも、酒にはそれなりにですが、ある種のパワーを取り戻せたと錯覚させる効果があります。オヤジの認識がどうであれ、それは最早医学用語としては”快感”として分類されちゃうんですね、ははは。

まず、精神から依存と言う泥沼に嵌まり込む。

 一度快感を覚えると、人間、エスカレートします。何故かって言うと、慣れとでも言いますか、同じ量の刺激では同じ量の快感を得られなくなってしまうので、もっと強い刺激を求めるようになってしまうんです(”一次性精神依存”)。

 脳みその中で何が起こっているのかは、未だ完全に解明はされていません。が、どうも酒を飲むと、ドーパミン分泌され、A10神経系を興奮させるらしいんです。当然刺激が強ければ強いだけ、過剰な興奮をし、その結果激しい快感を得ることが出来ます。でも、過剰な興奮は神経系に壊滅的な打撃を与える可能性があるので、とっても危険。神経は、これはヤバイぞ!と、受容体を増やす事で本気で危機回避に走ります。

 例えば、旅客機を想定しましょう。貴女の乗ったジャンボジェット機が、テロリストにライターで火を付けられて火事になったとします。避難する出口(受容体)が一つしかなく、誘導するスッチーのお姉様も1人しかいない状態では、568人の乗員乗客全員(刺激)がパニって出口に殺到する訳ですから、被害は人災も加わって、史上最悪のテロ事件になってしまいます。貴女も当然死亡しますよね。でも、その様な事態を重く見て、ブッシュ大統領が、壁全部が避難口(受容体)になる機体の導入を義務付け、更にマンツーマン・スッチー制にしたら、乗客(刺激)が鬼の様に出口に向かって押し寄せて来ても、パニくる事もなく冷静に全員が機外に避難する事が出来るでしょう。こうなるとテロは失敗です。テロリストはライターレベルでは最早効果的なテロの遂行(快感)が不可能と悟り、更なる強い刺激、つまり高層ビルやペンタゴンに頭から飛行機ごと突っ込む羽目に陥ってしまいます‥。

強制学習と習慣化。

 そして、次のステップは”習慣化”。ある条件下では必ず酒を飲む!と言う条件行動を繰り返していると‥、200511image403パブロフの犬化(=強制学習)してしまって、酒がないと落ち着かない。不安で不安で仕方なくなって来てしまいます。例えば、嫌な事があると憂さ晴らしに酒を飲むと強制学習をされてしまったオヤジには、酒=憂さを晴らすって回線が出来ちゃってると言うか、それしか回線がないから、酒無しに憂さが晴れっこない。いえ、それどころか、最早飲まずにいると言う事自体が、苦痛で苦痛で仕方が無くなってしまうんです。

 これは、脳みその生理学を専門にしている先生によると、脳内物質であるセロトニンの相対的減少に起因するのだそうです。大脳の前頭葉って所は、人間の人間たる所以、つまり理性の司令塔です。ここから、”おい、もう、飲み過ぎだぞ!”って”充足”のシグナルが発令されると、普通ならこれで酒を飲むのがストップして、お・わ・り。ところが、この前のステップで述べた様に、飽くなき欲望の為に鬼の様にドーパミン受容体が増殖してしまっている状態だと、抑止力としての”セロトニン”が通常量放出されても、当然全てのドーパミン受容体に行き渡る訳なんてありません。暴走は止まらない‥。これが”習慣化”です。

 ‥HISAKOは、学生の頃、族とそれを取り締まる警官にこの現象を例えて覚えました。予算削減の為に、この街では警官の数は増えない。が、取締りの甘さを耳にした族が、全国から初日の出暴走の為に大雪山に集結して来る‥。膨らむ妄想ですかね(笑)。

そして、終に肉体も溺れる‥。

 精神依存が形成され、酒浸りの毎日が続くと、次第に体も蝕まれて来ます。”身体依存”の段階です。

 酒が切れると離脱症状が現れ、震顫、不眠、自律神経失調症状、情緒不安‥。更に酷くなると、譫妄や幻覚、癲癇発作まで起こる様になります。しかし、この身体依存の真の恐ろしさは、この様な悪夢も、酒を飲めば一瞬で霧散する事にあります。‥貴方は悪夢から逃れる為に、酒を飲み続けなければなりません。酒が旨いとか、不味いとか関係無しに、飲まざる得ないのです。

善人面した悪魔、イネイブラーの甘い囁き。

 善人面した悪魔イネイブラーの存在なしに、そもそも依存街道をまっしぐらに転落するなんて芸当は、凡人には不可能です。酒で体が先にぶっ壊れるとか、有り金全部使い果たしちゃうとか、何らかの障害、落とし穴が出現するものです。ところが、世の中にはお節介な人(精神科領域では、イネイブラーと言う)がいるもので、この障壁、まあ依存者にとっては更生の絶好のチャンス以外の何物でもないんですが、依存者のお尻を押して壁を乗り越えさせてしまうんです。多くは家族等の善意に溢れた人達と、少なくは悪徳な金貸し業者(笑)です。前者は特に性質が悪く、本人に良かれと思って甲斐甲斐しくお世話をする‥。例えば、お父ちゃんのキャバクラの膨大なツケを支払い、(オヤジだって会社にばれたらヤバイだろ‥)、もう二度と飲まないとお母ちゃんの位牌に誓ってくれ。‥ところが、依存者はこの家族の善意に付け込んで、依存を進行させてしまうものらしいんです。”オレは、情けない男だ。息子にまで迷惑掛けちまって‥。母ちゃん、オレはどうすれば良いんだ?”と、まあ、こんな愚痴を吐きながら酒を飲み、更に症状を悪化させる。

top04_10015B15D ‥問題は更に根深くて、困った事に、この様な家族愛に満ち溢れたイネイブラーの多くも又、依存者の世話に依存する依存者なんです。”共依存”と言う言葉があります。”他人を自分に依存させる事に耽溺する”とかぁ、”尽くす事によって相手をコントロールする事に嵌る”女‥。一見、耐える女、健気に尽くす女、マザコン男のママetc.と総称され、世間の同情が集まりがちですが、実は非常に曲者。善人面した悪魔、イネイブラーなんです。

男性更年期障害の治療

 年を取って男性ホルモンが減って来ちゃった事がそもそもの発端だから、治療はホルモン補充療法がお約束。月に1,2回男性ホルモンの筋肉注射が、日本では一番のスタンダード。飲み薬って手もあるにはあるけど、肝臓に負担が掛かり過ぎるので、実際問題としては‥。海外では貼り薬や軟膏何かが近頃人気の方法です。クリニックでは、男性ホルモンのクリームの処方が基本です。その他にも、バイアグラ(美容通信2005年1月号)やシアリスってED系のお薬も、低用量の服用で更年期障害の改善に効果がありますし、最近プロペシアを押しのけて抜け毛市場に殴り込みをかけて来たアボルブ(美容通信2013年2月号)は、テストステロンの濃度を上げてくれるので、隠れ男性更年期障害の治療薬として人気かな。

 漢方薬も割りに良く使われます。一覧表を参考までに載せておきますね。

適応処方  症状・症候 体力
主な薬理作用


精神神経症状が
主な場合



柴胡加竜骨牡蛎湯(12) 抑鬱、不安、易興奮 中間~実証 鎮静作用
抗動脈硬化作用
桂枝加竜骨牡蛎湯(26)  抑鬱、不安、易疲労、寝汗 虚証 鎮静作用
抑肝散加陳皮半夏(83)  不安、イライラ、不眠 中間証 抗不安作用
加味帰脾湯(137)  不眠、健忘、食欲不振 虚証 抗痴呆作用
半夏厚朴湯(16)
(加味逍遥散(24))
 
咽喉頭部狭窄感、抑鬱、不安、動悸 中間証 免疫機能活性化

身体症状が
主な場合 
  
泌尿器系   八味地黄丸(7) 前立腺症状、勃起不全、頻尿、残尿感 虚~中間証 ホルモン改善作用
牛車腎気丸(107)  頻尿、残尿感、男性機能低下、痺れ、腰痛、下肢脱力感   虚~中間証  ホルモン改善作用
血管拡張作用
全身症状  補中益気湯(41)   全身倦怠感、食欲不振  虚証 強壮作用
免疫賦活作用
抗ストレス作用
 
ホットフラッシュ  桂枝茯苓丸(25)  のぼせ・火照り~血管運動症状   中間~実証  低ホルモン状態から生じるホットフラッシュ改善作用

 その他、抗鬱剤や抗不安薬等の併用は、精神的症状の改善には有効です。


*註:HISAKOの美容通信に記載されている料金(消費税率等を含む)・施術内容等は、あくまでも発行日時点のものです。従って、諸事情により、料金(消費税率等を含む)・施術内容等が変更になっている場合があります。予め、御確認下さい。

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