なぜ腸が美と健康の要(かなめ)なのか | 旭川皮フ形成外科クリニック

いつまでも美しく
いつまでも美しく 2017年8月01日

なぜ腸が美と健康の要(かなめ)なのか

消化・免疫・解毒機能を活性化させるのは、
約1000兆個の腸内細菌

 最近、腸と腸内細菌に関する研究が世界的に急速に進み、次々と新しい知見が発見されるようになってきました。腸は単に食物から栄養分を消化吸収するだけでなく、腸内細菌が合成したいろいろなビタミン類も吸収し、体全体に運ぶ役割もしています。人が「幸せだなぁ~」と感じるのは、脳から分泌される脳内伝達物質が深く関与しています。セロトニンは換気や快楽を伝え、ドーパミンはやる気を奮い起こす働きがあります。セロトニンが不足すると、キレたり、鬱(うつ)状態になります。実は、この神経伝達物質のドーパミン、セロトニン、カテコールアミンやヒスタミンなどは、腸内細菌が9割方作っています。それらの前駆物質を、腸管は吸収し、脳に送り届けています。
さらに、免疫にも関与しています。腸には、神経細胞と免疫細胞が集中して存在しています。体の中の免疫細胞の約70%が腸管に存在しているのです。腸内細菌の出すシグナルにより、これらの細胞は一斉に活動を開始し免疫力を高めます。
 腸内細菌の数は、約1000兆個。私達の体を構成する細胞の数が約60兆個ですから、その16倍強の腸内細菌が腸内で棲息(せいそく)し、その重量は約1.5Kgにもなります。そしてこの腸内細菌の命を受けて働く腸細胞も、腸内細菌の数に匹敵するくらい多く、腸壁や腸粘膜にびっしりと存在しています。これらは、絶えず「生まれては死ぬ」を繰り返しており、死骸は便の約半分を占めています。食物残渣(ざんさ)≒便のイメージがありますが、実は、食物残渣自体はせいぜい15%くらいにしか過ぎません。

乳糖不耐症を知っていますか

 腸管は、私たちの体に必要な栄養素を選択しながら効率よく吸収する場です。また、いわゆる〝有害物質″であるバイ菌やウィルス、 花粉などの抗原や異物を積極的に選択、排除して侵入を防ぐ場でもあります。とっても重要な機能を任されている腸管ですが、これらの職務をきちんとまっとうさせるためには、ちゃんと栄養を補ってあげなければいけません。 腸管粘膜だって「腹が減っては戦ができぬ」です。
小腸の主たるエネルギー源は、ブドウ糖ではなくグルタミンです。 体内でも合成されますが ストレスですぐ消耗されて不足してしまうので 「条件的必須アミノ酸」と呼ばれています。  大腸を養うのは、腸内細菌が産生する酪(らく)酸(さん)です。 ところが、抗生物質をニキビの治療などで長期にわたって服用していると、腸内細菌もニキビ菌と一緒に死滅してしまいます。 抗生物質の服用前に、ダイエタリーファイバーやプロバイオティクスを摂っておくだけでも腸内細菌叢の崩壊を防いでくれます。
ちなみに、プロバイオティクスとは 抗生物質の反対の言葉で、共生を意味するプロバイオシス (pro:共に、~為に、biosis:生きる)を語源とし、人の体に良い影響を与える微生物(生菌)のことです。乳酸菌、ビフィズス菌、納豆菌、酪酸菌などの生菌剤や、広くは発酵乳酸菌飲料、ヨーグルトなどの発酵乳を指します。
ただし、注意をしなければいけないのが、ヨーグルト。 北西ヨーロッパの白人系の80~85%の人たちは、乳酸分解酵素を持っています。しかし、アジア人はほぼ100%持っていません。 乳糖不耐症なのです。 「ヨーグルトや牛乳といった乳製品をとると、お通じに良い♪」と 毎日愛食愛飲している日本人のほとんどが、乳製品に対するアレルギーで緩くなっただけなのを快便と勘違いしてしまっているのが実情です。
日本人は、納豆やお味噌、醤油、ぬか漬け、醸造酢、かつお節など、日本人に合ったプロバイオティクスを選びましょう。

納豆は日本人にあったプロバイオティクス

よい腸管のために
腸内細菌を育てましょう

 腸内細菌は大きく3つのグループに分けられ、善玉菌、日和見菌、悪玉菌と呼ばれます。20%、70%、10%がその望ましいバランスとされています。
悪玉菌の酸化酵素は、未消化の蛋白質を腐敗させ、毒素を発生させます。その毒素は、免疫力を低下させてしまうので、癌を始めとするさまざまな病気のリスクを高めます。しかし、悪玉菌は、セルロースの分解やビタミン B群の合成、他からの闖入者である大腸菌の排除という働きもしてくれるのです。
年齢とともに善玉菌が減少します。なぜ減るのかは分ってはいませんが、腸管粘膜の萎縮(いしゅく)の他、唾液分泌の低下も腸の動きを損なうので、これも原因の一つと考えられています。 身も心もハッピーで生きるためには、乳酸菌、納豆菌、酪酸菌などの善玉菌を優勢の状態に保つのが大切です。そうすれば、自ずと圧倒的多数の日和見菌が、善玉菌の味方になり善玉菌として働いてくれるのです。
 ドクターサプリメントもおすすめですが、まずは、毎日の食事から見直してみましょう。