インフラメイト|慢性化しやすい現代人の炎症対策に | 旭川皮フ形成外科クリニック旭川皮フ形成外科クリニック

HISAKOの美容通信2021年8月号

インフラメイト|慢性化しやすい現代人の炎症対策に

炎症は、人間が健康的に生きて行く為には欠かせない、大事な生体防御反応です。ところが、ウィルスや細菌、その他の有害物質の侵入や外傷等に対し、急性炎症として、修復ってゴールまで短期間で決着を付けなければいけないはずなのに、これが慢性化してしまう。つまり、細菌やウィルス、その他の有害物質等を完全に消去する事が出来ず、取り残しと言うか…残骸物が積もり積もって蓄積してしまうと、緩やかな炎症が長期間持続する事になります。慢性炎症です。この炎症の遷延は、細胞や組織に軽やかな悪影響を与えますが、時には遺伝子等への損傷に繋がり、癌発症に繋がる場合もあります。体内に蓄積した有害物質の中には老化した細胞も含まれるので、老化も広い意味では慢性の炎症に含まれます。
端的に言えば、”インフラメイト”は、炎症が閾値を超えて、慢性炎症が制御不能な状態に爆走しない様に、宥めてくれるサプリメントです。転ばぬ先の杖です。具体的には、①精神的・肉体的ストレスが気になる、②肥満気味、③加齢に伴う身体の痛みが気になる中高年以降の全ての大人女子及び男子!、④立つ、座る等の日常の動作や階段での移動に不安を感じる人にオススメです。←「これって、コロナ禍で、何となく不調を感じてるHISAKOそのものじゃないかぁ!? 」と、最近ずっと愛飲しております(笑)。

”インフラメイト”は、栄養性理学的に有用性が実証された、4種類の植物性成分を配合しています。主な特長としては、

①インド由来の植物性成分として名高いボスウェリアセラータ樹脂抽出物を配合

②中国の伝統的健康素材として愛用されている黄杞葉エキスとケイヒ末を配合

③植物を外敵から守り、食品の保存性を高めるホップ乾燥エキスを配合  が挙げられます。

炎症の仕組みと特徴

炎症とは何か?

炎症とは、人間が健康的に生きて行く為に欠かせない、生体の防御反応です。

SCRAP(細菌や病原体、毒素を撃退)↔BUILD(損傷組織を修復)

 炎症とは、そもそも私達が生きて行く為に備わっている本来の働きで、免疫反応の一つです。SCRAP&BUILDと言う言葉通り、壊す事と修復する事(立て直す事)は、コインの裏表ではありませんが、常に同時並行の事象です。私達の体の中で、常に留まる事無く、毎日毎日起こり続けている、謂わば連続した生命現象です。炎症も、この大きな流れの中の一つの現象として捉える事が出来ます。私達の体は、実は内なるものは刻々と作られ、同時に破壊され、両者が均衡を保っている為に、外目には何ら変わりなく見えているだけなのです。一定の状態を保つ事、これをホメオスターシスと呼びますが、私達の体は常にこの動的平衡状態を保っています。SCRAP&BUILDは、そのまま生命現象そのものとも言い換える事が出来ます。

 平常な状態でも常にそのまま起こり続けている事ですが、病原体が入って来たり、毒物に触れたり、何らかのストレスが掛かると、特にその現象が大きく働きます。これを炎症と呼んでいます。

■炎症の特徴的な症状

炎症の5兆候

1.発赤:炎症の起きている組織が赤くなる。

2.熱感:体温の上昇や局所の発熱。

3.疼痛:痛みを感じる。

4.腫脹:炎症部位が腫れる。

5.機能障害:動けなくなる。

 炎症を起こしていると、赤く腫れて痛い! 熱感を伴う事が多く、機能的にも障害が出るのが特徴です。

■炎症と免疫の関係

・炎症は、身体の免疫反応の一部。

・炎症は「過程」であって、「状態」ではありません。

 炎症は、身体の免疫反応の一部です。そして、炎症はその時だけの状態ではなくて、プロセス(過程)なんです。

■自然免疫と獲得免疫

体内では、2段階の防御システムで、細菌やウィルスを排除します。

 免疫、特に、新型コロナウイルスに代表されるような感染症との関連で考えてみますと、細菌やウイルスが体内に入って来た時に、二段階の防御システムが働きます。

 第一段階が、自然免疫です。これは炎症の初期に働くシステムです。細菌だったり、微生物であったり、有害な物質が体内に入って来てしまった場合に、先ず、最初に、マクロファージが、その貪食細胞の名前の通り、相手構わずに色んなものをパクパクっと食べてしまいます。これは最初に侵入者を壊してしまうって側面もありますが、実は味見って大事な役割があります。平たく言うと、食べてみて、敵を分析し、敵の情報を味方に知らせる。つまり、白血球グループ所属の好中球に情報を流し、こ奴らにも細菌やウイルス等の異物を叩き潰す様に扇動します。NK細胞も、抗体で敵をやっつけるのではなく、初動対応とでも言いますか、その場で敵を処分してしまいます。この様な第一段階で働く即効型の免疫反応を自然免疫と言います。

 マクロファージには、同時に、第二段階の獲得免疫の獲得の為の斥候としての役割も担っています。敵の詳細な情報を受け取ったヘルパーT細胞は、色んな細胞達に直接敵を攻撃させたり、B細胞に働きかけて抗体を作らせます。つまり、特定の敵を攻撃する為に特化した専門部隊が、獲得免疫です。精鋭化した専門部隊の始動には、当然ですが時間を要します。

 ですから、今流行りの新型コロナウイルスの感染に於いても、多くの人は、もしかすると、自然免疫によって、殆ど症状が出ないまま終わってしまった人がいるかも知れません。しかし自然免疫の防壁を突破されてしまった暁には、獲得免疫で対応せざる得ません。ですから、抗体が作られるまでのタイムラグがあるので、ワクチンを接種したのに新型コロナに感染してしまったって、アンラッキーな少数派の人が出て来てしまいます。

 

急性炎症と慢性炎症

炎症の種類

  急性炎症 慢性炎症
原因 外部から侵入してきた病原体や有害物質 体内に残り蓄積した病原体や有害物質
期間 短期間 長期間
結果 治癒、トリガー消失、組織修復 細胞や組織、遺伝子等への障害

 炎症には、急性の炎症と慢性の炎症があります。細菌感染であったり、ウィルス感染だったり、はたまた外傷なんて事もありますが、基本的には、殆どの炎症は急性炎症で終わる事が多いです。炎症反応は起こりますが、短期間で障害を受けた組織は修復されます。

 慢性の炎症では、細菌やウィルス、その他の有害物質を完全に消去する事が出来ず、取り残しと言うか…残骸物が積もり積もって蓄積してしまった場合、緩やかな炎症が長期間持続する羽目に陥ります。それが細胞や組織に軽やかな悪影響を与え、運が悪いと遺伝子等への損傷に繋がり、癌発症に繋がる場合もあります。今の時代に問題となっているのが、この慢性の炎症です。体内に蓄積した有害物質には、老化した細胞も含まれます。つまり、老化も慢性炎症に深い繋がりがある事が分かって来ました。

■炎症の種類と免疫細胞

・急性炎症:主役はマクロファージや好中球。

・慢性炎症:T細胞やB細胞等のリンパ球が主体。


 その後、不具合の原因追及を行い、抗体を作ったり、細胞を傷害するものが出て来たりするのですが、これが長期間に持続すると、慢性炎症に繋がります。 急性炎症の主役は、自然免疫を担当する細胞達で、マクロファージや好中球がこれに相当し、何らかの組織に不具合を発見すると、即行駆けつけて敵をノックダウンさせて、早期の終息を測ります。

■急性炎症のメカニズム

急性炎症のメカニズム

 好中球と呼ばれる白血球の仲間は、常に血液中をパトロールしているお巡りさんの様な存在です。お巡りさんにも非番の日がある様に、一部の好中球は、血管壁にへばり付いて、休息中(お昼寝状態!)です。細菌や毒物等の侵入等々の、何らかの異変を察知すると、好中球は血管から現場に駆け付けます。

 図の①→②→③→④を見て下さい。急性炎症の際に、好中球以外に重要な働きをするのがマクロファージです。彼らは血管の中では単球と呼ばれていますが、血管だけではなく色んな組織に別宅があって、そこで控えています。何らかの異変を察知すると、マクロファージは、先ずはそれを食して(!)みて、狼煙(サイトカイン)を上げます。サイトカインとは単一の物質ではなくて、様々な種類のものが存在しますが、主に免疫系の細胞であったり、時に血管内皮細胞からも分泌される事があります。異変を感じた時に、その異変を早急に周知させる為の狼煙ですから、炎症を引き起こす系が大半を占めています。しかし、中には、少数派とは言え、炎症を抑制する系のサイトカインもあります。

 繰り返しになりますが、異変を感じた時に、先ず、マクロファージがサイトカインを分泌します。このサイトカインに反応して、例えば毛細血管では、その内皮に隙間が開くんです。つまり、血管が拡張すると、血流が増えるだけではなく、拡張によって壁が引き延ばされ、壁に微妙な隙間を生じるようになります。この小さく開いた隙間の所から、白血球、主に好中球ですが、この隙間から出動して来ます。これが、「毛細血管の透過性の亢進」って奴です。好中球は血管の外に出ると、真っすぐ、異変が起こっている場所に集結します。この好中球達に決戦の場を知らせるのに一役以上買っているのが、サイトカインです。好中球達はこれを目印に、集まり参戦する訳です。これが急性炎症で、短時間のうちに終息します。

■急性炎症の基本病変(過程)

急性炎症の基本病変(過程)

 急性炎症の過程の最後には、必ず、組織の修復があります。炎症と言うものは、組織を障害する何らかのものが侵入したとか、怪我等で組織が損傷されると起こる免疫反応ですが、それが起こるのと同時に、組織の修復へのプログラムが発動しています。ですから、炎症が全てに於いて悪者ではないのです。

■急性炎症の血液データの特徴

・ALBが低下し、α1-G、α2-G、CRPが上昇

・HBが低下し易い

・白血球、特に好中球(桿状核球)が増加し、核の左方移動が起こる

・重症感染症では、白血球が減少(消費>産生)

・障害臓器に由来する酵素が一過性に上昇

 α1-G、α2-G,CRP等の炎症に関係する蛋白が上昇します。

 同時に、ALBやHBが低下します。唯、ALBやHBの低下は急性の時もそうですが、ある程度炎症が長期に遷延した時に、特にHBにその傾向が強いのですが、問題となります。炎症が激しく起こっている時には、それに必要な蛋白が作られては、消費されて行きます。何処かから、蛋白合成に必要な材料を調達する必要があります。しかし急性の炎症が起こっている時に、食欲もあって、バリバリ何でも食べれるって人はあまりいません。多分の推測を出ませんが、国家総動員法下の嘗ての日本の様に、免疫に必要な酵素に総動員をかけるって事は、他のあんまり大事じゃないと言うか…後回しにしても、まあ、しゃーないかぁって酵素、まあ、その代表格が消化酵素なんですが、それが切り捨てられてしまったから、食欲が湧きようもないのが真相なのかも知れません。唯そうなると…、新しいエネルギー源を外部から簡単には補充出来ないので、限られたエネルギー貯金を取り崩すしかありません。アミノ酸プール。その一つがアルブミンなんです。血液中のアルブミンを取り壊して、そこから得た蛋白は、抗体の様な免疫蛋白であったり、サイトカイン等々の炎症のプロセスを進めて行く為に必須の蛋白の増産に当てられます。アルブミンが最初に喰いつぶされると、次なるターゲットがHBです。

 そして、白血球、特に初期は好中球が増加します。核の左方移動が起こります。

 重症の感染症では、白血球がどんどん討ち死にをしてしまいます。消費と産生のバランスが崩れてしまうと、白血球が減少してしまうと言う現象が起こります。

 傷付いた組織、臓器に由来する酵素が、一過性に上昇します。その代表的な酵素が、GOT、GPT、LDH、乳酸脱水素酵素です。これ等は、一般的に肝機能と呼ばれる事が多いですが、本来肝機能特有のものではなく、組織が障害された時に壊れた組織や臓器から溢れ出してくる、単に逸脱酵素です。急性炎症の時にも、認められます。

■急性炎症と核の左方移動

 元々白血球も骨髄で作られています。骨髄球→後骨髄球→桿状核球→2分葉→3分葉→4分葉と、成熟します。私達が普通に検査で調べている好中球は、殆どが分葉核球です。しかし、急性炎症の時には、白血球はどんどん動員され、炎症箇所で消費(討ち死に!)されてしまいます。そうすると、白血球をどんどん補充しなけれな行けなくなり、学徒出陣ではありませんが、幼若な白血球が駆り出されるようになります[核の左方移動]。ですから、核の左方移動が認められると、炎症は可なり重篤だ!って事が分かります。

■急性炎症のまとめ

 血管が拡張する事により、血流が増加し、赤く腫れて熱を持つ。そして拡張した毛細血管から色々なものが滲み出して来ます。血漿蛋白や白血球(主に好中球)も血管の外に出て来ます。好中球は自ら障害された部位に赴き、そこで敵と戦います。それで、赤く腫れて痛くなります。時に機能障害も伴います。これが(急性)炎症の特徴です。

 ところが普通の炎症(急性炎症)は、次に修復過程へと進むのですが、問題なのは、後述する慢性化した炎症です。

慢性化し易い現代人の炎症

慢性炎症とは何か?

本来は一過性で治まる炎症反応が、低レベルではあるものの、長期間持続して慢性化した状態

・侵害因子が取り除かれないと、炎症が持続する

・自覚症状がなく、気付いた特には重症に

 慢性炎症とは、本来は一過性で治まるはずの炎症が、低レベルではあっても、長期間持続して慢性化した状態を言います。炎症の原因となったものが取り除かれないまま、そこに残ってしまうと、炎症が持続します。例えば、ウィルス性の肝炎とかが相当します。ウィルスが完全に除去されなまま持続感染すると、慢性の炎症が起こります。時に、自覚症状があまりないか、殆どない場合もあります。しかし、長期間に亘る事によって、気付いた時には組織に大きな障害が残っているという事もあります。

 

現代人と慢性炎症の関係

現代人のライフスタイルが慢性炎症を引き起こしています。

・運動不足 ・食生活 ・睡眠不足 ・ストレス

 私達現代人の生活習慣と慢性の炎症と言うものは、関係が深い事が知られるようになって来ました。例えば、運動不足や食生活の乱れ、睡眠不足、ストレス等が関係していると考えられています。

■運動不足と炎症

 骨格筋から、マイオカインと言うサイトカインが分泌されている事が分かって来ました。適度に運動する事によって筋肉細胞から分泌されるもので、鬱の改善や、癌を抑制する働きがあるのではないかと考えられています。筋肉には、癌の転移は殆どありません。若しかしたら、筋肉細胞自体に、癌を抑制する何らかの働きがあるのかも知れません。マイオカインはある程度筋肉を使わないと、分泌量が減ってしまいます。適度に分泌されるマイオカインは、何らかの形で抗炎症作用を齎しているのではないかと考えられています。

 そして、私達の体は、SCRAP&BUILDを繰り返しています。ある程度使って行く、動かして行くという事をしなければ、同時に蛋白の同化作用も抑制される=代謝が落ちます。同時に、炎症性のサイトカインが分泌されやくすなります。また、運動不足から来る肥満、特に内臓脂肪が増加すると、脂肪組織は巨大なる内分泌組織とも言えますから、そこから炎症を誘発するようなサイトカインが分泌され、メタボリック症候群に繋がります。インスリン抵抗性や脂質異常、高血圧等の発症し易くなります。それに、筋肉は使わないと、どんどん減って来ます。筋肉が減って来てしまった状態が、サルコペニアです。筋肉が減ってしまうと、インスリンはターゲットとする筋肉が減ってしまうので、インスリン抵抗性にも繋がります。そうなると、余剰インスリンは脂肪組織に働きかけるしかないですから、体脂肪は増え、悪循環になります。まあ、この筋肉を使わなくなった=運動不足を発端とする悪循環が、メタボリック症候群の諸悪の根源なんですね。更には、コロナ禍に運動不足になり、それが様々な弊害に繋がっているようです。コロナ鬱以外にも、自粛による運動不足がメタボの発端になり、又運動しない事で、特に足腰の機能が弱り、腰が痛いとか膝が痛いとかでますます動かなくなり、サルコペニア、そして認知機能の低下に繋がり、高齢者問題に繋がって来ています。

■食生活と炎症

①消化管の影響による炎症

  腸内細菌叢の攪乱→リーキガット症候群→免疫系に対するエピジェネティクス変化→内毒素症・全身性の慢性炎症

②糖化最終産物(AGE)、終末過酸化産物(ALE)の摂取による炎症

  食欲促進作用→肥満→炎症

③トランス脂肪酸並びに過剰な塩分摂取による炎症

  特に塩分の過剰摂取は、腸内細菌叢の攪乱を引き起こします。

 食品の内容も随分と変わって来ました。添加物の多い食品であったり、米離れや小麦に対する依存度UPとか…食生活の変化は腸内細菌叢の乱れを招き、小腸の粘膜が傷付き、リーキーガット症候群に繋がります。また、免疫系に対するエピジェネティクス変化、つまり、私達は元々遺伝情報を持っていますが、DNAの配列の変化まではならずとも、少なくとも遺伝子発現に影響を与え、様々な慢性の炎症が引き起こされたり、時には発癌に繋がると考えられています。

 最終糖化産物や終末過酸化産物に偏った食生活、例えばドーナツばかりとか唐揚げばかりとかを食べ続けていると、炎症を引き起こしやすくなります。恐ろしい事にこれ等の食べ物は食欲をそそるが故に、過食傾向から肥満に繋がり、内臓脂肪が増えて、更に炎症が起こり易くなると言う嬉しくない負の加速がついてしまうかもしれません。

 トランス脂肪酸や過剰な塩分摂取は、腸内細菌叢を乱します。

 この様な食生活の変化の中、炎症が起こり易い状況が徐々に整ってしまう訳ですが、この炎症は急性の炎症とはちょっと趣が違います。例えば、食中毒は急性の炎症ですが、原因菌であるノロウィルスやサルモネラ菌等を排除すれば、終息します。ところが食生活の変化による炎症は、急性の炎症と異なり、自覚症状に乏しく、小さな炎症が毎日毎日起こり、それが持続し、累積して行きます。

■睡眠と炎症

生活習慣の乱れによる睡眠障害・睡眠不足や、人工的な光(特にブルーライト)夜間の光への暴露

  →サーカディアンリズムの乱れ

  →免疫老化の促進

  →慢性炎症の増進

 多くの動物は、日内リズムを有しています。日の出と共に起きて、暗くなったら眠る。これに合わせて自律神経の活動やホルモンの分泌、消化管の活動、酵素の活性等々が、日内変動を持っています。ところが、現代では、コロナ禍によって多少は改善されたかもしれません(笑)が、夜中に働かざる得ない人々もいます。仕事ならまあ仕方がないって側面も無きにしも非ずですが、夜中遅くまでスマホでYouTubeって輩もおり、光の刺激に触れる時間帯にも乱れが生じて来ています。この様な生活習慣の乱れによって、睡眠のリズムが変わってしまう。或いは夜になっても人工的な光、特にブルーライト等の強い光は脳を強く刺激します。この様な光に長く触れていると、体内時計に乱れを生じます。これが免疫老化を促進させ、免疫の調整機能が破綻、慢性炎症の増悪に繋がります。

■腸内細菌叢と炎症

不規則な生活、バランスの悪い食生活は、腸内細菌叢を乱します。腸内細菌叢が乱れる事は、炎症を維持させる一因となります。

 内容だけでなく、食べる時間も含まれますが、不規則な食生活を続けていると、腸内細菌叢が乱れます。悪玉菌が増え、炎症性のサイトカインが放出されやくすなったり、小腸の粘膜細胞が傷付いてしまったりと、様々な炎症反応が起こり易くなってしまいます。これが炎症を持続させる、慢性炎症の原因の一つとなります。

■ストレスと炎症

ストレスが掛かった時に分泌される副腎皮質ホルモンは、免疫機能を抑制し、炎症の慢性化に結びつきやすくなります。

ストレス[交感神経興奮]→下垂体[副腎皮質刺激ホルモン分泌]→副腎[副腎皮質ホルモン(コルチコイド)分泌]→免疫細胞[機能低下]

 様々なストレス、例えば紫外線に当たるとか、放射線を浴びるとか、毒物に触れる、暑過ぎる、寒過ぎる、気温や気圧の変化等々も体にとってはストレスです。もう一つは、メンタルなストレスです。人間関係や職場環境の変化等々と、様々な環境の変化は受ける人間に取ってはストレスになります。ストレスに対抗して元気を維持する為に、交感神経が緊張します。脳下垂体-副腎の経路を通って、副腎皮質ホルモン(コルチコイド)=抗ストレスホルモンを分泌して、これ等を乗り越えようとしています。しかしこの、ステロイドホルモンは過剰に分泌されると、免疫を抑制する方向に働きます。ストレスが掛かり続けている時は、交感神経が微妙に緊張しているので、一見元気!に見える事があります。この緊張の糸がブチっと切れちゃうと、途端に風邪を引きやすくなったり、感染症に弱くなったりします。ストレス対応は、とっても重要になります。

■肥満と炎症

肥満によって、炎症性サイトカインが増加し、インスリンが効き難くなる事で、糖尿病に繋がります。

 特に増悪因子となるのが、内臓脂肪です。異所性脂肪とも言いますが、本来、皮下脂肪と言うのはあんまり悪者ではありません。悪い事しません。内臓脂肪が増えて来ると、脂肪細胞が肥大化した事によって、ここから炎症物質が出て来て、マクロファージを活性化させます。これにより、マクロファージから炎症性のサイトカインが放出されて、血管を傷付けたり、インスリンの効きを悪くしたりと、ドミノ倒しにメタボリック症候群へと繋がりますから、肥満も慢性の炎症状態とも言えます。糖尿病も、広い意味でも慢性炎症です。

肥満と炎症の悪循環:肥満は脳卒中や心筋梗塞を引き起こし、壊死した細胞が更に炎症を促進し、慢性化させます。

 脂肪肝も異所性脂肪が増えてしまった状況ですが、検査で、CRPが微妙に高かったり(<0.06未満が望ましい値とされています!)、フェリチンの値も結構高値を示す事が多く見受けられます。

 肥満は炎症の悪循環を引き起こします。血管が傷付きやすくなったりする事で、脳卒中や心筋梗塞を引き起こしたり、更に傷付いた細胞はそこから炎症物質を放出し、炎症が慢性化して行く事で、悪循環のサイクルが形成されてしまいます。肥満の改善は、慢性炎症の悪循環を断ち切る為には大事なポイントと言えます。

■老化と炎症の関係

老化に伴って炎症が起きやすくなる背景として、以下の3つの要因が関与しています。

・免疫の変化:死んだ細胞(生体内異物)を食べる免疫細胞の機能が低下し、生体内異物が蓄積します。

・細胞の変化;老化した細胞が蓄積すると、炎症シグナルが分泌され続け、炎症反応や発癌の促進を引き起こしやすくなります。

・全身の変化;加齢に伴う代謝や内分泌系の変化も炎症を促進、皮下脂肪以外の場所に蓄積された脂肪も炎症を誘導します。

 加齢(老化)と言うものは避ける事が出来ませんが、出来るだけ良い状態で年を重ねて行く事は可能です。私達の体は、常に、機能が低下してしまった古い細胞や傷んだ細胞を壊して、新しい細胞に入れ替えています。死んだ細胞はある意味生体内異物ですから、マクロファージや他の免疫細胞が壊して食べてしまいます。しかしこの機能が減弱してしまうと、生体内異物の処理が遅れ、蓄積してしまいます。

 老化した細胞が蓄積すると、そこから又炎症性のシグナルが分泌され、慢性の炎症が引き起こされたり、時に発癌を促進したりと、ロクな事が起きません。例えばアルツハイマー型の認知症は、広い意味での脳の慢性炎症です。老化に伴って出て来る異常蛋白が蓄積する事が、認知機能を損なう原因の一つと考えられます。

 加齢に伴う代謝や内分泌系の変化も、炎症を促進します。皮下脂肪以外の場所に蓄積された脂肪(異所性脂肪)も、炎症を誘発します。

 

慢性炎症は様々な疾患に関わっている

慢性炎症は、様々な疾患に関わっています。

・生活習慣病;肥満、糖尿病、高血圧等

・動脈硬化;脳卒中、心疾患等

・神経疾患;アルツハイマー病、パーキンソン病等

・神経疾患;鬱・睡眠障害等

・癌;発癌、転移等

 慢性炎症は、あらゆる病気に関わっています。癌も慢性炎症の一つです。進行癌の患者さんは、その経過中に脳梗塞を併発する人が非常に多いとされています(トルソー症候群)。所謂心血管障害として発症する脳梗塞ではなく、多発脳梗塞が多く認められます。癌は慢性炎症の一つなので、これが血小板機能を亢進させ、血栓が出来易くなるからのようです。心筋梗塞ではなく、殆どが脳梗塞の併発なんです。また、糖尿病の既往歴、現病歴のある人も、非常に多いです。つまり、慢性炎症のお友達の輪と言うか…全てが全部繋がり合っているんですね。ですから、慢性炎症を上手くコントロールするって事が如何に大事か!?って事なんですね。

新型コロナウィルスとサイトカインストーム

サイトカインストームとは、何らかの原因で、血中サイトカインが過剰に産生され。致死性の病態が誘導された状態を指す

 サイトカインとは、傷付いた細胞やマクロファージ等の初期対応をする免疫細胞から分泌される(信号の)伝達物質です。色んな免疫細胞達に異変を知らせる狼煙の様なものですから、適度な分泌が為されると、事がスムーズに運びます。ところが、サイトカインが何らかの原因でこれが溢れんばかりに?垂れ流し状態?に産生されてしまうと、致死的な程に正常な細胞まで傷付けられてしまいます。これがサイトカインストームです。

想定されるサイトカインストームの誘導機序

新型コロナウィルス感染に伴って、局所の自然免疫系、獲得免疫系の活性化と共に、殆どの患者は回復します。

しかし、加齢・既往歴・ストレスが存在する患者では、免疫反応、炎症反応が暴走して、サイトカインストームが生じます。

その結果、多臓器不全が引き起こされ、命が危険に晒されます。

 恐らく多くの人達は、自然免疫の働きによって、余り症状も出ないまま抑え込んでいる、或いは感染しても軽く済んでしまっていると思われます。ところが重症化するメカニズムとして、サイトカインストームが考えられています。炎症の連鎖反応の様な状況で、炎症反応の暴走、免疫の暴走状態です。ですから、2,3日前まで普通に話せていた軽い肺炎かなってレベルの人が、人工呼吸器どころかECMOを装着しないとガスの交換が全く出来ない位に、肺が傷付いてしまいます。この坂を転げ落ちるようなドミノ倒しの行き着く先は、多臓器不全です。どんな人が起こり易いのかは、まだ分かっていない事が多過ぎてハッキリとは言えませんが、加齢とか、何らかの既に慢性炎症を持っているとか、ストレスが関係しているとは考えられています。ビタミンDの不足があると、サイトカインストームが起こり易いようです。

インフラメイト

NSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)の開発の歴史

 ヨーロッパでは、紀元前より、ヤナギ科の植物の樹皮が痛みの緩和に役立つと知られていました。19世紀になりその有効成分がサリシンという配糖体である事が判明し、そこからサリチル酸が単離されました。著明な解熱鎮痛作用を認めましたが、大量出血等の重篤な副作用があり、これを改善すべく開発されたのがアセチルサリチル酸(アスピリン)です。しかし、長期の使用により粘膜障害を否めず、更に安全性が高いロキソプロフェンやセレコキシブが開発されました。

■炎症とプロスタグランジン代謝

 セレコックスは、選択的にCOX-2を阻害する薬なので、平常時に於けるCOX-1の生理的な作用を阻害する心配がないので、より安全な使用が可能になりました。

 因みにステロイドは、PLA2美容通信2016年7月号)をブロックしてしまうので、抗炎症作用自体は超強力!なんですが、副作用も多岐に亘って起こるってお薬です。

 

インフラメイト

インフラメイトは、4種類のハーブを含む製品。

ハーブとは、植物が害虫や紫外線から身を守る為に、或いは繁殖の為に作る化学成分(phytochemical)を言います。ハーブの薬理的作用は紀元前より知られ、世界の各地で治療に使われて来ました。人類の歴史に於いて、長い使用経験があります。又、西洋医学では、医薬品の起源ともなっています。

 炎症が様々な疾患の原因となっています。分子栄養学的アプローチで炎症を制御する事が、QOL向上に繋がります。

 インフラメイトは、4種類の植物性成分を配合した、ホメオスターシス維持をサポートする為のサプリメントです。

■炎症の経過と栄養アプローチ

体内では、病原体の侵入や異常代謝物に対し免疫が働き、常に軽度の炎症が起きています。

炎症の閾値を超え、症状や所見が現れた時は、既に炎症物質の増産スイッチが入ってしまった後なので、抗炎症薬を使って鎮める必要があります。

栄養アプローチでは、炎症の閾値を超える前に対応をするので、発症が未然に防がれる。

 横軸が炎症の経過、縦軸が炎症の度合いです。

 体内では、病原体の侵入や異常代謝物に対し免疫が働き、常に軽度の炎症が起きています。排卵や月経周期も、炎症が関わっています。しかし、レベルを超えて炎症が閾値を超えて、症状や所見が現れた時は、既に炎症物質の増産スイッチが入ってしまった後なので、医療の対象ですから、抗炎症薬を使って鎮める必要があります。しかし、中には中々炎症が治まらなくて、治療によって増悪寛解を繰り返したり、徐々に増悪したり、急激に増悪したりとかする場合もあります。

 栄養アプローチでは、炎症の閾値を超える前の対応なので、(上手く行けば!)発症を未然に防ぐ事が可能になります。

■炎症性サイトカインの産生

 炎症の進行過程では、炎症性サイトカインの増産が行われています。その一つにNFκBがあります。マクロファージ等の細胞膜の表面にはTLRやTNF-α受容体等が存在しています。細胞質には、核内転写因子の一つであるNFκBが存在していますが、普段はこれに抑制性の蛋白質が結合しており、非活性の状態です。ですが、PAMPs(病原体由来)/DAMPs(損傷した組織由来)やTNF-α(炎症性サイトカイン)が受容体に結合すると、情報が細胞内に伝わり、抑制性蛋白質が破壊されて箍が外れたNFκBは核内に移動し、DNAの特定の領域に結合。遺伝子作用が発現します。これにより、mRNAが作られ、細胞質のリボキソーム上で蛋白質を合成します。大量に増産されたIL-6やTNF-α等が細胞外に出て行って、炎症が拡大します。

 関節リウマチの治療薬にインフリキシマブと言う生物学的製剤があるのですが、TNF-αの作用をブロックします。インフラメイトに含まれている成分は、NFκBを制御します。

■インフラメイトの成分

・ボスウェリアセラータ樹脂エキス;インドに自生する落葉樹の樹脂エキス。インドの伝承医学アーユルヴェーダで用いられてきました。主成分は、ボスウェリア酸の各種誘導体。プロスタグランジン代謝(5-LOX)やサイトカイン代謝を抑制し、痛みの緩和に役立ちます。現代でも健康食品の定番的存在です。

・黄杞葉エキス:クルミ科植物の葉エキス;中国では僧侶に甘茶として引用されて来ました。主成分はアスチルビンで、フラボノイドの一種です。サイトカイン代謝を抑制する作用があります。別名、シナモン♪ 自律神経を整えてリラックスさせる作用、集中力を高める作用があります。健やかな巡りをサポートしてくれる成分なんですね。

・ホップ乾燥エキス;アサ科の多年草植物。その毬花エキスはキサントフモールで、フラボノイドの一種です。抗酸化作用が強く、プロスタグランジン代謝の抑制、抗菌作用があります。リラックス・睡眠等に役立つ健康素材として、最近注目されています。

・ケイヒ末;トンキンニッケイの樹皮の乾燥粉末。中国医学、日本では漢方医学に於いて、生薬として広く配合されてきました。主成分はケイヒアルデヒドで、炎症性サイトカインの産生を抑制します。

■各成分についての研究報告

・ボスウェリア酸

  N. Kimmatkar, et al. Phytomedicine 2003; 10: 3-7.

  M.Muhammed, et al. Phytother Res. 2019; 33(5): 1457-1468.

  L. Gupata, et al. Planta Med. 2001; 67(5): 391-5.

・アスチルビン

  D. Wang, et al, Cell Mol Neurobiol. 2017; 37(4): 695-706.

  H. Yu, et al. Int J Mot Med. 2019 Mar; 43(3): 1406-1416.

  L. Dong, et al. Evid Based Complementary Alternat Med 2017 824620.

  J. Wang, et al. J Pharm Pharmacol 56 (2004) 495-502.

・キサントフモール

  V. E. Buckwold, et al. Antiviral Res, 2004; 61(1); 57-62

  Q. Wang, et al. Antiviral Res, 2004; 64(3); 189-194

  R. Negrao, et al. Int J Biomed Sci, 2007; 3(4): 279-286

  H. Tobe, et al. Biosci Biotechnol Biochem. 1997; 61(1): 158-9.

・ケイヒアルデヒド

  P. S. Babu, et al. Phytomedicine. 2007; 14(1): 15-22.

  T. Lu, et al. Nutr Res. 32(6): 408-12

  A. Yanaga, et al. Biol Pharm Bull. 2006; 29(12): 2415-8.

  • ボスウェリア酸

   ボスウェリア属の樹木はインド~アフリカ北東部に広く分布しており、その樹脂は乳香として古代エジプトの時代から珍重されてきました。このうち、インド/パキスタン北方原産であるボスウェリア・セラータの樹脂は、アーユルヴェーダ医学に用いられています。この樹脂は、テルペン類を始めとする様々な物質を含み、中でもボスウェリン酸類は5つの環とカルボン酸から成るトリテルペンで、薬理活性(抗炎症作用、抗癌作用、抗菌作用etc.)を示す事が報告されています。

  • アスチルビン

   アスチルビンは、酸化ストレスと炎症を減少させる事が知られています。

  • キサントフモール

   キサントフモールは、ビール原料であるホップ の雌花序に含まれているプレニル化されたカルコンです。 キサントフモールは、様々な薬理活性を有することが知られており、例えば抗酸化、抗炎症、抗増殖、及び骨形成の各作用が報告されています。

 

 


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※治療の内容によっては、国内未承認医薬品または医療機器を用いて施術を行います。治療に用いる医薬品および機器は当院医師の判断の元、個人輸入手続きを行ったものです。

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